JP4765397B2 - 電子放出パネル及び平面型表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子放出パネル及び平面型表示装置に関する。
現在主流の陰極線管(CRT)に代わる画像表示装置として、平面型(フラットパネル形式)の表示装置が種々検討されている。このような平面型の表示装置として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PDP)を例示することができる。また、電子放出素子を備えた電子放出パネルを組み込んだ平面型表示装置の開発も進められている。ここで、電子放出素子として、冷陰極電界電子放出素子、金属/絶縁膜/金属型素子(MIM素子とも呼ばれる)、表面伝導型電子放出素子が知られており、これらの冷陰極電子源から構成された電子放出素子を備えた電子放出パネルを組み込んだ平面型表示装置は、高解像度、高輝度のカラー表示、及び、低消費電力の観点から注目を集めている。
電子放出素子としての冷陰極電界電子放出素子を組み込んだ平面型表示装置である冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する場合がある)は、一般に、複数の冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する場合がある)を備えた電子放出パネル(以下、カソードパネルCPと呼ぶ場合がある)と、電界放出素子から放出された電子との衝突により励起されて発光する蛍光体層を有するアノードパネルとが、高真空に維持された空間を介して対向配置された構成を有する。ここで、カソードパネルCPは、2次元マトリクス状に配列された各画素に対応した電子放出領域を有し、各電子放出領域には、1又は複数の電界放出素子が設けられている。電界放出素子として、スピント型、扁平型、エッジ型、平面型等を挙げることができる。
一例として、スピント型電界放出素子を有する従来の表示装置の概念的な一部端面図を図15に示し、カソードパネルCP及びアノードパネルAPを分解したときのカソードパネルCPとアノードパネルAPの一部分の模式的な分解斜視図を図16に示す。この表示装置を構成するスピント型電界放出素子は、支持体10に形成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14Aと、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)と、開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された円錐形の電子放出部15から構成されている。
この表示装置において、カソード電極11は、第1方向(例えば、X方向)に延びる帯状であり、ゲート電極13は、第1方向とは異なる第2方向(例えば、Y方向)に延びる帯状である(図15及び図16参照)。一般に、カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極11,13の射影像が互いに直交する方向に各々帯状に形成されている。帯状のカソード電極11と帯状のゲート電極13とが重複する重複部分が、電子放出領域EAであり、1サブピクセルに相当する。そして、係る電子放出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域(実際の表示部分として機能する領域)内に、通常、2次元マトリックス状に配列されている。
一方、アノードパネルAPは、基板20上に所定のパターンを有する蛍光体層22(具体的には、赤色発光蛍光体層22R、緑色発光蛍光体層22G、及び、青色発光蛍光体層22B)が形成され、蛍光体層22がアノード電極24で覆われた構造を有する。尚、これらの蛍光体層22の間は、カーボン等の光吸収性材料から成る光吸収層(ブラックマトリックス)23で埋め込まれており、表示画像の色濁り、光学的クロストークの発生を防止している。尚、図中、参照番号21は隔壁を表し、参照番号40はスペーサを表し、参照番号25はスペーサ保持部を表し、参照番号26は枠体を表す。図16においては、隔壁やスペーサ、スペーサ保持部の図示を省略した。
アノード電極24は、蛍光体層22からの発光を反射させる反射膜としての機能の他、蛍光体層22から反跳した電子、あるいは、蛍光体層22から放出された2次電子(以下、これらの電子を総称して、後方散乱電子と呼ぶ)を反射させる反射膜としての機能、蛍光体層22の帯電防止といった機能を有する。また、隔壁21は、後方散乱電子が他の蛍光体層22に衝突し、所謂光学的クロストーク(色濁り)が発生することを防止する機能を有する。
1サブピクセルは、カソードパネル側の電子放出領域EAと、これらの電界放出素子の一群に対面したアノードパネル側の蛍光体層22とによって構成されている。有効領域には、係る画素が、例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されている。尚、カラー表示の表示装置においては、1画素(1ピクセル)は、赤色発光サブピクセル、緑色発光サブピクセル、及び、青色発光サブピクセルの組から構成されている。
そして、アノードパネルAPとカソードパネルCPとを、電子放出領域EAと蛍光体層22とが対向するように配置し、周縁部において枠体26を介して接合した後、カソードパネルCPに取り付けられたチップ管(図示せず)を介して、カソードパネルCPとアノードパネルAPによって挟まれた空間(より具体的には、カソードパネルCPとアノードパネルAPと枠体26とによって囲まれた空間であり、以下、単に、空間と呼ぶ)を排気し、チップ管を封じ切ることによって、表示装置を作製することができる。空間は高真空(例えば、1×10-3Pa以下)となっている。
カソード電極11には相対的に負電圧がカソード電極制御回路31から印加され、ゲート電極13には相対的に正電圧がゲート電極制御回路32から印加され、アノード電極24にはゲート電極13よりも更に高い正電圧がアノード電極制御回路33から印加される。係る表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード電極11にカソード電極制御回路31から走査信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32からビデオ信号を入力する。あるいは、カソード電極11にカソード電極制御回路31からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32から走査信号を入力する。カソード電極11及びゲート電極13に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき電子放出部15から電子が放出され、この電子がアノード電極24に引き付けられ、アノード電極24を通過して蛍光体層22に衝突する。その結果、蛍光体層22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この冷陰極電界電子放出表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加される電圧、及び、カソード電極11に印加される電圧によって制御される。
ところで、電子のアノード電極24への衝突に起因してアノード電極24から放出された中性ガスや、空間内での中性ガスと電子との衝突によって生成した陽イオンが、ゲート電極13等のカソードパネルを構成する構成要素(以下、カソードパネル構成要素と呼ぶ)に衝突する。そして、このような中性ガスや陽イオンがカソードパネル構成要素に衝突するといった現象によって、以下に説明する問題が引き起こされる。
特開2001−210225
即ち、これらの中性ガスや陽イオンの衝突がトリガーとなって、種々のガスがカソードパネル構成要素から空間に放出される。そして、これらのガスが電子放出部15に付着すると、電子放出部表面の仕事関数が変動し、その結果、電子放出部15からの電子放出量が変動するといった問題が発生する。
カソードパネルCPとアノードパネルAPとを組み立てた表示装置において、電子放出領域EAから蛍光体層22に向けて電子ビーム(加速電圧9キロボルト、ビーム電流2μA/cm2)を放出したときのカソードパネルCP及びアノードパネルAPからのガス放出量を四重極質量分析装置にて測定した結果の一例を、図17に示す。測定の結果、質量「2」(H2)、質量「15」(CH3)、質量「16」(CH4)、質量「18」(H2O)、質量「28」(CO又はN2)、質量「44」(CO2)が主に検出された。また、質量「40」(Ar)も僅かに検出され、質量「32」(O2)は極微量検出された。質量「18」(H2O)に関しては、電子ビームのオフからオンへの変化に伴う上昇が少ないので、電子ビームのオフ時に空間内に残留している成分が主体であると考えられる。一方、その他に関しては、電子ビームのオフからオンへの変化に伴い大きな上昇が求められるので、電子ビームの衝突がトリガーとなって、これらのガスがカソードパネル構成要素及び/又はアノードパネル構成要素(例えば、アノード電極)から空間に放出されていると考えられる。尚、カソードパネル構成要素の内、ゲート電極13がカソードパネルAPの主たる面積を占めている。
また、図18に、電子放出部15をMoから構成したスピント型電界放出素子を備えた表示装置における電子放出部15の電子放出特性の変化を示す。カソードパネルCPを製造し、アノードパネルAPとカソードパネルCPとを、電子放出領域EAと蛍光体層22とが対向するように配置し、周縁部において枠体26を介して接合した後、排気し、次いで、チップ管からCH4ガス等のガスを空間に導入し、空間の圧力を1×10-3Paとする。その後、チップ管を加熱溶融により封じ切り、得られた表示装置を実際に動作させて輝度変化を測定することで、電子放出部15の電子放出特性の変化を評価した。図18からも明らかなように、特に酸素ガスの影響が大きく、微量な酸素ガスの存在でも著しく電子放出特性が劣化する。劣化傾向の大きい順番は、O2>CO>CO2である。一方、CH4ガスは殆ど影響がなく、H2ガスによって、逆に、電子放出特性が活性化される。
このような電子放出部15の電子放出特性の変化は、電子放出部15へのガス付着量に依存する。電子放出部15に付着するガス量が表示装置の有効領域内において均一ならば、輝度の変動は有効領域内にて均一である。しかしながら、実際にはそうではなく、当初は均一な電子放出分布を有していた表示装置にあっても、時間の経過と共に、電子放出分布が不均一な分布となる(図6における従来例に関する模式図参照)。尚、図6において、縦軸は、アノード電極から電子放出部へと流れるアノード電流の当初の値を「1」としたときの所定時間経過後のアノード電流値の相対値であり、横軸は、有効領域における電子放出部の相対的な位置を示し、垂直な点線はスペーサ40を表す。
