WO2005025789A1 - 複合伸縮部材及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

　複合伸縮部材（１）は、２枚のシート材（２，３）と、これら両シート材間に配された複数本の弾性部材（４）とからなる伸縮部（１０）を有する。２枚のシート材２，３は、伸縮部１０の伸縮方向（Ｘ方向）及びそれに直交する方向（Ｙ方向）のそれぞれにおいて間欠的に互いに接合されている。弾性部材４は、両シート材同士の接合部（５）を通らないように伸縮部（１０）に配されており且つその両端部において両シート材に固定されている。両シート材（２，３）のそれぞれが、各々複数本の弾性部材（４）に亘って連続して延びる複数本の襞（６）を形成している。                                                                         

Description

明 細 書

複合伸縮部材及びその製造方法

技術分野

[0001] 本発明は、複合伸縮部材及びその製造方法に関する:

京技術

[0002] 使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品においては、シート材に弾性部 材を伸長状態で接合し、その弾性部材を収縮させて該シート材にギャザー（多数の 襞を有する伸縮部）を形成させることが広く行われてレ、る。

[0003] 特許文献 1には、平坦なシート材料を折り曲げて山と谷を繰り返す多数の襞を形成 し、弾性部材を襞の複数の山の頂部に接合してなる弾性伸縮性のシートが開示され ている。

また、特許文献 2には、不織布製のシート材と該シート材を折り返して形成した 2層 部分に挟まれた弾性部材とを有する弾性伸縮部であって、該弾性部材の伸縮方向 に直交する方向に延びるシート材同士の線状の接合部分を有し、該接合部分にお レ、て該弾性部材を前記シート材に接合してなる弾性伸縮部を備えた使い捨ておむ つが記載されている。

[0004] 特許文献 1 :特開 2001— 11769号公報

特許文献 2 :登録実用新案第 2518953号公報

発明の開示

[0005] しかし、従来の一般的なギャザーの襞は、その伸縮方向に直交する方向の長さが 短いものであり、見た目にあまり美しいものではなかった。

[0006] また、特許文献 1記載のシートにおいては、襞が複数本の前記弾性部材に亘つて おり、比較的見た目に美しいものではある力 その一方で、シート材と弹性部材との 接合部の存在に起因して、襞が肌に接触したときの感触があまりよくない。

他方、特許文献 2記載の弾性伸縮部においては、シート材同士の線状の接合部分 に起因して、その接合部分と平行な方向の柔軟性が劣り、肌に接触したときの柔らか さや感触の点において改善の余地がある。 [0007] 本発明は、 2枚のシート材と、これら両シート材間に配された複数本の弾性部材とか らなる伸縮部を有する複合伸縮部材であって、前記 2枚のシート材は、前記伸縮部 の伸縮方向及びそれに直交する方向において間欠的に互いに接合されており、前 記弾性部材は、両シート材同士の接合部を通らないように前記伸縮部に配されてお り且つその両端部において両シート材に固定されており、前記両シート材のそれぞ れが、各々複数本の前記弾性部材に亘つて連続して延びる複数本の襞を形成して レ、る複合伸縮部材を提供するものである（以下、第 1発明というときは、この発明をい う)。

[0008] 本発明は、前記複合伸縮部材の製造方法であって、一方のシート材上に複数本の 弾性部材を伸長状態で沿わせ、該一方のシート材の弾性部材配置面上に、他方の シート材を積層する工程、積層状態の両シート材における前記弾性部材が配されて レ、なレ、部位を部分的に接合する工程、前記弾性部材を挟んだ状態の両シート材に おける、弾性部材が延びる方向にぉレ、て互いに離間した部位に、弾性部材を両シー ト材に固定する処理を施す工程、前記弾性部材を収縮させて両シート材それぞれに 複数本の襞を形成させる工程とを具備してなる複合伸縮部材の製造方法を提供する ものである（以下、第 2発明というときは、この発明をいう）。

[0009] 本発明は、 2枚のシート材と、これら両シート材間に配された複数本の弾性部材とか らなる複合伸縮部材であって、前記 2枚のシート材が、前記弾性部材の伸縮方向及 びその交差方向の両方向に間欠的に接合されて、前記両方向それぞれに沿って、 それぞれ複数の接合部からなる接合ラインが複数本形成されており、前記弾性部材 の少なくとも 2本が、前記伸縮方向に沿う接合ラインを構成する各接合部と重なるよう に配されて、該各接合部において前記両シート材間に固定されており、前記両シート 材それぞれが、前記伸縮方向の交差方向に沿う接合ライン同士間において襞を形 成している複合伸縮部材を提供するものである（以下、第 3発明というときは、この発 明をいう）。

[0010] 本発明は、前記複合伸縮部材の好ましい製造方法であって、 2枚のシート材間に 複数本の弾性部材を伸張状態で配置し、その積層体を、複数の凸部で部分的に加 熱加圧して、両シート材同士を、前記接合部が形成されるように部分的に熱融着する 工程を具備しており、前記部分的な加熱加圧は、前記弾性部材を切断しないように 行う複合伸縮部材の製造方法を提供するものである（以下、第 4発明というときは、こ の発明をいう）。

[0011] 本発明は、 2枚のシート材と、これら両シート材間に配された複数本の弾性部材とを 有する複合伸縮部材であって、前記 2枚のシート材は、部分的に接合されて複数の 接合部を形成しており、複数の前記接合部によって、前記弾性部材の伸縮方向に交 差する方向に延びる接合ラインが複数本形成されており、一部の接合ラインと他の一 部の接合ラインとで、該各接合ラインを構成する前記接合部の、前記伸縮方向に交 差する方向の配置位置が異なっており、前記各弾性部材は、少なくとも一部の前記 接合部において前記両シート材間に固定されており、前記両シート材それぞれが、 隣接する前記接合ライン間におレ、て襞を形成してレ、る複合伸縮部材を提供するもの である（以下、第 5発明というときは、この発明をいう）。

[0012] 本発明は、前記複合伸縮部材の好ましい製造方法であって、 2枚のシート材間に 複数本の弾性部材を伸張状態で配置し、その積層体を、複数の凸部で部分的に加 熱加圧して、両シート材同士を、前記接合部が形成されるように部分的に熱融着する 工程を具備しており、前記部分的な加熱加圧は、前記弾性部材を切断しないように 行う複合伸縮部材の製造方法を提供するものである（以下、第 6発明というときは、こ の発明をいう）。

図面の簡単な説明

[0013] [図 1]図 1は、第 1発明の一実施形態としての複合伸縮部材を一部破断して示す斜視 図である。

[図 2]図 2は、図 1の複合伸縮部材の伸縮部を伸張させた状態を示す平面図である。

[図 3]図 3は、第 1発明の他の実施形態としての複合伸縮部材を示す図（図 2相当図） である。

[図 4]図 4は、本発明（第 1 ,第 3,第 5発明）の複合伸縮部材を用いて形成する伸縮 部の例を、ファスニングテープを有する使い捨ておむつの場合を例に示したものであ る。

[図 5]図 5は、第 3発明の一実施形態としての複合伸縮部材を一部破断して示す斜視 図である。

[図 6]図 6は、図 5の複合伸縮部材を、弾性部材を伸張させ平面状に拡げた状態を示 す平面図である。

[図 7]図 7は、図 5や図 10に示す複合伸縮部材等の製造に使用可能なエンボス装置 の一部を示す断面図である。

[図 8]図 8は、第 3発明の他の実施形態としての複合伸縮部材を示す図（図 6相当図） である。

[図 9]図 9は、第 3発明の更に他の実施形態としての複合伸縮部材を示す図（図 6相 当図）である。

[図 10]図 10は、第 5発明の一実施形態としての複合伸縮部材を一部破断して示す 斜視図である。

[図 11]図 11は、図 10の複合伸縮部材を、弾性部材を伸張させ平面状に拡げた状態 を示す平面図である。

[図 12]図 12は、第 5発明の他の実施形態としての複合伸縮部材を示す図（図 11相 当図）である。

[図 13(a)]図 13 (a)は、第 5発明の更に他の実施形態における接合部の配置パターン を示す図であり、接合部の長手方向が接合ラインの延長方向と一致する例を示す図 である。

[図 13(b)]図 13 (b)は、第 5発明の更に他の実施形態における接合部の配置パターン を示す図であり、接合部の長手方向が接合ラインの延長方向と一致しない例を示す 図である。

[図 14]図 14は、第 5発明の更に他の実施形態における接合部の配置パターンを示 す図である。

[図 15]図 15は、第 5発明の更に他の実施形態における接合部の配置パターンを示 す図である。

発明の詳細な説明

第 1及び第 2発明の好ましい実施形態を図面を参照しながら説明する。

第 1発明の一実施形態（第 1実施形態）としての複合伸縮部材 1は、図 1に示すよう に、 2枚のシート材 2, 3と、これら両シート材間に配された複数本の弾性部材 4とから なる伸縮部 10を有している。

