JP2011111299A - 記録装置、及び搬送制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】用紙搬送時にパス経路内などから受けるテンションを含めて排紙ローラ上に発生するスリップ力を測定し、搬送ローラ間の用紙搬送速度差を調整することで排紙ローラ上にかかる負荷を調整し、ローラ磨耗とローラ撓みを回避する。
【解決手段】排紙ローラ40と搬送ローラ36の両方で用紙を搬送する際、排紙ローラ40と搬送ローラ36の搬送速度差と、その搬送パス経路上から受ける排紙ローラ40上のテンションとを排紙ローラ40のモータ電流値から検出し、排紙ローラ40の回転速度を調整することで、排紙ローラ40上のテンションがゼロになるように調整する。
【選択図】図5

Description

本発明は、記録媒体搬送手段に関し、特にインクジェット記録装置における記録媒体搬送技術に関するものである。
プリンタと呼ばれる記録装置では近年、普通紙のプリントのみならず、写真専用紙への写真画像の印刷用途が多くなってきている。特に、インクジェットプリンタではインク滴の小液滴化が進み、銀塩写真と同等以上の画像になってきている。その為、用紙搬送においては、金属シャフトに砥石をコーティングした高精度ローラが、記録手段の上流側に主搬送ローラとして配置されている。そして高精度の用紙搬送を実現するため、そのローラの軸上に位置検知手段(コードホイールとエンコーダセンサ)が設けられ、この検出結果を使って搬送用DCモータが制御されている。
一方、記録手段の下流側に配置される排紙ローラは、弾性体であるゴム材が用いられている。ゴム材を使う理由は、インクが打ち込まれた後の用紙を搬送するため、排紙ローラの対向ローラとして先端の尖った星状の拍車と呼ばれる従動ローラを用いる必要があるからである。一般的にゴム材である排紙ローラは、コーティングローラである主搬送ローラと比べて、紙紛や通紙磨耗の影響によって用紙搬送量が大きく変わることが知られている。この搬送量変化への対応として、通紙履歴に応じて用紙搬送量を調整するといった対応をとっている。しかし、紙紛や磨耗といった不安定要素を推定するのは非常に難しく、搬送量補正として十分であるとは言えない状況である。
ローラの定常的な送り精度の課題よりも大きな課題があるのは、主搬送ローラと排紙ローラとの受け渡し地点の送りである。この送りにおいては、ローラの定常送りにおける精度ズレ要因以外にもローラシャフトの撓みや主搬送ローラから記録媒体が抜ける時の挙動の不安定さなどを有しており、一般的に前述の定常送りより搬送精度が落ちることが知られている。この主搬送ローラと排紙ローラとの受け渡し地点の送りの不安定さへの対応として、発生確率の最も高い搬送量に対する搬送量補正値を採用し、送り長さをチューニングすることで、性能をなんとか保っているのが現状である。しかしこの補正技術も、不安定要素を推定するという意味で、上記課題と同じ問題を抱えており、必ずしも十分な搬送量補正が行えない場合があった。
高画質化や印字スピードアップに対してはこれらの送り領域における精度向上が必須案件であり、さらなる対応が求められている。
上記、2つの課題は、主搬送ローラと排紙ローラという2つのローラで1つの記録媒体を搬送する際に、それぞれ記録媒体を搬送する搬送ローラ上の搬送速度に速度差がある場合、ローラ上でスリップ(もしくはスリップ力)が発生し、スリップ磨耗やスリップ力によるローラ撓みが起こっていることが原因であると考えられる。
例えば、用紙搬送時の搬送パス経路上から受ける搬送負荷(以後テンション)が0であり主搬送ローラと排紙ローラの2軸で記録媒体を搬送する記録装置があると仮定する。このとき、主搬送ローラ単独で記録媒体を搬送する際の搬送速度VLFが、排紙ローラ単独で記録媒体を搬送する際の搬送速度VEJより小さい(VLF < VEJ)とすると、排紙ローラは主搬送ローラよりも用紙を早く送ろうとして、用紙を介して、主搬送ローラを搬送方向に引っ張る。このときの力をTとすると、主搬送ローラは、その引張り力Tによって用紙搬送方向の負荷(以後フォワードテンション)がかかり、搬送速度VLFが増速する側にスリップしVLF'の速度になる。一方排紙ローラでは、主搬送ローラに働いた引っ張り力の反作用力として-Tの用紙搬送方向逆向きの負荷(以後バックテンション)がかかり、搬送速度VEJが減速する側にスリップしVEJ'の速度になる。各々の搬送速度関係は、VLF < VLF' = VEJ' < VEJとなる。この状態における、各ローラにかかるテンションTがローラを撓ませる力であり、VEJ - VEJ'がスリップ磨耗するスリップ速度となる。またこれらを0とするにはVLF = VEJとなるような関係にすればよいことが簡単にわかる。
なお、特許文献1に記載された発明は、複数の搬送ローラと各搬送ローラ用駆動手段を有する搬送装置において各搬送ローラの用紙搬送速度を事前にそれぞれ測定する。そして、いくつかの搬送ローラを同時に使って搬送する際には測定した用紙搬送速度のうちいずれか1つの搬送ローラの速度となるように、各ローラの搬送速度を調整するという方法をとる。
また、特許文献2に記載された発明は、速度調整を行うローラ間に湾曲したパス経路を設け、パス経路内に設けられた揺動可能なコロによって用紙の姿勢を検出し、検出量に応じてローラの速度調整を行うという方法をとる。
特開2005−320122号公報 特開平5−80615号公報
