JP3919393B2 - キャリッジ移動装置及び記録装置並びに読取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は歯付きのベルトによってキャリッジに駆動力を伝達し、該キャリッジを往復移動させるキャリッジ移動装置及びこれを用いた記録装置並びに読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録ヘッドをキャリッジに搭載してキャリッジを移動しながら記録媒体上に記録を行なう、いわゆるシリアル記録装置では、記録媒体の搬送とキャリッジの移動に伴って行う記録とを交互に操り返しながら記録媒体上に画像を形成していく。
【0003】
シリアル型の主走査手段であるキャリッジは、通常モータなどの駆動源よりプーリを介してベルトにより駆動される。このベルトは通常2個のプーリによって取り付けられており、たるみを防止するため片側のプーリによってテンションが加えられている。
【0004】
そして、より高精度の主走査を行なうため、ベルトとプーリに凹凸形状を設けた、いわゆる歯付きのタイミングベルトおよびタイミングプーリを用いてスリップなどの記録不良を防止するものが一般的である。
【0005】
このような記録装置におけるタイミングベルトとキャリッジの結合方法は、様々な方法が考案されており、いずれの結合方法もキャリッジのベルト結合部にガタの無いように結合されている。
【0006】
図8は、従来の記録装置のベルト結合部を示した概略構成図である。図に示すようにキャリッジ100には凹状の隙間を有するベルト結合部101が一体的に形成されており、タイミングベルト103の厚みより若干広めの間隔で凹状の隙間が設けられている。この凹状の隙間を形成している凸部のうち一つには、タイミングベルト103の歯に噛み合うように凹凸が形成されており、この凹状の隙間にタイミングベルト103を挿入して円柱状の固定ピン104を圧入することによりタイミングベルト103をキャリッジ100に固定する。
【0007】
ベルト結合部101の凹状の隙間とタイミングベルト103との結合方法は、ゴムなどの弾性部材で作られるタイミングベルト103を固定ピン104で押し付けることによりキャリッジ100とタイミングベルト103はガタの無いように結合される。
【0008】
しかしながら、このような従来の記録装置におけるタイミングベルト103とキャリッジ100の結合方法では、以下のような課題がある。
【0009】
すなわち、タイミングベルト103による駆動方式では、キャリッジ100の駆動源であるキャリッジモータの振動によりタイミングベルト103が振動したり、あるいは歯付きタイミングプーリとタイミングベルト103が噛み合うときに発生する振動によりタイミングベルト103が振動したりする。この振動は、キャリッジ100が堅固に固定されているためにキャリッジ100に搭載されている記録ヘッドにまで伝達されることがある。このため、記録不良の原因となったり、またキャリッジ100に組み込まれている部品が共振するなどの騒音発生の原因となるという問題点がある。
【0010】
特にキャリッジ駆動モータにステッピングモータを用いた場合、駆動時の振動が発生しやすい傾向がある。
【0011】
そこで特開平6-47978号では図9に示すような構成が提案されている。すなわち、キャリッジ100には結合穴部100aが設けられており、この結合穴部100aはベルト結合部101がゆるく嵌合できるように形成されている。また、ベルト結合部101にはタイミングベルト103の凹凸と噛み合うように凹凸が形成され、ベルト結合部101のタイミングベルト103を挿入する隙間がタイミングベルト103と同一幅に設けられている。ここにタイミングベルト103を挿入した後、このタイミングベルト103と結合されたベルト結合部101をさらにキャリッジ100の結合穴部100aに挿入する。
【0012】
前記ベルト結合部101の材質は、全体あるいは一部分がモールド成形品か弾性を有する部材で形成されている。このように弾性部材でベルト結合部101を形成することによりタイミングベルト103により伝達されたキャリッジ駆動モータの振動をキャリッジ100に伝えに難くすることで良好な画像形成が実現される。
