WO2005060925A1 - 毛髪化粧料およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

本発明の毛髪化粧料は、毛髪化粧料の主成分たる化粧材に水溶性有機媒体を配合することで、常温で固体の油材を含む毛髪化粧料が水に溶解あるいは分散する。そして、水溶性有機媒体が常温で固体の油材の粘着力によって毛髪に強固に固定されるため、保湿材としての水溶性有機媒体が脱離し難くなり、光沢や潤い等の効果が長期間持続する。本発明の毛髪化粧料の製造方法は、加熱溶融した油材と粉末状の水溶性有機媒体と含む材料を混合して混合物を調製し、冷却固化後の混合物を粉砕して粉末状に形成することで、水溶けに優れ、使用し易い本発明の毛髪化粧料を製造できる。

Description

明細書 毛髪化粧料およびその製造方法

技術分野

本発明は、 毛髪に光沢や潤い等を付与する毛髪化粧料に関する。 背景技術

毛髪に光沢や潤いを付与するための毛髪化粧料としては、 例えばへアコンディ ショナ一やヘアパック等のものが従来より知られている （例えば、 特許文献 1 ) 。 これら毛髪化粧料は、 毛髪に光沢や潤いを付与するために各種材料が配合されて なるものである。

例えば、 毛髪化粧料に保湿材を配合する場合、 保湿材が水を含んだ状態で毛髪 の表面に付着したり毛髪の損傷部に入り込むことで、 毛髪に水分が与えられて潤 いが付与される。 し力 し、 保湿材は洗髪等によって容易に毛髪から離脱するため、 その効果が長期間持続しない問題があった。

一方、 毛髪化粧料に油材を配合する場合には毛髪に光沢が付与される。 しかし、 油材は粘度が高いために、 少量を毛髪に均一に塗布することは非常に困難である。 油材を過剰に塗布すると、 毛髪がベたついたり毛髪同士が絡まり合う等の不具合 が生じる問題があった。

油材を溶剤中に溶解あるいは分散させて溶剤とともに毛髪に塗布することで、 少量の油材を毛髪に均一に塗布することも考えられる。 上述したように、 保湿材 は水を含んだ状態で使用されるため、 油材は水に溶解あるいは分散させることが 好ましい。 しかし、 油材は親水基を持たないため、 そのままの状態では水に溶解 あるいは分散しない問題もあった。

【特許文献 1】

特開 2 0 0 3— 0 2 6 5 4 2号公報 発明の開示

(発明が解決しょうとする課題） 本発明は上記事情を考慮してなされたもので、 光沢や潤い等の効果が長期間持 続するとともに毛髪に略均一に塗布できる毛髪化粧料およびその製造方法を提供 することを目的とする。

(課題を解決するための手段）

上記課題を解決する第 1発明の毛髪化粧料は、 常温で固体の油材と水溶性有機 媒体とを含む化粧材を主成分とし、 水に溶解あるいは分散することを特徴とする。 この化粧材は粉末状であることが好ましい。

上記課題を解決する第 2発明の毛髪化粧料は、 常温で固体の油材と水溶性有機 媒体とを含む化粧材を主成分とし、 化粧材が水に溶解あるいは分散されてなるこ とを特 ί敷とする。

第 1発明おょぴ第 2発明の毛髪化粧料において、 上記油材はロジンであること が好ましく、 上記水溶性有機媒体はカルボキシメチルセルロースであることが好 ましい。

さらに、 第 1発明および第 2発明の毛髪化粧料において、 上記水溶性有機媒体 は上記油材 1 0 0重量部に対して 1 0〜 1 0 0重量部の範囲で含まれることが好 ましい。

第 3発明の毛髪化粧料の製造方法は、 第 1発明の毛髪化粧料を製造する方法で あって、

加熱溶融した油材と粉末状の水溶性有機媒体と含む材料を混合レて油材混合物 を調製し、 油材混合物を冷却して固化させたのちに粉砕して粉末状に形成するこ とを特 ί敷とする。

