JP4111687B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィット性に優れ、装着感及び漏れ防止性に優れた使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、レッグギャザー形成用のレッグ部弾性部材を、着用者の脚廻りに配されるレッグ部の一方から他方へと股下部を横断するように配すると共に、該レッグ部弾性部材を、股下部において切断した使い捨ておむつが知られている。
【0003】
斯かる使い捨ておむつにおいては、前記レッグ部弾性部材として、通常、伸長応力が小さく、それを挟持するシート材との接着性の良い非常に細い糸ゴムが用いられている。しかし、伸長応力の小さい弾性部材を用いたのでは、脚廻りの締め付け力が不足し、装着者の激しい運動に追従できずに、尿や便の漏れを生じる恐れがある。他方、伸長応力の大きい弾性部材を用いたのでは、製造中又は装着中に、股下部の切断による伸長状態の解除がレッグ部の側縁にまで達する、いわゆるゴム抜けが生じる恐れがある。
【0004】
また、レッグ部弾性部材を股下部で切断した使い捨ておむつは、吸収体のヨレが防止され吸収体の吸収能力を効果的に発現させることができるが、反面、吸収体が股下部に凹状のポケット構造を形成しにくくなるため、排泄物の保持性及び漏れ防止性が低下する。
【0005】
従って、本発明の目的は、脚廻りに良好な締め付け力を得ることができると共に製造中又は装着中における、レッグ部弾性部材のゴム抜けを防止でき、しかも、股下部における吸収体が凹状に変形すると共に立体ギャザーが良好に起立することにより股下部に、排泄物の保持性及び防漏性に優れたポケット構造が形成され、装着感及び漏れ防止性に優れ、更に装着も容易なパンツ型の吸収性物品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を備え、着用者の脚廻りに配される一対のレッグ部に、それぞれレッグギャザー形成用のレッグ部弾性部材が伸長状態で配されており、一対の立体ギャザーが腹側部から背側部に亘って形成されているパンツ型の吸収性物品において、前記レッグ部弾性部材は、第1及び第2弾性部材からなり、第1及び第2弾性部材それぞれは、前記レッグ部に配されたギャザー形成部と、該ギャザー形成部から吸収性物品の幅方向中央部に向かって延出する延出部とを有しており、第1及び第2弾性部材それぞれの前記ギャザー形成部は、第1固定手段により吸収性物品の構成材に固定されており、第1及び/又は第2弾性部材の前記延出部は、前記吸収体が存在する部位において、第2固定手段により吸収性物品の構成材に固定されており、該吸収体が存在する部位に位置する該延出部の少なくとも一部は弾性伸縮性を発現するようになされており、第1及び第2弾性部材は、前記吸収体が存在する部位の幅方向中央部に存在しないか又は該幅方向中央部においては弾性伸縮性を発現しないようになされており、前記立体ギャザーの固定端が、股下部の少なくとも一部において、前記吸収体の側縁よりも幅方向外方に位置する吸収性物品を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明の吸収性物品の一実施形態としての使い捨ておむつ1は、パンツ型の使い捨ておむつであり、図1〜3に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3及び両シート2,3間に介在された液保持性の吸収体4を有する吸収性本体10と、該吸収性本体10の外側(非肌当接面側)に位置して該吸収性本体10を接合固定している外層体5とを具備し、着用時に着用者の腹側に配される腹側部Aの両側縁A1,A2と背側に配される背側部Bの両側縁B1,B2とが、ヒートシール、高周波シール、超音波シール等の公知の接合手段により互いに接合されて、ウエスト開口部7及び一対のレッグ開口部8,8が形成されている。
【0008】
吸収性本体10は、縦長矩形状をなし、その長手方向を使い捨ておむつ1の長手方向に一致させて、おむつ1の腹側部Aから背側部Bに亘るように、公知の接合手段により外層体5の幅方向中央部に接合されている。吸収体4は、長手方向中央部の括れた砂時計状をなし、表面シート2及び裏面シート3間に挟持固定されている。吸収体4としては、従来おむつに用いられているものを特に制限なく用いることができる。