【0013】
また、ベルト結合部101がキャリッジに設けられた結合穴部100aにゆるく嵌合しており、この部分でも伝達される振動を吸収する役目をもっている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特開平6-47978号のような構成を採用するにあたっては以下のような課題が生じた。すなわち、ベルト結合部101とキャリッジ100との間はゆるく嵌合しているため、キャリッジ100の停止時に前記嵌合のガタがキャリッジの停止位置に影響を与えるおそれがある。特にこの構成ではベルト結合部のタイミングベルト係合部と、ベルト結合部とキャリッジとの嵌合部との間に距離があったため、ベルト結合部101に回転モーメントが加わり、ガタが増大してキャリッジ停止位置への影響を大きくする傾向にある。
【0015】
そして、キャリッジの停止位置がこのようなガタにより不安定になると、たとえばインクジェット記録装置においては記録ヘッドのノズルを保護するためのキャップをノズルの周囲に密着させるが、キャップを密着させるためにキャリッジを所定の場所に停止させるときに、前記ガタの存在によりキャリッジは所定の位置に停止することができず、キャップとノズルの間にリークが生じてノズルが乾燥し、インクジェット記録ヘッドがインク吐出できなくなってしまうおそれがある。
【0016】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、歯付きのベルトによってモータ等の振動源から伝達された振動がキャリッジへ伝わるのを防止し、キャリッジ停止精度を高めて停止位置の不安定による不具合を回避し得るキャリッジ移動装置及びこれを用いた記録装置並びに読取装置を提供するものである。
【0017】
また、他の目的としては、歯付きのベルトとキャリッジとの係合を確実に行うことが可能なキャリッジ移動装置及びこれを用いた記録装置並びに読取装置を提供するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、キャリッジと、前記キャリッジを移動する駆動力を発生するモータと、前記モータの駆動力を前記キャリッジに伝達する歯付きのベルトと、前記ベルトの歯面側と背面側とに突出し、その中心軸が前記ベルトの幅方向断面の中心を通るベルト突起部と、前記キャリッジに配され、前記ベルト突起部と係合する係合部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
上記構成にあっては、前記ベルト突起部と係合部とが係合した状態にあっては、突起部の中心軸が歯付きのベルトの幅方向断面の中心を通っているため、歯付きのベルトに回転モーメントが加わり難く、歯付きのベルトからキャリッジへの動力伝達の際にキャリッジがガタをもたないようになる。このため、キャリッジは高い位置精度で停止するようになる。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【発明の実施の形態】
次に本発明の一実施形態に係るキャリッジ移動装置及びこれを備えた記録装置並びに読取装置について図面を参照して説明する。
【0024】
〔第1実施形態〕
図1乃至図4を参照して本発明に係るキャリッジ移動装置を記録装置に適用したシリアル記録装置について説明する。
【0025】
{記録装置の全体構成}
まず、図1を参照して記録装置の全体構成について説明する。尚、図1は記録装置の全体斜視説明図である。
【0026】
本実施形態に係る記録装置は、インクを記録媒体に吐出して画像を形成するインクジェット記録装置であり、キャリッジ1はインクタンクと記録ヘッドとを一体化した記録ヘッドカートリッジ2を着脱自在に搭載するものであり、フレーム3に両端部が固定され互いに平行に配置されたガイドシャフト4及びガイドレール5に、記録媒体Pの搬送方向と直交し、かつ、記録媒体Pの面に平行な方向に摺動自在に支持されている。また、キャリッジ1は、キャリッジ駆動モータ6の出力軸に固着された駆動プーリ7と、回転自在に軸支された従動プーリ(不図示)との間に掛け回されたタイミングベルト8の一部位に係合されており、キャリッジ駆動モータ6を駆動することでタイミングベルト8が回転し、キャリッジ1が上記方向に往復移動する構成となっている。
