ァシュヮガンダの葉抽出物による腫瘍細胞選択的増殖阻害 技術分野
[0001] 本発明は、インドのハーブであるァシュヮガンダ(Ashwagandha) (学名 Withania
2 mfa)の葉抽出物、前記抽出物を含む抗腫瘍作用を有する食品、栄養補助食 品、医薬品などの組成物、および p53活性ィ匕作用、テロメラーゼ阻害作用を有するァ シュヮガンダ葉抽出物の成分に関する。
背景技術
[0002] ァシュヮガンダ(学名 Withania somnifera)は、ナス科ウイザ-ァ属に属する、インド 亜大陸の乾燥地帯に普通に見られる常緑の灌木であり、インドの伝承医学であるァ ュルベーダで慣用されるハーブのひとつである。
ァシュヮガンダの抽出物を使用することにより、肉体的および精神的な健康増進、 各種疾患および有害な環境因子への防御、老化防止といった作用がもたらされると して古くから使用されてきた。このようなァシュヮガンダのヒトの健康に対する様々な有 用な作用について、予備実験程度ではある力 多くの研究がなされており、抗ストレ ス、抗炎症、抗腫瘍、抗酸化、解熱、鎮痛、抗関節炎、抗鬱、抗凝血、免疫調節、強 壮、心臓の保護、若返り、疲労回復などに効果のあることが示されている。
[0003] ァシュヮガンダの成分としては、アルカロイド類、ウイザノライド (withanolide)類と呼 ばれるステロイド性ラタトンが報告されて 、る。ウイザノライド類は以下の式 (I)の基本 骨格を有する。
[化 1] ノ ヽ z27
、υ一22 \、(T 6
、
、レ 9
( I ) "W i t hano l i de" ske l e t i
ウイザノライド類としては、 20j8—ヒドロキシー1 ォキソ一(22R)—ウイザ一 2, 5, 24 トリ エノライド、ウイザフェリン A(withaferine A)、ウイザノン(withanone)、ウイザノンの構造 異性体である 12- Deoxywithastramonolide、ウイザノライド A (withanolide A)、ウイザノ ライド。、及び 1 ォキソー5 β、6β エポキシ ウイザ 2—ェン 27 エトキシーオリド 等が挙げられる。ウイザフェリン Αはァシュヮガンダの根の抽出物の主要な構成成分 であり、抗癌作用を有するが、同時に正常細胞への毒性も強いことが知られている。 ( 非特許文献 22— 24)。いくつかのウイザノライド類ィ匕合物の構造を以下に示す。 ウイザフェリン A[5j8, 6 j8 -エポキシー4 j8 , 27—ジヒドロキシー1 ォキソウイザ 2, 24 ジェノライド、]
[化 2]
Withaferin A [5β, 6 -epoxy-4a, 27-dihydroxy-l-oxo i tha-2, 24 dienol iae]
12-Deoxywithastramonolide[6 , 7 αエポキシ 5 α, 27—ジヒドロキシ一 1—ォキソゥ ィザー 2, 24 ジエノライド]
12-Deoxywi thastramonol ide [6a, 7a-epoxy-5a, 27-dihydroxy-l-oxowi tha-2, 24 dienol ide]
ウイザノライド A [6 a, 7 aエポキシ 5 a, 20«-(R)ージヒドロキシ 1 ォキソウイザ一 2, 24 ジエノライド]
[化 4]
Withanolide A [6α, 7a-epoxy-5a, 20a- (Λ -d i hydr oxy-1 -oxowi tha-2, 24 dienol ide]
ウイザノン [6 α, 7 a—エポキシ 5, 17—ジヒドロキシ一 1 ォキソウイザ 2, 24 ジエノ ライド]
[化 5]
Wi t h anone [6a, 7a-epoxy-5 , 1 7-d i hydr oxy-l -oxowi t h a-2 , 24 d i eno l i de]
[0005] ァシュヮガンダの効能の分子的なメカニズムについての研究はあまり多くはないが、 例えば、免疫賦活活性は NOS誘導性のタンパク質発現の誘導によるものであろうとい われており(非特許文献 5、 12)、抗腫瘍活性は、少なくとも部分的には p34cdc2の発 現のダウンレギュレーションによるものであるといわれており(非特許文献 13)、 H 0
2 2 で誘導された細胞毒性および DNA損傷に対する保護効果は、抗酸化、フリーラジカ ル捕捉および解毒作用によるものとされる(非特許文献 14一 17)。ァシュヮガンダの 抗腫瘍活性についての根拠や作用メカニズムの多くは未解明である。
[0006] これらの研究はァシュヮガンダの植物体全体あるいは根の部分を用いて行われて いるものが大部分である。本明細書で記載するようなァシュヮガンダの葉の抽出物に 関する研究はほとんど行われて 、な ヽ(非特許文献 1一 11)。
[0007] 副作用の少な 、、癌だけを殺せるような特異性の高 ヽ抗腫瘍薬を見つけるために、 腫瘍細胞に特徴的な分子をはっきりさせ、その働きを直接制御できるような治療に結 びつけようとする研究動向が国際的にも中心になってきて!/、る。
[0008] 正常細胞においては、細胞分裂の回数は動物の種類や細胞の種類によってある 程度決まっており、例えば、胎児のヒト線維芽細胞で約 50— 80回である。この回数は 年齢が高いと少なくなる。また細胞の分裂が停止する頃には細胞の形態も若い時に 比べ、扁平で大きな細胞になってしまう。このような状態を細胞の老化と呼んでいる。 一方、紫外線やィ匕学物質などで細胞内の遺伝子 (DNA)が傷つけられると、無限に 増殖を続ける不死化細胞となり、悪性化すれば腫瘍 (癌)細胞へと形質転換すること がある。 DNA損傷が起こった場合に、細胞周期の進行を停止し、 DNAの修復、アポ
トーシスや細胞老化の誘導を行って発癌の原因となる遺伝子異常をもった細胞の増 殖を抑制することにより、発癌を防止できる。細胞増殖を抑制する働きを持った遺伝 子は、細胞の老化に関係する。細胞の老化と不死化若しくは腫瘍化 (癌化)現象は 密接な関係にある。
[0009] このような遺伝子の一つが p53である。 p53は腫瘍サプレッサー遺伝子の一つであり 、ヒト腫瘍細胞において高率に変異が認められる。また、 SV40、アデノウイルス、パピ ローマウィルス等の腫瘍ウィルスの産物は、宿主の p53遺伝子の産物(p53タンパク質 )に結合して失活させる。 p53は細胞周期の制御や DNA損傷修復に関与するほか、ァ ポトーシスによる細胞死の制御においても重要な役割を果たしている。 p53タンパク質 は、正常細胞内では低いレベルに規定されている力 DNA損傷等のストレスに応答 してその発現が上昇する転写因子で、下流のエフェクター遺伝子(とその機能)には 、 GADD45(DNA修復促進)、 p21WAFl/CIPl (細胞周期の G1停止)、 BAX (アポトーシ スの誘導)、 MDM2 (p53タンパク質をュビキチンィ匕して分解へ誘導)などがある。癌の 約半分で p53の遺伝子変異や p53タンパク質の機能喪失が関与することは広く知られ ており、 p53は癌治療の分子標的の一つとされている。 p53腫瘍サブレッサー経路の 破綻を修復する、あるいは、 p53腫瘍サブレッサー経路を活性ィ匕する、すなわち正常 な p53遺伝子の発現や正常な p53タンパク質の安定ィ匕による蓄積と活性ィ匕を促し、そ のエフェクターへの作用を活性ィ匕することにより、抗腫瘍効果力 Sもたらされると考えら れる。
[0010] 正常な野生型 p53タンパク質の活性は、複数の因子により調節される。調節因子と して、例えば p53タンパク質と結合して相互作用する物質が知られている。例えば、 hsp70ファミリータンパク質の一つであるモータリンは、 p53タンパク質と結合して、その 機能を抑えて 、ることが報告されて 、る。 p53タンパク質は細胞核内で機能して 、る 力 モータリンはこの P53タンパク質の核への移行を阻害するようである(非特許文献 18、 19)。抗体を用いてモータリンを検出すると正常細胞では細胞質に広く分布し、 不死化細胞と癌細胞では細胞核の周りに集まって存在していること力 ヒトおよびマ ウスで共通して確認されている。さら〖こ、ヒトの癌ではこのような細胞核周辺に存在す るモータリンが過剰に発現していることも報告されている (非特許文献 18、 20)。
[0011] p53を標的とした癌治療としては、正常な p53遺伝子を癌細胞に戻して癌を治療しよ うとする試み (遺伝子治療)がある一方、遺伝子治療とは別の観点で p53機能を癌治 療に応用しょうとする試みもある。上述のように、多くの癌細胞では p53遺伝子に変異 が見られる。そして、変異 p53蛋白質は細胞内で高いレベルで存在する。そこで、もし 変異した P53蛋白質の構造を正常に戻すことができれば、新たな治療法が期待でき る。このようなこと力 、変異 p53蛋白質の機能を正常化する物質がスクリーニングされ 、低分子量のペプチドや p53蛋白質に親和性のある化学物質が変異 p53機能を正常 化することが証明された (非特許文献 25-27)。
[0012] ヒトの染色体の末端にはテロメァと呼ばれる約 5— 20kb長の TTAGGGの 6塩基繰 り返し配列があり、染色体の安定性を保っために重要な役割を果たしている。正常な 体細胞では細胞分裂毎にテロメァが短縮して!/、き、やがて細胞分裂ができなくなり、 細胞死に至る。しかし、腫瘍細胞では染色体末端の短縮がみられず、何らかの形で テロメァが修復され細胞死を逃れて 、ることが想像された。テロメラーゼ (telomerase) は、短くなつたテロメァを複製 '伸長する酵素である。 1994年、 Kimらによって PCRを 用い 7こ TRAP法 (telomere repeat amplification protocol assay)力報告され、ァロメフ ~~ ゼ活性の測定が可能となり、腫瘍細胞ではテロメラーゼが特異的に活性ィ匕することが 報告された (非特許文献 21)。テロメラーゼは 9割以上の癌で検出され、ほとんどの正 常な細胞で検出されないことから、これによつて腫瘍細胞が不死化していると考えら れている。したがって、この酵素テロメラーゼの阻害剤は腫瘍細胞の無限増殖を抑制 することが期待される。
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発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0013] 本発明の目的は、ァシュヮガンダ葉抽出物の薬理作用を詳しく解明して、その抗腫 瘍活性に科学的裏付けを与え、新しい医薬用途もしくは保健用途を探索することで ある。
課題を解決するための手段
[0014] 本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、ァシュヮガンダ葉抽 出物 (leaf extract from ashwagandha :以下において Lashと 載することもある)か ¾η· 変異原性および抗遺伝毒性、およびヒトの腫瘍細胞に対する選択的な増殖阻害作 用を有すること、さらに腫瘍細胞に選択的な ρ53活性化作用、テロメラーゼ阻害作用 並びに抗老化 (アンチエイジング)作用を有することを発見して本発明を完成した。