伸縮部 10は、複合伸縮部材 1における、弾性部材 4が延びる方向の中央部に形成 されており、複合伸縮部材 1の同方向の両端部 11 (一方のみ図示）において、弾性 部材 4は、シート材に対して接合されている。

[0015] 伸縮部 10を構成する 2枚のシート材 2， 3は、図 2に示すように、伸縮部 10の伸縮方 向（X方向）及びそれに直交する方向（Y方向）のそれぞれにおいて間欠的に互いに 熱融着 (接合)されている。

本実施形態における複数本の弾性部材 4は、互いに平行に配されており、それぞ れ複合伸縮部材 1の長手方向に沿って延びるように配されている。

本実施形態のように複数本の弾性部材が互いに平行に配されている場合における 伸縮部 10の伸縮方向とは、弾性部材 4が延びる方向と同じ方向である。尚、複数本 の弾性部材 4が互いに平行に配されていない場合の伸縮部の伸縮方向は、複数本 の弾性部材に亘つて延びる襞（後述する）の襞が延びる方向に直交する方向とする。

[0016] 図 2は、 2枚のシート材 2, 3同士の熱融着部（接合部） 5の形成パターンを示す図で あり、本実施形態においては、図示の通り、熱融着部 5が千鳥状に形成されている。 複数本の弾性部材 4に亘つて連続して延びる襞 6を確実に形成させる観点から、伸 縮部を伸張させた状態（図 2， 3に示す状態，伸縮部伸張時)の伸縮部 10の伸縮方 向（X方向）における、熱融着部 5のピッチ P1 (図 2参照）は 1一 30mm、特に 6— 20 mmであることが好ましぐ各熱融着部 5の長さ L1 (図 2参照）は 0. 1— 5mm、特に 0 . 2— 1. 5mmであることが好ましぐ前記ピッチ P1と前記長さ L1の比（P1/L1)は 1 . 1一 300、特に 4一 100であること力 S好ましレ、。

[0017] 伸縮部 10における 2枚のシート材 2, 3は、熱融着部 5以外の部位においては互い に接合されてレ、なレ、ことが好ましレ、。

各弾性部材 4は、両シート材同士の熱融着部 5を通らないように伸縮部 10に配され ており、弾性部材 4の両端部においてのみ両シート材 2, 3に固定されている。弾性部 材 4の両端部は、複合伸縮部材 1の両端部 11 (一方のみ図示）において、シート材 2 , 3に挟まれた状態で両シート材間に固定されている。前記両端部 11が伸縮可能に 形成される場合もある。

[0018] シート材同士の熱融着部 5は、伸縮部 10の伸縮方向（X方向）及びそれに直交する 方向（Y方向）にそれぞれ列をなす (シール線をなす）ように形成されており、該直交 する方向の列を構成する熱融着部 5は弾性部材 2本毎に 1個形成されている。

伸縮部 10の伸縮方向 (X方向）の列とそれに隣接する列との間には、熱融着部 5が 存在しない領域が、複合伸縮部材 1の両端部 11 (一方のみ図示）間に亘つて連続的 に形成されており、その領域に弾性部材 4が非接合状態で配されている。尚、伸縮部 10の伸縮方向 (X方向）の列とそれに隣接する列とでは、熱融着部 5の位置が半ピッ チ（P1/2)ずれている。

[0019] 本実施形態の複合伸縮部材 1おいては、その自然状態 (外力を加えない状態）に おいて、弾性部材 4が収縮して、図 1に示すように、 2枚のシート材 2, 3のそれぞれが 、各々複数本の弾性部材 4に亘つて連続して延びる複数本の襞 6, 6を形成している

[0020] 両シート 2， 3の各襞 6は、複合伸縮部材 1の両面それぞれに突出するように形成さ れており、各襞 6の突出方向の先端部には、断面円弧状の凸曲面が形成されている 。その凸曲面は、伸縮部の伸縮方向に直交する方向（Y方向）に連続的に延びてい る。本実施形態においては、伸縮部 10の伸縮方向（X方向）において相隣接する熱 融着部 5, 5間に、それぞれ 2本の襞 6が形成されており、それらの襞 6は、弾性部材 4 と重なる箇所において分断されることなぐ伸縮部の伸縮方向に直交する方向（Y方 向）に連続的に延びている。

[0021] 本実施形態の複合伸縮部材 1は、弾性部材 4の収縮により形成された多数の襞 6, 6のそれぞれ力 伸縮部 10の伸縮方向に直交する方向（Y方向）に連続的に延びて いるため、見た目に非常に美しい。これに対して、シート材 2, 3同士を、弾性部材 4 に沿って連続的に接合 (熱融着、接着剤による接着等)した場合には、襞 6 (特に頂 部）が弾性部材 4と重なる個所にぉレ、て凹んで分断されてしまい、ランダムな襞が形 成され見た目の美しさが損なわれるのみならず、外力に対する襞 6の変形自由度が 低下して、肌触りの柔軟性も低下する。

[0022] また、本実施形態の複合伸縮部材 1は、伸縮部 10における弾性部材 4が、一方の シート材 2における襞 6と襞 6との間の谷部と他方のシート材 4における襞 6と襞 6との 間の谷部との間に挟まれた状態で存在し、それらの谷部同士間に挟まれた部分を含 めて両シート材 2, 3の何れにも接合されていない状態で存在すること、及び、伸縮部 10における両シート材 2， 3が伸縮部 10の伸縮方向及びそれに直交する方向の何 れの方向においても連続的に接合されていないことにより、剛性の増加を防止できる と共に外力に対する襞 6の変形自由度が向上している。また、襞の先端が凸曲面を 形成している。

そのため、シート材の厚み方向にボリュームが出るとともに複合伸縮部材 1の表面 に触れたときの感触が極めて柔らかぐ肌触りが極めて良好である。

[0023] また、伸縮部 10における弾性部材が、両シート材 2, 3に接合されていない状態で 存在するため、接着剤使用量をゼロ又は少量に抑制することができ、特に本実施形 態のように、 2枚のシート材 2, 3同士の接合を熱融着により行なった場合に接着剤使 用量の低減効果は一層顕著である。ホットメルトが少ないので、通気性や透湿性を損 なうこともない。

[0024] 本実施形態の複合伸縮部材 1の形成材料にっレ、て説明する。

前記シート材 2, 3としては、それぞれ、例えばエアースルー不織布、ヒートロール不 織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の各種製 法による不織布、織布、編布、樹脂フィルム等、及びこれら 2以上を積層一体化させ てなるシート材等を用いることができる。

見た目に美しぐ感触の良い柔軟な襞を形成させる観点から、両シート材又は一方 のシート材 (特に複合伸縮部材を肌に当接させる用途に用いる場合の肌側の面を形 成するシート材）の形成材料は、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレ ース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等であることが好ましい。

[0025] シートが弾性部材の収縮に対して変形することで、襞を成形する。つまり、このシート の剛性がこの複合伸縮部材の襞の成形性'クッション性を決める要素の一つとなる。 剛性はシート材料の座屈強度によって表すことができる。

本発明（第 1一第 6発明）に用いられるシート材の座屈強度としては lOOcN以下、特 に 70cN以下とすることが好ましい。ここで、座屈強度は、下記に示す様に、テンシロ ン万能試験装置 (オリエンテック社製）の圧縮試験モードにより測定することができる。

[0026] 座屈強度試験法（CD) :

機械流れ方向（MD)に 150mm、機械流れ方向と直交する方向（CD)に 30mmの 長方形の試験片を取り、直径 45mmの円筒を作り、重なり合った部分の上端と下端と をホッチキス等で止め測定サンプルとする。これを、テンシロン万能試験装置の圧縮 武験モードにより、測定環境 20°C、 65%RH、測定条件としては、圧縮速度 10mm /min、測定距離 20mmで測定を行う。サンプルを 20mm圧縮した時の最大強度を 各サンプノレについて測定し、その平均値を求め、これを座屈独度とする。

前述したように、シート材としては好ましくは不繊布が用いられる。不織布の坪量とし ては、好ましくは 5 50g/m²、特に好ましくは 18— 30g/m²の不織布が用いられる 。そうした坪量の不織布の座屈強度は、好ましくは CD方向で 50cN以下、特に好ま しくは 30cN以下、 MD方向で好ましくは 70cN以下、特に好ましくは 50cN以下であ る。

[0027] また、シート材は、熱融着による接合を容易にする観点から、その形成素材 (不織 布の場合の繊維、樹脂フィルムのフィルム材料等）が熱融着性の樹脂からなることが 好ましぐ熱融着性の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。不 織布等を構成する繊維は、表面のみが熱融着性の樹脂からなる芯鞘型の複合繊維 等であっても良い。

