JP4111657B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィット性に優れ、装着感及び漏れ防止性に優れた使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、レッグギャザー形成用のレッグ部弾性部材を、着用者の脚廻りに配されるレッグ部の一方から他方へと股下部を横断するように配すると共に、該レッグ部弾性部材を、股下部において切断した使い捨ておむつが知られている。
【0003】
斯かる使い捨ておむつにおいては、前記レッグ部弾性部材として、伸長応力が小さく、それを挟持する不織布等のシート材との接着性の良い非常に細い糸ゴムが用いられている。これは、太い糸ゴム等の伸縮応力が大きい弾性部材や、タルクが表面に付着している天然ゴム等の接着性の悪い弾性部材を用いた場合には、股下部において切断することによって、製造中又は装着中に、弾性部材の伸長状態の解除がレッグ部の側縁にまで達する、いわゆるゴム抜けが発生し、脚廻りのフィット性が損なわれ、漏れが生じる恐れがあるからである。
【0004】
しかし、いわゆる伸縮応力の小さい弾性部材を用いたのでは、脚廻りの締め付け力が不足し、装着者の激しい運動に追従できずに、尿や便の漏れを生じる恐れがある。このような問題を解決するために、伸縮応力の小さい弾性部材を高伸長率で配設すると、弾性部材を挟持する不織布等のシートとの接着性を低下させることになる。
【0005】
また、ゴム抜けを防止するために、弾性部材固定用の接着剤の量を増量すると、多量の接着剤によって柔軟性が低下し、弾性部材が持つ伸縮物性が阻害されてフィット性を低下させる原因となり、更には、装着者の肌へ物理的な刺激を及ぼす可能性がある。また、弾性部材を挟持する不織布等のシートから接着剤が染み出し、べたつきによる不快感、更にはカブレの原因となる恐れがある。
【0006】
従って、本発明の目的は、製品開発時に、脚廻りに適正な締め付け力が得られるように、レッグギャザー形成用の弾性部材の伸長応力やその配設伸張率を自由に決定でき、脚廻りの柔軟性の悪化や肌への刺激等の不都合を伴わずに、フィット性や吸収性能を向上させることのできる使い捨ておむつ等の吸収性物品、及びこのような吸収性物品の製造に好ましく用いられる積層シートを効率的に製造することのできる積層シートの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を備え、着用者の脚廻りに配されるレッグ部に、レッグギャザー形成用のレッグ部弾性部材が伸長状態で配されている吸収性物品において、前記レッグ部弾性部材は、第1及び第2弾性部材からなり、第1及び第2弾性部材それぞれは、一対の前記レッグ部に配された一対のギャザー形成部と、前記吸収体を横切るように配された横断部とを有しており、且つ各レッグ部における両弾性部材のギャザー形成部同士は互いに反対方向に向かうように配されており、第1及び第2弾性部材それぞれの前記ギャザー形成部は、第1固定手段により吸収性物品の構成材に固定されており、第1及び/又は第2弾性部材は、前記横断部における前記吸収体が存在する部位において弾性伸縮性を発現しないようになされており、且つその弾性伸縮性を発現しない部分を有する第1及び/又は第2弾性部材の所定の部位が、第2固定手段により吸収性物品の構成材に固定されている吸収性物品を提供することにより、前記目的を達成したものである(以下、第1発明というときには、この発明をいう)。
【0008】
また、本発明は、互いに貼り合わされる二枚の連続シートの内の少なくとも一方の連続シートに、第1固定手段としての接着剤を所定のパターンで塗工する工程と、弾性部材が前記接着剤を介して両連続シート間に固定されるように、該弾性部材を、両連続シートの流れ方向に直交する方向に揺動させながら導入した後、両連続シート同士を貼り合わせる工程と、前記弾性部材を、所定の部位において分断する工程と、前記弾性部材の分断の前後又は分断と同時に、該弾性部材の所定の部位を、第2固定手段により、両連続シートの少なくとも一方に固定する固定工程とを具備する、部分的に弾性化された積層シートの製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである(以下、第2発明というときには、この発明をいう)。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明の吸収性物品の第1実施形態である使い捨ておむつ1は、図1及び2に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性の防漏シート3及び両シート2,3間に介在された液保持性の吸収体4を具備し、着用者の脚廻りに配されるレッグ部70,70に、レッグギャザー形成用の弾性部材71が伸長状態で配されているパンツ型の使い捨ておむつである。