[0015] すなわち、本発明により、ァシュヮガンダ葉抽出物を含む、抗変異原性作用、抗遺 伝毒性作用、腫瘍細胞に選択的な増殖阻害作用、 ρ53活性化作用、テロメラーゼ阻 害作用、もしくは抗老化 (アンチエイジング)作用が必要とされる症状の治療用または 予防用組成物が提供される。また一つの態様において、上記疾患は腫瘍であり、さら なる態様において上記組成物は食品、栄養補助食品、医薬品、医薬部外品または 化粧品である。
[0016] また、本発明により、以下のァシュヮガンダ葉抽出物が提供される。
以下の(ァ)又は (ィ):
(ァ)ァシュヮガンダの葉をアルコールで抽出、濃縮して得られるアルコール抽出物; (ィ)前記アルコール抽出物に水をカ卩えた含水アルコール抽出物をへキサンで抽出し てクロロフィルなどの色素を除 、た残渣をジェチルエーテルで抽出、濃縮して得られ るエーテル抽出物、のいずれかのァシュヮガンダ葉抽出物。
[0017] ァシュヮガンダの葉力も溶媒抽出される抽出物であって、該抽出物が少なくとも以 下の式のいずれか
[化 6]
Wi thanone [6a, 7a-epoxy-5, 17-dihydroxy-l-oxowi I ha-2, 24 dienol ide]
[化 7]
Withanolide A [6a, 7a-epoxy-5a, 20a- (ff) -dihydroxy-l-oxowi tha-2, 24 dienolide]
で表される化合物を含む成分を含有することを特徴とする抽出物。 ァシュヮガンダの葉力もアルコールで抽出することのできる抽出物であって、該抽出 物が少なくとも以下の式のいずれか
[化 8]
xo i tha-2, 24 dienol ide]
tha-2, 24 dienol ide]
[化 9]
12 - Deoxywi thas tramonol ide [6a, 7a-epoxy-5 , 27-dihydroxy-l-oxowi tha-2, 24 dienol ide]
Wi thanol ide A [6a, 7a-epoxy-5a, iO -(R) -dihydroxy-l-oxowi tha-2, 24 dienol ide]
で表される化合物を含む成分を含有することを特徴とする抽出物。 上記抽出物が、さらにエーテルで抽出して得られる抽出物であって、該抽出物が少 なくとも以下の式のいずれか
[化 10]
Wi thanone [6a, 7a-epoxy-5, 17 - d i hydroxy -卜 oxowi tha-2, 24 dienol ide]
[化 11]
12-Deoxywi thas t ramonol ide [6a, 7 -epoxy-5a, 27-dihydroxy-l-oxowi tha-2, 24 dienol ide]
Wi thanol ide A [6a, 7a-epoxy-5a, 20a- (S) -di hydroxy-l-oxowi tha-2, 24 dienol ide]
で表される化合物を含む成分を含有することを特徴とする抽出物。
さらに、上記のァシュヮガンダ葉抽出物又はその成分として、以下のものが提供さ れる:
腫瘍細胞に選択的な P53活性化作用を有するァシュヮガンダ葉抽出物又はその成分 テロメラーゼ阻害作用を有するァシュヮガンダ葉抽出物又はその成分;
野生型 p53を有する腫瘍細胞の増殖停止を引き起こすァシュヮガンダ葉抽出物又は その成分;
変異型 P53を有する腫瘍細胞の増殖停止を引き起こすァシュヮガンダ葉抽出物又は その成分;
腫瘍細胞の増殖停止を引き起こすァシュヮガンダ葉抽出物又はその成分; 腫瘍細胞のアポトーシスを引き起こすァシュヮガンダ葉抽出物又はその成分; 変異型 P53に野生型 p53の機能を与えるァシュヮガンダ葉抽出物又はその成分;
生体内におけるウイザフェリン Aの毒性を中和するァシュヮガンダ葉抽出物又はその 成分;
抗老化 (アンチエイジング)作用を有するァシュヮガンダ葉抽出物又はその成分。
[0021] 上記のァシュヮガンダ葉抽出物の成分は、腫瘍の治療または予防のために用いる ことができる。従って、本発明は以下も含む。すなわち、上記成分を含有する腫瘍の 治療用または予防用組成物;上記成分を用いる腫瘍の治療または予防の方法;腫瘍 の治療用または予防用糸且成物を製造するための上記成分の使用。
また、上記のァシュヮガンダ葉抽出物の成分は、正常細胞の抗老化 (アンチェイジ ング)作用を有するため、正常細胞の老化抑制を目的とした治療または予防のため に用いることができる。従って、本発明は以下も含む。すなわち、上記成分を含有す る正常細胞の老化の予防用糸且成物;上記成分を用いる正常細胞の老化の予防の方 法;正常細胞の老化の予防用糸且成物を製造するための上記成分の使用。
[0022] さらに、本発明は以下の組成物も提供する。
以下の式で表されるウイザノンまたはその誘導体
[化 12]
[式中、 Xは酸素、窒素、硫黄原子または、— OCO—、 一 COO—、— CONH—、 -NHCO- 、 一 OCONH -、 — NHCOO -、— NHCONH -、— NHCSNH—基を表し、
R
2は同一又 は異なって、水素、アルキル、ァリール、ヘテロァリールを表す] を含む、抗変異原性作用、抗遺伝毒性作用、腫瘍細胞に選択的な増殖阻害作用、 P53活性化作用、テロメラーゼ阻害作用、もしくはアンチエイジング作用が必要とされ
る症状の治療用または予防用糸且成物。
ウイザノンまたはウイザノンの誘導体及びウイザフェリン Aまたはウイザフェリン Aの誘 導体を含む、抗変異原性作用、抗遺伝毒性作用、腫瘍細胞に選択的な増殖阻害作 用、 p53活性化作用、テロメラーゼ阻害作用、もしくはアンチエイジング作用が必要と される症状の治療用または予防用組成物。
ァシュヮガンダ抽出物及び 1又は 2以上の他の化合物を含む、抗変異原性作用、 抗遺伝毒性作用、腫瘍細胞に選択的な増殖阻害作用、 p53活性化作用、テロメラー ゼ阻害作用もしくはアンチエイジング作用が必要とされる症状の治療用または予防 用組成物。
ウイザノン又はウイザノンの誘導体及び 1又は 2以上の他の化合物を含む、抗変異 原性作用、抗遺伝毒性作用、腫瘍細胞に選択的な増殖阻害作用、 p53活性化作用 、テロメラーゼ阻害作用もしくはアンチエイジング作用が必要とされる症状の治療用ま たは予防用組成物。
[0023] また、本発明は以下の方法も提供する。
ァシュヮガンダの葉をメタノール又はエタノールで抽出してアルコール抽出物を得 る工程、前記アルコール抽出物に水を加えて含水アルコール抽出物を得る工程;前 記含水アルコール抽出物をへキサンで抽出してクロロフィルなどの色素を除いた残 渣を得る工程;前記残渣をジェチルエーテルで抽出、濃縮する工程を含む、ァシュヮ ガンダ葉抽出物の製造方法。
[0024] ウイザノン又はウイザフェリン Aの製造方法であって、ァシュヮガンダの葉をメタノー ル又はエタノールで抽出してアルコール抽出物を得る工程;前記アルコール抽出物 に水をカ卩えて含水アルコール抽出物を得る工程;前記含水アルコール抽出物をへキ サンで抽出してクロロフィルなどの色素を除いた残渣を得る工程;前記残渣をジェチ ルエーテルで抽出、濃縮してエーテル抽出物を得る工程;前記エーテル抽出物を分 離、精製する工程を含む、前記方法。
[0025] また、次に示すウイザノライド (Withanolide)類(ウイザノン及びウイザノンの誘導体を 包含する)を有効成分として含有する食品、栄養補助食品、医薬品、医薬部外品ま たは化粧品も本発明の範囲に含まれる。
(1)前述の式 (I)で示されるウイザノライド骨格を基本構造とするウイザノライド類。
(2)式 (I)中、 1位の炭素原子に =0が結合し、 2位と 3位の炭素原子間の結合が二 重結合を示すウイザノライド骨格を基本構造とするものである、ウイザノライド類。
(3)式 (I)中、 5位の炭素原子に OHが結合したウイザノライド骨格を基本構造とする ものである、ウイザノライド類。
(4)式 (I)中、 6,7位の炭素原子にエポキシが結合したウイザノライド骨格を基本構造 とするものである、ウイザノライド類。
(5)式 (I)中、 5位の炭素原子に α位に OHが結合したウイザノライド骨格を基本構 造とするものである、ウイザノライド類。
(6)式 (I)中、 6,7位の炭素原子の a方向にエポキシが結合したウイザノライド骨格を 基本構造とするものである、ウイザノライド類。
(7)下記式 (II)
[化 13]
[式中、 Xは酸素、窒素、硫黄原子または、 OCO—、 一 COO—、— CONH—、 -NHCO- 、 一 OCONH -、 — NHCOO -、— NHCONH -、— NHCSNH—基を表し、
R
2は同一ま たは異なって、プロトン、アルキル、ァリール、ヘテロァリールを表す]で示されるウイザ ノン(withanone)またはその誘導体。 さらに、次に示すウイザノライド (Withanolide)類(ウイザフェリン Aまたはウイザフェリ ン Aの誘導体を包含する)を有効成分として含有する食品、栄養補助食品、医薬品、 医薬部外品または化粧品も本発明の範囲に含まれる。
(1)前述の式 (I)で示されるウイザノライド骨格を基本構造とするウイザノライド( Withanolide;類。
(2)式 (I)中、 1位の炭素原子に =0が結合し、 2位と 3位の炭素原子間の結合が二 重結合を示すウイザノライド骨格を基本構造とするものである、ウイザノライド( Withanolide;類。
(3)式 (I)中、 4位の炭素原子に- OHが結合したウイザノライド骨格を基本構造とする ものである、ウイザノライド(Withanolide)類。
(4)ウイザフェリン A (Withaferin A)、 27—デォキシウイザフェリン A (
27-Deoxywithaferin A)、 12—ヒドロキシウイザフェリン A (12— Hydroxywithaferin A)、 1 5—ヒドロキシウイザフェリン A (15— Hydroxywithaferin A)、ウイザノライド D (
Withanolide D)、 14—ヒドロキシウイザノライド D ( 14— Hydroxywithanolide D)、 27—ヒド ロキシウイザノライド D (27- Hydroxywithanolide D)、 27—ヒドロキシウイザノライド B ( 27— Hydroxywithanolide B)、 4—ヒドロキシウイザノライド E (4— Hydroxywithanolide E)
、ウイザノライド A (Withanolide A)、ウイザノライド O (Withanolide 0)、ウイザノライド U (Withanolide U)、ウイザングラチン(Withangulatin)、ウイザタニスチン(Withacnistin )、ウイザペルビン B (Withaperuvin B)、フィサブべノライド(Physapubenolide)、フィサ 口ラタトン C (Physalolactone C)、イクソカルパラクトン A (Ixocarpalactone A)、 4, 7—ジ ヒドロキシー 1 ォキソウイザ 2, 5, 24 トリエノライド(
4, 7-Dihydroxy- 1 -oxowitha-2 , 5 , 24-trienolide)、 4, 27—ジヒドロキシ一 1—ォキソウイザ 2, 5, 24 トリエノライド(4,27— Dihydroxy— 1— oxowitha— 2,5,24— trienolide)、 4, 7, 20— トリヒドロキシ -1-ォキソウイザ 2, 5, 24-トリエノライド(
