WO2004022307A1 - 積層形成体及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

少なくとも2種類の樹脂素材の共押出しにより成形した積層成形体は，ブロープリフォーム，ダイレクトブローボトル，チューブ又はブローチューブとして好適なものであり，その少なくとも一層が，その樹脂素材の押出し方向及び／又は該押出し方向と交差する方向に沿って連続的又は断続的に厚さを変動させた有色層で構成されていることにより，グラデーション効果を高めている。

Description

明 細 書

積層成形体及びその製造方法 背景技術

技術分野

[0001] 本発明は，複数種類の合成樹脂を素材として用い，それらを共押出しすること によって得られるブロープリフォームやダイレクトブローボトル等の積層成形体に関する ものであり，該積層成形体の色調に変化をもたせて美的外観のより一層の改善を図ろう とするものである。本発明は，更に，このような積層成形体を製造するための製造方法 に関するものでもある。

従来の技術

[0002] 化粧料等を入れる合成樹脂製の容器は，大量生産に適しかつ生産コストの軽 減を図る観点から合成樹脂を射出成形やブロー成形により成形した成形品が多数使 用されるようになってきているが，該成形品は単一色調もしくは色調に変化の少なレ、も のが殆どであり，容器の美的外観の面からは未だ不十分なものであった。

[0003] このため近年では，例えば特開 2000— 117820号公報に記載されてレ、るように, 容器に付与する色彩につき，濃淡をつけて容器の装飾効果を高める，いわゆるクラデ ーシヨン効果をもたせる手法が採用されるようになってきて！/、る。

[0004] 上記公報に記載されてレ、る技術は，半透明の有色樹脂による射出時にパリソ ンに予め肉厚差を設け，その後ブローすることにより部分的に肉厚を異ならせようとする ものである。この技術によれば，特別な工程を必要とせずに色の濃淡による模様を付与 することができ，生産コストにっレ、ても低く押さえることができると考えられてレ、た。

[0005] ところで，上述した従来技術は，パリソン自体に肉厚差を設けてあるためブロー 成形品もパリソンと同様の肉厚分布を持つこととなり，ブロー成形時の肉厚制御が難し レ、こと，また，肉厚がとくに薄くなる部分については，剛性が低下するので容器の強度 影響を与えるとともに外界からのガス（酸素等）の侵入が容易になるため内容物の品質 保持期間が短くなることも懸念され，良好な品質になる成形品を安定して得るのが難し く，また，全体的に剛性を維持しょうとした場合には色の濃い部分の肉厚が要求される 剛性以上に不必要に肉厚となりコストの上昇を招いてしまうところに問題を残しており， なお一層の改善が求められている。

発明の開示

[0006] 本発明の課題は，上記のような従来技術における問題点を解消できる新規な 積層形成体及びその製造方法を提案することにある。

[0007] 本発明による積層成形体は，少なくとも 2種類の樹脂素材の共押出しにより得 たものであり，前記積層成形体の少なくとも一層が，その樹脂素材の押出し方向を基準 とする所定の方向（例えば，押出し方向と平行な方向及ぴ 又は押出し方向に対して 交差する方向）に沿って連続的又は断続的に厚さを変動させた有色層よりなることを特 徴とするものである。

[0008] また，本発明による積層成形体の製造方法は，少なくとも 2種類の樹脂素材を 共押出しして積層成形体を形成するにあたり，前記積層成形体の少なくとも一層として 有色層を押出し，その有色層が，その樹脂素材の押出し方向を基準とする所定の方向 (例えば，押出し方向と平行な方向及び/又は押出し方向に対して交差する方向）に 沿って連続的又は断続的に変動する厚さを有するよう，該有色層の樹脂素材の押出し 量を制御することを特徴とするものである。

