明 細 書
画像用装置
技術分野
[0001] この発明は、記録媒体の画像形成面に対向する記録部をガイド軸に沿って往復移 動させる画像記録装置や原稿の画像面に対向する読取部をガイド軸に沿って往復 移動させる画像読取装置を含む画像用装置に関する。
背景技術
[0002] プリンタ等の画像記録装置やスキャナ等の画像読取装置を含む画像用装置では、 装置内の所定範囲内に移動体を往復移動させるようにしたものがある。例えば、画像 記録装置であるインクジェットプリンタでは、記録部であるインクヘッド及びインクカー トリッジを移動体であるキャリッジに搭載し、このキャリッジを用紙等の記録媒体の搬 送方向に直交する方向に往復移動させる。キャリッジは、インクヘッドが記録媒体の 搬送方向に直交する方向における記録媒体の画像形成面の全面に対向する範囲 に往復移動する。
[0003] このため、インクジェットプリンタの内部には、記録媒体の搬送方向に直交する方向 に長手方向を一致させたガイド軸が固定されている。このガイド軸は、キャリッジに設 けられている軸受を貫通する。キャリッジの移動方向は、ガイド軸の長手方向に規定 される。
[0004] 一般に、キャリッジにおいて、ガイド軸が貫通する軸受は、ガイド軸がキャリッジの中 央部に搭載されたインクカートリッジやインクヘッドに干渉することのないように、キヤリ ッジの重心位置から記録媒体の搬送方向の上流側又は下流側に偏った位置に配置 されている。このため、キャリッジには、ガイド軸を中心とする回転モーメントが作用す る。また、ガイド軸に沿って移動するキャリッジには、加減速時に慣性力によって移動 方向におけるキャリッジの一端側を持ち上げる力や、ガイド軸を含む水平面内でキヤ リッジを回転させる力が作用する。これらの力の作用によってキャリッジがガイド軸に 沿った移動方向以外に変位すると、インクヘッドと記録媒体の画像形成面との間隔が 変化し、キャリッジの移動時に騒音や振動を生じるだけでなぐ画像形成状態が一定
に維持されないために画質の低下を招く。
[0005] そこで、インクジェットプリンタでは、キャリッジに回転モーメントによるローリング、並 びに、加減速時の慣性力によるピッチング及びョーイングを生じないようにすベぐガ イド軸を中心とする回転方向についてキャリッジを固定するようにしている。
[0006] このための構成の一例として、インクジェットプリンタ内に 2本のガイドレールをガイド 軸に平行に配置し、各ガイドレールに摺動する回転止め部材及び押圧部材をキヤリ ッジに備えたものがある。押圧部材が所定の押圧力によって一方のガイドレールに圧 接することにより、キャリッジにガイド軸を中心とする一方向の回転力が作用する。こ の回転力の方向に回転止め部材が他方のガイドレールに当接することにより、ガイド 軸を中心とする回転方向についてキャリッジの位置が固定される。
[0007] このように、回転止め部材及び押圧部材を 2本のガイドレールに当接させることによ つてガイド軸を中心とするキャリッジの回転を確実に防止するためには、キャリッジの 移動方向に直交する方向において軸受内でガイド軸が変位しないことが前提となる。
[0008] 一方で、キャリッジに備えられる軸受として、ガイド軸との工作精度の厳格な維持を 不要にすべぐガイド軸の横断面を構成する円弧部に当接する少なくとも 2つの傾斜 面を備え、横断面における 2点でのみガイド軸と当接するようにしたものを備えたイン クジェットプリンタが提案されている(例えば、特許文献 1参照)。
[0009] 特許文献 1に記載された構成は、軸受とガイド軸との 2つの接触点においてガイド 軸の外周面上の接線方向と鉛直方向とが成す各角度が、キャリッジの加減速動作時 に軸受をガイド軸の周方向に沿って滑らせようとする力よりも、ガイド軸と軸受との間 に生じる摩擦力の方が大きくなるように設定することにより、キャリッジをガイド軸に対 して所定の精度を維持した状態で走行させるようにしたものである。
[0010] このため、特許文献 1に記載された構成では、キャリッジがガイド軸の周りに回転す ることを規制するとともに、キャリッジを前記交差する方向に往復走行させるようにガイ ドするガイドレールをさらに備え、前記の各角度を、キャリッジの重量、ガイド軸に対 するキャリッジの重心位置、キャリッジの略両側部にそれぞれ設けられた軸受同士の 距離、軸受とガイド軸との間の摩擦係数、ガイド軸に対するキャリッジの駆動伝達部 の位置、ガイド軸に対するガイドレールの位置、および、キャリッジに与えられる加減
速度に応じて設定する。これにより、キャリッジの加減速時にキャリッジの軸受部がガ イド軸から浮き上がることが防止され、加減速時の騒音および振動を抑制し、静かに かつ高精度に画像を記録することができるとされている。
[0011] また、前記各角度のうち、記録媒体の搬送方向の下流側の接触点においてガイド 軸の外周面上の接線方向と鉛直方向とが成す角度を、搬送方向の上流側の接触点 においてガイド軸の外周面上の接線方向と鉛直方向とが成す角度よりも小さくなるよ うに構成することにより、ガイド軸と軸受との摺動負荷が小さくなるため、軸受の接触 点における摩耗量を最小限に抑えることができ、記録装置の耐久性を向上させること が可能になるとされている。
