明細書 昇華転写模様付き金属装飾板と
それを用いた断熱パネルと冷蔵庫用外壁、
それらの製造方法 技術分野
本発明は、 発泡断熱材と一体に形成する断熱パネルの外面板に適 した昇華転写模様付き金属装飾板と、 それを用いた断熱パネルと、 その断熱パネルを用いた冷蔵庫用外壁とに関する。 またそれらの製 造方法に関する。 背景技術
近年、個性の時代と言われるようになり個人の価値観は多様化し、 特に商品の、自分の好みにあう色柄に対するニーズは非常に幅広く、 高いものとなっている。 一方、 冷蔵庫等の家電製品は大量生産で安 価に仕上げるために、 後加工が可能な表面処理層と鋼板とがー体と なった塗装鋼板やラミネー ト金属板が使用されている。 この塗装鋼 板やラミネート金属板を製造する工程では、 いったん表面処理層の 色柄が決まると頻繁な仕様変更は困難であり、 通常は同じ色柄のも のが大量に生産される。 よって、 多様化する個々の色柄への要望に 応える事は、 生産効率を低下させ、 また納期を遅らせるため、 通常 は行われていない。
しかし、 最近では昇華型着色剤による昇華転写技術が発達し、 ラ ミネ一ト金属板や塗装鋼板に直接印刷する方法が実用化されている。 例えば、 特開 2 0 0 1 — 3 2 9 4 7 4号公報には、 真空吸引を利用 し、 被印刷物と転写シー トとを密着させた状態で熱転写することに より、 色むらのない鮮明な印刷模様を被印刷物に付与する方法が記 載されている。 この方法では、 昇華型着色剤を含む着色組成物をィ ンクジェッ ト等で塗布した転写型印刷シー トを、 被印刷物に重ね合
わせて、 ホッ トプレー トとゴムシー トとの間に入れる。 そしてホッ トプレー卜とゴムシー トとの間隙を真空ポンプで真空吸引すること により、 被印刷物に転写型印刷シートを密着させる。 さらに、 ホッ 卜プレートから加えられる熱エネルギーにより、 転写型印刷シート から被印刷物に昇華型着色剤を熱転写させる。
この方法では、 大きな塗装鋼板を被印刷物として使用した場合で も、 被印刷物の全面を均一に加圧することができ、 色むらのない印 刷物が形成できる。
なお、 このような方法で鋼板等の金属板に印刷するには、 あらか じめ染色性に優れた透明または半透明の樹脂塗膜を表層に形成して おく必要がある。
利用される鋼板は、 例えば特許第 2 9 5 7 8 6 4号公報に記載さ れている。 その鋼板は金属装飾板で、 金属板素地上に設けられてい る不透明樹脂層を有する。 また、 この不透明樹脂層上に積層され、 それぞれ内部に昇華型着色剤が入り込んで着色模様が形成されてい る複数層の透明樹脂層とを有する。 '
この金属装飾板では、 あらかじめ透明フィルムが貼られたラミネ ート金属板に直接昇華転写により模様を形成する。 そのため、 模様 付き金属装飾板を少量製造する場合に時間が短縮される。 また、 複 層のラミネートにより仕上がりの模様面に質感や深みを持たせるこ とができ、 近くで見ても模様の粗さが目立たない。 さらに、 金属装 飾パネルのあらゆる面に着色模様を設けることができる。
しかし、 複層に形成したラミネートに、 一般的な塩化ビニルフィ ルムゃポリエチレンフィルムやポリエステルフィルムを使用すると、 複層であるために着色模様の印刷ラインがぼやける。またこれらは、 耐熱性ゃ耐候性が非常に低い。 特に 5 0 °C以上の熱が加わると昇華 型着色剤が複層のラミネー ト層の中で再昇華現象を引き起こし、 初 期の仕上げた模様が時間とともに崩れ易い。
また、 冷蔵庫扉等のウレ夕ン一体発泡からなる断熱パネルに使用 する場合、 ウレタン発泡での熱を受け、 工程中に色むらが発生する。
さらに実使用時においても冷蔵庫用 ドアにメモ用紙等を貼り付けて おく と色移りが生じることもある。
耐候性に優れた昇華転写模様付き金属装飾板としては、 例えば特 開 2 0 0 2 — 5 9 0 7 8号公報に記載されている。 この公報による と分子量、 ガラス転移温度 (T g )、 メラミン含有量が特定された熱 硬化型ポリエステル樹脂で上塗り塗膜を形成することにより、 耐候 性に優れた模様付き金属装飾板が得られる。
すなわち、 この金属装飾板は、 平均分子量 1 0 0 0〜 1 0 0 0 0、 T gが 2 0〜 6 0 ° ( 、 樹脂固形分 1 0 0質量部に対するメラミンの 割合が 2 0 〜 1 5 0質量部である熱硬化型ポリエステル樹脂を主成 分とするク リャ塗料から形成される。 この金属装飾板は、 昇華型着 色剤の浸透により着色模様が付与された上塗り塗膜が下地金属板に 直接、 又はベースコート層、 プライマ層等を介して設けられている。
このよう に、 分子量とガラス転移温度とが特定された熱硬化型ポ リエステル樹脂が主成分であるク リャ塗料であれば、 ラミネート金 属板における耐候性と再昇華性は改良される。
すなわち、 ラミネート金属板と塗装鋼板の何れの昇華転写模様印 刷法も、 外皮のクリャ一塗膜中に昇華型着色剤で描いた模様を浸透 させることにより自由に模様を発現させることができる。 よって、 塗装鋼板ゃプレコー ト鋼板に、 後工程にて自由に色柄をつけること ができ、 多様化するニーズに対応が可能である。