第 3発明の毛髪化粧料の製造方法において、 上記粉末状の水溶性有機媒体は、 平均粒径が 1 8 0 / m以下であることが好ましい。

(発明の効果）

第 1発明および第 2発明の毛髪化粧料は化粧材を主成分とするものである。 化 粧材は、 保湿材としての水溶性有機媒体と、 常温で固体の油材とを含むものであ る。 本発明の毛髪化粧料では、 化粧材中に含まれる水溶性有機媒体が保湿材とし て働くが、 この水溶性有機媒体は同じく化粧材中に含まれる油材の粘着力によつ て毛髪に固定される。 本発明における油材は常温で固体のものであり常温で高い 粘着力を発揮するため、 水溶性有機媒体が毛髪に強固に固定されて脱離し難くな り、 光沢や潤い等の効果が長期間持続する。

また、 本発明の毛髪化粧料には、 油材とともに水溶性有機媒体が添加されてい るため、 油材の毛髪に対する接触面積が小さくなつている。 したがって、 油材が 過剰に毛髪に付着することはなく、 油材の粘着力によって毛髪がベたついたり毛 髪同士が絡まり合う等の不具合がなくなる。

さらに、 本発明の第 1発明の毛髪化粧料は水に溶解あるいは分散する。 したが つて、 本発明の第 1発明の毛髪化粧料は水に溶かして （あるいは分散させて） 用 いることができ、 毛髪化粧料を毛髪に略均一に塗布することが可能となる。 なお、 この化粧材は塊状や粉末状等の種々の形状をとり得るが、 特に、 粉末状 にする場合には、 水に溶解あるいは分散し易くなる利点がある。

本発明の第 2発明の毛髪化粧料は、 化粧材が水に溶解あるいは分散されてなる ものであり、 第 1発明の毛髪化粧料と水とを含む。 第 2発明の毛髪化粧料は、 化 粧材が予め水に溶解あるいは分散されていることから、 使用時に水に分散あるい は溶解させる手間が省かれて使用し易い形態になる。 そして、 予め化粧ネオと水と がよくなじんでいることから化粧材の濃度むら等がなくなり、 毛髪により均一に 塗布することができる。 発明を実施するための最良の形態

本発明の第 1発明および第 2発明に係る毛髪化粧料は、 常温で固体の油材と水 溶性有機媒体とを含む化粧材とを主成分とする。 油材としては毛髪に光沢等を付 与できるとともに常温で固体であり常温で高い粘着力を発揮するものを用いるこ とができ、 例えば、 ロジン （松脂） や、 ワセリン、 獣脂、 蠟、 パラフィン等のも のを好ましく用ることができる。 このうちロジンは、 粘着力に優れ水溶性有機媒 体を毛髪に強固に固定することができるため特に好ましく用いられる。

水溶性有機媒体としては、 自身が水を保持することで保湿材として働くものを 用いることができ、 例えば、 カルボキシメチルセルロース等を好ましく用いるこ とができる。 カルボキシメチルセルロースは、 水の吸収作用に優れ多量の水を保 持できるため特に好ましく用いられる。 第 1発明の毛髪化粧料が水に溶解あるいは分散する理由は定かではないが、 以 下のように推測される。

本発明の毛髪化粧料の主成分たる化粧材は、 常温で固体の油材と水溶性有掘媒 体とを含む。 このうち、 水溶性有機媒体は水に溶解する材料であるため、 油材と 水溶性有機媒体とが含まれている化粧材には、 水溶性有機媒体に由来して水に分 散あるいは一部溶解する性質が付与される。 また、 油材は自身の粘着力によって 水溶性有機媒体と結合しているため、 水溶性有機媒体とともに水中に分散する。 これらのことにより、 本発明の毛髪化粧料は水に不溶である油材を含むにも関わ らず水に溶角军あるいは分散するものと考えられる。

ここで、 第 1発明および第 2発明の毛髪化粧料に含まれる水溶性有機媒体の量 は油材 1 0 0重量部に対して 1 0〜1 0 0重量部の範囲であることが好まし 1、。 水溶性有機媒体の量が 1 0 0重量部を超えると、 水溶性有機媒体に対する油材の 量が充分でなくなるため、 水溶性有機媒体を油材によって確実に毛髪に固定する ことが困難となる。 また、 水溶性有機媒体の量が 1 0重量部に満たないと、 毛髪 に充分に水分を付与できない場合がある。

