明 細 書
含水エタノールを用いた ETBEの合成方法
技術分野
[0001] 本発明は、含水エタノールを用いた ETBEの合成方法及び該製造に好適な ETBE の合成装置に関する。
[0002] ここで、 ETBEとは、「^: hyl tert-butyl ther (ェチル 'ターシャリイ'ブチル 'エーテル )」の略号であり、ハイオク燃料基材として注目されて 、る MTBE (methyl tert-butyl e ther)と同様にノ、ィォク燃料基材 (オクタン価 : 112)として着目されて
いるものである。
背景技術
[0003] 米国における新空気浄ィ匕法の制定や、地球環境問題の意識の高まりに伴い、ガソ リン代替燃料の出現が要請されて ヽる。
[0004] そして、ガソリン代替燃料として、イソブテン (IB)とメタノール (MeOH)とを直接反 応させて製造することができる MTEBが着目され、世界中で大量に生産されている( 特許文献 1の SUMMERY OF THE INVENTION、及び非特許文献 1一 3の各
Introduction
第 1段等参照)。
[0005] しかし、昨今、原料とする MeOHは、本来、毒性を有し且つ蒸気圧も高いため揮散 し易い。このため MeOHの代わりに、毒性を有せずかつ再生可能なバイオマス(生 物エネルギー)である EtOHを使用して製造することが試みられて 、る(非特許文献 1 一 3の各アブストラクト等参照)。
[0006] 例えば、プロピレンオキサイド製造の副産物である t ブチルアルコール (TBA)と E tOHを、 MTBEの場合と同様、触媒とする強酸性イオン交換榭脂を充填した反応蒸 留塔で反応させるものである(下記反応式参照)。
[0007] TB A + EtOH→ETBE + H O
2
また、同時に、 TBAの分解反応 (TBA→IB + H O)により IBが生成するため
2
、 IBリッチガスを使用して、下記のような反応により ETBEを製造できる。
[0008] IB + EtOH→ETBE
さらに、特許文献 1には、イオン交換榭脂を充填した固定床反応器を備えた反応蒸 留塔を用いて IBを含む C4成分を EtOHとを反応させて ETBEを製造する技術が記 載されて!ヽる(アブストラクト'クレイム等参照)。
[0009] そして、いずれの技術も、反応蒸留塔を使用しており、また、 C4成分はガス状態で 反応蒸留塔に供給するものである。
特許文献 1:米国特許第 5248836号公報
非特許文献 1 :化学工学会(The Society of Chemical Engineers, Japan)編「 JOURNAL OF CHEMICAL ENGINEERING OF JAPAN Vol.32,No3」(1999)p280— 287
非特許文献 2 :化学工学会(The Society of Chemical Engineers, Japan)編「 JOURNAL OF CHEMICAL ENGINEERING OF JAPAN Vol.32,No4」(1999)p539— 543
非特許文献 3 : M.A.Abraham and R.P.Heketh編「Reaction Engineering for Pollution Prevention] (2000) Elesvier Science B.V.社発行、 p237— 246
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明は、上記にかんがみて、新規な含水エタノールを用いた ETBEの合成方法 及び合成装置を提供することを目的 (課題)とする。
課題を解決するための手段
[0011] 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究 *開発に努力する過程で、下記 構成を有する ETBEの合成方法に想到した。
[0012] ETBEの合成方法であって、
IBからなる又は該 IBを主体とし加圧液化させた C4成分 (以下「C4成分」 t ヽぅ。 )及 び含水 EtOHを原料とし、