しかしながら、 上記従来の昇華転写模様付き金属装飾板では、 長 期信頼性の面で充分ではない。 熱硬化性のポリエステル樹脂を塗装 した塗装鋼板で昇華転写した模様付き金属装飾板でも、 再転写の完 全な解決とはならない。 さらに硬化性樹脂を使用するために後加工 でのプレスや曲げにて塗膜の割れが生じる。
特に、 断熱性を有する冷蔵庫扉に使用する場合、 一体でウレタン 発泡断熱パネルを作製するときに 6 0 °C以上の温度がかかるために、 再昇華現象を生じ、 昇華転写模様がぼやける。 さ らに、 冷蔵庫用 ド ァに使用したときマグネッ ト等でメモ用紙などを取り付けると再昇
華による着色剤の移行が生じる。
よって、 長期間にわたって屋内外に曝されて使用する商品にはい ままでの処理鋼板では安定した色彩、 模様を維持することが困難で ある。 発明の開示
本発明の昇華転写模様付き金属装飾板は、 金属板面に外皮接着層 を介して外皮樹脂層を設けられている。 外皮樹脂層はガラス転移温 度が、 昇華着色剤が再昇華して模様がぼやける温度以上昇華着色剤 を転写する温度未満の光透過性樹脂からなる。 そして外皮接着層と 外皮樹脂層との少なく ともいずれかに昇華型着色剤を浸透させて着 色模様を形成する。 上記金属装飾板は樹脂発泡材を用いた断熱パネ ルに適用して好適であり、 その断熱パネルは冷蔵庫外壁に適用して 好適である。 また本発明による金属装飾板の製造方法は、 A ) 第 1 面に上記外皮接着層を介して上記外皮樹脂層を貼り付けたラミネー ト金属板と、 昇華型着色剤により着色模様が施された面を有する転 写型印刷シートとを、 外皮樹脂層と着色模様面とが接するように重 ね合わせるステップと、 B ) 重ね合わせた外皮樹脂層と着色模様面 とを、 外皮樹脂層の温度がガラス転移温度より高くなる温度で加熱 圧着するステップと、 を有する。 このようにして外皮樹脂層と外皮 接着層の少なく とも一方の内部に昇華型着色剤を浸透させる。 上記 金属装飾板を断熱パネルに使用する場合には、 外皮樹脂層に発泡断 熱材を発泡する工程で達する温度よりガラス転移温度の高い材料を 用いる。 図面の簡単な説明
図 1 は本発明の実施の形態 1 による昇華転写模様付き金属装飾板 の断面図である。
図 2は図 1 の金属装飾板に使用したラミネー ト金属板の断面図で ある。
図 3は本発明の実施の形態 1 における昇華転写工程でラミネート 金属板と転写型印刷シートとを重ね合わせた状態を示す断面図であ る。
図 4は本発明の実施の形態 1 による金属装飾板とそれを用いた断 熱パネルの製造方法を示す工程図である。
図 5は本発明の実施の形態 1 による金属装飾板の製造に用いる昇 華転写装置に転写型印刷シートとラミネート金属板をセッ トした状 態を示す断面図である。
図 6は図 5 における昇華転写装置の昇降装置を稼動させて上チヤ ンバーの下面に駆動チャンバ一を圧着させた状態を示す断面図であ る。
図 7は図 5 における昇華転写装置の真空ポンプを稼働させて減圧 により転写型印刷シートとラミネート金属板とを圧着させている状 態を示す断面図である。
図 8は本発明の実施の形態 1 における曲げ加工した金属装飾板と 内面部材とを組み合わせて断熱パネルを構成する状態を示す組立斜 視図である。
図 9は本発明の実施の形態 1 における断熱パネルのウレタン発泡 工程を示す断面図である。
図 1 0は本発明の実施の形態 2における昇華転写工程でバックァ ップ部材を介してラミネート金属板と転写型印刷シートとを重ね合 わせた状態を示す断面図である。
図 1 1 は本発明の実施の形態 3における昇華転写工程でラミネー ト金属板と転写型印刷シー トとを重ね合わせた状態を示す断面図で ある。
図 1 2は本発明の実施の形態 4における昇華転写後の熱処理工程 を示す概略断面図である。
図 1 3は本発明の実施の形態 5における昇華転写後の熱処理工程 を示す概略断面図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明による昇華転写模様付き金属装飾板と、 それを用い た断熱パネルと、 断熱パネルからなる冷蔵庫用 ドアの実施の形態に ついて図面を参照しながら説明する。 なお、 各実施の形態において 先行する実施の形態と同一構成をなすものには同一符号を付してそ の詳細な説明は省略する。
(実施の形態 1 )
図 1 は本発明の実施の形態 1 による昇華転写模様付き金属装飾板 の断面図、 図 2はその金属装飾板に使用したラミネート金属板の断 面図である。 図 3は昇華転写工程でラミネ一ト金属板と転写型印刷 シートとを重ね合わせた状態を示す断面図である。 本実施の形態の 昇華転写模様付き金属装飾板 (以下、 装飾板) 1 では、 転写型印刷 シート (以下、 シート) 2上の着色模様 (以下、 模様) 1 5 Aがラ ミネート金属板 (以下、 板) 3 に昇華転写されている。 - 板 3は、 金属板 8の表面側に、 下地接着剤層 (以下、 第 2接着剤 層) 9 と中間熱可塑性樹脂層 (以下、 第 2樹脂層) 1 0 と外皮接着 剤層 (以下、 第 1接着剤層) 1 1 とインク層 1 2 と外皮樹脂層 (以 下、 第 1樹脂層) 1 3 を順に有する。