4.7.20- Trihydr oxy- 1 -oxowitha-2 , 5 , 24-trienolide) ,および 4, 7, 21 トリヒドロキシ一 1 ォキソウイザ 2, 5, 24 トリエノライド(
4.7.21- Trihydroxy-l-oxowitha-2,5,24-trienolide)の中から選ばれる 1種または 2種 以上である、ウイザノライド (Withanolide)類。
図面の簡単な説明
[図 1]MNNG処理によるタマネギ根端細胞の染色体異常の代表例を示す (実施例 2 、なお Lash処理の効果については、表 1に示す)。 a :染色体分離障害 (chromatin
bridges)及び染色体の迷走 (vagrantchromosome); b:後期の遅れ (delayed anaphase) ; c :セントロメァの破壊(centromere break); d :染色体切断 (multiple chromosomal break) ; e :染色体の移動の遅れ (lagging chromosome;; f : 1、J'着 stickness)。
[図 2]通常の培地(control)及び Lash並びに他の薬剤(H 0、 5'-Aza)を含む培地で
2 2
培養された、ヒトの正常細胞(TIG- 1)および腫瘍由来細胞(Saos-2、 U20S、 MCF-7) の形態を示した顕微鏡写真である。(実施例 3)
[図 3]通常の培地(control)及び Lash並びに他の薬剤(H 0、 5'-Aza)を含む培地で
2 2
培養された、ヒトの正常細胞(TIG- 1)および腫瘍由来細胞(Saos-2、 U20S、 MCF-7) の増殖カーブである。(実施例 3)
[図 4]通常の培地 (control)及び Lashを含む培地で培養された、ヒトの腫瘍由来細胞( Saos- 2、 U20S、 MCF- 7)のコロニー形成アツセィの結果を示す。(実施例 3)
[図 5]通常の培地(0)及び Lashを添カ卩した(12、 24、 48 μ gZml)培地で培養したヒト の正常細胞(TIG- 1)および腫瘍由来細胞(Saos-2、 U20S、 MCF-7)の細胞増殖アツ セィの結果を示す。腫瘍由来細胞は増殖が阻害されているが、正常細胞の細胞数 は減少していない。(実施例 3)
[図 6]Lash並びに他の薬剤(H 0、 5-'Aza)で処理された、ヒトの正常細胞(TIG-1)お
2 2
よび腫瘍由来細胞(U20S、 MCF-7)の p53及び p21タンパク質についてのウェスタン ブロッテイングの結果を示す。(実施例 4)
[図 7]通常の培地(control)及び Lash並びに他の薬剤(H 0、 5'-Aza)を含む培地で
2 2
培養されたヒトの正常細胞 (TIG-1)および腫瘍由来細胞細胞(U20S、 MCF-7)の、 モータリン及び p53に対する蛍光抗体染色を示す顕微鏡写真である。モータリン (赤) は細胞質、 p53(緑)は核における染色として示されている。(実施例 4)
[図 8]腫瘍由来細胞(U20S、 Saos-2)における、モータリン(赤)及び Hoescht dye (核 の青色の染色)の蛍光抗体染色を示す顕微鏡写真である。 (実施例 4)
[図 9]TRAPアツセィの結果を示す。(実施例 5) a : Lash並びに他の薬剤(H 0、
2 2
5'-Aza)で処理された MCF-7細胞の TRAPアツセィ b : Lash並びに他の薬剤(H 0、
2 2
5'-Aza)で処理された MCF-7細胞の TRAP— ELISAc: MCF-7細胞の TRAP活性に対 する Lash処理による経時変化
[図 10]ヌードマウスを用いた in vivoでの腫瘍抑制効果を示す。(実施例 7) Lashを注 射されたマウス (Lash)では、腫瘍の進行が顕著に抑制された。
[図 11]ヌードマウスを用いた in vivoでの腫瘍抑制効果を示す。(実施例 7) Lashを注 射することにより、腫瘍の進行が顕著に抑制された。
[図 12]野生型 p53あるいは変異型 p53を持つ癌細胞の増殖停止効果を示す。(実施 例 8)
[図 13]変異型 p53を持つ癌細胞の増殖停止効果を示す。図中、破線がコントロール であり、実線力 SLashS /z gZmlで処理された細胞である。(実施例 8)
[図 14]野生型 p53を持つ癌細胞の増殖停止効果、及び変異型 p53を持つ癌細胞のァ ポトーシスを示す。(実施例 9)
[図 15]癌細胞における変異型 p53タンパク質の減少、及び下流のエフェクター (
MDM2,p21,BAX)の増加を示す。(実施例 10)
[図 16]変異型 p53の野生型 p53への転換を示す。(実施例 10)
[図 17]変異型 p53所持細胞における、野生型 p53の活性を示す。(実施例 11)
[図 18]腫瘍の抑制に関するウイザフェリン Aと Lashの作用の比較。(実施例 12)
[図 19]Lashの経口供与による生体内での腫瘍抑制。(実施例 13)
[図 20]Lashの構成成分の分析逆相 HPLCのチャートである。(実施例 14)
[図 2 l]Lashの構成成分の癌細胞増殖に対する効果を示す。(実施例 15)
[図 22]Lashの構成成分の癌細胞増殖に対する効果を示す。(実施例 15)
[図 23]Lashの構成成分の癌細胞増殖に対する効果を示す。(実施例 15)
[図 24]Lashの構成成分の癌細胞増殖に対する効果を示す。(実施例 15)
[図 25]Lashの構成成分の癌細胞増殖に対する効果を示す。(実施例 15)
[図 26]Lash及びピーク 21処理による、 p53機能の誘導を示す。(実施例 16)
[図 27]Lash及びピーク 21処理した U20S細胞の p53染色像である。(実施例 16)
[図 28]Lash、ピーク 21、ウイザフェリン A処理時のテロメラーゼ活性を示す。(実施例 1
7)
[図 29]Lash及びピーク 21処理による p21WAFl発現を示す。(実施例 18)
[図 30]モータリンと p53の染色像である。(実施例 18)
発明を実施するための最良の形態
[0028] (1)ァシュヮガンダ葉抽出物
ァシュヮガンダ しては学名 Withania somniferaを用いる。ァシュヮガンダ葉抽出物 とは、ァシュヮガンダの葉を抽出して得られる抽出物である。ァシュヮガンダの葉は採 取したままの新鮮葉、それを乾燥させたもの、または焙煎させたものいずれでもよい 力 乾燥させたものが望ましい。原料とするァシュヮガンダは天然に生育するものに 限定されず、 in vitroで培養したものであってもよいが、ァシュヮガンダ葉に含有され る成分の組成はァシュヮガンダの産地ゃ榭齢等により若干の差があると考えられるた め、本発明のァシュヮガンダ葉抽出物を得るためには、インド国内で種から栽培した 2— 4年目の植物を用いることが望まし!/、。
[0029] 本発明におけるァシュヮガンダ葉抽出物としては、ァシュヮガンダの葉をアルコール
(水性アルコール)で抽出、濃縮して得られるアルコール抽出物、およびここで得られ るアルコール抽出物からクロロフィルなどの色素を除いた残渣をジェチルエーテルで 抽出、濃縮して得られるエーテル抽出物、又はこれらの抽出物の成分を用いる。 アルコール抽出物を得るのに使用される水性アルコールとしては、炭素数 1一 3の 脂肪族アルコールが望ましぐ例えばメタノール、エタノール、プロパノール等が挙げ られる。
[0030] エーテル抽出物を得るには、上記のようにして得られたアルコール抽出物に水をカロ えた含水アルコール抽出物をさらに適当な溶媒 (例えばへキサン)で抽出してクロ口 フィルその他の色素を除 、た残渣をジェチルエーテルで抽出、濃縮して得るのが適 当である。
本発明におけるァシュヮガンダ葉抽出物としては、上記で得られたエーテル抽出物 をさらにカラムクロマトグラフィーなどにより精製した画分を用いてもよい。クロマトダラ フィ一としては逆相が適当である。
[0031] エーテル抽出物を逆相に付した場合、次に示す式 I (ウイザフェリン A)、式 II (
12-Deoxywithastramonolide)、式 III (ウイザノライド A)、式 IV (ウイザノン)に対応する 複数のピークを得ることができる。このように、本発明のァシュヮガンダ葉抽出物として は、最終的に得られたピークを示す成分を精製することにより単離することができる化
合物を用いることもできる。
[化 14]
( I) Withanolide A [6α, 7a-epoxy-5a, 20a- (Λ -d i hydroxy- 1-oxowi tha-2, 24 dienol ide]
(II) 12-Deoxywi thas t ramono 1 ide [6a, 7a-epoxy-5 , 27-d ihydroxy-1 -oxowi tha-2, 24 dienol ide]
[化 15]
(III) Withanolide A [6a, 7a-epoxy-5a, 20a- (Λ) -di hydroxy-l-oxowi tha-2, 24 dienol ide]
(IV) Wi thanone [6a, 7a-egoxy-5, 17-dihydroxy-l-oxowi tha-2, 24 dienol ide]
本発明におけるァシュヮガンダ葉抽出物としてエーテル抽出物を逆相クロマトダラ フィ一により精製した画分を用いる場合、特に有用であるのは本明細書の実施例 14 で得られたピーク 21の成分を精製して得られたィ匕合物(以下、単にピーク 21と称す ることちある)である。
本発明者らは、ピーク 21が前記式 IVの化合物であるウイザノンに対応することを見 出した。よって、抗変異原性、抗遺伝毒性、腫瘍細胞に選択的な増殖阻害作用、 p53 活性化作用、テロメラーゼ阻害作用、もしくはアンチエイジング作用を有するようなゥ ィザノン及びウイザノンの誘導体も本発明におけるァシュヮガンダ葉抽出物の範囲に 含まれる。ウイザノン及びウイザノンの誘導体の製造方法は特に限定されるものでは なぐァシュヮガンダ葉から単離されるほか、単離ィ匕合物の化学的変換または合成等 によっても製造することができる。力かる化学的変換または合成等の方法は、例えば "Natural Product Reports "(8(4), 415(1991》その他に記載されるような当業者に周知
の適当な方法によることができる。
ウイザノン又はその誘導体として適切なものを以下の式で示す。
[化 16]
上記式において、 Xは酸素、窒素、硫黄原子または、— OCO—、— COO—、 -CONH- 、— NHCO—、— OCONH―、— NHCOO—、— NHCONH―、— NHCSNH—基を表し、 R
1 R
2は同一または異なって、水素、アルキル、ァリール、ヘテロァリールを表す。 本発明において「アルキル」としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数 1一 5 のものを挙げることができる。具体的には、例えば、メチル、ェチル、 n—プロピル、イソ プロピル、 n—ブチル、イソブチル、 sec—ブチル、 tert—ブチルを挙げることができる。 当該「アルキル」は置換されていてもよぐ力かる置換基としては、例えば、ハロゲン、 アルキル、アルコキシ、シァ入ニトロ、トリメチルシリルを挙げることができ、これらが 1 一 3個置換されている。