尚、 2枚のシート材のうちの一方のシート材と他方のシート材とでは、形成材料が同 一でも異なってレ、ても良レ、。

[0028] 本発明（第 1一第 6発明）における 2枚のシート材は、別体の 2枚のシートに限られる ものではなく、一枚のシート材を折り曲げて相対向する 2面を形成し、一方の面を構 成する部分を 1枚のシート材、他方の面を構成する部分をもう:!枚のシート材とするこ とあできる。

[0029] 弾性部材 4の形成材料としては、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物 品に用レ、られる各種公知の弾性材料を特に制限なく用いることができ、例えば素材と しては、スチレン—ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天 然ゴム、 EVA,伸縮性ポリオレフイン、ポリウレタン等を挙げることができ、形態として は、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状ないし紐状 (平ゴム等）のもの、 或いはマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を用いることができる。

[0030] この複合伸縮部材の襞の成形性を決めるもう一つの要素は、弾性部材の伸長倍率 と伸縮応力である。襞の断面形状を凸形状にするために所要の弾性部材の伸長倍 率と伸縮応力が必要となる。弾性部材は、好ましくは 20— 1000%、特に好ましくは 5 0— 400%の伸長状態にてシート材に対して適用される。そうして、弾性部材が収縮 し、収縮した部分の不織布が余り、熱融着郡の貼り合わせ面とは反対側の方向に、 外側に断面凸形状に変形することで襞が形成される。

以上のように、襞の高さは成形性'クッション性を考えるとき重要であり、接合部バタ ーンと間隔、材料及び弾性部材の選択により、任意に設計することができる。この襞 の高さは，好ましくは片側 1一 15mm程度である。襞を高くするためには、相隣接す る接合部の間隔を所定の寸法だけ確保し、その間隔が詰まるだけの伸縮伸長倍率と 凸形状の襞が形成させることで、ボリューム感のある柔らかレ、複合伸縮部材を形成す ること力 Sできる。襞の片側の高さが hのものをつくるとき、このとき接合部の間隔は最低 でも 2 X hとすること力 S好ましく、間隔が 2 X hの最低値の場合に弾性部材は相隣接す る接合部が隣接するくらい収縮することが好ましい。

[0031] 好ましい弾性部材の一つに、天然ゴムほたは合成ゴム）がある。天然ゴム (合成ゴ ム）としては、厚みが 0. 05- 1. 5mm、幅が 0. 2— 5mmであって、断面積にもよるが 代表的な断面積として 0. 35mm厚みの 0. 91mm幅の単糸の 100%伸長時の応力 力 S1— 70gf程度、好ましくは 1一 40gf程度、特に好ましくは 1一 30gf程度の低モジュ ラスの弾性部材が望まれる。複合伸縮部材に、こうした応力特性を有する性部材を複 数本用いる。

他の好ましい弾性部材に、ポリウレタンのスパンデッタス弾性繊維がある。単糸のサ ィズが 10 3360デニーノレのもの、特に好ましくは 70— 1120デニールのものが用い られる。デニールは糸の太さを表す単位であり、 9000mで lgある糸を 1デニールと 呼ぶ。このスパンデッタス弾性繊維を 30— 500%に伸長したものを複数本用いる。 上記に挙げた低モジュラスの弾性部材の単糸を、好ましくは 100%以上、特に好ま しくは 200%以上の高伸長倍率で複数本配置することにより、柔らかく伸縮する美し い襞を有する複合伸縮部材を得ることができる。

[0032] 上述した複合伸縮部材 1は、例えば以下の方法により効率的且つ経済的に生産す ること力 Sできる。この方法は、第 2発明の一実施形態である。

先ず、一方のシート材 2上に、複数本の弾性部材 4をそれぞれ伸長状態で互いに 平行となるように配し (沿わせ）、次いで、該シート材 2における弾性部材 4を配置した 面上に、他方のシート材 3を積層する。

[0033] 次いで、積層状態の両シート材における弾性部材 4が配されていない部位を熱ェ ンボス又は超音波エンボス等により部分的に熱融着する。熱エンボス又は超音波ェ ンボスは、例えば熱融着部 5の形成パターン（図 2参照）に対応するパターンの凸部 を周面に有するエンボスロールと、該ロールに対向する受けロールとの間に積層状 態の両シート材を揷通させて行うことができる。

[0034] 次いで、弾性部材 4を挟んだ状態の両シート材における、弾性部材 4が延びる方向 において互いに離間する部位に、弾性部材 4を両シート材 2, 3に固定する一体化処 理を施す。一体化処理は、弾性部材を両シート材 2, 3に接合することができる処理 であり、熱エンボス又は超音波エンボス処理を用いることができる。他の一体化処理 としては、一方又は両方のシート材及び/又は弾性部材に接着剤を塗工し、その接 着剤を塗布した部位を加圧する処理であっても良い。この場合の接着剤は、例えば 、弾性部材 4を配する前の一方のシート材 2、該シート 2に重ねる前の他方のシート材 3、該シート材 2上に配する前又は配した後の弾性部材 4等に塗工する。

[0035] そして、一体化処理を施した部位が、弾性部材 4が延びる方向の両端部に位置す るように、弾性部材 4を挟んだ状態の両シート材 2， 3における所定箇所を切断する。 そして、弾性部材 4を収縮させて両シート材 2, 3のそれぞれに複数本の襞を形成さ せることにより、上述した構成の複合伸縮部材 1が得られる。

[0036] 次に、第 1発明の他の実施形態（第 2実施形態）としての複合伸縮部材 1 'について 説明する。第 2実施形態については、第 1実施形態と異なる点について説明し、同様 の点については同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、上述し た複合伸縮部材 1について説明が適宜適用される。

[0037] 第 2実施形態の複合伸縮部材 1 'は、図 3に示すように、シート材 2, 3同士の熱融着 部 5が、伸縮部 10の伸縮方向（X方向）及びそれに直交する方向（Y方向）にそれぞ れ列をなすように形成されており、該直交する方向の列を構成する熱融着部 5が各 弾性部材 4同士間毎に形成されてレ、る。

第 2実施形態の複合伸縮部材 1 'におレ、ても、その自然状態 (外力を加えなレ、状態 )において、弾性部材 4が収縮して、 2枚のシート材 2, 3のそれぞれが、第 1実施形態 と同様に、各々複数本の弾性部材 4に亘つて連続して延びる複数本の襞 (ギャザー） 6, 6を形成しており、そのため、上述した複合伸縮部材 1と同様の作用効果が奏し得 られる。

[0038] 第 2実施形態の複合伸縮部材 1 'においては、伸縮部の伸縮方向（X方向）におい て相隣接する熱融着部 5， 5間には各一本の襞 6が形成されている。

[0039] 複数本の弾性部材 4に亘つて連続して延びる襞 6を確実に形成させる観点から、伸 縮部 10伸張時の該伸縮部 10の伸縮方向（X方向）における、熱融着部 5のピッチ Ρ2 (図 3参照）は 1一 20mm、特に 3— 10mmであることが好ましぐ各熱融着部 5の長さ L2 (図 3参照）は 0. 1— 5mm、特に 0. 2— 1. 5mmであることが好ましぐ前記ピッチ P2と前記長さ L2の比（P2/L2)は 1. 1一 200、特に 2— 50であることが好ましい。

[0040] 尚、上述した複合伸縮部材 1， 1 ' (特に複合伸縮部材 1)において、伸縮部 10の伸 縮方向に直交する方向（Y方向）における、熱融着部 5のピッチ P3 (図 2， 3参照）は 1 —40mm,特に 2— 15mmであることが好ましぐ各熱融着部 5の長さ L3 (図 2, 3参 照）は 0. 5— 20mm、特に 1一 10mmであることが好ましぐ前記ピッチ P3と前記長さ L3の]；匕（P3/L3)は 1. 05— 80、特に 1. 05— 15であること力 S好ましレ、。

[0041] 第 3及び第 4発明の好ましい実施形態を図面を参照しながら説明する。

第 3発明の一実施形態としての複合伸縮部材 1Aは、図 5及び図 6に示すように、 2 枚のシート材 2, 3と、これら両シート材間に配された複数本の弾性部材 4とからなる。 複合伸縮部材 1Aは、平面視して矩形状を有しており、弾性部材 4が延びる方向の 両端部には、端部シール部 11 (一方のみ図示） 、弾性部材 4の伸縮方向（延在方 向）の直交方向に連続的に形成されており、該端部シール部 11においては、総ての 弾性部材 4が両シート材 2, 3に挟まれた状態で固定されている。複合伸縮部材 1A は、端部シール部 11を除く部分が伸縮部 10となっている。 [0042] 2枚のシート材 2, 3は、図 6に示すように、弾性部材 4の伸縮方向（X方向）及びそ の直交方向（Y方向）の両方向に間欠的に熱融着 (接合）されている。弾性部材 4の 伸縮方向の交差方向とは、弾性部材 4の伸縮方向に対して所定の角度をなす方向（ 非平行な方向）であり、本実施形態においては、弾性部材 4の伸縮方向と直交する 方向（Y方向）である。弾性部材 4の伸縮方向の交差方向は、該伸縮方向との交差角 度が、本実施形態のように直交する場合の交差角度を 90° とした場合に好ましくは 7 5° — 105° であり、より好ましくは 85° 95° であり、特に好ましくは 90° である。

