明 細
含塩素含フッ素化合物の製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、 CF C1-CFC1-CFC1-CF C1で表される化合物等の含塩素含フッ素化 合物の製造方法に関する。また、該化合物を用いるフッ素化された有機化合物の製 造方法に関する。
背景技術
[0002] CF C1-CFC1-CFC1-CF C1で表される化合物の製造法に関しては、以下の方法 が提案されている。
[0003] (1) CF C1一 CFC1Iを、 CH C1溶媒中、無水酢酸の存在下で亜鉛を用いてカツプリ ングさせる方法 ioumal of Fluorine Chemistry、 (スイス)、 1987、 35卷、 421 一 424頁参照)。
(2) CF C1— CFC1Iを水銀の存在下、光カップリングさせる方法 ioumal of Che mical Society, (英国)、 1952、 4423— 4431頁参照)。
(3) CHC1 = CC1-CC1 = CHCl¾rClFまたは C1Fでフッ素化する方法 ioumal o f Chemical Society, Abstracts、(英国)、 1959、 1884— 1887頁参照)。
[0004] また、式 CF C1-CFC1-CF C1で表される化合物の製造方法に関しては、以下の 方法が提案されている。
(4) CC1 -CFC1-CF C1を SbF C1によってフッ素化する方法 (Journal of Fluo rine Chemistry, (スイス)、 1989、 43 (2)卷、 155 175頁参照)。
[0005] (1)の方法 (こおレヽて ίま、 目白勺の CF C1-CFC1-CFC1-CF C1以外 ίこ、 CFC1—CF
-CF -CFC1および CF C1-CFC1-CF -CFC1等の不純物力畐 ij生して生成物力 S 複雑になる欠点がある。また、これらの不純物の多くは目的物と沸点が近いために分 離が困難な欠点がある。 (2)の方法においては、環境上好ましくない水銀を使用する 欠点がある。 (3)の方法では、 目的の CF C1-CFC1-CFC1-CF C1以外に、 C CI F
、 C CI F、および C CI F等の高次塩素化物が副生し、生成物が複雑になる欠点が ある。
[0006] また、 (4)の方法では、原料である CC1 -CFC1-CF C1の入手が難しレ、。また、生
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成物中に CF C1-CFC1-CF C1ととちに、 CFC1— CFC1— CFC1および CFC1— CF
2 2 2 2 2
Cl-CF C1が副生する問題がある。
2
発明の開示
課題を解決するための手段
[0007] 本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、環境に対する負荷 力 S小さぐ選択的かつ収率よぐ高純度の含フッ素有機化合物を得る新規な製造方 法を提供する。すなわち、本発明は、以下の発明を提供する。
[0008] < 1 >下式(1)で表される化合物を液相中でフッ素と反応させることによってフッ素 化することを特徴とする下式(2)で表される化合物の製造方法。
C C1 X · · · (1)
k m n
C CI F · · · (2)
k m n
ただし、 kは 3— 8の整数、 mは 1一 5の整数、 nは m+n= 2k+ 2となる整数である。 Xは水素原子またはフッ素原子であり、少なくとも 1つは水素原子である。
[0009] < 2 >式(1)で表される化合物が下式(1A)で表される化合物であり、式(2)で表さ れる化合物が下式(2A)で表される化合物である、 < 1 >に記載の製造方法。
CCIX'X -CCIX -CCIX -CCIX^6 - · · (1A)
CF C1-CFC1-CFC1-CF CI- - - (2A)
2 2
ただし、 X1— X6は、それぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を示し、少なくとも 1 つは水素原子である。
[0010] < 3 >式(1A)で表される化合物力 S、下式(3)で表される化合物、下式 (4)で表され る化合物、および下式(5)で表される化合物から選ばれる 1種以上の化合物と塩素と を反応させて得られた化合物である、 < 2 >に記載の製造方法。
ccix'x -cx3 = cx4-ccix5x6 - · · (3)
cx'x2 = CX -ccix4-ccix5x6 - · · (4)
cx'x2 = cx -ex4 = cx5x6 - · · (5)
< 4 >塩素との反応を式 CF C1-CFC1-CFC1-CF CIで表されるィ匕合物力らなる
2 2
溶媒中で行う < 3 >に記載の製造方法。
[0011] < 5 1一 X6の全てが水素原子である <2>— <4>のレ、ずれかに記載の製造方 法。
[0012] < 6 >フッ素化反応を、式(1 A)で表される化合物を式(2A)で表される化合物中 に溶解または分散させた液相中にフッ素を導入することによって行う < 2 >— < 5 > のレ、ずれかに記載の製造方法。
[0013] <7><2>— <6>のレ、ずれかに記載の製造方法によって得た式(2)で表される 化合物を脱塩素化することによる下式 (6)で表される化合物の製造方法。
CF =CF-CF = CF ··· (6)
2 2
[0014] <8>式(1)で表される化合物が下式(IB)で表される化合物であり、式(2)で表さ れる化合物が下式(2B)で表される化合物である < 1 >に記載の製造方法。
CC1X7X8-CC1X9-CC1X10XU- · · (IB)