本発明において「ァリール」としては、例えば、炭素数 6— 12のものを挙げることが できる。具体的には、例えば、フエニル、 1—ナフチル、 2—ナフチル、ビフエ-ルを挙 げることができる。当該「ァリール」は置換されていてもよぐ力かる置換基としては、例 えば、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シァ入ニトロを挙げることができ、これらが 1 一 3個置換されている。
本発明において「ヘテロァリール」としては、窒素、酸素、又は硫黄原子を含む 1一 2環性の複素環を表す。当該「ヘテロァリール」は置換されていてもよぐかかる置換
基としては、例えば、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シァ入ニトロを挙げることがで き、これらが 1一 3個置換されている。
本発明におけるァシュヮガンダ葉抽出物として、ピーク 21 (ウイザノン)あるいはその 誘導体を他のァシュヮガンダ葉抽出物の成分等その他の化合物と組合わせて用い ることちでさる。
(2)組成物
本発明はさらに、ァシュヮガンダ葉抽出物を含む抗変異原性、抗遺伝毒性、腫瘍 細胞に選択的な増殖阻害作用、 p53活性化作用、テロメラーゼ阻害作用もしくは抗老 化作用を有する組成物を提供し、組成物は食品、栄養補助食品、医薬品、医薬部外 品または化粧品の形でありうる。
腫瘍細胞に選択的な増殖阻害作用を有するとは、腫瘍細胞 (形質転換細胞)の増 殖を特異的に阻害するが正常細胞 (不死化若しくは腫瘍ィ匕 (癌化)して 、な 、細胞) の増殖には影響を与えないことをいう。 p53活性化とは、 p53腫瘍サブレッサー経路の 活性化を意味する。
本発明の組成物が医薬用組成物であるときの投与方法は特に限定されるものでは なぐ経口、経鼻、非経口、経肺、経皮、経粘膜などが可能である。本発明の医薬用 組成物は種々の剤形とすることができる。例えば、経口投与のためには、錠剤、カブ セル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、ェ キス剤、エリキシル剤とすることができる力 これらに限定されない。また、製剤には薬 剤的に許容できる種々の担体を加えることができる。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊 剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、コ 一ティング剤、ビタミン C、抗酸化剤を含むことができるが、これらに限定されない。 本発明の医薬用組成物の投与量は、一般的には、ァシュヮガンダ葉抽出物に換算 して成人 1日用量として lmg— 1000mg、好ましくは lOOmg— 500mgを使用する。 もちろん個別的に、投与されるヒトの年齢、体重、症状、投与経路、投与期間、治療 経過等に応じて変化させることもできる。 1日あたりの量を数回に分けて投与すること もできる。また、他の抗腫瘍剤や治療法と組み合わせて投与することもできる。
本発明の組成物は、食品又は栄養補助食品の形態とすることもできる。例えば、ァ
シュヮガンダ葉抽出物を原材料に配合することにより、麵類、パン、キャンディー、ゼリ 一、クッキー、スープ、健康飲料、焼酎などのアルコール飲料等の形態とすることがで きる。このような食品、栄養補助食品にはァシュヮガンダ葉抽出物の他に、鉄、カルシ ゥム等の無機成分、種々のビタミン類、オリゴ糖、キトサン等の食物繊維、大豆抽出 物等のタンパク質、レシチンなどの脂質、ショ糖、乳糖等の糖類をカ卩えることができる
本発明の組成物は、ァシュヮガンダ葉抽出物を原材料に配合することにより、医薬 部外品または化粧品の形態とすることもできる。本発明の組成物を医薬部外品また は化粧品とするときは、本発明の効果を損なわない範囲で、ァシュヮガンダ葉抽出物 に加えて、通常医薬部外品や化粧品に用いられる他の成分、例えば油分、湿潤剤、 紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、保湿剤、香料、水、アルコール、 増粘剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
(3)本発明の組成物が有用な症状
本発明の組成物は抗変異原性、抗遺伝毒性、腫瘍細胞に選択的な増殖阻害作用 、 p53活性化作用、テロメラーゼ阻害作用もしくはアンチエイジング作用を有する。従 つて、本発明の組成物はこれらの作用が有用である症状に有効である。
本発明の組成物が有用である症状には各種腫瘍が含まれるが、これに限定されな い。
なお、抗変異原性作用、抗遺伝毒性作用、腫瘍細胞に選択的な増殖阻害作用、 P53活性化作用、テロメラーゼ阻害作用もしくはアンチエイジング作用を有するかどう かについては、以下に記載する実施例に記載の各方法を用いることができるが含ま れるが、これに限定されない。
本発明のァシュヮガンダ葉抽出物は、正常細胞に影響を与えず、腫瘍細胞に選択 的に増殖阻害作用を及ぼす。腫瘍細胞への選択性は、抗腫瘍作用を有すると伝え られる薬草である-ン-ク (Allium sativum)及び-ガウリ (Momordica charantia)の抽 出物と比べても顕著なものであった。従って、疾患が腫瘍であるときには、本発明の 組成物は腫瘍細胞の増殖の抑制を目的として、正常細胞には作用せず、副作用の 少な 、組成物として利用することができる。
さらに、本発明のァシュヮガンダ葉抽出物は、腫瘍細胞に選択的な p53活性化作用 を有する。また、本発明のァシュヮガンダ葉抽出物は、テロメラーゼ阻害作用を有す る。テロメラーゼは 9割以上の癌で検出される力 ほとんどの正常な細胞で検出され ない。また、本発明のァシュヮガンダ葉抽出物は、抗酸化作用や脱メチル化作用を 有さないようである。理論に拘束されるわけではないが、本発明者らは、本発明のァ シュヮガンダ葉抽出物による腫瘍細胞に選択的な増殖阻害作用は、 P53活性ィ匕作用 あるいはテロメラーゼ阻害作用に関連付けられる可能性があると考えて 、る。従って 、疾患が腫瘍であるときには、本発明の組成物は、腫瘍細胞に選択的な P53活性ィ匕 作用あるいはテロメラーゼ阻害作用を目的として、正常細胞には作用せず、副作用 の少な 、組成物として利用することができる。
細胞分裂の停止やアポトーシスは、発癌の原因となる遺伝子異常を有した細胞の 増殖を抑制し、癌の発生を抑制するメカニズムであり、 p53はこのメカニズムが機能す る上で重要な役割を果たす。癌細胞においては p53が変異していることが多ぐこのメ 力-ズムがうまく機能しな 、ために細胞の異常増殖を止めることができな 、場合があ る。
本発明のァシュヮガンダ葉抽出物又はその成分は、 p53が変異している腫瘍細胞 において、 p53の機能を正常化させる効果を有する。本発明者らは、 p53のミスセンス 変異を有するセルライン(PC14、 SKBR3、 HS578T、 HT1080、 U20S)を用いた 実験によりこのことを実証した。これらのセルラインでは p53タンパク質のコンフォーメ ーシヨンが変化して DNA結合性に影響を与えており、 p53腫瘍サブレッサー経路が 正常に機能していないが、本発明のァシュヮガンダ抽出物又はその成分には変異 P53蛋白質の機能を正常化する働きがあると思われる。
本発明のァシュヮガンダ葉抽出物又はその成分は、野生型 p53のみならず変異型 P53を有する腫瘍細胞 (形質転換細胞)に対しても増殖阻害作用を有する。さらに、 本発明のァシュヮガンダ葉抽出物又はその成分は、変異型 p53を有する腫瘍細胞の アポトーシスを誘導する。一方、本発明のァシュヮガンダ葉抽出物又はその成分は、 正常細胞の生存や増殖には影響を及ぼさな 、。
さらに、本発明のァシュヮガンダ葉抽出物又はその成分は、腫瘍細胞の変異型 p53
に野生型の機能を与えることができるようである。つまり、 Lashで処理された腫瘍細胞 においては、変異型 p53タンパク質が減少し、野生型の正常な機能を有する p53タン パク質へと転換され、この p53タンパク質が機能し、下流のエフェクタータンパク質が 発現している可能性がある。
上記より、本発明のァシュヮガンダ葉抽出物又はその成分は、 p53が変異している 腫瘍細胞においても、 p53の機能を正常化させる効果を有し、腫瘍細胞の増殖停止 やアポトーシスを引き起こすことができるため、腫瘍の治療や予防のために非常に有 用である。
また、本発明のァシュヮガンダ葉抽出物又はその成分として、ピーク 21を単離して 用いた場合、ピーク 21は抗変異原性、抗遺伝毒性、腫瘍細胞に選択的な増殖阻害 作用、 p53活性化作用、もしくはテロメラーゼ阻害作用を有する。一方、ウイザフェリン Aは正常細胞と腫瘍細胞の両方に増殖阻害作用を及ぼし、腫瘍細胞に選択的では ない。しかし、ピーク 21をウイザフェリン Aと共に使用すると、腫瘍細胞の増殖阻害効 果としてより強い活性 (相乗効果)が発揮され、さらにピーク 21はウイザフェリン Aの正 常細胞への毒性を中和する作用を有する。また、ウイザフ リン A単独ではテロメラー ゼ阻害作用を有さな ヽが、ウイザフェリン Aとピーク 21を組合わせて使用するとテロメ ラーゼ阻害作用を発揮する。したがって、ウイザフェリン Aとピーク 21の組合わせも腫 瘍の治療や予防のために非常に有用である。
また、ピーク 21は加齢細胞に対して非毒性であり、アンチエイジング効果をも有す る。癌の発生は細胞及び個体の老化や高齢化と関連する。したがって、ピーク 21を 含む組成物は腫瘍の治療や予防、正常な加齢に対するアンチエイジング効果の発 揮に有用である。
本発明を以下の実施例でさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されない。 種々の変更、修飾が当業者には可能であり、これらの変更、修飾も本発明に含まれ る。
実施例
¾施例 ί ァシュヮガンダ蔞抽出物の調製
インド北部で種力 栽培した 3年目の植物(in vivo 植物)から、 10月に、ァシュヮガ
ンタ (Withania somnifera)の葉を採取した 流水で洗浄し、空気乾燥してから細カゝぃ 粉末状に破砕した。この粉末状となった葉を、改変ソックスレー法により抽出した (Lavie et al., 1968)。温メタノール(60°C)を用いて、ソックスレー装置で 4一 5日間、 葉の粉末を徹底的に抽出した。得られたメタノール抽出物をさらにへキサンで抽出し てクロロフィルおよび他の色素を除き、次いで、ジェチルエーテルで抽出し、エバポ レーシヨンによりエーテル抽出物を得た。抽出手順のフローチャートを以下に示す。
[化 17]
この調製法を用いることにより、ァシュヮガンダの葉の粉末 40gから 1. 4gの葉抽出 物が得られた。
実験室でァシュヮガンダ (Withania somnifera)の in vitro培養を行う場合は、無菌的 に発芽させた幼植物の茎端力も in vitroで苗木を育てた。
腋生の茎基部のカルス力 栽培した苗条を、 6—べンジルアデニン(BA、 2mg/l)あ るいは N (2—イソペンテ-ル)アデノシン単独(2— iP、 4mg/l)、あるいはこれら 2つの
