JP2011184351A - 抗肥満剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マンゴー種子抽出物を有効成分とする抗肥満剤。マンゴーは、ウルシ科マンゴー属に分類される植物であり、世界に200種類程度存在するとされており、例えば、メキシコ産アップルマンゴーとして、オロ、トミーアトキン、ヘイデン、ケント、ケイトなどが知られるほか、オーストラリア産ケンジントン種、タイ産ナンドクマイ種なども知られているが、該抗肥満剤の原料としては、特に限定されず、いずれを用いても良い。該抗肥満剤は、例えば、医薬、医薬部外品、健康食品などに好適に利用することができる。
【選択図】なし
Description
マンゴー抽出物の利用については、これまで、頭髪・頭皮化粧料および損傷毛の修復(特開平09−208435号公報参照)、抗酸化性組成物(特開平09−216836号公報参照)、静菌および抗菌剤(特開平10−324610号公報参照)、保湿性を利用した化粧料(特開2001−039823号公報参照)、滑らかで官能に優れ、微香性による精神的安定感を与え、安全性の高い皮膚外用剤(特開2002−322074号公報参照)、線維芽細胞賦活剤(特開2006−249051号公報参照)、アクネ用皮膚外用剤(特開2006−298814号公報参照)、美白作用成分やアルコール性肝線維症治癒促進成分としての利用(特開2009−215235号公報参照)など、種々の提案がなされてきたが、抗肥満効果については、全く知られていなかった。
すなわち、本発明にかかる抗肥満剤は、マンゴー種子抽出物を有効成分とする。
〔マンゴー〕
マンゴー(檬果、学名:Mangifera indica Linne)は、ウルシ科(Anacardiaceae)マンゴー属に分類される植物であり、世界に200種類程度存在するとされており、例えば、メキシコ産アップルマンゴーとして、オロ、トミーアトキン、ヘイデン、ケント、ケイトなどが知られるほか、オーストラリア産ケンジントン種、タイ産ナンドクマイ種なども知られている。本発明の抗肥満剤の原料となるマンゴー種は、特に限定されず、いずれを用いても良い。
〔マンゴー種子抽出物〕
マンゴー種子抽出物は、上記マンゴーの種子から抽出されるものであり、抽出方法としては、特に限定されないが、例えば、以下の条件で行うことができる。
抽出方法には、抽出媒体に水を用いる水抽出技術、抽出媒体にアルコールなどの有機溶媒を用いる有機溶媒抽出技術、加熱を伴う熱抽出、圧力をかける加圧抽出、真空にする減圧抽出、酸抽出、アルカリ抽出など様々な抽出技術が知られており、これらの抽出技術を単独あるいは複数組み合わせて採用することができる。
前記有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類;オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノールなどの高級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレンアルコール、グリセリンなどの多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル類;n−ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどの炭化水素系溶媒などが挙げられ、これらを単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
水と有機溶媒の混合溶媒を用いることもできる。特に、水と低級アルコールの混合溶媒が好ましい。最も好ましくは水とエタノールの混合溶媒である。
水と有機溶媒の混合溶媒を用いる場合、その混合割合としては、体積基準で、水:有機溶媒=10:90〜90:10とすることが好ましく、30:70〜70:30とすることがより好ましい。抽出温度としては常温〜374℃が好ましく、常温〜100℃がより好ましい。抽出時間としては30秒〜5時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。抽出圧力としては1〜22MPaが好ましく、1〜6MPaがより好ましい。
抽出媒体に有機溶媒を用いている場合、有機溶媒を別の有機溶媒あるいは水に置換しておくこともできる。
抽出液に、濾過処理や遠心分離処理を施して、不要な固形物や不純物を除去しておくことができる。pH調整処理を行うこともできる。
抽出物は、抽出液のまま各種用途に適用しても良いし、凍結乾燥やスプレードライなどの処理を行って乾燥物として得たのちに各種用途に適用しても良い。
本発明にかかる抗肥満剤は、上記マンゴー種子抽出物を有効成分とする。抗肥満剤として、例えば、医薬、医薬部外品、健康食品などに好適に利用することができる。
医薬品、医薬部外品としては、例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などの経口剤、注射剤(例えば、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、点滴剤など)、外用剤(例えば、経皮製剤、軟膏剤など)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤など)、ペレット、経鼻剤、経肺剤(吸入剤)、点眼剤などの非経口剤が挙げられる。健康食品としては、例えば、液体または半固形、固形の製品、具体的には散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤または液剤などのほか、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅうなどの菓子類、清涼飲料、お茶類、栄養飲料、スープなどの形態が挙げられる。