[0043] 本実施形態における複数本の弾性部材 4は、互いに平行に配されており、複数本 の弾性部材が互いに平行に配されている場合における弾性部材 4の伸縮方向は、 弾性部材 4が延びる方向と同じ方向である。複数本の弾性部材 4が互いに平行に配 されていない場合の弾性部材 4の伸縮方向は、後述する襞 6が延びる方向に直交す る方向である。

[0044] 複合伸縮部材 1 Aには、図 6に示すように、弾性部材 4の伸縮方向（X方向）に、そ れぞれ複数の熱融着部（接合部） 5からなる接合ライン 50 (—本のみ符号を付して図 示）が複数本（図示例では 7本)形成されており、また、弾性部材 4の伸縮方向の直交 方向（Y方向）に、それぞれ複数の熱融着部（接合部） 5からなる接合ライン 51 (—本 のみ符号を付して図示）が複数本形成されてレ、る。

[0045] 弾性部材 4の伸縮方向（X方向）に沿う接合ライン 50同士は、互いに平行に形成さ れており、該伸縮方向の直交方向（Y方向）に沿う接合ライン 51同士も、互いに平行 に形成されている。そして、 X方向に沿う 2つの接合ライン 50同士間には、熱融着部 5が存在しない領域が、複合伸縮部材 1Aの両端部の端部シール部 11 (一方のみ図 示）間に亘つて連続的に形成されている。

[0046] 柔軟性を向上させる観点から、弾性部材 4の伸縮方向の交差方向（本実施形態で は Y方向）に沿う接合ライン (交差方向に沿って延びる接合ライン）において、熱融着 部 (接合部） 5の長さ LI 1 (図 6参照）と、該熱融着部 (接合部）の配置ピッチ PI 1 (図 6 参照、）との i (Pl l/Ll l)は 1. 05— 80、特に 1. 05— 15であること力 S好ましく、該 熱融着部（接合部）の配置ピッチ P11は 1一 40mm、特に 2— 15mmであることが好 ましい。 同様の観点から、前記長さ L11は 0. 5— 20mm、特に 1一 10mmであることが好ま しぐ熱融着部（接合部）同士間の長さ L12 (図 6参照）は 0. 5— 30mm、特に 1一 20 mmであることが好ましい。

[0047] 襞 6、特に複数本の弾性部材 4に亘つて連続して延びる見た目に美しい襞 6を形成 させる観点から、弾性部材 4の伸縮方向 (X方向）に沿う接合ラインにおける、熱融着 部（接合部） 5の配置ピッチ P12 (図 6参照）は 1一 30mm、特に 2 15mmであること が好ましぐ各熱融着部 5の同方向の長さ L13 (図 6参照）は 0. 1— 5mm、特に 0. 2 一 1. 5mmであることが好ましぐ前記ピッチ P12と前記長さ L13の比（P12ZL13) は 1. 1一 300、特に 4一 100であることカ好ましレヽ。

[0048] 上述した各部の寸法や比は、図 6に示すように、複合伸縮部材を、弾性部材を伸張 させて平面状に拡げた状態 (弾性部材を切断する等により弾性部材の影響を一切排 除した状態で平面状に広げた場合と同じ寸法まで拡げた状態）において測定する。

[0049] 本実施形態にぉレ、ては、総ての弾性部材 4が、弾性部材 4の伸縮方向（X方向）の 接合ライン 50を構成する各熱融着部（接合部） 5と重なるように配されている。各弾性 部材 4は、 Y方向において各熱融着部 5の中央部を通っており、各熱融着部 5におい て切断されることなぐ各熱融着部 5において両シート材 2, 3間に固定されている。

[0050] 本実施形態の複合伸縮部材 1Aおいては、その自然状態 (外力をカ卩えない状態）に おいて、弾性部材 4が収縮して、図 5に示すように、 2枚のシート材 2, 3のそれぞれが 、弾性部材 4の伸縮方向の交差方向（Y方向）に沿う接合ライン同士間において襞 6 , 6 · ·を形成している。

[0051] 両シート 2， 3の各襞 6は、複合伸縮部材 1Aの両面にそれぞれ突出するように形成 されており、各襞 6の突出方向の先端部は、断面円弧状の凸曲面を形成している。 各襞 6は、弾性部材 4と重なる箇所において分断されることなぐ前記直交方向 (Y方 向）において、各々複数本の弾性部材 4間に亘るように連続的に延びているため、見 た目に非常に美しい。

[0052] 本実施形態の複合伸縮部材 1Aは、弾性部材 4が、弾性部材 4の伸縮方向（X方向 )に沿う接合ライン 50を構成する各熱融着部 5において両シート材 2， 3間に固定され ているため、弾性部材 4の収縮応力は各熱融着部間の両シート材を確実に収縮させ るために使われるため、各部に形成される襞 6を容易に均質化することができ、その 均質性が損なわれない。しかも、弾性部材 4の伸縮方向の交差方向 (Y方向）に沿う 接合ライン 51が、間欠配置された複数の熱融着部 (接合部） 5からなるため、複合伸 縮部材 1Aが非常に柔軟であり、例えば複合伸縮部材 1Aを Y方向に圧縮する力や、 該複合伸縮部材 1Aを同方向に湾曲させたりする力に対して、複合伸縮部材 1Aが 柔軟に変形する。そのため、例えば、吸収性物品にギャザー（多数の襞を有する伸 縮部）、特に立体ギャザー（起立した防漏壁）を形成するために用いた場合に、ギヤ ザ一が肌に接触した場合の感触が柔らかく良好であり、ギャザーが肌に与える刺激も 低減すること力 Sできる。

[0053] また、本実施形態の複合伸縮部材 1Aは、弾性部材 4が、一方のシート材 2におけ る襞 6と襞 6との間の谷部と他方のシート材 3における襞 6と襞 6との間の谷部との間に 挟まれた状態で存在すること、及び、襞の先端が凸曲面を形成していることにより、シ 一ト材の厚み方向にボリュームが出るとともに、複合伸縮部材 1Aの表面に触れたとき の感触が極めて柔らかぐ肌触りが極めて良好である。

[0054] 本実施形態の複合伸縮部材 1Aの各部の形成材料としては、上述した複合伸縮部 材 1におけるものと同様のものを用いることができる。第 1発明の複合伸縮部材の形 成材料に関して上述した説明は、矛盾しない範囲で、第 3発明の複合伸縮部材にも 適用される。

[0055] 本実施形態の複合伸縮部材 1Aにおいても、襞 6は、弾性部材 4の収縮により両シ -ト材 2, 3を変形させて生じさせる。シート材 2, 3の剛性がこの複合伸縮部材の襞の 成形性'クッション性を決める重要な要素となる点、複合伸縮部材の襞の成形性を決 めるもう一つの要素が、弾性部材の伸長倍率と伸縮応力である点、更には、これらに 関連して説明した好ましい構成 (シート材の座屈強度、シート材に適用する際の弾性 部材の伸長の程度、襞の高さ等）についても、上述した複合伸縮部材 1と同様である

[0056] 尚、シート材として不繊布を用いる場合の不織布の坪量としては、好ましくは 5— 50 g/m²、特に好ましくは 8 30g/m²である。そうした坪量の不織布の座屈強度は、 好ましくは CD方向で 50cN以下、特に好ましくは 30cN以下、 MD方向で好ましくは 70cN以下、特に好ましくは 50cN以下である。柔らかいシート材を使用することで、 襞の成形性を高めることが出来る。

[0057] 上述した複合伸縮部材 1Aは、例えば以下の方法により効率的且つ経済的に生産 すること力 Sできる。

先ず、 2枚のシート材 2， 3間に複数本の弾性部材 4を伸張状態で配置する (層間は 非接着)。そして、その積層体 12を、図 7に示すように、複数の凸部 7で部分的に加 熱加圧して、両シート材 2， 3同士を、熱融着部 5の形成パターン（図 6参照）に対応 するパターンで部分的に熱融着する。この部分的な加熱加圧の際には、弾性部材 4 を切断しないようにすることが必要である。両シート材同士が熱融着すると共に弾性 部材 4が、シート材に対して、シート材に含まれる熱融着性繊維を介して熱融着する ようにし、且つその弾性部材 4が切断されないようにするには、例えば、（1)凸部 7の アンビルロール 71に対する押し付け圧力、（2)凸部 7とアンビルロール 71のクリアラ ンス、 （3)凸部 7とアンビルローノレ 71の温度、の 3つのパラメータを振って最適な条件 を導き出すことが好ましい。また、弾性部材の材料として加圧や熱の影響を受け難い 材料、すなわち切れ難い材料を選ぶことや、製品仕様として伸長率を低く抑えて使 用することも、弾性部材を切断しない方法として有効である。