6
組合わせ(BAゝ lmg/1および 2— iPゝ lmg/1)を添カ卩した MS培地(Murashige
and Skoog's medium)で栽培した。これらの植物生長調節物質を用いて栽培された葉 を、 30日目、 60日目、 90日目で採取し、空気乾燥して上述の方法で抽出した。
[0039] 以下の実施例において、ァシュヮガンダの葉抽出物(Lash)としては、 in vivo植物か ら上記方法で調製したエーテル抽出物をジメチルスルホキシド (DMSO)中に溶解し たものを用いて実験を行った。
[0040] 実施例 2 杭栾異原件および杭遣伝毒件
タマネギの根端細胞を用いて、 Lashの抗変異原性および抗遺伝毒性を評価した。タ マネギの根端細胞は、抗変異原性および抗遺伝毒性の評価系として簡便で確立さ れた材料である。
[0041] 試験方法
タマネギを水道水で満たした couplinジャー上に置 、て 26°Cで発芽させた。新しく生 えた根をつけた球根を、異なる濃度の N—メチルー N,一二トロー N—二トロソグァ二ジン( MNNG)を含有する水で満たした couplinジャー上に置いて、 MNNG処理(0.025、 0050 、 0.075、および 0.10%)を行った。 MNNGは変異原性を有する強力なメチル化剤で、 突然変異の誘発に広く用いられて 、る物質である。
前 (A)、後(B)および同時 (C)の 3種類の処理を行った。前処理では、 Lash処理( 0.25、 0.50、 0.75、 1.0%で 2時間)の後で MNNG処理(0.1%MNNGで 2時間)を行った 。後処理では、 MNNG処理の後で Lash処理を行った。同時処理では、異なる濃度の Lashを MNNG (0.1 %)と共に加えた。 MNNG (0.1 %)および Lashの溶解用溶媒である DMSO (1.0%)を対照として用いた。
処理された根を、流水で完全に洗浄し、必要に応じて、コルヒチン処理 (0.25%、 6 一 8°Cで 1一 2時間)により細胞を分裂中期で停止させ、 Farmer液 (氷酢酸:エタノー ル、 1 : 3)中 24時間の処理で固定し、 70%エタノールに移して 6— 8°Cで保存した。 染色体の分析のために、押しつぶし標本を作製した。根端を、 60°Cの 1Nの HC1に 1 分間浸し、 1Nの HC1と酢酸オルセイン(1 : 9)の入った時計皿に移し、間歇的に 3— 5 分間加熱した。先端部分を切断し、スライドグラスに載せ、 45%酢酸を滴下してカバ 一グラスをかぶせ、マッチ棒でたたいて押しつぶし、 DPXで封入して顕微鏡で観察し
分裂周期の異なる段階で、細胞数を計数し、各種タイプの染色体異常を記録した。
8— 10の根端からの約 300の分裂中の細胞を各処理毎に計数した。 Lash有りと無し のものについて染色体異常発生の割合を計算した。
腿
MNNG (0.25— 0.1%)処理により、図 1に示すような染色体異常(10— 30%)が生じ た。染色体異常は、生理的な異常と染色体異常誘発性の異常に分類された。生理 的な異常として C-有糸分裂(C- mitosis)、付着 (stickness)、後期の遅れ (delayed anaphase)、染色体の移動の遅れ (lagging chromosome)、染色体の迷走 (vagrant chromosome)が見られ、染色体異常誘発性の異常として染色体分離障害 (chromatin bridges)ゝ染色体切断 (chromosomal break)ゝセントロメァの破壊 (centromere break) 等が見られた。
Lashによる前 (A)、後(B)、および同時 (C)処理の結果、 MNNGの遺伝毒性に対す る用量依存性の保護効果が観察された。結果をまとめたものを以下に表 1として示す 。 l%Lash処理により最大 92%の割合で染色体異常の発生が阻止された。
[表 1]
ネガティブ 0.25%Lash (n=300) 0.50%Lash (n=300) 0.75%Lash (n=300) 1 %Lash (n=300) 染色体異常 3ン卜□一
のタイプ ル(n=300)
異常細胞 異 ^ oコ常細胞 異' ffi'ifl胞 I II l止 (%) 異 ft$fl胞 PI Uh(%) 異常制胞 I H 異 ft ϊίβ胞 【止 (%)
II - A B c A B C A B C A B C A B C A B C A B C A B C 生理的
C-有糸分裂 5 18 15 10 14 10 10 7 11 10 8 10 8 6
付着 3 15 6 8 8 - - - 6 5 5 - - - 7 4 7 - - - 1 4 4 - - - 後期の遅れ 一 7
移動の遅れ - 6
迷走 - 4 5 4 1 - - - 2 一 一 - 一 - 一 - - - 一 一 - - 1 一 一 一 生理的異常
の 8 50 26 22 23 57.1 66.6 64.2 18 15 12 76.1 38.3 90.4 18 14 15 76.1 85.7 83.3 11 12 11 92.8 90.4 92.8 染色体異常
誘発忤
分離障害 19 8 5 6 4 2 5 4 3 3 2
切断 4 21 6 10 9 - - - 7 8 7 - 一 一 5 8 5 - - - 5 7 5 - - - 染色体異常
誘発性異常
の合計 4 40 14 15 15 72.2 69.4 69.4 11 10 12 80.5 83.3 77.7 9 8 8 86.1 88.8 88.8 8 7 7 88.8 91.6 91.6 染色体異常
の合計 12 90 40 37 38 64.1 67.9 66.6 29 25 24 78.2 83.3 84.6 27 22 23 80.7 87.1 85.8 19 19 18 91.0 91.0 92.3 n : 観察した分裂中の細胞の数
A:前処理; B :後処理; C :同時処理
以上の結果から、 Lashが、抗変異原性および抗遺伝毒性の活性を有する成分を含 むことが明ら力となった。
[0043] 実施 ί列 3 11重 に する 尺 な ¾t阳. ) ¾
ヒトの正常細胞および腫瘍由来細胞を Lashで処理する実験を行って、腫瘍細胞に対 する効果を検討した。
[0044] 試験方法
正常な二倍体の繊維芽細胞 (TIG-1)、骨肉腫 (Saos-2および U20S)、および乳癌( MCF7)の細胞を、 10%ゥシ胎児血清(FBS)を加えたダルベッコの改変イーグル最小 培地(DMEM、 Gibco 11885-084)で、加湿インキュベータ内(37°C、 5%C02)で培養 した。細胞(約 50— 60%コンフルェント)を Lash (3— 24 g/ml)で、所定の時間、連 続あるいは間歇的に処理した。
Lashの細胞生存率に対する効果を調べるために、テトラゾリゥム塩 WST-1を発色基 質とする WSTキット (WST_1、 Roche)を用いて細胞増殖アツセィを行った。生細胞のミ トコンドリアにより WST-1が分解されて水溶性ホルマザン塩が生成する。細胞数と生 成するホルマザンの量は直線的な比例関係にあるため、ホルマザンの発色を吸光度 で測定することにより、容易に生細胞数を計測することができる。
まず、細胞を 96穴プレートに蒔き、 40— 50%コンフルェントまで培養し、異なる濃 度の Lashで処理した。 Lashなしの培養を対照とした。細胞を WST-1をカ卩えた培地中 で 1時間、 37°Cの C02インキュベーター内に置き、マイクロプレートリーダーを用いて 450nmの吸光度でホルマザンの発色を測定した。
比較のために、 H 0 (30-300 Mで 2時間、その後通常の培地で 24— 72時間培養)
2 2
、あるいは 1一 10 Mの 5,ーァザ— 2,—デォキシシチジン(5し Aza) (24— 72時間)によ る処理も行った。これらは、それぞれ酸化ストレスおよび脱メチルイ匕により、細胞に老 化様の増殖阻害を起こすことが知られて 、る物質である。
対照群は、溶媒のみを加えた培地で培養した。
[0045]
1)形態変化
細胞を約 40%コンフルェントの時に処理し 24時間毎に観察した。図 2に細胞の形態
の顕微鏡写真を示す。対照(Control)の培養は腫瘍由来細胞 (Saos-2、 U20S、 M CF7)および正常細胞(TIG- 1)のいずれも 48時間後にコンフルェントとなった。腫瘍 由来細胞は、 H 0または 5'-Azaまたは Lashでの処理により、明らかに増殖が抑制さ
2 2
れた。細胞の形態面においても、処理群の腫瘍細胞は肥大し、扁平となり、未処理 対照群の細胞とは異なっていた。正常細胞は、 H 0または 5'_Aza処理によって増殖
2 2
が遅れた力 Lash処理によっては形態および増殖速度において影響を受けな力つた
2)増殖アツセィ
各処理群の細胞数を Neubauer血球計算版でカウントした。同数の細胞を 6穴デイツ シュ中に蒔き、対照および処理に供した。 24時間おきに 96時間まで、対照および処 理群からそれぞれ 1デッシュずつ採取し、細胞数をカウントした。対照および処理群 での各時点における細胞数をプロットして増殖カーブとした。
各種細胞の増殖カーブを図 3に示す。 24時間処理後の細胞数の落ち込みにより示 されるように、腫瘍由来細胞は Lashで処理された場合に顕著な増殖の遅れをみせた o他方、正常細胞では処理後 48時間および 72時間で 3つの独立した実験において やや遅れをみせた力 処理後 24時間時点では何も影響がな力つた。
H 0および 5'_Aza処理による実験の結果、(0正常細胞は腫瘍由来細胞よりも H 0
2 2 2 2 に対して感受性であり、 Gi)5'-Azaは腫瘍由来細胞に対しては若干の増殖阻害を起こ した力 正常細胞に対しては本実験の条件ではほとんど影響を与えな力つた。
3)コロニー形成アツセィ
Lashによる腫瘍由来細胞の増殖阻害作用を示す結果がコロニー形成アツセィにお いても得られた。 1000個の細胞を 10cmシャーレに蒔き、対照および処理群で、コ口- 一形成を 2週間観察した。図 4に結果の写真を示す。腫瘍由来細胞のコロニー形成 能は Lashによって明らかに阻害された。
図 5に、通常の培地及び Lashを添カ卩した培地で培養した細胞の WSTアツセィの結 果を示す。グラフ縦軸(WST Assay-Absorbance)は、ホルマザンの発色を測定した吸 光度を示し、生細胞数とは直線的な比例関係にある。 Lashにより、腫瘍由来細胞の 細胞数は減少した力 正常細胞の細胞数は変化しな力つたことがわかる。
以上のデータから、 Lashは正常細胞にはほとんど影響を与えず、腫瘍由来細胞に 選択的に作用する増殖阻害活性を有することが明らかとなった。
[0046] 実施 ί列 4 11重 ώ 纏 に]^尺 な D53H重 サブレッサー の活件ィ
野生型の ρ53タンパク質を有する正常 (TIG-1)および腫瘍由来 (骨癌由来の U20Sお よび乳癌由来の MCF-7)ヒト細胞において、異なる処理に対する ρ53タンパク質のレ ベル及び活性の変化を調べた。また、 ρ53と相互作用するタンパク質であるモータリン の細胞内分布を観察することにより、 Ρ53—モータリン相互作用に対する Lashの影響を 調べた。
[0047] 試験方法
Lash, H 0および 5'-Azaで 48時間処理された細胞を集め、 p53およびその下流の