【0027】
前記記録ヘッドは複数のインク吐出ノズル列を有し、フレキシブルケーブル9を介して伝達される画信号に応じて各ノズルから選択的にインクを吐出することによって記録媒体Pに記録を行うものである。尚、本実施形態に係る記録ヘッドのノズル内部には吐出ヒーターが存在し、このヒーターに選択的に通電することでインク中に生じる膜沸騰を利用してバブルを発生させインクを吐出するようになっている。その代表的な構成や原理については、例えば米国特許第4723129号明細書、同4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが望ましい。
【0028】
また、前記キャリッジ移動領域(記録領域)に記録媒体Pを搬送するための搬送手段が設けられている。この搬送手段は前記記録領域を挟んで一方側(記録媒体搬送方向上流側)にピックアップローラ10、搬送ローラ11及び該搬送ローラ11に圧接したピンチローラ12が設けられており、他方側(記録媒体搬送方向下流側)に排出ローラ13及びこれに圧接した拍車14が設けられている。尚、前記拍車14は星型の形状をしており、その星形状の先端はシャープエッジのため、記録済の記録媒体が通過しても画像をこすって汚すことがないローラである。
【0029】
これら各ローラによって記録媒体Pが搬送され、この搬送とキャリッジ1の移動に伴って行う記録とを交互に操り返しながら記録媒体P上に画像を形成する。
【0030】
{キャリッジとタイミングベルトの係合構成}
次に前記キャリッジ1とタイミングベルト8とを結合する構成について、図2乃至図4を用いて説明する。尚、図2はキャリッジとタイミングベルトの係合部の斜視説明図であり、図3はキャリッジにタイミングベルトが装着されている状態を示す平面及び側面説明図、図4はタイミングベルトが傾いた状態、ベルト突起部に肉盛部を設けた状態、ベルト突起部を圧縮挟持した状態を示す平面説明図である。また、キャリッジ1は簡易的に板状に示してある。
【0031】
タイミングベルト8はキャリッジ1の側面に設けられたキャリッジ係合部1aに対して図2の矢印aの方向に挿入されてキャリッジ1と係合する。タイミングベルト8には、その上下方向に略同一の中心軸H1を持つベルト突起部としての円柱状のボス8aが設けられており、このボス8aがキャリッジ1に設けられた係合部1aに挿入される。尚、キャリッジ係合部1aはボス8aが嵌合するスリット状をなしており、上下のボス8aをそれぞれ挟持している。
【0032】
タイミングベルト8はゴムやエラストマ等の弾性部材で構成され、このベルトと一体的に前記ボス8aが形成されている。このため、キャリッジ1は弾性部材であるボス8aを介して係合している。このように構成することにより、モータ等の振動源からタイミングベルト8に伝達された振動は弾性体によって吸収され、キャリッジ1に極めて伝わり難くなる。その結果、記録される画像に振動によるムラが発生せず、良好な画像を得ることができる。
【0033】
ここで、前記ボス8aはタイミングベルト8の上下方向に略同一の中心線を持った位置に設けられている。すなわち、図2に示すように、ボス8aの中心軸H1はタイミングベルト8の幅方向(タイミングベルト8の移動方向(矢印b方向)と直交する方向)において、該タイミングベルトの断面Dの中心Pを通り、その突起部がタイミングベルト8の歯面側と、該歯面の反対側の背面側に突出するように設けられている。そして、図3(a)に示すように、ボス8aの円弧部分がキャリッジ1の係合部1aと接触し、この接触部分でタイミングベルト8からの力がキャリッジ1へ伝達されるようになっている。
【0034】