ところで、以下のような構造を有する平面型表示装置が、特開2001−210225から周知である。即ち、第1パネルと第2パネルとが真空層を挟んで対向配置され、画素が配列されて成る有効領域を有する平面型表示装置であって、
第1パネル及び第2パネルの少なくとも一方の有効領域に、真空層の真空度を維持するためのゲッターが設けられており、第1パネルは、有効領域に冷陰極電界電子放出素子を備え、第2パネルは、有効領域にアノード電極と蛍光体層とを備え、
冷陰極電界電子放出素子は、
支持体上に設けられた絶縁層、
絶縁層上に設けられたゲート電極、
ゲート電極を貫通し、且つ、絶縁層に設けられた開口部、並びに、
開口部内に設けられた電子放出部、
から成り、
ゲッターは、ゲート電極上及び/又は隣り合うゲート電極の間の絶縁層上に設けられている平面型表示装置である。
ここで、ゲッターは、表面に凹凸を有し、若しくは多孔質体から成る支持部材と、支持部材の表面に沿って支持部材上に形成されたガス捕捉層とから構成され、支持部材は、ゲート電極上及び/又は隣り合うゲート電極の間の絶縁層上に設けられている。更には、ガス捕捉層の構成材料として、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ジルコニウム−アルミニウム合金、ジルコニウム−バナジウム−アルミニウム合金、ジルコニウム−バナジウム−鉄合金、ジルコニウム粉末とグラファイト粉末の混合物、あるいはマグネシウムのように、真空層内で固体状態を保ったままゲッタリング機能を発揮する所謂非蒸発型の材料が挙げられている。
このように、ゲッターが、ゲート電極上及び/又は隣り合うゲート電極の間の絶縁層上に設けられていることは、空間内に存在するガスを捕捉するといった観点からは望ましい。しかしながら、前述した中性ガスや陽イオンがゲッターに衝突すると、ゲッターによって捕捉されていたガスがゲッターから放出されてしまう場合がある。あるいは又、前述した中性ガスや陽イオンがカソードパネル構成要素に衝突する結果、ガスが発生し、このガスは、表示装置の内部表面における衝突及び脱離を繰り返して最終的にゲッターに一部が吸収されるものの、かなりの部分は電子放出部15に吸着されてしまう。そして、このような現象が発生すると、上述したように、電子放出部からの電子放出量が変動する結果、表示装置における電子放出分布が不均一な分布になるといった問題が発生する。
従って、本発明の目的は、電子放出部を備えた電子放出パネルに中性ガスや陽イオンが衝突しても、電子放出パネルを構成する構成要素からガスが放出されることを防止し得る構造を有する電子放出パネル、及び、係る電子放出パネルを備えた平面型表示装置を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の電子放出パネルは、
(A)支持体、
(B)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数の帯状の第1電極、
(C)支持体及び第1電極上に設けられた絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びる複数の帯状の第2電極、並びに、
(D)第1電極と第2電極とが重複する重複部分に設けられ、第1電極及び第2電極への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部、
を少なくとも具備し、
少なくとも、第2電極の露出した部分の表面は、薄膜によって被覆されており、
薄膜を構成する材料のガス吸着能は、第2電極を構成する材料のガス吸着能よりも低いことを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の平面型表示装置は、電子放出パネルと、アノード電極及び蛍光体層が設けられたアノードパネルとが、それらの周縁部で接合され、電子放出パネルとアノードパネルによって挟まれた空間が真空状態となっている平面型表示装置であって、
電子放出パネルは、
(A)支持体、
(B)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数の帯状の第1電極、
(C)支持体及び第1電極上に設けられた絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びる複数の帯状の第2電極、並びに、
(D)第1電極と第2電極とが重複する重複部分に設けられ、第1電極及び第2電極への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部、
を少なくとも具備し、
少なくとも、第2電極の露出した部分の表面は、薄膜によって被覆されており、
薄膜を構成する材料のガス吸着能は、第2電極を構成する材料のガス吸着能よりも低いことを特徴とする。
本発明の電子放出パネルあるいは平面型表示装置(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、ガス吸着能を、以下のように定義する。即ち、化学吸着の場合、ガス吸着量と平衡圧の関係において、或る平衡圧以上で吸着量はほぼ飽和する。この平衡圧でのガス吸着量をガス吸着能と定義する。あるいは、ガス吸着量が平衡圧と共に僅かに増加傾向がある場合には、適当な平衡圧でのガス吸着量をガス吸着能と定義する。そして、ガス吸着能は、
(1)容器内に或る圧力(p1)のCO2ガスを充填する。
(2)このCO2ガスが吸着されると容器内の圧力は減少し、或る圧力(p2)で平衡状態となる。
(3)このとき(平衡圧:p2)の容器表面のガス吸着量は、(容器容積)×(p1−p2)で表される。
(4)操作(1)〜(3)を繰り返す。
といった方法で測定することができる。
本発明において、第2電極と第2電極との間に位置する絶縁層の部分は、薄膜によって被覆されていることが望ましく、これによって、絶縁層に中性ガスや陽イオンが衝突しても、絶縁層からガスが放出されることを防止することができる。
あるいは又、本発明において、
電子放出部を取り囲むように、層間絶縁層を介して、第2電極及び絶縁層の上方には収束電極が形成されており、
収束電極の表面は、薄膜によって被覆されており、
薄膜を構成する材料のガス吸着能は、収束電極を構成する材料のガス吸着能よりも低い構成とすることができる。そして、このような構成を採用することによって、収束電極に中性ガスや陽イオンが衝突しても、収束電極からガスが放出されることを防止することができる。
以上の好ましい構成、形態を含む本発明にあっては、限定するものではないが、薄膜を構成する材料(以下、薄膜構成材料と呼ぶ場合がある)をカーボン系材料とすることが望ましい。ここで、カーボン系材料として、アモルファスカーボン、グラファイト、ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)、シリコンカーバイド(SiC)、例えばカーボンを60重量%以上含んだSiCを例示することができる。薄膜は、結晶性であってもよいし、非晶性であってもよい。薄膜の形成方法として、スパッタリング法や真空蒸着法等の物理的気相成長法(PVD法)、各種の化学的気相成長法(CVD法)を挙げることができる。
尚、一般に、粒子状の物質が集合した粒子状物質集合体によって第2電極の露出した部分の表面を被覆したのでは、粒子状物質集合体のガス吸着能が高く、粒子状物質集合体に電子が衝突したとき、粒子状物質集合体からのガス放出が発生し易い。それ故、少なくとも、第2電極の露出した部分の表面を、薄膜によって被覆することが重要である。
そして、薄膜構成材料をカーボン系材料とする場合、第2電極の表面上における薄膜の厚さは、薄膜の形成に起因して第1電極と第2電極との間や第2電極相互間に短絡が発生することを確実に防止するといった観点から、1nm乃至20nmであることが望ましく、あるいは又、薄膜の比抵抗値は、1×10-2Ω・m以上であることが望ましい。尚、薄膜の比抵抗値の上限として、1×1014Ω・mを例示することができる。
更には、以上の好ましい構成、形態を含む本発明にあっては、限定するものではないが、第1電極、絶縁層、第2電極、及び、電子放出部によって、冷陰極電界電子放出素子が構成されていることが好ましく、この場合、電子放出部は薄膜によって被覆されていることが一層好ましい。このように、電子放出部を薄膜によって被覆することで、たとえ、電子放出部の近傍にガスが到達しても、電子放出部におけるガス吸着に起因した電子放出部表面の仕事関数の変動を抑制することができ、結果として、電子放出部からの電子放出量の変動を抑制することができるので、平面型表示装置における輝度変化を抑えることができる。尚、冷陰極電界電子放出素子を備えた平面型表示装置は、冷陰極電界電子放出表示装置と呼ばれる。また、平面型表示装置として、その他、金属/絶縁膜/金属型素子(MIM素子)が組み込まれた平面型表示装置、表面伝導型電子放出素子が組み込まれた平面型表示装置を挙げることができる。
尚、本発明において、電子放出パネルは、「第1電極と第2電極とが重複する重複部分に設けられ、第1電極及び第2電極への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部」を備えているが、この重複部分に設けられた電子放出部が1つの場合、第1電極、絶縁層、第2電極、及び、電子放出部によって、1つの冷陰極電界電子放出素子が構成されており、この重複部分に設けられた電子放出部がN個の場合、第1電極、絶縁層、第2電極、及び、電子放出部によって、N個の冷陰極電界電子放出素子が構成されている。
ここで、1つの冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する)は、より具体的には、
(a)支持体上に形成され、第1の方向に延びる帯状のカソード電極(第1電極に相当する)、
(b)カソード電極及び支持体上に形成された絶縁層、
(c)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びる帯状のゲート電極(第2電極に相当する)、
(d)カソード電極とゲート電極の重複する重複部分に位置するゲート電極及び絶縁層の部分に設けられ、底部にカソード電極が露出した開口部、及び、
(e)開口部の底部に露出したカソード電極上に設けられ、カソード電極及びゲート電極への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部、