特許文献1に記載された発明の問題点は、各々単独の搬送ローラの用紙搬送速度を厳密に測定することができないことにある。この発明では、用紙搬送速度の測定の際には、一旦、測定側のローラの搬送力を、その他のローラの搬送力に対して、相対的に増加させて搬送速度を測るとしている。搬送力を調整する手法としては、搬送ローラに対向する押圧ローラの押圧力を調整する手法が一般的であるが、このような手法を用いた場合、押圧力によって、測定対象とするローラの搬送速度が変わってしまうため、実際の搬送速度とは違うものを測定してしまっていることになる。また、相対的に搬送力を下げた側の搬送ローラの影響も無視することはできない。さらに言えば、測定対象とする搬送ローラの搬送速度を測定する際に、それ以外の搬送ローラが搬送用紙に関与しない構成(例えば対向する押圧ローラを離間させる構成)を仮にとれたとしても、純粋な搬送ローラの搬送速度を測定したことにはならない。なぜなら、測定された搬送速度は用紙パス経路から受けるテンションが作用した搬送速度となるからである。また構成が大掛かりになりコストがかかることも大きな問題である。
また、特許文献2に記載された発明では、湾曲したパス経路を搬送ローラ間に設ける必要があり、ローラ間に記録手段が配置される本発明のようなインクジェット記録方式のパス構成においては適した構成とはいえない。
本発明は、上述したような背景技術の問題点に鑑みてなされたものであって、用紙の高精度搬送を実現する記録装置を提供することを目的とする。
本発明は、用紙搬送速度ではなく、用紙搬送時にパス経路内などから受けるテンションを含めて排紙ローラ上に発生するスリップ力を測定し、搬送ローラ間の用紙搬送速度差を調整することで排紙ローラ上にかかる負荷を調整し、ローラ磨耗とローラ撓みを回避することで用紙の高精度搬送を実現しようとするものである。
本発明の一態様は、記録媒体に記録を行う記録手段に対して搬送方向上流に位置し、記録媒体を挟持して搬送する第1の搬送手段と、記録手段に対して搬送方向下流に位置し、記録媒体を挟持して搬送する第2の搬送手段と、第1の搬送手段を駆動する第1の駆動手段と、第2の搬送手段を駆動する第2の駆動手段と、記録媒体搬送時に、第1の搬送手段および第2の搬送手段の少なくとも一方における搬送負荷を直接または間接的に検出する搬送負荷検出手段と、を有する記録装置に関する。そして上記課題を解決すべく、本発明は、第1の搬送手段と第2の搬送手段の両方で記録媒体を搬送する際に、搬送負荷検出手段によって第2の搬送手段にかかる搬送負荷を検出し、この検出された搬送負荷量に基づいて、第1の搬送手段および第2の搬送手段の少なくとも一方の記録媒体搬送速度を調整することを特徴とする。
本発明よれば、記録媒体を第1の搬送手段と第2の搬送手段の両方で搬送している際には、記録手段に対して搬送方向下流側に位置する第2の搬送手段上にかかる搬送負荷をほぼゼロに調整することが可能となる。これにより、高精度な搬送が可能となり良好な画像を安定して出力することができる。さらに本発明は、高精度な搬送を実現するために、搬送手段上の負荷を検出する搬送負荷検出手段を除いては装置本体に特有の機構を実装しないで済む。
本発明の第1実施形態における記録装置の機構部の斜視図。 本発明の第1実施形態における搬送駆動系の側面図。 本発明の第1実施形態における電気ブロック図。 本発明の第1実施形態におけるマイクロスリップカーブ説明図。 本発明の第1実施形態における用紙とメカ構成の位置関係を示した模式図。 本発明の第1実施形態における合成マイクロスリップカーブ模式図。 本発明の第1実施形態における各搬送状態におけるローラ撓みを示した側面模式図。 本発明の第1実施形態における各搬送状態におけるローラ撓みを示した上面模式図。 本発明の第1実施形態における速度調整後のマイクロスリップカーブ説明図。 本発明の第1実施形態における速度調整制御を行うためのフローチャート。 本発明の第2実施形態における撓み検出手段を構成する位置を示した上面模式図。 本発明の第3実施形態における排紙ローラの反力検出手段を示した模式図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、紙にインク滴を吐出して記録を行うインクジェット記録装置を例にとって説明するが、本発明に係る高精度搬送を実現する記録装置であれば、記録方式や使用する記録媒体はここで開示するものに限定されない。
(第1の実施形態)
第1の実施形態のインクジェット記録装置は、以下に説明するような給紙部、送紙部、キャリッジ部、排紙部、およびクリーニング部などの構成要素を備える。
まず、図1から図10を参照しながら、記録装置を構成する各構成要素の概略を順次述べていく。
(A)給紙部
給紙部は記録用紙Pを積載する圧板21、記録用紙Pを給紙する給紙ローラ28、記録用紙Pを分離する不図示の分離ローラ、記録用紙Pを積載位置に戻す為の不図示の戻しレバー、等が給紙部ベース20に取り付けられる構成となっている。積載されたシート材Pを保持する為の不図示の給紙トレイが、給紙部ベース20または外装に取り付けられている。
給紙ローラ28は断面円弧の棒状をしている。これによって記録用紙Pを給紙する。給紙ローラ28への駆動は、給紙部に設けられた後述のクリーニング部と共用のモータ99(以後、APモータあるいは、給紙モータと呼ぶ)から駆動伝達ギア、遊星ギア等によって伝達される。
圧板21には可動サイドガイド23が移動可能に設けられて、記録用紙Pの積載位置を規制している。圧板21は給紙部ベース20に結合された回転軸を中心に回転可能で、給紙時には不図示の圧板バネにより給紙ローラ28に付勢される。
給紙動作において、記録用紙Pは給紙ローラ28と分離ローラから構成されるニップ部に送られ、このニップ部で分離され、最上位の記録用紙Pのみが搬送される。
(B)送紙部