[0058] また、弾性部材に加わる圧力を積極的に減らしてレ、く手段 (押圧力低減用の手段） としては、複数の凸部 7の弾性部材と交差する箇所に、圧力が加わらないような措置 を施してもよい。例えば、凸部に対応するアンビルロールをシリコンゴム等のゴム製に してもよい。ゴムの耐久性が心配な場合は、弾性部材と重なる箇所のみにゴムを卷く 方法もある。別の例としては、弾性部材 4に対応する部位に押圧力低減用の溝部（凹 部） 72を形成した凸部を用いる。このような凸部を用いた熱融着は、例えば熱ェンボ ス装置又は超音波エンボス装置等により行うことができ、このような凸部 7を周面に有 するエンボスロール 70と、該ロールに対向するアンビルロール（受け口一ノレ） 71との 間に積層体 12を揷通させることにより行うことができる。

図 7に示すエンボス装置においては、複数の凸部 7との間で前記積層体 12を加圧 する面としての、アンビルロール 71の外周面における、弾性部材 4に対応する部位に も、押圧力低減用の溝部（凹部） 73が形成されている。 [0059] 熱融着用の凸部及び/又はその対向面に押圧力低減用の溝部 72, 73を設けるこ とにより、弾性部材 4の切断を防止しつつ、弾性部材 4を熱融着部 5に容易に固定す ること力 Sできる。尚、熱融着部における弾性部材 4は、両シート材間に挟持されている のみで、両シートとの間にズレが生じないように固定されていても良いし、溶融した表 面が一方又は両シート材と融着していても良い。また、押圧力低減用の溝部は、凸 部又はその対向面の何れか一方にのみ設けることもできる。

[0060] 好ましい実施例において、押圧力低減用の溝部はエンボスロールの凸部には設け ず、アンビルロールのみに設ける。アンビルロール表面にシートを沿わせて、シートを 介して弾性部材 4を沿わせる。その際、弾性部材 4が圧力低減用の溝部に嵌合する ように、アンビルロールに沿うようになる。弾性部材を、溝部により CD方向に動かない ように位置決めした上で、熱融着を行う。すなわち、シートをアンビルロールに抱かせ た上で、弾性部材を溝位置に沿わせるようにすることで、アンビルロールの溝部を跨 いで両シート材を加圧する凸部によりシールを行う際、 CD方向に高い精度で位置決 めを行うことが出来る。高い精度で位置決めを行うことが出来ると、シールパターンの 設計に自由度が生まれ、より好適な複合伸縮部材を形成することが出来る。

圧力低減用の溝の深さは、両シート材の間に挟まれた伸張状態の弾性部材がぴつ たり入る程度が好適である。ぴったり入る場合には、弾性部材にダメージを与えずに 、弾性部材の両側の位置において両シート材同士をヒートシールをすることが出来る 。これは、弾性部材が収縮しょうとする力に対する抵抗となり、弾性部材が非接着の 状態であっても、暴れることなぐ位置決めしておくことが出来る。溝の深さが、浅い場 合には、弾性部材にダメージを与えながらヒートシールを行うことになる。このとき、弹 性部材の伸縮特性が低下する可能性がある力 S、弾性部材を含めて両シート材が熱 融着を行うことにより、いっそう弾性部材の位置決めを確実にすることが出来る。 上述した位置決めについては、第 3発明、第 4発明について記載したが、第 5、第 6 発明についても同様の効果があり、第 1、第 2発明においては CD方向にみて、シー ルパターン間を通過するギャザーの設計において、シールパターン間の隙間を小さ くすることが出来、隙間を小さくした場合であっても、安定してギャザーを形成すること が出来るというメリットがあるなど、有効な方法である。 [0061] このようにして熱融着部 5を形成した後、弾性部材 4を挟んだ状態の両シート材に おける、弾性部材 4が延びる方向において互いに離間する部位に、端部シール部 1 1を形成するための一体化処理を施す。この一体化処理は、熱エンボス又は超音波 エンボス処理を用いることができる。また、他の一体化処理として、一方又は両方のシ ート材及び Z又は弾性部材に接着剤を塗工し、その接着剤を塗布した部位を加圧 する処理であっても良い。この一体化処理は、端部シール 11を形成しない場合には 省略すること力 Sできる。

そして、一体化処理を施した部位が、弾性部材 4が延びる方向の両端部に位置す るように、弾性部材 4を挟んだ状態の両シート材 2， 3における所定箇所を切断する。 そして、弾性部材 4を収縮させて両シート材 2, 3のそれぞれに複数本の襞を形成さ せることにより、上述した構成の複合伸縮部材 1Aが得られる。尚、上述した一体化処 理は、図 9に示す複合伸縮部材 1Cのように、熱融着部 (接合部） 5と重ならない弾性 部材 4Bを配する場合に、その弾性部材の端部を固定するのに特に好ましい。

[0062] 第 5及び第 6発明の好ましい実施形態を図面を参照しながら説明する。

第 5発明の一実施形態としての複合伸縮部材 1Dは、図 10及び図 11に示すように 、 2枚のシート材 2, 3と、これら両シート材間に配された複数本の弾性部材 4とからな る。

複合伸縮部材 1Dは、平面視して矩形状を有しており、弾性部材 4が延びる方向の 両端部には、端部シール部 11 (一方のみ図示）力 弾性部材 4の伸縮方向（延在方 向）の直交方向に連続的に形成されており、該端部シール部 11においては、総ての 弾性部材 4が両シート材 2, 3に挟まれた状態で固定されている。複合伸縮部材 1D は、端部シール部 11を除く部分が伸縮部 10となっている。

[0063] 2枚のシート材 2, 3同士は、図 11に示すように、熱融着により部分的に接合されて 複数の接合部 5を形成しており、これら複数の接合部 5によって、弾性部材 4の伸縮 方向（X方向）に交差する方向 (Y方向）に延びる接合ライン S1— S8が複数本形成さ れている。本実施形態における各接合ライン S1— S8は、 Y方向に間欠配置された 複数の接合部 (接合部群)からなる。

[0064] 弾性部材 4の伸縮方向に交差する方向とは、弾性部材 4の伸縮方向に対して所定 の角度をなす方向（非平行な方向）であり、本実施形態においては、弾性部材 4の伸 縮方向と直交する方向（Y方向）である。弾性部材 4の伸縮方向の交差方向は、該伸 縮方向との交差角度が、本実施形態のように直交する場合の交差角度を 90° とした 場合に好ましくは 75° — 105° であり、より好ましくは 85° 95° であり、特に好ま しくは 90° である。図 13 (a)及び図 13 (b)は、弾性部材 4の伸縮方向に交差する方 向に延びる接合ラインの他の例を示す図である。弾性部材 4の伸縮方向に交差する 方向に延びる接合ラインは、図 13 (a)に示すように、各接合ラインの延長方向と、該 各接合ラインを構成する接合部 5の長手方向とがー致してレ、ても良レ、し、図 13 (b)に 示すように、各接合ラインの延長方向と、該各接合ラインを構成する接合部 5の長手 方向とが角度を有していても良い。

[0065] 本実施形態における複数本の弾性部材 4は、互レ、に平行且つ等間隔に配されて いる。複数本の弾性部材が互いに平行に配されている場合における弾性部材 4の伸 縮方向は、弾性部材 4が延びる方向と同じ方向である。複数本の弾性部材 4が互い に平行に配されていない場合の弾性部材 4の伸縮方向は、後述する襞 6が延びる方 向に直交する方向である。

[0066] 複合伸縮部材 1Dには、図 11に示すように、弾性部材 4の伸縮方向（X方向）に、そ れぞれ複数の熱融着部（接合部） 5からなる接合ライン S1— S8 (—本の接合ライン S 2のみ一点鎖線で囲んで図示）が複数本（図示例では 8本）間欠的に形成されている 。複数の接合ラインは互いに平行に且つ等間隔に形成されており、また、接合ライン を構成する接合部は Y方向に等間隔に形成されている。本実施形態においては、接 合ライン中の接合部の形状や寸法、配置ピッチ P11は総ての接合ラインにおいて同 じである。また、接合部の配置ピッチ P11と弾性部材の 4の配置ピッチとは同一である

