JP4222162B2 - 電界電子放出表示装置 - Google Patents
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電界電子放出表示装置(Field Emission Display :以下、「FED」という)に用いられる電界電子放出素子(以下、「電界放出素子」という。)は、カソード電極、ゲート電極とアノード電極の配置により、スピント型と一般に称される縦型構造のものと、ラテラル型、側面型や平面型と称される横型構造のエッジエミッタ型のものがある。
図10〜図13から明らかなように、スピント型FEDS10は、電子放出部S20が円錐状の電子放出源であるエミッタS20で構成されている。
アノード電極を蛍光体の色ごとに電気的に分離し、電子の照射位置を制御すれば放出電子の広がりに対する措置は軽減される。
しかし、蛍光体の発光輝度は、下記で表される。
L=(Va・ia・η・Du)/π
L:面輝度(cd/m2)、Va:アノード電圧(V)、
ia:蛍光体に照射される電流(A)、η:蛍光体の発光効率、
Du:デューティーサイクル、
発光輝度は、放出電子の蛍光体照射だけでなくアノード電圧と蛍光体の発光効率に比例するため、アノード電圧が高いほど高輝度が得られる。
また、蛍光体は、アノード電圧が高いほど発光効率は高く、又照射電流が多いほど発光効率は低い。そのため、アノード電圧の輝度への影響は著しい。
しかし、アノードを蛍光体の色ごとに電気的に分離する場合、10〜100μmの蛍光体と蛍光体の距離で電気的絶縁を保持しなければならず、10〜100μmの距離で電気的絶縁を保持できる電圧は、100〜1000Vが限界で、その結果効率的に高輝度を得ることは、製造には高度な技術を必要とし、製造コストも高くならざるを得ないものである。
すなわち、図11において、蛍光体S6Rを発光させようとした場合、放出電子e- が隣の蛍光体S6Gに照射されないように、放出電子e- の広がりを小さくする必要がある。特に、異なる色で発光する蛍光体(図11の場合緑色蛍光体S6G)に電子e- が照射された場合、色純度が落ち著しく品位を損なってしまう、混色現象が発生する。
放出電子e- の広がりを小さくするために、図12に示すような電子放出側プレートの表面に集束電極S14を設け、引き出し電圧よりマイナスの電界を設けることで広がりを防止するようにしたFEDがある。この形式のFEDは、図より明らかなように、蛍光体S6G側に位置する最右側のエミッタS20より放出される放出電子e- は、集束電極S14により放出方向が変更され、目的の蛍光体S6Rに衝突することになる。
しかし、これらの技術は装置性能に大きく左右される上に、その制御は、かなりの精度が要求され、容易ではない。即ち、微細化に伴うエミッタ電極の形状やゲート電極間距離のばらつきによって生ずるエミッタ毎の電子放出特性のばらつきは製造上避けることができないという問題点がある。特に、大画面のFEDを製造する場合には、大きな基板上にエミッタ電極を均一に形成することが困難であるため、エミッタ電極の配列が均一に形成されていない場合には、画面の位置により電界電子放出特性が均一でなくなり、画像を良好に表示することができず、均一な表示特性を得ることが困難であった。
(1)ホール形成工程
1μmレベルの丸状パターン(ホール)を均一(隣接するサブピクセル間のホール径差:0.1μm以下)に大面積に形成すること。
0.1μm以上ホール径差があると、図13に示されるような、左側のサブピクセルのエミッタの電子放出量と右側のサブピクセルのエミッタの電子放出量に差が存在すると、エミッタの電界集中の差により、輝度差が肉眼で識別されてしまう。
(2)蒸着工程
蒸着等の指向性の成膜方法を用い大面積にエミッタを形成すること。
指向性の成膜は成膜率を高くできないので長時間要する。また装置が大型化する。
(3)集束電極形成工程
図12に示される、集束電極を設けることにより、絶縁層成膜、集束電極成膜、レジストパターニング、エッチングの最低4工程の追加が必要となる。
電界放出素子100は、絶縁性の平面基板101、平面基板の表面に形成された二酸化シリコン薄膜よりなる台座102、102’、その表面に形成されたその先端が鋭角形状(鋸歯状に形成され、この突起部分から電子が放出される。)の電子放出突起部104を持つ導電性薄膜であるカソード電極103と、平面基板表面にカソード基板に対向して形成されたアノード電極105と、平面基板表面に電子放出突起部104においてカソード電極に自己整合的に形成されたゲート電極106から構成されている。
(1)絶縁性の二酸化シリコン等からなる平面基板101の表面に絶縁性薄膜107を形成する工程。