CF C1-CFC1-CF CI-- - (2B)
2 2
ただし、 x7— x11は、それぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を示し、少なくとも 1 つは水素原子である。
[0015] < 9 >X7— X11の全てが水素原子であるく 8 >に記載の製造方法。
[0016] < 10 >フッ素化反応を、式(1B)で表される化合物を式(2B)で表される化合物中 に溶解または分散させた液相中にフッ素を導入することによって行う < 8 >またはく 9 >に記載の製造方法。
[0017] く 11><8>— <10>のレ、ずれかに記載の製造方法によって得た式(2B)で表さ れる化合物を脱塩素化することによる下式(7)で表される化合物の製造方法。
CF =CF-CF 01··· (7)
2 2
[0018] '素化されうる有機化合物を液相中でフッ素と反応させてフッ素化された 有機化合物を得る方法において、液相が下式(2)で表される化合物を含むことを特 徴とするフッ素化された有機化合物の製造方法。
C CI F ··· (2)
k m n
ただし、 kは 3— 8の整数、 mは 1一 5の整数、 nは m+n=2k+2となる整数である。 発明の効果
[0019] 本発明によれば、従来の方法に比べて環境に対する負荷が小さぐ選択的かつ収
率よぐ高純度の、式 CF C1-CFC1-CFC1-CF C1で表される化合物等の含塩素含
2 2
フッ素化合物を製造できる。また、該化合物からは、高純度の式 CF =CF-CF = C
2
Fで表される化合物等を製造できる。さらに、液相フッ素化反応における溶媒または
2
フッ素化反応の原料の希釈剤として、式 CF C1-CFC1-CFC1-CF C1で表される化
2 2
合物等の含塩素含フッ素化合物を用いることにより、溶媒に対する溶解度が小さレ、 原料の液相フッ素化を実施することができる。また、液相フッ素化反応中における溶 媒自身の分解を抑制できる。
発明を実施するための最良の形態
[0020] 本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)とも記す。他の化合物 についても同様である。また、圧力は特に記載のない限りゲージ圧で表す。
[0021] 化合物(1)における Xは水素原子またはフッ素原子を示し、少なくとも 1つは水素原 子である。 kは、化合物(1)中の炭素原子数を示し、 3— 8の整数である。 kとしては 3 一 8の整数が好ましぐ 3または 4が特に好ましい。 mは炭素原子に結合する塩素原 子数を示し、 1一 5の整数であり、 kが 3の場合は 2— 4、 kが 4の場合は 3— 5が好まし レ、。 nは炭素原子に結合する水素原子またはフッ素原子の数を示し 3— 17の整数で める。
[0022] (m+n)値と(2k + 2)値とは等しい値であり、(m + n)としては、 8、 10、 12、 14が 好ましぐ 8または 10が特に好ましい。 mと nの比率は、 目的とする化合物(2)におけ る要求性能および用途に応じて適宜変更されうる。
[0023] 化合物(1)の構造は直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。化合物(1)中の 、塩素原子、フッ素原子、および水素原子の結合位置は特に限定されず、該結合位 置も目的とする化合物(2)における要求性能および用途に応じて適宜変更すること が好ましい。
[0024] 化合物(1)においては、 dl異性体および meso異性体が存在しうる力 これらの dl異 性体および meso異性体は、単独で使用しても異性体の混合物として使用してもよい 。異性体混合物として使用する場合においては、各々の異性体の混合比については 特に限定されない。ただし、後述する液相フッ素化反応において化合物(1)中の炭 素原子の絶対配置は保持されなレ、ことが多レ、ため、異性体混合物を各異性体に分
離して反応に用いる必要はない。
[0025] 化合物(1)の具体例は、後述する化合物(2)の具体例におけるフッ素原子の一部 を水素原子に置換した例が挙げられる。
[0026] 化合物(1)としては、下記化合物(1A)または下記化合物(1B)が好ましい。
CCIX'X-CCIX-CCIX-CCIX'X6 - ·· (1A)
CClX7X8-CClX9-CClX10Xn- · · (IB)
ただし、式中の X1 X6はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を示し、少なく とも 1つは水素原子である。また、 X X11はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素 原子であり、少なくとも 1つは水素原子である。
[0027] 化合物 (1A)としては、下記化合物(lAa)— (lAd)等が挙げられる。
CH C1-CHC1-CHC1-CH CI-- - (lAa)
CF C1-CHC1-CHC1-CF CI-- - (lAb)
CH C1-CFC1-CFC1-CH 01··· (lAc)
CF C1-CFC1-CHC1-CH 01··· (lAd)
これらの化合物のうち、 X1— X6の全てが水素原子である化合物(lAa)は、入手が 容易である利点がある。また、化合物(lAb)—(lAd)等の、フッ素原子を含有する 化合物は、後述するフッ素化反応において、溶媒への溶解性が良好である利点があ る。本発明における化合物(1A)としては、化合物(lAa)が好ましい。化合物(1A) の入手方法は後述する。
[0028] 化合物(1B)としては、下記化合物(IBa)が好ましい。化合物(IBa)は市販されて レ、るものを精製することなぐそのまま利用できる。