金属板 8では、 鋼板からなる金属板素地 (以下、 素地) 4の両面 に、 複合電気亜鉛めつきでめつき層 5 , 5 Aが形成されている。 め つき層 5, 5 Aの上にはさらに、 燐酸 より化学処理層 6、 6 Aが 形成され、 化学処理層 6 Aの上にエポキシ系の樹脂で防鲭塗料層 7 が形成されている。 第 1面側の化学処理層 6上には、 第 2接着剤層 9 を介して塩化ビニル樹脂から成るフィルム状の不透明な第 2樹脂 層 1 0がラミネートされている。
第 2樹脂層 1 0上には、 第 1接着剤層 1 1 とインク層 1 2 を介し て、 第 1樹脂層 1 3がラミネー トされている。 第 1接着剤層 1 1 は 融点 1 1 4 °Cの飽和共重合ポリエステル樹脂のホッ トメルト系フィ ルムからなる。 第 1樹脂層 1 3は、 ガラス転移温度が 7 4でで結晶 化度が 3 5 %のポリエステル樹脂であるポリエチレンテレフ夕レー
トの透明または半透明のフィルムからなる。 すなわち第 1樹脂層 1 3は光透過性である。
また、 第 1樹脂層 1 3 とインク層 1 2、 第 1接着剤層 1 1 の内部 には、 昇華型着色剤 (以下、 着色剤) 1 4が入り込んでいる。 着色 剤 1 4は、 板 3 とシート 2 とを密着させて加熱圧着する昇華転写ェ 法によりシート 2上から板 3 に転写される。 これにより模様 1 5が 形成されている。 さらに、 模様 1 5の無い部分は、 インク層 1 2 、 または不透明の第 2樹脂層 1 0の着色層が色合いを呈している。 本実施の形態では、 金属板 8の両面にめっき層 5 、 5 Aを、 さら にその上に化学処理層 6 , 6 Aを設け、 第 2面側に防鲭塗料層 7 を 設けている。 これらは装飾板 1 の防錡性を向上するためであるが、 必須の構成ではない。
次に、 本実施の形態による装飾板 1 の製造方法とその装飾板 1 に よる金属装飾断熱パネル (以下、 パネル) 2 0の製造方法について 説明する。
図 4は、 本実施の形態の装飾板 1 とパネル 2 0 との製造方法を説 明するための工程図である。 図 5は本実施の形態で昇華転写装置 1 7 にシート 2 と板 3 とをセッ トした状態を示す断面図である。 図 6 は同じく昇華転写装置 1 7でプレスにより圧着した状態を示す断面 図'、 図 7は同じく昇華転写装置 1 7で減圧された状態を示す断面図 である。 図 8は曲げ加工した装飾板 1 と内面部材 1 8 とを組み合わ せ嵌合する状態を示す斜視図、 図 9はウレタン治具 1 9内のパネル 2 0の断面図である。
まず、 素地 4の鋼板の防鲭処理工程 (A工程) で複合電気亜鉛め つきを施してめっき層 5 , 5 Aを、 燐酸により化学処理層 6 、 6 A を、 両面に形成する。 次に中間熱可塑性樹脂層接着工程 (B工程) で、 金属板 8の第一面側にアク リル系接着剤からなる第 2接着剤層 9を貼り付けた不透明な塩化ビニル樹脂の第 2樹脂層 1 0 を貼り付 ける。
さらに、 外皮樹脂層接着工程 (C工程) では、 インク層 1 2 を有
する第 1接着剤層 1 1 で、 第 1樹脂層 1 3 を第 2樹脂層 1 0 に貼り 付け、 図 2 に示すような板 3 を製造する。 なお、 インク層 1 2は予 めメタリ ック仕上げされている。第 1接着剤層 1 1 は、融点 1 1 4 °C の飽和共重合ポリエステル樹脂のホッ 卜メルト系フィルムからなる。 第 1樹脂層 1 3はガラス転移温度が 7 4 °Cで結晶化度が 3 5 %のポ リエステル樹脂であるポリエチレンテレフタレー トの透明フィルム 力 ^らなる。
一方、 図 4の模様印刷工程 (D工程) ではインクジェッ トプリ ン 夕を用いて、 着色剤 1 4による原版の模様 1 5 Aを転写紙 2 1 に印 刷することにより、 シー ト 2 を製造する。
図 5から図 7 に示す、 装飾板 1 を作るときの転写印刷装置 1 7 に おいて、 ベース盤 2 2 には昇降装置 2 3 と、 四方にあるガイ ドビン 2 4を介して上チャンバ一 2 5 とが固定されている。 上チャンバ一
2 5 には加熱源であるヒータ 2 6を内蔵した減圧チャンバ一 2 7が 設けられている。 減圧チャンバ一 2 7内は真空ポンプ 2 8 により、 減圧パイプ 2 9 と減圧調整弁 3 0を介して減圧される。
昇降装置 2 3 にはガイ ドビン 2 4に沿って昇降自在となる駆動チ ヤ ンバー 3 1が連結されている。 駆動チャンバ一 3 1 には引き出し 式の転写槽 3 2がセッ トされている。 転写槽 3 2 には耐熱性のポリ テトラフルォロエチレンまたはシリコンゴム製の圧着シ一 ト 3 3が 内部全面に敷きつめられている。 転写槽 3 2の外周にはポリテトラ フルォロエチレンゴムまたはシリコンゴムのパッキング 3 4が配置 されている。