[0012] し力、しながら、上記特許文献 1に記載された構成によっては、ガイド軸に沿って移動 するキャリッジの加減速時に生じるローリング、ピッチング及びョーイングを確実に規 制することができない問題がある。即ち、上記特許文献 1に記載された構成において 考慮されている要素のみによっては、軸受における 2つの傾斜面の角度を正確に決 定することができない。このため、キャリッジの移動時に振動や騒音を生じ、画像形成 状態の劣化を招く。このような問題は、インクヘッドやインクカートリッジを搭載して往 復移動するキャリッジを備えたインクジェットプリンタ等の画像記録装置だけでなぐレ ンズゃ受光素子を搭載して往復移動するユニットを備えたスキャナ等の画像読取装 置においても同様に生じる。
[0013] この発明の目的は、ガイド軸に沿って移動する移動体に作用する全ての要素を考 慮することにより、移動体の加減速時に生じるローリング、ピッチング及びョーイングを 確実に規制することができる画像用装置を提供することにある。
特許文献 1 :特開 2002—137481公報
発明の開示
[0014] この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えたもので ある。
[0015] (1)画像情報の読取又は記録にともなって、横断面の少なくとも一部に円弧部を含 む軸体によって構成されたガイド軸に沿って装置内を往復移動する移動体を備え、 前記移動体における重心位置と異なる移動方向の 2箇所に、前記ガイド軸が貫通
する軸受であって、横断面にガイド軸の円弧部が当接する 2つの斜面を含む軸受を 設け、この軸受の 2つの斜面のそれぞれが鉛直方向となす角度 Θ f (rad)及び Θ r (ra d)を、
COS{ TT /2— ( 0 f+ Θ Γ)} > 0
としたことを特徴とする。
[0016] 図 14に示すように、鉛直方向となす角度が Θ f 及び Θ rである軸受の 2つの傾斜 面のうちの一方の傾斜面からガイド軸に作用する荷重 Fについて、他方の傾斜面に 平行な成分 Eは
E = F ' cos{ 7i /2_( e f+ Θ Γ)}
である。ガイド軸を押圧する方向を正とした場合に、この平行成分 Εが正の値である 時は、軸受の傾斜面にガイド軸が食い込む方向となり、移動体にガイド軸からの浮き 上がりを生じない。これに対して平行成分 Εが負の値である時は、軸受の傾斜面から ガイド軸が離間する方向となり、ガイド軸からの軸受の浮き上がりを生じ、位置精度を 確保できなくなる。
[0017] この構成においては、移動体の 2箇所に設けられた軸受の 2つの斜面のそれぞれが 鉛直方向となす角度の和を π /2から差し引いた角度の余弦が正の値となるようにさ れる。したがって、ガイド軸を押圧する方向を正とした場合には一方の斜面からガイド 軸に作用する荷重 Fが必ず正の値となることから、これに正の値となる余弦値を掛け 合わせて得られる他方の斜面に平行な成分 Εも必ず正の値となり、軸受の斜面にガ イド軸が食い込む方向となる。これによつて、移動体がガイド軸から浮き上がることを 確実に防止できる。
[0018] (2)第 1及び第 2のガイドレールを前記ガイド軸に平行に配置するとともに、前記移 動体に、第 1のガイドレールに対してガイド軸を中心とする移動体の回転方向に当接 して摺動する回転止め部材と、第 2のガイドレールに圧接して摺動する押圧部材と、 を設け、
移動体の質量を Μ、移動体の加速時の加速度を G、回転止め部材から第 1のガイ ドレールに作用する荷重を W、第 1のガイドレールと回転止め部材との間の摩擦係数 を μ、押圧部材から第 2のガイドレールに作用する圧接力を Ρ、第 2のガイドレールと
押圧部材との間の摩擦係数を 、ガイド軸と軸受との間の摩擦係数を/ 〃 、押圧 部材から第 2のガイドレールに作用する圧接力の鉛直方向となす角度を とし、 鉛直方向において、ガイド軸と軸受との接触位置から、移動体における移動力の作 用点までの距離を z、第 1のガイドレールと回転止めとの接触位置までの距離を c、移 動体の重心位置までの距離 、第 2のガイドレールと押圧部材との接触位置までの 距離を aとし、
移動体の移動方向に直交する水平方向において、ガイド軸と軸受との接触位置から 、移動体の重心位置までの距離を y、第 1のガイドレールと回転止めとの接触位置ま での距離を d、第 2のガイドレールと押圧部材との接触位置までの距離を kとし、 移動体の移動方向にぉレ、て、 2つの軸受の心距を bとして、
Ff={()_ ε -h-tan Θ r}-cos θ r/sin( θ f + θ r)
+ 2 φ{{μ " · z)/b}(cos 0r + cos0f)-cos0 r/sin2( Θ f + Θ r)
Fr' ={Φ + e -h-tan Θ f}-cos Θ f/sin( Θ f + Θ r)
—2 φ{(μ " -z)/b}(cos Θ r+cos Θ D'cos Θ f/sin2( Θ f + Θ r)
但し、 φ =(M/2) + P-cos r?