CH C1-CHC1-CH CI-- - (IBa)
本発明においては、化合物(1)を液相中でフッ素と反応させて化合物(2)を得る。
[0029] 化合物(2)は化合物(1)中の水素原子がフッ素原子に置換した化合物である。化 合物(2)における k、 mおよび nは、化合物(1)における意味と同じ意味を示し、好ま しい態様も同じである。化合物(2)の構造は化合物(1)に対応する構造であり、化合 物(2)の構造中の塩素原子は、化合物(1)における塩素原子の位置に対応する同じ 位置に存在する。また化合物(2)中のフッ素原子の位置は、化合物(1)におけるフッ
素原子および水素原子の位置に対応する同じ位置に存在する。
[0030] 化合物(2)におレ、ては、化合物(2)が対称構造を有する化合物である場合、または 、対象構造に近い構造を有する化合物である場合は、化合物(2)の融点が高くなる ί頃向がある。
[0031] 化合物(2)としては下記化合物が挙げられ、下記化合物(2Α)または下記化合物 ( 2Β)が好ましい。
CF C1-CFC1-CF C1- (2Β)
CF -CFC1-CF C1
CF C1-CFC1-CFC1-CF C1- (2Α)
CF -CF -CFC1-CF C1
CF - (CF ) -CF CI
CF—(CF ) -CFC1-CF CI
CF -CF -CFC1-CFC1-CF
CF CI一(CF ) -CF CI
CF—(CF ) -CF CI
CF -CF -C (CF ) CI一 CF CI
(CF ) -CF-CFC1-CF CI
CF -CFC1-C (CF ) CI一 CF
CF—(CF ) -CFC1-CF CI
CF—(CF ) -CFC1-CFC1-CF
CF -CF -CFC1-CFC1-CF 一 CF
CF C1- (CF ) -CF CI
CF—(CF ) -CF CI
CF - (CF ) -C (CF ) Cl-CF CI
CF -CF -CFC1-C (CF ) CI
CF Cl- (CFCl) -CF -CF
CF C1-CFC1-CF一(CFC1)— CF
CF—(CF ) -CFC1-CF CI
CF—(CF ) - (CFC1) -CF
3 2 3 2 3
CF—(CF ) - (CFC1) -CF 一 CF
3 2 2 2 2 3
CF - (CF ) -C (CF ) Cl-CF CI
3 2 3 3 2
CF—(CF ) -CF CI
3 2 5 2
CF (CF ) C1-CFC1-CF - (CFC1) 一 CF
3 2 2 3
CF—(CF ) -CFC1-CF CI
3 2 5 2
CF - (CF ) - (CFC1) -CF
3 2 4 2 3
CF - (CF ) - (CFC1) -CF -CF
3 2 3 2 2 3
CF—(CF ) - (CFC1) -CF一 CF— CF
3 2 2 2 2 2 3
CF - (CF ) -C (CF ) Cl-CF CI
3 2 4 3 2
CF—(CF ) -CFC1-C (CF ) Cl-CF一 CF
3 2 2 3 2 3
CF C1- (CF ) -CF CI
2 2 6 2
CF—(CF ) -CF CI
3 2 6 2
[0032] 化合物(1)を液相中でフッ素と反応させて化合物(2)を得る反応は、液相フッ素化 法とよばれる公知の方法であり、たとえば、特表平 4-500520号公報に記載の方法 にしたがって実施できる。本発明においては、まずフッ素を溶媒中に導入し、つぎに 、化合物(1A)等の化合物(1)を溶媒中に導入し、同時にフッ素を反応系中に供給 する方法で液相フッ素化反応を実施することが好ましい。化合物(1)は、溶媒で希釈 した溶液として液相中に供給されることが好ましレ、。
[0033] 溶媒としては、液相フッ素化法に用レ、うる公知の溶媒が採用できる。該溶媒として は、ペルフルォロアルカン類、ペルフルォロエーテル類、ペルフルォロポリエーテル 類、塩素化フッ素化炭化水素類、およびペルフルォロアルキルアミン類等が挙げら れ、塩素化フッ素化炭化水素類が好ましい。該塩素化フッ素化炭化水素類としては 、 CF C1-CFC1および CF Cl-CF -CCl _CF -CF力、ら選ばれる 1種または 2種類
2 2 2 2 2 2 3
以上の溶媒が挙げられる。また、後述する化合物(2A)等の化合物(2)から選ばれる 1種または 2種類以上の溶媒が挙げられる。
[0034] 溶媒としては地球環境に与える影響が少ない点から CF Cl-CF -CCl _CF -CF または kが 4一 8である場合の化合物(2)が好ましレ、。化合物(2)を溶媒とする場合に
は、溶媒と生成物との分離が不要になる利点がある点からは、化合物(1)に対応する 構造を持つ化合物(2)を溶媒として使用することが好ましレ、。
[0035] また、化合物(1)の溶媒に対する溶解性が不充分な場合は、溶解補助剤を併用し てもよレ、。溶解補助剤としては、 1, 2, 3—トリクロ口プロパン等の塩素化炭化水素類、 部分的にフッ素化されたエステル類等が挙げられる。溶解補助剤として、水素原子を 含有する構造の化合物を用いた場合は、液相フッ素化反応によって、水素原子がフ ッ素原子に置換された対応する化合物が生成する。
[0036] 溶解補助剤を用いる例としては、 X中の水素原子の割合が多い他の化合物(1)を 用いる例が挙げられる。たとえば化合物(1A)の液相フッ素化において、 1 , 2, 3_トリ クロ口プロパン (以下、化合物(IBa)と記す。)を溶解補助剤として使用した場合、該 化合物(IBa)はフッ素化により式 CF C1-CFC1-CF C1で表される化合物(すなわち
、化合物(2B) )になる。化合物(IBa)は、フッ素化溶媒に対する化合物(1A)の溶 解性を改善しただけではなぐ化合物(IBa)がフッ素化されて生成する化合物(2B) もまた有用な化合物として利用できる。生成物した化合物(2A)と化合物(2B)との混 合物は、分離せずに溶剤等の用途に用いてもよぐ分離して用いてもよい。
