JP4587094B2 - 毛髪硬化処理剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛髪硬化処理剤に関する。より詳しくは、本発明は、毛髪にハリ、コシ、及び曲げかたさ感等を付与するための毛髪硬化処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
毛髪をパーマ、ブリーチ、ヘアカラー等により化学的処理した場合や、日光に長時間晒した場合は、毛髪が損傷を受け、弱体化する。その結果、毛髪が適度のかたさを失い、柔らかくなり過ぎる場合がある。又、生まれつき毛髪が細いために、毛髪が柔らか過ぎる場合もある。
【0003】
しかしながら、例えばセットした髪型を保持するためには、毛髪に一定のハリやコシが必要であり、柔らか過ぎる毛髪は好ましくない。又、過度に柔らかい毛髪は、却って毛髪の触感が悪い。
【0004】
そこで、従来より、毛髪にハリやコシを与える種々の毛髪処理剤又は毛髪化粧料が提案されている。例えば、特開平10−279436号公報には、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂と、ノニオン性シリコーンおよび/またはノニオン界面活性剤を含有してなる毛髪化粧料が提案される。
【0005】
しかしながら、上記毛髪化粧料に於いては、水溶性樹脂であるポリアミドエピクロルヒドリン樹脂を使用しているため、毛髪処理後シャンプー処理した場合、塗布した毛髪化粧料が幾分洗い流されてしまう。その結果、せっかく毛髪に付与したハリやコシが低下してしまうという問題を有する。
【0006】
又、特許第3024962号公報には、ジナフチルスルホン含量が0.1重量%以下の高純度β−ナフタレンスルホン酸塩からなる毛髪処理剤が提案される。
【0007】
しかしながら、上記β−ナフタレンスルホン酸塩を使用した場合、高分子量の樹脂を使用した場合に比し、毛髪にハリやコシが十分付与されたといえるものではない。
【0008】
更に、特開2000−302645号公報には、特定の両性界面活性剤と、特定の植物油脂を含有してなる毛髪化粧料が提案される。
【0009】
しかしながら、上記両性界面活性剤は水分保持効果があるため、毛髪をこの毛髪化粧料にて処理した後、長時間毛髪を空気中に晒しておくと、毛髪が空気中の湿気を吸収するということがある。その結果、毛髪がしっとりしてきてハリやコシが低下する。従って、ハリやコシの保持性という点に於いて、十分満足できるものではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記事情に鑑み、本発明は、毛髪に十分なハリやコシ、更には良好な触感(適度のかたさ感、ボリューム感)を与え、尚且つ毛髪硬化処理後にシャンプーを繰り返してもこれらが失われない(即ち、耐シャンプー性に優れる)毛髪硬化処理剤を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明者等が鋭意検討した結果、毛髪硬化処理剤中に(I)ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体、(II)アビエチン酸、ロジン、これらの塩、これらの多価アルコールエステル、及びエステルガムから成る群より選択される一種以上、及び(III)アルキルピリジニウム塩(ここにおいて、「アルキル」の炭素数は8〜22である。)、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩(ここにおいて、「アルキル」の炭素数は8〜19である。)、及びアルキルジメチル(アルキルベンジル)アンモニウム塩(ここにおいて、「アルキルジメチル」における「アルキル」の炭素数は8〜19であり、「アルキルベンジル」における「アルキル」の炭素数は1〜12である。)から成る群より選択される一種以上を含有すれば優れた功を奏することを見出し、本発明を成すに到った。
【0012】