本明細書において、おむつ(吸収性物品)の長手方向とは、おむつ(吸収性物品)を、図2に示すように平面状に展開した状態における腹側部Aと背側部Bとを結ぶ方向(図2の上下方向)である。
【0009】
本使い捨ておむつ1においては、腹側部Aから背側部Bに亘って、一対の立体ギャザー6,6が形成されている。具体的には、吸収性本体10の長手方向左右両側部に、吸収性本体10の幅方向内方側に自由端61を有し外方側に固定端(立ち上がりの基端)62を有する立体ギャザー6が形成されている。各立体ギャザー6における自由端61近傍には、該自由端61に沿って、立体ギャザー用弾性部材63が伸縮自在に配設されている。
【0010】
各立体ギャザー6は、弾性部材63を有する立体ギャザー形成用の所定幅のシート材64を、吸収性本体10の両側部に配設して形成されている。
立体ギャザー6の固定端(立ち上がりの基端)62は、立体ギャザー形成用のシート材64の所定箇所を、ヒートシール、接着剤等の公知の接合手段により、表面シート2に接合固定して形成されている。立体ギャザー6の固定端(立ち上がりの基端)62は、おむつを展開して平面視した状態(図2)において、吸収性本体10の両側縁より若干内側の位置に該両側縁と平行に形成されている。
尚、本使い捨ておむつ1は、幅方向における立体ギャザー6の外側に、自由端部に弾性部材65を有する第2の立体ギャザー6Aを有するが、本発明の吸収性物品は、このような第2の立体ギャザー6Aを有しない形態とすることもできる。図3中の符号66は、第2の立体ギャザー6Aの固定端を示す。
【0011】
ウエスト開口部7には、その開口縁部に沿って複数のウエストギャザー形成用のウエスト弾性部材71が所定間隔に伸長状態で配され、その全周に亘って実質的に連続した環状のウエストギャザーが形成されている。
【0012】
着用者の脚廻りに配される一対のレッグ部80,80には、それぞれレッグギャザー形成用のレッグ部弾性部材81が伸長状態で配されている。
各レッグ部弾性部材81は、腹側部Aから股下部Cに亘り配設される第1弾性部材81a及び背側部Bから股下部Cに亘り配設される第2弾性部材81bからなり、第1及び第2弾性部材81a,81bそれぞれは、レッグ部80に配されたギャザー形成部81a’,81b’と、該ギャザー形成部からおむつ1の幅方向中央部に向かって延出する延出部81a”,81b”とからなる。
両弾性部材81a,81bのギャザー形成部81a’,81b’は、凹状に形成された股下部Cの側縁に沿うように湾曲しており、延出部81a”,81b”は、ギャザー形成部の湾曲方向とは逆向きに湾曲し、股下部Cの側縁から離れる方向に延びている。
両弾性部材81a,81bは、股下部Cにおいて互いに交叉しており、股下部Cにおける左右両側に一対の交叉部K,K形成されている。
【0013】
第1及び第2弾性部材81a,81bそれぞれのギャザー形成部81a’,81b’は、第1固定手段としての接着剤により、使い捨ておむつ1の構成材としての外層体5に伸長状態で固定されている。より具体的には、第1及び第2弾性部材81a,81bは、外層体5を構成する二枚のシート材51,52間に配されており、各ギャザー形成部81a’,81b’は、接着剤を介して両シート材51,52の何れかに接着されて固定されている。
図4における斜線部(左下がりの斜線を表した部分)P1は、第1固定手段としての接着剤が施された領域を示している。
【0014】
第1及び第2弾性部材81a,81bそれぞれの一方の端部82,82は、腹側部A又は背側部Bの側縁部に位置しており、おむつ1の腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とが互いに接合された状態では、両弾性部材81a,81bの端部82,82同士が実質的に連結された状態となって、図1に示すように、おむつ1のレッグ開口部8,8の開口周縁部に、その全周に亘って実質的に連続した環状のレッグギャザーが形成されている。
【0015】
本実施形態の使い捨ておむつにおいては、図4に示すように、第1及び第2弾性部材81a,81bそれぞれの延出部81a”,81b”及びギャザー形成部81a’,81b’の一部(延出部81a”,81b”の近傍部)が、第2固定手段としての接着剤により、吸収性物品の構成材としての外層体5、より具体的には、外層体5を構成する二枚のシート材51,52間に固定されている。