ε = {G · M(j-z) + μ · W(c-z) + 2 ' · P(a— z)}/b
h={G-M-y+2M -P-d+ μ -W-k}/b
により算出される移動方向下流側の軸受における移動体重心側の斜面が受ける荷 重 Ff (gf)、及び、移動方向上流側の軸受における移動体重心側とは反対側の斜面 が受ける荷重 Fr' (gf)力 正の値となるように、前記角度 ef(rad)及び S r(rad)を 決定したことを特徴とする。
[0019] この構成においては、移動体の加速時に、移動方向下流側の軸受における移動 体重心側の斜面からガイド軸に作用する荷重、及び、移動方向上流側の軸受におけ る移動体重心側とは反対側の斜面からガイド軸に作用する荷重に影響を与える要素 の全てを考慮して軸受の 2つの傾斜面が鉛直方向となす角度が決定される。したが つて、移動体の加速時に軸受の斜面からガイド軸に作用する荷重によって軸受の斜 面がガイド軸から離間することがなぐ移動体に浮き上がりを生じることがない。
[0020] (3)第 1及び第 2のガイドレールを前記ガイド軸に平行に配置するとともに、前記移
動体に、第 1のガイドレールに対してガイド軸を中心とする移動体の回転方向に当接 して摺動する回転止め部材と、第 2のガイドレールに圧接して摺動する押圧部材と、 を設け、
移動体の質量を M、移動体の加速時の加速度を G、回転止め部材から第 1のガイ ドレールに作用する荷重を W、第 1のガイドレールと回転止め部材との間の摩擦係数 を μ、押圧部材から第 2のガイドレールに作用する圧接力を Ρ、第 2のガイドレールと 押圧部材との間の摩擦係数を μ ' 、ガイド軸と軸受との間の摩擦係数を μ〃 、押圧 部材力 第 2のガイドレールに作用する圧接力の鉛直方向となす角度を ηとし、 鉛直方向において、ガイド軸と軸受との接触位置から、移動体における移動力の作 用点までの距離を ζ、第 1のガイドレールと回転止めとの接触位置までの距離を c、移 動体の重心位置までの距離 、第 2のガイドレールと押圧部材との接触位置までの 距離を aとし、
移動体の移動方向に直交する水平方向において、ガイド軸と軸受との接触位置から 、移動体の重心位置までの距離を y、第 1のガイドレールと回転止めとの接触位置ま での距離を d、第 2のガイドレールと押圧部材との接触位置までの距離を kとし、 移動体の移動方向にぉレ、て、 2つの軸受の心距を bとして、
F ={φ + ε +h-tan Θ r}-cos Θ r/sin( Θ f + Θ r)
-2 φ{(μ " -z)/b}(cos Θ r+cos Θ f)-cos Θ r/sin2( Θ f+ Θ r)
Fr={ φ— ε +h*tan Θ r}*cos Θ x/ sin( Θ f+ Θ r)
+ 2 φ{(μ · z)/b}(cos Θ r + cos Θ f) · cos Θ r/sin2( Θ f + Θ r)
但し、 φ =(M/2) + P-cos r?
ε = {G · M(j-z) + μ · W(c-z) + 2μ ; · P(a— z)}/b
h = {G'M'y + 2 x〃 -P-d+ μ -W-k}/b
により算出される移動方向下流側の軸受における移動体重心側とは反対側の斜面 が受ける荷重 (gf)、及び、移動方向上流側の軸受における移動体重心側とは 反対側の斜面が受ける荷重 Fr(gf)力 正の値となるように、前記角度 Θ f (rad)及び Θ r (rad)を決定したことを特徴とする。
この構成においては、移動体の減速時に、移動方向下流側の軸受における移動
体重心側とは反対側の斜面からガイド軸に作用する荷重、及び、移動方向上流側の 軸受における移動体重心側の斜面からガイド軸に作用する荷重に影響を与える要素 の全てを考慮して軸受の 2つの傾斜面が鉛直方向となす角度が決定される。したが つて、移動体の減速時に軸受の斜面からガイド軸に作用する荷重によって軸受の斜 面がガイド軸から離間することがなぐ移動体に浮き上がりを生じることがない。
[0022] (4)移動中の前記移動体に外乱によって作用するモーメントの最大値を Mm (gf- mm)として、前記移動方向下流側の軸受における移動体重心側の斜面が受ける荷 重 Ff (gf)、及び、前記移動方向上流側の軸受における移動体重心側とは反対側の 斜面が受ける荷重 FV (gf)を、
Ff'cos Z2— (0f+ 0r)}-b/2>Mm
Fr ·οο π/2- θϊ+ 0r)}-b/2>Mm
としたことを特徴とする。
[0023] この構成においては、移動体の加速時に、移動方向下流側の軸受における移動 体重心側の斜面からガイド軸に作用する荷重、及び、移動方向上流側の軸受におけ る移動体重心側とは反対側の斜面からガイド軸に作用する荷重に影響を与える要素 の全てを考慮して軸受の 2つの傾斜面が鉛直方向となす角度が決定される。したが つて、移動体の加速時に軸受の斜面からガイド軸に作用する荷重によって軸受の斜 面がガイド軸から離間することがなぐ移動体に浮き上がりを生じることがない。
[0024] (5)移動中の前記移動体に外乱によって作用するモーメントの最大値を Mm (gf' mm)として、前記移動方向下流側の軸受における移動体重心側とは反対側の斜面 が受ける荷重 (gf)、及び、前記移動方向上流側の軸受における移動体重心側 の斜面が受ける荷重 Fr (gf)を、
Ff ·ο ?,{π/2-(θϊ+ 0r)}-b/2>Mm