2 2
エフェクターである P21WAF1のレベルを、特異的な抗体を用いたウェスタンブロッテイン グにより調べた。
1)ウェスタンブロッテイング
SDSポリアクリルアミドゲル上に分離されたタンパク質試料 (20 g)を、セミドライトラ ンスファーブロッターを用いてエレクトロブロッテイングにより-トロセルロース膜( BA85,Schleicher and Schuell)上に移した。抗モータリン、抗ァクチン(Chemican International)、抗 p21 1 (C— 19 Santa Cruz)ゝおよび抗 p53 (DO— 1 Santa Cruz)抗 体によるィムノアツセィを行った。形成された抗体複合体を、抗ゥサギ免疫グロブリン G (igG)と結合した西洋わさびペルォキシダーゼにより可視化した (ECL kit,
Amersham Pharmacia Biotech)
2)抗体染色
12穴培養皿中に置いたカバーグラス上で細胞を培養し、処理を行った。処理の最 後に、カバーグラスを冷やしたリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、予め冷やして おいたメタノール Zアセトン(1/1 v/v)混合液により 5分間氷上で固定した。固定され た細胞を PBSで洗浄し、 0.2%の Triton X-100を含む PBS中で 10分間処理し、 2%ゥシ 血清アルブミン(BSA)を加えた PBSで 20分間ブロックした。細胞を抗 p53抗体(DO- 1, Santa Cruz)、モノクローナル抗モータリン抗体(Affinity Bioreagents MA3- 028)ある いはポリクローナル抗モータリン抗体(Wadhwa et al. 1993)で染色した。抗体染色は
、ャギ抗ゥサギ IgG (Alexa- 594-結合)(Molecular
Probes)及び抗マウスモノクローナル IgG (Alexa- 488-結合)(Molecular Probes)を用い た二次染色により可視化された。 0.1%の Triton X-100を含む PBS中で 6回洗浄した 後、細胞の上に Fluoromount (Difco)を滴下してカバーグラスを載せた。細胞を蛍光 装置を備えた Carl Zeiss顕微鏡で観察した。 Metamorophイメージングソフトウェアを使 用して像を処理し(Universal Imaging)、 TIFFファイルとして保存し、 Adobe Illustrator にインポートして整理した。 図 6にウェスタンブロッテイングの結果を示す。腫瘍由来細胞(MCF-7、 U20S)及び 正常細胞(TIG- 1)を H 0、 Lash, 5'-Azaで処理し、 p53及び p21WAF1タンパク質の発現
2 2
レベルを調べた。ローデイング量検討用対照としてァクチンを用いた。
p53タンパクのレベルは、 U20S (腫瘍細胞)および TIG-1 (正常細胞)の両方で、 Lash処理により顕著に増加した。 MCF7 (腫瘍細胞)においては、 p53タンパクのレべ ルのはっきりとした上昇はみられなかった。
p53の転写活性は p21WAF1タンパク質のレベルにより検出される。 Lash処理により、 p21WAF1タンパク質のレベルは、 U20Sおよび MCF-7細胞の両方において未処理対照 よりも上昇した力 TIG-1(正常)細胞においては変わらな力つた。この結果は、 Lash 力 ¾53の転写活性を腫瘍細胞において選択的に活性ィ匕するということを示す。
しかしながら、上述の結果より、 Lashは、 MCF7細胞内において p53タンパクのレべ ルのはっきりとした上昇を伴わずにその活性ィ匕を亢進させるようにみえたので、 p53の 活性が別に何らかの形で調節されている可能性があると考え、 Lashと p53—モータリン 相互作用との関連を調べた。
モータリンは腫瘍細胞において野生型 P53と結合することにより p53を細胞質へ保持 させ、 p53活性を抑制する。従って、モータリンと p53の結合を妨げることにより、 p53が 活性化されると考えられる。
p53とモータリンの二重染色を図 7に示す。明らかに多数の Lash処理された MCF-7 細胞が p53 (緑色の染色)を核内に有することが示された。興味深いことに、モータリン (赤色の染色)の染色パターンとして、核周辺が染色されることが未処理の腫瘍細胞
に特徴的であった力 Lash処理された腫瘍細胞ではこれが細胞質全体のパターンへ と変化する様子が観察された。モータリンの細胞内分布として、細胞質全体に見られ るということは正常細胞のマーカーとしての特徴とされており、腫瘍細胞は核周辺型 の(細胞質全体ではな 、)染色パターンを示す。ローダシァニン色素(MKT-077)また はプロモォキシゥリジン (Brdu)での処理によって老化様の増殖阻害を誘導された腫 瘍細胞は、核周辺型力 細胞質全体型の染色パターンへの変化をみせたことが報 告されている
(Wadhwa et al., 2000)。
本実験結果により、 Lashは、 p53—モータリン相互作用を妨げ、腫瘍サブレッサーで ある P53を活性ィ匕することによって腫瘍細胞において老化様の増殖阻害を起こすの ではな!/、かと!/、うことが示唆された。 Lash処理された U20Sおよび p53を欠損する Saos-2細胞におけるモータリンの細胞内分布についても同様に、細胞質全体型の染 色パターンへの変化が観察された(図 7および図 8 :図 8においては、モータリンが赤 色、核が核染色剤である Hoescht dyeにより青に染色されている)。 H 0および
2 2
5'-Aza処理(これらは老化を起こす物質として知られる)された細胞にお!、ても、 Lash 処理と同様のモータリン分布の細胞質全体型の染色パターンへの変化がみられた。 これらのデータは、 G)H 0や 5'-Azaと同様に、 Lashも腫瘍細胞におけるモータリン
2 2
の細胞内分布の変化を引起すこと、 GOLashが腫瘍細胞において選択的に p53を活 性化すること、を示す。
[0049] 実施例 5 テロメラーゼ阻害活性
実施例 3の結果から、 p53を欠損する Saos-2細胞も Lash処理によって増殖が抑制され ることが判明した。したがって、 p53-p21WAF— 1経路とは別個の経路も、 Lashによる腫瘍 細胞に選択的な増殖阻害に関与しているのではないかということが示唆された。 そこで、対照および Lash処理された腫瘍細胞において、テロメラーゼ活性を調べた
[0050] 試験方法
テロメラーゼ陽性である MCF-7細胞を Lash、 H 0、または 5'_Azaで処理し、以下に
2 2
記載する TRAPアツセィに供した。
テロメァ繰り返し配列増幅法(Telomere Repeat Amplification Protocol: TRAPアツセ
Kim et al., 1994 (非特許文献 21)の記載に従って、 PCRに基づく TRAPアツセィを 用いてテロメラーゼ活性を調べた。 MCF- 7細胞を 50%コンフルェントまで培養し、 Lash (24 g/ml)で 48時間処理した。 0.01%トリプシンを用いて細胞を集め、氷冷し た PBSで洗浄し、細胞抽出用緩衝液中で溶解処理し、 TRAPアツセィに供した (Telo TAGGG Telomerase PCR ELISA, Roche)。 PCR産物を、 12%ポリアクリルアミドゲル 上で SYBR-Gold核酸ゲル染色剤による染色で可視化した(S-l 1494,Molecular Probes, USA)。
[0051] ¾
図 9Aに H O、 Lashおよび 5'-Azaで処理された MCF-7細胞における TRAPアツセィ
2 2
の結果を示す。対照(Con.)は未処理の細胞であり、さらに比較のため、 PCR反応に Lashを添カ卩した結果を Con.+Lashとして示す。
Lashで処理された細胞は、テロメラーゼ活性を明らかに喪失していた力 H 0およ
2 2 び 5'-Azaで処理された細胞においては何も変化が見られなカゝつた。
PCR反応に Lashを添加してもテロメラーゼ活性に影響はなぐ Lashは細胞内におけ るテロメラーゼの機能そのものに影響を及ぼすことが強く示唆された。
図 9Bに、 Lash並びに他の薬剤(H 0、 5-Aza)で処理された MCF-7細胞の TRAP—
2 2
ELISAの結果を示す。 Controlのレーンは未処理の細胞抽出物の TRAP活性である。 Control+Lashのレーンは、未処理の細胞抽出物に対して PCR反応中に Lashを加えた 結果である。 Negative controlは、正常ヒト細胞において TRAP活性が存在しないこと を示す。
図 9Cに MCF-7細胞の TRAP活性に対する各種濃度の Lash処理の経時変化を示す 。 Lashは、用量依存的にテロメラーゼ活性を阻害したことがわかる。
以上の結果は、 Lashによる腫瘍細胞の選択的増殖阻害のメカニズムの一つは、テ ロメラーゼ阻害作用〖こよるものであることを示す。
[0052] 実施例 6 杭酸化及び脱,メチル化活件
細胞を高濃度グルコース培地で培養するカゝ、 H 0で処理することにより酸化ストレス
を発生させると共に Lashで処理した。し力しながら、 Lashは H 0あるいは高濃度ダル
2 2
コースのいずれにより引き起こされた酸ィ匕損傷に対しても、明らかな保護 (抗酸化活 性)を示さな力つた。
5'-Azaによる細胞の増殖阻害は、脱メチルイ匕活性及び pl6INK4A発現の誘導の結 果であるとされてきた。そこで、 Lashも何らかの脱メチルイ匕活性を有する力否力、メチ ル化によって P16INK4Aをサイレンシングさせた U20S細胞を用いて調べた。その結果 、 Lashによる pl6INK4A発現の誘導は見られず、 Lashは脱メチル化活性を有さないこ とがわかった (データは示さな 、)。
[0053] 実施例 7 in vivoでの腫瘍抑制作用
悪性腫瘍であるヒト線維肉腫細胞由来の HT1080細胞を移植したヌードマウスを用い て、 Lashの iiudXQでの腫瘍抑制作用を調べた。図 10及び図 11に結果を示す。 図 10の実験においては、まず、 HT1080細胞(106個)を 3匹のヌードマウスに注射し た。翌日(day 1)に、 3匹のうち 2匹のマウスに Lash (DMEM中、 10— 15 g)を注射し た。その後 12日間、腫瘍の進行を観察した。 Lashを注射された 2匹のマウスではいず れも腫瘍の形成及び進行が顕著に抑制された。
図 11の実験においては、 HT1080細胞(106個)をヌードマウスに注射し、小さな腫瘍 塊の形成が見られた時(day 4)に、 Lash (DMEM中、 10— 15 μ g)を注射した。その後 11日間、腫瘍の進行を観察した。 Lashを注射した後は、腫瘍の進行が抑制され、さ らに腫瘍塊が縮小した。
このように、 Lashと腫瘍由来細胞を一緒に注射した場合も、腫瘍塊が肉眼で確認で きるようになった段階で Lashを注射した場合も、 Vヽずれも iojdX2での腫瘍の形成及び 進行が抑制されたということは注目に値する。この結果は、 Lashが癌の治療に有用な 成分を含むことを強く示唆するものである。