から成る。
電界放出素子の型式は特に限定されず、スピント型電界放出素子(円錐形の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)や扁平型電界放出素子(略平面の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)を挙げることができる。
第1電極(カソード電極)の射影像と第2電極(ゲート電極)の射影像とは直交することが、即ち、第1の方向と第2の方向とは直交することが、平面型表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)の構造の簡素化といった観点から好ましい。そして、電子放出パネルにおいて、第1電極と第2電極とが重複する重複部分は電子放出領域に該当し、電子放出領域が2次元マトリックス状に配列されており、各電子放出領域には、1又は複数の電界放出素子が設けられている。
電界放出素子は、一般に、以下の方法で製造することができる。
(1)支持体上にカソード電極を形成する工程、
(2)全面(支持体及びカソード電極上)に絶縁層を形成する工程、
(3)絶縁層上にゲート電極を形成する工程、
(4)カソード電極とゲート電極との重複部分におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部にカソード電極を露出させる工程、
(5)開口部の底部に位置するカソード電極上に電子放出部を形成する工程。
尚、この場合、薄膜を、上記の工程(3)と工程(4)との間で形成してもよいし、上記の工程(5)の完了後に形成してもよい。
あるいは又、電界放出素子は、以下の方法で製造することもできる。
(1)支持体上にカソード電極を形成する工程、
(2)カソード電極上に電子放出部を形成する工程、
(3)全面(支持体及び電子放出部上、あるいは、支持体、カソード電極及び電子放出部上)に絶縁層を形成する工程、
(4)絶縁層上にゲート電極を形成する工程、
(5)カソード電極とゲート電極との重複部分におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部に電子放出部を露出させる工程。
尚、この場合、薄膜を、上記の工程(4)と工程(5)との間で形成してもよいし、上記の工程(5)の完了後に形成してもよい。
電界放出素子には収束電極が備えられていてもよい。ここで、収束電極とは、開口部から放出され、アノード電極へ向かう放出電子の軌道を収束させ、以て、輝度の向上や隣接画素間の光学的クロストークの防止を可能とするための電極である。アノード電極とカソード電極との間の電位差が数キロボルトのオーダーであって、アノード電極とカソード電極との間の距離が比較的長い、所謂高電圧タイプの冷陰極電界電子放出表示装置において、収束電極は特に有効である。収束電極には、収束電極制御回路から相対的に負電圧(例えば、0ボルト)が印加される。収束電極は、必ずしも、第1電極と第2電極とが重複する重複部分に設けられた電子放出部のそれぞれを取り囲むように個別に形成されている必要はなく、例えば、電子放出部の所定の配列方向に沿って延在させてもよいし、電子放出部の全てを1つの収束電極で取り囲む構成としてもよく(即ち、収束電極を、冷陰極電界電子放出表示装置としての実用上の機能を果たす中央部の表示領域である有効領域の全体を覆う薄い1枚のシート状の構造としてもよく)、これによって、複数の電子放出部に共通の収束効果を及ぼすことができる。
ゲート電極、収束電極の構成材料として、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の遷移金属を含む各種の金属;これらの金属元素を含む合金(例えばMoW)あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。また、これらの電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、例えば帯状のゲート電極を形成することが可能である。カソード電極も上述した材料から構成することができ、上述した方法で形成することができる。
スピント型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、モリブデン、モリブデン合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合金、クロム、クロム合金、及び、不純物を含有するシリコン(ポリシリコンやアモルファスシリコン)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げることができる。スピント型電界放出素子の電子放出部は、真空蒸着法の他、例えばスパッタリング法やCVD法によっても形成することができる。
絶縁層や層間絶縁層の構成材料として、SiO2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiO2系材料;SiN系材料;ポリイミド等の絶縁性樹脂を、単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。絶縁層や層間絶縁層の形成には、CVD法、塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
第1開口部(ゲート電極に形成された開口部)あるいは第2開口部(絶縁層に形成された開口部)の平面形状(支持体表面と平行な仮想平面で開口部を切断したときの形状)は、円形、楕円形、矩形、多角形、丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の形状とすることができる。第1開口部の形成は、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができ、あるいは又、ゲート電極の形成方法に依っては、第1開口部を直接形成することもできる。第2開口部の形成も、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができる。
電界放出素子においては、電界放出素子の構造に依存するが、1つの開口部内に1つの電子放出部が存在してもよいし、1つの開口部内に複数の電子放出部が存在してもよいし、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、係る第1開口部と連通する1つの第2開口部を絶縁層に設け、絶縁層に設けられた1つの第2開口部内に1又は複数の電子放出部が存在してもよい。
電界放出素子において、カソード電極と電子放出部との間に抵抗体層を設けてもよい。抵抗体層を設けることによって、電界放出素子の動作安定化、電子放出特性の均一化を図ることができる。抵抗体層を構成する材料として、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系抵抗体材料、SiN、アモルファスシリコン等の半導体抵抗体材料、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル等の高融点金属酸化物を例示することができる。抵抗体層の形成方法として、スパッタリング法や、CVD法やスクリーン印刷法を例示することができる。1つの電子放出部当たりの電気抵抗値は、概ね1×106〜1×1011Ω、好ましくは数十ギガΩとすればよい。
電子放出パネルを構成する支持体として、あるいは又、アノードパネルを構成する基板として、ガラス基板、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成された半導体基板を挙げることができるが、製造コスト低減の観点からは、ガラス基板、あるいは、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板として、高歪点ガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B23・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)を例示することができる。
平面型表示装置において、アノード電極と蛍光体層の構成例として、
(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極の上に蛍光体層を形成する構成、
(2)基板上に、蛍光体層を形成し、蛍光体層上にアノード電極を形成する構成、
を挙げることができる。尚、(1)の構成において、蛍光体層の上に、アノード電極と導通した所謂メタルバック膜を形成してもよい。また、(2)の構成において、アノード電極の上にメタルバック膜を形成してもよい。
アノード電極は、全体として1つのアノード電極から構成されていてもよいし、複数のアノード電極ユニットから構成されていてもよい。後者の場合、アノード電極ユニットとアノード電極ユニットとは抵抗体膜によって電気的に接続されている必要がある。抵抗体膜を構成する材料として、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系抵抗体材料;SiN系材料;酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル、酸化クロム、酸化チタン等の高融点金属酸化物;アモルファスシリコン等の半導体抵抗体材料を挙げることができる。抵抗体膜のシート抵抗値として、1×10-1Ω/□乃至1×1010Ω/□、好ましくは1×103Ω/□乃至1×108Ω/□を例示することができる。アノード電極ユニットの数(Q)は2以上であればよく、例えば、直線状に配列された蛍光体層の列の総数をq列としたとき、Q=qとし、あるいは、q=k・Q(kは2以上の整数であり、好ましくは10≦k≦100、一層好ましくは20≦k≦50)としてもよいし、一定の間隔をもって配設されるスペーサの数に1を加えた数とすることができるし、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数と一致した数、あるいは、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数の整数分の一とすることもできる。また、各アノード電極ユニットの大きさは、アノード電極ユニットの位置に拘わらず同じとしてもよいし、アノード電極ユニットの位置に依存して異ならせてもよい。