図4には、第2固定手段としての接着剤を施した箇所を符号S(右下がり斜線部)で示してある。図示の如く、本実施形態においては、第2固定手段としての接着剤は、第1固定手段としての接着剤が施された領域P1の一部に重ねて施されている。より具体的には、股下部Cの幅方向には、第1及び第2弾性部材81a,81bが二枚のシート51,52間に第1固定手段により固定された接着領域P1と、第1固定手段により固定されていない非接着領域P2とが形成されており、本実施形態における第2の固定手段としての接着剤は、該接着領域P1の一部に重ねて施されている。
【0016】
また、第1及び第2弾性部材81a,81bは、吸収体4が存在する部位Fに位置する延出部81a”,81b”の少なくとも一部J,Jが、弾性伸縮性を発現するようになされている。即ち、吸収体4が存在する部位Fに位置し且つ第2固定手段としての接着剤が施された部位Sに位置する部分J,Jが、伸長状態を維持した状態で固定されており、弾性伸縮性を発現する。
吸収体4が存在する部位に位置する延出部81a”及び/又は延出部81b”が弾性伸縮性を発現する部分の幅(W2+W2)は、その部位における吸収体4の幅Wに対して5〜70%、特に5〜50%であることが好ましい。
【0017】
本発明における第1固定手段は、レッグ部弾性部材のギャザー形成部を、吸収性物品の構成材、好ましくはシート材に固定するための手段であり、第1固定手段としては、接着剤、ヒートシール、超音波シール等が挙げられるが、本実施形態におけるように接着剤であることが好ましい。第1固定手段としての接着剤としては、各種公知の接着剤を用いることができるが、ホットメルト接着剤が好ましく、特に、SEBS系、SBS系、SIS系のホットメルト接着剤が好ましい。
【0018】
本発明における第2固定手段は、吸収体が存在する部位において、レッグ部弾性部材の延出部を、吸収性物品の構成材、好ましくはシート材に固定するための手段であり、第1固定手段とは異なる手段、又は第1固定手段と同じ手段であるが、第1固定手段よりも強い接合強度が得られるように施されるか若しくは第1固定手段を施す工程とは異なる工程(好ましくは第1固定手段の工程よりも後の工程)で施された手段をいい、第2固定手段としては、ヒートシール、超音波シール又は接着剤、特に接着剤が好ましい。
【0019】
第1固定手段と第2固定手段とが異なる手段である場合の例としては、第1固定手段が接着剤であり、第2固定手段がヒートシール、超音波シール等の加熱及び/又は加圧処理である場合を挙げることができる。
第1固定手段と第2固定手段とが同じ手段であるが、第1固定手段よりも強い接合強度が得られるように施される場合の例としては、第1及び第2固定手段が共に接着剤であるが、(a) 第2固定手段としての接着剤の塗工坪量(単位面積当たりの塗工量)が第1固定手段の塗工坪量よりも大きい場合、(b) 第2固定手段としての接着剤が第1固定手段としての接着剤に重ねて塗工されている場合、(c) 接着剤の種類又は組成が異なる場合、(d) 第2固定手段の塗工パターンが第1固定手段の塗工パターンと異なる場合、及び(e) 上記(a) 〜(d) の2以上の組み合わせ等を挙げることができる。
【0020】
第1及び第2弾性部材81a,81bは、吸収体4が存在する部位Fの幅方向中央部には存在していない。
即ち、一対の第1弾性部材81a,81aの延出部81a”,81a”同士は、股下部Cの幅方向中央部において連続しておらず、同様に、一対の第2弾性部材81b,81bの延出部81b”,81b”同士も、股下部Cの幅方向中央部において連続していない。
そして、吸収体4が存在する部位Fの幅方向中央部に、両弾性部材81a,81bが存在しない所定幅の領域E1が形成されている。
また、両弾性部材81a,81bが存在しない領域E1の両側には、両弾性部材81a,81bが弾性伸縮性を発現しない領域E2が形成されている。
ここで、弾性伸縮性を発現しない領域とは、弾性部材が存在しているが、その弾性部材の伸長状態が解除されていたり、その弾性部材の弾性が熱処理等により消失している等により、その弾性部材が弾性伸縮性を発現しない領域をいう。