[0037] 液相フッ素化反応の反応温度は 0°C— + 100°Cが好ましぐ化合物(1)が反応中 に析出することを防ぐために、 + 20°C— + 80°Cがより好ましぐとりわけ + 20°C— + 60°Cが好ましい。液相フッ素化反応の反応圧力は、大気圧一 2MPaが、反応収率、 選択率、工業的な実施のしゃすさの点から特に好ましレ、。
[0038] さらに、フッ素化反応を効率的に進行させるためには、反応系中に C一 H結合含有 化合物を添加する、または、紫外線照射を行う等の操作を行うことが好ましぐ工業的 な実施の容易さから C一 H結合含有化合物を添加する操作を行うことが特に好ましレ、 。該操作はフッ素化反応をバッチ方式で行う場合であっても、連続式で行う場合であ つても適用できる。フッ素化反応をバッチ方式で行う場合は、特に反応の後期に該操 作を行うことが好ましい。これにより、反応系中に存在する化合物(1)を効率的にフッ 素化でき、反応率を飛躍的に向上させうる。
[0039] C - H結合含有化合物としては、通常は芳香族炭化水素が用いられ、ベンゼンまた はトルエンが好ましい。該 C一 H結合含有化合物の添加量は、化合物(1)中の水素原
子の総モル数に対して 0· 1— 10モル0 /0が好ましぐ 0· 1— 5モル%が特に好ましい 。 C Η結合含有化合物は、反応系中にフッ素が存在する状態で添加することが好ま しい。さらに、 C Η結合含有化合物を加えた場合には、反応系を加圧することが好ま しレ、。加圧時の圧力としては、 0. 01— 5MPaが好ましい。
[0040] 液相フッ素化反応では、化合物(2A)等の化合物(2)を含む反応生成物が生成す る。該反応生成物は、必要に応じて後処理を行うこと好ましい。後処理の方法として は、洗浄、蒸留、ろ過、シリカゲル吸着等の方法が挙げられ、これらの中から選ばれ る 1つ、または 2つ以上の方法の組み合わせによって適宜実施できる。
[0041] 本発明においては、塩素原子が転移した異性体をほとんど生成させることなぐ対 応する構造の化合物(2)を生成させうる。したがって、本発明の方法によれば高純度 の化合物(2A)等の化合物(2)を得ること力できる。
[0042] 前記製造方法の原料である化合物(1)は公知の化合物である力、、または公知の化 合物に公知の反応の手法を適用することにより製造できる。化合物(1)のうち化合物 (1A)は、下記化合物(3)、下記化合物(4)、および下記化合物(5)から選ばれる 1 種以上の化合物と塩素とを反応させることによって得ることが好ましい。
ccix'x -cx3 = cx4-ccix5x6 - · · (3)
cx'x2 = cx3-ccix4-ccix5x6 - · · (4)
cx'x2 = cx -cx4 = CX5X6 - · · (5)
[0043] 化合物(3)、化合物 (4)、および化合物(5)は公知の化合物である力、または公知 の化合物に公知の手法を適用することにより製造できる。化合物(3)としては、下記 化合物(3a)が好ましぐ化合物 (4)としては、下記化合物(4a)が好ましい。化合物( 5)としては、下記化合物(5a)、下記化合物(5d)等が挙げられ、入手が容易であるこ と力、ら、下記化合物(5a)が好ましい。
CH 2 C1-CH = CH-CH 2 C1- · · (3a)
CH 2 =CH-CHC1-CH 2 CI- - - (4a)
CH 2 =CH-CH = CH 2 · · · (5a)
CF 2 =CF-CH = CH 2 · · · (5d)
化合物(3)— (5)と塩素との反応は、化合物(3) (5)中の炭素-炭素不飽和結合
に塩素を付加させる反応である。たとえば、化合物(3a)、化合物 (4a)または化合物 (5a)と塩素との反応では、化合物(lAa)が生成し、化合物(5d)と塩素との反応では 、化合物(1 Ad)が生成する。
[0044] 化合物 ( 1A)の製造における塩素化反応は、化合物(3)— (5)から選ばれる 1種以 上の化合物(以下、塩素化反応の原料と記す。)と塩素とを接触させることによって実 施することが好ましい。反応は塩素を反応系中に供給しながら行うことが好ましい。ま た、該塩素は連続的に供給しても逐次的に供給してもよぐ反応熱を制御しながら供 給することが好ましい。
[0045] 塩素の量は、塩素化反応の原料となる化合物中に存在する不飽和結合の総モル 数に対して 1. 0- 1. 5倍モルが好ましぐ 1. 0—1. 2倍モルが特に好ましレ、。また、 塩素化反応の反応温度は- 30— + 60°Cが好ましく、—20 + 40°Cが特に好ましく、 —20 + 20°C力 Sとりわけ好ましレヽ。反応圧力は、 0—1. 5MPaが好ましぐ 0. 1—0. 3MPaが特に好ましい。塩素化反応を促進するために触媒を用いてもよい。触媒とし ては、テトラアルキルアンモニゥム塩、テトラアルキルホスニゥム塩、トリアルキルスル ホニゥムクロリド、アミン類、塩ィ匕鉄等が挙げられる。
[0046] 塩素化反応は、溶媒の存在下に行うことが好ましい。溶媒としては、塩素化フッ素 化炭化水素系溶媒または塩素化炭化水素系溶媒が好ましい。好ましい溶媒の具体 例としては、本発明の目的物である化合物(2A)、 CH CI、 CHC1、 CC1等が挙げ られ、化合物(2A)または CHC1が好ましぐ化合物(2A)が特に好ましい。化合物(
2A)を塩素化反応の溶媒に使用した場合には、塩素化反応および後述するフッ素 化反応にぉレ、て、生成物を溶媒と分離する必要がなレ、利点がある。
[0047] 溶媒を使用する場合の量は特に限定されず、塩素化反応の原料および塩素化反 応の生成物の溶解性に応じて適宜変更できる。