Fr'cos Z2— (0f+ Θ r)}-b/2>Mm
としたことを特徴とする。
[0025] この構成においては、移動体の減速時に、移動方向下流側の軸受における移動 体重心側とは反対側の斜面からガイド軸に作用する荷重、及び、移動方向上流側の 軸受における移動体重心側の斜面からガイド軸に作用する荷重に影響を与える要素
の全てを考慮して軸受の 2つの傾斜面が鉛直方向となす角度が決定される。したが つて、移動体の減速時に軸受の斜面からガイド軸に作用する荷重によって軸受の斜 面がガイド軸から離間することがなぐ移動体に浮き上がりを生じることがない。
[0026] (6)記移動方向下流側の軸受における移動体重心側の斜面が受ける荷重 Ff (gf) と、前記移動方向上流側の軸受における移動体重心側とは反対側の斜面が受ける 荷重 FV (gf)と、を略等しくしたことを特徴とする。
[0027] この構成においては、移動体の加速時に移動方向下流側の軸受における移動体 重心側の斜面からガイド軸に作用する荷重と、移動方向上流側の軸受における移動 体重心側とは反対側の斜面からガイド軸に作用する荷重と、が略等しくなるように、各 軸受の斜面が鉛直方向となす角度が設定される。したがって、移動体の加速時に各 軸受の斜面に略均等なモーメントが発生し、移動体の移動が安定する。
[0028] (7)前記移動方向下流側の軸受における移動体重心側とは反対側の斜面が受け る荷重 (gf)と、前記移動方向上流側の軸受における移動体重心側の斜面が受 ける荷重 Fr (gf)と、を略等しくしたことを特徴とする。
[0029] この構成においては、移動体の減速時に移動方向下流側の軸受における移動体 重心側とは反対側の斜面からガイド軸に作用する荷重と、移動方向上流側の軸受に おける移動体重心側の斜面からガイド軸に作用する荷重と、が略等しくなるように、 各軸受の斜面が鉛直方向となす角度が設定される。したがって、移動体の減速時に 各軸受の斜面に略均等なモーメントが発生し、移動体の移動が安定する。
[0030] (8)前記軸受の 2つの斜面のそれぞれが鉛直方向となす角度 Θ f (rad)及び Θ r (ra d)を、
abs ^ ( μ - W + 2 - μ · Ρ + μ " · Τ)/Δ{57.3 · ( θ f+ Θ Γ)}]≤2
を満足するように決定したことを特徴とする。
[0031] 軸受における 2つの斜面が鉛直方向となす角度の和と、斜面とガイド軸との摺動抵 抗との間には図 1 1に示す関係があり、斜面の角度の和に対する摺動抵抗の変化率 力 ¾以下の範囲では、摺動抵抗の値が略最小値となる。
[0032] この構成においては、斜面の角度の和に対する摺動抵抗の変化率が 2以下となる ように斜面の角度が決定される。したがって、移動体の移動時に軸受とガイド軸との
間に生じる摺動抵抗が低レ、値に抑えられ、移動体が円滑に移動する。
[0033] (9)前記移動体における移動方向の 2箇所に配置された軸受において、 2つの斜 面のそれぞれが鉛直方向となす角度 Θ f (rad)及び Θ r (rad)が互いに異なることを 特徴とする。
[0034] この構成においては、移動体における移動方向の 2箇所に、斜面の傾斜角度が異 なる軸受が配置される。したがって、移動体の往動時と復動時とで移動速度が異なる 場合にも、移動体が安定した状態で往復移動する。
図面の簡単な説明
[0035] [図 1]この発明の実施形態に係る画像用装置であるインクジェットプリンタの外観図で ある。
[図 2]上記インクジェットプリンタにおけるキャリッジを含む要部の側面図である。
[図 3]上記インクジェットプリンタにおけるキャリッジを含む要部の背面図である。
[図 4]上記キャリッジに設けられた軸受の詳細を示す側面図である。
[図 5]上記軸受の斜面が鉛直方向となす角度を決定するための計算方法について説 明する正面図である。
[図 6]同計算方法について説明する側面図である。
[図 7]同計算方法について説明する正面図である。
[図 8]同計算方法について説明する正面図である。
[図 9]同計算方法について説明する正面図である。
[図 10]同計算方法について説明する正面図である。
[図 11]同計算方法について説明する軸受の側面図である。
[図 12]同計算方法について説明する平面図である。
[図 13]同計算方法について説明する軸受の側面図である。
[図 14]同計算方法について説明する軸受の側面図である。
[図 15]この発明の実施例の諸元値を示す図である。
[図 16]軸受における一方の斜面の角度と他方の斜面に平行な方向のモーメントとの 関係を示す図である。
[図 17]軸受における 2つの斜面の角度の和と摺動抵抗との関係を示す図である。
[図 18]この発明の別の実施形態に係るインクジェットプリンタに適用されるキャリッジ の構成を示す図である。
[図 19]この発明の別の実施例の諸元値を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0036] 図 1は、この発明の実施形態に係る画像用装置であるインクジェットプリンタの外観 図である。インクジェットプリンタ 1は、給紙部 la、分離部 lb、搬送部 lc、印刷部 Id及 び排出部 leから構成されている。給紙部 laは、印刷を行う際に記録媒体である用紙 Pを供給するものであり、給紙トレイ 2及びピックアップローラ 3を備えている。給紙部 1 aは、印刷を行わない際には、用紙 Pを保管する。