【0010】
使い捨ておむつ1は、表面シート2と防漏シート3と吸収体4とを具備する吸収性本体10、及び該吸収性本体10の外側に位置して該吸収性本体10を接合固定している外層体5からなる。
使い捨ておむつ1は、着用者の腹側に配される腹側部Aと背側に配される背側部Bとその間に位置する股下部Cとを有しており、腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とが、ヒートシール、高周波シール、超音波シール等の公知の接合手段により接合されて、一対のレッグ開口部7、及びウエスト開口部8が形成されている。
【0011】
表面シート2、防漏シート3及び吸収体4は、一体化されて縦長矩形状の吸収性本体10を形成している。吸収体4は、長手方向中央部の括れた砂時計状をなし、表面シート2及び防漏シート3間に挟持固定されている。
吸収性本体10は、その長手方向を、使い捨ておむつの長手方向、即ちおむつ1を展開した状態における腹側部Aと背側部Bとを結ぶ方向に一致させて、外層体5の中央部に公知の接合手段により接合されている。
吸収性本体10の長手方向左右両側部には、吸収性本体10の幅方向内方側に自由端を有し外方側に固定端を有する立体ガード6が設けられている。各立体ガード6には、複数本の立体ガード弾性部材61が伸縮自在に固定されており、これにより立体ガード6が起立して、吸収性本体10の幅方向への液の流出が阻止される。複数本の立体ガード弾性部材61は、所定間隔を空けて、それぞれ吸収性本体10の長手方向に沿って配されている。
【0012】
ウエスト開口部8には、その開口縁部に沿ってウエストギャザー形成用のウエスト弾性部材81が伸長状態で配されている。詳細には、外層体5における前後端部に、それぞれの端縁に沿って、複数本のウエスト部弾性部材がその幅方向に亘って配されており、これらのウエスト弾性部材81により、ウエスト開口部8に、その全周に亘って実質的に連続した環状のウエストギャザーが形成されている。尚、図示を省略したが、腹側部A及び背側部Bにおけるウエスト弾性部材81が配された位置より下方で且つ股下部Cよりも上方に位置する胴周囲部Dには、外層体5の幅方向に亘って複数の胴周囲部弾性部材が配されている。
【0013】
本実施形態の使い捨ておむつ1において、着用者の脚廻りに配されるレッグ部70,70には、レッグギャザー形成用のレッグ部弾性部材71が伸長状態で配されている。
レッグ部弾性部材71は、第1弾性部材71a及び第2弾性部材71bからなり、第1及び第2弾性部材71a,71bそれぞれは、一対のレッグ部70,70に配された一対のギャザー形成部71a’,71a’,71b’,71b’と、股下部Cの中央部において吸収体4を横切るように配された横断部71a”,71b”とからなる。両弾性部材71a,71bの各ギャザー形成部は、凹状に形成された股下部Cの左右両側縁に沿うように配されており、各横断部71a”,71b”は、各弾性部材における一対のギャザー形成部間に位置し、両側のギャザー形成部に連続している。
【0014】
各レッグ部70における第1及び第2弾性部材のギャザー形成部同士71a’,71b’は互いに反対方向に向かうように配されている。より具体的には、各レッグ部70において、第1弾性部材のギャザー形成部71a’は腹側部Aに向かうように配されており、第2弾性部材のギャザー形成部71b’は背側部Bに向かうように配されている。
【0015】
また、第1及び第2弾性部材71a,71bそれぞれのギャザー形成部は、腹側部A及び背側部Bの何れか同じ側に向かうように配され、また、両弾性部材71a,71bは股下部Cにおいて交叉しており、股下部Cにおける左右両側に一対の交叉部F,Fが形成されている。
【0016】
第1及び第2弾性部材71a,71bそれぞれのギャザー形成部71a’,71a’,71b’,71b’は、第1固定手段としての接着剤Gにより、使い捨ておむつ1の構成材としての外層体5に伸長状態で固定されている。具体的には、第1及び第2弾性部材71a,71bは、外層体5を構成する二枚のシート材51,52間に配されており、各ギャザー形成部71a’,71b’は、接着剤Gを介して両シート材51,52の一方又は双方に接着されて固定されている。