曲げ起こした板金シャーシ11、及びモールドシャーシ97,98に送紙部が取り付けられている。送紙部の搬送ローラ36は金属軸の表面にセラミックの微小粒をコーティングしたローラであり、両軸の金属部分を軸受けで受け、この軸受けはモールドシャーシ97,98に取り付けられている。搬送ローラ36には従動する複数のピンチローラ37が当接して設けられている。ピンチローラ37はピンチローラーホルダ30に保持され、ピンチロラーバネ(不図示)の付勢力で、搬送ローラ36に圧接され、記録用紙Pの搬送力が生み出されている。記録用紙Pが搬送されてくる送紙部の入口には記録用紙Pをガイドする不図示のペーパーガイドが配設されている。また、ピンチローラーホルダ30には記録用紙Pの先端と後端を検出する用紙エッジセンサ(不図示)が設けられている。プラテン34はシャーシ11に取り付けられ、位置決めされる。
上記構成において、送紙部に送られた記録用紙Pはピンチローラーホルダ30及びペーパーガイド(不図示)に案内されて、搬送ローラ36とピンチローラ37とのローラ対(本発明の第1の搬送手段)に送られる。このとき、用紙エッジセンサ(不図示)で記録用紙Pの先端を検知して、これにより記録用紙Pの印字位置を求めている。また、記録用紙Pは搬送モータ(本発明の第1の駆動手段)35によりローラ対36,37を回転させることでプラテン34上を搬送される。
また、搬送ローラ36の搬送方向における下流側には、画像情報に基づいて画像を形成する記録ヘッド7が設けられている。記録ヘッド7はそれぞれが別体で交換可能な複数色用のインクタンク71が搭載されたインクジェット記録ヘッドが用いられている。この記録ヘッド7は、ヒータ等によりインクに熱を与えることが可能となっている。そして、この熱によりインクは膜沸騰し、この膜沸騰による気泡の成長または収縮によって生じる圧力変化によって記録ヘッド7のノズルからインクが吐出されて記録用紙P上に画像を形成する。
さらに、全面印刷(ふちなし印刷)を行なうために、記録用紙Pの端部からはみ出したインクを吸収するプラテン吸収体344がヘッド7のインク吐出口に対向したプラテン34に設けられている。記録用紙Pの4辺端部からはみ出した全てのインクがここに吸収される。
(C)キャリッジ部
キャリッジ部は、記録ヘッド7を取り付けるキャリッジ50を有している。そしてキャリッジ50は、シート材Pの搬送方向に対して直角方向に往復走査させるためのアンダーガイドレール52、及びキャリッジ50の端を保持して記録ヘッド7と記録用紙Pとの隙間を維持するアッパーガイドレール111によって支持されている。なお、このアンダーガイドレール52はシャーシ11に取り付けられている。またアッパーガイドレール111はシャーシ11に一体に形成されている。
キャリッジ50はシャーシ11に取り付けられたキャリッジモータ54によりタイミングベルト541を介して駆動される。このタイミングベルト541は、アイドルプーリー542によって張設、支持されている。そして、キャリッジ50の位置を検出する為の150〜300lpiのピッチでマーキングが形成されたコードストリップ561が、タイミングベルト541と平行に設けられている。さらに、それを読み取るエンコーダセンサ(不図示)がキャリッジ50内に搭載したキャリッジ基板(不図示)に設けられている。このキャリッジ基板には、記録ヘッド7と電気的な接続を行う為のコンタクトと、電気基板91から記録ヘッド7へ信号を伝えるためのフレキシブルケーブル57とを備えている。上記構成において、シート材Pに画像形成するときは、画像形成する搬送位置にローラ対36、37が記録用紙Pを搬送すると共にキャリッジモータ54によりキャリッジ50を走査させて、電気基板91からの信号により記録ヘッド7が記録用紙Pに向けてインクを吐出して画像が形成される。
(D)排紙部
排紙部(本発明の第2の搬送手段)は、記録用紙を排出する排紙ローラ40と、排紙ローラ40に所定圧で当設、従動して回転可能に構成された拍車(不図示)から構成されている。
記録用紙Pの搬送方向下流側に構成された排紙ローラ40は金属軸に、複数のゴム部を有している。拍車(不図示)は、拍車ホルダー43に取り付けられている。拍車は、コイルバネを棒状に設けた拍車バネ(不図示)によって、排紙ローラ40に圧接されている。
以上の構成によって、画像形成された記録用紙Pは、排紙ローラ40と拍車(不図示)とのニップに挟まれ、搬送モータ(本発明の第2の駆動手段)45により搬送、排紙される。
(E)クリーニング部
クリーニング部60は、記録ヘッド7のクリーニングを行うポンプ(不図示)と記録ヘッド7の乾燥を抑えるためのキャップ(不図示)、記録ヘッド7のノズル周辺のフェイス面をクリーニングするブレード(不図示)、等から構成されている。
クリーニング部の主な駆動は、前述のAPモータ99から伝達される。キャップを記録ヘッド7に密着させた状態でポンプを作用させると記録ヘッド7から不要なインク等を吸引するように構成されている。ブレードは、キャップの降時に、ブレードがキャリッジ50の走査方向に垂直に移動し、記録ヘッド7のフェイス面をクリーニングするよう構成されている。
次に、搬送駆動系について詳細に述べる。図2、図3に示すように、搬送ローラ36への駆動は、DCモータからなる搬送モータ35の回転力をタイミングベルト39で、搬送ローラ36の軸上に設けられた搬送ローラギア(プーリギア)361に伝達している。また、搬送ローラ36の軸上には、搬送ローラ36の回転量を検出する為の150〜360lpiのピッチでマーキングが形成された搬送コードホイール362が直結されており、それを読み取る搬送ローラ36の位置検出手段である搬送エンコーダセンサ363が、搬送コードホイール362の隣接する位置のシャーシ11に取り付けられている。
同様に排紙ローラ40への駆動は、DCモータからなる搬送モータ45の回転力をタイミングベルト49で、排紙ローラ40の軸上に設けられた排紙搬送ローラギア(プーリギア)461に伝達している。また排紙ローラ40の軸上には、排紙ローラ40の回転量を検出する為の150〜360lpiのピッチでマーキングを形成された搬送コードホイール462が直結されており、それを読み取る排紙ローラ40の位置検出手段である排紙エンコーダセンサ463が、搬送コードホイール462の隣接する位置のシャーシ11に取り付けられている。