【0021】
更に詳述すると、おむつ1の左右両側の両第1弾性部材81a,81aは、おむつの製造ラインに、連続する一本の弾性部材として伸長状態にて導入された後、吸収体4が配される部位の中央部において、加熱加圧処理等の所定の手段により切断されて左右に分割されたものであり、両第2弾性部材81b,81bについても同様である。
それぞれ一本の弾性部材として導入された第1及び2弾性部材81a,81bにおける第1及び/又は第2固定手段により固定された部分は、その切断によっても伸長状態を解除されることなく弾性伸縮性を発現するが、何れの固定手段によっても固定されていない部分は、その切断により伸長状態を解除されて、弾性伸縮性を発現しなくなる。
【0022】
第1及び第2弾性部材81b,81bが存在しないか又はこれら両弾性部材81b,81bが弾性伸縮性を発現しない領域E1,E2の幅W1(図4参照)は、その部位における吸収体4の幅Wの30〜95%、特に50〜95%であることが好ましい。
【0023】
本実施形態の使い捨ておむつ1における外層体5は、上記の一対のシート材51,52、即ち使い捨ておむつの外表面を形成する外層シート51及び該外層シート51の内側に積層接着された内層シート52と、これらの両シート51,52間に配設され挟持固定された各弾性部材、即ちレッグ部弾性部材81、ウエスト部弾性部材71及び胴周囲部弾性部材9とからなる。
【0024】
胴周囲部弾性部材9は、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける胴周囲部Dの左右両側に、それぞれおむつ1の幅方向に所定間隔で複数配されている。胴周囲部Dとは、図1に示すように、ウエスト開口部7を上方に向けた状態において、ウエスト部弾性部材71が配された位置より下方で且つレッグ開口部8,8よりも上方に位置する部分である。
胴周囲部弾性部材9は、それぞれ、少なくとも吸収体の両側縁41,41よりも外方の部位に弾性伸縮性が発現されるように伸張状態で配設固定されており、且つ吸収体4が存在する部位の少なくとも幅方向中央部には弾性伸縮性が発現される状態では配設されていない。
弾性伸縮性が発現される状態では配されていないとは、その部分に弾性部材が配されていない場合と、弾性部材が配されているが、その部分においては弾性伸縮性を発現しない場合の両者を包含する。
【0025】
本使い捨ておむつ1においては、一対の立体ギャザー6,6の固定端(立ち上がりの基端)62,62が、股下部Cの少なくとも一部において、吸収体4の両側縁41,41よりも幅方向外方に位置している。即ち、図2及び図4に示すように、股下部Cにおける長手方向の中央部近傍、より具体的には、吸収体が存在する部位Fに位置し弾性伸縮性を発現する、前記延出部81a”,81b”の一部J,Jが存在する部位及びその近傍において、各立体ギャザー6の固定端62が、吸収体4の側縁41よりも幅方向外方に位置している。尚、図4には、立体ギャザー6の固定端62に対応する位置が、符号62’で示してある。
【0026】
一対の立体ギャザー6,6の固定端62,62は、股下部Cにおける長手方向のほぼ全域(好ましくは全域)に亘って、吸収体4の両側縁41,41よりも幅方向外方に位置していることが好ましいが、股下部Cの少なくとも一部において、吸収体4の両側縁41,41よりも幅方向外方に位置していれば良い。
【0027】
立体ギャザー6の固定端62が、吸収体4の両側縁41よりも幅方向外方に位置するか否かは、おむつ1を図2に示すように展開した状態において、おむつ1の長手方向の各部位における幅方向の位置関係をみて判断する。
立体ギャザーの固定端62が、吸収体4の側縁41より幅方向の外方に位置する部分の長さは、展開状態のおむつ(図2参照)における股下部Cの長手方向の長さの30%以上が好ましく、より好ましくは50%以上である。
【0028】
本実施形態の使い捨ておむつにおける外層体5は、例えば、第1固定手段としての接着剤を間欠的に塗布した外層シート51上に、第1及び第2弾性部材81a,81bを、それぞれ連続した弾性部材として伸長状態にて導入して固定し、両弾性部材が固定された外層シート51上又は該外層シート51に貼り合わせる内層シート52の貼り合わせ面に第2固定手段としての接着剤を塗布し、次いで、外層シート51上に内層シート52を貼り合わせ、その後、第1及び第2弾性部材を、幅方向中央部において切断して左右に分割し、しかる後、レッグ開口部形成用の余分な部分を切断除去することにより得ることができる。