[0054] 実施例 8 野牛.型ある ヽは栾 ¾¾ίΡ53を持つ形皙転椽細胞の増殖停止
正常細胞 (TIG-1)と、野生型 Ρ53を持つ形質転換細胞 (MCF7)、変異型 Ρ53を持つ 形質転換細胞(PC14,SKBR3,HS578T)を Lashで処理した。生存して 、る細胞の割合 を WSTアツセィで測定した。結果を図 12に示す。生存率(%survival)は、コントロー
ル (DMSO)に対する生存細胞数の割合で表して!/、る。
正常細胞の生存が Lash処理によって影響を受けて!/、な!/、のに対して、 V、ずれの形 質転換細胞も増殖停止していた。データは、 Lashが、野生型 P53と変異型 P53のどち らを持つ癌細胞にも効果があることを示した。
また、変異型 P53を持つ形質転換細胞(HT1080,HS578T,SKBR3,PC14)を Lash (24 /z gZml)で処理し、細胞数を毎日集計することで生存率を調べた。結果を図 13に 示す。図中、破線が Lash処理していないコントロールであり、実線が Lash処理された 細胞である。
ここで留意すべきは、変異型 P53を持つ形質転換細胞が増殖停止して 、ることであ る。
[0055] ¾施例 9 ¾¾ίΡ53 持つ形皙転橼細胞のアポトーシス
ヒト癌由来細胞(HeLa、野生型 p53)と SKBR3 (変異型 p53)に Lashを処理し、 TUNEL 染色(細胞のアポトーシスのマーカである)について調べた。結果を図 14に示す。 Lashは野生型 p53を持つ形質転換細胞に増殖停止を引き起こし、変異型 p53を持つ 形質転換細胞にはアポトーシスを引き起こした(PI :propidium iodideは核の染色)。 ここで留意すべきは、突然変異型 p53を持つ細胞だけに TUNEL染色が見られたこ とである。データは、 Lashが野生型 p53または突然変異型 p53を所持する癌細胞に、 異なったメカニズムで作用することを示唆する。つまり、 Lashが野生型 p53を活性ィ匕す る結果、野生型 p53を所持する癌細胞が増殖停止するのに対して、変異型 p53所持 癌細胞はアポトーシスを起こす。
[0056] 実施例 10 癌細胞の変異型 D53の減少及び Lashによる突然変異型 Ό53の野牛.型 Ό
53への転換
変異型 P53を所持する癌細胞に Lashを処理し、 p53タンパク質及び p53の下流の因子 (MDM2、 p21WAFl、 BAX)を指標としてウェスタンブロッテイングで解析した。結果を 図 15に示す。 Lash処理有り(+)または無し (一)のサンプルにおけるタンパク質量を比 較するため、サンプルを電気泳動する量のコントロールのためにァクチンを使用した 留意すべきは、 Lash処理した各レーン (+)において(SKBR3を除いて)、総じて、変
異型 p53タンパク質の量が減少して 、たことである。使用した抗 p53抗体 (DO-1、 Santa Cruz)は、野生型と変異型のいずれの p53も認識する力 Lash (+)のレーンにお ける p53量の減少は変異型の野生型への変化を示す。(注意:セルライセート中の正 常型 p53の半減期は 20分と短いのに対し、変異型 p53の半減期は 2時間と安定であり 、従って、野生型と変異型のいずれの p53も認識可能な抗 p53抗体は、実験の過程で 安定に存在する変異型 P53を主に検出する。)さらに留意すべきは、最も著しく変異型 p53が減少して 、るレーン (PC14)では、指標とするすべての下流因子(
MDM2,p21WAFl,BAX)が発現され、正常な p53の機能が発現していることを強く示 唆することである。
また別の実験で、突然変異型 p53所持細胞に Lashを処理し、野生型 p53タンパク質 に特異的な抗体 (Ab-5、 Calbiochem)で免疫沈降した。結果を図 16に示す。
留意すべきは、 Lash処理したサンプルにおいてだけ、野生型 p53が沈降しているこ とである。これは、培養細胞中で、 Lashにより変異型 p53が野生型 p53へと変化し、野 生型 p53が存在することを示す。
以上の結果は、 Lashが変異型 p53の機能を回復させて野生型の正常な機能を与え ることを示唆している。すなわち、 Lashにより変異型 p53が野生型 p53へと変化し、核 内移行後、野生型 P53サブレッサー経路が活性ィ匕され、下流にある BAX、 p21WAFl、 MDM2などが発現されると考えられる。なお、 BAX、 p21WAFl、 MDM2のいずれが野 生型 p53サプレッサー経路によってスィッチオンとなるかは、セルラインに依存する。
実施例 11 Lash処理した変異型 D53所持細朐における、野牛.型 D53の活性
野生型 p53に特異的なルシフェラーゼリポータを指標として、 Lash処理した変異型 p53 所持細胞 (HT1080、 U20S、 PC 14)が野生型の機能を持つようになるかどうか調べた 正常型 P53のみが結合して転写活性を発揮するプロモーターの下流にレポーター 遺伝子となるルシフェラーゼ遺伝子をつないだベクターを用意し、これを、各セルライ ンにトランスフエクシヨンしたものを Lashで処理した。結果を図 17に示す。
グラフに示されるように、 Lash処理をしていないコントロール (Control)に比べ、 Lash 処理後のノレシフェラーゼ活'性(縦軸: p53 dependent reporter (luciferase) activity)力 S
明らかに高くなつていた。
この結果は、 Lashにより変異型 p53所持細胞が野生型の機能を持つようになることを 示し、実施例 10の結果と一致していた。
[0058] 実施例 12 in vivoでの腫瘍抑制作用に関するウイザフェリン Aと Lashの比較
ヌードマウスに HT1080細胞(5 X 105)を注射した後、 Lash (48 μ g/mlを 0. 2ml、 4日 間毎)またはウイザフェリン A (2 μ Μを 0. 2ml、 4日間毎)を注射して in
での腫瘍抑制作用を調べた。結果を図 18に示す。
ウイザフェリン Aは生体内での腫瘍の増殖を抑制しないが、 Lashは腫瘍の増殖を抑 制した。
ここで留意すべきは、 Lashが腫瘍増殖抑制に効果があつたのに対し、ウイザフェリン Aは効果がな力つたことである。実際には、ウイザフェリン Aはいくらかマウスに毒性が あった。ウイザフェリン Aを与えられたマウスは活力に欠けており、体重が減少してや せていた。
[0059] 実施例 13 Lashの経口投与による in vivoでの腈瘍抑制
ヌードマウスに HT1080細胞(5 X 105)を注射した後、マウスに Lash (300mg/KG BW、
100 mg/KG BW)を経口で与え、 iiudXQでの腫瘍抑制作用を調べた。比較のために ウイザフェリン A (10 mg/KG BW、 2 mg/KG BW)も経口で与えた。腫瘍増殖の進行を
20日間観察した。結果を図 19に示す。
写真のように、コントロール (Control)やウイザフェリン A(Withaferin A)を与えたマウス には大きな腫瘍が見られるのに対して、 Lashを与えたマウスの腫瘍芽は著しく小さか つた。 Lashには毒性は全く見られな力つた。ウイザフェリン Aを与えたマウスは、活力 にかけて痩せていた。
[0060] 実施例 14 Lashの構成成分の分析
実施例 1の方法で in vivo植物力 得た Lashのエーテル抽出物を逆相 HLPCに付し、 構成成分を分析した。
HLPCは次の条件で行った。
カラム: YMC- Pack Pro C- 18 (4.6 mm X 150mm)
移動相: A液; 1 % MeOH水溶液
B液; MeOH:EtOH:卜 PrOH=52.25:45.30:2.45
Gradient: 35%B→45%B (25min)
検出: UV: 220nm
カラム温度: 50 °C
流速: lml I min
図 20中の左側のチャートが、この抽出物のものである。標準試料と比較することに より、ピークのうちの 3つはウイザフェリン A(Withaferin A:溶出時間 16.7mins)、ウイザ ノフイト A若しく i¾D(Withanolide A or D: 19.jmins)、 12— deoxywithastramonoliae、 18.8mins)と同定された。次に、一つのメジャーなピークであるピーク 21 (Peak 21: 21.9mins)の化合物を単離し(図 20中の右側のチャート)、以下の実施例 15— 18の 実験に用いた。(以下、単にピーク 21とも称することがある)
また、ピーク 21を MASSと NMRとに供し、以下の化合物として同定した。実施例 1 で in vivo植物力も得られた Lashェ-テル抽出物 300mgをシリカゲル薄層クロマトグラフ ィー(Merck、シリカゲル 60F 、ジクロロメタン:メタノール =10: 1、 Ri^0.43)にて精製
254
し、淡緑色化合物を得た。これをジクロロメタン-メタノールにて、白色粉末 18mgを得 た。 ESI- MASSの結果は、 [M+Na]+=493.2であった。 NMR及び13 C- NMRのケミカル シフト測定値を以下に示す。
1D-NMR
1H-NMR (500MHz, CDCl ):d 0.86 (S, 3H, H— 18),1.04(d, J = 7Hz, 3H,
3
H-21), 1.18(S, 3H, H— 19),1.26—1.40 (m, 3H, H— 11, 15), 1.53—1.6 2(m, 2H, H-9, H-12), 1.67—1.80 (m, 2H, H— 8, H-12), 1.88 (S, 3H, H-27) , 1.94 (S, 3H, H— 28), 1.88—1.95 (m, 2H, H— 16), 1.98—2.07 ( m, IH, H-14) , 2.30—2.35 (m, IH, H— 20), 2.42—2.56 (m, 4H, 17— OH , H-4, 23), 2.67-2.71 (m, IH, H— 4), 2.80—2.84 (m, IH, H— 11), 3.0 5(d, J = 3.7Hz, IH, H— 6), 3.15—3.16 (m, IH, 5— OH), 3.31—3.33 (m, IH, H-7), 4.59-4.63 (m, IH, H— 22), 5.85(dd, J=10. 1, 2.6Hz, IH, H-2), 6.58-6.61 (m, IH, H— 3)
13C-NMR(125MHz, CDCl ):d 9.5(C— 21), 12.3(C— 27), 14.7(C— 19), 1
5. KC-18), 20. 5 (C-28) , 21. 6(C— 11), 22. 9(C— 15), 32. 5(C— 12), 32 . 8 (C-23) , 35. 2(C-9), 36. 0(C— 8), 36. 7(C— 16), 36. 8(C— 4), 42. 9( C-20) , 45. 9(C— 14), 48. 7(C— 13), 51. 0(C— 10), 56. 3(C— 6), 57. 2(C -7), 73. 2(C-5), 78. 7(C— 22), 84. 6(C— 17), 121.4(C— 25), 129. 0(C -2), 139. 7 (C-3) , 150. 4(C— 24), 167. 1(C— 26), 203. 1(C— 1)