固定触媒の反応ステージを備えた反応装置を用いて、 IBを EtOH及び水と化学量 論的に加圧下で液相反応させて、 ETBEとともに TBAを合成することを特徴とする。
[0013] C4成分は、通常、石油プラントにおけるナフサ分解 (クラッキング)で生成する B-B
留分中に含まれるものであり、本来的に気体である。このため、わざわざ加圧液化し て反応原料として使用する発想は当業者に存在しなかった。また、原料 EtOHも含 水物を使用でき無水化したり、高度の精留したものを使用したりする必要がない。
[0014] そして、当該液相反応は中温'中圧 (100°C以下、 lOOOkPa以下)の穏やかな 条件で行うことができる。
[0015] また、 ETBEとともに合成(副生)される TBAは ETBEと同様オクタン価もかなり高い
(オクタン価: 100)。このため、 TBAの分離操作をしなくても、 ETBEの TBA混合物 としてそのままノ、ィォク燃料基材 (特に、レースカー用燃料)として使用可能である。
[0016] 上記構成において、固定触媒反応ステージの一方側に位置する原料供給ステー ジに C4成分と含水 EtOHとを投入するとともに、他方側に位置する製品排出ステー ジ力 製品である ETBEを TBA混合物として常温 ·常圧 (大気圧)回収することが望 ましい。 ETBEの TBA混合物を大気圧回収することにより、 ETBE成分から未反応の C4ガス成分を分離回収できる。また、前述の如ぐ ETBEの TBA混合物は、 TBAの 分離操作を経ずにそのままハイオク燃料基材として使用可能である。
[0017] 上記方法にぉ ヽて、固定触媒反応ステージとして、酸性イオン交換榭脂層を、所定 間隙をおいて多段に配したものとすることができる。触媒層を、間隔を空けて多段に 配することにより、触媒の反応液との接触効率が増大する。
[0018] 上記構成にぉ ヽて、酸性イオン交換榭脂層間を、クッション性を有する無機繊維層 で充填したものとすることができる。交換榭脂層の加圧下による圧縮度が低減され、 反応ステージにおける触媒接触効率及び原料流れが良好となる。
[0019] 含水 EtOHを、含水率約 5— 30vol%としたバイオ EtOHとすることが望まし!/、。含水 率約 5%は、 EtOHと水との共沸混合物の含水率であり、ベンゼン等と共沸させてそ れ以上に無水化する必要がない。また、含水率が 30vol%を超えると、 TBAの混合比 率が高くなり、ハイオク燃料基材として適しなくなるおそれがある。
[0020] 通常、固定触媒反応装置 (反応塔)の、反応ステージにおける運転条件は、通常、 約 60— 100。C X約 700— lOOOkPaabs (望まし <は約 70— 80。C X約 800— 900kP a (abs) )とする。温度が低すぎても圧力が低すぎても、合成反応が工業化可能な速 度で進行しがたい。
[0021] 上記において、反応ステージの温度を多段制御とすることが望ましい。反応進行度 に応じた温度制御が可能となり、 ETBEの収率を高めることができる。
[0022] 上記各構成の ETBEの合成方法に使用する ETBEの合成装置としては、例えば、 下記構成のものとすることができる。
[0023] 温調手段を備えた加圧型の触媒反応装置、 C4成分用の加圧原料タンク、含水 Et OH用の常圧原料タンク、及び、 ETBE用の製品回収タンクとを備え、
触媒反応装置は、固定触媒反応ステージの上下の一方に原料供給ステージを、他 方に製品排出ステージをそれぞれ備え、
原料供給ステージには、 EtOH用の常圧原料タンク及び C4成分用の加圧原料タ ンクが、それぞれ定量供給ポンプを備えた含水 EtOH · C4成分供給配管を介して接 続され、加圧型反応装置の製品排出ステージに圧力調整弁を備えた製品回収配管 を介して製品タンクが接続されて ヽることを特徴とする。
[0024] 上記構成において、固定触媒反応ステージに対して温調手段を直列に多段に配 することが望ま U、。前記反応ステージの温度御を多段制御とするためである。