[0048] 塩素化反応によって生成した化合物(1A)は、必要に応じて後処理を行うことが好 ましレ、。後処理の方法としては、洗浄、蒸留、再結晶、ろ過、シリカゲル吸着等の方法 が挙げられ、該方法から選ばれる 1つ、または 2つ以上の方法の組み合わせによって 適宜実施できる。後処理においては、未反応の原料、原料に含まれる不飽和結合の 一部のみが塩素化された化合物、および目的外の反応による生成物を除くことが好
ましレ、。たとえば、塩素化反応において、水素原子が塩素原子に置換される等の副 反応がおきた場合には、該副反応の生成物は後処理にぉレ、て除くことが好ましレ、。 副反応の生成物としては、塩素化反応の目的化合物(1A)における X1— X6のいずれ 力、が水素原子である場合の該水素原子が塩素原子に置換された構造の化合物が挙 げられる。
[0049] 本発明の製造方法によって得られる化合物(2A)等の化合物(2)は、それ自体が 溶媒等として有用な化合物である。
[0050] ビシナルジクロ口構造を有する化合物(2)は脱塩素化反応を行うことによって種々 の有用な化合物へ誘導しうる。たとえば、化合物(2A)の脱塩素化反応により、化合 物(6)を得ることができる。化合物(6)はフッ素含有樹脂用モノマー、フッ素含有化合 物中間体、半導体用のエッチングガス等として有用である。さらに化合物(6)を異性 化させた式 CF -C≡C-CFで表される化合物は、医農薬中間体として有用な化合
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物である。
[0051] また、化合物(2B)の脱塩素化反応により、化合物(7)を得ることができる。化合物( 7)はフッ素含有化合物中間体等として有用であり、たとえば下記に示す合成経路に よりスルホン酸モノマーとして有用な下記化合物(D)に誘導できる。
[0052] [化 1]
CF2CI
F2 F2 F2
ぶ、 (?F2 CsF ^ F02Sヽ C、ハ, CF、ハ, F02S、 C丫 F、 cr 、CF、上 ヽ CT 、0, 、C(0)F ► " 、C, 、0 ¾·Γρ
0 FS02CF2COF F2 F2 し
(D) 本発明の製造方法によって得た化合物(2A)等の化合物(2)は高純度であるので 、化合物(6)、化合物(7)等の脱塩素化反応の生成物も高純度のものとして得ること ができる。
[0053] 脱塩素化反応としては公知の方法が採用でき、溶媒の存在下に金属と接触させて
行うことが好ましい。金属としては、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、銅、アルミニウム、 ナトリウムおよびリチウムから選ばれる 1種もしくは 2種以上の金属を用いることができ る。これらのうち、工業的な取り扱いが容易でかつ環境への負荷が小さいマグネシゥ ム、亜鉛、またはアルミニウムが好ましぐ反応効率の点からマグネシウムまたは亜鉛 が特に好ましい。また、金属としては、切削片状、粉末状、塊状、顆粒状、粒状、砂状 、棒状等の種々の形状の金属が使用できる。金属の使用量としては、化合物(2A) 等の化合物(2)中の塩素原子の総モル数に対して 0. 5— 10. 0倍モルが好ましぐ 0 . 5—5. 0倍モノレ力 S特に好ましレヽ。
[0054] 脱塩素化反応における溶媒としては、 1, 4-ジォキサン、テトラヒドロフラン、ジェチ ノレエーテノレ、ジイソプロピノレエーテノレ、エチレングリコーノレモノメチノレエーテノレ、プロ ピレンダリコールモノメチルエーテル等のモノエーテル類; 1, 3—ジォキソラン、ジェチ レングリコーノレモノメチノレエーテノレ、エチレングリコーノレジメチノレエーテノレ、ジェチレ ングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、プロピ レングリコールジメチルエーテル等のポリエーテル類;へキサン、オクタン、ノナン、石 油エーテル等の炭化水素類;酢酸ェチル、酢酸メチル、プロピオン酸ェチル等のェ ステル類;リン酸エステル類;炭酸エステル類;ァセトニトリル、ベンゾニトリル等のニト リル類;アセトン、メチルェチルケトン等のケトン類;無水酢酸などの酸無水物; N, N— ジメチルホルムアミド、 N, N—ジメチルァセトアミド、 N—メチルー 2_ピロリドン等のアミド 類;ジメチルスルホキシド;ニトロェタン等のニトロ化合物;ピリジン、ピぺリジン等の含 窒素複素環化合物類;ジメチルスルホン、フエニルスルホン等のスルホン類;スルフィ ド類;水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数 1一 5の炭化水 素系アルコール類等が挙げられる。
[0055] 該溶媒は 1種のみを、または 2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの うち溶媒としては、化合物(2A)等の化合物(2)の溶解性および副生する金属塩ィ匕 物の溶解性の点から、 1, 4一ジォキサン、 1, 3—ジォキソラン、テトラヒドロフラン、 N, N—ジメチルホルムアミド、 N—メチルー 2_ピロリドン、メタノーノレ、エタノール、水、また はこれらの混合溶媒が好ましぐ 1 , 4ージォキサン、エタノール、 N—メチルー 2_ピロリ ドン、水、またはこれらの混合溶媒が特に好ましい。
[0056] 溶媒の量は特に限定されず、溶媒に対する化合物(2A)等の化合物(2)の溶解性 、および反応によって副生する金属塩ィヒ物の溶解性によって適宜変更されうる。
[0057] 脱塩素化反応の反応温度は、 _70°C— + 200°Cが好ましぐ _20°C— + 100°Cが 特に好ましぐ 0°C— + 80°Cがとりわけ好ましい。反応圧力は、反応収率、選択率、 工業的な実施のしゃすさの点から大気圧一 2MPaが好ましい。