尚、アノード電極を全体として1つのアノード電極から構成する場合にあっても、また、アノード電極を複数のアノード電極ユニットから構成する場合にあっても、係るアノード電極全体の表面上に抵抗体膜を形成してもよいし、前述した薄膜構成材料から成るアノード電極被覆層を形成してもよい。アノード電極被覆層の厚さとして、1×10-9m乃至2×10-7mを例示することができる。アノード電極被覆層の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法といった各種のPVD法;各種のCVD法等を挙げることができる。
アノード電極(アノード電極ユニットを包含する)は、導電材料層を用いて形成すればよい。導電材料層の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法といった各種のPVD法;各種のCVD法;スクリーン印刷法;リフトオフ法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。即ち、導電材料から成る導電材料層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、この導電材料層をパターニングしてアノード電極を形成することができる。あるいは又、アノード電極のパターンを有するマスクやスクリーンを介して導電材料をPVD法やスクリーン印刷法に基づき形成することによって、アノード電極を得ることもできる。尚、抵抗体膜も同様の方法で形成することができる。即ち、抵抗体材料から抵抗体膜を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づきこの抵抗体膜をパターニングしてもよいし、あるいは、抵抗体膜のパターンを有するマスクやスクリーンを介して抵抗体材料のPVD法やスクリーン印刷法に基づく形成により、抵抗体膜を得ることができる。基板上(あるいは基板上方)におけるアノード電極の平均厚さ(後述するように隔壁を設ける場合、隔壁の頂面上におけるアノード電極の平均厚さ)として、3×10-8m(30nm)乃至1.5×10-7m(150nm)、好ましくは5×10-8m(50nm)乃至1×10-7m(100nm)を例示することができる。
アノード電極の構成材料は、平面型表示装置の構成によって適宜選択すればよい。即ち、平面型表示装置が透過型(アノードパネルが表示面に相当する)であって、且つ、基板上にアノード電極と蛍光体層がこの順に積層されている場合には、基板は元より、アノード電極自身も透明である必要があり、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材料を用いる。一方、平面型表示装置が反射型(電子放出パネルが表示面に相当する)である場合、及び、透過型であっても基板上に蛍光体層とアノード電極とがこの順に積層されている場合には、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。尚、抵抗体膜を形成する場合、抵抗体膜の抵抗値を変化させない導電材料からアノード電極を構成することが好ましく、例えば、抵抗体膜をシリコンカーバイド(SiC)から構成した場合、アノード電極をモリブデン(Mo)から構成することが好ましい。
蛍光体層は、単色の蛍光体粒子から構成されていても、3原色の蛍光体粒子から構成されていてもよい。また、蛍光体層の配列様式は、ドット状であっても、帯状であってもよい。尚、ドット状や帯状の配列様式においては、隣り合う蛍光体層の間の隙間がコントラスト向上を目的とした光吸収層(ブラックマトリックス)で埋め込まれていてもよい。
平面型表示装置がカラー表示の場合、直線状に配列された蛍光体層の1列は、全てが赤色発光蛍光体層で占められた列、緑色発光蛍光体層で占められた列、及び、青色発光蛍光体層で占められた列から構成されていてもよいし、赤色発光蛍光体層、緑色発光蛍光体層、及び、青色発光蛍光体層が順に配置された列から構成されていてもよい。ここで、蛍光体層とは、アノードパネル上において1つの輝点を生成する蛍光体層であると定義する。また、1画素(1ピクセル)は、1つの赤色発光蛍光体層、1つの緑色発光蛍光体層、及び、1つの青色発光蛍光体層の集合から構成され、1サブピクセルは、1つの蛍光体層(1つの赤色発光蛍光体層、あるいは、1つの緑色発光蛍光体層、あるいは、1つの青色発光蛍光体層)から構成される。更には、アノード電極ユニットにおける1サブピクセルに相当する大きさとは、1つの蛍光体層を囲むアノード電極ユニットの大きさを意味する。
蛍光体層は、発光性結晶粒子(例えば、粒径5〜10nm程度の蛍光体粒子)から調製された発光性結晶粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感光性の発光性結晶粒子組成物(赤色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、赤色発光蛍光体層を形成し、次いで、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(緑色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色発光蛍光体層を形成し、更に、青色の感光性の発光性結晶粒子組成物(青色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、青色発光蛍光体層を形成する方法にて形成することができる。基板上における蛍光体層の平均厚さは、限定するものではないが、3μm乃至20μm、好ましくは5μm乃至10μmであることが望ましい。
発光性結晶粒子を構成する蛍光体材料としては、従来公知の蛍光体材料の中から適宜選択して用いることができる。カラー表示の場合、色純度がNTSCで規定される3原色に近く、3原色を混合した際の白バランスがとれ、残光時間が短く、3原色の残光時間がほぼ等しくなる蛍光体材料を組み合わせることが好ましい。赤色発光蛍光体層を構成する蛍光体材料として、(Y23:Eu)、(Y22S:Eu)、(Y3Al512:Eu)、(Y2SiO5:Eu)、(Zn3(PO42:Mn)を例示することができるが、中でも、(Y23:Eu)、(Y22S:Eu)を用いることが好ましい。また、緑色発光蛍光体層を構成する蛍光体材料として、(ZnSiO2:Mn)、(Sr4Si38Cl4:Eu)、(ZnS:Cu,Al)、(ZnS:Cu,Au,Al)、[(Zn,Cd)S:Cu,Al]、(Y3Al512:Tb)、(Y2SiO5:Tb)、[Y3(Al,Ga)512:Tb]、(ZnBaO4:Mn)、(GbBO3:Tb)、(Sr6SiO3Cl3:Eu)、(BaMgAl1423:Mn)、(ScBO3:Tb)、(Zn2SiO4:Mn)、(ZnO:Zn)、(Gd22S:Tb)、(ZnGa24:Mn)を例示することができるが、中でも、(ZnS:Cu,Al)、(ZnS:Cu,Au,Al)、[(Zn,Cd)S:Cu,Al]、(Y3Al512:Tb)、[Y3(Al,Ga)512:Tb]、(Y2SiO5:Tb)を用いることが好ましい。更には、青色発光蛍光体層を構成する蛍光体材料として、(Y2SiO5:Ce)、(CaWO4:Pb)、CaWO4、YP0.850.154、(BaMgAl1423:Eu)、(Sr227:Eu)、(Sr227:Sn)、(ZnS:Ag,Al)、(ZnS:Ag)、ZnMgO、ZnGaO4を例示することができるが、中でも、(ZnS:Ag)、(ZnS:Ag,Al)を用いることが好ましい。
アノードパネルには、更に、蛍光体層から反跳した電子、あるいは、蛍光体層から放出された2次電子が他の蛍光体層に入射し、所謂光学的クロストーク(色濁り)が発生することを防止するための、あるいは又、蛍光体層から反跳した電子、あるいは、蛍光体層から放出された2次電子が隔壁を越えて他の蛍光体層に向かって侵入したとき、これらの電子が他の蛍光体層と衝突することを防止するための、隔壁が、複数、設けられていることが好ましい。
隔壁の平面形状としては、格子形状(井桁形状)、即ち、1サブピクセルに相当する、例えば平面形状が略矩形(ドット状)の蛍光体層の四方を取り囲む形状を挙げることができ、あるいは、略矩形あるいは帯状の蛍光体層の対向する二辺と平行に延びる帯状形状を挙げることができる。隔壁を格子形状とする場合、1つの蛍光体層の領域の四方を連続的に取り囲む形状としてもよいし、不連続に取り囲む形状としてもよい。隔壁を帯状形状とする場合、連続した形状としてもよいし、不連続な形状としてもよい。隔壁を形成した後、隔壁を研磨し、隔壁の頂面の平坦化を図ってもよい。
隔壁の形成方法として、スクリーン印刷法、ドライフィルム法、感光法、サンドブラスト形成法を例示することができる。ここで、スクリーン印刷法とは、隔壁を形成すべき部分に対応するスクリーンの部分に開口が形成されており、スクリーン上の隔壁形成用材料をスキージを用いて開口を通過させ、基板上に隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。ドライフィルム法とは、基板上に感光性フィルムをラミネートし、露光及び現像によって隔壁形成予定部位の感光性フィルムを除去し、除去によって生じた開口に隔壁形成用の材料を埋め込み、焼成する方法である。感光性フィルムは焼成によって燃焼、除去され、開口に埋め込まれた隔壁形成用の材料が残り、隔壁となる。感光法とは、基板上に感光性を有する隔壁形成用材料層を形成し、露光及び現像によってこの隔壁形成用材料層をパターニングした後、焼成を行う方法である。サンドブラスト形成法とは、例えば、スクリーン印刷やロールコーター、ドクターブレード、ノズル吐出式コーター等を用いて隔壁形成用材料層を基板上に形成し、乾燥させた後、隔壁を形成すべき隔壁形成用材料層の部分をマスク層で被覆し、次いで、露出した隔壁形成用材料層の部分をサンドブラスト法によって除去する方法である。
蛍光体層からの光を吸収する光吸収層が隔壁と基板との間に形成されていることが、表示画像のコントラスト向上といった観点から好ましい。ここで、光吸収層は、所謂ブラックマトリックスとして機能する。光吸収層を構成する材料として、蛍光体層からの光を99%以上吸収する材料を選択することが好ましい。このような材料として、カーボン、金属薄膜(例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン等、あるいは、これらの合金)、金属酸化物(例えば、酸化クロム)、金属窒化物(例えば、窒化クロム)、耐熱性有機樹脂、ガラスペースト、黒色顔料や銀等の導電性粒子を含有するガラスペースト等の材料を挙げることができ、具体的には、感光性ポリイミド樹脂、酸化クロムや、酸化クロム/クロム積層膜を例示することができる。尚、酸化クロム/クロム積層膜においては、クロム膜が基板と接する。光吸収層は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合せに、スクリーン印刷法、リソグラフィ技術等、使用する材料に依存して適宜選択された方法にて形成することができる。