次に、記録装置の電気ブロック図を図3に示す。同図において、符号501は記録装置の制御用CPU、符号503は印字のための展開データ、ホストからの受信データ等を蓄えるRAMを指し示している。符号506は複数のモータを代表表記したモータ、符号507はこのモータを駆動する代表表記したモータドライバ、符号502はコントローラを指し示す。コントローラ502は、主にRAM503のアクセス制御やホストとのデータのやり取り、センサ505(搬送エンコーダセンサ363等、製品として搭載しているセンサを代表表記した)や記録ヘッド7との制御信号のやり取り、モータドライバ507への制御信号送出を行う。
本実施形態においては、排紙ローラ40上の負荷テンションを検出するためにコントローラ502が排紙ローラ40用モータの電流値を、モータドライバ(搬送負荷検出手段)507を通じて検出し、RAM503に記憶保持するように構成されている。ここでは非用紙搬送時の空転電流値と用紙搬送時の負荷電流値を比較演算することで搬送負荷量を算出することができる。符号508は、電気的書き込み可能な不揮発性ROMであるEEPROMを指し示す。EEPROM508には工場での設定値や更新されるデータが格納され、このデータはコントローラ502及びCPU501による制御パラメータ値等として用いられる。CPU501は、ROM504内の制御プログラムにより記録装置のメカ的、電気的制御を行いつつ、ホストから記録装置へ送られてくるエミュレーションコマンド等の情報をコントローラ502内のI/Oデータレジスタから読み出し、コマンドに対応した制御をコントローラ502内のI/Oデータレジスタや、I/Oポートを介して行い、印字を制御する。
本実施形態の記録装置は用紙搬送時には、搬送エンコーダセンサ363と排紙エンコーダセンサ463から、それぞれのローラの回転量情報を、センサ505を通じて取得し、CPU501を通じてコントローラ502によりモータドライバ507を制御し、搬送モータ35、45をそれぞれ駆動させることで搬送ローラ36と排紙ローラ40をそれぞれ回転させる。
本実施形態では排紙ローラ40用モータ(搬送モータ45)の電流値を検出することで搬送負荷量を算出するが、ローラ上にかかる搬送負荷を検出する方法としては、電圧値であってもよいし、ローラの撓み量を検出する手段などであってもよい。
次に、用紙を介してローラにかかるテンションと、搬送速度の関係について説明を行い、搬送速度差のある2つのローラで用紙を搬送した場合の用紙搬送速度(記録媒体搬送速度)と、それぞれ2つのローラに働くテンションの求め方について説明を行う。
一般的に用紙の搬送速度はローラの外周速さに概略一致するため、ローラ外径が既知だとすると、ローラ回転速度を調整することで用紙の搬送速度を調整することができる。しかし、搬送パス経路と用紙の摩擦などによって用紙にテンションがかかると、用紙の搬送速度はテンションなしのときの用紙速度に比べて、僅かに減速することが知られている(以後マイクロスリップと呼ぶ)。またこのときのテンションと搬送速度の関係は、テンション小の領域であれば、ほぼ一次関数に漸近することが理論的にも、経験的にも知られている(以後この直線をマイクロスリップカーブと呼ぶ)。
ここで説明のために、搬送ローラ36と排紙ローラ40の設計外径は同じで、それぞれに設けられたエンコーダ、モータ構成は同じものであるとする。図4に、所定の角回転速度ωでローラを回したときの、搬送ローラ36のマイクロスリップカーブ601と排紙ローラ40のマイクロスリップカーブ602を示す。言うまでもないが、2つのローラのローラ外径は同じなので、搬送パス経路上から受けるテンションがゼロであれば、搬送ローラ36と排紙ローラ40それぞれのローラ単独で用紙を搬送したマイクロスリップカーブは図4(a)のように切片が一致するはずである。図4(b)に示した一例では、テンションがゼロの場合において、搬送ローラのマイクロスリップカーブ601が排紙ローラのマイクロスリップカーブ602よりも大きくなっている。これは、例えば搬送ローラの実外径が排紙ローラの実外径よりも大きくなっていることを意味している。また一般的に排紙ローラ40は搬送ローラ36に比べて対向ローラの押圧力を低めに設定するために、マイクロスリップカーブの傾きが立っている(つまり滑りやすい)。
ここで図4のような搬送速度関係で、用紙の搬送速度がどのようになるか説明する。テンションFはローラにかかるテンションであり、VLFは搬送ローラの用紙搬送速度、VEJは排紙ローラの用紙搬送速度である。また図4にあるように搬送速度Vは用紙の進行方向を正、テンションFは用紙の進行方向逆向きを正とする。まず簡単のため、用紙には搬送パス経路からテンションがかからない状態(テンションがゼロ)の場合を考える。図4(a)はいうまでもなく用紙の搬送速度はVLF(=VEJ)になる。図4(b)の場合は、用紙を介してテンションを2軸間で与え合い、VEJ より大きくVLF より小さい速度VP0に用紙速度は収束する。なぜならば用紙は連続体であり、仮に各ローラ上で搬送速度が違うのであれば、用紙を搬送する度にそのズレ量は増加し、用紙は座屈してしまうからである。用紙の速度VP0は搬送ローラのマイクロスリップカーブ601と、排紙ローラのマイクロスリップカーブ602をそれぞれ以下のように表すと、以下のように求めることができる。
Figure 2011111299
ここで、αLF、βLF、αEJ、βEJはマイクロスリップカーブを定義するために設けたパラメータであり、αはテンションに対する滑りにくさ、βはテンションがゼロのときの用紙速度を表している。