[0058] 脱塩素化反応は、生成物である化合物(6)、化合物(7)等を連続的に反応器から 取り出す方法(たとえば反応蒸留法が好ましい。)によって行うことが好ましい。脱塩 素化反応により得られた化合物 (6)、化合物(7)等は、蒸留等の方法により精製する ことが好ましい。
[0059] 本発明は、液相フッ素化法における液相として、またはフッ素化反応の原料の希釈 剤として、化合物(2)を用いることによるフッ素化された有機化合物の製造方法を提 供する。液相としてまたはフッ素化反応の原料の希釈剤として化合物(2)を用いる場 合、単独で用いることもでき、液相フッ素化法に用レ、うる他の公知の溶媒または他の 希釈剤と混合して用いることもできる。他の公知の溶媒または他の希釈剤と混合して 用いる場合の混合比は、フッ素化反応の原料の溶解性により適宜変更されうる。
[0060] 液相フッ素化法における公知の溶媒であるペルフルォロアルカン類、ペルフルォロ エーテル類等のペルフルォロ化された化合物は、分子中のフッ素含有量が多いため
、フッ素化反応の原料の構造によっては、該原料の溶解度が小さくなる場合がある。 このような場合に、化合物(2)を液相中に含ませることによって、フッ素化反応の原料 の溶解度が大きくでき、液相フッ素化を効率的に実施できる。また、化合物(2)を溶 媒またはフッ素化反応の原料の希釈剤として用いた場合には、溶媒自身の分解が起 きにくい利点もある。
実施例
[0061] 以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定 されなレ、。ガスクロマトグラフィーは「GC」、ガスクロマトフ—質量分析を「GCMS」、窒 素で 20体積%に希釈されたフッ素ガスは「20%フッ素ガス」、窒素で 50体積%に希 釈されたフッ素ガスは「50%フッ素ガス」、 1 , 1 , 2—トリクロ口— 1 , 2, 2—トリフルォロェ タンを「R_113」と略記する。リットルを「L」とも記す。なお、 19FNMRによる定量分析
では、 C Fを内部標準物質として使用した
[0062] [例 1] CH C1-CH = CH-CH CIの塩素化反応の例(その 1)
_78°Cに冷却したトラップを上部に装備したジムロート、ガス導入管、温度計と撹拌 機を備えた 3Lの 4つ口フラスコに、窒素気流下でクロ口ホルム(3000mL)および CH C1-CH = CH-CH Cl (582g)を加えた。反応器を温度制御が可能な恒温浴槽に 入れて、この溶液を一 20°Cまで冷却した。反応温度が— 25—— 15°Cになるように制御 しながら、ガス導入管より塩素ガスを 200 500mL/分で導入した。塩素ガス導入 量は 110Lであった。反応粗液を GCで分析したところ、未反応の CH C1-CH = CH
-CH CIは検出されなかった。ジムロート上部に装備したトラップをはずして、反応粗 液に窒素を 500mLZ分で 3時間導入した。その後、ダイヤフラムポンプで 50kPa (絶 対圧)まで減圧して反応粗液から塩素ガスを除去した。
[0063] クロ口ホルムをロータリーエバポレータで留去し、わずかに褐色を帯びた粗結晶(90
3g)を得た。この粗結晶をへキサンで洗浄し、ろ過した後に乾燥することによって、 C H C1-CHC1-CHC1-CH Cl (790g)を得た(収率 86%)。得られた CH C1-CHC1
-CHC1-CH C1は、 meso体を 99. 5%含有しており、 dl体は認められなかった。
[0064] [例 2] CH C1-CH = CH-CH CIの塩素化反応の例(その 2)
反応温度が 0— + 15°Cになるように制御しながら、ガス導入管より塩素ガスを導入 すること以外は例 1と同様に塩素化反応を行レ、、褐色を帯びた粗結晶(897g)を得た 。この粗結晶をへキサンで洗浄し、ろ過した後に乾燥することによって、 CH C1-CH
2
C1-CHC1-CH Cl (760g)を得た(収率 83%)。
[0065] [例 3] CH C1-CH = CH-CH CIの塩素化反応の例(その 3)
_78°Cに冷却したトラップを上部に装備したジムロート、ガス導入管、温度計と撹拌 機を備えた 500mLの 4つ口フラスコに、窒素気流下で CF C1-CFC1-CFC1-CF C l (800g)および CH C1-CH = CH-CH Cl (19. 4g)を加える。反応器を温度制御 が可能な恒温浴槽に入れて、この溶液を 0°Cまで冷却する。反応温度が 0 + 15°C になるように制御しながらガス導入管より塩素ガスを 10— 20mLZ分導入する。塩素 ガス導入量は 3. 7Lである。反応粗液を GCで分析すると、未反応の CH C1-CH =
CH-CH C1は検出されなレ、。ジムロート上部に装備したトラップをはずして、反応粗
液に窒素を 20mL/分で 2時間導入する。その後、ダイヤフラムポンプで 50kPa (絶 対圧)まで減圧して反応粗液から塩素を除去して、わずかに褐色を帯びた反応粗液 を得る。 GCによる定量分析では、 CH C1-CHC1-CHC1-CH C1が含まれている。
[0066] [例 4] CH =CH-CHC1-CH CIの塩素化反応の例(その 1)
CH C1-CH = CH-CH C1を CH =CH— CHC1— CH CIに変更すること以外は例
1と同様に塩素化反応を行レ、、わずかに褐色を帯びた粗結晶を得る。この粗結晶を へキサンで洗浄し、ろ過、乾燥することによって CH C1-CHC1-CHC1-CH C1を得 る。
[0067] [例 5] CH C1-CHC1-CHC1-CH C1のフッ素化反応の例(その 1)