平面型表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)にあっては、第1電極(カソード電極)及び第2電極(ゲート電極)に印加された電圧によって生じた強電界が電子放出部に加わる結果、量子トンネル効果により電子放出部から電子が放出される。そして、この電子は、アノードパネルに設けられたアノード電極によってアノードパネルへと引き付けられ、蛍光体層に衝突する。そして、蛍光体層への電子の衝突の結果、蛍光体層が発光し、画像として認識することができる。
冷陰極電界電子放出表示装置において、カソード電極はカソード電極制御回路に接続され、ゲート電極はゲート電極制御回路に接続され、アノード電極はアノード電極制御回路に接続されている。尚、これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。実動作時、アノード電極制御回路の出力電圧vAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルトとすることができる。あるいは又、アノードパネルと電子放出パネルとの間の距離をd(但し、0.5mm≦d≦10mm)としたとき、vA/d(単位:キロボルト/mm)の値は、0.5以上20以下、好ましくは1以上10以下、一層好ましくは5以上10以下を満足することが望ましい。
冷陰極電界電子放出表示装置の実動作時、カソード電極に印加する電圧vC及びゲート電極に印加する電圧vGに関しては、階調制御方式として電圧変調方式を採用した場合、
(1)カソード電極に印加する電圧vCを一定とし、ゲート電極に印加する電圧vGを変化させる方式
(2)カソード電極に印加する電圧vCを変化させ、ゲート電極に印加する電圧vGを一定とする方式
(3)カソード電極に印加する電圧vCを変化させ、且つ、ゲート電極に印加する電圧vGも変化させる方式がある。
電子放出パネルとアノードパネルとを周縁部において接合するが、接合は接着層を用いて行ってもよいし、あるいは、ガラスやセラミックス等の絶縁剛性材料から成る枠体と接着層とを併用して行ってもよい。枠体と接着層とを併用する場合には、枠体の高さを適宜選択することにより、接着層のみを使用する場合に比べ、電子放出パネルとアノードパネルとの間の対向距離をより長く設定することが可能である。尚、接着層の構成材料としては、フリットガラスが一般的であるが、融点が120〜400゜C程度の所謂低融点金属材料を用いてもよい。係る低融点金属材料としては、In(インジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、Sn95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点381゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)を例示することができる。
電子放出パネルとアノードパネルと枠体の三者を接合する場合、三者を同時に接合してもよいし、あるいは、第1段階で電子放出パネル又はアノードパネルのいずれか一方と枠体とを接合し、第2段階で電子放出パネル又はアノードパネルの他方と枠体とを接合してもよい。三者同時接合や第2段階における接合を高真空雰囲気中で行えば、電子放出パネルとアノードパネルによって挟まれた空間(より具体的には、電子放出パネルとアノードパネルと枠体と接着層とにより囲まれた空間であり、以下、単に、空間と呼ぶ場合がある)は、接合と同時に真空となる。あるいは、三者の接合終了後、空間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大気であっても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガスであってもよい。
排気を行う場合、排気は、電子放出パネル及び/又はアノードパネルに予め接続されたチップ管を通じて行うことができる。チップ管は、典型的にはガラス管を用いて構成され、電子放出パネル及び/又はアノードパネルの無効領域(冷陰極電界電子放出表示装置としての実用上の機能を果たす中央部の表示領域である有効領域を額縁状に包囲する領域)に設けられた貫通部の周囲に、フリットガラス又は上述の低融点金属材料を用いて接合され、空間が所定の真空度に達した後、熱融着によって封じ切られる。尚、封じ切りを行う前に、冷陰極電界電子放出表示装置全体を一旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出させることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除去することができるので好適である。
ここで、空間は真空となっているので、アノードパネルと電子放出パネルとの間にスペーサを配設しておかないと、大気圧によって平面型表示装置が損傷を受けてしまう。
スペーサは、例えばセラミックスやガラスから構成することができる。スペーサをセラミックスから構成する場合、セラミックスとして、ムライトやアルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ジルコニア、コーディオライト、硼珪酸塩バリウム、珪酸鉄、ガラスセラミックス材料、これらに、酸化チタンや酸化クロム、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化ニッケルを添加したもの等を例示することができる。この場合、所謂グリーンシートを成形して、グリーンシートを焼成し、係るグリーンシート焼成品を切断することによってスペーサを製造することができる。また、スペーサを構成するガラスとして、ソーダライムガラスを挙げることができる。スペーサは、例えば、隔壁と隔壁との間に挟み込んで固定すればよく、あるいは又、例えば、アノードパネルにスペーサ保持部を形成し、スペーサ保持部によって固定すればよい。
尚、スペーサの表面にも、アノード電極において説明したと同様に、抵抗体膜を形成してもよいし、前述した薄膜構成材料から成るスペーサ被覆層を形成してもよい。ここで、スペーサ被覆層の厚さとして、1nm乃至20nmを例示することができる。あるいは又、スペーサ被覆層のシート抵抗値として1×104Ω・m以上を例示することができる。更には、スペーサ被覆層の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法といった各種のPVD法;各種のCVD法等を挙げることができる。
平面型表示装置には、空間に連通し、内部にゲッターが配置されたゲッター室が備えられていることが望ましい。これによって、空間に放出されたガスをゲッターで捕捉することができ、空間における真空度の劣化を防止することができる。ゲッターを構成するゲッター材料として、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、Zr−Ni合金、Ti−Zr−V−Fe合金、Ti−Zr−Al合金、Ti−Mn−V合金、カーボンファイバー及びグラファイトから成る群から選択された少なくとも1種類の、所謂非蒸発型のゲッター材料;バリウム(Ba)、Ba−Alといった、所謂蒸発型のゲッター材料を挙げることができる。尚、非蒸発型のゲッター材料と蒸発型のゲッター材料を併用することもできる。
本発明にあっては、ガスを吸着し易い第2電極の露出した部分の表面は、第2電極を構成する材料のガス吸着能よりも低いガス吸着能を有する薄膜によって被覆されているので、電子放出部を備えた電子放出パネルに中性ガスや陽イオンが衝突しても、電子放出パネルを構成する第2電極からガスが電子放出パネルとアノードパネルによって挟まれた空間に放出されることを抑制することができる。その結果、電子放出部の電子放出特性の変化やバラツキ発生を抑えることができ、安定した高品質の、しかも、経時変化が少なく、均一性の高い画像を表示し得る平面型表示装置を提供することができる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の電子放出パネル及び平面型表示装置に関する。具体的には、実施例1における平面型表示装置は、冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する)である。
模式的な一部端面図を図1に示すように、実施例1の表示装置は、電子放出パネル(以下、カソードパネルCPと呼ぶ場合がある)と、アノード電極24及び蛍光体層22が設けられたアノードパネルAPとが、それらの周縁部で接合され、電子放出パネル(カソードパネルCP)とアノードパネルAPによって挟まれた空間が真空状態(圧力:例えば10-3Pa以下)となっている平面型表示装置である。尚、カソードパネルCP及びアノードパネルAPを分解したときのカソードパネルCPとアノードパネルAPの一部分の模式的な分解斜視図は、後述する薄膜が図示されていないことを除き、図16に示したと同様である。
そして、電子放出パネル(カソードパネルCP)は、
(A)支持体10、
(B)支持体10上に形成され、第1の方向(図1にX方向にて示す)に延びる複数の帯状の第1電極(以下、カソード電極11と呼ぶ場合がある)、
(C)支持体10及び第1電極(カソード電極11)上に設けられた絶縁層12上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向(図1にY方向にて示す)に延びる複数の帯状の第2電極(以下、ゲート電極13と呼ぶ場合がある)、並びに、
(D)第1電極(カソード電極11)と第2電極(ゲート電極13)とが重複する重複部分(電子放出領域EAと呼ぶ場合がある)に設けられ、第1電極(カソード電極11)及び第2電極(ゲート電極13)への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部15、
を具備している。
ここで、実施例1にあっては、第1電極(カソード電極11)、絶縁層12、第2電極(ゲート電極13)、及び、電子放出部15によって、スピント型の冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と呼ぶ)が構成されている。即ち、スピント型電界放出素子は、
(a)支持体10に形成されたカソード電極11、