上記のように、ボス8aの中心軸H1はタイミングベルト8の中心軸H2と略一致しているため、タイミングベルト8に回転モーメントが加わらない。したがって、タイミングベルト8からキャリッジ1への動力伝達の際にキャリッジ1がガタをもたなくなり、キャリッジ1の停止位置が高精度に確保されることになる。また、ボス8aと係合部1aとの間が円弧部分で接触しているため、その接触面積が小さく、振動伝達力が極めて小さいものとなる。
【0035】
更に、図4(a)に示すように、ボス8aの円弧部分で接触しているため、タイミングベルト8はキャリッジ1と係合した状態であってもボス8aを中心として回転が自在に行える。このため、タイミングベルト8にキャリッジ移動方向とはズレた方向の動きがあっても、その動きによるストレスがキャリッジ1に加わることがなく、この点でもキャリッジ1の振動伝達防止効果がより高いものとなる。
【0036】
尚、タイミングベルト8からキャリッジ1への動力伝達はボス8aによってのみ行われるため、ボス8aには大きな力が加わることになる。そこで、ボス8aとキャリッジ係合部1aとの接触部が円弧状であれば、その他の部分の形状は自由に強度を確保できる形状にすることができる。例えば、図4(b)に示すように、ボス8aにキャリッジ係合部1aと接触する円弧部8a1を形成するとともに、キャリッジ走査方向以外の部分に肉盛部8a2を形成することでボス8aの強度を高め、ボス8aがキャリッジ1の反転等で過大な力を受けた場合の破損等を防止するようにしてもよい。
【0037】
また、図4(c)ではボス8aのキャリッジ走査方向厚み(ボス径)よりも係合部1aのボス挟持部間隔を小さくすることにより、ボス8aを圧縮(破線で示す部分が圧縮部8a3である)してキャリッジ1に取り付けるようにしてもよい。
【0038】
実験によると、前記のようにボス8aに適度な圧縮を与えるとより、振動伝達を抑えられることが確認されている。圧縮量はボス8aのキャリッジ走査方向の厚み、弾性体からなるボス8aの硬度(タイミングベルト8の硬度)との関係において適切な値に設定される。実験的には前記圧縮量は、ボス8aのキャリッジ走査方向と平行な方向における長さに対し、0.5%から30%の範囲であり、かつボス8aの硬度が60°から80°の範囲にあるとき、極めて高い振動吸収性を示すことが確認された。
【0039】
〔第2実施形態〕
次にキャリッジ1とタイミングベルト8との係合構成の第2実施形態について図5〜図7を参照して説明する。尚、ここでは前述した第1実施形態との相違点に絞って説明し、特に述べない部分は第1実施形態と同様の構成である。
【0040】
図5はキャリッジとタイミングベルトの係合部の斜視説明図であり、図6はキャリッジにタイミングベルトが装着されている状態を示す平面及び側面説明図である。図5においてタイミングベルト8にはベルト保持部材15が巻装固着されている。このベルト保持部材15にはその上下方向に略同一の中心軸H1を持つベルト突起部としてのボス15aが設けられており、このボス15aの中心軸H1がタイミングベルト8の中心軸H2と略一致するようにベルト保持部材15がタイミングベルト8に固着される。そして、前記ボス15aを前述した第1実施形態と同様にキャリッジ1に設けられた係合部1aに挿入して両者を係合する。係合部1aはボス15aが嵌合するスリット状をなしており、上下のボス15aをそれぞれ挟持している。
【0041】
尚、前記ボス15aとキャリッジ係合部1aの係合構成は、図7(a)〜(c)に示すように、ボス15aを円弧形状にする構成(図7(a)参照)、ボス15aに円弧部15a1と肉盛部15a2を設ける構成(図7(b)参照)、ボス15aがキャリッジ係合部1aと係合したときに圧縮(破線で示す部分が圧縮部15a3である)するように構成してもよい。これら図7(a)〜(c)の構成は、第1実施形態において、図4(a)〜(c)を参照して説明した内容と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0042】