[0037] 分離部 lbは、給紙部 laから供給された用紙 Pを、搬送部 lcへ 1枚ずつ供給するも のであり、図示しない給紙ローラ及び分離装置よりなる。分離装置のパッド部(用紙 P との接触部分)と用紙 Pとの摩擦力は、用紙 P同士の間の摩擦力より大きい。また、給 紙ローラと用紙 Pとの摩擦力は、分離装置のパッド部と用紙 Pとの摩擦力、及び、用紙 P同士の間の摩擦力よりも大きい。このため、給紙部 laから複数枚の用紙 Pが同時に 分離部 lbまで送られても、給紙ローラと分離装置とによってこれらの用紙 Pが分離さ れ、最も上側の用紙 Pのみが搬送部 lcに導かれる。
[0038] 搬送部 lcは、ガイド板 4及び搬送ローラ 5を備え、分離部 lbから:!枚ずつ供給され た用紙 Pを印刷部 Idへ搬送する。搬送ローラ 5は、用紙 Pをインクヘッド 6とプラテン 1 0との間に送り込む際に、インクヘッド 6から吐出されたインクが用紙 Pの適切な位置 に付着するように、用紙 Pの搬送速度や搬送開始タイミングを調整する。
[0039] 印刷部 Idは、搬送部 lcの搬送ローラ 5によって搬送された用紙 Pの画像形成面に 画像の印刷を行うものであり、画像に応じてインクを吐出するインクヘッド 6、インクへ ッドに供給すべきインクを収納したインクカートリッジ 7、インクヘッド 6及びインクカート リッジ 7を搭載して往復移動するキャリッジ 8、キャリッジ 8の移動方向を案内するガイド 軸 9、及び、印刷時に用紙 Pを保持するプラテン 10を備えている。
[0040] 排出部 leは、画像形成面に印刷が行われた用紙 Pをインクジェットプリンタ 1の外部 へ排出するものであり、排出ローラ 11, 12及び排紙トレイ 13を備えている。印刷部 1 dを通過した用紙 Pは、排出ローラ 11, 12によって排紙トレイ 13上に排出される。
[0041] この構成において、インクジェットプリンタ 1は、次のような動作によって印刷を行う。 まず、インクジェットプリンタ 1に対して図示しないコンピュータ等から、画像情報に基 づく印刷要求がなされる。印刷要求を受信したインクジェットプリンタ 1は、給紙トレイ 2 上の用紙 Pを、ピックアップローラ 3によって繰り出す。次に、繰り出された用紙 Pは、 給紙ローラによって分離部 lbを通過して 1枚ずつ搬送部 lcへ送られ、さらに、搬送 部 lcの搬送ローラ 5によって印刷部 Idのインクヘッド 6とプラテン 10との間に搬送さ れる。
[0042] 印刷部 Idでは、インクヘッド 6からプラテン 10上の用紙 Pの画像形成面へ画像情報 に対応してインクが吐出される。この時、用紙 Pはプラテン 10上で一旦停止している。 インクを吐出しつつ、キャリッジ 8は、ガイド軸 9に沿って用紙搬送方向に直交する主 走查方向における 1ライン分を移動する。キャリッジ 8が移動範囲の一端側に達すると 、用紙 Pがプラテン 10上において用紙搬送方向である副走查方向に一定の幅だけ 搬送される。印刷部 Idにおいて、用紙 Pの搬送停止、インクヘッド 6の駆動を伴うキヤ リッジ 8の移動、及び、用紙 Pの搬送が画像情報に対応して繰り返し実行されることに より、用紙 Pの全面に画像が印刷される。画像が印刷された用紙 Pは、排出ローラ 11 , 12によって排紙トレイ 13上に排出される。
[0043] 図 2及び図 3は、上記インクジェットプリンタにおけるキャリッジを含む要部の側面図 及び背面図である。キャリッジ 8には、回転止め部材 81、押圧部材 82、ベノレト受け 83 及び軸受 84が設けられている。回転止め部材 81は、第 1のガイドレール 31に当接 する。押圧部材 82は、第 2のガイドレール 32に圧接する。ガイドレール 31及び 32は 、インクジェットプリンタ 1の内部において、ガイド軸 9に平行に配置されている。ベルト 受け 83には、駆動ベルト 33の一部が固定される。軸受 84には、ガイド軸 9が貫通す る。
[0044] ベルト受け 83に固定される駆動ベルト 33は、図示しない駆動プーリ及び従動プー リの間に張架されている。駆動プーリは、図示しない駆動モータの回転軸に固定され ている。したがって、キャリッジ 8には駆動モータの回転が駆動ベルト 33を介して伝達 され、ガイド軸 9に沿って往復移動する。
[0045] ガイド軸 9が貫通する軸受 84は、キャリッジ 8の背面側における下部に配置されて
おり、キャリッジ 8の重心 Cよりも背面側下方に位置している。したがって、キャリッジ 8 は、ガイド軸 9を中心として矢印 A方向に回転しょうとする。この回転を規制するため、 キャリッジ 8の上部に設けられた回転止め部材 81が、第 1のガイドレール 31に前面側 に向けて当接している。また、インクジェットプリンタ 1に振動や衝撃が作用した際に は、キャリッジ 8が矢印 B方向に回転することも考えられる。この回転を規制するため、 キャリッジ 8の上部に設けられた押圧部材 82が、第 2のガイドレール 32に背面側の斜 め上方に向けて圧接している。
[0046] なお、図 3の背面図に明らかなように、回転止め部材 81及びベルト受け 83はキヤリ ッジ 1の移動方向の中央部の 1箇所に設けられており、押圧部材 82及び軸受 84はキ ャリッジ 1の移動方向の両端部近傍の 2箇所に設けられている。