また、 毛髪化粧料を毛髪の損傷部分に入り込ませるためには、 水溶性有機媒体 と油材とを含む化粧材の平均粒径は小さい方が好ましく 1 8 0 z m以下であるこ とが好ましい。

本発明の毛髪化粧料に、 さらに、 チォグリコール酸アンモユウム、 塩酸 Lシス ティン、 モノエタノールァミン、 セタノール、 ラウリル硫酸塩の少なくとも——種 を配合することもできる。 これらの成分の少なくとも一種をさらに加えることで、 毛髪化粧料がより毛髪に強固に固定されて脱離し難くなり、 光沢や潤い等の効果 がより長期間持続するようになる。

本発明の毛髪化粧料には、 色素、 香料、 防腐剤、 酸化防止剤、 紫外線吸収斉 IJ等 に代表される、 毛髪化粧料に用いられる既知の材料を配合することもできる。 こ の場合には、 油材および水溶性有機溶媒に起因する効果以外の効果が付与される。 また、 ステアリン酸ジエタノールアミド、 塩化セチルトリメチルアンモニゥム、 セタノール、 、 ポリオキシエチレンセチルエーテル、 プロピレングリコール、 乳 酸、 馬油等のトリートメント剤をさらに配合してもよい。 この場合には、 水溶性 有機媒体およぴ油材に由来する光沢や潤い等の効果以外のトリートメント効果を 毛髪化粧料に付与できる。

本発明の毛髪化粧料の製造方法は、 第 1発明の毛髪化粧料を製造する方法であ る。 この毛髪化粧料の製造方法は、 加熱溶融した油材と粉末状の水溶性有機媒体 とを含む材料を混合して混合物を調製し、 得られた混合物を冷却して固化させた のちに粉碎して粉末状に形成するものである。

固体状の油材に水溶性有機媒体を加えて混合する場合には、 油材と水溶性有機 媒体とを略均一に混ぜることは非常に困難であり、 得られた毛髪化粧料には成分 のむらが生じる場合がある。 この場合には、 成分のむらに由来して、 所望の潤い や光沢が得られない。 それだけでなく、 水溶性有機媒体が毛髪から脱離し易くな り、 水溶性有機媒体に由来する潤いが長期間持続しない場合がある。 さらに、 油 材が過剰に存在することで、 毛髪がベたついたり毛髪同士が絡まり合う等の不具 合が生じる場合もある。

加熱溶融した油材に粉末状の水溶性有機媒体を加えて混合することで、 成分の むらのない毛髪ィ匕粧料を得ることができ、 上述した種々の不具合が生じなくなる。 そして、 得られた混合物を冷却して固化させたのちに粉砕して粉末状に形成する ことで、 毛髪化粧料の体積あたりの表面積が大きくなるため、 水溶けに優れ、 使 用し易い毛髮化粧料が得られる。

なお、 油材は常温で固体となるため、 混合物は常温で固化する。 したがって例 えば混合物をそのまま毛髪化粧料とする場合には、 水に溶かすのに非常に長い時 間を要する。 また、 例えば使用時に混合物を一旦加熱して油材を溶融させた上で 水に溶かすこともできるが、 この場合には、 毛髪化粧料を使用する際に非常に煩 雑な操作が必要となる。

ここで、 上述したように水溶性有機媒体と油材とを含む粉末の平均粒径は小さ い方が好ましいが、 水溶性有機媒体の形状によっては水溶性有機媒体と油材とを 含む粉末の平均粒径を小さくすることが困難になる。 した力 Sつて、 水溶性有機媒 体としては粉末状のものを用いる必要があり、 平均粒径が 1 8 0 μ ηι以下のもの を用いることが好ましい。