【0017】
第1及び第2弾性部材71a,71bは、それぞれ両端部が腹側部A及び背側部Bそれぞれの両側縁部に位置しており、おむつ1の腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とが互いに接合された状態においては、両弾性部材71a,71bの端部同士が重なり、図1に示すように、おむつ1のレッグ開口部7,7の周縁部に、その全周に亘って実質的に連続した環状のレッグギャザーが形成されている。
【0018】
そして、第1及び第2弾性部材71a,71bは、横断部71a”,71b”における吸収体4が存在する部位において弾性伸縮性を発現しないようになされている。即ち、第1及び第2弾性部材71a,71bは、それぞれ横断部71a”,71b”において切断されており、吸収体4が存在する部位に、両弾性部材71a,71bが弾性伸縮性を発現しない領域Eが形成されている。
そして、第1及び第2弾性部材71a,71bの所定の部位が、第2固定手段としてのヒートシールによりおむつ1の構成材としての外層体5に固定されている。
尚、弾性伸縮性を発現しないとは、弾性部材が配されているが、その弾性部材の伸長状態が解除されていたり、熱処理等により弾性部材の弾性が消失していること等によって弾性伸縮性を発現しない場合と、該部分に弾性部材が存在しない場合の両者を含む。
また、本明細書において、弾性部材が「分断」されているとは、弾性部材の弾性伸縮性を発現する部分が、このような弾性伸縮性を発現しない部分を介して、分割されていることを意味し、弾性部材の切断により分断されていることが好ましい。
【0019】
更に詳述すると、第1及び第2弾性部材71a,71bそれぞれの横断部71a”,71b”は、吸収体4と重なる部位、即ち吸収体4が存在する部位に外層体5に固定されていない部分を有しており、両弾性部材71a,71bは、その外層体5に固定されていない部分において切断されている。
第1及び第2弾性部材71a,71bは、横断部における切断箇所の両側において、第2固定手段により固定されている。図1及び2には、第2固定手段としてのヒートシールを施した箇所を符号Sで示してある。図示の如く、本実施形態においては、第1及び第2弾性部材71a,71bを挟んで両側に配された二枚のシート51,52同士が第1固定手段により固定されている接着領域P1と第1固定手段により固定されていない非接着領域P2とが形成されており、第2固定手段としてのヒートシールは、接着領域P1と該非接着領域P2との境界線近傍、より詳細には、境界線(図2中に一点鎖線Pで示す)に隣接した接着領域P1に形成されている。また、第1及び第2弾性部材71a,71bは、股下部Cの左右両側に形成された一対の交叉部F,Fよりも幅方向の内方において固定されている。
【0020】
本実施形態において、第1及び第2弾性部材71a,71bは、外層体5を構成する二枚のシート材51,52間に配されており、第2固定手段としてのヒートシールによる固定は、両シート材同士が融着して該弾性部材が両シート材間に挟持固定されるか、又は弾性部材自身が片側又は両側のシート材に融着することにより達成されている。
【0021】
第1発明における第1固定手段は、レッグ部弾性部材のギャザー形成部を、吸収性物品の構成材、好ましくはシート材に固定するための手段であり、第1固定手段としては、接着剤、ヒートシール、超音波シール等が挙げられるが、本実施形態におけるように接着剤であることが好ましい。第1固定手段としての接着剤としては、各種公知の接着剤を用いることができるが、ホットメルト接着剤が好ましく、特に、SEBS系、SBS系、SIS系のホットメルト接着剤が好ましい。
【0022】
また、第2固定手段は、レッグ部弾性部材における所定の部位を吸収性物品の構成材に固定するための手段であり、第1固定手段とは異なる手段、又は第1固定手段と同じ手段であるが、異なる接合強度が得られるように施されるか若しくは第1固定手段を施す工程とは異なる工程(好ましくは第1固定手段の工程よりも後の工程)で施された手段をいい、第2固定手段としては、ヒートシール、超音波シール又は接着剤、特に接着剤が好ましい。
【0023】
本実施形態の使い捨ておむつ1における外層体5は、上記の一対のシート材、即ち、使い捨ておむつの外面を形成する外層シート51及び該外層シート51の内側に積層接着された内層シート52と、これらの両シート51,52間に配設され挟持固定された各弾性部材、即ちレッグ部弾性部材71、ウエスト部弾性部材81及び胴周囲部弾性部材(図示せず)とからなる。