(b)支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、
(c)絶縁層12上に形成されたゲート電極13、
(d)ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14Aと、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)、及び、
(e)開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された円錐形の電子放出部15、
から構成されている。
アノードパネルAPは、基板20、並びに、この基板20上に形成された蛍光体層22(カラー表示の場合、赤色発光蛍光体層22R、緑色発光蛍光体層22G、青色発光蛍光体層22B)、及び、蛍光体層22を覆うアノード電極24から構成されている。即ち、アノードパネルAPは、より具体的には、基板20、基板20上に形成された隔壁21と隔壁21との間の基板20上に形成され、多数の蛍光体粒子から成る蛍光体層22(赤色発光蛍光体層22R、緑色発光蛍光体層22G、青色発光蛍光体層22B)、及び、蛍光体層22上に形成されたアノード電極24を備えている。アノード電極24は、有効領域を覆う薄い1枚のシート状であり、アノード電極制御回路33に接続されている。アノード電極24は、厚さ約70nmのアルミニウム(Al)から成り、隔壁21及び蛍光体層22を覆う状態で設けられている。蛍光体層22と蛍光体層22との間であって、隔壁21と基板20との間には、表示画像の色濁り、光学的クロストークの発生を防止するために、光吸収層(ブラックマトリックス)23が形成されている。
また、カソードパネルCPとアノードパネルAPとの間には、アルミナ(Al23,純度99.8%)から成るスペーサ40が配置されている。
隔壁21とスペーサ40と蛍光体層22の配置状態の一例を模式的に図7〜図12に示す。尚、図1に示すアノードパネルAPの模式的な一部端面図における蛍光体層等の配列を、図8あるいは図10に示す構成としている。また、図7〜図12においてはアノード電極の図示を省略している。隔壁21の平面形状としては、格子形状(井桁形状)、即ち、1サブピクセルに相当する、例えば平面形状が略矩形の蛍光体層22の四方を取り囲む形状(図7、図8、図9、図10参照)、あるいは、略矩形の(あるいは帯状の)蛍光体層22の対向する二辺と平行に延びる帯状形状を挙げることができる(図11及び図12参照)。尚、図11に示す蛍光体層22にあっては、蛍光体層22R,22G,22Bを、図11の上下方向に延びる帯状とすることもできる。隔壁21の一部は、スペーサ40を保持するためのスペーサ保持部25としても機能する。
実施例1の表示装置において、カソード電極11はカソード電極制御回路31に接続され、ゲート電極13はゲート電極制御回路32に接続され、アノード電極24はアノード電極制御回路33に接続されている。これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。表示装置の実動作時、アノード電極制御回路33の出力電圧vAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルトとすることができる。一方、表示装置の実動作時、カソード電極11に印加する電圧vC及びゲート電極13に印加する電圧vGに関しては、
(1)カソード電極11に印加する電圧vCを一定とし、ゲート電極13に印加する電圧vGを変化させる方式
(2)カソード電極11に印加する電圧vCを変化させ、ゲート電極13に印加する電圧vGを一定とする方式
(3)カソード電極11に印加する電圧vCを変化させ、且つ、ゲート電極13に印加する電圧vGも変化させる方式
のいずれを採用してもよい。
表示装置の実動作時、カソード電極11には相対的に負電圧がカソード電極制御回路31から印加され、ゲート電極13には相対的に正電圧がゲート電極制御回路32から印加され、アノード電極24にはゲート電極13よりも更に高い正電圧がアノード電極制御回路33から印加される。係る表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード電極11にカソード電極制御回路31から走査信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32からビデオ信号を入力する。尚、カソード電極11にカソード電極制御回路31からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32から走査信号を入力してもよい。カソード電極11とゲート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき電子放出部15から電子が放出され、この電子がアノード電極24に引き付けられ、アノード電極24を通過して蛍光体層22に衝突する。その結果、蛍光体層22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加される電圧vG、及びカソード電極11に印加される電圧vCによって制御される。
そして、少なくとも、第2電極(ゲート電極13)の露出した部分の表面は[実施例1にあっては、より具体的には、第2電極(ゲート電極13)の露出した部分の表面、第2電極(ゲート電極13)と第2電極(ゲート電極13)との間に位置する絶縁層12の部分、及び、電子放出部15]は、薄膜50によって被覆されている。ここで、薄膜を構成する材料(薄膜構成材料)のガス吸着能は、第2電極(ゲート電極13)を構成する材料のガス吸着能よりも低い。具体的には、薄膜50は、カーボン系材料、より具体的には、第2電極(ゲート電極13)の表面上における厚さが5nm、電気抵抗値2.5×103Ω・m-2のアモルファスカーボンから成り、第2電極(ゲート電極13)を構成する材料は遷移金属の一種であるクロム(Cr)であり、電子放出部15を構成する材料は遷移金属の一種であるモリブデン(Mo)である。
薄膜構成材料であるアモルファスカーボンのCO2ガスのガス吸着能と、第2電極(ゲート電極13)を構成する材料であり、遷移金属の一種であるクロム(Cr)のCO2ガスのガス吸着能を調べた結果である等温吸着線を、図5に示す。尚、図5において、横軸は平衡圧(単位:任意)であり、縦軸はCO2ガス吸着量(単位:任意)であり、点線「C」はアモルファスカーボンの等温吸着線を示し、実線「Cr」はクロム(Cr)の等温吸着線を示す。図5からも、薄膜構成材料であるアモルファスカーボンのガス吸着能は、第2電極(ゲート電極13)を構成する材料であり、遷移金属の一種であるクロム(Cr)のガス吸着能よりも低い。尚、O2ガス及びCOガスについても同様な傾向を示した。更には、遷移金属の一種であるモリブデン(Mo)に関しても、同様な傾向が得られた。
以下、実施例1の平面型表示装置の組立方法を説明する。
[工程−100]
先ず、スピント型電界放出素子を製造する。このスピント型電界放出素子は、基本的には、円錐形の電子放出部15を金属材料の垂直蒸着により形成する方法によって得ることができる。即ち、ゲート電極13に設けられた第1開口部14Aに対して蒸着粒子は垂直に入射するが、第1開口部14Aの開口端付近に形成されるオーバーハング状の堆積物による遮蔽効果を利用して、第2開口部14Bの底部に到達する蒸着粒子の量を漸減させ、円錐形の堆積物である電子放出部15を自己整合的に形成する。ここでは、不要なオーバーハング状の堆積物の除去を容易とするために、ゲート電極13及び絶縁層12上に剥離層18を予め形成しておく方法について説明する。尚、電界放出素子の製造方法を説明するための図面においては、1つの電子放出部のみを図示した。
[工程−100A]
先ず、例えばガラス基板から成る支持体10の上に、例えばポリシリコンから成るカソード電極用導電材料層をプラズマCVD法にて成膜した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づきカソード電極用導電材料層をパターニングして、帯状のカソード電極11を形成する。その後、全面にSiO2から成る絶縁層12をCVD法にて形成する。
[工程−100B]
次に、絶縁層12上に、ゲート電極用導電材料層(例えば、クロム層)をスパッタリング法にて成膜し、次いで、ゲート電極用導電材料層をリソグラフィ技術及びドライエッチング技術にてパターニングすることによって、クロム(Cr)から成り、帯状のゲート電極13を得ることができる。帯状のカソード電極11は、図面の紙面左右方向に延び、帯状のゲート電極13は、図面の紙面垂直方向に延びている。
ゲート電極13を、真空蒸着法等のPVD法、CVD法、電気メッキ法や無電解メッキ法といったメッキ法、スクリーン印刷法、レーザアブレーション法、ゾル−ゲル法、リフトオフ法等の公知の薄膜形成と、必要に応じてエッチング技術との組合せによって形成してもよい。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、例えば帯状のゲート電極を形成することが可能である。
[工程−100C]
その後、再びレジスト層を形成し、エッチングによってゲート電極13に第1開口部14Aを形成し、更に、絶縁層に第2開口部14Bを形成し、第2開口部14Bの底部にカソード電極11を露出させた後、レジスト層を除去する。こうして、図13の(A)に示す構造を得ることができる。
[工程−100D]
次に、支持体10を回転させながらゲート電極13上を含む絶縁層12上にニッケル(Ni)を斜め真空蒸着することにより、剥離層18を形成する(図13の(B)参照)。このとき、支持体10の法線に対する蒸着粒子の入射角を十分に大きく選択することにより(例えば、入射角65度〜85度)、第2開口部14Bの底部にニッケルを殆ど堆積させることなく、ゲート電極13及び絶縁層12の上に剥離層18を形成することができる。剥離層18は、第1開口部14Aの開口端から庇状に張り出しており、これによって第1開口部14Aが実質的に縮径される。
[工程−100E]
次に、全面に例えば導電材料としてモリブデン(Mo)を垂直蒸着する(入射角3度〜10度)。このとき、図14の(A)に示すように、剥離層18上でオーバーハング形状を有する導電材料層19が成長するに伴い、第1開口部14Aの実質的な直径が次第に縮小されるので、第2開口部14Bの底部において堆積に寄与する蒸着粒子は、次第に第1開口部14Aの中央付近を通過するものに限られるようになる。その結果、第2開口部14Bの底部には円錐形の堆積物が形成され、この円錐形の堆積物が電子放出部15となる。
[工程−100F]