[0025] 上記構成の装置において、製品回収タンク力 常圧タイプで C4ガス回収配管を備 え、該 C4ガス排出配管を、加圧原料タンク及び Z又は IB留分供給配管に、適宜循 環可能に接続したものとすることができる。 ETBE力もの C4ガス (未反応 C4成分)の 再利用な 、し循環使用が容易となる。
[0026] また、上記装置において、含水 EtOH' C4成分供給配管の各定量供給ポンプの手 前には、ガスクロマトグラフィー等の成分検知手段を備え、成分検知手段からの成分 信号が、各定量供給ポンプに入力され、 IBを EtOH及び水と化学量論反応可能とさ れた化学量論反応制御手段を備えて ヽる構成とすることができる。 C4成分の IB含有 率や含水 EtOHの EtOH含有率に変動があっても、化学量論反応が可能となる。
[0027] さらに、触媒反応装置は、触媒を充填,交換するために反応筒に対して軸方向で出 し入れ可能な触媒装填 Z交換器を備え、該触媒装填 Z交換器は、板状多孔部材が 一本又は複数本の連結部材に所定ピッチで連結されて、板状多孔部材の対向面の 少なくとも一方にクッション層を備えた触媒充填部を備えている構成とすることが望ま しい。触媒の装填 Z交換が容易となる。
[0028] また、触媒反応装置は、温調浴槽に複数の反応塔を配設した多塔式とすることもで きる。本構成の多塔式とした場合は、 ETBEの合成装置のスケールアップが容易とな る。
[0029] また、本発明の ETBEの合成装置は、下記構成とすることが望ましい。
[0030] 固定触媒の反応ステージを備えた触媒反応装置 (反応塔)を複数個と、各触媒反 応装置に反応生成物を分留可能に接続される蒸留塔を複数個とを備え、
最終段を除く各蒸留塔は、留出液を供給可能に後段側の反応塔と接続されている とともに、缶出液を回収可能に製品タンクと接続されており、さらに、
最終段の蒸留塔は、留出液を供給可能に副産物タンク又は副産物利用プラントに 接続されているとともに、缶出液を供給可能に最前段の反応塔に接続されていること を特徴とする。
[0031] 2種の原料 (含水エタノールと C4成分)を両端の反応塔に別々に化学量論的に供 給し、最終段からの反応生成物を分留して得た缶出液を最前段の反応塔に向流的 に戻すことにより、逆反応を抑制することができる。即ち、後段側の反応塔における一 方の成分が他方の成分に対して過剰となり、平衡が目的物である ETBE生成側にず れて、 ETBEの収率が増大するとともに、結果的に残留原料の製品(ETEB)及び Z 又は副産物中における原料残留率が低くなる。
[0032] 反応塔及び蒸留塔の組数を多くすればより収率が高くなり原料残留率も低くなる。
[0033] また、下記構成の ETBE合成装置とすれば、上記と同様な作用効果が得られる。
即ち、反応蒸留塔内で一方の成分 (通常、 EtOH)を過剰として ETBEを合成するこ とができ、製品中(缶出液)の ETBEの比率を高くできるとともに副産物 (留出液)中の IBの比率を低くできる。
[0034] 固定触媒の反応ステージを備えた触媒反応装置 (反応塔)と、該触媒反応装置に 反応生成物を分留可能に接続される固定触媒反応ステージを備えた蒸留塔とを備 え、
前記反応蒸留塔は、留出液を供給可能に副産物タンク又は副産物利用プラントに 接続されているとともに、缶出液を回収可能に製品タンクと接続されていることを特徴 とする。
図面の簡単な説明
[0035] [図 1]本発明の ETBEの合成方法における一実施形態を示すフローチャートである。
[図 2] (A)は図 1における反応塔の詳細構造図、 (B)は該反応塔に対する触媒装填 Z交換を行うための触媒装填 Z交換具の一例を示す詳細構造図である。
[図 3] (A)は本発明を適用する多管式触媒反応装置の一例を示す平面図、(B)は該 平面図の B—B線断面図である。
[図 4]本発明の ETBEの合成方法における他の実施形態を示すフローシートである。
[図 5]図 4の第 1反応塔における反応塔の軸方向における原料'合成物組成比の一 例を示すグラフ図である。
[図 6]同じく第 2反応塔における反応塔の軸方向における原料'合成物組成比の一例 を示すグラフ図である。
