以下に、適宜図面が参照されて本発明の実施形態が説明される。なお、本実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態が適宜変更されてもよい。
図1は、本発明の実施形態に係る多機能装置1(画像形成装置)の外観構成を示すものである。また、図2は、多機能装置1の内部構成を示す縦断面図である。本多機能装置1は、下部にプリンタ部2を、上部にスキャナ部3を一体的に備えており、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する。多機能装置1のうちプリンタ部2が本発明に係る画像形成装置に相当し、プリンタ機能以外の機能は任意のものである。したがって、スキャナ部3がなく、スキャナ機能やコピー機能を有しない単機能のプリンタとして本発明が実施されてもよい。
プリンタ機能においては、多機能装置1が、主に不図示のコンピュータと接続され、プリンタ部2が、該コンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて、記録用紙(被記録媒体)に画像や文書を記録する。また、プリンタ部2は、多機能装置1に接続されたデジタルカメラ等の外部機器から出力される画像データを記録用紙に記録する。さらに、プリンタ部2は、多機能装置1に装着されたメモリカード等の各種記憶媒体に記憶された画像データ等を記録用紙に記録する。
スキャナ機能においては、スキャナ部3により読み取られた原稿(被読取媒体)の画像データがコンピュータに送信される。また、該画像データをメモリカード等の各種記憶媒体に記憶させることもできる。コピー機能においては、スキャナ部3により読み取られた画像データがプリンタ部2において記録用紙に記録される。ファクシミリ機能においては、スキャナ部3により読み取られた画像データが電話回線を通じてファクシミリ送信される。また、受信されたファクシミリデータは、プリンタ部2により記録用紙に記録される。
図1に示されるように、多機能装置1は高さより横幅及び奥行きが大きい幅広薄型の概ね直方体の外形である。多機能装置1の下部はプリンタ部2である。プリンタ部2は、正面に開口4が形成されている。開口4の内部に、給紙トレイ20及び排紙トレイ21が上下2段に設けられている。給紙トレイ20には、被記録媒体である記録用紙が収容される。給紙トレイ20は、A4サイズ以下のB5サイズ、はがきサイズ等の各種サイズの記録用紙を収容可能である。図1には示されていないが、給紙トレイ20は、装置正面側にスライドされることによりトレイ面が拡張される。拡張された給紙トレイ20は、リーガルサイズの記録用紙を収容可能である。給紙トレイ20に収容された記録用紙がプリンタ部2の内部へ給送されて所望の画像が記録され、排紙トレイ21へ排出される。
多機能装置1の上部はスキャナ部3である。スキャナ部3は、所謂フラットベッドスキャナとして構成されている。図1及び図2に示されるように、多機能装置1の天板として開閉自在に設けられた原稿カバー30の下側に、プラテンガラス31及びイメージセンサ32が設けられている。プラテンガラス31には、画像読取りを行う原稿が載置される。プラテンガラス31の下方には、多機能装置1の奥行き方向を主走査方向とするイメージセンサ32が、多機能装置1の幅方向(図2の紙面垂直方向)に往復動可能に設けられている。
原稿カバー30には、原稿トレイ33から不図示の原稿搬送路を経て排紙トレイ34へ原稿を連続搬送するADF5が備えられている。ADF5による搬送過程において、原稿がプラテンガラス31上に搬送され、プラテンガラス31の下方に待機されたイメージセンサ32により原稿の画像が読み取られる。本発明では、スキャナ部3及びADF5は任意の構成であり、本発明に直接関係しないので、本明細書においては詳細な説明が省略される。
多機能装置1の正面上部には、プリンタ部2やスキャナ部3を操作するための操作パネル6が設けられている。操作パネル6は、各種操作ボタン35や液晶ディスプレイ36から構成されている。多機能装置1は、操作パネル6からの操作指示に基づいて動作される。多機能装置1が外部のコンピュータに接続されている場合には、該コンピュータからプリンタドライバ又はスキャナドライバを介して送信される指示に基づいても多機能装置1が動作される。
多機能装置1の正面には、スロット部7が設けられている。スロット部7には、記憶媒体である各種小型メモリカードが装填される。操作パネル6において所定の操作が行われることにより、スロット部7に装填された小型メモリカードに記憶された画像データが読み出される。読み出された画像データに関する情報は、例えば液晶ディスプレイ36に表示され、操作ボタン35の操作に基づいて任意に選択された画像がプリンタ部2により記録用紙に記録される。
以下に、適宜図面が参照されて多機能装置1の内部構成、特にプリンタ部2の構成が説明される。図2に示されるように、多機能装置1の底側に設けられた給紙トレイ20の奥側には、装置背面側へ倒れるように傾斜した分離傾斜板22が設けられている。分離傾斜板22は、給紙トレイ20から給送された記録用紙を分離して上方へ案内する。分離傾斜板22の上方には用紙搬送路23が形成されている。用紙搬送路23は、分離傾斜板22から上方へ向かった後、正面側へ曲がって、多機能装置1の背面側から正面側へと延び、画像記録ユニット24を通過して排紙トレイ21へ通じている。給紙トレイ20に収容された記録用紙は、用紙搬送路23により下方から上方へUターンするように案内されて画像記録ユニット24に至り、画像記録ユニット24により画像記録が行われた後、排紙トレイ21に排出される。
図3は、プリンタ部2の主要構成を示す部分拡大断面図である。図3に示されるように、給紙トレイ20の上側には、給紙ローラ25が設けられている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に積載された記録用紙に圧接して分離傾斜板22へ給送する。給紙ローラ25は、給紙アーム26の先端に軸支されている。給紙ローラ25は、複数のギアが噛合されてなる駆動伝達機構27により、LFモータ78(図8参照)の駆動が伝達されて回転される。
給紙アーム26は、基軸26aを回動軸として、給紙トレイ20に接離可能に上下動される。図3に示されるように、給紙アーム26は、自重により給紙トレイ20に接触するように下側に回動され、給紙ローラ25が給紙トレイ20に接触される。給紙トレイ20及び排紙トレイ21が開口4から挿抜される際には、給紙アーム26が上側へ退避される。給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙の表面に圧接された状態で回転されると、給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間の摩擦力によって最上位置の記録用紙が分離傾斜板22へ給送される。記録用紙は、その先端が分離傾斜板22に当接して上方へ、つまり用紙搬送路23へ案内される。給紙ローラ25によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その直下の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出される場合があるが、該記録用紙は分離傾斜板22との当接によって制止される。
用紙搬送路23は、画像記録ユニット24等が配設されている箇所以外は、所定間隔で対向する外側ガイド面と内側ガイド面とから構成されている。例えば、多機能装置1の背面側の用紙搬送路23は、外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とがフレーム内に固定されることにより構成されている。外側ガイド部材18には、搬送コロ17が設けられている。搬送コロ17は、外側ガイド部材18のガイド面からローラ面が露出されて、用紙搬送路23の幅方向を軸方向として外側ガイド部材18に回転自在に支持されている。搬送コロ17によって、用紙搬送路23がU字に曲がっている箇所において外側ガイド面に接触する記録用紙の搬送が円滑となる。
