明 細 書
グルコース吸収阻害剤およびその製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、ァセロラ由来でグルコース吸収阻害活性を示す物質を有効成分として 含有するグルコース吸収阻害剤に関する。
背景技術
[0002] 近年の食生活やライフスタイルの変化に伴 、、糖尿病患者は増加傾向にある。現 在のわが国の糖尿病患者は 700万人にのぼり、糖尿病の予備軍を含めると、 1500 万人に達すると ヽわれて 、る。
[0003] 糖尿病とは、インスリンというホルモンの作用不足によって高血糖状態が長く続く代 謝疾患群である。高血糖状態が続くと、神経障害、白内障、腎障害、網膜症、関節硬 化症、ァテローム性動脈硬化症、糖尿病性壊疽等の種々の合併症を発症することが ある。
[0004] 糖尿病の主な治療方法は食事療法であるが、この療法では厳しい食事制限が課さ れるため、患者の生活上および心理上の大きなストレスとなる。例えば、米飯やパン 等に含まれる糖類は、腸管においてグルコースに分解されて吸収されるが、ダルコ一 スの過剰摂取はインスリンを必要とし、脾臓に負担をかけるため、食事療法中の患者 には望ましくない。
[0005] しかし、腸管でのグルコースの吸収を阻害することができれば、糖分の過剰摂取を 防ぎながら、食欲を満足させることができるようになる。
[0006] このため、現在までにいくつかのグルコース吸収阻害剤が開発されている力 副作 用のおそれがあるものも多ぐ人体に害のない製剤の開発が強く望まれている。
[0007] これに対して、ェピカテキンガレートを有効成分として含有するグルコース吸収阻害 剤 (特許文献 1)、グルコース吸収阻害作用を有するギムネマ 'イノドラム焙煎茶 (特許 文献 2)、グルコース吸収阻害作用を有するギムネマ 'イノドラム葉エキス (特許文献 3 )等、副作用の問題が少ないとされる天然成分由来のグルコース吸収阻害剤も開発 されている力 まだ数は少ない。
[0008] ところで、ポリフエノールは、抗酸化作用を有し、動脈硬化や糖尿病、ガン等と 、つ た ヽゎゆる生活習慣病に対し予防効果がある天然成分として近年注目を浴びて ヽる
[0009] 一方、ァセロラはキントラノォ科ヒイラギトラノォ属の熱帯果実で、カリブ海諸島を原 産としている。ァセロラ果実は、果実 lOOg当り約 1, 500mg、あるいはそれ以上の豊 富なビタミン Cを含む植物として知られ、現在では世界各国で飲料や健康食品として 用いられている。また、ァセロラは鮮やかな赤色を呈していることから、多種多様なポ リフエノール成分が含まれることが期待され、その利用の途が望まれる。
特許文献 1:特開平 11—302168号公報
特許文献 2:欧州特許出願公開第 0861595号明細書
特許文献 3:特開平 8— 149965号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明の目的は、ァセロラ由来でグルコース吸収阻害活性を示す物質を有効成分 として含有するグルコース吸収阻害剤を提供することである。
[0011] 本発明の目的はまた、ァセロラ由来の糖尿病または糖尿病合併症予防 '治療剤を 提供することである。
課題を解決するための手段
[0012] 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ァセロラ由来の物質がグルコース吸収阻 害活性を示すことを発見した。
[0013] 上記課題を解決する本発明は、以下の発明を包含する。
[0014] (1)ァセロラ由来でグルコース吸収阻害活性を示す物質を有効成分として含有する グルコース吸収阻害剤。
[0015] (2)ァセロラの抽出物またはその処理物を有効成分として含有するグルコース吸収 阻害剤。
[0016] (3)ァセロラ由来のポリフエノールを有効成分として含有するグルコース吸収阻害剤 [0017] (4)ポリフエノールがアントシァニン系色素を含有する、上記(3)に記載のグルコース
吸収阻害剤。
[0018] (5)糖尿病および Zまたは糖尿病合併症の治療に用いる、上記(1)一(4)のいずれ かに記載のグルコース吸収阻害剤。
[0019] (6)ァセロラ由来でグルコース吸収阻害活性を示す物質を有効成分として含有する 糖尿病または糖尿病合併症予防 '治療剤。なお本明細書において、「糖尿病または 糖尿病合併症予防,治療剤」とは、糖尿病または糖尿病合併症の予防および Zまた は治療のために使用することができる薬剤を意味する。
[0020] (7)ァセロラ果実を粉砕する工程、該粉砕したァセロラ果実を抽出する工程、および 必要に応じて精製処理を行う工程を含む、グルコース吸収阻害剤の製造方法。
[0021] 本明細書は、本願の優先権の基礎である特願 2003— 375323号の明細書及び Z 又は図面に記載された内容を包含する。
発明の効果
[0022] 本発明のグルコース吸収阻害剤は、腸管でのグルコースの吸収を阻害するため、 糖分の過剰摂取を防ぎながら、食欲を満足させることができる。このため、糖分の過 剰摂取が望ましくないとされる状態や疾患、特に糖尿病または糖尿病合併症、特に 糖尿病合併症を予防 ·治療するのに有効である。