図4(b)のような搬送速度関係があった場合のVP0の算出のイメージを図4(c)に示す。搬送ローラ36は用紙を早く送ろうとして、用紙を介して排紙ローラ40を搬送方向に引っ張る。その結果排紙ローラ40にはフォワードテンションがかかり、用紙は搬送方向にスリップし、搬送速度は増速する。一方搬送ローラ36には排紙ローラ40を引っ張った力の反作用力としてバックテンションがかかり、用紙は搬送方向と逆向きにスリップし、搬送速度は減速する。用紙の速度は搬送ローラ36上でも排紙ローラ40上でも一定なので、結局、用紙間のテンションが釣り合い、それぞれのローラで増減速調整された後の用紙搬送速度が等しくなるポイントで用紙の速度(式(3))が決まる。
また、求めたVP0を用いて式(1)に代入するとテンション力Fの大きさは
Figure 2011111299
で表される。このテンション力がローラ上のスリップによるローラ磨耗やローラ撓みを発生させているのである(実際には搬送パス経路からのテンションも考慮しないといけない)。
搬送パス経路からテンションを受けた場合も先程と同様に簡単に求めることができる。つまり用紙の速度は搬送ローラ36上でも排紙ローラ40上でも一定であると考え、2軸間に働くテンションの差が搬送パス経路から受けるテンションと等しくなるポイントを求めればよい。結局、任意のテンションにおける用紙速度を表した搬送ローラ36と排紙ローラ40の合成マイクロスリップカーブは次式のようになる。
Figure 2011111299
次に、実際の印字作業中における記録用紙P、記録ヘッド7、搬送ローラ36、排紙ローラ40の位置関係の遷移を示し、本発明の効果によって解決される搬送の不安定がどのようなメカニズムによって発生するか説明する。
本発明のようなインクジェット記録方式においては、記録ヘッド7の用紙搬送方向上流側に主搬送ローラである搬送ローラ36を、記録ヘッド7の用紙搬送方向下流側に従搬送ローラである排紙ローラ40を設けるのが一般的である。このような装置において単票用紙を印字する場合には、用紙先端部を印字する際には、図5(a)のように搬送ローラ36のみで用紙搬送する必要がある。これは、用紙が搬送ローラ36と排紙ローラ40の両位置で挟持した状態から印字をスタートすると図5(a)のAの領域には印字を行うことができないからである。同様に用紙後端部を印字する際には、図5(c)のように、非印字領域Bを回避するために排紙ローラ40のみで用紙搬送する必要がある。
領域A、B以外の領域を印字する際には、図5(b)のように搬送ローラ36と排紙ローラ40の両方の位置で用紙を挟持して用紙搬送を行う。
このとき、記録装置の搬送ローラのマイクロスリップカーブ601と、排紙ローラのマイクロスリップカーブ602とが図6のように定義される。搬送パス経路からのテンションが図5(a)のような先端部搬送領域のときにF1、図5(b)のような2軸搬送領域のときにF2、図5(c)のような後端部搬送領域のときに0(一般的に排紙ローラのみで搬送する領域ではテンションはゼロに限りなく近い)であると仮定すると、合成マイクロスリップカーブ603は図6のように定義される(式は(5)と同じ)。同様に搬送ローラ36のみで搬送される際の用紙速度VPLF、搬送ローラ36と排紙ローラ40の両位置で挟持して搬送される際の用紙速度VPLF_EJ、挟持時に搬送ローラ36にかかるテンションFLF、排紙ローラ40にかかるテンションFEJ、排紙ローラ40のみで搬送される際の搬送速度VPEJはそれぞれ図6のように表される。
用紙の先端部印字の際には、図7(a)に示すように搬送ローラ36にはテンションF1が搬送方向と逆向きに働き、用紙速度はVPLFとなる(図6参照)。このとき、パス経路上から受けるテンション力F1に応じて、搬送ローラ36は図7(a)もしくは図8(a)のように搬送方向と逆向きに撓む。一方図7(b)に示すように2つのローラの位置で挟持して用紙を印字する際には、搬送ローラ36にはテンションFLFが搬送方向と逆向きに、排紙ローラ40にはテンションFEJが搬送方向の向きに働き、用紙速度はVPLF_EJとなる。このとき、テンション力に応じて搬送ローラ36と排紙ローラ40は図7(b)もしくは図8(b)のようにそれぞれ撓む。ここでF2はFLFとFEJの和である。また図7(c)に示すように、用紙の後端部印字の際には排紙ローラ40にはテンションは発生せず、ローラ外周速と同じ搬送速度VPEJで用紙搬送が行われる。
搬送の不安定さは、先に説明したテンション力に起因するものである。搬送中のスリップはローラ、特にゴム材である排紙ローラを磨耗させ、用紙の搬送速度を不安定に変化させる。また搬送ローラ36と排紙ローラ40との受け渡し地点の送り(図7(b)から(c)への遷移)においては、用紙を介して発生していたローラの撓みが搬送ローラ36のニップ抜け時に解放され、排紙ローラ40上に乗った用紙は排紙ローラの撓み解放方向に撓み解放量と同じだけ移動する。この撓み解放による用紙の移動は瞬間的に行われるもので、不安定なものであり、搬送の不安定さを引き起こす。このとき、同時に搬送ローラ36の撓み量も解放されるが、ニップ抜け持には用紙は搬送ローラ36上にはなく、用紙の送りには大きな影響を及ぼさないので無視する。
以上のことから、搬送ローラと排紙ローラという2軸のローラ位置で挟持されている記録媒体搬送時の排紙ローラ40上のテンションをゼロにすれば上記2点の課題を解決することがわかる。
さてここで、特許文献1(特開2005−320122)に開示されるような方法、すなわち各々の搬送ローラの用紙搬送速度を検出する手段を持ち、一方の用紙搬送速度を調整する方法では排紙ローラ40上のテンションをゼロにすることができない理由を、図を利用して説明しておく。