【0029】
本実施形態の使い捨ておむつ1の構成部材の形成材料について説明する。
表面シート2、裏面シート3、吸収体4、外層体5、立体ギャザー6形成用のシート材64等の形成材料としては、従来、使い捨ておむつ等に用いられるものを特に制限なく用いることができる。尚、吸収体の一例を示せば、パルプ繊維等の繊維材料及び吸水性ポリマーをティッシュペーパーや不織布等の液透過性の被覆材で包んでなるものが挙げられる。
【0030】
各部の弾性部材63,65,71,81,9の形成材料としては、使い捨ておむつ等に用いられる各種公知の弾性材料を特に制限なく用いることができ、例えば、素材としては、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、スパンデックス、発泡ポリウレタン等の伸縮性の素材を広く用いることができ、形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形状の糸状のものやテープ状のものが好ましく、フィルムタイプのものを用いることもできる。熱によって可塑化する性質の弾性部材も特に好適に用いられる。
【0031】
外層体を構成する一対のシート材、即ち外層シート51及び内層シート52の形成材料としては、好ましくは液抵抗性、液不透過性で透湿性、通気性を有し、肌着に近い感触の高可撓性シートで、具体的には織布、不織布、フィルム、透湿フィルム、開孔フィルムや、これらの複合材等が用いられる。
【0032】
本実施形態のパンツ型の使い捨ておむつ1は、通常のパンツ型の使い捨ておむつと同様にして使用することができる。
本実施形態の使い捨ておむつ1においては、吸収体4の存在する部位Fに、レッグ部弾性部材81が存在しない領域E1及びレッグ部弾性部材81が弾性伸縮性を発現しない領域E2が形成されているため、着用中に吸収体4が縮み難くなり、そのため、吸収体4が本来有する吸収性能が効率的に発現されるので、優れた吸収能力が発現される。また、充分な吸収性能を維持しながら吸収体4の幅を狭くすることもできるため、吸収体4の小型化、使用材料の削減等を図ることができる。また、吸収体がひだ寄せされ難いので、はかせ易く、すっきりした外観を有する。
【0033】
また、使い捨ておむつ1においては、第1及び第2弾性部材81a,81bが所定の箇所において第2固定手段により固定されているため、両弾性部材として、平ゴム等の伸縮応力が大きい弾性部材や、タルクが表面に付着している天然ゴム等の接着性の悪い弾性部材を用いた場合、更に、伸縮応力の小さい弾性部材を高伸長率で配設した場合においても、いわゆるゴム抜けが生じることがない。従って、脚廻りに適正な締め付け力が得られるように、レッグギャザー形成用の弾性部材及びその配設伸張率を適宜に決定することができ、効率的且つ経済的に、フィット性や吸収性能の向上を図ることができる。
脚廻りに適正な締め付け力が得られるようにして、フィット性や吸収性能に優れた使い捨ておむつを得る観点から、第1及び/又は第2弾性部材81a,81bは、帯状の弾性部材(例えば幅1〜7mmの平ゴム等)であることが好ましい。また、同様の理由から、第1及び第2弾性部材は、吸収性物品配設時の伸張率における弾性応力がそれぞれ30gf以上であることが好ましい。尚、上限は200gf程度である。
即ち、レッグ部のフィット性を高めるためには、第1及び第2弾性部材の弾性応力は30gf以上であることが好ましいが、この場合、本実施形態の様に延出部において第1及び第2弾性体を切断すると抜けが生じやすくなる。特に平ゴム(幅1〜7mm)を使用して、脚廻りにレッグ部を面で当てるとフィット性と漏れ防止能を高めることができ好ましいが、この場合には特に抜けが生じやすくなる。これらの場合、本発明のように第1固定手段に加えて第2固定手段を延出部若しくは延出部近傍に設けることで高いフィット性と漏れ防止性を実現しながらしかも激しい動きに対しても弾性体の抜けを生じることがない。
【0034】
尚、弾性部材の「吸収性物品配設時の伸張率」及び「弾性応力」は、それぞれ以下のようにして測定する。