[図 7]本発明の ETBEの合成方法におけるさらに他の実施形態を示すフローシートで める。
発明を実施するための最良の形態
[0036] 以下、本発明の実施形態について、詳細に説明を行う。本明細書において、配合 量を表す「%」等は、特に断らない限り質量基準とする。また、圧力を示す Paは、特に 断らな 、限り絶対圧 (abs)を意味する。
[0037] 先ず、本発明の ETBEの合成方法に使用する ETBEの合成装置の一実施形態に ついて説明をする(図 1参照)。ここでは C4成分を使用する場合を例にとり説明する
1S 種々の合成法により合成された IB成分 (C4成分)等、合成 C4成分も使用可能で める。
[0038] 基本的には、温調手段 (温調機能) 12を備えた加圧型の触媒反応装置 (反応塔) 1
414、 C4成分用の加圧原料タンク 16、含水 EtOH用の常圧原料タンク 18、及び、 E
TBE用の製品回収タンク 20とを備えて 、る。
[0039] そして、触媒反応装置 14は、固定触媒反応ステージ (以下、単に「反応ステージ」と
V、う。) 22の一方(下側)に原料供給ステージ (予熱ステージ) 24を、他方 (上側)に製 品排出ステージ 26をそれぞれ備えて 、る。
[0040] また、原料供給ステージ 24には、 EtOH用の常圧原料タンク 18及び C4成分用の
加圧原料タンク 16が、それぞれ定量供給ポンプ 30及び逆止弁 (チェックバルブ) 31 を備えた含水 EtOH · C4成分供給配管 32、 34を介して接続されて 、る。
[0041] 加圧型反応装置の製品排出ステージ 26には、圧力調整弁 28を備えた製品回収 配管 36を介して製品回収タンク (製品タンク) 20が接続されている。通常、製品 (ET BE及び TBA)の液ィ匕を促進させるために、製品回収配管 36における圧力調整弁 2 8の手前には、冷却器 (熱交換器) 27を配する。
[0042] さらに、製品回収タンク 20のガス排出配管 62には、分岐して、加圧ポンプ 64を備 えた加圧原料タンク 16への C4成分戻し配管 66が接続されている。
[0043] 上記にぉ 、て、触媒反応装置 (反応筒) 14は、縦型 (垂直)とされ、下側から原料供 給し、上側力 製品排出を行う方式であるが、上側から原料供給し、下側から製品排 出する方式としてもよぐ横型ないし斜設型とすることも可能である。下側から原料供 給し、上側力も製品排出を行う方が、イオン交換樹脂の膨潤の影響を小さくできる。 液流れが上向きのため、イオン交換樹脂が圧密 (圧縮による高密度化)しがたいこと による。
[0044] 上記温調手段 12は、図例では、ジャケット方式とされて 、る。すなわち、触媒反応 装置 (触媒反応塔) 14の反応ステージ 22及び原料供給ステージ 24に対応する塔外 周壁に温調ジャケット 38を設け、該温調ジャケット 38に温調水タンク 42からの水を、 循環ポンプ 44を備えた循環配管 46により循環させるものである。なお、温調手段 12 は、ジャケット方式に限られず、抵抗加熱方式、誘導加熱方式、上記加熱方式等任 意である力 ETBEの合成反応が本来的に発熱反応であり、水冷却が可能なジャケ ット方式が、温調が容易となり望ましい。
[0045] また、上記装置において、含水 EtOH' C4成分供給配管の各定量供給ポンプ 30 の手前には、ガスクロマトグラフィー等の成分検知手段 48を備え、成分検知手段 (ガ スクロマトグラフィー) 48からの成分信号力 各定量供給ポンプ 30に入力され、 EtO H及び IBをィ匕学量論反応可能とされたィ匕学量論反応制御手段を備えている構成と することができる。含水 EtOHの EtOH含有率と C4成分の IB含有率に変動があって も、化学量論反応が可能となる。図例中、 50は、演算制御部 (演算コントローラ)であ る。
[0046] 成分検知手段としては、将来的には他の手段も開発される可能性を有しているが、 現時点では、ガスクロマトグラフィーが、質量分析が簡便に行えるため望ましい。
[0047] 次に、上記 ETBEの製造装置を使用しての ETBEの合成方法について説明をする