また、健康食品としての使用時には、食品の味や外観に悪影響を及ぼさない量、例えば、対象となる食品1kgに対して、マンゴー種子抽出物を1mg〜20gの範囲で添加することが適当である。
マンゴー種子抽出物を抗肥満剤の有効成分として各種用途に適用する際において、慣用の各種有機あるいは無機担体物質を併用することができ、例えば、固形形態の場合においては賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤を用いることができ、また、液状形態の場合においては溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、非水性賦形剤、保存剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などを用いることができる。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの添加物を用いることもできる。
滑沢剤の好適な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン水添加食用脂などが挙げられる。
乳化剤の好適な例としては、レシチン、ソルビタンモノオレエートまたはアラビアゴムなどが挙げられる。
保存剤の好適な例としては、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルまたはソルビン酸などが挙げられる。
甘味剤の好適な例としては、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ステビアなどが挙げられる。その他、必要に応じて香料などを添加してもよい。
以下において、オイルレッドO、3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)、デキサメタゾン(DEX)およびインシュリン(INS)は和光純薬工業社販売のものを用いた。また、牛胎児血清(FBS)はイクィテック・バイオ社販売のものを用いた。本実施例で使用したその他の化学薬品は特級の市販品である。
〔実施例1〕
以下のようにして、マンゴー種子抽出物(50%エタノール抽出物)を調製した。
〔実施例2〕
以下のようにして、マンゴー種子抽出物(水抽出物)を調製した。
〔細胞を用いた抗肥満効果の検証〕
以下のようにして、細胞培養および分化誘導を行った。
以下、それぞれについて詳述する。
<オイルレッドOによるTG蓄積量の評価>
3T3−L1前駆脂肪細胞を、上記のように脂肪細胞に分化するよう誘導する際、各段階でのDMEM培地に上記実施例1または実施例2のマンゴー種子抽出物を、6.25μg/ml、12.5μg/mlまたは25μg/mlの濃度となるよう添加した。細胞を、リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した後、30秒間、70%エタノールで固定した。その後、オイルレッドOを99%イソプロピルアルコール中に飽和させた溶液で2時間培養した後、50%エタノールで3秒間洗浄後、脱イオン水で2回洗浄した。
<GPDH活性の測定によるTG合成能の評価>
3T3−L1前駆脂肪細胞を、上記のように脂肪細胞に分化するよう誘導する際、各段階でのDMEM培地に上記実施例1または実施例2のマンゴー種子抽出物を、6.25μg/ml、12.5μg/mlまたは25μg/mlの濃度となるよう添加した。細胞を、氷冷PBSで2回、丹念に洗浄した後、100mMトリエタノールアミン/塩酸緩衝液、pH7.5、2.5mMのEDTAの300μl中にへらで掻き集めた。回収された細胞を、最大出力250WのDU−250バイオラプター(トウショウ電機社)中で10秒間、25超音波バーストで超音波洗浄した。その間、サンプルを氷冷した。4℃で5分間、13,000Gで遠心分離した後、上澄み液について、Wise and Green法(1979)によりそのGPDH活性を分析した。GPDH活性は、分光光度計(ベックマン・コールター社、DU530)中、ゼロオーダーの運動力学および最適な基質および共ファクター条件下、25℃で180秒間測定した。標準反応混合物は、100mMトリエタノールアミン/塩酸緩衝液(pH7.5)、2.5mMのEDTA、0.1mMの2−メルカプトエタノールおよび0.12mMのNADHを含有するものであった。0.2mMのジヒドロキシアセトンホスフェートを添加することにより反応を開始させ、NADH酸化速度を、340nmでの60秒間における吸光度の変化により測定した。
<ニュートラルレッド法により細胞生存率の測定>
細胞生存率を、ニュートラルレッドのリソソーム取込に基づくニュートラルレッド取込評価により測定した。3T3−L1前駆脂肪細胞を、上記のように脂肪細胞に分化するよう誘導する際、各段階でのDMEM培地に上記実施例1のマンゴー種子抽出物を、6.25μg/ml、12.5μg/mlまたは25μg/mlの濃度となるよう添加した。その後、細胞培地にニュートラルレッド溶液(0.25mg/ml)を最終濃度が50μg/mlになるように添加した。細胞を37℃で2時間培養した後、ホルムアルデヒド1%(体積比)、塩化カルシウム1%(体積比)および蒸留水98%(体積比)からなる混合物で2回洗浄した。その後、酢酸1%(体積比)、エタノール50%(体積比)および蒸留水49%(体積比)からなる脱色緩衝液1mlを細胞に添加した後、細胞プレートを30分間放置した。溶出されたニュートラルレッドを、分光光度計で540nmにおける吸光度を測定することによって定量し、細胞生存率(%)を下式に基づき評価した。
