WO2005030103A1 - 吸収性物品 - Google Patents

Abstract

　【課題】体液が一度に多量に発生した場合であっても、十分に体液を堰き止め、製品の前後方向のみならず、幅方向への体液の横漏れを防止する。 　【解決手段】透液性表面シート３と、不透液性裏面シート２との間に吸収体４が介在され、かつ前記吸収体４の略中央部領域に表面側に増厚された中高部６を有する吸収性物品１Ａにおいて、前記中高部６の領域内であって、かつ体液排出部領域Ｋを挟む両側部にそれぞれ、吸収性物品の長手方向に延びる防漏溝８を形成する。この防漏溝８の深さは０．５～９．０mmとする。

Description

明 細 書

吸収性物品

技術分野

[0001] 本発明は、主には生理用ナプキン、おりものシート、失禁パッド、医療用パッド、トイ レタリー等に使用される吸収性物品であって、詳しくは防漏溝の堰き止め効果を向上 させることにより体液の横漏れを確実に防止した吸収性物品に関する。

背景技術

[0002] 従来より、パンティライナー、生理用ナプキン、失禁パッドなどの吸収性物品として、 ポリエチレンシートまたはポリエチレンシートラミネート不織布などの不透液'性裏面シ ートと、不織布または透液性プラスチックシートなどの透液性表面シートとの間に綿状 パルプ等力もなる吸収体を介在したものが知られている。

[0003] この種の吸収性物品にも幾多の改良が重ねられ、体液の漏れを防止するための種 々の手段が講じられている。これら体液漏れ防止手段の一つとして、図 8に示される ように、吸収体 41の略中央部領域に表面側に増厚した中高部 42を形成して排血部 へのフィット性を向上せしめるとともに、前記中高部 42の形状を保持し吸収体 41に吸 収された体液を堰き止めるために、前記中高部 42の周縁の外側位置に線状のェン ボス加工を施すことにより凹状の防漏溝 43が形成された吸収性物品 40Aが知られて いる（下記特許文献 1一 4等参照)。また、図 9に示されるように、中高部 42の中央に ナプキンの長手方向に延びるエンボス力卩ェを施すことにより防漏溝 43を形成した吸 収性物品 40Bも知られている。

特許文献 1：特開平 8-117277号公報

特許文献 2：特開平 10- 328233号公報

特許文献 3：特開平 11 358号公報

特許文献 4：特開平 11 33054号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0004] し力しながら、前記吸収性物品 40Aでは、中高部 42を形成することにより製品が排 血口にフィットし易くなるので、製品の前後方向への体液の漏れは防止できるけれど も、中高部 42の外側、すなわち吸収体 41の厚みの薄い部分に防漏溝 43を形成して いたため、防漏溝 43を深く形成することができず、製品の幅方向に拡散する体液の 横漏れを十分に堰き止めることができないという問題があった。この問題は吸収体の 厚みを薄くした薄型吸収性物品ほど顕著となる。

[0005] 一方、前記中高部 42の中央に防漏溝 43を形成する吸収性物品 40Bの場合には、 例えば寝る、座る等の体勢において脚をくみかえるなどして姿勢が変化し、腹圧がか カゝることにより一度に体液が多量に生じた際には、防漏溝 43では体液を収容しきれ ず、体液が溢れて漏れてしまう問題があった。

[0006] そこで、本発明の主たる課題は、体液が一度に多量に発生した場合であっても、十 分に体液を堰き止め、製品の前後方向のみならず、幅方向への体液の横漏れを防 止することができる吸収性物品を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007] 前記課題を解決するために請求項 1に係る本発明として、透液性表面シートと、裏 面シートとの間に吸収体が介在され、かつ前記吸収体の略中央部領域に、標準部吸 収体より表面側に増厚された中高部を有する吸収性物品において、