前記ベルト保持部材15はゴムやエラストマ等の弾性部材から構成されており、このベルト保持部材15に対してボス15aが一体的に形成されるのでボス15aも同材質の弾性部材である。従って、タイミングベルト8は弾性体からなるベルト保持部材15及びそれと一体となった弾性体からなるボス15aを介してキャリッジ1と係合している。これにより、第1実施形態と同様にモータ等の振動源からの振動がキャリッジ1に極めて伝わり難くなり、記録される画像に振動によるムラが発生せず、良好な画像を得ることができる。
【0043】
ここで、前記ベルト保持部材15の製造方法はタイミングベルト8に対してアウトサート成形などによる一体成形をとっている。一般にタイミングベルトはガラスやアラミドからなる心線を内型に巻き付け、その周囲にCRゴムなどのゴム板を巻き付け、さらにその周囲から圧力と熱をかけてゴムを加硫させる方法や、内型と外型からなる注型型に熱硬化性ウレタン樹脂等を注入して熱をかけて硬化させる方法等で製作される。そのようにして製作したタイミングベルト8をベルト保持部材15を成形する型内に投入し、ベルト保持部材15とタイミングベルト8とを一体に成形する。このように成形するとベルト保持部材15がタイミングベルト8の周囲を包み込むため、ゴムやエラストマのような弾性をもったベルト保持部材であってもタイミングベルトが抜け出る口が存在せず、弾性体ゆえの変形があってもタイミングベルトがベルト保持部材から抜け落ちてしまうことがない。
【0044】
更にベルト保持部材15はタイミングベルト8に対してキャリッジ1の走査方向、すなわちタイミングベルト8の走行方向に互いにズレないように固定されている。タイミングベルト8には歯が形成されており、この歯を包み込むようにベルト保持部材15が一体成形されているのでベルト保持部材15にはタイミングベルト8の歯に対応した凸凹が形成され、これらががみ合うことによって上記ズレを防いでいる。
【0045】
しかしながら、タイミングベルト8に対してベルト保持部材15が相対的にキャリッジ走査方向に過大な力が加わった場合、ベルト保持部材15は弾性部材であるため上記タイミングベルト8の歯に対応した凸凹がタイミングベルト8の歯を乗り越えてしまうことがある。前述のとおりタイミングベルト8は通常クロロプレンあるいはウレタン等のゴムからなっており、これに対し一体成形するベルト保持部材15をタイミングベルトとは異なる材質とした場合、基本的に両者は接着しないためタイミングベルト8とベルト保持部材15の表面が容易に剥離してしまうためである。この場合、タイミングベルト8とベルト保持部材15との相対的位置がズレてしまう。
【0046】
シリアル型記録装置においてはキャリッジ1が左右に走査して往復移動をするが、キャリッジ1が反転するときキャリッジ1には大きな加速度が作用し、上記のようなタイミングベルト8とベルト保持部材15との間にズレが生じ易い。特に、近年ではタイミングベルト8の歯とタイミングプーリの歯との間のかみ合い誤差に起因するタイミングベルト走行時の速度変動を小さくするため、小ピッチの歯が形成されたタイミングベルト8を採用する傾向にある。この場合、一般的にはタイミングベルト8の歯の高さも低くなるため、前記ベルト保持部材15の変形に対してタイミングベルト8がズレ易くなる。
【0047】
また、タイミングベルト8の剛性によるキャリッジ移動負荷を軽減し、キャリッジ駆動モータの消量電力を抑えたり、負荷によるタイミングベルト8の速度変動を軽減して記録画像の品位を高めるためにタイミングベルト8の歯幅、すなわちタイミングベルト8の幅を狭くする傾向がある。このことはコストダウンにもつながるため近年急速に多用されるようになっている。しかし、タイミングベルトの幅が小さくなるとベルト保持部材との歯形状でのかみ合い長さが小さくなり、前記のとおりベルト保持部材に力がかかった場合の変形が大きく、タイミングベルトとベルト保持部材とが相対的にズレ易くなってしまう。
【0048】
そこで、本実施形態ではタイミングベルト8とベルト保持部材15の材質を同一のものとしている。双方が熱可塑性樹脂であれば、一体成形の際に双方が溶融して交じり合い接着する性質を有するため、きわめて大きな剥離強度が得られる。従って、タイミングベルト8の歯とベルト保持部材15に形成された歯に対応する凸凹とのかみ合わせと、その接触表面の剥離強度によりタイミングベルト8とベルト保持部材15とが相対的にズレ難くなる。