[0048] まず、触媒反応装置 14の反応ステージ 22に、図 2 (A)に示す如ぐ触媒層(酸性ィ オン交換榭脂層) 52とクッション層(間隙層) 54とを交互に積層充填する。ここで、触 媒層 52及びクッション層 54の厚さは、要求処理能力(生産能力)により異なる力 反 応塔内径: 40— 80mmの場合において、触媒層: 10— 20mm、クッション層(又は間 隙層): 5— 10mmとする。
[0049] ここで、強酸性触媒層を形成する酸性イオン交換榭脂としては、通常、触媒用の強 酸性イオン交換榭脂を使用する。具体的には、強酸性イオン交換榭脂としては、ィォ ン交換基がスルフォン酸基 (SO H)
3 等の強酸基が導入された多孔質タイプ (MR形) のスチレ
ン系榭脂を好適に使用可能である。さらに具体的には、触媒'非水溶液陽イオン交 換榭脂として「アンバーリスト(Amberlyst)15DRY. 15JWET' 35WET」の商品名(登 録商標)で、ローム 'アンド'ハース(Roam and Haas)社から製造'販売されて いるものを使用可能である。なお、これらの強酸性イオン交換樹脂の粒径は、通常、 0. 5—1. Ommである。
[0050] 上記クッション層 54は、無機繊維(例えば、ロックウール、グラスウール)で多孔状に 形成する。
[0051] 上記実施形態において、触媒反応装置 (反応塔) 14は、図 2 (B)に示すような、触 媒を充填,交換するために反応塔 14本体に対して軸方向で出し入れ可能な、触媒 装填 Z交翻 56を備えたものとすることが望ましい。
[0052] 該触媒装填 Z交翻 56は、板状多孔部材 58がー本又は複数本 (図例では中心 に一本)の連結ロッド 60に所定ピッチで連結されて、板状多孔部材 56の対向面の少 なくとも一方(図例では最下段を除 、て下側)にクッション層 54を備えた触媒充填部 5 2を備えている構成である。ここで、板状多孔部材 56は、触媒粒子が通過しない大き さの(通常、 1mm未満)のパンチングプレート、ないし、プラスチック成形体とする。該
プラスチック成形体をクッション性を有する材料で形成すれば、クッション層は不要と なる。
[0053] 上記触媒装填 Z交換器 56は、下段側から、反応塔 14内に部分挿入した状態で、 上方から触媒を装填 (7— 8割)して、下降させていけば、容易に各触媒充填部 52に 触媒を充填できる。なお、触媒能が低下して、交換時期に成ったときは、触媒は膨潤 して、各触媒充填部力も力を加えなければ脱落しない状態となっているため、触媒装 填 Z交換器 56を反応塔 14内から完全に抜き出して、力を加えれば簡単に触媒充填 部 52から取り出し (剥ぎ取り)が可能となる。
[0054] なお、触媒装填 Z交換器 56の代わりに、複数個の触媒カートリッジを、連結棒に保 持して、反応塔内に装填な 、し反応塔内から取り出し可能としてもよ!/、。
[0055] 次に、加圧原料タンク 16に C4成分(通常、 C4ラフイーネ)を、常圧原料タンク 18に 含水 EtOH (含水率約 5— 30%) (水共沸混合物: EtOH94— 95%)をそれぞれに 充填する。そして、温調手段 12により反応装置の反応ステージ 22を、 lOOOkPa (望 ましくは 800— 900kPa)加圧下の約 100°C以下、望ましくは 70— 80°Cに温調する。
[0056] 続いて、ガスクロ 48により C4成分及び含水 EtOHにおける IB含量及び EtOH含量 を定量分析しながら、定量ポンプ 30を作動させる。このとき、反応塔 14内は 70— 80 °Cに昇温しているため、 C4成分が気化しょうとする。しかし、製品排出ステージ 26の 製品排出口側に配設された圧力調整弁 28により、反応塔 14内の圧力は、約 700— lOOOkPaまで昇圧するため、 C4成分は気化しない。
[0057] したがって、 IB及び EtOHは、強酸性触媒 (強酸性イオン交換榭脂)で活性化され て、下記反応式に示すような化学量論反応(当量: ImolZlmol)が液相下で進行す る。