[0023] 本発明で提供されるグルコース吸収阻害剤の有効成分は、天然成分であるァセロ ラ由来のため、副作用の問題が少ない。
図面の簡単な説明
[0024] [図 1]図 1は、 Caco-2細胞内へのグルコース取り込みに対するァセロラポリフエノール の阻害作用を示した図である。
[図 2]図 2は、 Caco-2細胞内への 3-0-メチル -グルコース取り込みに対するァセロラ ポリフエノールの阻害作用を示した図である。
[図 3]図 3は、 Caco-2細胞内への 3-0-メチル -グルコース取り込みに対するァセロラ C18吸着画分の濃度依存的阻害作用を示した図である。
[図 4]図 4は、グルコース投与後の血糖値の経時変化をァセロラ C18吸着画分投与群 と対照群とで比較した図である。
[図 5]図 5は、血糖値曲線下面積をァセロラ C18吸着画分投与群と対照群とで比較し
た図である。
発明を実施するための最良の形態
[0025] 本発明のグルコース吸収阻害剤は、ァセロラ由来でグルコース吸収阻害活性を示 す物質を有効成分として含有すればよい。ァセロラの生産地や品種は特に限定され ないが、生産地としては、例えば沖縛、ブラジルが挙げられる。
[0026] ァセロラは、果実の搾汁、果実を破砕、粉砕等したものや、粉末化処理したものを 用いてもよいが、抽出物又はその処理物として用いることもできる。ここで果実とは、 可食部と種部を含んだ果実全体を指す。
[0027] ァセロラを抽出物又はその処理物として用いる場合は、水(純水、精製水等)、有機 溶媒等によりァセロラを抽出することができる。溶媒として、特に親水性有機溶媒が好 ましぐ例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコー ル、 1,3-ブチレングリコール等のアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、ァセトニトリ ル、 1,4-ジォキサン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、 Ν,Ν-ジメチルホルムアミド、酢 酸等の公知の有機溶媒力 選択することができる。特にメチルアルコールを用いて抽 出することが好ましい。上記の親水性有機溶媒、特にメチルアルコールおよびェチル アルコールは、水との混合物として用いることが好まし 、。
[0028] 抽出条件は特に限定されないが、抽出溶媒の使用量は、通常、果実 100重量部に 対して、 100重量部一 1000重量部程度、好ましくは 200重量部一 500重量部程度 である。抽出の温度範囲は、効率良く抽出を行うという観点から、 0°C— 120°C、好ま しくは 20°C— 50°Cである。抽出時間は 1時間一 24時間程度、好ましくは 1時間一 2 時間程度である。
[0029] 抽出後、ろ過あるいは遠心分離により抽出残渣を除いてもよい。また、抽出液をさら に減圧濃縮等により、所望の濃度にまで適宜濃縮することができる。さらに、凍結乾 燥、噴霧乾燥等によって乾燥させることにより、粉末状に調製することもできる。その 際、賦形剤等と混合して乾燥させてもよい。
[0030] 得られた抽出液には糖分や有機酸が非常に多く含まれるため、それらを除く精製 工程を行うことも好ましい。精製処理の方法として、順相又は逆相クロマトグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過等が挙げられる。これらの方法を組み合わせ
て用いることちでさる。
[0031] また、抽出液を単離精製したところ、ァセロラのポリフエノール成分に、シァ-ジン -3-ラムノシドとペラルゴ-ジン- 3-ラムノシド等のアントシァニン系色素が含まれてい た。アントシァニン系色素は抗酸ィ匕活性を有することが知られているが、本発明者ら は、これらの効果にカ卩えて、ァセロラ由来のアントシァニン系色素が、グルコース吸収 阻害活性を有することを見出した。
[0032] なお、抽出液の単離精製の方法としては、 HPLC、合成吸着剤クロマトグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過等があるが、特に合成吸着剤クロマトグラフィ 一が好ましい。この場合、抽出条件としては、例えば 10%— 100%エタノール溶液を 用いて溶出することが好ま 、。
[0033] 本発明のグルコース吸収阻害剤は、ァセロラの抽出物や精製物を公知の医薬用担 体と組み合わせて製剤化することができる。投与形態としては、特に制限はなぐ必 要に応じ適宜選択されるが、一般には錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸 剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤等の経口剤、又は注射剤、点滴 剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、経鼻剤、経腸剤、貼付剤、軟膏剤 等の非経口剤として、症状に応じて単独で、または組み合わせて使用される。本発 明のグルコース吸収阻害剤の添加量は、添加対象物の種類、使用形態等の諸条件 によって異なるが、通常、添加対象物全体に対し 0. 01質量%—20質量%の範囲で 用いることが好ましい。