500mLのニッケル製オートクレーブに、 R_113 (312g)をカロえて撹拌し、 40°Cに 保った。オートクレーブガス出口には、 20°Cに保持した冷却器、 NaFペレット充填層 、および一 20°Cに保持した冷却器を直列に設置した。 _20°Cに保持した冷却器から は凝集した液をオートクレープに戻すための液体返送ラインを設置した。窒素ガスを 1. 0時間吹き込んだ後、 20%フッ素ガスを流速 6. 43L/hで 1時間吹き込み、反応 器出口に設置した圧力調整弁で内圧を 0. 15MPaに調整した。つぎに、 20%フッ素 ガスを同じ流速で吹き込みながら、例 1で得た CH C1-CHC1-CHC1-CH Cl (3. 8 g)を R— 113 (95. 6g)に溶解した溶液を 2. 9時間かけて注入した。
[0068] 続けて、 20%フッ素ガスを、上記の圧力と流速を保って吹き込みながら、ベンゼン の R— 113溶液(0. Olg/mL)を 9mL注入した。つぎに、注入を停止して 10分間撹 拌を続ける操作を行った。その後、ベンゼンの R— 113溶液の注入を 2回くり返した。 ベンゼンの総使用量は 0· 25gであり、 R— 113の総使用量は 32. 2gであった。さらに 、 20%フッ素ガスを 1時間吹き込んだ後、反応器内圧を大気圧に戻して窒素ガスを 2 時間吹き込んだ。反応終了後、反応混合物をデカンテーシヨンで取り出した。得られ た粗液をエバポレータで濃縮し、 19FNMRで生成物を定量したところ、 CF C1-CFC1
-CFCl-CF C1が収率 91 %で含まれていることを確認した。生成した CF C1-CFC1
-CFCl-CF C1は d 本および meso体の異性体混合物であった。塩素原子が転位し た生成物はまったく認められなかった。
[0069] CF C1-CFC1-CFC1-CF C1の NMRスぺクトノレ;
19FNMR(564. 6MHz、溶媒: CDC1、標準物質: CC1 F): δ (ppm)— 61. 7 (4F)、-
120. 8 (1F)、 -121. 0 (1F)。
CF C1-CFC1-CFC1-CF CIの沸点; 134— 135°C/1. 01325 X 102kPa (絶対 圧)。
[0070] [例 6] CH C1-CHC1-CHC1-CH CIのフッ素化反応の例(その 2)
フッ素化溶媒として R—113を CF Cl-CF _CC1 -CF _CF (R-4191ca)に変更 する以外は例 5と同様にフッ素化反応を行レ、、 CF C1-CFC1-CFC1-CF C1を得る
[0071] [例 7] CH C1-CHC1-CHC1-CH C1のフッ素化反応の例(その 3)
フッ素化溶媒として、 R— 113を CF C1-CFC1-CFC1-CF C1に変更する以外は例
5と同様にフッ素化反応を行レ、、 CF C1-CFC1-CFC1-CF C1を含む反応粗液を得 る。反応粗液の GCによる定量分析では、 CH C1-CHC1-CHC1-CH C1がフッ素化 されて生成する CF C1-CFC1-CFC1-CF C1が含まれている。
[0072] [例 8] CH C1-CHC1-CHC1-CH C1のフッ素化反応の例(その 4)
フッ素ィ匕溶媒として、 R— 113を CF Cl-CF _CC1 _CF _CF (R— 4191ca)に変更 し、 20%フッ素ガスを 50%フッ素ガスに変更する以外は例 5と同様にフッ素化反応を 行レヽ、 CF C1-CFC1-CFC1-CF C1を得る。
[0073] [例 9] CH C1-CHC1-CHC1-CH C1のフッ素化反応の例(その 5)
フッ素化溶媒として R— 113を CF C1-CFC1-CFC1-CF C1に変更し、 20%フッ素 ガスを 50%フッ素ガスに変更する以外は、例 5と同様にフッ素化反応を行レ、、 CF C1
-CFC1-CFC1-CF C1を含む粗液を得る。反応粗液の GCによる定量分析では、 C
H C1-CHC1-CHC1-CH C1がフッ素化されて生成する CF CI— CFC1— CFC1— CF
C1が含まれている。
[0074] [例 10] CH C1-CHC1-CHC1-CH C1のフッ素化反応の例(その 6)
500mLのニッケル製オートクレーブに、 CF CI— CFC1— CFC1— CF Cl (312g)を 加えて撹拌し、 40°Cに保つ。オートクレープガス出口には、例 5と同様の冷却器、 Na Fペレット充填層、および液体返送ラインを設置する。窒素ガスを 1. 0時間吹き込み 、つぎに 20%フッ素ガスを流速 6. 43L/hで 1時間吹き込み、反応器出口に設置し
た圧力調整弁で内圧を 0. 15MPaに調整する。つぎに、 20%フッ素ガスを同じ流速 で吹き込みながら、例 3で得られる反応粗液(100g)を 2. 9時間かけて注入する。
[0075] 続けて、 20%フッ素ガスを、上記の圧力と流速を保って吹き込みながら、ベンゼン の CF C1-CFC1-CFC1-CF C1溶液(0. OlgZmL)を 9mL注入する。つぎに、注 入を停止して 10分間撹拌を続ける操作を行う。その後、ベンゼンの CF C1-CFC1-
CFC1-CF C1溶液の注入を 2回くり返す。ベンゼンの総使用量は 0. 25gであり、 CF
C1-CFC1-CFC1-CF C1の総使用量は 32· 2gである。さらに、 20%フッ素ガスを 1 時間吹き込み、次いで反応器内圧を大気圧に戻して窒素ガスを 2時間吹き込む。反 応粗液の GCによる定量分析では、 CH C1-CHC1-CHC1-CH C1がフッ素化され て生成する CF C1-CFC1-CFC1-CF C1が含まれている。
[0076] [例 11] CH C1-CHC1-CHC1-CH C1の CH C1-CHC1-CH C1のフッ素ィ匕反応 の例