[0058] (CH ) C = CH +C H OH→(CH ) COC H (ETBE)
3 2 2 2 5 3 3 2 5
なお、水が存在するため、下記副反応も伴う。
[0059] (CH ) C = CH +H 0→(CH ) COH (TBA)
3 2 2 2 3 3
なお、 C4成分 (C4ラフイーネ)中には、 IB以外の C二重結合を有するブテン類(1 ブテン、 2-ブテン (シス'トランス体))も存在する力 EtOH及び水は、二重結合が開 裂し易い IBと優先的に反応する。このため、 IB以外のブテン類は、未反応成分として
ブタン類とともに残る。
[0060] なお、上記各反応は、可逆反応であるが、低温反応であるため平衡は右側へずれ て、転ィ匕率は高い。
[0061] そして、反応ステージ 22を通過して生成した ETBE及び TBAは、未反応 C4成分と ともに、製品回収配管 36により、製品回収タンク (製品タンク) 20に流入する。このと き、製品である ETBE (BP: 72°C)と TBA (BP: 83.5°C)及び未反応の EtOH (BP: 78.6°C)と水(BP: 100°C)以外は、全て常温気体であるため、 C4ガス成分回収配管 により、図示しない C4ガス成分回収タンクにより回収され、他の用途に使用される。 他の用途としては、ポリブテンや、脱水素によるブタジエン合成原料等を挙げることが できる。なお、このとき、適宜、ガス化した C4成分は、加圧原料タンク 16へ、 C4成分 戻し配管 66を介して戻して、未反応の IBを再利用してもょ 、。
[0062] なお、上記にお 、て、温調は多段式とする方が、反応進行度に応じて温調が可能 となり、製品収率を高めることができる。例えば、第 1段を 85°C、第 2段を 75°C、第 3 段を 70°Cの如ぐ上段に行く程温度を低下させることにより、平衡を ETBE生成側へ 相対的に移行させることができる。
[0063] なお、上記触媒反応装置は、単塔式としたが、図 3に示すような、温調浴槽 68に、 複数本(図例では 10本)の反応塔 14A、 14A…を配設した複塔式としてもよい。こ の場合は、反応の C4成分の供給量に対応したスケール変更が容易となる。なお、温 調浴槽 68は、浴上面も含めて断熱材 69で保温されており、かつ、温調水は熱交換 器 70を介して、温調可能とされている。
[0064] 次に、本発明の ETBE合成装置における他の実施形態のフローシート(ETBE合 成装置)を図 4に示す。
[0065] 上記実施形態において、同一部分については、同一図符号又は対応図符号を付 してそれらの説明の全部を省略する。
[0066] 固定触媒の反応ステージを備えた触媒反応装置 (第 1 ·第 2反応塔) 14B、 14Cを 複数個(図例では 2塔)と、各触媒反応装置 14に反応生成物を分留可能に接続され る第 1 ·第 2蒸留塔 15B、 15Cを複数個(2塔)とを備えたものである。
[0067] 最終段を除く各蒸留塔 (第 1蒸留塔) 15Bは、留出液を供給可能に後段側の反応
塔 (第 2反応塔) 14Cと接続されているとともに、缶出液を回収可能に製品(回収)タン ク 20Aと接続されている。さらに、最終段の蒸留塔 (第 2蒸留塔) 15Cは、留出液を供 給可能に副産物タンク 21又は副産物利用プラントに接続されているとともに、缶出液 を供給可能に最前段の反応塔 (第 1反応塔) 14Bに接続されている。図例中、 23は 熱交翻である。図例では、反応塔 ·蒸留塔の 2組としたが、 3組以上としてもよい。
[0068] 本実施形態では、第 2反応塔において EtOHリッチな状態 (例えば、 EtOHZlB 3.18 :図 6参照)で、 ETBE合成反応が行われ、平衡が ETBE合成側に移動して、逆 反応が抑制される。そして、 IBの比率が第 2反応塔 14C (図 6参照)において第 1反 応塔 14B (図 5参照)に比して格段に低下(半分以下)する。なお、第 2反応塔 14Cか らの生成物は、第 2蒸留塔 15Cで分離され、エタノールリッチの缶出液は向流的に第 1反応塔 14Bの原料供給口へ戻される。