[0067] 複数の接合ライン S1— S8は、図 11に示すように、一部の接合ライン（Sl， S6)と他 の一部の接合ライン（S2 S5, S7, S8)とで、該各接合ラインを構成する接合部 5の 、前記伸縮方向（X方向）に交差する方向 (Y方向）の配置位置が異なっている。 具体的には、弾性部材 4の伸縮方向 (X方向）の一端側（図 11中の左側)から他端 側（図 11中の右側）に向かって、各接合ラインを構成する接合部の、該伸縮方向 (X 方向）に交差する方向（Y方向）の位置が変化してレ、る。

より具体的には、弾性部材 4の伸縮方向（X方向）の一端側から他端側に向かって、 各接合ラインを構成する接合部の、該伸縮方向 (X方向）に交差する方向 (Y方向）の 位置が、同方向 (Y方向）に一定距離づっずれている。

即ち、接合ライン S1と接合ライン S2とでは、図 11に示すように、それぞれを構成す る接合部 5の位置が、伸縮方向の交差方向（Y方向）に距離 L4だけずれており、総て の隣接する接合ライン間で同様の関係が成立している。

[0068] 本実施形態においては、接合ライン 5本毎に、 Y方向の接合部の配置位置が同じ になっている。即ち、接合ライン S1と S6,接合ライン S2と S7、接合ライン S3と S8は、 それぞれ接合部の位置が同じである。 Y方向の接合部の配置位置が異なる接合ライ ンを複数形成し、これらを、 Y方向の接合部の配置位置が同じ接合ラインが複数本（ 例えば 2— 10本）毎に現れるように、これらを配置する。即ち、同じ距離だけずらして 整列させることで、見た目に美しぐまた弾性部材の応力が両シート材に対して均等 に加わるようにすることが可能になる。

[0069] 隣接する接合ライン間の接合部の位置のずれの大きさである距離 L4は、接合部の 長さにもよる力 見た目の美しさと収縮応力の作用位置の均等配置の観点から、接合 ライン中の接合部の配置ピッチ P11の 3— 50%に相当する距離であることが好ましく 、 5— 30%に相当する距離であることがより好ましい。

[0070] 柔軟性を向上させる観点から、各接合ライン S1— S8において、熱融着部（接合部） 5の長さ L11 (図 11参照）と、該熱融着部 (接合部）の配置ピッチ P11 (図 11参照）と の比（P11/L11)は 1. 05— 80、特に 1. 05— 15であることが好ましぐ該熱融着部 (接合部）の配置ピッチ P11は 1一 40mm、特に 2— 15mmであることが好ましい。 同様の観点から、前記長さ L11は 0. 5 20mm、特に 1一 10mmであることが好ま しぐ熱融着部（接合部）同士間の長さ L12 (図 11参照）は 0. 5— 30mm、特に 1一 2 0mmであることが好ましレ、。

[0071] 襞 6、特に複数本の弾性部材 4に亘つて連続して延びる見た目に美しい襞 6を形成 させる観点から、接合ラインの配置ピッチ P12 (図 11参照）は 1一 30mm、特に 2 1 5mmであることが好ましぐ各熱融着部 5の弾性部材 4の伸縮方向（X方向）の長さ L 13 (図 11参照）は 0· 1— 5mm、特に 0. 2— 1 · 5mmであることが好ましレ、。また、同 様の観点から、前記ピッチ P12と前記長さ L13の比（P12/L13)は 1. 1一 300、特 に 4一 100であることが好ましい。

[0072] 上述した各部の寸法や比は、図 11に示すように、複合伸縮部材を、弾性部材を伸 張させて平面状に拡げた状態 (弾性部材を切断する等により弾性部材の影響を一切 排除した状態で平面状に広げた場合と同じ寸法まで拡げた状態）において測定する

[0073] 各弾性部材 4は、少なくとも一部の接合部 5において両シート材 2， 3間に固定され ている。

本実施形態においては、総ての弾性部材 4が、複数の接合ラインにおける接合部 において両シート材 2， 3間に固定されている。例えば、図 11に示される総ての弾性 部材は、接合ライン S1— S4及び S6— S8を構成する各熱融着部（接合部） 5と重なる ように配されており、各熱融着部 5において切断されることなぐ各熱融着部 5におい て両シート材 2, 3間に固定されている。一の弾性部材と他の弾性部材とで、異なる接 合ラインの接合部において固定されていても良い。

[0074] 各弾性部材 4は伸張された状態で端部シール部 11及び接合部 5に固定されてレ、る 。各弾性部材 4の伸張状態や伸縮応力は各弾性部材 4ごとに異なっていてもよい。 例えばパンツ型ォムッのウェストギャザーとして用いる場合は、ウェストに近い側（上 部）の伸縮応力を強くすることで、締め付けすぎずにずれ落ちを防止することができ る。

[0075] 本実施形態の複合伸縮部材 1Dおいては、その自然状態 (外力をカ卩えない状態）に おいて、弾性部材 4が収縮して、図 10に示すように、 2枚のシート材 2, 3のそれぞれ 、 P 接する接合ライン間において襞 6， 6 · ·を形成している。

[0076] 両シート 2， 3の各襞 6は、複合伸縮部材 1Dの両面にそれぞれ突出するように形成 されており、各襞 6の突出方向の先端部は、断面円弧状の凸曲面を形成している。 各襞 6は、弾性部材 4と重なる箇所において分断されることなぐ前記直交方向 (Y方 向）において、各々複数本の弾性部材 4間に亘るように連続的に延びているため、見 た目に非常に美しい。 [0077] 本実施形態の複合伸縮部材 IDは、弾性部材 4の伸縮方向の交差方向（Y方向）に 沿う接合ライン S1— S8が、間欠配置された複数の熱融着部（接合部） 5からなるため 、複合伸縮部材 1Dが非常に柔軟であり、例えば複合伸縮部材 1Dを Y方向に圧縮 する力や、該複合伸縮部材 1Dを同方向に湾曲させたりする力に対して、複合伸縮 部材 1Dが柔軟に変形する。そのため、例えば、吸収性物品にギャザー（多数の襞を 有する伸縮部）、特に立体ギャザー（起立した防漏壁)を形成するために用いた場合 に、ギャザーが肌に接触した場合の感触が柔らかく良好であり、ギャザーが肌に与え る刺激ち低減することができる。

[0078] また、本実施形態の複合伸縮部材 1Dは、弾性部材 4が、一方のシート材 2におけ る襞 6と襞 6との間の谷部と他方のシート材 3における襞 6と襞 6との間の谷部との間に 挟まれた状態で存在すること、及び、襞の先端が凸曲面を形成していることにより、シ 一ト材の厚み方向にボリュームが出るとともに、複合伸縮部材 1Dの表面に触れたとき の感触が極めて柔らかぐ肌触りが極めて良好である。

[0079] また、本実施形態の複合伸縮部材 1Dにおいては、弾性部材 4が、その収縮応力を 均質に発現する材料で構成されている。そのため、弾性部材 4の収縮応力は各熱融 着部間の両シート材を確実に収縮させるために使われ、各部に形成される襞 6を容 易に均質化することができ、その均質性が損なわれなレ、。

[0080] 本実施形態の複合伸縮部材 1Dの各部の形成材料としては、上述した複合伸縮部 材 1におけるものと同様のものを用いることができる。第 1発明の複合伸縮部材の形 成材料に関して上述した説明は、矛盾しない範囲で、第 5発明の複合伸縮部材にも 適用される。

[0081] 本実施形態の複合伸縮部材 1Dにおいても、襞 6は、弾性部材 4の収縮により両シ —ト材 2， 3を変形させて生じさせる。シート材 2， 3の剛性がこの複合伸縮部材の襞の 成形性'クッション性を決める重要な要素となる点、複合伸縮部材の襞の成形性を決 めるもう一つの要素が、弾性部材の伸長倍率と伸縮応力である点、更には、これらに 関連して説明した好ましい構成 (シート材の座屈強度、シート材に適用する際の弾性 部材の伸長の程度、襞の高さ等）についても、上述した複合伸縮部材 1と同様である [0082] 尚、シート材として不繊布を用いる場合の不織布の坪量としては、好ましくは 5— 50 g/m²、特に好ましくは 8— 30g/m²である。そうした坪量の不織布の座屈強度は、 好ましくは CD方向で 50cN以下、特に好ましくは 30cN以下、 MD方向で好ましくは 70cN以下、特に好ましくは 50cN以下である。柔らかいシート材を使用することで、 襞の成形性を高めることが出来る。