【0049】
また、本実施形態ではタイミングベルト8が熱硬化性ウレタン樹脂であり、一方、ベルト保持部材15は熱可塑性ウレタン樹脂である。この場合は一体成形の際に双方が溶融して交じり合うことがないために接着することはないが、別種類の樹脂の組み合わせに対して互いの密着性がよく、非常こ強い剥離強度が得られる。
【0050】
また、前述したように近年のタイミングベルトは小ピッチ化(歯高さ小)、小ベルト幅化が進んでいるが、特にベルトピッチが1.5mm以下程度になるとベルト歯高さは0.5mm以下程度となり、前述したようにベルト保持部材15の一体成形及びタイミングベルト8とベルト保持部材15の同一材料での成形の効果を期待しないと成り立たない。また、ベルト幅が広ければタイミングベルト8の歯に対応した凸凹にかかる力が分散され変形も小さくなるが、近年のベルト幅は3mm程度以下が主流となり、ここでも同方式を採用しないと適性部材によるベルト保持部材の形成が困難となっている。他の解決方法としてベルト保持部材の硬度を高くしてベルト保持部材の変形を抑える方法が考えられるが、前記問題点を解決する程度に弾性体硬度を高くすると、もはや所望の弾性体による振動吸収の効果を期待できなくなってしまう。また、ベルト歯の部分にだけ硬度の高い樹脂を2色成形等で成形しその周囲を弾性体で形成する方法も考えられるが、当然部材が増加し、コストアップ要因となってしまう。
【0051】
これに対して、タイミングベルト8の歯高が0.5mm以下、歯幅3mm以下の場合であっても、ベルト保持部材15の硬度が80°以下であると振動吸収効果が高く、所望の効果を得ることができ、このようなベルト保持部材15を低コストで採用するに際して本実施形態の構成は非常に高い効果を発揮する。本実施形態はタイミングベルト8の歯形状がいかなる形状であっても、その歯形状をそのまま利用して、また他の部材を追加することなく低コストで上記問題点を解決できるところにその特徴がある。
【0052】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、ベルト突起部としてのボス8a(15a)はタイミングベルト8の歯面およびこれに対向する背面に設けた例を示したが、この方向と直交する方向、すなわちベルト歯の幅方向に略同一中心軸をもったボス8a(15a)を設けてもよい。
【0053】
また、前述した第1実施形態においては突起部の中心軸がタイミングベルト幅方向断面の中心Pを通るとしたが、この場合において中心軸は完全な中心Pでなくてもベルトに回転モーメントを生じさせない範囲であればよく、この点で突起部の中心軸はタイミングベルトの幅方向断面の略中心を通ればよい。従って、突起部の中心軸が通る「略中心」とはタイミングベルトの幅方向断面の完全な中心Pを含み、更にはその近傍におけるベルトに回転モーメントを生じさせない範囲も含む。
【0054】
また、前述した実施形態ではキャリッジ移動装置をキャリッジに記録手段としてのインクジェットヘッドカートリッジ2を搭載したインクジェット記録装置を例示したが、記録手段としては熱転写記録や感熱記録等であってもよい。
【0055】
また、前述したキャリッジ移動装置は、キャリッジに原稿を光学的に読み取る読取手段を搭載し、該キャリッジを走査しながら原稿を読み取る読取装置にあっても好適に用いることが可能である。
【0056】
【発明の効果】
本発明は前述のように構成したために、前記ベルト突起部と係合部とが係合した状態にあっては、突起部の中心軸が歯付きのベルト幅方向断面の中心を通っているため、歯付きのベルトに回転モーメントが加わり難く、歯付きのベルトからキャリッジへの動力伝達の際にキャリッジがガタをもたないようになる。このため、キャリッジは高い位置精度で停止するようになる。
【0057】
【0058】
【0059】
【図面の簡単な説明】
【図1】 記録装置の全体斜視説明図である。
【図2】 キャリッジとタイミングベルトの係合部の斜視説明図である。