図3に示されるように、用紙搬送路23には、画像記録ユニット24が設けられている。画像記録ユニット24は、記録ヘッド39を搭載して主走査方向へ往復動するキャリッジ38を備えている。キャリッジ38の詳細な構造については後述される。記録ヘッド39は、多機能装置1内の記録ヘッド39から離れた位置に設けられたインクカートリッジからインクチューブ41(図4参照)を通じてシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクが供給され、各インクを微小なインク滴として選択的に吐出する。キャリッジ38が往復動される間に、記録ヘッド39からインク滴が選択的に吐出されることにより、プラテン42上を搬送される記録用紙に画像記録が行われる。
図4は、プリンタ部2の主要構成を示す平面図である。図4に示されるように、用紙搬送路23の上側において記録用紙の搬送方向(図4の上下方向)に所定距離を隔てられて、一対のガイドレール43,44が記録用紙の搬送方向と直交する方向(図4の左右方向)に延設されている。キャリッジ38は、ガイドレール43,44を跨ぐようにして記録用紙の搬送方向と直交する水平方向に往復動可能に載置されている。記録用紙の搬送方向の上流側に配設されたガイドレール43は、用紙搬送路23の幅方向の長さがキャリッジ38の往復動範囲より長い平板状のものである。ガイドレール43の搬送方向下流側の上面がガイド面43Aであり、ガイド面43Aがキャリッジ38の上流側の端部を摺動可能に支持する。
記録用紙の搬送方向の下流側に配設されたガイドレール44は、用紙搬送路23の幅方向の長さがガイドレール43とほぼ同じ長さの平板状のものである。ガイドレール44において、上流側の縁部45は、上方へ向かって略直角に曲折されている。ガイドレール44の搬送方向下流側の上面がガイド面44Aであり、ガイド面44Aがキャリッジ38の下流側の端部を摺動可能に支持する。また、キャリッジ38は、縁部45を不図示のローラ等により狭持する。これにより、キャリッジ38が、ガイドレール43,44のガイド面43A,44A上に摺動自在に担持され、ガイドレール44の縁部45を基準として、記録用紙の搬送方向と直交する水平方向に往復動可能となる。
ガイドレール44の上面には、ベルト駆動機構46がガイドレール44に沿って設けられている。ベルト駆動機構46は、用紙搬送路23の幅方向の両端付近にそれぞれ設けられた駆動プーリ47と従動プーリ48との間に、内側に歯が設けられた無端環状のタイミングベルト49が張り渡されたものである。タイミングベルト49とキャリッジ38とが連結されることにより、ベルト駆動機構46の動作に基づいてキャリッジ38が往復動される。
駆動プーリ47は、ガイドレール44のガイド面44Aと直交する方向を軸として、ガイドレール44の上面の一方端(図4では右端)に回転自在に設けられている。つまり、駆動プーリ47の軸は鉛直方向である。図4には表れていないが、ガイドレール44の下側にはCRモータ80(駆動源、図8参照)が設けられており、CRモータ80から駆動プーリ47の軸に駆動力が入力される。これにより、駆動プーリ47が回転される。
図5は、従動プーリ48付近の構造を示す拡大平面図である。従動プーリ48は、プーリホルダ50に回転自在に支持されている。ガイドレール44において、プーリホルダ50が取り付けられる位置には取付孔51が穿たれている。取付孔51にプーリホルダ50が嵌め込まれ、取付孔51の周縁とプーリホルダ50とが嵌合されることにより、プーリホルダ50がガイドレール44に取り付けられる。この状態で、従動プーリ48は、ガイドレール44のガイド面44Aと直交する方向を軸として回転自在である。つまり、従動プーリ48の軸は鉛直方向である。また、従動プーリ48は、駆動プーリ47からガイドレール44の延出方向に、ほぼガイドレール44の幅分だけ隔てられている。
図4に示されるように、駆動プーリ47及び従動プーリ48には、タイミングベルト49が張り渡されている。図4には表れていないが、駆動プーリ47の外周にはタイミングベルト49の内歯と噛合する平歯が形成されている。これにより、駆動プーリ47の回転がタイミングベルト49に確実に伝達され、タイミングベルト49が周運動される。図5に示されるように、プーリホルダ50と取付孔51の周縁から切り起こされたバネ支持片53との間には、コイルバネ53が圧縮状態で介設されている。コイルバネ53により、プーリホルダ50がガイドレール44の外側(図5の左側)へ付勢される。これにより、タイミングベルト49に適度な張力が付与される。なお、本実施形態では無端環状のタイミングベルト49が用いられているが、これに代えて有端のタイミングベルトが用いられてもよい。その場合、タイミングベルトの両端がキャリッジ38に連結される。
キャリッジ38は、タイミングベルト49に連結されている。タイミングベルト49が周運動されると、キャリッジ38が縁部45を基準としてガイドレール43,44上を往復動する。キャリッジ38に記録ヘッド39が搭載されることにより、記録ヘッド39が、用紙搬送路23の幅方向を主走査方向として往復動可能となっている。キャリッジ38とタイミングベルト49との連結構造については後述される。
ガイドレール44の縁部45に沿って、リニアエンコーダ84(図8参照)のエンコーダストリップ54が配設されている。リニアエンコーダ84は、エンコーダストリップ54をキャリッジ38に搭載されたフォトインタラプタ55により検出するものである。リニアエンコーダ84の検出信号に基づいて、キャリッジ38の往復動が制御される。
図4に示されるように、用紙搬送路23の下側には、記録ヘッド39と対向してプラテン42が配設されている。プラテン42は、キャリッジ38の往復動範囲のうち、記録用紙が通過する中央部分に渡って配設されている。プラテン42の幅は、搬送可能な記録用紙の最大幅より十分に大きいものであり、記録用紙の両端は常にプラテン42の上を通過する。
記録用紙が通過しない範囲、すなわち記録ヘッド39による画像記録範囲外には、パージ機構56や廃インクトレイ57等のメンテナンスユニットが配設されている。パージ機構56は、記録ヘッド39のノズル60(図6参照)から気泡や異物を吸引除去するためのものである。パージ機構56は、記録ヘッド39のノズル60を覆うキャップ58と、キャップ58を通じて記録ヘッド39に接続されるポンプ機構と、キャップ58を記録ヘッド39のノズル60に接離させるための移動機構とからなる。なお、図4においては、ポンプ機構及び移動機構は、ガイドレール43,44及びキャップ58の下方にあるため図に表れていない。記録ヘッド39の気泡等の吸引除去を行う際には、記録ヘッド39がキャップ58上に位置するようにキャリッジ38が移動され、その状態でキャップ58が上方へ移動されて記録ヘッド39の下面のノズル60を密閉するように密着し、キャップ58と連結されたポンプにより記録ヘッド39のノズル60からインクが吸引される。
廃インクトレイ57は、フラッシングと呼ばれる記録ヘッド39からのインクの空吐出を受けるためのものである。廃インクトレイ57は、キャリッジ38の往復動範囲内であって画像記録範囲外に、プラテン42と一体に設けられている。これらメンテナンスユニットにより、記録ヘッド39内の気泡や混色インクの除去等のメンテナンスが行われる。
記録ヘッド39には、不図示のインクカートリッジと連結されたインクチューブ41を通じてインクが供給される。インクカートリッジはインク色毎に設けられており、各色毎に独立したインクチューブ41により記録ヘッド39へ各色インクが供給される。各インクチューブ41は、合成樹脂製のチューブであり、キャリッジ38の往復動に従って撓む可撓性を有する。