[0083] 上述した複合伸縮部材 1Dは、例えば以下の方法により効率的且つ経済的に生産 すること力 Sできる。

先ず、 2枚のシート材 2， 3間に複数本の弾性部材 4を伸張状態で配置する (層間は 非接着)。そして、その積層体 12を、図 7に示すように、複数の凸部 7で部分的に加 熱加圧して、両シート材 2， 3同士を、熱融着部 5の形成パターン（図 11参照）に対応 するパターンで部分的に熱融着する。この部分的な加熱加圧の際には、弾性部材 4 を切断しないようにすることが必要である。両シート材同士が熱融着すると共に弾性 部材 4が、シート材に対して、シート材に含まれる熱融着性繊維を介して熱融着する ようにし、且つその弾性部材 4が切断されないようにするには、例えば、（1)凸部 7の アンビルロール 71に対する押し付け圧力、（2)凸部 7とアンビルロール 71のクリアラ ンス、 （3)凸部 7とアンビルローノレ 71の温度、の 3つのパラメータを振って最適な条件 を導き出すことが好ましい。また、弾性部材の材料として加圧や熱の影響を受け難い 材料、すなわち切れ難い材料を選ぶことや、製品仕様として伸長率を低く抑えて使 用することも、弾性部材を切断しない方法として有効である。

[0084] また、弾性部材に加わる圧力を積極的に減らしてレ、く手段 (押圧力低減用の手段） としては、複数の凸部 7の弾性部材と交差する箇所に、圧力が加わらないような措置 を施してもよい。例えば、凸部に対応するアンビルロールをシリコンゴム等のゴム製に してもよレ、。ゴムの耐久性が心配な場合は、弾性部材と重なる箇所のみにゴムを卷く 方法もある。別の例としては、弾性部材 4に対応する部位に押圧力低減用の溝部（凹 部） 72を形成した凸部を用いる。このような凸部を用いた熱融着は、例えば熱ェンボ ス装置又は超音波エンボス装置等により行うことができ、このような凸部 7を周面に有 するエンボスロール 70と、該ロールに対向するアンビルロール（受け口一ノレ） 71との 間に積層体 12を揷通させることにより行うことができる。 図 7に示すエンボス装置においては、複数の凸部 7との間で前記積層体 12を加圧 する面としての、アンビルロール 71の外周面における、弾性部材 4に対応する部位に も、押圧力低減用の溝部（凹部） 73が形成されている。

[0085] 熱融着用の凸部及び Z又はその対向面に押圧力低減用の溝部 72， 73を設けるこ とにより、弾性部材 4の切断を防止しつつ、弾性部材 4を熱融着部 5に容易に固定す ること力 Sできる。尚、熱融着部における弾性部材 4は、両シート材間に挟持されている のみで、両シートとの間にズレが生じないように固定されていても良いし、溶融した表 面が一方又は両シート材と融着していても良い。また、押圧力低減用の溝部は、凸 部又はその対向面の何れか一方にのみ設けることもできる。

[0086] このようにして熱融着部 5を形成した後、弾性部材 4を挟んだ状態の両シート材に おける、弾性部材 4が延びる方向において互いに離間する部位に、端部シール部 1 1を形成するための一体化処理を施す。この一体化処理は、熱エンボス又は超音波 エンボス処理を用いることができる。また、他の一体化処理として、一方又は両方のシ ート材及び/又は弾性部材に接着剤を塗工し、その接着剤を塗布した部位を加圧 する処理であっても良い。この一体化処理は、端部シール 11を形成しない場合には 省略すること力 Sできる。

そして、一体化処理を施した部位が、弾性部材 4が延びる方向の両端部に位置す るように、弾性部材 4を挟んだ状態の両シート材 2， 3における所定箇所を切断する。 そして、弾性部材 4を収縮させて両シート材 2, 3のそれぞれに複数本の襞を形成さ せることにより、上述した構成の複合伸縮部材 1Dが得られる。

[0087] 以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施 形態に制限されない。

例えば、上述した複合伸縮部材 1， 1 'における襞は、 Y方向の両端に位置する 2本 の弾性部材間に亘つて連続していたが、複合伸縮部材の Y方向の端部近傍におけ る弾性部材は、シート材 2， 3に接合された状態で存在してレ、も良い。但し、弾性部材 の総数のうちの少なくとも 3本、好ましくは半分、特に好ましくは 70%以上の弾性部材 に亘つて襞が連続していることが好ましい。また、両シート材 2, 3に接合された弾性 部材 4の端部が、複合伸縮部材 1の端部に存在するのに代えて、複合伸縮部材 1の X方向の端部よりも内側に存在していても良い。

[0088] 第 3発明の複合伸縮部材における弾性部材は、弾性部材の伸縮方向 (X方向）の 接合ラインの本数と同数配されていなくても良い。例えば、図 8に示す複合伸縮部材 1Bにおいては、総ての弾性部材 4が、弾性部材 4の伸縮方向（X方向）の接合ライン を構成する各熱融着部 (接合部） 5と重なるように配されているが、弾性部材 4は、伸 縮方向（X方向）の接合ライン一つ置きにしか配されていない。

[0089] また、図 9に示す複合伸縮部材 1Cのように、熱融着部 (接合部）と重なるように配さ れた弾性部材 4Aに加えて、熱融着部（接合部）と重ならないように配された弾性部材 4Bを有していても良レ、。図 9に示す複合伸縮部材 1Cにおける弾性部材 4Bは、端部 シール部 11 (一方のみ図示）においてのみ両シート材に固定されている。但し、複合 伸縮部材に配されている弾性部材のうちの、最低 2本が熱融着部において固定され ている必要があり、複合伸縮部材に配されている弾性部材のうちの 1Z3以上、特に 半分以上が熱融着部において固定されていることが好ましい。図 9に示す複合伸縮 部材 1Cにおける弾性部材は、一本置きに熱融着部に固定されている力 S、 2本や 3本 等の一定の本数置きに固定されていても良い。図 9に示す複合伸縮部材 1Cのように 、弾性部材が固定された熱融着部と弾性部材が固定されていなレ、熱融着部の両者 を形成する必要がある場合には、上述した製造方法において、熱融着用の複数の凸 部の一部又はその一部の凸部に対向する面にのみ、前記押圧力低減用の溝部（凹 部）を形成すれば良い。

[0090] 第 5及び第 6発明については、以下のような形態でも実施可能である。

例えば、複数の接合ラインの接合部の位置が変化している態様としては、図 12に 示す複合伸縮部材 1Eのように、接合部の位置が異なる 2種類の接合ライン Sa, Sbを 交互に配した態様であっても良い。

[0091] また、接合ライン中の接合部の配置ピッチは、接合ライン毎に異なっていても良い。

また、 P 接する接合ライン間の距離は一定でなくても良い。また、弾性部材 4の配置 間隔は、等間隔でなくても良い。例えば、 P 接する弾性部材の間隔が相対的に狭い 一群の弾性部材と、 P 接する弾性部材の間隔が相対的に広い他の一群の弾性部材 とを設けても良ぐあるいは、一端に位置する弾性部材力 他端に位置する弾性部材 に向かって、隣接する弾性部材の間隔を漸次あるいは段階的に増大させて良い。こ のように弾性部材の配置間隔を任意に変更したり、弾性部材の種類及び/又は伸張 倍率を変更することで、弾性部材の収縮応力のレイアウトをコントロールし、使い捨て おむつなどの性能を高めることができる。たとえば、図示されてはいないが、パンツ型 の使い捨ておむつにおいて、ウェストギャザーの下に位置するギャザーの収縮応力 を接合ライン方向に沿う方向に 10mm— 80mm程度にわたって、それ以外の部位の 収縮応力に比べて高めることは、肝心なところを締め付けることによって、ずれ落ちに くくすることができ、フィット性に優れたおむつを製造することができる。

[0092] また、図 14や図 15に示すように、接合ライン Sを構成する接合部 5は、接合ラインの 幅方向にある程度の幅で分散配置されていても良い。但し、接合ライン Sの弾性部材 の伸縮方向（X方向）の長さ L5 (図 14参照）は、接合部 5の弾性部材の伸縮方向（X 方向）の長さ L13の 1. 0 50倍であることが好ましい。例えば、接合ライン Sの前記 長さ L5は、接合部 5の前記長さ L13の 1 · 0— 20倍、あるいは 1 · 0— 10倍、あるいは 1. 0— 5倍とすることができる。また、一つの接合ライン S内における接合部 5の分散 幅 (接合ラインの幅に同じ）は、該接合ラインに隣接する両接合ラインまでの距離の 1 /4以下、特に 1/20以下であることが好ましい。図 14に示す例では、各接合ライン 中の接合部が千鳥状に配置されており、図 15に示す例では、各接合ライン中の接合 部が波形を形成するように配置されている。図 13 (a)、図 13 (b)、図 14及び図 15に 示す配置パターンであっても、上述した複合伸縮部材 1Dと同様の作用効果が奏し 得られる。