[0047] 図 4は、上記キャリッジに設けられた軸受の詳細を示す側面図である。軸受 84は、 内周面の一部を前面側斜面 84a及び背面側斜面 84bによって構成されている。軸受 84は、斜面 84a, 84bでガイド軸 9に当接する。したがって、軸受 84の内径をガイド 軸 9とのノ、メアイを考慮して厳格に規定する必要がない。
[0048] また、 2つの斜面 84a, 84bによってガイド軸 9の周面を挟持するため、 2つの斜面 8 4a及び 84bのそれぞれが鉛直方向となす角度 Θ f及び Θ rは、
0<( θ ΐ+ Θ r)く π
でなければならず、
cos{ π /2-( Θ f + Θ Γ)} > 0
の関係を満足する必要がある。
[0049] このように、キャリッジ 8の 2箇所に設けられた軸受 84の 2つの斜面 84a, 84bのそれ ぞれが鉛直方向となす角度の和を π /2から差し引いた角度の余弦が正の値となる ように設定することにより、ガイド軸 9を押圧する方向を正とした場合、一方の斜面 84a 力 ガイド軸 9に作用する荷重が必ず正の値となることから、これに正の値となる余弦 値を掛け合わせて得られる他方の斜面 84bに平行な成分も必ず正の値となり、軸受 84の斜面 84a, 84bにガイド軸 9が食い込む方向となり、キャリッジ 8がガイド軸 9から 浮き上がることを確実に防止できる。
[0050] 但し、角度 Θ f及び Θ rは、キャリッジ 8に作用するモーメントを考慮して決定する必
要がある。即ち、キャリッジ 8には、移動方向の前後端を上方又は下方に付勢するピ ツチングモーメント、ガイド軸 9周りのローリングモーメント、及び、移動方向の前後端 を前面側又は背面側に付勢するョーイングモーメントが作用する。
[0051] 以下に、図 5— 14を用いて、軸受の斜面が鉛直方向となす角度を決定するための 計算方法について説明する。
[0052] キャリッジ 8が図 5中左側から右側に向って移動する場合に、キャリッジ 8の質量を M 、加速時のキャリッジ 8に作用する加速度を G、回転止め部材 81に作用する荷重を W、回転止め部材 81と第 1のガイドレール 31との間の摩擦係数を μ、押圧部材 82の 圧接力を Ρ、押圧部材 82と第 2のガイドレール 32との間の摩擦係数を μ ' 、移動方 向下流側(右側)の軸受 84に作用する垂直荷重成分を S、移動方向下流側の軸受 8 4に作用する水平荷重成分を h、移動方向上流の側 (左側)軸受 8 に作用する垂 直荷重成分を^ 、移動方向上流側の軸受 8 に作用する水平荷重成分を 、 軸受 84, 8^ とガイド軸 9との間の摩擦係数を 、押圧部材 82から第 2のガイドレ ール 32に作用する圧接力 Ρの鉛直方向となす角度を とし、
鉛直方向において、ガイド軸 9と軸受 84, 8 との接触位置から、キャリッジ 8にお ける移動力の作用点(ベルト受け 83における駆動ベルト 33の固定位置)までの距離 を ζ、第 1のガイドレール 31と回転止め部材 81との接触位置までの距離を c、キヤリツ ジ 8の重心位置までの距離 、第 2のガイドレール 32と押圧部材 82との接触位置ま での距離を aとし、
キャリッジ 8の移動方向に直交する水平方向において、ガイド軸 9と軸受 84, 84' と の接触位置から、キャリッジ 8の重心位置までの距離を y、第 1のガイドレール 31と回 転止め部材 81との接触位置までの距離を d、第 2のガイドレーノレ 32と押圧部材 82と の接触位置までの距離を kとし、
キャリッジ 8の移動方向において、 2つの軸受 84及び 8 の心距を bとする。
[0053] この場合のピッチングモーメントは、図 5に示すように、
Μ + 2 -P- cos r] =S + S
によって求まる。
[0054] また、ローリングモーメントは、図 6に示すように、
W*c = M*y + P*cos 'd + P'sin η *a
によって求まる。したがって、回転止め部材 81に作用する荷重 Wは、
.••W = (M'y + P'cos 'd + P'sinr? *a)/ c
となる。
[0055] ここで、キャリッジ 8に作用する 1貫性力ひは、図 7に示すように、
2· a -(b/2) = G-M-e
.·. a = G-M-(j-z)/b
である。
[0056] また、回転止め部材 81の摺動抵抗 /3は、図 8に示すように、
2· β -(b/2)= μ -W-(c-z)
.·. β = μ -W-(c-z)/b
である。
[0057] さらに、押圧部材 82の摺動抵抗 γは、図 9に示すように、
2· γ '(b/2) = 2- -P(a-z)
.·. γ =2· /i ' -P(a-z)/b
である。
[0058] 加えて、ガイド軸 9の摺動抵抗 δは、図 10及び 11に示すように、キャリッジ 8の移動 方向下流側の軸受 84における重心位置側(前面側)斜面 84a及び重心位置側とは 反対側(背面側)斜面 84bのそれぞれに作用する荷重を Ff及び Frとし、キャリッジ 8 の移動方向上流側の軸受 84' における前面側斜面 84 及び背面側斜面 841/ のそれぞれに作用する荷重を 及び Fi^ として、
2· δ -(b/2)= μ " -(Ff +F +Ff+Fr)-z
.·. δ = μ " -(Ff +Fr, +Ff+Fr)-z/b
である。
[0059] したがって、軸受 84及び 8 の垂直荷重 S及び^ は、