インクカートリッジと連結された各インクチューブ41は、装置の幅方向に沿って中央付近まで引き出されて、装置フレームの固定クリップ59に固定されている。なお、図4では、固定クリップ59からインクカートリッジ側へ延出されるインクチューブ41は省略されている。固定クリップ59からキャリッジ38までにおいて、インクチューブ41は装置フレーム等に固定されておらず、キャリッジ38の往復動に追従して姿勢変化する。すなわち、キャリッジ38が往復動方向の一端(図4の左側)へ移動するに従い、各インクチューブ41は、U字形状の湾曲部分の曲げ半径が小さくなるように撓みながら、キャリッジ38の移動方向へ移動する。一方、キャリッジ38が往復動方向の他端(図4の右側)へ移動するに従い、各インクチューブ41は、湾曲部分の曲げ半径が大きくなるように撓みながら、キャリッジ38の移動方向へ移動する。
図6は、記録ヘッド39のノズル面を示す底面図である。図6に示されるように、記録ヘッド39は、その下面に開口するノズル60を有する。ノズル60は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の各色インク毎に記録用紙の搬送方向に列設されている。なお、図6において、上下方向が記録用紙の搬送方向であり、左右方向がキャリッジ38の往復動方向である。そして、CMYBkの各色インクのノズル60が主走査方向に並んでいる。各ノズル60の搬送方向のピッチや数は、記録画像の解像度等を考慮して適宜設定される。また、カラーインクの種類数に応じてノズル60の列数は増減されてもよい。
図7は、記録ヘッド39の内部構成を示す部分拡大断面図である。図7に示されるように、記録ヘッド39の下面に形成されたノズル60の上流側には、圧電素子61を備えたキャビティ62が形成されている。圧電素子61は所定の電圧が印加されることにより変形されて、キャビティ62の容積が減少される。このキャビティ62の容積変化によって、キャビティ62内のインクがノズル60からインク滴として吐出される。
キャビティ62は、各ノズル60毎に設けられており、複数のキャビティ62に渡ってマニホールド63が形成されている。マニホールド63は、CMYBkの各色インク毎に設けられている。マニホールド63の上流側にはバッファタンク64が形成されている。バッファタンク64も、CMYBkの各色インク毎に設けられている。各バッファタンク64には、インクカートリッジ40からインクチューブ41を通じてインク供給口65からインクが供給される。バッファタンク64に一旦インクが貯留されることにより、インクチューブ41等でインク内に発生した気泡が捕捉され、キャビティ62及びマニホールド63に気泡が進入することが防止される。バッファタンク64内で捕捉された気泡は、気泡排出口66から不図示のポンプ機構により吸引除去される。バッファタンク64からマニホールド63へ供給されたインクは、マニホールド63により各キャビティ62に分配される。
このようにして、インクカートリッジ40からインクチューブ41を通じて供給された各色インクに対して、バッファタンク64、マニホールド63を介してキャビティ62へ流れるインク通路が形成される。このインク通路を通じて供給されたCMYBkの各色インクが、各圧電素子61の選択的な変形により、ノズル60からインク滴として記録用紙に選択的に吐出される。
図3に示されるように、画像記録ユニット24の上流側には、搬送ローラ67が設けられている。図3には表れていないが、搬送ローラ67の対向位置にはピンチローラが設けられている。ピンチローラは搬送ローラ67に圧接可能に付勢されている。搬送ローラ67とピンチローラとの間に記録用紙が進入すると、ピンチローラは記録用紙の厚み分だけ退避して該記録用紙を搬送ローラ67とともに狭持する。これにより、搬送ローラ67の回転力が確実に記録用紙へ伝達される。そして、該記録用紙がプラテン42上へ搬送される。
画像記録ユニット24の下流側には、排紙ローラ68が設けられている。排紙ローラ68の対向位置には、拍車ローラ69が設けられている。拍車ローラ69は、排紙ローラ68に圧接されており、排紙ローラ68及び拍車ローラ69により、記録済みの記録用紙が狭持されて搬送される。拍車ローラ69も排紙ローラ68に対して上記ピンチローラと同様に圧接可能に付勢されたものであるが、記録済みの記録用紙と圧接するので、記録用紙に記録された画像を劣化させないようにローラ面が拍車状に凹凸されている。
搬送ローラ67及び排紙ローラ68は、LFモータ78から駆動力が伝達されて、所定の改行幅で間欠駆動される。搬送ローラ67及び排紙ローラ68の回転は同期されており、搬送ローラ67に設けられたロータリーエンコーダ83(図8参照)が、搬送ローラ67とともに回転するエンコーダディスク70をフォトインタラプタで検出することにより、搬送ローラ67及び排紙ローラ68の回転が制御される。
図8は、多機能装置1の制御部71の構成を示すブロック図である。制御部71は、プリンタ部3のみでなくスキャナ部2も含む多機能装置1の全体動作を制御するものであるが、スキャナ部3は本発明の主要な構成ではないので詳細な説明は省略される。制御部71は、図に示すように、CPU(Central Processing Unit)72、ROM(Read Only Memory)73、RAM(Random Access Memory)74、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)75を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス76を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)77に接続されている。
ROM73には、多機能装置1の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。RAM74は、CPU72が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。また、EEPROM75には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
ASIC77は、CPU72からの指令に従い、LFモータ78に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をLFモータ78の駆動回路79に付与し、駆動回路79を介して駆動信号をLFモータ78に通電することにより、LFモータ78の回転制御を行っている。
駆動回路79は、給紙ローラ25、搬送ローラ67、排紙ローラ68、及びパージ機構56に接続されたLFモータ78を駆動させるものであり、ASIC77からの出力信号を受けて、LFモータ78を回転するための電気信号を形成する。該電気信号を受けてLFモータ78が回転し、該LFモータ78の回転力がギアや駆動軸等からなる周知の駆動機構を介して、給紙ローラ25、搬送ローラ67、排紙ローラ68、及びパージ機構56へ伝達される。
ASIC77は、CPU72からの指令に従い、CRモータ80に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をCRモータ80の駆動回路81に付与し、駆動回路81を介して駆動信号をCRモータ80に通電することにより、CRモータ80の回転制御を行っている。
駆動回路81は、キャリッジ38に接続されたCRモータ80を駆動させるものであり、ASIC77からの出力信号を受けて、CRモータ80を回転するための電気信号を形成する。該電気信号を受けてCRモータ80が回転し、CRモータ80の回転力がベルト駆動機構46を介して、キャリッジ38へ伝達されことによりキャリッジ38が往復動される。このようにして、キャリッジ38の往復動が制御部71により制御される。