(2)絶縁性薄膜107の表面に台座形状のレジストパターン108を形成する工程。 (3)レジストパターン108をマスクとして、絶縁性薄膜107を逆テーパ状にエッチング加工し台座102、102’を形成する工程。
(4)レジストを除去した後アルミニウム薄膜109を平面基板の全面に方向性粒子ビーム法によりアルミニウム薄膜109を形成する工程。
(5)と、最後に、フォトプロセスによって導電性薄膜109をカソード電極103、ゲート電極106及びアノード電極105の形状にエッチング加工する工程。
三極管であるFED341は、積層構造のエミッタ314とゲート316、及び、透明な基板342上に積層された導電性薄膜からなるアノード343とを備えている。アノード343には低加速電子線用の蛍光体344が積層され、透明な基板342は、他方の基板312に対して適当な間隔で離間している。この基板312にはエミッタ314とゲート316とが積層されている。そして、透明な基板342の蛍光体344がゲート316に対向している。
カソード電極とゲート電極とを、絶縁体を介して積層できるから、カソード電極の縁部とゲート電極の縁部とを近接させることができ、上記カソード電極の縁部に電界を効率良く印加することができる。また、カソード電極の縁部を尖鋭化することで、その尖鋭化された先端のエッジエミッタから電界を効率良く集中させることができると記載されている。
電界放出素子401は、絶縁性基板406上に形成されてマトリックス状に配設され、所定の層構造を有してなるとともに、積層方向に穿設され、略矩形状に形成されている開口孔407(ウエル)を有し、この開口孔407から電子を放出する。
この電界放出素子401において、開口孔407は、第1の絶縁層412、第1のゲート電極413、第2の絶縁層414、カソード電極415、第3の絶縁層416及び第2のゲート電極417を貫通するとともに底面に補助電極411が露出するように穿設されることにより形成される。さらに、この電界放出素子401では、第1のゲート電極413がカソード電極415の開口縁より内方へ突出するように形成されている。
特許文献3に記載されている発明は、電子放出がエミッタ先端のみから行われる構造であるため、発光がポイント状になり所定の画素全面を均一に発光させることが困難なものであった。
また、特許文献4に記載されている発明は、集束性の向上は図れるものの構造が複雑化し、中型表示素子の商品化の障害となっていた。
そこで、構造が複雑でないエッジエミッタFED構造として次のような構造のものが検討されている。
エッジエミッタ型FED60は、支持体51上に、行(row)電極としてのゲート電極52、絶縁層53、列(column)電極としてのカソード電極54と、図示しない絶縁性パーシペーション55とが積層されて形成された電子を放出する電界放出素子50と、該素子50と対向して配設され、単一のアノード電極57が表示面全体に形成され、該アノード電極57に積層されている長方形状の赤色を発光する赤色蛍光体56R、それに隣り合って長方形状の緑色を発光する緑色蛍光体56G、さらに長方形状の青色を発光する青色蛍光体56Bを一組として略正方形状の画素63から形成され、この画素63が表示面全体に等ピッチでマトリックス状に配列されている。
そして、カソード側と、アノード側は、蛍光体56の長手方向とカソード電極54により構成されるエッジエミッタ58の長手方向を平行に配置するように構成されている。また、このFED60は、カソード電極部50と、アノード電極57との間には、図示しない複数のピラーを有し、このピラーは高度に真空状態とされたカソード基板とアノード基板との間を所定の間隔に維持する。
そして、ゲート電極52とカソード電極54との間に発生する電界により、カソード電極54から電子が放出され、放出された電子はカソード電極とアノード電極との間の電界により加速されて、アノード電極に形成された蛍光体56R、56G、56Bに衝突し、蛍光体を励起し、発光する。なお、カソード電極54の上面の絶縁性パーシペーション55は、アノード電極57との絶縁を保つためのものである。
このような電子放出部70を図17に示す赤色蛍光体56R、緑色蛍光体56G、青色蛍光体56Bの各々に配置して、三種の蛍光体56単位毎に1つの画素とされ、画素をマトリックス状に多数個を配列すれば平面ディスプレイ装置が得られる。
ここで、カソード電極は、エッジエミッタを構成し、各ウエルを電気的に接続させる機能を具備すれば良く、図20に示すように、単純なストライプ形状で画素ピッチ(e)972μmに対し、電子放出部の幅(d)34μm、長さ(g)692μm、(a)部10μmとしていた。
また、放出電子e- が隣接蛍光体に照射されないように、電子放出部70を小さくすると、例えば図18(a)においては3本のウエル59よって電子放出部70としているが、これを図18(b)のように一本のウエル59によって電子放出部70を小さくした場合、電子放出源が減り、電子放出量が少なくなり、したがって、高輝度を得ることができなかった。