〔伸長率〕 製品を展開した状態(平面状に拡げた状態,図2参照)で、弾性部材に所定間隔(X)に印を付けた後、該弾性部材を挟持されているシートから剥がし取り、該弾性部材自体が完全に収縮した状態での前記印の間隔(Y)を測定し、{(X/Y)−1}×100(%)を伸張率とする。
〔弾性応力〕 弾性部材単体を、引張試験機で初期長50mm、引張速度300mm/minで引っ張り、所定の伸張率に達した時の応力を読み取る。
【0035】
また、吸収体4が存在する部位Fに位置する延出部81a”,81b”の少なくとも一部が、弾性伸縮性を発現するようになされているため、図5に示すように、吸収体4の両側部4a,4aが上方に向かって持ち上げられ、着用時における股下部Cには、吸収体4の幅方向中央部4bを底部とし、持ち上げられた吸収体の両側部4a,4aを側壁部とする凹状のポケット構造Pが形成される。そのため、優れた防漏性が得られる。
しかも、前記延出部81a”,81b”が、吸収体4が存在する部位において、第2固定手段により固定されているため、上記のポケット構造は安定化しており、優れた防漏効果が確実に発揮される。
また、股下部Cの幅が狭くなるため、装着も容易となる。
【0036】
更に、立体ギャザー6の固定端62が、股下部の少なくとも一部において、前記吸収体の側縁よりも幅方向外方に位置するため、立体ギャザーが表面シート上に伏倒して機能を発現しなくなることが防止され、上記のポケット構造が一層排泄物の保持性及び防漏性に優れたものとなる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
例えば、第2固定手段は、ヒートシールであっても良い。図6は、第2固定手段としてヒートシールを施した例を示すもので、ヒートシールを施した部位をSで示してある。図6に示す外層体5は、第1固定手段としての接着剤を間欠的に塗布した外層シート51上に、第1及び第2弾性部材81a,81bを、それぞれ連続した弾性部材として伸長状態にて導入して固定し、両弾性部材が固定された外層シート51上に内層シート52を貼り合わせ、その後、第1固定手段による接着領域P1と非接着領域P2の境界部近傍をヒートシールすることにより第1及び第2弾性部材81a,81bを更に強固に固定し、次いで、第1及び第2弾性部材を、幅方向中央部において切断して左右に分割した後、レッグ開口部形成用の余分な部分を切断除去することにより得ることができる。
【0038】
また、レッグ部弾性部材81は、最外表面を形成しない外層体5の構成シートと、該構成シートに隣接する他のシートとの間、あるいは、裏面シート3と外層体5を構成するシートとの間等に配されていても良い。
また、第1及び第2弾性部材81a,81bの何れか一方のみが第2固定手段により、おむつ1の構成材に固定されていても良い。また、第1及び第2弾性部材81a,81bは、それぞれ複数本でも一本でも良い。
腹側部A及び/又は背側部Bにおける胴周囲部弾性部材は、省略することもできる。また、吸収体が存在する部位Fの幅方向中央部には、第1及び第2弾性部材が存在しない部位E1と第1及び第2弾性部材が存在するが弾性伸縮性を発現しない部位E2の何れか一方のみが存在していても良い。両レッグ部の第1及び第2弾性部材は、弾性伸縮性を発現しない部分を介して連続していても良い。
【0039】
また、第1固定手段は、股下部Cにおける幅方向の全域に亘るように施されていても良い。第1固定手段が全面に施されている場合においても、通常、弾性体が切断されるとその保持力は不十分であるため、ゴム抜けが発生し、レッグ部で弾性伸縮性が発現されなくなる場合がある。第2固定手段を設けることにより、そのゴム抜けがレッグ部に及ぶのを防ぐことができる。
本発明は、パンツ型の使い捨ておむつの他、パンツ型の生理用ナプキン等にも適用することもできる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の吸収性物品は、脚廻りに良好な締め付け力を得ることができると共に製造中又は装着中における、レッグ部弾性部材のゴム抜けを防止でき、しかも、股下部における吸収体が凹状に変形すると共に立体ギャザーが良好に起立することにより股下部に、排泄物の保持性及び防漏性に優れたポケット構造が形成され、装着感及び漏れ防止性に優れており、更に装着も容易なパンツ型の吸収性物品を提供ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態としての使い捨ておむつを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す使い捨ておむつの展開状態(緊張状態)を示す平面図である。