前記中高部の領域内であって、かつ体液排出部領域を挟む両側部にそれぞれ、 吸収性物品の長手方向に延びる防漏溝が形成されたことを特徴とする吸収性物品 が提供される。

[0008] 図 7に示される従来の吸収性物品の場合には、中高部の外側にエンボスを施すよう にしていたため、防漏溝を深く形成することが出来な力つた力 上記請求項 1記載の 発明によれば、前記中高部の幅を広げ、防漏溝を前記中高部の領域内に形成する ようにしたため、十分な溝深さを確保することができ、多量の体液を溝内に収容するこ とが可能となるため、体液の前後漏れのみならず、横漏れも効果的に防止できるよう になる。

[0009] 請求項 2に係る本発明として、前記防漏溝は前記中高部の厚みより深ぐ前記標準 部吸収体に至る請求項 1記載の吸収性物品が提供される。

[0010] 請求項 3に係る本発明として、前記防漏溝の外側に前記中高部をプレスによって薄 化した薄化部を形成した請求項 1、 2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。

[0011] 上記請求項 3記載の発明においては、前記防漏溝の外側に、前記中高部をプレス によって薄化した薄化部を形成した。従って、中高部が存在しても両側部分がプレス によって薄型化されたことによって装着時に違和感が無くなるとともに、折り畳んだ製 品時にも薄くできるようになる。

[0012] 請求項 4に係る本発明として、前記中高部は、前記吸収性物品を 3つ折りし個装す る際の前後の折り線位置の間に形成されている請求項 1一 3いずれかに記載の吸収 性物品が提供される。

[0013] 上記請求項 4記載の発明では、吸収性物品を 3つ折りし個装する際の前後の折り 線の間に中高部を形成するようにした。従って、 3つ折りされた製品状態において吸 収性物品の厚みを薄くできるようになる。

[0014] 請求項 5に係る本発明として、前記標準部吸収体の厚みは 1一 3mmである請求項 1 -4 ヽずれかに記載の吸収性物品が提供される。

発明の効果

[0015] 以上詳説のとおり本発明によれば、体液が一度に多量に発生した場合であっても、 十分に体液を堰き止め、製品の前後方向のみならず、幅方向への体液の横漏れを 防止することができる。また、中高部の外側をプレス成形によって薄型化したため装 着時の違和感を低減でき、かつ 3つ折り線の間に中高部を形成するようにしたため、 製品状態でも薄くできるようになる。

発明を実施するための最良の形態

[0016] 以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。

[0017] 〔第 1形態例〕

図 1は本発明の第 1形態例に係る吸収性物品 1Aの一部破断平面図であり、図 2は その Π-Π線矢視図である。

[0018] 吸収性物品 1Aは、主にはパンティライナー、生理用ナプキン、おりものシート、失 禁パッドなどの用途に供されるもので、例えば図 1に示されるように、不透液性裏面シ ート 2と、透液性表面シート 3 (以下、単に表面シートともいう。）との間に、吸収体 4ま たは同図に示すように、前記吸収体 4とこれを囲繞するクレープ紙 5とからなる吸収体 ユニットが介在された構造となっている。前記吸収体 4の周囲においては、前記不透 液性裏面シート 2と透液性表面シート 3とがホットメルト接着剤等の接着手段によって 接合されている。

[0019] 前記不透液性裏面シート 2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の少なくとも遮水性を 有するシート材が用いられる力 この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラ ミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上 で不織布シート (この場合には、防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構 成する。）などを用いることができる。近年はムレ防止の観点力も透湿性を有するもの が好適に用いられる傾向にある。この遮水'透湿性シート材としては、ポリエチレンや ポリプロピレン等のォレフィン系榭脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形し た後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用 いられる。

[0020] 前記吸収体 4としては、体液を吸収，保持し得るものであれば良ぐ通常はフラッフ 状パルプ中に吸収性ポリマー粉末を混在したものが吸収機能および価格の点力 好 適に使用される。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ等 のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが 挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格 の面で好適に使用される。前記吸収体 4は、形状保持、および経血等を速やかに拡 散させるとともに、ー且吸収した経血等の逆戻りを防止するためにクレープ紙 5によつ て囲繞するのが望ましい。また、吸収体 4の平面形状は、図示されるように、小判状と してもょ 、し、或いは股間部への当たりを和らげるためにフィットカット形状（ひょうたん 形状)としてもよい。