即ち、本発明は、(I)ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体0.06〜9.5重量%、(II)アビエチン酸、ロジン、これらの塩、これらの多価アルコールエステル、及びエステルガムから成る群より選択される一種以上0.06〜9.5重量%、及び(III)アルキルピリジニウム塩(ここにおいて、「アルキル」の炭素数は8〜22である。)、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩(ここにおいて、「アルキル」の炭素数は8〜19である。)、及びアルキルジメチル(アルキルベンジル)アンモニウム塩(ここにおいて、「アルキルジメチル」における「アルキル」の炭素数は8〜19であり、「アルキルベンジル」における「アルキル」の炭素数は1〜12である。)から成る群より選択される一種以上0.06〜9.5重量%を含有することを特徴とする毛髪硬化処理剤を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
本発明の毛髪硬化処理剤には、(I)ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体(以下、単に「共重合体(I)」ということがある。)を含有する。共重合体(I)は、毛髪に曲げかたさやセット性を付与するものである。共重合体(I)としては、例えば構造式
【0014】
【化1】
Figure 0004587094
【0015】
[式中、x、y、及びzは各モノマーの重合度を表す。尚、共重合体中の各モノマーの配列順序は特に限定されず、あらゆるモノマー配列の共重合体を含む。]
で表されるものが挙げられる。
【0016】
具体的には、共重合体(I)としては、式 x:y:z=1:(0.5〜2):(0.5〜2) を満足するもの等が挙げられる。
【0017】
共重合体(I)の平均分子量としては、例えば1万〜10万、特に25000〜50000が好ましい。平均分子量が一万未満だと毛髪に十分な曲げかたさを付与することが困難な場合があり、逆に平均分子量が10万を越えると、毛髪の感触を損ねやすくなる。
【0018】
本発明の毛髪硬化処理剤には、(II)アビエチン酸、ロジン、これらの塩、これらの多価アルコールエステル、及びエステルガムから成る群より選択される一種以上(以下、単に「配合成分(II)」ということがある。)を含有する。配合成分(II)は、耐シャンプー性を付与するものである。
【0019】
上記ロジンには、マツ属植物から採集したテレビンチナを水蒸気蒸留し、テレビン油を除き、その残分を精製したガムロジンと、マツ属植物の根株、材を溶剤或いはアルカリ液で抽出し、酸性にしたウッドロジンがあるが、これらのいずれをも用いることができる。更に、ロジンの主成分は、アビエチン酸、ピマール酸等の樹脂酸であるが、この樹脂酸も使用することができる。
【0020】
「これらの塩」としては、これらのアルカリ金属塩(例えば、アビエチン酸のナトリウム塩、カリウム塩、ロジン若しくはその樹脂酸のナトリウム塩、カリウム塩等)、アミン塩(例えば、アビエチン酸のエタノールアミン、ジエタノールアミン、ロジン若しくはその樹脂酸のエタノールアミン、ジエタノールアミン等)が挙げられる。
【0021】
「これらの多価アルコールエステル」としては例えば、アビエチン酸のポリエチレングリコールエステル、グリセリルエステル、ペンタエリスリトールエステル、ロジン若しくはその樹脂酸のポリエチレングリコールエステル、グリセリルエステル、ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる
【0023】
配合成分(II)としては、好ましくはアビエチン酸、ロジン、アビエチン酸ナトリウム、アビエチン酸グリセライド、ロジン酸ペンタエリスリット等が挙げられ、より好ましくはアビエチン酸グリセライド等が挙げられる。
【0024】
配合成分(II)は、上記アビエチン酸、ロジン、これらの塩、これらの多価アルコールエステル、及びエステルガムから成る群より選択される一種以上を含有する。好ましくは、配合成分(II)としては、アビエチン酸、ロジン、アビエチン酸ナトリウム、エステルガム、又はロジン酸ペンタエリスリット等、又はこれらの二種以上である。
【0025】
本発明の毛髪硬化処理剤には、(III)アルキルピリジニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、及びアルキルジメチル(アルキルベンジル)アンモニウム塩から成る群より選択される一種以上(以下、単に「配合成分(III)」ということがある。)を含有する。配合成分(III)は、毛髪処理剤の毛髪への吸着性を高めるのみならず、更に毛髪に対し良好な触感(即ち、適度の曲げかたさ感及びボリューム感、更にはスベリ感、櫛通りの良さ等)を付与するものである。
【0026】