S = (M/2) + P'cos ?i—ひ— j3_o/ + δ
S; =(M/2) + P-cos η + a + β + y- δ
となる。
[0060] 一方、キャリッジ 8のョーイングモーメントは、図 12に示すように、
2-h-(b/2) = G-M-y + 2- μ " -P-d+ μ -W-k
によって求まり、軸受 84, 84' に作用する水平荷重成分 hは
h = G-M-y/b + 2- μ " -P-d/b+ μ -W-k/b
となる。
[0061] これらのことから、移動方向下流側の軸受 84に作用する垂直荷重成分 S及び水平 方向成分 h、並びに、移動方向上流側の軸受 8 に作用する垂直荷重成分^ 及 び水平方向成分 hは、図 13及び図 14に示すように、
Sr =Ff -sinef+Fr7 -sinQr ···式 1
h =Fi/ -cos Qf-Fr' -cos Θ r ···式 2
S = Ff · sin Θ f+Fr'sin Θ r · · ·式 3
h =— Ff'cos Θ f+Fr'cos Θ r ···式 4
となる。
[0062] ここで、
(M/2) + P-cosr? = φ
(α + β + γ)= ε
とすると、式 3より、
φ- ε + μ /; (Ff +Fr; + Ff + Fr) - z/b = Ff · sin Θ f + Fr · sin Θ r
···式 3'
となり、式 1より、
φ + ε -μ /; (Ff +Fr' +Ff+Fr)-z/b
= Ff · sin Θ f+Frr · sin Θ r
…式 1'
となる。
[0063] また、 (式 2) _ (式 4)より、
Ff =(Fr, +Fr)-cos 0r/cos 0f-Ff
となり、式 2より、
Ff =Frr -cos 0r/cos 0f+h/cos 0f
となり、また、式 4より、
Ff= Fr*cos Θ r/ cos Θ f+h/ cos Θ f
となる。
[0064] これらを式 に代入して整理すると
Fr {(1 + cos Θ r)/cos θ ί}μ〃 -z/b
+ rr{(cos Θ f+cos Θ v)/ cos θ ί}· μ " 'z/b
-Fr-sin( Θ f + Θ r)/cos Θ f=— h'tan Θ f— φ + ε
となる。
[0065] さらに、左辺第 2項及び第 3項を抜き出すと、
Fr-(l/cos Θ f)-{(cos Θ f+cos Θ r)- μ " -z/b-sin( θ ΐ+ Θ r)}
…式 5
となり、 Fr' について整理すると、
Fr, =-Fr- {b/(/i -z)/(cos Θ r + cos Θ f)} · ε
_h'b'sin 6 f/{ /i〃 -z(cos Θ f+cos Θ r)}
― φ 'b'cos θ ϊ/ { μ " *z(cos θ f+cos θ r)}
+ ε -b-cos Θ f/{ μ " -z(cos Θ f+cos Θ r)}
となる。ここで、右辺第 1項は、
-Fr-{l-b-sin( 0 f+ Θ r)/( μ " *z)/(cos Θ r+cos Θ f)} · ·式 6
である。
[0066] また、式:^ 及び式 5より、
Fr' {(μ " -z)/b}-(cos Θ r+cos Θ f)/cos θ f+sin( θ ΐ+ θ r)/cos( θ r)}+Fr(M " •z/b)(cos θ r + cos θ f)/cos θ ΐ= φ + ε—h'tan θ f
…式 7
となり、この式 7より、
Fr = _£ +h-tan Θ f)-cos Θ f/sin( θ f+ θ r)
+ 2 φ {μ " · z/b)(cos θ r + cos 0 f)-cos 0 f/sin2( Θ f + Θ r)
…式 8
となり、この式 8を式 4代入して Ff≥0の条件を求めると、
Ff=((i) - ε -h-tan Θ r)- cos Θ r/sin( Θ f+ Θ r)
+ 2· { " -z/b)(cos Θ r+cos Θ f)-cos Θ r/sin2( Θ f+ Θ r)
…式 9
となる。
[0067] 一方、式 8を式 6に代入して Fr^ ≥0の条件を求めると、
Fr' = (-h-tan Θ f+ + ε )· cos Θ f/sin( θ f + θ r)
-2 (μ " -z/bXcos θ r + cos θ f)-cos θ f/sin2( θ f+ θ r)
…式 10
となる。
[0068] さらに、式 10を式 2に代入して、
F =(φ + ε +h-tan Θ r)- cos Θ r/sin( Θ f + Θ r)
— 2 φ (μ " -z/b)(cos Θ r + cos Θ f)-cos Θ r/sin2( Θ f + Θ r)
…式 11
となる。
[0069] 以上の計算によって軸受 84の斜面 84a, 84bの鉛直方向となす角度 Θ f及び Θ rを 算出した実施例の諸元値を図 15に示す。
[0070] 以上のようにして、軸受 84, 8 のそれぞれの 2つの斜面 84a, 84b, 84a' , 84b ' 力 ガイド軸 9に作用する荷重に影響を与える要素の全てを考慮して、軸受 84, 8 A' のそれぞれの 2つの斜面 84a, 84b, 84a' , 84b' が鉛直方向となす角度が決 定される。した力 Sつて、キャリッジ 8のカロ減速時に車由受 84, 84' の斜面 84a, 84b, 84 a' , 84b' がガイド軸 9から離間することがなぐキャリッジ 8に浮き上がりを生じること を確実に防止できる。