転写槽 3 2は引き出しガイ ド 3 5 に沿ってベアリ ング 3 6を介し て手前に引き出せる。 転写槽 3 2を引き出した状態で転写槽 3 2内 の圧着シート 3 3上に通気性のある下面耐熱シー ト (以下、 シート)
3 7 とシー ト 2 と板 3 と上面耐熱シー ト (以下、 シート) 3 8が順 次セッ トされる。
なお、 減圧チャンバ一 2 7 には転写槽 3 2 に通じる減圧孔 3 9 と 外気に通じるリーク弁 4 0が設けられている。
ここで、 圧着シート 3 3 には、 シリコンゴム, フッ素ゴム, プチ ルゴム, クロ口プレンに硫黄あるいは 2, 3 -ジクロロ 1 , 3 -プタジェ ンを共重合したゴム等の軟質弾性体が使用できる。 1 5 0 °C以上の 温度で熱転写を断続的に繰り返すため、 耐熱性に優れたシリコンゴ ムゃフッ素ゴムが特に好ましい。
また、 転写印刷装置 1 7 を用いて板 3に昇華性染料で転写印刷す る場合、 板 3に通気性がないので、 シート 2 との間の空気が抜けな い。 またシート 2 に含まれている水分に由来する水蒸気がシート 2 と板 3 との間に残留しやすい。 残留空気や残留水分は、 板 3 に付与 される模様 1 5 に濃度ムラを発生させる原因となる。 よって通気性 のあるシート 3 7 とシー ト 3 8 とで板 3 とシ一ト 2 とを挟むことに より密着状態が改善される。
シート 3 7, 3 8 としては、 綿布, ポリエステル布, 芳香族ポリ アミ ド繊維製の耐熱フェルト, 連通のシリコーンゴムスポンジマツ トゃフッ素ゴムスポンジマッ ト等が使用できる。 シート 3 7, 3 8 には、 1 5 0 °C以上の耐熱性をもち、 熱圧着後に形状が容易に復元 する材質が好ましい。
本実施の形態では被昇華転写品としてプライマー処理鋼板を使用 しているが、 鋼板に限らず、 ステンレス鋼やアルミ板でも素地 4 と して使用可能である。
光透過性の第 1樹脂層 1 3 としては、 ポリエステル樹脂で、 中で もポリエチレンテレフ夕レート樹脂が最もグレード選定し易く良好 である。 第 1樹脂層 1 3 は、 シート 2から移行してく る着色剤 1 4 を昇華転写時には通過させやすく、 常温時または 7 0 °C以下では通 過させにくい樹脂で構成すればよい。 すなわち、 ガラス転移温度が 7 0 °Cから 1 2 0 °Cで、 また結晶化度 2 0 %から 5 0 %の樹脂であ ればよい。
第 1樹脂層 1 3 には、 転写時の加熱温度 1 5 0〜 2 0 0 °Cで著し く軟化しないことが好ましい。 ポリエステル樹脂のポリエチレンテ レフタレ一 ト単体であれば融点が 2 5 0 °C前後であり大きな問題と
ならない。 さらに、 ポリエチレンナフタレート樹脂を溶融ブレンド させた樹脂を使用すると耐熱性とガラス転移温度が更に高くなる。 このような材料で第 1樹脂層 1 3を形成すると、 熱転写で印刷模様 を付与した後に板 3の表面光沢が低下することが抑制される。
シ一ト 2 としては、 グラビア印刷, オフセッ ト印刷, スク リーン 印刷等で着色剤 1 4を印刷塗布したシー卜が使用される。 小口ッ ト 印刷用に製版工程を必要としないコンピュータグラフィ ックスを用 いた電子写真法, 静電記録法, インクジェッ ト法, 感熱転写法等で 昇華性染料を印刷塗布することもできる。 昇華性染料は、 加熱され た際に昇華 · 揮発等によって転移する染料である。 たとえばキノフ タロン誘導体, アントラキノン誘導体、 ァゾ系色素等の分散染料が 好適に使用される。 昇華熱転写、 昇華転写捺染等に用いられる従来 の染料を特に制限なく使用できる。
また、第 1接着剤層 1 1 の材質としては、昇華転写工程で 1 7 0 °C の高温時に第 1樹脂層 1 3 を通過してく る着色剤 1 4を確実に拘束 するために、 耐候性に優れたアクリル樹脂系粘着剤が好ましい。 さ らに、 融点が 1 0 0 °Cから 1 8 0 °Cの飽和共重合ポリエステル樹脂 が着色剤 1 4の拘束性に優れ最適である。 また融点 1 1 4 °Cの飽和 共重合ポリエステル樹脂のホッ トメルト系フィルムだけでなく、 融 点 1 4 0 °Cのものも使用できる。
次に、 昇華転写工程 (E工程) について図 5から図 7を用いて説 明する。 転写槽 3 2 を引き出し、 圧着シート 3 3上にシ一ト 3 7、 シート 2、 板 3、 シート 3 8 を順次重ね合わせて置き、 転写槽 3 2 を駆動チャンバ一 3 1上にセッ 卜する。
次に、 昇降装置 2 3 を稼動させ、 駆動チャンバ一 3 1 を図 6のよ うに上チャンバ一 2 5下面にパッキング 3 4が圧着されるまで上昇 させる。
次に、 真空ポンプ 2 8 を稼動させ、 減圧調整弁 3 0 を開放する。 そして減圧パイプ 2 9 と減圧孔 3 9を通じて、 駆動チャンパ一 3 1 の上昇により上チャンバ一 2 5 と圧着シート 3 3 とで構成される密