[0021] 一方、本吸収性物品 1Aにおける表面シート 3としては、無孔または有孔の不織布 や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。前記不織布を構成する素材繊 維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のォレフィン系、ポリエステ ル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンゃキュブラ等の再生繊維、綿等の天 然繊維とすることができる。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした 芯鞘型繊維やサイド バイ サイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維も好適に用い ることちでさる。

[0022] 加工法につ!、ては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブロ ーン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いること ができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優 れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。また、エンボス加工が施 しゃすい点では合成繊維からなる不織布が好適に使用される。

[0023] 前記吸収体 4の表面側には、図 2及び図 3に明確に示されるように、吸収体 4の略 中央部領域に対し、標準部吸収体 4Aより表面側に増厚された中高部 6を有する。前 記中高部 6は、図 1に示されるように、製品折畳み時に折り目となる前後の折れ線位 置 Ρ1 ·Ρ2の間に形成されている。前記中高部 6の前後端近傍からは、それぞれ製品 の略長手方向に延びる複数のサイドエンボス 7a、 7a…および 7b、 7b…が形成され ている。また、前記標準部吸収体 4Aの厚みは 1一 3mmとされ、前記中高部 6の厚み は 1. 5-8. Omm、好ましくは 2. 0-4. Ommとするのがよい。また、前記標準部吸収 体 4Aはエアレイド又は積繊吸収体をプレスしたものを用いるのが望ましぐ前記中高 部 6は別体の吸収性シートを積層することにより形成しても良いし、標準部吸収体 4A と一体的に形成してもよい。

[0024] 前記中高部 6の領域内においては、体液排出部領域 Kを挟む両側部にそれぞれ、 透液性表面シート 3の上面側力もエンボスを付与することにより、製品の長手方向に 延びる左右一対の凹状の防漏溝 8, 8が形成されている。この防漏溝 8は、図 2および 図 3に示されるように、エンボスカ卩ェにより透液性表面シート 3とクレープ紙 5とが融着 されて、中高部 6の厚み hより深ぐ標準部吸収体 4Aに亘る程度の深さに形成され ている。前記防漏溝 8の深さ Hは 0. 5-9. Omm、好ましくは 2. 0-6. Ommとするの がよい。深さ Hが 0. 5mm未満の場合には体液の堰き止め効果が小さく横漏れを効 果的に防止することができない。深さ Hが 9. Ommを超える場合には吸収体の厚みを 厚くする必要があるため薄型吸収性物品の利便性が失われてしまうことになる。また 、前記防漏溝 8の深さ Hは標準部吸収体 4Aの厚み Tとの比 (HZT)では 0. 06-3. 3、好ましくは 0. 2-0. 8とするのが望ましい。一方、防漏溝 8の底部幅 Bは 0. 5— 5 . Ommとするのがよい。 [0025] 前記防漏溝 8には、図 3に示されるように、着用者の体液排出部（図示せず)より排 出された体液 9が、流れ込んで堰き止められ、これ以上側方には移動しない。すなわ ち、本吸収性物品 1Aにおいては、前記防漏溝 8が中高部 6の範囲内に形成される ので防漏溝 8を深く形成することができ、しかも、体液排出部位 Kの外側に左右一対 形成されるので、左右方向のどちらに流れても体液を堰き止めることが可能となる。

[0026] なお、前記防漏溝 8、 8の平面形状は、前記体液排出部領域 Kを挟む両側に形成 されるとともに、製品の長手方向に延びていれば特に問わないが、図 1に示される例 では、中央部が最も幅が狭ぐ製品前後端に行くに従って離間幅を漸次拡大する湾 曲形状を成し、端部では内方側に向かう曲線部が形成されている。