[0071] なお、移動中のキャリッジ 8に外乱によって作用するモーメントの最大値を Mm (gf- mm)として、軸受 84, 84' のそれぞれの 2つの斜面 84a, 84b, 84a' , 84b' から ガイド軸 9に作用する荷重 Ff, Fr, Ffr , Fr' を、
Ff · cos{ π /2-( θΐ+ Θ r)} · b/2 > Mm
Fr' · cos{ π /2— ( Θ f + Θ r)} · b/2 > Mm
Ff •cos{ π /2— ( Θ f+ Θ r)}eb/2 >Mm
Fr · cos{ π /2— ( Θ f + Θ r)} · b/2 > Mm
とすることができる。
[0072] これによつて、軸受 84, 84' の斜面 84a, 84b, 84a' , 84b' 力らガイド車由 9に作 用する荷重の対向する斜面に平行な方向の成分が移動中のキャリッジ 8に外乱によ つて作用するモーメントの最大値よりも大きくなるように、角度 0 f, θ ΐ, θ ί' , 0 rr を決定することができる。したがって、インクジェットプリンタ 1に対する振動等の外乱 力作用した場合にも、車由受 84, 84' の斜面 84a, 84b, 84a' , 84b' 力 Sガイド車由 9 力 離間することがなぐキャリッジ 8の浮き上がりをより確実に防止することができる。
[0073] また、図 16に示す斜面の角度と対向する斜面に平行な方向のモーメントとの関係 に基づいて、移動方向下流側の軸受 84における前面側斜面 84aからガイド軸 9に作 用する荷重 Ff (gf)と移動方向上流側の軸受 8 における背面側斜面 841 力 ガ イド軸 9に作用する荷重 Fi^ (gf)、及び、移動方向下流側の軸受 84における背面 側斜面 84bからガイド軸 9に作用する荷重 Ff' (gf)と移動方向上流側の軸受 84' における前面側斜面 84 力もガイド軸 9に作用する荷重 Fr (gf)を略等しくすること ができる。
[0074] これによつて、キャリッジ 8のカロ減速時に軸受 84, 84' の斜面 84a, 84b, 84a' , 84b' に略均等なモーメントが発生し、キャリッジ 8を安定して移動させることができる
[0075] さらに、軸受 84, 84' の 2つの斜面のそれぞれが鉛直方向となす角度 Θ汲び Θ r を、
abs[A( /i -W + 2 - /i ' · Ρ+ μ " · Τ)/Δ{57.3 · ( θ f+ Θ Γ)}]≤2
(但し、 57.3(= 180/ π )は radから degへの変換のための係数)
を満足するように決定することができる。
[0076] これによつて、図 17に示すように、軸受 84における 2つの斜面が鉛直方向となす角 度の和に対する摺動抵抗の変化率が 2以下の範囲で摺動抵抗の値が略最小値とな ることから、キャリッジ 8の移動時に軸受 84とガイド軸 9との間に生じる摺動抵抗を低 い値に抑えることができ、キャリッジ 8を円滑に移動させることができる。
[0077] カロえて、図 18 (A)に示すように、キャリッジ 8における移動方向の 2箇所に配置され
た軸受 84, 8 において、 2つの斜面のそれぞれが鉛直方向となす角度 Θ f及び Θ rを互いに異ならせることができる。図 18に示す例では、一方の軸受 84 (図 8 (B) )の 背面側の斜面 84bが鉛直方向となす角度 Θ rが正の値となるようにし、他方の軸受 8 (図 8 (C) )の背面側の斜面 841 が鉛直方向となす角度 θ ι^ が負の値となるよ うにしている。
[0078] これによつて、キャリッジ 8の往動時と復動時とで移動速度が異なる場合にも、キヤリ ッジ 8を安定した状態で往復移動させることができる。
[0079] 図 19は、図 18に示した左右の軸受 84, 8 における斜面の角度が異なるキヤリツ ジで、かつ、押圧部材 82を省いたキャリッジの実施例についての諸元値を示してい る。この実施例では、押圧部材 82による荷重を 0として上述の計算方法によって軸受 84, 84' の斜面 84a, 84b, 84a' , 84b' の角度を算出してレヽる。
[0080] 図 19に示す例では、加速度が 2Gのとき、移動方向下流側の軸受 84における前面 側斜面 84aの角度は 29° 、移動方向上流側の軸受 84' における背面側斜面 84b ' の角度は- 8° になる。また、加速度が 0. 8Gのとき、移動方向下流側の軸受 84に おける前面側斜面 84aの角度は 41° 、移動方向上流側の軸受 8 における背面 側斜面 84 の角度は 7° になる。
[0081] したがって、キャリッジ 8が 2Gの加速度で右方向に移動し、 0. 8Gの加速度で左方 向に移動する場合、右側軸受 84の前面側斜面 84aの角度は 29° で背面側斜面 84 bの角度は 7° 、左側軸受 8 の前面側斜面 84a' の角度は 41° で背面側斜面 8 4 の角度は一 8° とされる。
[0082] なお、以上の説明では、この発明の画像用装置として、移動体であるキャリッジを備 えるインクジェットプリンタを例に挙げて説明したが、画像読取装置等の他の画像用 装置についてもこの発明を同様に実施することができる。