【図3】図3は、図1のX−X線断面図を示す図である。
【図4】図4は、図1の使い捨ておむつの外層体を展開状態にて示す平面図である。
【図5】図5は、図1の使い捨ておむつの着用時の状態を模式的に示す図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施形態としての使い捨ておむつの外層体を示す平面図(図4相当図)である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ
10 吸収性本体
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
41 吸収体の側縁
5 外層体
6 立体ギャザー
62 固定端
7 ウエスト開口部
71 ウエスト部弾性部材
8 レッグ開口部
81 レッグ部弾性部材
81a 第1弾性部材
81b 第2弾性部材
A 腹側部
B 背側部
C 股下部

Claims (4)

  1. 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を備え、着用者の脚廻りに配される一対のレッグ部に、それぞれレッグギャザー形成用のレッグ部弾性部材が伸長状態で配されており、一対の立体ギャザーが腹側部から背側部に亘って形成されているパンツ型の吸収性物品において、
    前記レッグ部弾性部材は、第1及び第2弾性部材からなり、第1及び第2弾性部材それぞれは、前記レッグ部に配されたギャザー形成部と、該ギャザー形成部から吸収性物品の幅方向中央部に向かって延出する延出部とを有しており、
    第1及び第2弾性部材それぞれの前記ギャザー形成部は、第1固定手段により吸収性物品の構成材に固定されており、
    第1及び/又は第2弾性部材の前記延出部は、前記吸収体が存在する部位において、第2固定手段により吸収性物品の構成材に固定されており、該吸収体が存在する部位に位置する該延出部の少なくとも一部は弾性伸縮性を発現するようになされており、
    第1及び第2弾性部材は、前記吸収体が存在する部位の幅方向中央部に存在しないか又は該幅方向中央部においては弾性伸縮性を発現しないようになされており、
    前記立体ギャザーの固定端が、股下部の少なくとも一部において、前記吸収体の側縁よりも幅方向外方に位置する吸収性物品(但し、第1又は第2弾性部材が固定されているシートが、股下部に、吸収性物品の幅方向に亘る折り畳み部を有するものを除く。)
  2. 第1及び第2固定手段が共に接着剤であり、第2固定手段としての接着剤は、第1固定手段としての接着剤よりも強い接合強度が得られるように施されている請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記表面シート、前記裏面シート及び前記吸収体を有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌当接面側に位置して該吸収性本体を固定している外層体とを備え、
    第1及び第2弾性部材それぞれの前記ギャザー形成部は、第1固定手段としての接着剤により、前記外層体を構成する2枚のシート間に伸長状態で固定されており
    第1及び/又は第2弾性部材の前記延出部は、第2固定手段としての接着剤により、前記外層体を構成する前記2枚のシート間に固定されており、
    第2固定手段としての接着剤の塗工坪量が、第1固定手段としての接着剤の塗工坪量より大きいか、又は第2固定手段としての接着剤が、第1固定手段としての接着剤が塗工された領域の一部に重ねて塗工されている、請求項1記載の吸収性物品
  4. 第1及び第2弾性部材は、吸収性物品配設時の伸張率における弾性応力がそれぞれ30gf以上である請求項1〜3の何れかに記載の吸収性物品。
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