閉状態となった転写槽 3 2内を減圧する。 約 0 . 0 5 M P aまで減 圧することで、 圧着シート 3 3が上チャンバ一 2 5下面に引き寄せ られる。 そして図 7 に示すように、 圧着シー ト 3 3の力で、 重ねあ わされたシー ト 3 7、 シート 2、 板 3、 シート 3 8 も圧着される。
シート 2 と板 3 とが圧着された状態で、 ヒータ 2 6 により転写槽 3 2内が 1 5 0〜 2 0 0 に加熱されると、 シート 2 に印刷された 模様 1 5 Aの着色剤 1 4が昇華する。
図 7のようにシート 2 と板 3 とが接触した状態で加熱すると、 昇 華した着色剤 1 4が板 3の第 1樹脂層 1 3 を厚み方向に浸透する。 着色剤 1 4の浸透により第 1樹脂層 1 3のみならず、 インク層 1 2 と第 1接着剤層 1 1 に模様 1 5が転写される。
なお約 6分間の昇華転写工程 (E工程) のうち、 初期の 1分間は チャンバ一内を 0 . 0 2 M P aで維持し、 その後 5分間は減圧調整 弁 3 0 により 0 . 0 8 M P aに圧力を高めるように制御してもよい。 このようにすることにより、 第 1接着剤層 1 1や第 2樹脂層 1 0が 軟化点以上に達しない間に密着が完結する。 そして昇華転写する温 度帯に上昇したときには必要以上の圧力をかけることなく昇華転写 が推進される。 このため、 表面平滑性が維持される。 なお、 温度と 時間と被転写物と着色剤 1 4 との距離により昇華転写現象の転写率 や鮮明性が決定され、 圧力にはさほど影響を受けない。
また、 加熱圧着工程を一次圧着工程と二次圧着工程とで構成する 場合、 二次圧着工程の圧力を一次圧着工程の圧力より も小さく して 加熱圧着することが好ましい。 すなわち第 1接着剤層 1 1 と第 2樹 脂層 1 0 とが加熱により軟化しない時点でしっかりと第 1樹脂層 1 3 と模様 1 5 A面とを密着させる。 その後、 温度の上昇とともに圧 力を小さくする。 このようにすれば、 シート 2やバックアップ部材 の生地跡が残らない。
なお E工程で、 板 3の周囲に板 3 と略同じ板厚のステンレス製の スぺ—サー (図示せず) を敷き、 圧着シート 3 3が直接板 3の端面 部に当たるのを防止することが好ましい。 このスぺ一サ一は、 圧着
シート 3 3 に板 3の端面部が押さえつけられ、 熱のために軟化した 樹脂が端面部よりはみ出し外観を損ねることを防ぐ。
なお本実施の形態において、 第 1樹脂層 1 3はガラス転移温度が 7 3 °Cの樹脂で形成され、 1 7 0 °Cになるとゴム弹性領域になって いる。 その温度では、 高分子構造は非晶質で非常にすき間の多い状 態となり、 第 1樹脂層 1 3は、 熱により分子状態となって通過して くる着色剤 1 4を通過させやすい。 しかし、 第 1接着剤層 1 1 には 融点が 1 1 4 °Cの飽和共重合ポリエステル樹脂を使用しているため、 低分子でかつ溶融状態となった分子構造の着色剤 1 4を通過せず、 そこで拘束する。
次に、 E工程が終わると減圧調整弁 3 0 を閉めリーク弁 4 0 を開 放して転写槽 3 2内のエアー圧を大気圧に戻し、 昇降装置 2 3 を稼 動させ駆動チヤンバ一 3 1 を降下させる。 必要に応じて冷却時間を 設け、 板 3が着色された装飾板 1 を、 転写槽 3 2から取り出す。
第 1樹脂層 1 3 はガラス転移温度の 7 3 °C以下に冷却されるとガ ラス領域になり、 結晶化が進み 3 5 %の結晶化度になる。 このよう な状態になると、 高分子の鎖が緻密な状態となるため、 着色剤 1 4 は通過することが出来ない。 また、 融点が 1 1 4 °Cの第 1接着剤層 1 1 も固化するため、 着色剤 1 4は完全に定着する。
なお、 第 1樹脂層 1 3 として、 7 0 °C以上のガラス転移温度の材 料を使用することで、 7 0 °C以上にならない限り再昇華は起こり難 くなる。 また融点が 1 0 0 °C以上の第 1接着剤層 1 1 を使用するこ とで、 生活温度範囲での再昇華は無くなる。 但し、 1 8 0 °C以上の 融点となるとフィルムの貼り付けが困難となり、 また、 昇華転写時 の着色剤 1 4の拘束も不十分となる。 このように第 1接着剤層 1 1 には、 その融点が、 着色剤 1 4が再昇華して模様がぼやける温度を 超え、 第 1接着剤層 1 1が接着性を発揮する温度範囲内である材料 を用いることが好ましい。 第 1樹脂層 1 3の結晶化度が低いほど透 明度はよくなるものの結晶化度が 2 0 %以下では 7 0 °C付近で再昇 華現象が見られ、 結晶化度が 5 0 %以上となると透明度が極端に落
ちるため昇華模様が見づらくなる。
このように本実施の形態によると、 必要な模様を必要なときに簡 便に付与できるため、 大量生産される家電製品においても、 板 3 に 色柄を自由に付けることができ、 使用にも耐えうる鋼板となる。