電界強度はカソード・ゲート間の耐電圧、ドライバーの駆動耐電圧等により実用上の制限がある。従ってエッジエミッタの電子放出能力は実用上その稜線状のエッジ長に依存することになる。
しかし上記の構成では各画素の蛍光体面積に対しエッジエミッタ各素子のエッジ長が短く、グラフィクディスプレイで最低限用いられるDu=1/240程度のパルス幅では充分な電子放出量が得られず、アノード電圧を2kV〜5kVとしても充分な発光輝度が得られなかった。
そもそも、集束電極を持たず、アノード選択も行わないエッジエミッタにおいて電子軌道を考慮したFEDの検討はなされていなかった。
従って、発光輝度と色純度の両者を満足するエッジエミッタFEDを開発することは困難であった。
前記カソード電極細線部は、カソード電極の領域の色選択方向中心部に設けられているか、又は、カソード電極の色選択方向の両端部に設けられている。
また、前記カソード電極細線部は、ゲート電極が露出した領域を取り囲むように形成されているものとした。
図1は、本発明FEDの全体の構造を示し、(a)は全体構造の斜視図、(b)はA−A線の断面図、(c)はカソード電極部の一部拡大斜視図をそれぞれ示している。
赤色蛍光体6R、緑色蛍光体6G、青色蛍光体6Bの3つの蛍光体は、1つの画素(ピクセル)13とされ、画素13が多数マトリックス状に配置されて表示装置が構成されることになる。なお、個々の蛍光体6R、6G、6B(サブピクセルともいう。)は、これら蛍光体を所定の間隔を開けて横方向に並べた状態で1画素13を形成するため、縦長形状とされる。
カソード電極4の先端部であるエッジエミッタ8は、電源16(図4参照)により各電極に電圧が印可されると電子を放出するものである。
なお、カソード電極4の上面の絶縁性パーシペーション5は、アノード電極7との絶縁を保つためのものである。
図1、図2に示す電子放出部20はウエル9が1本のものとして示されているが、図18(a)に示されているような3本のウエル9を1つの電子放出領域とし、電子放出部20としてもよい。
そして、ゲート電極2とカソード電極4との間に発生する電界により、カソード電極4から電子が放出され、放出された電子は、アノード電極7に形成された蛍光体6R、6G、6Bに衝突し、蛍光体6は励起され、発光する。
まず第一点は、図2(a)に示されているように、色選択方向に放出される放出量の多い放出電子e- を集束させるために、色選択方向のカソード電極の幅aを広くし色選択方向の混色を防止するようにする。
色選択方向側のカソード電極幅aが広いと、周辺の電位におよぼす影響が増し、アノード・カソード間に電位分布を生じ電子軌道が曲げられて電子は広がりにくくなるため、色選択方向に放出される放出量の多い放出電子e- は、所定の蛍光体6に集束されて衝突し、蛍光体6を発光させ、その結果、混色が防止できることとなる。
色同色方向のカソード電極幅bを狭くすると、放出電子e- は、色同色方向に隣接する蛍光体6にも到達するが、色同色の蛍光体であるため、混色を生ずることはない。
そして、エミッタ部外側のカソード電極幅bを10μmまで狭めていくと縦方向(色同色方向)の発光範囲が広くなり、横方向(色選択方向)の発光幅が狭くなっていくという結果となった。
エミッタ部縦方向外側のカソード電極幅bを35μmと広げた場合はエミッタの周囲全体がマイナス電位で覆われて電子の逃げ場がないのに対し、カソード電極幅bを10μmと狭くした場合は縦方向のマイナス電位の幅が狭く、縦方向に電子が逃げて広がる事で横方向の発光幅が狭くなったためと考えられる。
図5は、カソード電極部15の平面図を示し、カソード電極4が蛍光体の色同色方向と平行な方向に伸び、カソード電極4の画素13に対応するカソード電極の画素領域13’と色同色方向の次の画素領域との間の画素外領域のカソード電極4の中心部分をカソード細線部14(色同色方向の幅をcとする。)として残し、他の部分の電極部分を除去し、層間絶縁層3を露出させ、更に、カソード電極のa部幅を広げた構造としたものである。その電極部の構造の平面図を、図2(c)に示す。
この構造は、従来構造において混色が生ずる場合でもカソード電極パターンを変更することのみによって、従来構造と同じ工程で製造し、混色防止が可能である。
図5(b)には、実験結果に基づく、色選択方向のカソード電極幅aと色同色方向のカソード電極幅bの比b/aと、ウエルの発光幅の関係を示すもので、アノード〜カソード間のパネルギャップ:1mm、アノード電圧2kV、カソード電圧0V、ゲート電圧140V、Du=1/60とし、実験を行った。発光幅はb/a=1の条件を基準として、その比で示してある。