[0034] 本発明のグルコース吸収阻害剤の投与量は、患者の年令、体重、疾患の程度、投 与経路により異なるが、経口投与では、ァセロラの抽出物乾燥粉末として、通常 1日 1 Omg— 3000mgであり、投与回数は、通常、経口投与では 1日 1回一 3回である。
[0035] 経口剤は、例えばデンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、 コーンスターチ、無機塩類等の賦形剤を用いて常法に従って製造される。
[0036] この種の製剤には、適宜前記賦形剤の他に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢 剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用することができる。
[0037] 結合剤の具体例としては、結晶セルロース、結晶セルロース 'カルメロースナトリウム 、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセル
ロース、ヒドロキシプロピノレメチノレセノレロース、ヒドロキシプロピノレメチノレセノレロースフタ レート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、力ノレメロースナト リウム、ェチノレセノレロース、カノレボキシメチノレエチノレセノレロース、ヒドロキシェチノレセ ルロース、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、 デキストリン、アルファ一化デンプン、部分アルファ一化デンプン、ヒドロキシプロピル スターチ、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマー E、ァ ミノアルキルメタクリレートコポリマー RS、メタクリル酸コポリマー L、メタクリル酸コポリ マー、ポリビュルァセタールジェチルァミノアセテート、ポリビュルアルコール、ァラビ ァゴム、アラビアゴム末、寒天、ゼラチン、白色セラック、トラガント、精製白糖、マクロ ゴールが挙げられる。
[0038] 崩壊剤の具体例としては、結晶セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシ プロピノレセノレロース、カノレメロース、カノレメロースカノレシゥム、カノレメロースナトリウム、 クロスカルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バ レイショデンプン、部分アルファ一化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキ シメチルスターチナトリウム、トラガントが挙げられる。
[0039] 界面活性剤の具体例としては、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸 ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピ レングリコール、セスキォレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン 酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート、 モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴールが挙げられる。
[0040] 滑沢剤の具体例としては、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、ス テアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、 軽質無水ケィ酸、合成ケィ酸アルミニウム、乾燥水酸ィ匕アルミニウムゲル、タルク、メ タケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、 ショ糖脂肪酸エステル、ロウ類、水素添加植物油、ポリエチレングリコールが挙げられ る。
[0041] 流動性促進剤の具体例としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケィ酸、乾燥水酸 化アルミニウムゲル、合成ケィ酸アルミニウム、ケィ酸マグネシウムが挙げられる。
[0042] また、本発明のグルコース吸収阻害剤は、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキ シル剤として投与する場合には、矯味矯臭剤、着色剤を含有してもよい。
[0043] 本発明のグルコース吸収阻害剤はまた、常法に従って固形、半固形、液体等の形 態の食品に添加することができる。限定されるわけではないが、固形食品としては、ビ スケット等のブロック菓子類、粉末スープ等の粉末状食品等を挙げることができる。ま た、ァセロラの抽出物乾燥粉末をそのまま食品として使用することもできる。半固形食 品としては、カプセル、ゼリー等を挙げることができる。飲料としては、例えば果汁飲 料、清涼飲料、アルコール飲料等を挙げることができる。また、摂取時に水等の液体 担体を用いて希釈する粉末飲料の形態としてもよい。さら〖こ、本発明のグルコース吸 収阻害剤を食品等に添加して、いわゆる特定保健用食品(例えば、糖尿病'糖尿病 合併症予防食品)等とすることもできる。