例 5と同様の反応装置を準備し、 R-113 (312g)を加えて撹拌し、 40°Cに保った。 窒素ガスを 1. 0時間吹き込んだ後、 20%フッ素ガスを流速 14. 8L/hで 1時間吹き 込み、反応器出口に設置した圧力調整弁で内圧を 0. 15MPaに調整した。つぎに、 20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、例 1で得た CH C1-CHC1-CHC1-C
H Cl (l . 0g)および CH C1-CHC1-CH Cl (3. Og)を R—113 (95. 6g)に溶解した 溶液を 3. 0時間かけて注入した。続けて、例 5と同様に反応および後処理を行い、 19 FNMRで生成物を定量したところ、 CF C1-CFC1-CFC1-CF C1が収率 91 %で、 かつ、 CF C1-CFC1-CF C1が収率 75%で含まれていることを確認した。
CF C1-CFC1-CF C1の NMRスペクトル;
19
FNMR(564. 6MHz、溶媒: CDC1、標準物質: CC1 F): δ (ppm)_61. 7 (4F)、
3
δ (ppm)— 63. 48 (4F)、— 128. 1 (1F)。
CF C1-CFC1-CF CIの沸点; 44. 5°C/4. 0 X lOkPa (絶対圧)。
2 2
[0077] [例 12] CH C1-CHC1-CHC1-CH CIおよび CH C1-CHC1-CH CIのフッ素化
2 2 2 2
反応の例 (その 2)
撹拌装置を備えた内容積 3. 0Lのニッケル製反応器に、 CF C1-CFC1-CFC1-C
F Cl (4. 0kg)を投入し、 300L/hの流速で循環させた。撹拌回転数は 60回転 Z分
とした。循環咅に、 CF Cl-CFCl-CFCl-CF Cl、 CH CI一 CHC1— CH Cl、および
CH Cl-CHCl-CHCl-CH CIを 6 : 3 : 1 (質量比)で混合した溶液を 71 g/hの速度 で連続的に供給した。この混合部より後部の循環部にイジエタターを設けて、 50%フ ッ素ガスを 99LZhの速度で連続的に供給した。反応温度は 25°Cに保った。反応圧 力は反応器出口に設置した圧力調整弁で 0. 15MPaに調整した。反応に伴い増加 する内液は、反応器内液量が一定になるように、適宜、別のステンレス製貯槽に抜き 出した。未反応のフッ素ガス、窒素ガス、および副生するフッ化水素ガスは反応器上 部に設置した— 10°Cに冷却した凝縮器を通してスクラバーで中和処理した。
[0078] 前記 CH Cl-CHCl-CHCl-CH Cl、 CH C1-CHC1-CH Cl、および CF CI— CF
C1-CFC1-CF CIの混合物(9. 07kg)供給したところで供給を停止し、さらに 1時間 後に 50%フッ素ガスの供給を停止した。反応器、循環部、および前記ステンレス製 貯槽中の液を回収し、合計で 11. 85kgの反応粗液を得た。 19FNMR分析によって 定量したところ、 79· 9重量%の CF Cl-CFCl-CFCl-CF Cl、および 17. 5重量% の CF C1-CFC1-CF C1が含まれていることを確認した。フッ素化反応によって得ら れた CF Cl-CFCl-CFCl-CF C1の収率は 80· 6%、 CF CI— CFC1—CF C1の収率 は 57. 7%であった。
[0079] [例 13] CF Cl-CFCl-CFCl-CF CIの脱塩素化反応の例(その 1)
-78°Cに冷却したトラップ管を接続したジムロート、等圧管付き滴下ロート、温度計 と撹拌機を備えた 2Lの 4つ口フラスコに、窒素気流下で 1 , 4ージォキサン(lOOOmL )およびマグネシウム(29. 2g)を加える。反応器を温度制御が可能な恒温浴槽に入 れて、この溶液を 60°Cまで加熱する。これに例 5で得られた CF C1-CFC1-CFC1-
2
CF Cl (152g)を泡立ちが激しくならない程度にゆっくりと滴下する。発生した気体を
_78°Cに冷却したトラップ管で捕集する。 GCでの定量分析では、 CF =CF-CF =
CFが含まれている。
[0080] [例 14] CF Cl-CFCl-CFCl-CF CIの脱塩素化反応の例(その 2)
1 , 4—ジォキサンをエタノールに変更し、マグネシウム(29. 2g)を亜鉛(78. 5g)に 変更する以外は、例 13と同様に脱塩素化反応を行う。 GCでの定量分析では、 CF
= CF— CF = CFが含まれている。
[0081] [例 15]脱塩素化反応による CF =CF— CF C1の製造例(その 1)
液体窒素で冷却したトラップ管を接続した 0. 5Lハステロィ製オートクレープに 1 , 4 ージォキサン(300g)、亜鉛 (41. 3g)をカ卩えた。オートクレーブを温度制御可能な恒 温浴槽に入れて、この溶液を 70。Cまで加熱した。これに CF C1-CFC1-CF Cl (100 g)をゆっくりと滴下した。発生した気体を液体窒素で冷却したトラップ管で捕集し、 G CMSで分析した結果、 CF =CF-CF C1の生成を確認した。
産業上の利用可能性
[0082] 本発明の製造方法は、従来の方法よりも環境に対する負荷が小さい方法で、選択 的かつ収率よぐ高純度の CF Cl-CFCl-CFCl-CF C1等の含塩素含フッ素化合 物を製造する方法であることから、工業的に有用な方法となりうる。また、本発明は C F Cl-CFCl-CFCl-CF C1等の含塩素含フッ素化合物を、液相フッ素化反応の液 相またはフッ素化原料の希釈剤として用いる、フッ素化された有機化合物の製造方 法を提供する。さらに、本発明はフッ素含有樹脂用モノマー、フッ素含有化合物中間 体、および半導体用のエッチングガス等として有用な CF =CF-CF = CF等の製造 方法を提供する。