駆動回路82は、記録ヘッド39から所定のタイミングでインクを記録用紙に対して選択的に吐出させるものであり、CPU72から出力される駆動制御手順に基づいてASIC77において生成された出力信号を受け、記録ヘッド39を駆動制御する。
ASIC77には、搬送ローラ67の回転量を検出するためのロータリーエンコーダ83、キャリッジ38の移動量を検出するためのリニアエンコーダ84が接続されている。また、ASIC77には、スキャナ部3や、多機能装置1の操作指示を行うための操作パネル6、各種小型メモリカードが挿入されるスロット部7、パソコン等の外部機器とパラレルケーブルやUSBケーブルを介してデータの送受信を行うためのパラレルインタフェース85及びUSBインタフェース86等が接続されている。さらに、ファクシミリ機能を実現するためのNCU(Network Control Unit)87やモデム(MODEM)88が接続されている。
図4に示されるように、制御部71は不図示のメイン基板により構成されており、メイン基板から記録ヘッド39へはフラットケーブル89を通じて記録用信号等の伝送が行われる。フラットケーブル89は、電気信号を伝送する導体をポリエステルフィルム等の合成樹脂フィルムで覆って絶縁した薄帯状のものであり、メイン基板と記録ヘッド39の制御基板(不図示)とを電気的に接続している。フラットケーブル89は、キャリッジ38から往復動方向へ導出され、上下方向に略U字形状に曲折されており、この略U形状の部分は、他の部材に固定されておらず、キャリッジ38の往復動に追従して姿勢変化する。
以下に、キャリッジ38の構成が詳述される。図9は、キャリッジ38の外観構成を示す拡大平面図である。図10は、キャリッジ38の右側面図である。図11は、キャリッジ38のXI−XI断面図である。図12は、摺動部材91,コイルバネ92,ギャップ調整部材93の構成を示す分解斜視図である。図13から図16は、ギャップ調整部材93をスライド移動させた状態のキャリッジ38を示す右側面図及び断面図である。なお、図9では、ガイドレール43が省略されており、図10から図16では、ガイドレール43,44が省略されている。
図9から図11に示されるように、キャリッジ38は、記録ヘッド39を搭載するキャリッジ本体90と、ガイドレール43,44にそれぞれ摺接してキャリッジ本体90を所定高さに支持する摺動部材91と、摺動部材91を上方へ弾性付勢するコイルバネ92(付勢部材)と、キャリッジ本体90と摺動部材91との間に介設されたギャップ調整部材93とを具備する。摺動部材91、コイルバネ92、ギャップ調整部材93は、ガイドレール43,44に対応して、キャリッジ本体90の記録用紙搬送方向両側にそれぞれ組み付けられているが、これらは同様の構成なので、以下、記録用紙搬送方向下流側、つまりガイドレール44側の構成を例に説明する。
図12に示されるように、摺動部材91は、ガイドレール43,44に摺接する摺接板94と、摺接板94から延出された足部95とを有する。摺接板94は短手方向の長さがギャップ調整部材93の短手方向の長さと略同一の矩形の平板であり、その底面がガイドレール43,44のガイド面43A,44Aに接触しながら摺動される。摺接板94の上面には、長手方向の縁部に沿って一対の突条96が形成されており、一対の突条96がギャップ調整部材93の底面に均等に当接することにより、摺接板94の底面がガイドレール43,44のガイド面43A,44Aと平行に位置決めされる。
足部95は、摺接板94の上面の略中央から該上面と略直交する方向へ延出されている。足部95は、摺接板94の長手方向に延びる平板形状であり、その平板形状の厚み方向に貫通する案内溝97が、足部95の延出方向に形成され、足部95の延出端(図12の上側)に開口している。この案内溝97に、後述されるキャリッジ本体90の支持リブ103(支持部材)が嵌挿され、摺動部材91が案内溝97に沿って移動可能に支持される。足部95の延出端の両側には、摺接板94の長手方向の外側へ向かって突出する係止部98が形成されている。係止部98は、図12に示されるように、摺接板94を留め板99に係止させるためのものである。留め板99には、足部95を挿入するための貫通孔100が穿設されている。貫通孔100の幅は、一対の係止部98の外縁の間より狭い。一対の係止部98は、いわばスナップフィットのように、案内溝97の溝幅を狭めるように内側へ押圧されることにより弾性変形される。その状態で、一対の係止部98が留め板99の貫通孔100を挿通され、押圧が解除されると、一対の係止部98が弾性復帰して貫通孔100の周縁より外側へ突出する。この一対の係止部98により、足部95が貫通孔100から抜け出ないように、摺接板94が留め板99に係止される。
図11に示されるように、キャリッジ本体90の記録用紙搬送方向の下流側には、キャリッジ38のスライド方向(図11の左右方向)に隔てられて支持部材101が設けられている。支持部材101は、摺動部材91を上下動可能に支持する。支持部材101は、コイルバネ92の外径より若干大きい内径の凹部が下方向に凹陥されたものであり、該凹部の底面に、摺動部材91の足部95が挿通される貫通孔102と、摺動部材91の案内溝97に嵌入される支持リブ103とが形成されている。この支持リブ103が、摺動部材91の案内溝97に嵌入されることにより、摺動部材91が、案内溝97に沿って上下動可能に支持部材101に支持される。
図11及び図12に示されるように、ギャップ調整部材93は、細長棒状の平板であり、摺動部材91と支持リブ103との間に介設される。ギャップ調整部材93は、その長手方向に隔てられて一対の調整部位104が形成されている。各調整部位104は、その肉厚(図11の上下方向)がギャップ調整部材93のスライド方向に3段階に変化されている。詳細には、最も薄肉の薄肉部105と、真ん中の中肉部106と、最も厚肉の厚肉部107とが、一方向に肉厚が段階的に変化するように隣接して形成されている。薄肉部105,中肉部106,厚肉部107の各上面は水平面であり、各上面の長手方向の長さは、摺動部材91の足部95の長手方向の長さより若干長くなっている。また、薄肉部105,中肉部106,厚肉部107の各上面の境界には、厚み変化を緩やかにするための傾斜面がそれぞれ形成されている。
各調整部位104には、薄肉部105,中肉部106,厚肉部107に渡って厚み方向に貫通する長孔108が、ギャップ調整部材93の短手方向の略中央に形成されている。長孔108の短手方向の幅(図11の紙面垂直方向)は、摺動部材91の足部95の厚みより若干広く、この長孔108に足部95が貫通される。長孔108に貫通された足部95の延出端は、図11に示されるように、キャリッジ本体90の支持部材101の貫通孔102に挿通される。また、足部95の案内溝97には、支持リブ103が嵌入される。そして、図11及び図12に示されるように、足部95の係止部98が留め板99に係止される。
留め板99と支持部材101との間には、コイルバネ92が介設されており、コイルバネ92により、留め板99には上方向の弾性付勢力が付与される。この弾性付勢力が、留め板99を介して摺動部材91に作用し、摺動部材91は、支持リブ103が許容する上下動範囲内で最も上側に位置するように弾性付勢される。また、支持リブ103と摺動部材91の摺接板94との間には、ギャップ調整部材93が介設されているので、ギャップ調整部材93の調整部位104の肉厚分だけ、摺動部材91が弾性付勢力に反して下側へ移動される。調整部位104には、前述されたように長孔108が形成されているので、ギャップ調整部材93は、摺動部材91の足部95を肉厚方向に貫通させた状態でスライド移動可能である。ギャップ調整部材93がスライド移動することにより、支持リブ103と摺接板94との間に位置する調整部位104の肉厚が変化され、その肉厚変化により、摺動部材91の上下方向の位置が変化される。