通常、カチオン界面活性剤は毛髪に柔軟性を付与するものであるが、本願発明者等は、配合成分(III)を配合成分(I)及び(II)と併用することにより、逆に毛髪に対し曲げかたさを付与することを見出したものである。
【0027】
アルキルピリジニウム塩に於いて、「アルキル」としては炭素数〜22のもの、塩としては塩化物及び臭化物等のハロゲン化物等が挙げられる。具体的には、アルキルピリジニウム塩としては、塩化ラウリルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム等が挙げられる。
【0029】
アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、及びアルキルジメチル(アルキルベンジル)アンモニウム塩において、「アルキルジメチル」に於けるアルキルとしては炭素数〜19のもの、「アルキルベンジル」に於けるアルキルとしては炭素数〜12のものが挙げられる。
【0030】
具体的には、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。アルキルジメチル(アルキルベンジル)アンモニウム塩としては、具体的には塩化ラウリルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム等が挙げられる。
【0031】
配合成分(III)としては、上記アルキルピリジニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、及びアルキルジメチル(アルキルベンジル)アンモニウム塩から成る群より選択される一種以上が使用される。例えば、配合成分(III)として、塩化ラウリルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、又は塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムを単独にて使用し、或いはこれらの二種以上を併用してよい。
【0032】
本発明の毛髪硬化処理剤の組成に於いて、配合成分(I)は0.06〜9.5重量%含有される。好ましくは、0.6〜3.6重量%である。0.06重量%より少ないと、毛髪に十分なハリやコシを付与することができない。逆に、9.5重量%を超えると、毛髪がごわつき、毛髪の感触を損ねる。
【0033】
本発明の毛髪硬化処理剤の組成に於いて、配合成分(II)は0.06〜9.5重量%含有される。好ましくは、0.5〜3重量%である。0.06重量%より少ないと、耐シャンプー性及び毛髪のハリやコシが十分得られず、逆に9.5重量%を超えると毛髪の感触を損ねる。
【0034】
本発明の毛髪硬化処理剤の組成に於いて、配合成分(III)は0.06〜9.5重量%含有される。好ましくは、0.5〜3重量%である。0.06重量%より少ないと、毛髪処理剤が十分に毛髪に吸着せず、更に毛髪の感触も悪く、逆に9.5重量%を超えると毛髪に十分なハリやコシを付与することができない。
【0035】
本発明の毛髪処理剤には、後述の毛髪硬化処理剤の製品形態に応じ、或いはその他種々の目的にて、各種添加剤を配合してよい。添加剤としては、例えば高級アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等)や多価アルコール(例えばグリコール類、グリセリン類)等のアルコール、グリセリン脂肪酸エステル(例えばモノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸グリセリン、モノミリスチン酸グリセリン)等やポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えばポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等)のノニオン界面活性剤、ロウ(カルナウバロウ、ポリエチレンワックス、ポリオレフィンワックス等)、加水分解シルク、パラベン類等の防腐剤、水、カチオン性−、アニオン性−、ノニオン性−、及び両性高分子樹脂ポリマー、カチオン−、アニオン−、及び両性界面活性剤、シリコーン油(例えばメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等)、クエン酸やコハク酸等の有機酸及びその塩、グリシンやアラニン等のアミノ酸、ポリペプチド及びその誘導体、殺菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、炭化水素、動植物油、エステル油、着色剤、香料、エタノール等の溶剤、脂肪酸等が挙げられ、これらの一種以上を使用することができる。