また、おむつ股下部の弾性部材を切断除去せずに製造可能であるので、製造ラインの高速化が可能である。
【0024】
この外層体5は、本発明の積層シートの製造方法の第1実施形態である以下の方法により、容易且つ効率的に製造される。
第1実施形態の製造方法においては、先ず、互いに貼り合わされる外層シート51の連続シート51A及び内層シート52の連続シート(図示せず)の少なくとも一方の連続シート51Aに、図3(a)に示すように、第1固定手段としての接着剤を所定のパターンで塗工する(塗工工程)。
本実施形態においては、両連続シート(一方のみ図示)の流れ方向Xに、所定の間隔で間欠的に接着剤を塗布する。これにより、連続シートに接着剤の塗布部H1と非塗布部H2とが連続シートの流れ方向Xに亘って交互に形成される。本塗工工程における接着剤の塗布パターンは、ストライプ、スパイラル、ベタ、ドット状等、特に制限されない。尚、両連続シートは、同一方向に連続的に搬送されている。上記接着剤の間欠的塗布は、部分的に行ってもよい。
【0025】
次いで、第1及び第2弾性部材71a,71bが、接着剤を介して間欠的に両連続シート間に固定されるように、両弾性部材71a,71bを、両連続シートの流れ方向Xに直交する方向Yに揺動させながら伸長状態で導入した後、両連続シート同士を貼り合わせる(導入貼り合わせ工程)。本実施形態においては、両弾性部材71a,71bの導入直後に、内層シート52の連続シートを貼り合わせているが、内層シート52の連続シートは、図示を省略してある。
この導入貼り合わせ工程において、両連続シートが接着剤の塗布部H1において互いに貼り合わされて接着領域P1が形成されると共に、両連続シートが互いに貼り合わされていない非接着領域P2が形成される。そして、第1及び第2弾性部材71a,71bは、接着領域P1においては、両連続シート間に固定され、非接着領域P2においては、両連続シート間に固定されない。
【0026】
次いで、図3(b)に示すように、両弾性部材71a,71bを、両連続シートに固定されていない部位において切断し(切断工程)、更に、図3(c)に示すように、切断された該弾性部材71a,71bの一部を、第2固定手段としてのヒートシールにより、両連続シートに固定する(固定工程)。図3にSで示した部分が、ヒートシールを施した箇所である。
【0027】
このような工程を経て、部分的に弾性化された積層シート50が得られる。
外層体5は、この積層シート50から、レッグ部形成用の余分な部分72を切断除去すると共に、該積層シート50を個々の外層体5の寸法に切断することにより、得られる。尚、本実施形態においては、レッグ部弾性部材以外の弾性部材を、前記導入貼り合わせ工程において導入している。
【0028】
第1及び第2発明において、弾性部材71a,71bを二枚のシート材間に固定する場合における二枚のシート材の形性材料は、両シート材共に、熱融着性繊維を含むものであることが好ましく、特に、芯鞘型の接着性複合繊維(例えばPET芯PE鞘の複合繊維)を含む不織布や、サイドバイサイド型の接着性複合繊維を含む不織布、高融点と低融点の合成繊維を含むバイコンポーネントの不織布が、高いヒートシール性により高い固定強度が得られるので好ましい。
【0029】
また、第2固定手段としてヒートシールを用いる場合、ヒートシールは、そのシール領域をその全面亘ってシール(ベタシール)しても良いが、シール領域が硬くなり風合いが悪くなるのを防止する観点から、所定のパターンで部分的にシールすることが好ましい。
また、ヒートシールは、通常、レッグ部弾性部材をこれを固定するためのシート材と共に一対のシールロール間に挿通して行う。一対のシールロールは、パターンロール及びバックアップロールであることが好ましく、何れか一方のロールのみが加熱ロールでも良いし、両方が加熱ロールでも良い。更に、パターンロール及び/又はバックアップロールにボア径が200mm未満のシリンダを用い、5〜50kgf/cm2 の圧力をシリンダにかけることによる加圧手段を用いることが、材料に最適な加工条件で加工するとともに、加工条件の安定化を図ることができるので好ましい。尚、ヒートシールする際には、レッグ部弾性部材を固定するシート材等に破損等のダメージを与えないことが好ましい。
【0030】