以上より、ピーク 21は既知化合物のウイザノン (Withanone)であることが判明した。 実施例 15 Lashの構成成分の 細朐 に針する効果
正常なヒト線維芽細胞(MRC5及び TIG- 1)及び癌細胞(U20S、 MCF7)を Lash (24 μ g Zml)及びその成分であるウイザフェリン A (0.05 μ Μ)、ウイザノライド A (8 μ Μ)、 12-deoxywithastramonolide (8 M)、及びピーク 21 (25 μ g/ml)で処理した。 48時間 の処理の後、細胞数を計数した。結果を図 21のグラフで示す。
グラフからわ力るように、 Lashとピーク 21は選択的に癌細胞の増殖を抑制したが、 正常細胞は普通に増殖した。ウイザフェリン Aは正常細胞に対して毒性であった。ウイ ザノライド Aと 12-deoxywithastramonolideは細胞増殖に何ら影響を与えなかつた。ま た、ピーク 21をウイザフェリン Aと共に加えた場合、ウイザフェリン Aの正常細胞への 毒性が幾分か中和されたことは留意すべきである。
また、別の実験で、ヒト正常細胞 (MRC5)及び癌細胞 (U20S)を、ピーク 21 (20、 50/zgZml)で 48時間処理した。ポジティブコントロールとして Lashを用いた。結果を 図 22に示す。
ピーク 21の存在下で、 Lashの場合と同様に、癌細胞は増殖停止する一方で正常 細胞は普通に増殖した。
さらに別の実験で、ヒト正常細胞(MRC5)及び癌細胞 (U20S)を、 Lash (24
ml)、ウイザフェリン A (0.05 μ Μ)、ピーク 21 (25 μ g/ml)、ウイザフェリン A (0.05 μ Μ )とピーク 21 (25 μ g/ml)の組合わせ、で 36時間処理した。結果を図 23に示す。 ピーク 21は癌細胞のみに増殖停止を引き起こし、ウイザフェリン Aは正常細胞と癌 細胞の両方を殺した。ウイザフェリン Aとピーク 21を一緒に加えた場合には、より強い 効果 (相乗効果)が癌細胞のみにおいて観察された。正常細胞においては、これら 2 つの成分を一緒に加えて処理すると、ウイザフェリン A単独と比較してよ ヽ生残率を
示した。
以上の結果が示唆するのは、ピーク 21が、正常細胞に対するウイザフ リン Aの毒 性を中和するということである。よって、癌細胞において、ウイザフェリン Aとピーク 21 の組合わせも細胞増殖の停止に有効であることが判明した。
また別の実験で、ウイザフェリン Aの正常細胞への毒性に対するピーク 21の効果を 調べた。結果を図 24に示す。
正常細胞(TIG- 1)を Lash及び種々濃度のピーク 21 (12.5、 25、 50 /z gZml)で処理 した場合、細胞の増殖は普通であった。つまり、増殖の停止は観察されな力つた。こ れは図 22及び図 23の MRC5細胞の場合と同様の結果である。一方、ウイザフェリン A (0.05 μ Μ)で処理した正常細胞は増殖停止を示した力 ピーク 21 (12.5、 25、 50 μ g/ml)を共に加えると細胞の増殖停止は回復した。
この結果も、ピーク 21が正常細胞へのウイザフェリン Aの毒性の中和作用を有する ことを示すものである。
さらに別の実験では、 PD50 (PD:Population Doubling)の老化した正常ヒト繊維芽細 胞 (WI38)への Lash及びピーク 21の効果を調べた。結果を図 25に示す。
Lashとピーク 21は、実験したいずれもの濃度において、非毒性であった。一方、ウイ ザフェリン Aは増殖停止と細胞損傷を引き起こした。留意すべきは、ウイザフェリン Aと ピーク 21で一緒に処理された細胞は、形態においてより良い状態と見受けられること である。この結果は、図 21において TIG細胞や MRC5細胞で観察された結果と一致 する。
古い細胞に対して非毒性であるということは、ピーク 21が高齢者の細胞に対して安 全性が高いということを示唆する。また、前の実験において、ピーク 21はウイザフェリ ン Aに供された正常細胞の生残率を向上させた。よって、ピーク 21は単独あるいは 他の成分と組合わせた場合の 、ずれにぉ 、ても、抗老化 (アンチエイジング)因子( 又は抗加齢因子)としても作用し得ると考えられる。この作用については、後述の実 施例 18 (図 29、 30)においてさらに確認した。
実施例 16 正常型 D53機能の誘導
正常細胞 (TIG-1)及び癌細胞 (U20S)における野生型 p53機能の誘導にっ 、て、
p53と p21WAFl (p53下流のエフェクター)を指標としたウェスタンブロットにより調べた 。結果を図 26に示す。図上段に示す通り、細胞を Lash、ウイザフェリン A及びピーク 2 1で処理した。
Lashとピーク 21のいずれによっても、 p53及び p21WAFlの両方が癌細胞(U20S)に おいて増加した(レーン 1に対してレーン 2と 3を比較)。正常細胞(TIG-1)において は、 Lashで処理しても p53と p21WAFlの量は変化しなかった(レーン 4と 6の比較)。 留意すべきは、(0ピーク 21が p53と p21WAFl発現量を減少させたこと(レーン 4と 5 の比較)、及び GOピーク 21がウイザフェリン Aにより誘導された p21WAFl発現量を減 少させていたこと(レーン 7、 8、 9の比較)である。この結果は、ピーク 21及びウイザフ エリン A (0.05 μ Μ)で処理された細胞はウイザフェリン Α単独処理の細胞よりも健康で あつたという、図 21 (生存率)及び図 23— 25 (細胞の形態)における結果と一致する。 つまり、図 21— 26に示された結果は次のことを示唆する。 Lashと同様に、ピーク 21は 癌細胞に選択的に P53機能の誘導を起こす。しかも、ピーク 21は抗毒性作用を有す る。さらに、ピーク 21は細胞をより健康にする。
また、図 27は、 Lashまたはピーク 21で処理した U20S細胞の p53に対する抗体染色 の像である。 Lash及びピーク 21のいずれで処理されたものにおいても、 p53による強 力な核染色が見られる細胞数が増加したことがわかる。
¾施例 1 7 テロメラーゼ活件
Lash,ピーク 21、ウイザフェリン A等で MCF7細胞を処理 (36時間)した時のテロメラー ゼ活性を調べた。結果を図 28に示す。
Lash (24 μ g/ml)及びピーク 21 (25、 35、 50 μ g/ml)によりテロメラーゼ活性が阻害 された。一方、ウイザフェリン Aそれ自体ではテロメラーゼに対して影響が無ぐウイザ フェリン Aとピーク 21を組合わせて処理すると阻害的に作用した。
この結果により、次のことが示唆される。つまり、ピーク 21は単独及びウイザフェリン Aと併用した場合に、テロメラーゼ阻害活性を有する。し力も、正常細胞はテロメラー ゼ活性を有さないので、ピーク 21 (ウイザフェリン A等の他の化合物と併用する場合も 含む)は癌細胞に選択的に作用する。この活性は抗癌作用として有用であると思わ れる。
[0064] 実施例 18 Lash及びピーク 21のアンチエイジング作用
癌細胞(U20S)、及び老化した正常ヒト線維芽細胞 (WI38、 MRC5)に対して Lash及 びピーク 21処理を行った。 p21WAFl発現レベルを指標としたデータを図 29に示す。
P21WAF1のレベルは癌細胞では増加しているのに対し、正常細胞(WI38、 MRC5) では減少した。 p21WAFlは細胞老化のマーカであることから、老化した正常細胞に おける P21WAF1の減少は、老化した正常細胞の生存可能性の上昇(実施例 15)と整 合する結果といえる。
また、老化した正常細胞 (WI38)を Lash又はピーク 21で処理 (60時間)して、モータ リンと p53について抗体染色した結果を図 30に示す。この写真は Photomerics Synsys monochrome CCDカメラを装着した Carl Zeiss顕微鏡で撮影したものである。 2 つのタンパク質(モータリンと p53)染色を重ね合わせた像を Metamorphソフトウェアを 使用して解析した。
留意すべきは以下の点である。(i)Lashとピーク 21で処理された培養細胞では小さく て若く見える細胞 (小さくてスピンドル形状)が存在する (ii)加齢細胞 (フラットで大きく 不規則な形状)は p53ポジティブであり、 Lashやピーク 21処理をしてもさらに p53の核 染色は増大していない。これは図 27において癌細胞で p53の核染色が増大したのと は対照的である。
以上の結果は、 Lashとピーク 21は、腫瘍細胞殺傷を目的とした p53活性の誘導に 関して老化したヒト正常細胞に対する安全性が高いのみならず良好な抗老化作用( アンチエイジング作用)を発揮することを示唆する。
[0065] 参考文献
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産業上の利用可能性
本発明により、ァシュヮガンダ葉抽出物の抗腫瘍作用及び抗老化作用(抗加齢作 用)が科学的に明らかとなり、その新しい医薬用途もしくは保健用途もしくは医薬部外 品用途もしくは化粧品用途の開拓に資することが可能となった。例えば、ァシュヮガ ンダ葉抽出物は、腫瘍細胞に選択的な増殖阻害作用が関連する疾患の治療用また は予防用組成物の生産に利用することができる。この細胞増殖阻害作用は腫瘍細胞 に特異的であり、正常細胞には作用しないため、副作用のない新たな抗がん剤の開 発に利用可能である。また、ァシュヮガンダ葉抽出物は、老化した正常細胞を健康に する抗老化作用が関連する抗老化医療の治療用または老化予防用組成物の生産 に利用することができる。また、ァシュヮガンダ葉抽出物は、老化した正常細胞を健 康にする抗老化作用が関連する医薬部外品もしくは化粧品などの生産にも利用可 能である。また、ァシュヮガンダ葉抽出物は、抗老化作用または抗腫瘍作用を有する 食品、栄養補助食品などの生産にも利用可能である。
また、本発明により、ァシュヮガンダ葉抽出物から単離した成分の抗腫瘍作用及び 抗老化作用が科学的に明らかとなり、その新しい医薬用途もしくは保健用途もしくは 医薬部外品用途もしくは化粧品用途の開拓に資することが可能となった。例えば、そ の単離成分に該当する化合物それ自身またはその他の化合物と混ぜたものは、腫 瘍細胞に選択的な増殖阻害作用が関連する疾患の治療用または予防用組成物の 生産に利用することができる。この細胞増殖阻害作用は腫瘍細胞に特異的であり、
正常細胞には作用しな 、ため、副作用のな 、新たな抗がん剤の開発に利用可能で ある。また、その単離成分に該当する化合物それ自身またはその他の化合物と混ぜ たものは、老化した正常細胞を健康にする抗老化作用が関連する抗老化医療の治 療用または老化予防用組成物の生産に利用することができる。また、その単離成分 に該当する化合物それ自身またはその他の化合物と混ぜたものは、老化した正常細 胞を健康にする抗老化作用が関連する医薬部外品もしくは化粧品などの生産にも利 用可能である。また、その単離成分に該当する化合物それ自身またはその他の化合 物と混ぜたものは、抗老化作用または抗腫瘍作用を有する食品、栄養補助食品など の生産にも利用可能である。