【0036】
本発明の毛髪硬化処理剤の製品形態は特に限定されず、常法に従い、液状、フォーム状、ジェル状、クリーム状、粉末状等として調製してよく、更にはスプレー製品として調製してよい。
【0037】
本発明の毛髪硬化処理剤による毛髪硬化処理は、他の毛髪処理と組み合わせて行ってよい。例えば、シャンプー、ヘアトニック、ヘアコンディショナー(リンス、トリートメント等を含む。)、染毛剤、ウェーブ剤、仕上げ剤、その他毛髪処理剤等により毛髪処理する前に、又はこれらの毛髪処理剤により毛髪処理した後に、本発明の毛髪硬化処理剤にて毛髪硬化処理してよい。
【0038】
具体的には、そのような組み合わせて行う毛髪処理の毛髪処理剤としては、例えば配合組成に於いて高級アルコール4〜15重量%、ジメチルステアリルアミン1〜10重量%、水添コメ油0.1〜5重量%、及びグリコール酸0.2〜3重量%含有するトリートメントが挙げられる。
【0039】
より具体的には、配合組成に於いてミリスチルアルコール5.5重量%、ベヘニルアルコール1重量%、ミリスチン酸0.2重量%、シア脂0.5重量%、ジメチルステアリルアミン2重量%、ヘキシルデカノール0.1重量%、アジピン酸ジイソブチル0.7重量%、水添コメ油0.5重量%、グリコール酸0.56重量%、メチルパラベン0.1重量%、プロピルパラベン0.05重量%、及び水残量からなるトリートメント等が挙げられる。
【0040】
組み合わせて行う別の毛髪処理の毛髪処理剤としては、例えば特開2000−297017号公報に記載のコールドウェーブ処理剤等が挙げられる。
【0041】
勿論、本発明の毛髪硬化処理剤による毛髪硬化処理を、他の毛髪処理剤による毛髪処理と組み合わせることなく、単独にて使用してよい。
【0042】
更に、本発明の毛髪硬化処理剤を、シャンプー、ヘアトニック、リンスやトリートメント(例えば上記の組み合わせ処理に於いて例示したトリートメント等)のヘアコンディショナー、染毛剤、ウェーブ剤(例えば上記特開2000−297017号公報に記載のもの等)、仕上げ剤、その他毛髪処理剤等に配合して、使用してよい。
【0043】
本発明の毛髪硬化処理剤の使用方法として、シャンプー後に毛髪硬化処理剤を使用する場合を例示する。先ず、毛髪をシャンプー後にタオルドライして半乾燥させた後、本発明の毛髪硬化処理剤を塗布する。その後、毛髪を、15分間、必要に応じ加温下に放置し、次いで冷却し、すすぎ、乾燥して、行ってよい。
【0044】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を更に具体的に説明する。
(毛髪硬化処理剤の調製)
・実施例1〜3、比較例1、2
エステルガム、塩化ラウリルピリジニウム、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンセチルエーテル、カルナウバロウ、メチルパラベン、及びプロピルパラベンを85〜90℃に加熱し撹拌混合して、均一溶解させた。
【0045】
この均一溶解物中に、85〜90℃に加熱した共重合体(I)と1,3−ブチレングリコールとの混合物を加え、均一に撹拌混合して油性組成物を調製した。
【0046】
次いで、85〜90℃に加熱した初期水60kg中に上記油性組成物を撹拌しながら加え、均一な乳化物とした。その後、この乳化物を48℃まで冷却し、加水分解シルクを加え、更に水(補水)を加えて全重量を100kgに調整し、均一に撹拌混合して、毛髪硬化処理剤(各実施例1〜3、比較例1、2)を調製した。表1に、配合成分及び配合量(kg)を示す。
【0047】
・実施例4〜9、比較例3、4
エステルガム1kgの替わりに、表2に示す量のエステルガム、ロジン、ロジン酸ペンタエリスリット、アビエチン酸、又はアビエチン酸ナトリウムを使用した以外は、実施例2と同様にして、毛髪硬化処理剤(各実施例4〜9、比較例3、4)を調製した。表2に、配合成分及び配合量(kg)を示す。
【0048】
・実施例10〜15、比較例5〜7
塩化ラウリルピリジニウム1kgの替わりに、表3に示す量の塩化ラウリルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、又は塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを使用した以外は、実施例2と同様にして、毛髪硬化処理剤(各実施例10〜15、比較例5〜7)を調製した。