このように、摺動部材91の摺接板94の略中央に足部95を設け、該足部95ギャップ調整部材93の長孔108に摺動部材91の足部95を貫通させることにより、コイルバネ92の弾性付勢力が、摺接板94の略中央に作用するので、コイルバネ92の弾性付勢力に対して、摺動部材91及びギャップ調整部材93の姿勢が安定する。コイルバネ92の弾性付勢力は、摺動部材91が、ガイドレール43,44の上面を摺動することにより生ずる回転モーメントを抑え、且つ、ギャップ調整部材93のスライド移動を許容する程度に調整される。
摺動部材91は、足部95の案内溝97に支持リブ103が嵌入されることにより、ギャップ調整部材93のスライド方向に対して位置決めされる。さらに、足部95がギャップ調整部材93の調整部位104の長孔108に貫通されることにより、摺動部材91は、記録用紙搬送方向に対して位置決めされる。さらに、摺接板94がギャップ調整部材93の底面に当接されることにより、摺接板94の摺接面(底面)がガイドレール43,44の上面に対して平行に位置決めされる。これにより、摺動部材91の上下動に際して捻れや回転が生じず、キャリッジ38をガイドレール43,44上に水平に支持することができる。また、支持リブ103が、摺動部材91が上下動可能に支持されるとともに、ギャップ調整部材93と当接されることにより、キャリッジ38の往復動方向の幅が小さな構成で、摺動部材91を上下動させる構成が実現される。
図9及び図11に示されるように、摺動部材91と支持リブ103との間に介設されたギャップ調整部材93は、そのスライド方向両端がキャリッジ本体90からそれぞれ突出する長さである。このスライド方向両端が、ガイドレール43,44の両端を切り起こして形成された当接部位109,110(図4参照)に当接されることにより、ギャップ調整部材93のスライド位置が変化される。ギャップ調整部材93のスライド方向両端を当接させるための部材は特に限定されず、ガイドレール43,44の所定位置を切り起こす他、装置フレームを当接部材としたり、当接部材を所定位置に配設する等の構成を適宜採用することができる。
図9及び図10に示されるように、摺動部材91、コイルバネ92、及びギャップ調整部材93がキャリッジ本体90の搬送方向両側にそれぞれ設けられ、キャリッジ本体90には、摺動部材91を支持するための支持部材101がそれぞれ設けられている。図9に示されるように、キャリッジ本体90の記録用紙搬送方向の下流側には、2つの摺動部材91が配設され、この2つの摺動部材91が一つのギャップ調整部材93のスライド位置により上下動されるように構成されている。一方、キャリッジ本体90の記録用紙搬送方向の上流側には、1つの摺動部材91が配設され、この1つの摺動部材91を上下動すべく、ギャップ調整部材93の中央に調整部位104が形成されている。
記録用紙搬送方向の上流側及び下流側の各ギャップ調整部材93が各摺動部材91を所定の高さに保持する位置は連係されている。したがって、キャリッジ38の往復動により、各ギャップ調整部材93のスライド方向両端が当接されて変動するスライド位置は、3つの摺動部材91がキャリッジ本体90の上流側及び下流側を同じ高さに保持するものとなる。つまり、キャリッジ本体90は、常にガイドレール43,44のガイド面43A,44Aに対して平行に維持され、キャリッジ本体90に搭載された記録ヘッド39を水平に維持した状態で、キャリッジ本体90が上下動される。これにより、記録ヘッド39とプラテン42上の記録用紙とのギャップが、画像記録領域で水平に維持されるので、精度のよい画像記録が実現される。なお、摺動部材91の数は適宜変更することが可能であり、例えば、キャリッジ本体90の記録用紙搬送方向の上流側にも、下流側と同様に、2つの摺動部材91を設けることとしてもよい。
また、図10に示されるように、記録用紙搬送方向の上流側及び下流側の各摺動部材91の内側には、支持部111がキャリッジ本体90にそれぞれ形成されている。支持部111は、キャリッジ本体90の底面側から下方に突出されており、摺動部材91がキャリッジ本体90に最も没入された際に、ガイドレール43,44のガイド面43A,44Aにそれぞれ当接して、キャリッジ本体90の高さを決める。
図10に示されるように、記録用紙搬送方向の下流側のキャリッジ本体90の下端には、下方へ延出されて内側へ鈎状に曲折されたL字部材112が形成されている。L字部材112は、キャリッジ38がガイドレール43,44上に載置された状態で、その鈎状の先端がガイドレール44の縁部を跨いで下面側に位置する。L字部材112の鈎状の先端とガイドレール44の下面とは所定の間隙が設けられている。キャリッジ38がガイドレール44から浮き上がると、L字部材112の鈎状の先端がガイドレール44の下面に当接して、キャリッジ38が更に浮き上がることが防止される。このL字部材112により、キャリッジ38は、ガイドレール44に上下方向に所定のガタを持たせて係合される。
このように構成されたキャリッジ38を、制御部71は、ギャップ調整部材93のスライド方向両端を当接部位109,110に当接させてスライド位置を変化させるべく、キャリッジ38の往復動を制御する。以下、その動作について説明する。
図4に示されるように、記録ヘッド39を搭載したキャリッジ38は、一対のガイドレール43,44に跨るように載置されて、制御部71により、記録用紙の搬送方向と交差する方向に往復動される。キャリッジ38が往復動される際に、制御部71の制御信号に基づいて、記録ヘッド39からインク滴が選択的に吐出され、プラテン42上を搬送されている記録用紙に所望の画像記録がなされる。
記録ヘッド39を搭載したキャリッジ38は、キャリッジ本体90の支持部111又は摺動部材91により、ガイドレール43,44のガイド面43A,44A上の所定高さに支持されている。この所定高さは、被記録媒体である記録用紙や封筒などの厚み、記録画像の解像度により、制御部71により選択される。本実施形態では、前述したように、ギャップ調整部材93の調整部位104の肉厚により、キャリッジ38の高さが3段階に変化される。
制御部71は、キャリッジ38を往復動させて、ギャップ調整部材のスライド方向両端をガイドレール43,44の両端に形成された当接部位109,110に選択的に当接させる。制御部71が、3段階のキャリッジ38の高さのうちいずれを選択するかは、プリンタドライバ等から多機能装置1に送信された情報が示す被記録媒体の厚みや、記録画像の解像度による。一般に、制御部71は、被記録媒体が厚紙や封筒である場合には、記録ヘッド39をプラテン42から離すべく、キャリッジ38の高さを高くする。また、記録画像の解像度が高解像である場合には、記録ヘッド39から吐出されるインク滴が小さくなるので、記録ヘッド39をプラテン42に近づけるべく、キャリッジ38の高さを低くする。このように、キャリッジ38の高さ選択の条件は、被記録媒体の厚みや記録画像の解像度に対応させて予め設定されており、ROM73に格納されている。
本実施形態では、通常の状態で、図10及び図11に示されるように、キャリッジ38の高さが3段階の真ん中の高さに設定されているとする。この3段階の真ん中の高さは、ギャップ調整部材93の調整部位104の中肉部106が、支持リブ103と摺動部材91の摺接板94との間に介在された状態である。この状態で、図10に示されるように、摺接板94の下面が、キャリッジ本体90の支持部111より下側に突出されて、キャリッジ38が摺動部材91により3段階の真ん中の高さに維持される。この状態での摺接板94の下面、すなわちガイドレール44のガイド面44Aから記録ヘッド39の下面までの距離をD1とし、記録ヘッド39からプラテン42の上面までの距離をD2とする。なお、図10から図16においては、ガイドレール43,44及びプラテン42は省略されている。