また、弾性部材71a,72bが、それぞれ複数本から構成されている場合、第2固定手段を施した部位において、複数本の弾性部材がそれぞれ離間していることが好ましい。これは弾性部材が束になり厚みが増すことによって積層シート50の風合いが低下することを防ぐためであり、又、個々の弾性部材の両側をシールすることで、弾性部材を確実な固定を図ることができるためである。
【0031】
弾性部材71a,71bの切断には、各種公知の切断手段を用いることができ、例えばピンチカッター、ロータリーダイカッター、ヒートシールカッター、超音波カッター、ウォータージェットカッターなどを用いることができる。特に、天然ゴム、スパンデックス等からなる弾性部材の場合には、ピンチカッター、ロータリーダイカッター、ヒートシールカッターなどを用いることが、設備負荷が少ないため好ましい。
【0032】
また、弾性部材71a,71bの切断は、個々に弾性部材を切断しても良いし、複数本を束ねて切断しても良い、前者の場合は、切断対象物を限定することで確実に弾性部材を切ることができ、後者の場合は、切断によるシート材の損傷の最小限に抑えることができる。
【0033】
第1実施形態の使い捨ておむつ1は、上記のようにして製造した外層体5に、常法に従って製造した吸収性本体10を公知の接合手段により接合固定し、更に腹側部Aの両側縁A1,A2と背側部Bの両側縁B1,B2とを接合することにより、容易に製造することができる。
【0034】
第1実施形態の使い捨ておむつ1の構成部材の形成材料について説明すると、表面シート2、防漏シート3、吸収体4、立体ガード6形成用のシート材及び弾性部材61、ウエスト部弾性部材81、胴周囲部弾性部材の形成材料としては、従来、使い捨ておむつ等に用いられるものを特に制限なく用いることができる。
【0035】
弾性部材71a,71bの形成材料としては、通常公知の各種の弾性材料を用いることができ、素材としては、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ウレタン等の伸縮性の素材を広く用いることができ、形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形状の糸状のものやテープ状のものが好ましい。また、熱によって可塑化する性質の弾性部材も好適に用いられる。
【0036】
外層体を構成する外層シート51及び内層シート52の形成材料としては、好ましくは液抵抗性、液不透過性で透湿性、通気性を有し、肌着に近い感触の高可撓性シートで、具体的には織布、不織布、フィルム、透湿フィルム、開孔フィルムや、これらの複合材等が用いられる。
【0037】
本実施形態のパンツ型の使い捨ておむつ1は、通常のパンツ型の使い捨ておむつと同様にして使用することができる。
本実施形態の使い捨ておむつ1においては、第1及び第2弾性部材71a,71bが横断部において切断され、吸収体4の存在する部位に、レッグ部弾性部材71が弾性伸縮性を発現しない領域Eが形成されているため、着用中に吸収体4が縮み難くなるので、吸収体4の幅を狭くしても吸収性能を維持できる。これにより、吸収体4の小型化、使用材料の削減等を図ることができる。また、吸収体がひだ寄せされ難いので、はかせ易く、すっきりした外観を有する。
【0038】
また、使い捨ておむつ1においては、第1及び第2弾性部材71a,71bが所定の箇所において第2固定手段により固定されているため、両弾性部材として、平ゴム等の伸縮応力が大きい弾性部材や、タルクが表面に付着している天然ゴム等の接着性の悪い弾性部材を用いた場合、更に、伸縮応力の小さい弾性部材を高伸長率で配設した場合においても、いわゆるゴム抜けが生じることがない。従って、脚廻りに適正な締め付け力が得られるように、レッグギャザー形成用の弾性部材及びその配設伸張率を適宜に決定することができ、効率的且つ経済的に、フィット性や吸収性能の向上を図ることができる。
脚廻りに適正な締め付け力が得られるようにして、フィット性や吸収性能に優れた使い捨ておむつを得る観点から、第1及び/又は第2弾性部材71a,71bは、帯状の弾性部材であることが好ましい。
また、本実施形態の使い捨ておむつ1においては、弾性部材固定用の接着剤の量を増量する必要がないため、多量の接着剤による柔軟性の低下や肌への悪影響、べたつきによる不快感等を生じる恐れがない。
【0039】
また、上記の積層シートの製造方法によれば、特に使い捨ておむつ等の吸収性物品の製造に好ましく用いることができる、部分的に弾性化された積層シートを、効率的且つ経済的に製造することができる。