[0093] 尚、本発明（第 1一第 6発明）において、複合伸縮部材中の弾性部材の本数は、複 合伸縮部材の寸法や用途に応じて適宜に決定し得るが、例えば 5— 30本とすること ができる。また、シート材同士の接合部は、熱融着部に代えて、ホットメルト型接着剤 等を用いてシート材同士を接着した接着部であっても良い。また、熱融着部の形成 パターンは適宜変更することができ、各熱融着部の形状も、矩形、長円、円、菱形等 適宜の形状とすることができる。

[0094] 本発明（第 1 ,第 3，第 5発明）の複合伸縮部材は、例えば、使い捨ておむつ、生理 用ナプキン等の吸収性物品の伸縮部形成用に特に好ましく用いられる。その場合、 複合伸縮部材の完成後に、それを吸収性物品に固定して伸縮部を形成しても良い 、吸収性物品の製造工程に、複合伸縮部材の製造工程を組み込み、複合伸縮部 材が組み込まれた状態の吸収性物品が製造されるようにすることもできる。

図 4は、複合伸縮部材を用いて形成する伸縮部の例を、ファスニングテープ 21を有 する使い捨ておむつ 20の場合を例に示したものであり、例えば、ウェスト回り伸縮部 22、ファスユングテープ 21に連動して伸縮するテープ近傍伸縮部 23、胴回り伸縮部 24及び防漏壁の肌当接面に形成された伸縮部 25等を、本発明の複合伸縮部材を 用いて形成することができる。

産業上の利用可能性

[0095] 第 1発明の複合伸縮部材は、感触が柔らかぐ見た目も美しいギャザー（多数の襞 を有する伸縮部）を有しており、吸収性物品等にそのようなギャザーを形成することが できる。

第 2発明の複合伸縮部材の製造方法によれば、感触が柔らかぐ見た目も美しいギ ャザー（多数の襞を有する伸縮部）を有する複合伸縮部材を容易に製造することがで きる。

[0096] 第 3及び第 5発明の複合伸縮部材は、柔軟で感触が柔らかぐ肌触りも良好なギヤ ザ一（多数の襞を有する伸縮部）を有しており、吸収性物品等にそのようなギャザー を形成すること力 Sできる。

第 4及び第 6発明の複合伸縮部材の製造方法によれば、柔軟で感触が柔らかく、 肌触りも良好なギャザー（多数の襞を有する伸縮部）を有する複合伸縮部材を容易 に製造することができる。

Claims

請求の範囲

[1] 2枚のシート材と、これら両シート材間に配された複数本の弾性部材とからなる伸縮 部を有する複合伸縮部材であって、

前記 2枚のシート材は、前記伸縮部の伸縮方向及びそれに直交する方向において 間欠的に互いに接合されており、前記弾性部材は、両シート材同士の接合部を通ら ないように前記伸縮部に配されており且つその両端部において両シート材に固定さ れており、前記両シート材のそれぞれが、各々複数本の前記弾性部材に亘つて連続 して延びる複数本の襞を形成している複合伸縮部材。

[2] 前記 2枚のシート材同士の接合が、該シート材同士を熱融着するものである請求の 範囲第 1項記載の複合伸縮部材。

[3] 前記シート材同士の接合部が千鳥状に形成されており、前記伸縮部伸張時の該伸 縮部の伸縮方向における、前記接合部のピッチ P1が 1一 30mmであり、各接合部の 長さ L1が 0. 1— 5mmであり、前記ピッチ P1と前記長さ L1の比（P1/L1)が 1. 1一 300である請求の範囲第 1項又は第 2項記載の複合伸縮部材。

[4] 前記シート材同士の接合部が、前記伸縮部の伸縮方向及びそれに直交する方向 にそれぞれ列をなすように形成され、該直交する方向の列を構成する接合部は各弹 性部材同士間毎に形成されており、前記伸縮部伸張時の該伸縮部の伸縮方向にお ける、該接合部のピッチ P2が 1一 20mmであり、各接合部の長さ L2が 0. 1— 5mm であり、前記ピッチ P2と前記長さ L2の比（P2ZL2)が 1. 1一 200である請求の範囲 第 1項又は第 2項記載の複合伸縮部材。

[5] 請求の範囲第 1項記載の複合伸縮部材の製造方法であって、一方のシート材上に 複数本の弾性部材を伸長状態で沿わせ、該一方のシート材の弾性部材配置面上に 、他方のシート材を積層する工程、積層状態の両シート材における前記弾性部材が 配されていない部位を部分的に接合する工程、前記弾性部材を挟んだ状態の両シ ート材における、弾性部材が延びる方向において互いに離間する部位に、弾性部材 を両シート材に固定する処理を施す工程、前記弾性部材を収縮させて両シート材そ れぞれに複数本の襞を形成させる工程とを具備してなる複合伸縮部材の製造方法。

[6] 2枚のシート材と、これら両シート材間に配された複数本の弾性部材とからなる複合 伸縮部材であって、

前記 2枚のシート材が、前記弾性部材の伸縮方向及びその交差方向の両方向に 間欠的に接合されて、前記両方向それぞれに沿って、それぞれ複数の接合部からな る接合ラインが複数本形成されており、

前記弾性部材の少なくとも 2本が、前記伸縮方向に沿う接合ラインを構成する各接 合部と重なるように配されて、該各接合部において前記両シート材間に固定されてお り、

前記両シート材それぞれが、前記伸縮方向の交差方向に沿う接合ライン同士間に ぉレ、て襞を形成してレ、る複合伸縮部材。

[7] 前記伸縮方向の交差方向に沿う接合ラインにおいて、前記接合部の長さ L11と、 該接合部の配置ピッチ P11との比（P11/L11)が 1. 05 80であり、該接合部の配 置ピッチ PI 1が 1一 40mmである請求の範囲第 6項記載の複合伸縮部材。

[8] 前記各接合部が、前記 2枚のシート材同士を熱融着して形成されている請求の範 囲第 6項又は第 7項記載の複合伸縮部材。

[9] 請求の範囲第 6項記載の複合伸縮部材の製造方法であって、 2枚のシート材間に 複数本の弾性部材を伸張状態で配置し、その積層体を、複数の凸部で部分的に加 熱加圧して、両シート材同士を、前記接合部が形成されるように部分的に熱融着する 工程を具備しており、

前記部分的な加熱加圧は、前記弾性部材を切断しないように行う複合伸縮部材の 製造方法。

[10] 2枚のシート材と、これら両シート材間に配された複数本の弾性部材とを有する複 合伸縮部材であって、

前記 2枚のシート材は、部分的に接合されて複数の接合部を形成しており、複数の 前記接合部によって、前記弾性部材の伸縮方向に交差する方向に延びる接合ライ ンが複数本形成されており、

一部の接合ラインと他の一部の接合ラインとで、該各接合ラインを構成する前記接 合部の、前記伸縮方向に交差する方向の配置位置が異なっており、

前記各弾性部材は、少なくとも一部の前記接合部において前記両シート材間に固 定されており、

前記両シート材それぞれが、隣接する前記接合ライン間において襞を形成している 複合伸縮部材。

[11] 前記接合ラインの前記弾性部材の伸縮方向の長さが、前記接合部の前記弾性部 材の伸縮方向の長さの 1. 0— 50倍である請求の範囲第 10項記載の複合伸縮部材

[12] 前記弾性部材の伸縮方向の一端側力 他端側に向かって、前記接合ラインを構成 する前記接合部の、該伸縮方向に交差する方向の位置が、一定距離ずっ該方向に ずれている請求の範囲第 10項又は第 11項記載の複合伸縮部材。

[13] 前記弾性部材の伸縮方向の一端側力 他端側に向かって、前記接合ラインを構成 する前記接合部の、該伸縮方向に交差する方向の位置が、前記接合ライン中の接 合部の配置ピッチの 3— 50。/oに相当する距離づっ該方向にずれている請求の範囲 第 12項記載の複合伸縮部材

[14] 前記接合ラインにおいて、前記接合部の長さ L11と、該接合部の配置ピッチ P11と の比（P11/L11)が 1. 05— 80であり、該接合部の配置ピッチ P11が 1一 40mmで ある請求の範囲第 10項一第 13項の何れか記載の複合伸縮部材。

[15] 前記各接合部が、前記 2枚のシート材同士を熱融着して形成されている請求の範 囲第 10項一第 14項の何れか記載の複合伸縮部材。

[16] 請求の範囲第 10項記載の複合伸縮部材の製造方法であって、

2枚のシート材間に複数本の弾性部材を伸張状態で配置し、その積層体を、複数 の凸部で部分的に加熱加圧して、両シート材同士を、前記接合部が形成されるよう に部分的に熱融着する工程を具備しており、

前記部分的な加熱加圧は、前記弾性部材を切断しなレ、ように行う複合伸縮部材の 製造方法。