制御部71は、キャリッジ38の高さを高くする場合には、キャリッジ38をキャップ58が設けられた側(図4の右側)に移動させるべく、CRモータ80を所定方向へ回転駆動させる。ガイドレール43,44上をキャップ58側へ摺動されたキャリッジ38が、キャップ58の直上に位置すると、キャップ58が上方へ移動して記録ヘッド39の下面に密着する。これを受けて、キャリッジ38は、ガイドレール43,44から若干浮き上がる。なお、前述されたように、L字部材112によりキャリッジ38がガイドレール44から完全に離れることはないので、キャリッジ38がガイドレール43,44から外れることはない。
キャリッジ38がキャップ58上へ移動される際に、キャリッジ38から外側へ突出していたギャップ調整部材93の端部が、当接部位109に当接する。ギャップ調整部材93の一方の端部(図4の右側)が当接部位109に当接した状態で、更にキャリッジ38が移動されることにより、図14に示されるように、ギャップ調整部材93がキャリッジ本体90に対して図14の左側へスライドし、ギャップ調整部材93の一方の端部がキャリッジ本体90内に没入するように、そのスライド位置が変化する。これにより、ギャップ調整部材93の調整部位104の厚肉部107が、支持リブ103と摺動部材91の摺接板94との間に介在された状態となる。この状態で、図13に示されるように、摺接板94の下面が、キャリッジ本体90の支持部111より下側に突出して、キャリッジ38が摺動部材91により3段階の最も高い高さに維持される。
ギャップ調整部材93は、CRモータ80の駆動力を受けてガイドレール43,44上を往復動されるキャリッジ38の慣性力により、コイルバネ92の弾性付勢力及びキャリッジ38の重量に反して支持リブ103と摺接板94との距離を拡げる方向にスライドされるが、前述されたように、キャップ58が記録ヘッド39の下面に密着することにより、キャリッジ38がガイドレール43,44から若干浮き上がるので、ギャップ調整部材93のスライドに際してキャリッジ38の重量が作用しない。これにより、ギャップ調整部材93をスライドさせるために、CRモータ80に要求されるトルクが低減される。
この状態での摺接板94の下面、すなわちガイドレール44のガイド面44Aから記録ヘッド39の下面までの距離をD3とし、記録ヘッド39からプラテン42の上面までの距離をD4とする。摺接部材86がキャリッジ本体90から下方へ更に突出することにより、キャリッジ38はガイドレール43,44上の垂直上方へ移動されるので、D1>D3となる。その結果、記録ヘッド39の下面がプラテン42から遠ざかってD2<D4となり、厚みのある被記録媒体がプラテン42上に搬送された際に、被記録媒体が記録ヘッド39に接触することが防止される。また、被記録媒体の厚み変化による記録ヘッド39から被記録媒体までの距離、すなわちギャップの変化が、キャリッジ38の高さにより調整される。
制御部71は、キャリッジ38の高さを低くする場合には、キャリッジ38を廃インクトレイ57が設けられた側(図4の左側)に移動させるべく、CRモータ80を所定方向へ回転駆動させる。ガイドレール43,44上を廃インクトレイ57側へ摺動したキャリッジ38が、ガイドレール43,44の端部へ移動する際に、キャリッジ38から外側へ突出していたギャップ調整部材93の他方の端部(図4の左側)が、当接部位110に当接する。ギャップ調整部材93の他方の端部が当接部位110に当接した状態で、更にキャリッジ38が移動されることにより、図16に示されるように、ギャップ調整部材93がキャリッジ本体90に対して図16の右側へスライドし、ギャップ調整部材93の他方の端部がキャリッジ本体90内に没入するように、そのスライド位置が変化する。これにより、ギャップ調整部材93の調整部位104の薄肉部105が、支持リブ103と摺動部材91の摺接板94との間に介在された状態となる。この状態で、図15に示されるように、摺接板94の下面が、キャリッジ本体90の支持部111より上側に没入して、キャリッジ38が支持部111により3段階の最も低い高さに維持される。
この状態での支持部111の下面、すなわちガイドレール44のガイド面44Aから記録ヘッド39の下面までの距離をD5とし、記録ヘッド39からプラテン42の上面までの距離をD6とする。摺接部材86がキャリッジ本体90側に没入することにより、キャリッジ38はガイドレール43,44上の垂直下方へ移動されるので、D1<D5となる。その結果、記録ヘッド39の下面がプラテン42に近づいてD2>D6となり、記録ヘッド39から小さなインク滴を吐出して高解像度で画像記録するに好適となる。なお、本実施形態では、摺接部材86がキャリッジ本体90側に没入すれば、キャリッジ本体90の支持部111によりキャリッジ38がガイドレール43,44上に支持されることとしたが、キャリッジ本体90に支持部111を設けずに、いずれの高さにおいても摺接部材86がキャリッジ本体90をガイドレール43,44上に支持することとしてもよい。
以下に、キャリッジ38とタイミングベルト49との連結構造が詳述される。図17は、キャリッジ本体90の底面側の構成を示す斜視図である。図18は、ホルダ受け部114の構成を示す拡大斜視図である。図19は、ベルトホルダ113の構成を示す拡大斜視図である。図20は、ホルダ受け部114にベルトホルダ113が組み付けられた状態を示す拡大斜視図である。なお、図17においては、キャリッジ本体90に搭載される記録ヘッド39やギャップ調整部材93等が省略されている。
図4に示されるように、キャリッジ38は、ガイドレール44上に設けられたベルト駆動機構46のタイミングベルト49を覆うようにして、ガイドレール44,45上に載置されている。したがって、キャリッジ本体90の底面はタイミングベルト49と対向されている。キャリッジ本体90とタイミングベルト49とを連結するために、キャリッジ本体90の底面側にはベルトホルダ113(ベルト掴持部)が設けられている。
図17及び図18に示されるように、キャリッジ本体90の底面には、ホルダ受け部114が形成されている。ホルダ受け部114は、ベルトホルダ113が嵌め込まれる凹陥部115を有する。凹陥部115は、ベルトホルダ113の外形に合致するように形成されている。本実施形態では、ベルトホルダ113は略直方体形状であるので、凹陥部115は、その内側空間が直方体形状とされている。また、本実施形態では、凹陥部115がキャリッジ本体90の底面から鉛直方向に貫通される孔として形成されているが、凹陥部115を貫通孔とするか否かは任意である。
凹陥部115の一方端(本実施形態では搬送方向の上流側)には、キャリッジ38の往復動方向に対向された一対の軸受け116が形成されている。図20に示されるように、軸受け116は、後述されるベルトホルダ113の支軸118を軸支する。
凹陥部115の他方端(本実施形態では搬送方向の下流側)には、キャリッジ38の往復動方向に対向された一対の当接片117が形成されている。図20に示されるように、当接片20の端面に、後述されるベルトホルダ113の翼片119が当接する。
図19に示されるように、ベルトホルダ113は、略直方体形状であり、その一方端(本実施形態では搬送方向の上流側)に、水平方向両側にそれぞれ突出する支軸118が形成されている。図20に示されるように、ホルダ受け部114の凹陥部115に嵌め込まれたベルトホルダ113は、その支軸118が軸受け116にそれぞれ嵌め込まれる。これにより、ベルトホルダ113が支軸118を回動軸としてキャリッジ本体90に対して回動自在となり、キャリッジ本体90の底面から出没される。