次に、 F工程で、 完成した装飾板 1 のコーナ部分を切断し、 さら に G工程で曲げ加工を施す。
次に H工程で、 図 8で示すように、 サイ ドキャップ 4 1, 4 2 と ドアバック等の内面部材品 1 8 とを嵌合することにより、 装飾板 1 の第 1樹脂層 1 3面を外面とする空間 4 5 を形成する。 次いで Jェ 程で、 図 9 に示すように、 ウレタン治具 1 9内に、 H工程で嵌合さ せたものを配置し、 空間 4 5 にウレタン樹脂を注入することで装飾 板 1 と内面部材 1 8 とがー体発泡体となったパネル 2 0が得られる。
ここで、 ウレタン発泡を行う工程では発泡熱により温度が 6 0 °C 以上になる。 しかし第 1樹脂層 1 3 をガラス転移温度が 7 0 °C以上 の樹脂フィルムで構成しているので、 再昇華して模様がぼやけるこ とはない。 また、 結晶化度の高い樹脂を使用しているので、 着色剤
1 4は通過しにくいために色むらを生じない。
以上のように本実施の形態の装飾板 1 は、 金属板 8面に第 1接着 剤層 1 1 を介して、 光透過性の第 1樹脂層 1 3 を形成した板 3から なる。 第 1樹脂層 1 3 を構成する樹脂のガラス転移温度は、 着色剤
1 4が再昇華して模様 1 5がぼやける温度以上着色剤 1 4を転写す る温度未満である。 そして第 1樹脂層 1 3 と第 1接着剤層 1 1 の少 なく ともいずれか一方の内部に着色剤 1 4を浸透させて模様 1 5が 形成されている。 第 1樹脂層 1 3 としてガラス転移温度が、 着色剤 1 4を転写する温度未満の材料で構成しているので、 板 3 にシート
2を重ね合わせ着色剤 1 4を昇華させて、 第 1樹脂層 1 3や第 1接 着剤層 1 1 に模様 1 5 を転写できる。
一般的に、 ウレタンの発泡工程や生活環境で達する温度は 7 0 X: 未満なので、 第 1樹脂層 1 3のガラス転移温度が 7 0 以上であれ ば着色剤 1 4が再昇華しない。 このように第 1樹脂層 1 3のガラス
転移温度が、 着色剤 1 4が再昇華して模様 1 5がぼやける温度以上 であるため、 長期耐候性と耐熱性が維持される。 また着色剤 1 4を 転写する温度は 1 5 0〜 2 0 0 であるので、 この場合第 1樹脂層 1 3のガラス転移温度は 1 2 0 °C以下であることが好ましい。
なお、 第 1樹脂層 1 3 に紫外線吸収剤を混入してもよい。 第 1樹 脂層 1 3に紫外線吸収剤を混入した場合は、 紫外線吸収剤により比 較的弱い昇華転写インク (着色剤 1 4による模様 1 5 ) の耐候性を 高めることができる。
また、 本実施の形態の装飾板 1 は、 第 1樹脂層 1 3 に、 ポリエス テル樹脂フィルムを使用している。 適度なガラス転移温度範囲と結 晶性を有するポリエステル樹脂の特性を利用することにより、 昇華 転写性が高まり、 また、 再昇華が抑制される。 また、 ポリエステル 樹脂フィルムとして、 ポリエチレンテレフタレー ト樹脂が使用され ている。 このような構成により、 8 0 °Cから 1 2 0 °Cのガラス転移 温度領域を設定しやすく、 適度な結晶化度を選択しやすい。 また、 ポリエチレンテレフ夕レート樹脂として、 装飾板 1 の使用される温 度以上、 着色剤 1 4が再昇華して模様がぼやける温度未満での結晶 化度が 2 0 %以上 5 0 %以下の樹脂を使用している。 このような構 成では結晶化度が高い分、 分子構造が緻密なため、 昇華転写後の再 昇華が抑制される。
なお、 第 1樹脂層 1 3 に、 微細なシリカを溶融混入させたマツ 卜 調のポリエチレンテレフタレート樹脂のフィルムを使用してもよい。 このような構成により、 昇華転写時に生じるプレッシャーマーク等 の外観不良が目立たず、 木目などの艷 (光沢) なし壁面を昇華転写 による装飾板 1で容易に作製できる。
また、 ポリエステル樹脂フィルムとして、 ポリエチレンテレフ夕 レー ト樹脂とポリエチレンナフタレー ト樹脂との溶融プレンド樹脂 を使用してもよい。 この場合、 ガラス転移温度が約 7 5 のポリエ チレンテレフ夕レー ト樹脂とガラス転移温度が約 1 2 1 °Cのポリエ チレンナフ夕レート樹脂との混合比率によって容易に第 1樹脂層 1
3のガラス転移温度を制御することができる。 また、 ポリエチレン ナフ夕レート樹脂はポリエチレンテレフタレート樹脂より耐熱性が 高いので、 第 1樹脂層 1 3の耐熱性が高まる。 そのため、 昇華転写 工程後の表面光沢の低下が抑制され、外観状態が良好に維持される。
なお、 第 1接着剤層 1 1 にパール材を混入してもよい。 このよう な構成を適用し 装飾板 1 は、 美観に優れ、 外観デザインの自由度 が増し、システムキッチンのパネル材ゃ壁材の類似品に適用できる。