×100
<結果と考察>
図1にTG蓄積量、図2にGPDH活性、図3に細胞生存率の結果を示す。各グラフにおいて、数値は、マンゴー種子抽出物を添加しない場合(コントロール)を100とし、これに対する割合で規定したものである。
図1,2に見るように、TG蓄積量、GPDH活性のいずれもが、マンゴー種子抽出物の添加濃度に依存して有意に低下した。このとき、実施例1の50%エタノール抽出物、実施例2の水抽出物のいずれにおいても、濃度依存的な優れた抗肥満効果が認められることから、抽出溶媒として、50%エタノール、水のいずれの溶媒を用いても、抗肥満効果を与える物質が抽出されることが確認された。
<参考試験>
マンゴー種子抽出物(50%エタノール抽出物)1mg中には、エラグ酸が2.7μg、没食子酸が110.5μg含まれている。また、マンゴー種子抽出物(水抽出物)1mg中には、エラグ酸が1.4μg、没食子酸が124.2μg含まれている。そこで、マンゴー種子抽出物中の含量と同等の濃度になるように、抽出における収率を考慮し、エラグ酸および没食子酸をそれぞれDMSOに溶解した。
図4,5にTG蓄積量、図6,7にGPDH活性の結果を示す。各グラフにおいて、数値は、マンゴー種子抽出物を添加しない場合(コントロール)を100とし、これに対する割合で規定したものである。
図4〜7に示す結果から、マンゴー種子抽出物による抗肥満作用は、エラグ酸、没食子酸以外の成分によるものであることが示唆された。したがって、例えば、エラグ酸や没食子酸によって美白作用、アルコール性肝線維症治癒促進といった効果を得ている特開2009−215235記載の技術などとは作用機序が全く異なると考えられる。
4週齢のSD系雄性ラットを1週間予備飼育したのち、ラットを4匹ずつ、表1に示す群に分けて、各実験食を30日間摂取させた。このとき、各群における摂食量の差は認められなかった。
各実験食を30日間摂取させた各ラットについて、体重増加量、腹腔内脂肪量および睾丸周囲脂肪量を測定して各群ごとにその平均値を算出し、これを各群の測定結果とした。それぞれの結果を図8〜10に示す。
<結果と考察>
図8〜10に見るように、体重増加量、腹腔内脂肪量、睾丸周囲脂肪量は、いずれも、高脂肪食群、高脂肪食+マンゴー種子抽出物添加群ともに、コントロール食群に比べて有意に増加したが、さらに、両者を比較したとき、高脂肪食+マンゴー種子抽出物添加群のほうが、高脂肪食群に比べて減少傾向を示すことが確認された。
上記マンゴー種子抽出物を抗肥満剤の有効成分として各用途に適用する際の処方例を示す。なお、以下の処方例では、上記実施例2で得られたマンゴー種子抽出物(水抽出物)を、凍結乾燥により粉末化する前の抽出液の状態で用いた。
〔処方例1:ドリンク〕(単位:%)
1.コラーゲンペプチド 23.0
2.濃縮リンゴ果汁 6.0
3.エリスリトール 6.0
4.アセスルファムKサネット(武田薬品工業社製) 0.02
5.アスパルテーム(味の素社製) 0.015
6.クエン酸(結晶) 1.5
7.アスコルビン酸 0.1
8.上記マンゴー種子抽出液 0.05
9.マスカットフレーバー(長谷川香料社製) 0.3
10.グループフルーツフレーバー(長谷川香料社製) 0.1
11.シトラステーストインプルーバー(長谷川香料社製) 0.15
12.保存料 0.15
13.オリザセラミドL(オリザ油化社製) 0.002
14.精製水 残余
合計 100.0%
〔処方例2:ドリンクゼリー〕(単位:%)
1.異性化糖液糖 8.0
2.パインフレーバーC(松谷化学工業社製) 4.0
3.FG−2309 0.9
4.ハーブエキス レモングラス 20.0
5.クエン酸ナトリウム 0.15
6.クエン酸(結晶) 0.30
7.ニンジンエキス(長谷川工業社製) 0.4
8.レモンフレーバー(長谷川工業社製) 0.05
9.上記マンゴー種子抽出液 0.5
10.精製水 残余
合計 100.0%
〔処方例3:ドリンクパウダー〕(単位:kg)
1.コラーゲンペプチド 6.0
2.コンドロイチン 1.0
3.アップルカジュウパウダー(長谷川工業社製) 0.30
4.ビタミンC 0.10
5.上記マンゴー種子抽出液 0.10
6.ヒアルロン酸 0.04
7.ニッサン N−セラミド(日本油脂社製) 0.02
8.クエン酸ナトリウム 0.05
9.クエン酸(結晶) 0.2
10.アセロラフレーバーパウダー(長谷川工業社製) 0.1
11.レッドカラーパウダー(長谷川工業社製) 0.05
12.グラニュー糖 5.04
合計 13.00kg
〔処方例4:タブレット〕(単位:%)
1.コラーゲンペプチド 45.0
2.アスコルビン酸 5.0
3.ミクロカルマグ(三井フーズ社製) 4.6
4.ビタミンミックス 1.0
5.パラチニット(新三井製糖社製) 18.8
6.結晶セルロース 10.0
7.DKエステル(第一工業製薬社製) 3.0
8.アスパルテーム(味の素社製) 0.5
9.発酵乳パウダー(大洋香料社製) 5.0
10.ヨーグルトフレーバー(長谷川工業社製) 1.1
11.クエン酸 1.0
12.上記マンゴー種子抽出液 5.0
合計 100.0%
Claims (1)
- マンゴー種子抽出物を有効成分とする、抗肥満剤。
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