それぞれ単独のローラで搬送した用紙搬送速度がわかっているのであるからVPLFとVPEJは既知であり、VPLFとVPEJが等しくなるように片方のローラ速度を調整するということである。ここで前述の説明と同じく、搬送ローラのみで搬送する領域のテンションをF1、2軸で搬送する領域のテンションをF2、排紙ローラのみで搬送する領域のテンションをゼロと仮定すると、2軸のマイクロスリップカーブは図9(a)のようになり、VPEJをVPLFと同一の速度VPEJ'に調整した状態は図9(b)のようになる。図12(b)を見てわかるとおり排紙ローラ40上のテンションFEJは、ゼロにはならない。
本発明の目的である排紙ローラ上のテンションがゼロになるような状況は、図9(c)のような、2軸で搬送する際の搬送パス経路から受けるテンションF2を搬送ローラ36のみで吸収するような速度関係に持っていく必要がある(つまりFLF=F2、FEJ=0)。このような状況にするためには、例えば排紙ローラ40を速度調整するのであればFEJ分をキャンセルするような速度を調整すればよい。図9(b)の場合,FEJ分だけ排紙ローラを減速すればよい。
結局、F1≠F2の場合にはローラ単独で搬送した用紙の速度を測定することでは排紙ローラ40上のテンションをゼロにすることはできない。本発明ではこの課題を解決するために、スリップの原因になるテンション力を推定するためのパラメータ(負荷トルクやローラの撓み)を検出することで用紙搬送速度を調整し、排紙ローラ40上のテンションをゼロにすることができる。
次に、本実施形態において実印時中の負荷測定から搬送速度調整を行うまでの流れを図10のフローチャートに沿って説明する。本例では、搬送ローラ36の設計直径と、排紙ローラ40の設計直径をそれぞれRで同一とする。よって搬送パス経路上にテンションがない状態では搬送ローラ36上の用紙速度VLF0、排紙ローラ40上の用紙速度VEJ0は搬送ローラ36の回転速度ωLFと排紙ローラ40の回転速度ωEJを用いてそれぞれ次のようになる。
Figure 2011111299
本例の場合、ローラの設計直径が同じであるので、用紙搬送時には同一の回転速度ωPで回転すれば、理想的には用紙速度VLF0とVEJ0は同じ速度になる。ところが各ローラの実直径は部品製造上バラツキを持つので理想的にはRとはならない。そのため、同一回転速度ωでローラを回してもVLF0とVEJ0は異なる速度になる。本発明では、この搬送速度差とパス経路上から受ける排紙ローラ40上のテンションを、排紙ローラ40の駆動モータに供給される電流値から検出し、排紙ローラ40の回転速度ωEJを調整することで、排紙ローラ40上のテンションがゼロになるように調整する。以下、この方法を図10のステップに従って説明する。
(ステップ1)
印字命令が下されると、用紙を印字部に搬送するために、給紙部によって給紙動作が行われる。用紙の先端が用紙エッジセンサによって検出されると、用紙先端部の印字動作を行うために、搬送ローラ36がωPの速度で回転を始める。用紙先端は用紙エッジセンサを通過後、間もなく搬送ローラ36とピンチローラ37とのニップ部に到達し、先端印字作業が開始される。
(ステップ2)
先端部の印字が開始される(図5(a)の状態)と、排紙ローラ40の非用紙搬送時の負荷トルクを測定するために、図10に示すように排紙ローラ40の0セットシーケンスが実行される。
(ステップ2−1)
0セットシーケンスに入ると、まず排紙ローラ40の回転が開始される。このときの排紙ローラ40の回転速度はωPに調整される。このとき、先端部印字中の搬送ローラ36はキャリッジ50と共同した間欠搬送動作を行うが、排紙ローラ40は印字動作に関与しないため、定速回転を行う。
(ステップ2−2)
排紙ローラ40の回転が開始されると、コントローラ50を通じて排紙ローラ40を駆動するDCモータである搬送モータ45からΔtの時間間隔で電流値が随時取得され、RAM503に一時記憶される。
(ステップ2−3)
先端部印字が終了する直前、つまり用紙先端が排紙ローラ40に到達する直前になると、コントローラ502によって電流値の取得が打ち切られる。先端部印字時に要した時間をTとするとT/Δt個の電流値データがRAM503に一時記憶される。
(ステップ2−4)
電流値の取得終了と同時にコントローラ502は、T/Δt個の電流値データの平均値Iave_0を算出する。一般的にDCモータは負荷トルクに応じて比例的に電流値が変化する特性を持っており、事前にその特性値Cを求めておけば負荷テンションFを以下のように求めることができる。
Figure 2011111299
コントローラ502は式(8)より0リセットテンションFEJ_0(=C・Iave_0)を算出し、RAM503に記憶し、0セットシーケンスを終了する。
(ステップ3)
用紙先端が排紙ローラ40に到達すると、搬送ローラ36と排紙ローラ40の両方位置で挟持されて2軸印字が行われる(図5(b)の状態)。このときの各ローラの回転速度はともにωPでありキャリッジ50と協同した間欠搬送動作を行う。2軸印字が開始されると、排紙ローラ40上のテンションがゼロとなるように、図10に示すような負荷調整制御シーケンスが実行される。
(ステップ3−1)
負荷調整シーケンスに入るとコントローラ502を通じて排紙ローラ40の搬送モータ45からΔtの時間間隔で電流値が取得されRAM503に一時記憶される。
(ステップ3−2)
電流値の取得は一改行送り内の加減速送り動作内の定速送り領域で行われ、定速送り時間をT'とするとT'/Δt個の電流値がΔtの時間間隔でRAM503に一次記憶され、その平均値Iave_BTから直ちに式(6)より搬送負荷テンションFEJ_BT(=C・Iave_BT)が算出され、排紙ローラ40上の負荷テンションがゼロとなるような排紙ローラ回転速度ωP’が算出される。コントローラ502には予め排紙ローラのマイクロスリップパラメータαEJが格納されており、ωP’は以下のように算出できる。
Figure 2011111299