ベルトホルダ113の他方端(本実施形態では搬送方向の下流側)には、水平方向両側にそれぞれ突出する翼片119が形成されている。翼片119は水平方向に平らな平板形状である。支軸118を回動軸としてベルトホルダ113が回動される際に、翼片119がホルダ受け部114の当接片117に当接する。これにより、ベルトホルダ113がさらにキャリッジ本体90側に回動することが制止される。つまり、翼片119が当接片117に当接する位置により、ベルトホルダ113がキャリッジ本体90側に回動可能な位置が決定される。
ベルトホルダ113の他方端には、クリップ部120が形成されている。クリップ部120は、ベルトホルダ113の下面(図19における上側の面)から鉛直方向を深さ方向とするスリット形状であり、キャリッジ38の往復動方向に延出されて、ベルトホルダ113の両側面に開口されている。クリップ部120の幅Eは、タイミングベルト49の厚みより若干狭い。クリップ部120の深さFは、タイミングベルト49の幅より大きい。前述されたように、タイミングベルト49は、鉛直方向を軸方向とする駆動プーリ47及び従動プーリ48間に張り渡されているので、駆動プーリ47及び従動プーリ48間においては、その幅方向が鉛直方向であり、その厚み方向が水平方向である。このような姿勢のタイミングベルト49を上側から厚み方向に挟み込むようにして、クリップ部120が狭持する。これにより、ベルトホルダ113を介してタイミングベルト49とキャリッジ本体90とが連結される。
図19に示されるように、ベルトホルダ113の略中央には、バネ受け部121が形成されている。バネ受け部121は、ベルトホルダ113の下面から鉛直方向に凹陥されている。図20に示されるように、バネ受け部121には、ネジリコイルバネ122(付勢部材)のコイル部123が嵌め込まれる。
図18及び図20に示されるように、キャリッジ本体90の底面側には、ホルダ受け部114からキャリッジ38の往復動方向に隔てられて一対の係止片125が形成されている。係止片125は、水平方向に開口されたL字形状である。この一対の係止片125に、コイル部123から両方向に突出するネジリコイルバネ122のアーム部124が、キャリッジ本体90の下方、すなわち鉛直下方に対して係止される。
図20に示されるように、ネジリコイルバネ122は、コイル部123がベルトホルダ113のバネ受け部121に嵌め込まれ、且つアーム部124がキャリッジ本体90の係止片125に係止されてキャリッジ本体90に組み付けられる。ベルトホルダ113がキャリッジ本体90側に回動された状態で、ネジリコイルバネ122は弾性変形されている。ネジリコイルバネ122が弾性復帰する力、つまりバネ力により、ベルトホルダ113は、キャリッジ本体90側に弾性付勢されている。前述されたように、ベルトホルダ113は、翼片119が当接片117に当接する位置により、キャリッジ本体90側へ回動可能な位置が決定されているので、バネ付勢されたベルトホルダ113は、外力が付与されない状態では、翼片119が当接片117に当接する位置に静止される。一方、ベルトホルダ113に外力が加わると、ベルトホルダ113は、ネジリコイルバネ122のバネ力に抗してキャリッジ本体90から突出するように回動可能である。
図21は、キャリッジ38がガイドレール44の中央付近にある状態におけるベルトホルダ113の位置を示す側面図である。図22は、キャリッジ38がガイドレール44の駆動プーリ47付近にある状態におけるベルトホルダ113の位置を示す側面図である。なお、図21及び図22においては、ガイドレール44及び駆動プーリ47は2点鎖線で示されており、また、キャリッジ本体90においてギャップ調整部材93等が省略されている。
図21に示されるように、キャリッジ本体90のホルダ受け部114に組み付けられたベルトホルダ113は、ネジリコイルバネ122に付勢されてキャリッジ本体90側へ回動されている。この状態において、ベルトホルダ113のクリップ部120は、駆動プーリ47においてタイミングベルト49が巻回される位置より高い位置にある。したがって、タイミングベルト49は、駆動プーリ47から上側へ引っ張られるようにしてクリップ部120に狭持される。ここで、駆動プーリ47におけるタイミングベルト49の高さ位置とクリップ部120におけるタイミングベルト49の高さ位置との差を差G1とする。
このように、ベルトホルダ113がタイミングベルト49を駆動プーリ47から差G1だげ持ち上げるようにして狭持することにより、タイミングベルト49のテンションがベルトホルダ113に作用する。ベルトホルダ113は、キャリッジ本体90のホルダ受け部114に組み付けられて、ネジリコイルバネ122によりキャリッジ本体90側へ回動するようにバネ勢されている。キャリッジ38がガイドレール44の中央にある場合には、タイミングベルト49によりベルトホルダ113に作用する鉛直方向のテンションより、ネジリコイルバネ122のバネ付勢力の方が大きい。したがって、ベルトホルダ113は、キャリッジ本体90側へ回動した状態に維持され、タイミングベルト49のテンションは、ベルトホルダ113を介してキャリッジ本体90に作用する。これにより、キャリッジ本体90がガイドレール44に付勢されるので、ガイドレール44からキャリッジ本体90が浮き上がることが防止される。
キャリッジ38が駆動プーリ47付近へ移動されると、キャリッジ38がガイドレール44の略中央にある場合に比べて、駆動プーリ47からベルトホルダ113までの距離が短くなる。したがって、タイミングベルト49が、駆動プーリ47の高さ位置からベルトホルダ113の高さ位置まで短い距離で変化することになるので、タイミングベルト49の傾斜角度が大きくなる。これにより、ベルトホルダ113に作用するタイミングベルト49のテンションが大きくなる。つまり、キャリッジ本体90に作用するタイミングベルト49からの鉛直方向のテンションは、駆動プーリ47付近で最も強く、ガイドレール44の略中央で最も弱くなる。
図22に示されるように、キャリッジ38が駆動プーリ47付近に移動され、タイミングベルト49からの鉛直方向のテンションが大きくなると、ベルトホルダ113がネジリコイルバネ122の付勢力に抗してキャリッジ本体90から突出する方向へ、つまり、ガイドレール44側へ回動される。これにより、クリップ部120がガイドレール44へ近づき、駆動プーリ47におけるタイミングベルト49の高さ位置とクリップ部120におけるタイミングベルト49の高さ位置との差が差G2となる。差G2は、ベルトホルダ113がキャリッジ本体90側に回動された状態の差G1と比べると小さく、G2<G1である。このように、駆動プーリ47付近において、駆動プーリ47におけるタイミングベルト49の高さ位置とクリップ部120におけるタイミングベルト49の高さ位置との差が、差G1から差G2へ小さくなることにより、駆動プーリ47付近において、タイミングベルト49からの過大な鉛直方向のテンションがキャリッジ本体90に作用することが防止される。
また、図22においては、キャリッジ本体90の支持部111がガイドレール44のガイド面44Aに摺接されており、図15に示されるように、キャリッジ本体90は、ガイドレール44上の最も低い位置にある。前述されたように、ギャップ調整部材93がキャリッジ本体90に対してスライドされると、摺動部材91の摺接板94がキャリッジ本体90の支持部111より下側に突出して、キャリッジ本体90の高さが高くなる(図10,図13参照)。そうすると、駆動プーリ47におけるタイミングベルト49の高さ位置とクリップ部120におけるタイミングベルト49の高さ位置との差が差G1より大きくなり、キャリッジ本体90に作用するタイミングベルト49からの鉛直方向のテンションも大きくなる。また、キャリッジ38がパージ機構56上に移動され、キャップ58が密着されることにより、キャリッジ38がガイドレール44から浮き上がることもある。このような場合にも、前述と同様に、キャリッジ本体90に作用するタイミングベルト49からの鉛直方向のテンションが大きくなる。これらの場合にも、前述と同様に、ベルトホルダ113がネジリコイルバネ122の付勢力に抗してガイドレール44側へ回動されることにより、タイミングベルト49からの過大な鉛直方向のテンションがキャリッジ本体90に作用することが防止される。