表3に、配合成分及び配合量(kg)を示す。
【0049】
・実施例16〜20
平均分子量37500の共重合体(I)の替わりに、表4に示す平均分子量の共重合体(I)を使用した以外は、実施例2と同様にして、毛髪硬化処理剤(各実施例16〜20)を調製した。表4に、配合成分及び配合量(kg)を示す。
【0050】
(毛髪の曲げかたさ感の官能試験)
化学的処理歴の無い感触試験用毛束(女子成人毛髪、長さ約25cm、重さ約8g)の半分の毛髪に毛髪硬化処理剤(各実施例1〜20、又は各比較例1〜7)0.5gを塗布し、残り半分の毛髪には塗布しなかった。次いで、この毛束をポリエチレン袋に入れ、45℃、湿度45%、R.H.(恒温恒湿器)中にて15分間放置した。その後、二分間クーリングし、更に流水で洗い流し、ヘアドライヤーにて乾燥した。
【0051】
その後、毛髪硬化処理剤を塗布した部分の毛髪及び塗布しなかった部分の毛髪を10人のパネラーにそれぞれ指で曲げてもらった。そして、毛髪硬化処理剤を塗布しなかった毛髪を対照として、塗布した毛髪の曲げかたさ感を官能評価してもらった。評価結果を表1〜4に示す。
【0052】
(毛髪の曲げ応力の変化の測定)
毛髪硬化処理した後、毛髪硬化処理し更にシャンプーを一回行った後、又は毛髪硬化処理し更にシャンプーを二回行った後、それぞれ毛髪の曲げ応力が毛髪硬化処理前と比べてどのように変化したかを調べた。
【0053】
即ち、毛髪硬化処理前の毛髪、毛髪硬化処理した後の毛髪、毛髪硬化処理し更にシャンプーを一回行った後の毛髪、及び毛髪硬化処理し更にシャンプーを二回行った後の毛髪のそれぞれについて、毛髪の曲げ応力(本願明細書に於いて、「B値」ということがある。)の測定試験を行い、下式に従って、毛髪の曲げ応力の変化量(本願明細書に於いて、「BS値」ということがある。)を求めた。
【0054】
(毛髪硬化処理後のBS値)=(毛髪硬化処理後のB値)−(毛髪硬化処理前のB値)。
【0055】
(毛髪硬化処理し更にシャンプーを一回行った後のBS値)=(毛髪硬化処理し更にシャンプーを一回行った後のB値)−(毛髪硬化処理前のB値)。
【0056】
(毛髪硬化処理し更にシャンプーを二回行った後のBS値)=(毛髪硬化処理し更にシャンプーを二回行った後のB値)−(毛髪硬化処理前のB値)。
【0057】
BS値が大きいほど、毛髪に対し曲げかたさがより大きく付与されたことを意味する。
【0058】
尚、毛髪の硬化処理は、以下のようにして行った。即ち、化学的処理歴の無い女子成人毛髪(長さ約40cm)200本を重ならないように3.5cm幅に引き揃え、毛髪の長さが3cmになるようにしてその両端を1cm幅のテープで固定したものを、毛髪硬化処理剤(各実施例1〜20、又は各比較例1〜7)中に45℃にて、30分間浸漬した後、40℃のため湯にて30秒間すすいだ。
【0059】
次いで、新たに40℃のため湯にて30秒間すすぎ、更に新たに40℃のため湯にて60秒間すすいだ。その後、50℃、湿度45%、R.H.中にて、30分間乾燥し、シリカゲルポットに保存した。そして、翌日に、この毛髪のB値を測定した。
【0060】
又、毛髪のシャンプー処理は以下のようにして行った。即ち、毛髪を40〜50℃のラウリル硫酸ナトリウム水溶液中にて5分間撹拌洗浄した後、40〜50℃の水にて5分間撹拌洗浄した。次いで、新たに40〜50℃の水にて5分間撹拌洗浄した後、50℃、湿度45%、R.H.中にて、30分間乾燥し、シリカゲルポットに保存した。そして、翌日に、この毛髪のB値を測定した。
【0061】
更に、B値の測定は、以下のようにして行った。即ち、毛髪を毛髪コシ感テスター(カトーテック株式会社製、KES−FB2−S型)にかけて、その折り曲げの際の応力[B値(gf・cm/cm)]を測定した。このB値は、毛髪の一方を固定し、等速で曲げたときの曲げかたさを示す数値であって、数値が大きいほど毛髪がかたいことを示す。
【0062】
毛髪硬化処理後のBS値、毛髪硬化処理し更にシャンプーを一回行った後のBS値、及び毛髪硬化処理し更にシャンプーを二回行った後のBS値の計算結果を、表1〜表4に示す。
【0063】
【表1】
Figure 0004587094
【0064】
【表2】
Figure 0004587094
【0065】
【表3】
Figure 0004587094
【0066】
【表4】
Figure 0004587094
【0067】