尚、第2発明における第1固定手段及び第2固定手段は、いずれも二枚の連続シート間に弾性部材を固定するための手段であり、第2固定手段とは、第1固定手段(接着剤)とは異なる手段、又は同じ手段(接着剤)であるが、異なる接合強度が得られるように施されるか若しくは第1固定手段を施す工程とは異なる工程(好ましくは第1固定手段の工程よりも後の工程)で施される手段をいう。第2固定手段としては、ヒートシール(超音波シールを含む)、接着剤、圧着、かみ合わせ等による物理的固定等が挙げられるが、ヒートシール又は接着剤が好ましい。
【0040】
以下、本発明の吸収性物品及び積層シートの製造方法の第2実施形態としての使い捨ておむつ及び積層シートの製造方法について説明する。第2実施形態の使い捨ておむつ及び積層シートの製造方法は、第2固定手段がヒートシールではなく接着剤である点においてのみ第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態との相違点について説明し、同様の構成等については説明を省略する。特に説明しない点については、好ましい態様等を含めて第1実施形態に関して上述した説明が適宜適用される。
【0041】
第2固定手段として接着剤を用いる場合、両連続シートに、流れ方向Yにわたって連続的に接着剤を帯状に塗布しても良いが、コストの削減、風合い(塗布部分の硬さ)の向上、生産工程での接着剤のシミ出し・堆積の抑制等の観点から、第1固定手段としての接着剤により両連続シートが互いに接着された接着領域P1と接着されていない非接着領域P2との境界線Pの近傍に第2固定手段としての接着剤を塗布することが好ましい。第2実施形態のおむつにおいては、第1実施形態においてヒートシールを施した部位と同じ部位に、第2固定手段としての接着剤が塗布している。
【0042】
第2固定手段としての接着剤を、選択された特定の部位に適用するには、塗布装置と位置決め装置を用いれば良い。
塗布装置としては、接触式、非接触式の何れを用いても良く、接触式としては、スロットコーターなどが用いられ、非接触式としては、スパイラルスプレー、カーテンスプレー、ビードガンなどが用いられる。
位置決め装置としては、ガンコントローラー等が用いられ、ラインのスピードとトリガー信号を入力し、その出力を塗布装置に接続する。これによって所望の部位に接着剤を塗布することができる。
【0043】
本実施形態におけるように、第1及び第2固定手段が共に接着剤である場合、第2固定手段部(第2固定手段を施した部分)の接着剤の坪量は、第1固定手段部(第1固定手段を施した部分)の接着剤の坪量よりも大きいことが好ましい。また、第1固定手段と第2固定手段とで、使用する接着剤の種類は同一でも異なる種類でも良い。
【0044】
第2実施形態の使い捨ておむつ及び積層シートの製造方法によれば、第1実施形態の使い捨ておむつ及び積層シートの製造方法と同様の作用効果が奏される。
【0045】
本発明の吸収性物品の第3実施形態としての使い捨ておむつ1’について図4を参照して説明する。以下、第1実施形態の使い捨ておむつ1との相違点について説明し、同様の点については説明を省略する。特に説明しない点については、好ましい態様等を含めて第1実施形態に関して上述した説明が適宜適用される。第3実施形態の使い捨ておむつ1’は、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける、ウエスト弾性部材81が配された位置より下方で且つ股下部Cよりも上方に位置する胴周囲部Dに、おむつ1’の幅方向に亘って複数の胴周囲部弾性部材9が所定間隔で配されており、胴周囲部弾性部材9は、吸収体4が存在する部位において弾性伸縮性を発現しないようになされている。即ち、胴周囲部弾性部材9は、それぞれ、おむつ1の幅方向中央部において分断されており、吸収体4が存在する部位に、胴周囲部弾性部材9が弾性伸縮性を発現しない領域E’が形成されている。
胴周囲部弾性部材9は、外層材5を構成する2枚のシート間に配設されており、おむつ1’のサイド接合部11,11近傍においては外層体5に固定され、吸収体4が存在する幅方向中央部においては外層体5に固定されていない。そして、胴周囲部弾性部材9は、その外層体5に固定されていない部分において分断されている。
【0046】