また、 本実施の形態の装飾板 1 は、 第 1接着剤層 1 1 に、 融点が 1 0 0 °Cから 1 8 0 °Cの飽和共重合ポリエステル樹脂を使用してい る。 このような第 1接着剤層 1 1 は、 ウレタン発泡工程 (J 工程) での温度や通常の生活温度帯では剥がれることない。 また昇華転写 工程 (E工程) での加熱時には融解近くで軟化し粘性を有し、 着色 剤 1 4を通過させること無く拘束し、 また、 再昇華を抑制する。
また、 本実施の形態の装飾板 1 は、 金属板 8の第 1面と第 1接着 剤層 1 1 との間に、 第 2樹脂層 1 0 を設けている。 第 2樹脂層 1 0 が柔軟性を与えるために、 装飾板 1 は、 曲げ加工やプレス加工が容 易となり、 後加工が可能である。
また、 本実施の形態の装飾板 1 は、 第 2樹脂層 1 0 として、 塩化 ビニル樹脂フィルムまたはポリプロピレン樹脂フィルムを使用して いる。 柔軟性を有する塩化ビニル樹脂フィルムやポリプロピレンフ イルムを第 2樹脂層 1 0に使用することで金属板 8の凹凸が緩和さ れ、 装飾板 1 のプレス性と曲げ加工性が非常に改善される。
なお第 2樹脂層 1 0 として、 ポリエチレンテレフタレ一 ト樹脂フ イルムを使用してもよい。 ポリエチレンテレフタレ一ト樹脂フィル ムは比較的耐熱性が良いので、 装飾板 1 の外観の安定性が保たれ、 プレス性と曲げ加工性と接着性が改善される。
また、 本実施の形態の装飾板 1 は、 第 1接着剤層 1 1 と第 1樹脂 層 1 3 との間に、 着色されたインク層 1 2 を設けている。 インク層 1 2は外観の悪い第 1接着剤層 1 1 を覆すとともに、 インク層 1 2 においてベースとなる色を変更することで昇華転写模様に多様化と
深み感ゃ新規なデザイン性を持たせることができる。
また、 本実施の形態の断熱パネル 2 0は、 装飾板 1 と、 金属板 8 の第 2面側に配置された内面部材 1 8 と、 ウレタン発泡断熱材とを 有する。 ウレタン発泡断熱材は、 装飾板 1 と内面部材 1 8 とにより 形成された空間 4 5 に充填発泡されている。 パネル 2 0では、 金属 板 8の第 1面に第 1接着剤層 1 1 を介して設ける第 1樹脂層 1 3 と してガラス転移温度が 7 0 °C以上で 1 2 0 °C以下の材料を使用して いる。 すなわちウレタン発泡工程で第 1樹脂層 1 3が加熱される温 度が、 第 1樹脂層 1 3 を構成する樹脂のガラス転移温度より低い。 このため、 J 工程で 6 0 付近の温度に上昇しても、 昇華転写模様 が再転写せず、 色むらやウレタン治具内壁面へ色移り も生じない。
また、 本実施の形態の冷蔵庫用ドアは、 パネル 2 0 を有し、 装飾 板 1 により冷蔵庫の前面を構成し、 内面部材 1 8が冷凍サイクルに より冷却される'冷蔵庫庫内の貯蔵室の一部を構成している。 このよ うな構成のドアは、 多様化する個々の色柄への要望に応えることが できる。 また表面にメモ用紙等を貼り付けても色移りせず、 通常の 生活環境において、 変色 · 褪色が大幅に抑制される。
なお、 本実施の形態では発泡断熱材としてウレタンを用いるが、 フエノールフォーム、 スチレンフォ一ム等の樹脂発泡体を用いても よい。 その場合、 発泡工程で達する温度が変わるのでそれに応じた ガラス転移温度の材料を第 1樹脂層に用いる。
また本実施の形態では装飾板を冷蔵庫用 ドアに適用しているが、 スライ ド式野菜庫などを設ける場合の前面パネル等の外壁に適用し てもよい。
(実施の形態 2 )
図 1 0 は本発明の実施の形態 2における昇華転写工程で、 バック アップ部材を介してラミネート金属板と転写型印刷シ一トとを重ね 合わせた状態を示す断面図である。
本実施の形態による金属装飾板の製造方法では、 パックアップ部
材 5 0 により転写型印刷シート 2の模様 1 5 A面を、 ラミネート金 属板 3の外皮樹脂層 (第 1樹脂層) 1 3 に重ね合わせて加熱圧着す る。 バックァップ部材 5 0の表面には凹凸または縞模様が設けられ ている。 これにより板 3 に、 立体感のある艷消しタイプの模様 1 5 が付けられ、 半艷 (半光沢) タイプの外観が得られ、 または縦縞横 縞等の立体感が容易につく。 このような昇華転写模様付き金属装飾 板を得ることにより、 システムキッチンのパネル材ゃ壁材に似せた 金属装飾板を造る時のデザインの自由度が広がる。 (実施の形態 3 )
図 1 1 は本発明の実施の形態 3における昇華転写工程で、 ラミネ ート金属板と転写型印刷シー トとを重ね合わせた状態を示す断面図 である。
本実施の形態による金属装飾板の製造方法では、 表面に凹凸また は縞模様がある転写型印刷シー ト 5 1 を使用する。 そしてラミネー ト金属板 3の外皮樹脂層 (第 1樹脂層) 1 3 とシート 5 1 の模様 1 5 A面とが接するように重ね合わせて加熱圧着する。 これにより、 板 3 に立体感のある艷消しタイプの着色模様を付ける。 すなわち、 実施の形態 2におけるバックアップ部材 5 0の機能を転写型印刷シ ート 5 1 が有する。 これにより、 実施の形態 2の効果に加え、 半艷 (半光沢) タイプまたは縦縞横縞等の立体感のある昇華転写模様付 き金属装飾板を安定して容易に得ることができる。