その後、図14の(B)に示すように、リフトオフ法にて剥離層18をゲート電極13及び絶縁層12の表面から剥離し、ゲート電極13及び絶縁層12の上方の導電材料層19を選択的に除去する。次いで、絶縁層12に設けられた第2開口部14Bの側壁面を等方的なエッチングによって後退させることが(図14の(C)参照)、ゲート電極13の開口端部を露出させるといった観点から、好ましい。尚、等方的なエッチングは、ケミカルドライエッチングのようにラジカルを主エッチング種として利用するドライエッチング、あるいはエッチング液を利用するウェットエッチングにより行うことができる。エッチング液としては、例えば49%フッ酸水溶液と純水の1:100(容積比)混合液を用いることができる。こうして、スピント型電界放出素子を得ることができる。
[工程−100G]
次に、薄膜50を形成すべきでないカソードパネルCPの部分をレジスト層(図示せず)で覆う。そして、レジスト層で覆われていないカソードパネルCPの全面に、第2電極(ゲート電極13)の表面上における厚さが5nmとなるように、カーボン系材料、より具体的には、アモルファスカーボンから成る薄膜50を、DC型スパッタリング装置を用いて、スパッタリング法に基づき、支持体10に対して垂直方向から堆積させる。尚、この工程において、電子放出部15も薄膜50によって覆われる。薄膜50の厚さを5nmと薄くし、しかも、支持体10に対して垂直方向から薄膜50を堆積させ、更には、絶縁層12に設けられた第2開口部14Bの側壁面を等方的なエッチングによって後退させているので、薄膜50によってゲート電極13とカソード電極11とが短絡することは無い。
こうして、電子を放出する電子放出源に相当する電界放出素子が支持体10に複数、形成されて成るカソードパネルCPを得ることができる。一方、電子放出源(具体的には、スピント型電界放出素子)から放出された電子が衝突する蛍光体層22及びアノード電極24が基板20に形成されて成るアノードパネルAPとを準備する。
[工程−110]
そして、表示装置の組み立てを行う。具体的には、アノードパネルAPの有効領域に設けられたスペーサ保持部25にスペーサ40を取り付け、蛍光体層22と電子放出領域EAとが対向するようにアノードパネルAPとカソードパネルCPとを配置し、アノードパネルAPとカソードパネルCP(より具体的には、基板20と支持体10)とを、セラミックスやガラスから作製された枠体26を介して、周縁部において接合する。接合に際しては、枠体26とアノードパネルAPとの接合部位、及び、枠体26とカソードパネルCPとの接合部位にフリットガラスを塗布し、アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体26とを貼り合わせ、予備焼成にてフリットガラスを乾燥した後、約450゜Cで10〜30分の本焼成を行う。その後、アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体26とフリットガラス(図示せず)とによって囲まれた空間を貫通孔(図示せず)及びチップ管(図示せず)を通じて排気し、空間の圧力が10-5Pa程度に達した時点で、チップ管を加熱溶融により封じ切る。このようにして、アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体26とに囲まれた空間を真空にすることができる。
あるいは又、例えば、枠体とアノードパネルAPとカソードパネルCPとの貼り合わせを高真空雰囲気中で行ってもよい。あるいは又、表示装置の構造に依っては、枠体無しで、接着層のみによってアノードパネルAPとカソードパネルCPとを貼り合わせてもよい。その後、必要な外部回路との配線接続を行い、実施例1の表示装置を完成させる。尚、表示装置の無効領域に、別途、ゲッター室(図示せず)を配置しておき、このゲッター室内にBa蒸発型ゲッター(図示せず)が設置されている点は、従来の表示装置と同様である。
従来の技術にあっては、電子放出部を備えた電子放出パネル(カソードパネルCP)に中性ガスや陽イオンが衝突する結果、第2電極であるゲート電極13から、更には、絶縁層12からのガスの放出によって、電子放出部15へガスが吸着し、当初は均一な電子放出分布を有していた表示装置にあっても、時間の経過と共に電子放出部15の電子放出特性が変化し、あるいは、ばらつき、電子放出分布が不均一な分布となる(図6における従来例に関する模式図参照)。一方、実施例1にあっては、第2電極であるゲート電極13は、更には、絶縁層12は、薄膜50によって被覆されているので、中性ガスや陽イオンの衝突に起因して第2電極であるゲート電極13や絶縁層12からガスが放出されることを抑制することができる。それ故、電子放出部15へガスが吸着することを抑制できる。しかも、電子放出部15も薄膜50で被覆されているので、電子放出部15へガスが吸着することを一層確実に抑制することができる。その結果、当初、均一な電子放出分布を有していた表示装置は、時間が経過しても、電子放出部15の電子放出特性に変化やバラツキが生じ難く、均一な電子放出分布を維持することが可能となる(図6における実施例1に関する模式図参照)。従って、電子放出部の電子放出特性の変化やバラツキ発生を抑えることができ、安定した高品質の、しかも、経時変化が少なく、均一性の高い画像を表示し得る平面型表示装置を提供することができる。
尚、実施例1にあっては、電子放出部を備えた電子放出パネルに中性ガスや陽イオンが衝突してガスが発生したとしても、ガス発生量は僅かであり、この発生ガスは、表示装置の内部表面における衝突及び脱離を繰り返して最終的にはゲッターに吸収される。従来の技術にあっては、ガス発生量が多く、この発生ガスは、表示装置の内部表面における衝突及び脱離を繰り返して最終的にゲッターに一部が吸収されるものの、かなりの部分は電子放出部15に吸着されてしまう。
実施例2は、実施例1の変形である。模式的な一部端面図を図2に示すように、実施例2においては、第1電極(カソード電極11)と第2電極(ゲート電極13)とが重複する重複部分である電子放出領域EAに設けられた電子放出部を取り囲むように(より具体的には、電子放出領域EAを取り囲むように)、層間絶縁層17を介して、第2電極(ゲート電極13)及び絶縁層12の上方には収束電極16が形成されている。そして、収束電極16の表面は、実施例1と同じ薄膜50によって被覆されている。ここで、実施例1と同様に、薄膜構成材料のガス吸着能は、収束電極を構成する材料(具体的には、クロム)のガス吸着能よりも低い。実施例2にあっては、具体的には、電子放出部の全てを1つ(1枚)の収束電極16で取り囲む構成としており、これによって、全ての電子放出部に共通の収束効果を及ぼすことができる。
尚、収束電極16を設ける場合、[工程−100B]と同様の工程に続き、ゲート電極13及び絶縁層12の上に更に層間絶縁層17を設け、層間絶縁層17上に収束電極16を設ければよい。具体的には、例えば、[工程−100B]と同様の工程において絶縁層12上に帯状のゲート電極13を形成した後、全面に層間絶縁層17を形成し、次いで、層間絶縁層17上にパターニングされた収束電極16を形成した後、収束電極16、層間絶縁層17に第3開口部を設け、更に、ゲート電極13に第1開口部14Aを設けるといった[工程−100C]と同様の工程を行えばよい。尚、収束電極のパターニングに依存して、1又は複数の電界放出素子、あるいは、1又は複数の画素に対応する収束電極ユニットが集合した形式の収束電極とすることもできる。
また、[工程−100G]と同様の工程において、薄膜50を形成すべきでないカソードパネルCPの部分をレジスト層(図示せず)で覆う。そして、レジスト層で覆われていないカソードパネルCPの全面に、第2電極(ゲート電極13)の表面上における厚さが5nmとなるように、カーボン系材料、より具体的には、アモルファスカーボンから成る薄膜50を、DC型スパッタリング装置を用いて、スパッタリング法に基づき、支持体10に対して垂直方向から堆積させる。尚、この工程において、収束電極16及び電子放出部15も薄膜50によって覆われる。薄膜50の厚さを5nmと薄くし、しかも、支持体10に対して垂直方向から薄膜50を堆積させ、更には、絶縁層12に設けられた第2開口部14Bの側壁面を等方的なエッチングによって後退させているので、薄膜50によって、ゲート電極13とカソード電極11とが短絡することは無いし、収束電極16とゲート電極13とが短絡することも無い。
実施例3も、実施例1の変形である。模式的な一部端面図を図3に示すように、実施例3における電子放出パネル(カソードパネルCP)は、実施例1における電子放出パネル(カソードパネルCP)と同じ構成、構造を有する。実施例3が実施例1と相違する点は、アノードパネルAPを構成するアノード電極24の表面がアノード電極被覆層51によって覆われ、スペーサ40の側面がスペーサ被覆層52によって覆われている点にある。
尚、アノード電極24には、例えば、5キロボルト乃至15キロボルト程度の電圧が印加される。そして、スペーサ40の高さは、耐電圧を考慮して0.5mm乃至3mm程度とされている。ところで、スペーサ40の下端部分は、図示していないが、定電圧源に(収束電極16が設けられている場合には収束電極16に)接続されている。また、スペーサ40の上端部分はアノード電極24と接している。従って、スペーサ40全体の電気抵抗が小さい場合、スペーサ40における消費電力が大きくなる。従って、スペーサ40全体の電気抵抗は出来るだけ高抵抗であることが望ましい。それ故、スペーサ被覆層52のシート抵抗値は、1×104Ω・m以上であることが望ましく、具体的には、スペーサ被覆層52をダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)から形成することが望ましい。尚、スペーサ被覆層52の厚さは、1nm乃至20nmであればよい。ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)等のカーボン系材料は、2次電子放出率(SEEC)が小さいので、スペーサ40の帯電防止膜としても最適である。
一方、アノード電極被覆層51に関しては、ガス吸着特性の観点からは、膜厚や抵抗値に特段の制約は無い。しかしながら、アノード電極被覆層51の膜厚を厚くすると、電子線のエネルギー損失による輝度低下を引き起こす。従って、輝度の観点から、アノード電極被覆層51の膜厚は、1nm乃至20nm程度と薄い方が望ましい。一方、後方散乱電子による色純度の低下あるいはスペーサ40付近における色度ムラの観点からは、アノード電極被覆層51の膜厚は、50nm乃至200nm程度が適当である。実施例3にあっては、アノード電極被覆層51の膜厚を150nmとした。