このように、多機能装置1によれば、ベルトホルダ113が、キャリッジ本体90に対してガイドレール44のガイド面側へ回動可能とされ、且つ、ネジリコイルバネ122によりキャリッジ本体90側へ弾性付勢されているので、ベルトホルダ113に比較的強いタイミングベルト49のテンションが作用する場合には、ネジリコイルバネ122の弾性付勢に抗して、ベルトホルダ113がガイドレール44側へ移動され、タイミングベルト49のテンションが弱められる。これにより、駆動プーリ47付近において、極端に強いタイミングベルト49のテンションが生ずることが防止され、タイミングベルト49の偏摩耗が防止される。また、駆動プーリ47の近接するまでキャリッジ38を移動させることができるので、キャリッジ38の往復動に要する幅を小さくすることができる。
なお、本実施形態では、キャリッジ38が駆動プーリ47付近に移動された場合を例に、タイミングベルト49のテンション及びベルトホルダ113の回動が説明されているが、キャリッジ38が従動プーリ48付近に移動された場合も同様に、ベルトホルダ113の回動により、過大なタイミングベルト49のテンションが生ずることが防止される。
また、本実施形態では、ベルトホルダ113は、支軸118を回動軸として回動されることにより、キャリッジ本体90に対してガイドレール44側へ移動可能にされているが、本発明に係るベルト掴持部がキャリッジ本体90に対して移動する構成は、回動に限定されず、スライド移動のような他の移動機構が採用されてもよい。
また、本実施形態では、キャリッジ38がギャップ調整機構を具備し、キャリッジ本体90のガイドレール44からの高さが3段階に切換可能であるが、本発明に係るキャリッジにおいてギャップ調整機構は任意の構成である。また、キャリッジがギャップ調整機構を具備するとしても、ギャップ調整機構は他の構成を採用し得る。以下に、ギャップ調整機構の変形例が示される。
図23は、本変形例に係るキャリッジ130の下面の構成を示す部分底面図である。図24は、回転軸132及びスライダ133の外観構成を示す斜視図である。図25は、回転軸132の外観構成を示す斜視図である。図26は、回転軸132及びスライダ133の側面図である。なお、図23では、キャリッジ130の記録用紙搬送方向の上流側が省略されている。また、以下の説明において、上記実施形態と同じ符号のものは同一の部材である。
図23に示されるように、キャリッジ130は、記録ヘッド39を搭載するキャリッジ本体131と、ガイドレール43,44にそれぞれ摺接してキャリッジ本体131を所定高さに支持する回転軸132と、回転軸132を回転させるためのスライダ133(入力部材)とを具備する。回転軸132及びスライダ133は、ガイドレール43,44に対応して、キャリッジ本体131の記録用紙搬送方向の両側にそれぞれ組み付けられているが、これらは同様の構成なので、以下、記録用紙搬送方向の下流側の構成が説明される。
図23及び図24に示されるように、回転軸132は、キャリッジ本体131の幅寸法(図23の左右方向)とほぼ同じ軸方向長さのものであり、キャリッジ本体131の下面側に、軸方向をキャリッジ130の往復動方向と合致させて、軸周りに回転自在に支持されている。回転軸132の軸方向両端には、3種類の摺接部材134,135,136が設けられている。各摺接部材134,135,136は、回転軸132の周面から径方向外側へ突設されたブロック形状のものである。
3種類の摺接部材134,135,136は、回転軸132の径方向外側への突出幅が異なるものであり、摺接部材134,135,136の順に突出幅が大きくなっている。この3種類の摺接部材134,135,136が、回転軸132の両端において、順次突出幅が変化するように周方向に併設されている。また、同じ種類、すなわち同じ突出幅の摺接部材134,135,136が、回転軸132の両端で周方向の位置が合致するように配置されている。
図23に示されるように、キャリッジ本体131に支持された回転軸132は、その摺接部材134,135,136のいずれか1種を、キャリッジ本体131の鉛直下方に突出させるように支持されている。キャリッジ本体131の記録用紙搬送方向の上流側及び下流側において、鉛直下方にそれぞれ突出されたいずれか1種の摺接部材134,135,136により、キャリッジ本体131は、ガイドレール43,44のガイド面43A,44A上に水平に支持される。また、キャリッジ130は、摺接部材134,135,136をガイドレール43,44のガイド面43A,44Aに摺接させて、上記実施形態で説明されたように往復動される。
回転軸132の軸方向略中央にはスライダ133が外嵌されている。スライダ133は、回転軸132の外周面に沿って軸方向に摺動可能な筒状の部材である。図24に示されるように、スライダ133の筒状の内周面には、螺旋形状の一対の係合溝137が凹設されている。図25に示されるように、回転軸132の軸方向略中央には、一対の係合凸部138が外周面から径方向外側へ突設されている。この係合凸部138が係合溝137に嵌め合わされて、回転軸132とスライダ133とが係合されている。スライダ133が回転軸132の軸方向にスライドされると、係合溝137に沿って係合凸部138が移動し、その結果、回転軸132が回転される。つまり、スライダ133のスライドが係合溝137及び係合凸部138により回転軸132の回転として伝達される。
図24に示されるように、スライダ133の外周面には、径方向外側へ突出するL字状の突片139が設けられている。図23に示されるように、回転軸132及びスライダ133がキャリッジ本体131に組み付けられた状態で、突片139は、キャリッジ本体131の下面から突出されている。キャリッジ130がガイドレール43,44上の所定位置に摺動されると、この突片139が、ガイドレール43,44の一部を切り欠いて形成された当接部位140に当接し、更にキャリッジ130が摺動されることにより、スライダ133が回転軸132の軸方向にスライドされる。
このように構成されたキャリッジ130を、制御部71は、スライダ133を当接部位140に当接させて回転軸132の回転位置を変化させるべく、キャリッジ130の往復動を制御する。図26に示されるように、回転軸132の軸中心から径方向外側の端面までの距離R1が最も短い摺接部材134が、ガイドレール43,44のガイド面43A,44Aに摺接することにより、キャリッジ本体131が3段階のうち最も低い高さに支持される。
制御部71が、キャリッジ130をガイドレール43,44上を所定方向へ摺動させて、ガイドレール43,44に形成された当接部位140にスライダ133を当接させることにより、スライダ133が回転軸132の軸方向にスライドされる。このスライダ133のスライドが、係合溝137及び係合凸部138により回転軸132の回転として伝達されて回転軸132が回転する。したがって、摺接部材135がガイドレール43,44のガイド面43A,44Aと摺接するように、スライダ133をスライドさせて回転軸132を回転させることにより、キャリッジ130は、回転軸132の軸中心から摺接部材135の径方向外側の端面までの距離R2に応じて、3段階の真ん中の高さに支持される。同様に、摺接部材136がガイドレール43,44のガイド面43A,44Aと摺接するように、スライダ133をスライドさせて回転軸132を回転させることにより、キャリッジ130は、回転軸132の軸中心から摺接部材136の径方向外側の端面までの距離R3に応じて、3段階のうち最も高い高さに支持される。これにより、被記録媒体の厚みに応じて、記録ヘッド39と被記録媒体とのギャップを3段階に調整することができる。このような変形例の構成によって、ギャップ調整機構が実現されてもよい。