第3実施形態の使い捨ておむつ1’によれば、胴周囲部Dに胴周囲部弾性部材9が配されているため、着用者の胴廻りにおけるフィット性が向上しており、装着感及び漏れ防止効果に一層優れている。しかも、胴周囲部弾性部材9が、吸収体4が存在する部位において弾性伸縮性を発現しないようになされているため、着用中における吸収体4の縮みやヨレが効果的に防止され、そのため、吸収体4の幅を狭くしても吸収性能を維持できる。これにより、吸収体4の小型化、使用材料の削減等を図ることができる。また、吸収体がひだ寄せされ難いので、はかせ易く、すっきりした外観の使い捨ておむつとなる。また、大人用の使い捨ておつとして使用する場合には、表面シート2と着用者との間に、別体の尿とりパッドを挿入することが多く、そのような場合に縮みやヨレが吸収体にないと尿とりパッドを所定位置に安定に載置し易いため、尿とりパッドのズレによるモレが効果的に防止される。
【0047】
以上、第1及び第2発明それぞれについての実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【0048】
例えば、第1発明において、レッグ部弾性部材71は、最外表面を形成しない外層体5の構成シートと、該構成シートに隣接する他のシートとの間、あるいは、防漏シート3と外層体5を構成するシートとの間等に配されていても良い。
また、第1及び第2弾性部材71a,71bの何れか一方のみが切断されていても良い。また、第1及び第2弾性部材71a,71bの揺動パターン及び第2固定手段による固定部位は、図5に示すようなパターン及び部位であっても良い。図5には、第2固定手段としてヒートシール又は接着剤を施した部位をSで示してある。また、第1及び第2弾性部材71a,71bは、それぞれ一本であっても良い。
また、第1及び/又は第2弾性部材71a,71bが、横断部71a”,71b”における吸収体4が存在する部位において、弾性伸縮性を発現しないようになされている態様としては、少なくとも一方の弾性部材が、複数箇所にて切断され断片化されることにより、弾性伸縮性を発現しないようになされていても良い。胴周囲部弾性部材は、省略することもできる。
第2発明における固定工程は、切断工程の前又は同時に行っても良い。
【0049】
また、第1発明及び第2発明において、第1固定手段は、上記各実施形態のような間欠パターン接着のほかに、全面接着であっても良い。第1固定手段が全面であっても、弾性体が切断されるとその保持力は不十分でありゴム抜けが発生し、レッグ部の伸縮性が発現されなくなる。第2固定手段を設けることにより、そのゴム抜けがレッグ部に及ぶのを防ぐことができる。
【0050】
また、第1及び/又は第2弾性部材の切断箇所に、第1及び/又は第2弾性部材の切断された端部を遮蔽する遮蔽シートを設けても良い。切断により生じた弾性部材の端部は、収縮して非機能化されており、その切れ端が外側より透けて見えたり、切断箇所の外層シートがダメージを受け、穴があいたりする場合がある。その部分に隠蔽シートを設けることで、見栄えが良くなる。図2には、外層材51の内面側に遮蔽シート53を配した様子を仮想線で示してある。尚、隠蔽シート53の形成材料としては、肌着に近い感触の高可撓性シートが好ましく、具体的には織布、不織布、フィルム、透湿フィルム、開孔フィルム、紙や、これらの複合材等が用いられる。
尚、第1弾性部材及び第2弾性部材が吸収体を横切るように配されているとは、分断前にその様に配することを意図することが存在すれば良く、分断(特に切断)によって吸収体と各々の弾性部材とが重なる部分がなくなっていたとしても、本発明の趣旨を逸するものではない。例えば、各弾性部材が、ギャザー形成部同士間において切断されており、その切断箇所の両側が収縮して、吸収体上に弾性部材が位置しなくなっている場合であっても、切断前に吸収体を横切るように配されていた部分は、横断部である。
【0051】
本発明は、パンツ型の使い捨ておむつの他、一対のファスニングテープが設けられた展開型の使い捨ておむつ、更には、パンツ型の生理用ナプキン等にも適用することもできる。
【0052】
【発明の効果】
第1発明の吸収性物品によれば、製品開発時に、脚廻りに適正な締め付け力が得られるように、レッグギャザー形成用の弾性部材の伸長応力やその配設伸張率を自由に決定できるため、脚廻りの柔軟性の悪化や肌への刺激等の不都合を伴わずに、フィット性や吸収性能の向上させた使い捨ておむつ等の吸収性物品を得ることができる。
【0053】