実施例4は、実施例2の変形であり、実施例2と実施例3との組合せに関する。模式的な一部端面図を図4に示すように、実施例4における電子放出パネル(カソードパネルCP)は、実施例2における電子放出パネル(カソードパネルCP)と同じ構成、構造を有する。実施例4が実施例2と相違する点は、アノードパネルAPを構成するアノード電極24の表面、及び、スペーサ40の側面のそれぞれが、実施例3と同様に、アノード電極被覆層51、及び、スペーサ被覆層52によって覆われている点にある。実施例3において説明したこの相違点を除き、実施例4の電子放出パネル及び平面型表示装置は、実施例2において説明した電子放出パネル及び平面型表示装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
以上、本発明を、好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明した平面型表示装置、電子放出パネル、カソードパネルやアノードパネル、冷陰極電界電子放出表示装置や冷陰極電界電子放出素子の構成、構造は例示であり、適宜変更することができるし、アノードパネルやカソードパネル、冷陰極電界電子放出表示装置や冷陰極電界電子放出素子の製造方法も例示であり、適宜変更することができる。更には、アノードパネルやカソードパネルの製造において使用した各種材料も例示であり、適宜変更することができる。表示装置においては、専らカラー表示を例にとり説明したが、単色表示とすることもできる。
電界放出素子においては、専ら1つの開口部に1つの電子放出部が対応する形態を説明したが、電界放出素子の構造に依っては、1つの開口部に複数の電子放出部が対応した形態、あるいは、複数の開口部に1つの電子放出部が対応する形態とすることもできる。あるいは又、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、絶縁層に係る複数の第1開口部に連通した複数の第2開口部を設け、1又は複数の電子放出部を設ける形態とすることもできる。
表面伝導型電界放出素子と通称される電界放出素子から電子放出部を構成することもできる。この表面伝導型電界放出素子は、例えばガラスから成る支持体上に酸化錫(SnO2)、金(Au)、酸化インジウム(In23)/酸化錫(SnO2)、カーボン、酸化パラジウム(PdO)等の導電材料から成り、微小面積を有し、所定の間隔(ギャップ)を開けて配された一対の対向電極がマトリックス状に形成されて成る。対向電極を跨るように炭素薄膜が形成されている。そして、一対の対向電極の内の一方の対向電極に行方向配線あるいは列方向配線(第1電極)が接続され、一対の対向電極の内の他方の対向電極に列方向配線あるいは行方向配線(第2電極)が接続された構成を有する。第1電極及び第2電極から一対の対向電極に電圧を印加することによって、ギャップを挟んで向かい合った炭素薄膜に電界が加わり、炭素薄膜から電子が放出される。係る電子をアノードパネル上の蛍光体層に衝突させることによって、蛍光体層が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。あるいは又、金属/絶縁膜/金属型素子から電子放出源を構成することもできる。
図1は、実施例1の電子放出パネル及び平面型表示装置であるカソードパネル及び冷陰極電界電子放出表示装置の模式的な一部端面図である。 図2は、実施例2の電子放出パネル及び平面型表示装置であるカソードパネル及び冷陰極電界電子放出表示装置の模式的な一部端面図である。 図3は、実施例3の電子放出パネル及び平面型表示装置であるカソードパネル及び冷陰極電界電子放出表示装置の模式的な一部端面図である。 図4は、実施例4の電子放出パネル及び平面型表示装置であるカソードパネル及び冷陰極電界電子放出表示装置の模式的な一部端面図である。 図5は、薄膜を構成する材料であるアモルファスカーボンのCO2ガスのガス吸着能と、第2電極を構成する材料であるクロム(Cr)のCO2ガスのガス吸着能を調べた結果である等温吸着線を示すグラフである。 図6は、実施例1の冷陰極電界電子放出表示装置及び従来の冷陰極電界電子放出表示装置において、時間の経過に依る電子放出分布の変化状態を模式的に示す図である。 図7は、冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体層の配置を模式的に示す配置図である。 図8は、冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体層の配置を模式的に示す配置図である。 図9は、冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体層の配置を模式的に示す配置図である。 図10は、冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体層の配置を模式的に示す配置図である。 図11は、冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体層の配置を模式的に示す配置図である。 図12は、冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体層の配置を模式的に示す配置図である。 図13の(A)及び(B)は、スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図である。 図14の(A)、(B)及び(C)は、図13の(B)に引き続き、スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図である。 図15は、スピント型冷陰極電界電子放出素子を有する従来の冷陰極電界電子放出表示装置の概念的な一部端面図である。 図16は、従来の冷陰極電界電子放出表示装置を構成するカソードパネル及びアノードパネルを分解したときのカソードパネルとアノードパネルの一部分の模式的な分解斜視図である。 図17は、冷陰極電界電子放出表示装置を構成するカソードパネルに電子ビームを照射したときのカソードパネルからのガス放出量を四重極質量分析装置にて測定した結果の一例を示すグラフである。 図18は、電子放出部をMoから構成したスピント型冷陰極電界電子放出素子を備えた冷陰極電界電子放出表示装置におけるガス吸着と電子放出部の電子放出特性の変化の関係を示すグラフである。
符号の説明
CP・・・電子放出パネル(カソードパネル)、AP・・・アノードパネル、10・・・支持体、11・・・カソード電極、12・・・絶縁層、13・・・ゲート電極、14,14A,14B・・・開口部、15・・・電子放出部、16・・・収束電極、17・・・層間絶縁層、18・・・剥離層、19・・・導電材料層、20・・・基板、21・・・隔壁、22,22R,22G,22B・・・蛍光体層、23・・・ブラックマトリックス、24・・・アノード電極、25・・・スペーサ保持部、26・・・枠体、31・・・カソード電極制御回路、32・・・ゲート電極制御回路、33・・・アノード電極制御回路、40・・・スペーサ、50・・・薄膜、51・・・アノード電極被覆層、52・・・スペーサ被覆層

Claims (6)

  1. (A)支持体、
    (B)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数の帯状の第1電極、
    (C)支持体及び第1電極上に設けられた絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びる複数の帯状の第2電極、並びに、
    (D)第1電極と第2電極とが重複する重複部分に設けられ、第1電極及び第2電極への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部、
    を少なくとも具備し、
    更に、電子放出部を取り囲むように、層間絶縁層を介して、第2電極及び絶縁層の上方には収束電極が形成されており、
    少なくとも、第2電極の露出した部分の表面及び収束電極の表面は、薄膜によって被覆されており、
    薄膜を構成する材料のガス吸着能は、第2電極及び収束電極を構成する材料のガス吸着能よりも低く、
    第2電極の表面上における薄膜の厚さは、1nm乃至20nmであり、
    薄膜の比抵抗値は、1×10 -2 Ω・m乃至1×10 14 Ω・mである電子放出パネル。
  2. 第2電極と第2電極との間に位置する絶縁層の部分は、前記薄膜によって被覆されている請求項1に記載の電子放出パネル。
  3. 薄膜を構成する材料は、カーボン系材料である請求項1に記載の電子放出パネル。
  4. 第1電極、絶縁層、第2電極、電子放出部、及び、収束電極によって、冷陰極電界電子放出素子が構成されている請求項1に記載の電子放出パネル。
  5. 電子放出部は、前記薄膜によって被覆されている請求項4に記載の電子放出パネル。
  6. 電子放出パネルと、アノード電極及び蛍光体層が設けられたアノードパネルとが、それらの周縁部で接合され、電子放出パネルとアノードパネルによって挟まれた空間が真空状態となっている平面型表示装置であって、
    電子放出パネルは、
    (A)支持体、
    (B)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数の帯状の第1電極、
    (C)支持体及び第1電極上に設けられた絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びる複数の帯状の第2電極、並びに、
    (D)第1電極と第2電極とが重複する重複部分に設けられ、第1電極及び第2電極への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部、
    を少なくとも具備し、
    更に、電子放出部を取り囲むように、層間絶縁層を介して、第2電極及び絶縁層の上方には収束電極が形成されており、
    少なくとも、第2電極の露出した部分の表面及び収束電極の表面は、薄膜によって被覆されており、
    薄膜を構成する材料のガス吸着能は、第2電極及び収束電極を構成する材料のガス吸着能よりも低く、
    第2電極の表面上における薄膜の厚さは、1nm乃至20nmであり、
    薄膜の比抵抗値は、1×10 -2 Ω・m乃至1×10 14 Ω・mである平面型表示装置。
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