(実施例） 以下、 本発明の毛髪化粧料およびその製造方法を例を挙げて説明する。

本実施例の毛髪化粧料は、 第 1発明の毛髪化粧である。 この毛髪化粧料は、 常 温で固体の油材としてのロジンと、 水溶性有機媒体としてのカルポキシメチルセ ルロースとを含むものである。 本実施例の毛髪化粧料は以下のように製造される。 ロジン 1 0 0重量部を量りとり、 1 8 0 °Cで加熱溶融させた。 溶融したロジン に平均粒径 1 8 0 μ πιのカルボキシメチルセノレロース 3 0重量部を加え、 加熱釜 を用いて 1 8 0 °Cで 1分間あたり 2 0回転の条件で 2 0分間混合した。 得られた 混合物を、 室温にまで冷却して固体状の混合物を得た。

得られた固体状の混合物を粉碎機で粉枠し、 平均粒径 3 6 0 μ πιの粉末状の毛 髪化粧料を得た。

(官能試験）

実施例で得られた毛髪化粧料を 5 8名の被試験者の毛髪に塗布し、 光沢おょぴ 潤いの持続期間を調べた。 毛髪化粧料の塗布は以下のようにおこなった。

先ず、 実施例で得られた毛髪化粧料 1 0 0重量部に水 1 2 0重量部を加え、 よ く混合した。 得られた毛髪化粧料と水との混合物を被試験者の毛髪に塗布して加 温した。 このとき、 毛髪には多量のロジンが付着しているため、 毛髪にはロジン に由来するきしみが生じた。 加温後にシャンプー剤で毛髪化粧料が塗布された毛 髪を洗浄した。 この洗浄によつて毛髪表面に付着した過剰な口ジンが除去されて、 きしみが解消された。 洗浄後乾燥すると、 毛髪には優れた光沢および潤いが付与 された。 '

後日、 毛髪の光沢や潤いが持続したと被試験者が感じた日数を調査した。 その 結果、 1 5日〜 2 0日持続したと感じた被試験者は 1 5名、 2 0日〜 3 0日持続 したと感じた被試験者は 3 5名、 2 5日〜 3 5日持続したと感じた被試験者は 8 名であった。 これは、 通常の毛髪化粧料による光沢や潤いの効果が 1日程度 （1 回の洗髪） しか持続しないのに対し非常に長い日数である。 この官能試験からも、 本発明の毛髪化粧料による光沢や潤いが非常に長期間持続することがわかる。

Claims

請求の範囲

1 . 常温で固体の油材と水溶性有機媒体とを含む化粧材を主成分とし、 水に溶 解あるいは分散することを特徴とする毛髪化粧科。

2 . 前記化粧材は粉末状である請求項 1に記載の毛髪化粧料。

3 . 前記水溶性有機媒体はカルボキシメチルセルロースである請求項 1記載の 毛髪化粧料。

4 . 前記水溶性有機媒体は前記油材 1 0 0重量部に対して 1 0〜 1 0 0重量部 の範囲で含まれる請求項 1記載の毛髪化粧料。

5 . 常温で固体の油材と水溶性有機媒体とを含む化粧材を主成分とし、 該ィ匕粧 材が水に溶解あるレヽは分散されてなることを特徼とする毛髪化粧料。

6 . 前記油材は口ジンである請求項 5に記載の毛髪化粧料。

7 . 前記水溶性有機媒体はカルボキシメチルセルロースである請求項 5に記載 の毛髪化粧料。

8 . 前記水溶性有機媒体は前記油材 1 0 0重量部に対して 1 0〜 1 0 0重量部 の範囲で含まれる請求項 5に記載の毛髪化粧料。

9 . 常温で固体の油材と水溶性有機媒体とを含む化粧材を主成分とし、 水に溶 解あるいは分散する毛髪化粧料を製造する方法であって、

加熱溶融した油材と粉末状の水溶性有機媒体と含む材料を混合して混合物を調 製し、 該混合物を冷却して固化させたのちに粉枠して粉末状に形成することを特 徴とする毛髪化粧料の製造方法。

1 0 . 前記粉末状の水溶性有機媒体は、 平均粒径が 1 8 0 m以下である請求 項 9に記載の毛髪化粧料の製造方法。