第2発明の積層シートの製造方法によれば、使い捨ておむつ等の吸収性物品の製造に好ましく用いられる、部分的に弾性化された積層シートであって、脚廻りの柔軟性の悪化等の不都合を伴わずに、フィット性や吸収性能の向上させた使い捨ておむつ等を容易に得ることができる積層シートを、容易且つ経済的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る使い捨ておむつを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す使い捨ておむつの展開状態を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明の積層シートの製造方法の製造工程の概略を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第3実施形態に係る使い捨ておむつを示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明の吸収性物品としての使い捨ておむつの他の実施形態を示す模式図であり、吸収性本体を除去して外層体のみを平面視した図である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ
10 吸収性本体
11 サイド接合部
2 表面シート
3 防漏シート
4 吸収体
5 外層体
51 外層シート
52 内層シート
53 隠蔽シート
6 立体ガード
61 立体ガード弾性部材
70 レッグ部
71 レッグ部弾性部材
71a 第1弾性部材
71b 第2弾性部材
71a’,71b’ ギャザー形成部
71a”,71b” 横断部
8 ウエスト開口部
81 ウエスト弾性部材
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
E 弾性伸縮性を発現しない領域
P1 接着領域
P2 非接着領域
Claims (5)
- 液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を備え、着用者の脚廻りに配されるレッグ部に、レッグギャザー形成用のレッグ部弾性部材が伸長状態で配されている吸収性物品において、
前記レッグ部弾性部材は、第1及び第2弾性部材からなり、第1及び第2弾性部材それぞれは、一対の前記レッグ部に配された一対のギャザー形成部と、前記吸収体を横切るように配された横断部とを有しており、且つ各レッグ部における両弾性部材のギャザー形成部同士は互いに反対方向に向かうように配されており、
第1及び第2弾性部材それぞれの前記ギャザー形成部は、第1固定手段により吸収性物品の構成材に固定されており、
第1及び/又は第2弾性部材は、前記横断部における前記吸収体が存在する部位において弾性伸縮性を発現しないようになされており、且つその弾性伸縮性を発現しない部分を有する第1及び/又は第2弾性部材の所定の部位が、第2固定手段により吸収性物品の構成材に固定されている吸収性物品(但し、第1又は第2弾性部材が固定されているシートが、股下部に、吸収性物品の幅方向に亘る折り畳み部を有するものを除く。)。 - 第1固定手段が接着剤であり、第2固定手段がヒートシールである請求項1記載の吸収性物品。
- 第1及び第2固定手段が共に接着剤である請求項1記載の吸収性物品。
- 前記第1及び/又は第2弾性部材が、前記横断部において分断されており、該横断部における分断箇所の両側において、第2固定手段により固定されている請求項1〜3の何れかに記載の吸収性物品。
- 請求項1記載の吸収性物品の製造方法であって、
二枚の連続シート間に第1及び第2弾性部材が配されており、第1及び第2弾性部材が弾性伸縮性を発現する部位と第1及び第2弾性部材が弾性伸縮性を発現しない部位とを有する、部分的に弾性化された積層シートを製造する工程を具備しており、
前記積層シートの製造工程は、二枚の前記連続シートの内の少なくとも一方の連続シートに、第1固定手段としての接着剤を所定のパターンで塗工する工程と、第1及び第2弾性部材が前記接着剤を介して両連続シート間に固定されるように、該弾性部材を、両連続シートの流れ方向に直交する方向に揺動させながら導入した後、両連続シート同士を貼り合わせる工程と、第1及び第2弾性部材を、所定の部位において分断する工程と、第1及び第2弾性部材の分断の前後又は分断と同時に、第1及び第2弾性部材の所定の部位を、第2固定手段により、両連続シートの少なくとも一方に固定する固定工程とを含む、吸収性物品の製造方法。
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