(実施の形態 4 )
図 1 2は本発明の実施の形態 4における昇華転写後の熱処理工程 を示す概略断面図である。
外皮樹脂層 (第 1樹脂層) 1 3に高鮮映光沢フィルムを使用した 装飾板 1 は、 着色模様 1 5 (第 1樹脂層 1 3 ) のある面を上にして 第 1 、 第 2 のコンベア 5 2, 5 3によって搬送される。 搬送の過程 で、 まず、 コンベア 5 2 に対向して配置される予備加熱槽 5 4のヒ
一夕(こよ り、 ラミネート金属板 3 の第 1樹脂層 1 3が予備加熱され る。 次に、 コンベア 5 2 とコンベア 5 3 との間に配置された、 外周 面が平滑金属面からなる加熱ローラ一 5 5が、 板 3 の第 1樹脂層 1 3を約 2 0 0 °Cで約 1分加熱圧着する。 次に、 コンベア 5 3 に対向 して配置される冷却ュニッ ト 5 6の冷却ノズル 5 6 Aから吹き出さ れる冷気により、 板 3 の第 1樹脂層 1 3が冷却される。
本実施の形態による金属装飾板の製造方法では、 第 1樹脂層 1 3 に高鮮映光沢フィルムを使用し、 第 1樹脂層 1 3 と転写型印刷シ一 卜 2の模様 1 5 A面とが接するように重ね合わせて加熱圧着して板 3 に模様 1 5を付ける。 この昇華転写工程の後、 板 3 に浸透した昇 華型着色剤 (着色剤) 1 4が再昇華しないような温度 · 時間条件で 第 1樹脂層 1 3 を熱処理する。 この熱処理工程により第 1樹脂層 1 3の高鮮映光沢性を昇華転写工程前の状態に戻す。
高鮮映光沢フィルムからなる第 1樹脂層 1 3 とシート 2 とを重ね 合わせて加熱圧着すると、 第 1樹脂層 1 3の高鮮映光沢性が低下す る。ここで、板 3 に浸透した着色剤 1 4が再昇華しないような温度 - 時間条件で第 1樹脂層 1 3 を熱処理することにより、 第 1樹脂層 1 3 の高鮮映光沢性を昇華転写工程前の状態に戻すことができる。 そ のため、 高鮮映光沢性を有する装飾板 1が得られ、 システムキツチ ンのパネル材ゃ壁材に似せた金属装飾板 1 を造る時のデザィンの自 由度が広がる。
また、 本実施の形態による熱処理工程は、 加熱された平滑金属面 を板 3の第 1樹脂層 1 3に圧着することにより行われる。 着色剤 1 4が昇華転写されない平滑金属面を第 1樹脂層 1 3 に圧着すること により、 被転写物である着色剤 1 4が第 1樹脂層 1 3から再昇華す ることが抑制され、 色抜けのない高鮮映の外観が得られる。
また、 本実施の形態による熱処理工程では、 外周面が平滑金属面 からなる加熱された加熱口一ラー 5 5 を第 1樹脂層 1 3に対向させ、 加熱口一ラー 5 5を用いて板 3 をロールプレスする。 このように平 板を使わずにローラ一でプレスするので、 安価に効率的に板 3の第
樹脂層 1 3の高鮮映光沢性を復活させることができる。
(実施の形態 5 )
図 1 3 は本発明の実施の形態 5 における昇華転写後の熱処理工程 を示す概略断面図である。
外皮樹脂層 (第 1樹脂層) 1 3 に高鮮映光沢フィルムを使用した 昇華転写模様付き金属装飾板 1 は、 着色模様 1 5 (第 1樹脂層 1 3 ) のある面を上にして樹脂製コンベア 5 7 によって搬送される。 搬送 の過程で、 まず、 コンベア 5 7の内部搬送上流側に配置される電磁 誘導加熱ユニッ ト 5 8の電磁誘導加熱により、 ラミネート金属板 3 の第 1樹脂層 1 3が加熱される。 この時、 板 3の上方は断熱カバ一 5 9で覆われているので、板 3は周囲の空気により冷却されにく く、 電磁誘導加熱ユニッ ト 5 8 により効率よく加熱される。
次に、 冷却ュニッ ト 5 6の冷却ノズル 5 6 Aから吹き出される冷 気により、 第 1樹脂層 1 3が冷却される。
本実施の形態による熱処理工程では、 板 3 を電磁誘導により加熱 する。 熱可塑性樹脂からなり、 金属板 8の第 1面側に接着されてい る第 1樹脂層 1 3が、 効率よく短時間で加熱されので、 効率的に短 時間で第 1樹脂層 1 3の高鮮映光沢性を復活させることができる。
なお、 実施の形態 1から 5 における金属装飾板の製造工程では、 システムキッチン用冷蔵庫の購入予定者が指定するシステムキツチ ンのパネル材のサンプルを参考にして、 外観が前記システムキツチ ンのパネル材に酷似した金属装飾板を製造することができる。 これ により冷蔵庫の機種がシステムキッチン専用機種に限定されず、 シ ステムキッチンと非常に調和したシステムキッチン用冷蔵庫をォー ダ一メイ ドで提供できる。 産業上の利用可能性
本発明の昇華転写模様付き金属装飾板は、 昇華転写印刷された模 様がウレタン発泡工程の熱や生活環境温度帯では再昇華せず、 長期
耐候性と耐熱性を維持するので、 金属装飾板と内面部材とにより形 成された空間にウレタン発泡断熱材が充填され、 冷蔵庫の前面を構 成する冷蔵庫用 ドアなどの用途に適用できる。