(9)式の第2項は、排紙ローラ上にかかっているテンション(FEJ_BT−FEJ_0)にαをかけて速度に変換し、さらにRで割ることで回転速度に変換した回転速度調整項である。なお、パラメータαEJは事前に実験等で簡単に求めることができる。
ここで排紙ローラ上のテンションFEJ_BT、FEJ_0を求めるのに、FBT=FLF_BT+FEJ_BT なる関係を利用して、搬送ローラ上の負荷テンションFBTを検出してFLF_BTからFEJ_BTを求めてもよい。この方法の場合、FBTを固定値として事前に用意する必要がある。
(ステップ3−3)
キャリッジ50の印字動作終了後の次改行送りは搬送ローラ36の回転速度をωP、排紙ローラ40の回転速度をωP’で回転させる。
(ステップ3−4)
このとき、再び(ステップ3−1)、(ステップ3−2)を行っておけば次なる目標値ωP’'が求められ、例え搬送負荷テンションFBTの検出にズレが生じたり、マイクロスリップパラメータαEJが計算上の設定値と実機において差があったりしても、最適回転速度ポイントへ修正を行うことができる。本制御は用紙後端が搬送ローラ36とピンチローラ37のニップ部を越える改行送りまで続けられる。
本実施形態では、テンションゼロを目標として制御したが、ゼロに限りなく近いテンション閾値Fminを設けておき、検出したテンションがFmin以下であれば回転速度調整を行わないという制御を行い、もしくは、ある時間間隔を置いて速度調整制御を行うなどの計算負荷を低減させるような対応をとっても良い。
(ステップ4)
用紙後端が搬送ローラ36とピンチローラ37のニップを越えた後(図5(c)の状態)にはテンションがゼロとなるので、排紙ローラ40の回転速度をωPに戻し、所定改行分の印字動作を行って印字が終了する。
以上のような搬送速度調整を行えば、搬送ローラ36と排紙ローラ40の2つのローラで用紙を搬送している際に排紙ローラ40上にかかるテンション力をゼロにすることが可能となる。
この搬送速度調整の制御は、用紙印字時に毎回行う必要はなく、最初の印字時に1回だけ搬送速度調整制御を行い、調整時に取得された排紙ローラの回転速度ω'をEEROM508やRAM503などの記憶手段に格納しておき、その後の印字にはω'を呼び出すという制御を行ってもよい。これによって調整制御に要する印字時の計算負荷を低減することができる。
このような「排紙ローラの回転速度ω'を記憶手段に格納しておき、必要に応じて呼び出すという制御」を実施する場合には、用紙紙種、用紙サイズ毎にω'を取得するようにしておけばさらに効果的である。なぜならば、用紙の紙種やサイズによって搬送パス経路から受けるテンションが異なるからである(主に紙とパスのμの違いによる)。
さらに、同じ用紙紙種、用紙サイズ条件でも、通紙履歴に応じて(例えば印字枚数の累積が一定値を超えたところで)、再度、搬送速度調整制御を行うようにしておけば、より高精度な搬送精度を確保することが可能となる。なぜならば、排紙ローラ上のスリップをゼロにして磨耗による排紙ローラ速度変化を低減させたとしても、紙紛の堆積や、搬送パス経路の磨耗によって、搬送速度が微小に変化してしまうからである。
テンションをかけたときに座屈しやすい、やわらかい紙(例えば普通紙)などは、2軸搬送時には、排紙ローラに搬送方向のテンション(つまり搬送ローラと排紙ローラで紙を引っ張り合うようなテンション)をかけた方が、よい場合もある。このような場合には、目標テンション量を予め設定しておき、搬送速度調整後にちょうどそのようなテンション量になるように式(9)のFEJ_BTに下駄を履かせてしまえばよい。そして、用紙の後端が搬送ローラを抜ける改行送りにおいてだけ、目標テンションがゼロとなるような搬送速度調整制御(前記の通常制御)を行うようにすればよい。こうすることで、2軸搬送時には用紙に必要最低限のテンションをかけ、用紙後端抜け時には排紙ローラの撓み解放による不安定要因を回避することができる。この場合、用紙の後端が搬送ローラを抜ける一改行前に排紙ローラ上のテンション量の測定を行い、次改行のローラ抜け送りの時に速度調整を行うようにすればよい。
以上のような構成をとれば、搬送ローラ36と排紙ローラ40の2つのローラで用紙を搬送している際に排紙ローラ40上にかかるテンション力をゼロにする(もしくは必要最低限の任意のテンション力を発生させる)ことが可能となる。結果、テンションに起因した排紙ローラのスリップ磨耗や、排紙ローラの撓みを回避し、高精度な用紙搬送を低コストで実現することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態で用いたモータ電流値による排紙ローラ上の負荷テンション量の検出ではなく、排紙ローラの撓みを検出することで排紙ローラ上の負荷テンション量を検出する。
図11のように、撓み検出手段としては、接触式の変位計などを、排紙ローラの最も撓みの大きい個所に近傍に設置すればよい。
ローラにかかるテンションと撓み量の関係は、単純な梁計算から求めることが可能で単純な1次関数となる。搬送速度調整制御としては、第1の実施形態のフローチャート内、(ステップ2−4)の式(8)を以下のように変更すればよいだけである。
Figure 2011111299
ここでDは、円柱に分布荷重をかけたときの梁計算から算出される係数であり、δは変位計から検出される撓み量δである。
以上のような構成をとれば、第1の実施形態と同様に、搬送ローラ36と排紙ローラ40の2つのローラで用紙を搬送している際に排紙ローラ上にかかるテンション力をゼロにする(もしくは必要最低限の任意のテンション力を発生させる)ことが可能となる。結果、テンションに起因した排紙ローラのスリップ磨耗や、排紙ローラの撓みを回避し、高精度な用紙搬送を低コストで実現することができる。