表1〜表3中、1)は商品名「アクアフレックスSF−40」(インターナショナル・スペシャリティ・プロダクツ社製、平均分子量37500)を表す。表1〜表3中、2)、及び表4中、1)はエチレンオキシド(EO)重合度40を表す。
【0068】
表1〜表4中、毛髪硬化処理後の曲げかたさ感の欄において、「◎」は、パネラー10人中8人以上が毛髪硬化処理剤を塗布した毛髪の方が毛髪硬化処理剤を塗布していない毛髪よりも大きな曲げかたさを感じたことを示し、「○」は、パネラー10人中、5〜7人が毛髪硬化処理剤を塗布した毛髪の方が毛髪硬化処理剤を塗布していない毛髪よりも大きな曲げかたさを感じたことを示し、「△」は、パネラー10人中1〜4人が毛髪硬化処理剤を塗布した毛髪の方が毛髪硬化処理剤を塗布していない毛髪より大きな曲げかたさを感じたことを示し、「×」は、毛髪硬化処理剤を塗布した毛髪の方が毛髪硬化処理剤を塗布していない毛髪よりも大きな曲げかたさを感じたパネラーが全くいなかったことを示す。
【0069】
表1に示すように、共重合体(I)を多く配合する程、毛髪硬化処理後のBS値は増大する(実施例1〜3、及び比較例1、2)。即ち、共重合体(I)は、毛髪に対し曲げ硬さを付与するものであることが判る。
【0070】
更に、一般に毛髪にハリ、コシを与える毛髪用化粧料は耐シャンプー性が不十分でシャンプー処理を繰り返すと、BS値は次第に低下する。しかしながら、本願発明者等は、実施例2に示すように、共重合体(I)と配合成分(II)及び(III)を組み合わせるにより、シャンプー処理を繰り返すと、逆にBS値が増大する(即ち、毛髪に対し曲げ硬さがより大きく付与される)ことを見出した。
【0071】
表2に示すように、適度の量の配合成分(II)を配合することにより、シャンプー処理を繰り返しても、BS値を高い値(0.04〜0.07)に保持することができる(実施例4〜9)。即ち、配合成分(II)を適度の量、配合することにより効果的に耐シャンプー性を付与することができる。
【0072】
表3に示すように、配合成分(III)を配合することにより、毛髪に対し良好な感触(適度の曲げかたさ感)を付与すること判る(実施例10〜15、比較例5)。
【0073】
更に、一般にカチオン界面活性剤は、毛髪に対し柔軟性を付与するものである(比較例5)。即ち、一般にカチオン界面活性剤を増やすとBS値は次第に低下する。しかしながら、本願発明者等は、配合成分(III)と配合成分(I)及び(II)を組み合わせることにより、配合成分(III)の配合量を増やした場合、逆にBS値を増大させる(即ち毛髪に対し曲げ硬さをより大きく付与する)ことを見出した(実施例10と比較例6参照)。
【0074】
表4に示すように、平均分子量が約25000〜約50000の共重合体(I)は、特に高いBS値を示し、毛髪に対し効果的に曲げかたさを付与し、且つ良好な感触(適度の曲げかたさ感)も付与することが判る。
【0075】
【発明の効果】
本願発明の毛髪硬化処理剤は、パーマ(例えばコールドパーマ等)、ヘアブリーチ、ヘアカラー等の化学的処理や日光曝露等により、損傷し弱体化して柔らかくなった毛髪や、生まれつき若しくは加齢により細く柔らかい毛髪に、ハリやコシ、更には良好な触感(適度の曲げかたさ感及びボリューム感)を付与することができる。しかも、シャンプーを繰り返しても、このようなハリ、コシ、及び良好な触感を保持することができる。

Claims (1)

  1. (I)ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体0.06〜9.5重量%、(II)アビエチン酸、ロジン、これらの塩、これらの多価アルコールエステル、及びエステルガムから成る群より選択される一種以上0.06〜9.5重量%、及び(III)アルキルピリジニウム塩(ここにおいて、「アルキル」の炭素数は8〜22である。)、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩(ここにおいて、「アルキル」の炭素数は8〜19である。)、及びアルキルジメチル(アルキルベンジル)アンモニウム塩(ここにおいて、「アルキルジメチル」における「アルキル」の炭素数は8〜19であり、「アルキルベンジル」における「アルキル」の炭素数は1〜12である。)から成る群より選択される一種以上0.06〜9.5重量%を含有することを特徴とする毛髪硬化処理剤。
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