[0027] 〔第 2形態例〕

次いで、図 5および図 6に示される第 2形態例に係る吸収性物品 1Bについて詳述 する。

[0028] 前記第 1形態例に係る吸収性物品 1Aと比較し相違点のみを説明すると、本吸収性 物品 1Bでは、図 5に示されるように、中高部 6の幅 Wが前述した吸収性物品 1Aにお

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ける中高部幅 W (図 1参照）よりも広く形成され、前記中高部 6の領域内においては、 体液排出部領域 Kを挟む両側部にそれぞれ、透液性表面シート 3の上面側カゝらェン ボスを付与することにより、左右一対の凹状の防漏溝 8, 8が形成されているとともに、 この防漏溝 8, 8の外側に前記中高部 6をプレスによって薄化した薄化部 10を形成す るようにしたものである。

[0029] 本吸収性物品 1Bでは、前記防漏溝 8の外側にプレスによる薄化部 10を形成したた め、装着時に中高部 6の側部が股間部に当たり違和感となるのを解消することができ る。

[0030] なお、前記薄化部 10は、透液性表面シート 3の上面側力 プレスによって薄型化を 図るのではなぐ吸収体単体の状態でプレスを付与し、製品状態では外側からプレス による薄化部分が分力もな 、ようにするのが望ま 、。

[0031] 〔第 3形態例〕

前記防漏溝 8の形成態様に係り、上記第 1、第 2形態例では体液排出部領域 Kを 挟む両側部にそれぞれ、透液性表面シート 3の上面側カゝらエンボスを付与することに より、左右一対の凹状の防漏溝 8, 8を形成するようにしたが、防漏溝 8は体液排出部 領域 Kを挟む両側部にそれぞれ、製品の長手方向に延びるように形成されておれば よぐ例えば図 7に示されるように、左右それぞれの側に形成された防漏溝 8, 8の前 後端部にお 、て両端同士が結合され、略方形状に形成されて 、てもよ 、。

図面の簡単な説明

[0032] [図 1]本発明の第 1形態例に係る吸収性物品 1Aの一部破断平面図である。

[図 2]その II II線矢視図である。

[図 3]防漏溝 8の拡大図である。

[図 4]図 1の IV-IV線矢視図である。

[図 5]本発明の第 2形態例に係る吸収性物品 1Bの一部破断平面図である。

[図 6]その VI-VI線矢視図である。

[図 7]本発明の第 3形態例に係る吸収性物品 1Cの一部破断平面図である。

[図 8]従来の吸収性物品 40Aの簡略横断面図である。

[図 9]従来の吸収性物品 40Bの簡略横断面図である。

符号の説明

[0033] 1Α· 1Β…吸収性物品、 2…不透液性裏面シート、 3…透液性表面シート、 4…吸収 体、 4Α…標準部吸収体、 5· ··クレープ紙、 6…中高部、 8…防漏溝、 9…体液、 10· ·· 薄化部

Claims

請求の範囲

[1] 透液性表面シートと、裏面シートとの間に吸収体が介在され、かつ前記吸収体の略 中央部領域に、標準部吸収体より表面側に増厚された中高部を有する吸収性物品 において、

前記中高部の領域内であって、かつ体液排出部領域を挟む両側部にそれぞれ、 吸収性物品の長手方向に延びる防漏溝が形成されたことを特徴とする吸収性物品。

[2] 前記防漏溝は前記中高部の厚みより深ぐ前記標準部吸収体に至る請求項 1記載 の吸収性物品。

[3] 前記防漏溝の外側に前記中高部をプレスによって薄化した薄化部を形成した請求 項 1、 2いずれかに記載の吸収性物品。

[4] 前記中高部は、前記吸収性物品を 3つ折りし個装する際の前後の折り線位置の間 に形成されている請求項 1一 3いずれかに記載の吸収性物品。

[5] 前記標準部吸収体の厚みは 1一 3mmである請求項 1一 4 、ずれかに記載の吸収性 物品。