b/aの比率に比例して発光幅は狭くなっており、b/a=0.4で、b/a=1の場合の発光幅の70%以下の発光幅となり、かなりの混色防止効果が得られていることが示されている。
なお、ここでウエルの長軸が縦方向のウエルを用いたが、長軸が横方向のウエルでも同様の効果が得られる。
なお、図5では、本発明の構造上の特徴である色選択方向のカソード電極幅aを広げた構造と、幅aに対し、色同色方向のカソード電極幅bを狭くし、細線部を設けた構造を組み合わせているが、色選択方向のカソード電極幅aを広げた構造であっても従来構造と比較し、混色防止効果を得ることができる。
実施例1の構造において、画素外領域の前記層間絶縁層3の露出部をカソード電極細線部14で囲まれた閉じた形状としたものである。図6(a)は、カソード電極画素領域13’と隣の画素領域の間の中心線部分まで図示したものである。色同色方向のカソード電極幅は、第1の実施例と同様幅bである。
実施例2は、カソード電極細線部14が隣の画素領域と2か所で接続されるので断線しづらく、層間絶縁層3の露出部のカソード電極も収束機能を果たすので平面的に見て斜め方向に放出電子e- が広がることも防止できる。
実施例1の構造において、画素外領域のカソード電極層4に加えて、層間絶縁層3も除去して、ゲート電極2を表面に露出させた構造としたものである。
実施例3は、ゲート電極2にカソード電極に対し常にプラス電位が印可されていることを利用したもので、放出電子e- をより積極的にカソード電極の長手方向に集束させることができるものである。
なお、本発明の製造方法は、カソード成膜のときのカソード電極のパターンを変えることを除けば、スピント型の製造手法と同様の薄膜加工工程である。
エッジエミッタのカソードとゲートの電圧振幅を比較すると、カソード電圧振幅の方がゲート電圧振幅より小さいので、カソードをデータ信号(垂直方向の信号線)とし、ゲートをスキャン信号とすることが一般的となる。
電子放出素子を製造するのに必要な高精度の加工が容易にできるエッジエミッタの特性を生かすため、集束電極等の付加的構造を用いずに隣接画素の混色を防止できるエッジエミッタ型FEDを実現する。
2 ゲート電極
3 層間絶縁層
4 カソード電極
5 絶縁性パーシペーション
6 蛍光体
7 アノード電極
8 エッジエミッタ
9 ウエル
10 FED
11 ゲート給電部
12 カソード給電部
13 画素(ピクセル)
13’ 画素13に対応するカソード電極の画素領域
14 カソード電極細線部
15 カソード電極部
16 電源部
20 電子放出部
Claims (7)
- 基板上に積層されたゲート電極と、
このゲート電極上に層間絶縁層を介して積層され、閉じた長方形状の開口部を形成しているエッジエミッタが形成されているカソード電極と、
前記開口部と前記ゲート電極との間に形成されている溝であるウエルとから形成されているカソード電極部とからなるエッジエミッタ型電界電子放出素子と、
色選択可能なように色選択方向に前記カソード電極と対応して設けられている各色の蛍光体と、
前記各色の蛍光体から一つの画素として形成されているアノード電極部と、
からなるエッジエミッタ型の電界電子放出表示装置において、
前記カソード電極は、色同色方向に連続して形成されいるとともに、色選択方向の開口部からの電極部分の幅を、色同色方向の開口部からの電極部分の幅より広くするように形成されている
ことを特徴とするエッジエミッタ型の電界電子放出表示装置。 - 前記画素に対応するカソード電極の色同色方向の画素領域の外の画素外領域にカソード電極細線部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のエッジエミッタ型の電界電子放出表示装置。
- 前記カソード電極細線部は、カソード電極の領域の色選択方向中心部に設けられているものであることを特徴とする請求項2に記載のエッジエミッタ型の電界電子放出表示装置。
- 前記カソード電極細線部は、カソード電極の色選択方向の両端部に設けられているものであることを特徴とする請求項2に記載のエッジエミッタ型の電界電子放出表示装置。
- 前記カソード電極細線部以外の前記画素外領域のカソード電極領域は、層間絶縁層を露出させた構造としたものであることを特徴とする請求項2に記載のエッジエミッタ型の電界電子放出素子。
- 前記カソード電極細線部以外の前記画素外領域のカソード電極領域は、ゲート電極を露出させた構造としたものであることを特徴とする請求項2に記載のエッジエミッタ型の電界電子放出表示装置。
- 前記カソード電極細線部は、ゲート電極が露出した領域を取り囲むように形成されているものであることを特徴とする請求項6に記載のエッジエミッタ型の電界電子放出表示装置。
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