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態で用いたモータ電流値による排紙ローラ上の負荷テンション検出ではなく、排紙ローラの軸支位置の反力を検出することで排紙ローラ上の負荷テンションを検出する。
図12のように、反力検出手段としては、接触式の圧力センサなどを、排紙ローラの軸支位置に設置すればよい。
排紙ローラにかかる反力は、ローラにかかるテンションそのものであり、第1の実施形態のフローチャート内、(ステップ2−4)の式(8)のFそのものを検出していることになる。
以上のような構成をとれば、第1の実施形態と同様に、搬送ローラ36と排紙ローラ40の2つのローラで用紙を搬送している際に排紙ローラ上にかかるテンション力をゼロにする(もしくは必要最低限の任意のテンション力を発生させる)ことが可能となる。結果、テンションに起因した排紙ローラのスリップ磨耗や、排紙ローラの撓みを回避し、用紙の高精度な搬送制御を低コストで実現することができる。
7・・・・・記録ヘッド(記録手段)、35・・・・・搬送モータ(第1の駆動手段)、36・・・・・搬送ローラ(第1の搬送手段)、40・・・・・排紙ローラ(第2の搬送手段)、45・・・・・搬送モータ(第2の駆動手段)、501・・・・・制御用CPU、502・・・・・コントローラ、506・・・・・モータ、507・・・・・モータドライバ

Claims (8)

  1. 記録媒体に記録を行う記録手段に対して搬送方向上流に位置し、前記記録媒体を挟持して搬送する第1の搬送手段と、前記記録手段に対して搬送方向下流に位置し、前記記録媒体を挟持して搬送する第2の搬送手段と、前記第1の搬送手段を駆動する第1の駆動手段と、前記第2の搬送手段を駆動する第2の駆動手段と、前記各駆動手段の記録媒体搬送速度を制御するための制御手段と、記録媒体搬送時に、前記各搬送手段における搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段と、を有する記録装置において、
    前記第1の搬送手段と前記第2の搬送手段の両方で前記記録媒体を搬送する際に、前記制御手段は、前記搬送負荷検出手段によって前記第2の搬送手段にかかる搬送負荷を検出し、この検出された搬送負荷に基づいて、前記第1の搬送手段および前記第2の搬送手段の少なくとも一方の記録媒体搬送速度を調整することを特徴とする記録装置。
  2. 前記搬送負荷検出手段は、前記各駆動手段に供給される電流を検出する手段であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記搬送負荷検出手段は、搬送負荷によって発生する前記第2の搬送手段の撓み量を検出する手段であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  4. 前記第2の搬送手段は記録媒体を排出するためのローラを有し、前記搬送負荷検出手段は、搬送負荷によって発生する該ローラの軸支位置の反力を検出する手段であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  5. 前記制御手段は、前記記録媒体搬送速度の調整を、記録媒体の用紙紙種および/または用紙サイズに応じて実施することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の記録装置。
  6. 前記制御手段は、前記記録媒体搬送速度の調整は、記録媒体の通紙履歴に応じて実施することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の記録装置。
  7. 前記制御手段は、前記第1の搬送手段と前記第2の搬送手段の両方で前記記録媒体を搬送する際には、前記第2の搬送手段による記録媒体搬送速度が前記第1の搬送手段による記録媒体搬送速度よりも早くなるように、前記搬送負荷検出手段で検出した搬送負荷が所定の設定値となるべく、前記第1の搬送手段および前記第2の搬送手段の記録媒体搬送速度を調整し、
    前記第1の搬送手段から記録媒体の後端が抜け、前記第2の搬送手段によってのみ搬送が行われる用紙の受け渡しポイントでは、前記第2の搬送手段にかかる搬送負荷がゼロとなるように、前記各搬送手段の記録媒体搬送速度を調整することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の記録装置。
  8. 記録媒体に記録を行う記録手段に対して搬送方向上流に位置し、前記記録媒体を挟持して搬送する第1の搬送手段と、前記記録手段に対して搬送方向下流に位置し、前記記録媒体を挟持して搬送する第2の搬送手段と、前記第1の搬送手段を駆動する第1の駆動手段と、前記第2の搬送手段を駆動する第2の駆動手段と、記録媒体搬送時に、前記各搬送手段における搬送負荷を検出する搬送負荷検出手段と、を有する記録装置における搬送制御方法であって、
    前記第1の搬送手段と前記第2の搬送手段の両方で前記記録媒体を搬送する際に、前記搬送負荷検出手段によって前記第2の搬送手段にかかる搬送負荷を検出し、この検出された搬送負荷に基づいて、前記第1の搬送手段および前記第2の搬送手段の少なくとも一方の記録媒体搬送速度を調整することを特徴とする搬送制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016103719A (ja) * 2014-11-27 2016-06-02 株式会社リコー 搬送装置、モータ制御方法、画像読取装置および画像形成装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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