[0069] なお、図 5 ' 6はそれぞれ第1 ' 2反応塔14 、 14Cにおける反応塔の軸方向におけ る原料 ·合成物組成比の一例を示すグラフ図である。
[0070] 図 7に同じくさらに別の実施形態のフローシート (ETBE合成装置)を示す。
[0071] 固定触媒の反応ステージを備えた触媒反応装置 (反応塔) 14Dと、該触媒反応装 置 14Dに反応生成物を分留可能に接続される固定触媒反応ステージを備えた反応 蒸留塔 15Dとを備えている。本実施形態においても、上記実施形態と同様、対応部 分については対応図符号を付して、それらの説明の全部又は一部を省略する。
[0072] 反応蒸留塔 15Dは、留出液を供給可能に副産物タンク 21A又は副産物利用ブラ ントに接続されているとともに、缶出液を回収可能に製品タンク 20Aと接続されている
[0073] 本実施形態では、低沸点の IBを留出させながら反応させることにより、即ち、 IBに 対して EtOH反応させることにより、上記実施形態と同様、平衡が ETBE生成側へ移 行して、結果的に IBの含有率が低い留出液が副生物として生成される。
実施例
[0074] 次に、 ETBEを製造するために行った実験用反応管のシミュレーション結果につい て説明をする。なお、シミュレーションプログラムは、(株)オメガシミュレーションの「E QUATRAN— G」を用いた。
[0075] 触媒として、 IBを lmolZsで供給したとき、 10kg必要とする仕様になっている
「アンバーリスト 15DRY」(強酸性イオン交換榭脂)を使用する。そして、この触媒 (見 かけ密度 600gZL)を 200g使用する場合にっ 、て、 IB及び EtOHの各流量を求め ると下記の如くになる。
[0076] ここで、 IBの分子量: 56g、密度(液体) : 0. 6gZcm3であり、共沸 EtO
Hモル濃度: 0.963mol%、 EtOH分子量: 46g、密度(液体) : 0. 81g/cm3 とし、且つ、当モル反応とする。
[0077] IB流量 (供給量)は、
56g/mol X 0.2kg/ (10kg · s/mol) ÷0.6g/cm3
= 1.87cm Vs = 6.73L/h,となる。
[0078] また、共沸 EtOH流量 (供給量)は、
46g/mol X 0.2kg/0.963 (10kg · s/mol) ÷0.81g/cm3
= 1.18cm Vs = 4.25L/ となる。
[0079] そして、この乾燥イオン交換榭脂を反応塔に詰めるときは、反応操作中に膨潤を想 定して 7割前後充填とする。このため、反応塔の容量は、
2OOg/ (0.6g/cm3) ÷0.7=476cm3
となる力も、内径 3cmの反応塔に、 500cm3の反応ステージ 22 (榭脂充填部) を形成する場合、充填長さ 70cm、両端空間部 15cmの約 lmの反応管を使用する。
[0080] そして、温度: 70°C、内圧: 980kPaの条件で、 IB及び共沸 EtOHを、反応管の下 側から上記流量のものを供給した場合、下記組成 (質量%)の製品を得ることができ る。
[0081] ETBE : 84. 7%、 EtOH : 8. 7%、 TBA: 6. 5%、水: 0. 2%
上記において 1系列における反応塔 (触媒反応装置)は一塔方式で、温調も一段 方式としたが、温調は多段温調方式とすることができる。
[0082] ここで、反応塔を多段温調とするのは、イソブテンと EtOHとの ETBE合成反応より
、イソブテンと水との TBA合成反応が先行しやすいためである。後者の合成反応が 先行すると、 ETBEの収率が低下する。
[0083] ここで、各合成反応における発熱量は、 ETBE: SSkJmof1、 ΤΒΑ: 38^ο1_1であ
り、どちらの発熱反応であるため、 3段に分けて温調する場合、反応を促進させるた めに第 1段の反応ステージを高めに設定しておき、 ETBE及び TBAの合成反応がそ れぞれ最適な条件で反応が進行するように第 2 · 3段を低めに温度制御する。例えば 、第 1段: 85°C、第 2段: 75°C、第 3段: 80°Cとする。