【図3】 キャリッジにタイミングベルトが装着されている状態を示す平面及び側面説明図である。
【図4】 タイミングベルトが傾いた状態、ベルト突起部に肉盛部を設けた状態、ベルト突起部を圧縮挟持した状態を示す平面説明図である。
【図5】 キャリッジとタイミングベルトの係合部の斜視説明図である。
【図6】 キャリッジにタイミングベルトが装着されている状態を示す平面及び側面説明図である。
【図7】 タイミングベルトが傾いた状態、ベルト突起部に肉盛部を設けた状態、ベルト突起部を圧縮挟持した状態を示す平面説明図である。
【図8】 従来技術の説明図である。
【図9】 従来技術の説明図である。
【符号の説明】
H1 …中心軸
H2 …中心軸
P …記録媒体
1 …キャリッジ
1a …係合部
2 …ヘッドカートリッジ
3 …フレーム
4 …ガイドシャフト
5 …ガイドレール
6 …キャリッジ駆動モータ
7 …駆動プーリ
8 …タイミングベルト
8a …ボス
8a1 …円弧部
8a2 …肉盛部
8a3 …圧縮部
9 …フレキシブルケーブル
10 …ピックアップローラ
11 …搬送ローラ
12 …ピンチローラ
13 …排出ローラ
14 …拍車
15 …ベルト保持部材
15a …ボス
15a1 …円弧部
15a2 …肉盛部
15a3 …圧縮部
Claims (8)
- キャリッジと、
前記キャリッジを移動する駆動力を発生するモータと、
前記モータの駆動力を前記キャリッジに伝達する歯付きのベルトと、
前記ベルトの歯面側と背面側とに突出し、その中心軸が前記ベルトの幅方向断面の中心を通るベルト突起部と、
前記キャリッジに配され、前記ベルト突起部と係合する係合部と、
を備えることを特徴とするキャリッジ移動装置。 - 前記ベルト突起部は、前記ベルトと一体的に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャリッジ移動装置。
- 前記ベルト突起部は、少なくとも一部に弾性体を有するベルト保持部材に設けられ、該ベルト保持部材を前記タイミングベルトに固着したことを特徴とする請求項1に記載のキャリッジ移動装置。
- 前記ベルト突起部は円弧部を有し、該円弧部において前記キャリッジの係合部と係合することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のキャリッジ移動装置。
- 前記ベルト突起部は前記キャリッジの移動方向と平行な方向において前記キャリッジの係合部に圧縮されて挟持されていることを特徴とする請求項4に記載のキャリッジ移動装置。
- 前記圧縮量は、前記ベルト突起部における前記キャリッジの移動方向と平行な方向の長さに対して0.5%から30%の範囲であり、前記ベルト突起部の硬度は60°から80°の範囲であることを特徴とする請求項5に記載のキャリッジ移動装置。
- 記録手段によって記録媒体に記録を行う記録装置において、
記録手段をキャリッジに搭載して移動する請求項1ないし6のいずれか1項に記載のキャリッジ移動装置と、
前記キャリッジ移動装置によるキャリッジの移動方向と交差する方向へ記録媒体を搬送する搬送手段と、
を有することを特徴とする記録装置。 - 読取手段によって原稿を読み取る読取装置において、
読取手段をキャリッジに搭載して移動する請求項1ないし6のいずれか1項に記載のキャリッジ移動装置と、
前記キャリッジ移動装置によるキャリッジの移動方向と交差する方向へ原稿を搬送する搬送手段と、
を有することを特徴とする読取装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24709599A JP3919393B2 (ja) | 1999-09-01 | 1999-09-01 | キャリッジ移動装置及び記録装置並びに読取装置 |
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Applications Claiming Priority (1)
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