[0044] また、このような食品に、必要に応じて常法により、安定化剤、 pH調整剤、糖類、甘 味料、各種ビタミン類、ミネラル類、抗酸化剤、賦形剤、可溶化剤、結合剤、滑沢剤、 懸濁剤、湿潤剤、皮膜形成物質、矯味剤、矯臭剤、着色剤、香料、保存料等を添カロ することができる。
[0045] 本発明のグルコース吸収阻害剤の製造原料であるァセロラは現在までに食品、飲 料、化粧品等に供されており、安全性は確立されている。
実施例
[0046] 実施例 1 ァセロラ C18吸着画分の調製
ァセロラ果実力も種子を取り除き、残りの可食部をホモジナイズし、 3倍量のメタノー ルを添加して 1時間抽出した。この操作を 2回行い、遠心'ろ過後、凍結乾燥し、再度 蒸留水に溶解した。この液を C18カートリッジカラム(BAKERBOND spe (登録商標) C18デイスポーザルカラム)に供し、蒸留水で洗浄後、 0. 2%TFA/メタノール溶液で 溶出し、濃縮乾固して抽出物を得た。ここで得られた抽出物をァセロラ C18吸着画分 とした。ァセロラ C18吸着画分のポリフエノール含量を Folin-Denis法により測定したと ころ、ポリフエノール含量は 22. 7%であった。
[0047] ¾施例 2 ァセロラ色素成分の精製
ァセロラ果汁を遠心、ろ過後、 C18カートリッジカラム(BAKERBOND spe (登録商標
) C18デイスポーザルカラム)に供し、蒸留水で洗浄後、 0. 2%TFA/メタノール溶液で C18吸着画分を溶出し、 HPLCにより分離精製を行った。 HPLC条件は以下の通りとし た。
[0048] カラム:イナ一トシル ODS2カラム (10. O X 250mm)
カラム温度: 40°C
移動相 A:水 + 0. 5%TFA
移動相 B :ァセトニトリル +0. 5%TFA
グラジェント:移動相 BO%— 100%へのリニアグラジェント
流速: 2ml/分
検出: 520nm
以上の処理により、 520應に吸収を持つ色素成分が 2成分確認された。これらの 2 成分を色素 1および色素 2とした。得られた色素 1および色素 2をさらに精製して、 NMR測定を行った結果、色素 1はシァ-ジン- 3-ラムノシド、色素 2はペラルゴ-ジン -3-ラムノシドを主成分とすることがわ力つた。
[0049] ¾施例 3 ヒト腸管由 谘着細朐 Caco-2によるグルコース Β¾り认み試験
ヒト腸管由来培養細胞 Caco-2をプレート上で約 10日間単層培養し、分化させた。 培地として 10%牛胎児血清 (fetal calf serum)を含む DMEM培地を使用した。分化さ せた Caco- 2に 250 μ g/mlの色素 1および色素 2を添カ卩して 15分間プレインキュベー トし、その後3 H標識したダルコースまたは 3-0-メチル -ダルコ一スを加えて 10分間ィ ンキュペートした。細胞内に取り込まれた3 Hを測定することにより、グルコースまたはメ チル-グルコースの輸送量を算出した。結果を図 1および図 2に、対照に対する相対 値 (%)として示した。これらの図から明らかなように、ァセロラボリフエノールを主成分と する色素 1および色素 2は、グルコースおよび 3-0-メチル -グルコースの輸送を特異 的に阻害した。次に、 Caco-2に lmg/mほでのァセロラ C18吸着画分を添カ卩し、上記 と同様にして 3-0-メチル-グルコースの輸送量を算出した。その結果、色素 1および 色素 2を含むァセロラ C18吸着画分は濃度依存的に 3-0-メチル-グルコースの輸送 を阻害した (図 3)。
[0050] 実施例 4 正常マウスへのグルコース負荷試験
ICR雄マウス 7週齢を用いて、ァセロラ C18吸着画分投与群 5匹と対照群 5匹の 2群 に分けてグルコース負荷試験を行った。体重約 35gのマウスを一晩絶食させた後、ァ セロラ C18吸着画分を生理食塩水で溶解し、 250mg/kg (体重)の量を胃内ゾンデで 投与した。対照には生理食塩水を投与した。 30分後に 2g/kg (体重)のグルコースを 投与し、 30分毎に 2時間まで尾静脈より採血し、血糖値を測定した。血糖値の測定 にはグルコース CIIテストヮコー(和光純薬)を用いた。その結果、ァセロラ C18吸着画 分投与群で血糖値の上昇が抑えられ (図 4)、対照群に比べて血糖値曲線下面積が 有意に減少した(図 5)。
[0051] 本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本 明細書中にとり入れるものとする。
産業上の利用可能性
[0052] 本発明のグルコース吸収阻害剤は、腸管でのグルコースの吸収を阻害するため、 糖分の過剰摂取を防ぎながら、食欲を満足させることができる。このため、糖分の過 剰摂取が望ましくないとされる状態や疾患、特に糖尿病または糖尿病合併症、特に 糖尿病合併症を予防 ·治療するのに有効である。