[0009] 本発明によれば，共押出しに際して有色層を形成する樹脂素材の供給量を調 整することにより，美的外観の改善された積層成形体を容易かつ確実に得ることが可能 である。また，有色層を構成する樹脂素材の厚さを所定の方向に沿って連続的又は断 続的に変動させることにより，その所定の方向に有色層の濃淡が連続的又は断続的に 変化する視覚的効果，いわゆるグラデーション効果が発現されるものである。例えば， 有色層を構成する樹脂素材の厚さを押出し方向と平行な方向に変化させる場合には， 有色層の濃淡が押出し方向と平行な方向に変化することとなる。また，有色層を構成す る樹脂素材の厚さを押出し方向に対して交差する方向に変化させる場合には，有色層 の濃淡が押出し方向と交差する方向に変化することとなる。

[0010] 前記積層成形体は，全体の厚さが樹脂素材の押出し方向を基準とする前記所 定の方向に沿ってほぼ均一であることが望ましい。すなわち，積層成形体全体の厚さ が前記所定の方向に沿ってほぼ均一となるよう，有色層以外の少なくとも一層の樹脂 素材の押出し量を制御するのが望ましい。この場合には，有色層の厚さを変化させても 積層成形体全体としては厚さがほぼ均一であるので，局所的に薄肉 ·肉厚部ができるこ ともなく，強度的にも安定した品質の成形品を得ることができると共に，コスト上昇を押さ えたグラデーション効果の高い積層成形体を提供することが可能となる。

[0011] 上記の構成になる積層成形体において，有色層は積層成形体の厚さの 50% 以内で厚さを変動させたものであることが望ましい。

[0012] 本発明による積層成形体は，二軸延伸ブロー成形の際に用レ、るブロープリフォ 一ムゃ共押出しされるノ リソンにダイレクトブロー成形を施すことによって得られるボトル, あるいはダイレクトブローチューブ，更にはチューブ等の容器における胴部として有利 に適用可能である。

図面の簡単な説明

[0013] 以下，本発明を図示の好適な実施形態について更に詳述する。

[0014] 図 1は，本発明の一実施例に係る積層成形体の構成説明図である。

[0015] 図 2は，図 1に示した成形体の要部拡大断面図である。

[001¾ 図 3ないし図 7は，それぞれ本発明の他の実施例における積層構造を説明す るための要部拡大図である。

[0017] 図 8は，本発明の更に他の実施例に係る積層成形体の構成説明図である。

[0018] 図 9は，図 1に示した成形体の要部を展開状態で示す拡大断面図である。

[0019] 図 10は，本発明の他の実施例に係る積層成形体の構成説明図である。

発明を実施するための最良の形態

[0020] 図 1は本発明の一実施例に係る積層成形体として 2層ボトル型容器のブロー 成形品を例示したものであり，同図において参照数字 1は内層としての本体部分， 2は 本体部分 1の外側に一体的に配置された有色層を表わす。有色層 2は，その厚さを成 形品の口部力 底部に向けて厚くすることで色の濃度を漸次に高めたものである。なお， 内層としての本体部分 1はその厚さを成形品の口部力 底部に向けて薄くすることで， 積層成形体全体としては厚さ tがほぼ一定である。

[0021] 上掲図 1に示した成形品は，その押出し方向と平行な方向，すなわち口部から 底部に向けて徐々に色が濃くなる色調を有するグラデーション効果の高い容器として. 構成されるため，容器の美的外観が著しく改善される。

[0022] このような容器を成形するに当たっては，異なる樹脂素材を同時に合流させる タイプ又は逐次に合流させるタイプの多層共押出しダイを使用することができる。

[0023] 積層成形体における色の濃淡は，有色層を構成する樹脂の押出し量を適宜に 制御することにより調整可能である。言うまでもなく，有色層の厚さが厚くなるほど色は 濃くなり，薄くなるほど色は淡くなる。図 1に示した容器の場合，その要部を拡大して図 2に示すように，有色層 2の厚さは底部から口部に向けて徐々に減少する肉厚分布を 有することになり，また，内層としての本体部分 1の厚さは底部から口部に向けて徐々 に増大する肉厚分布を有することになる。

[0024] 共押出しに際しては，榭脂素材の押出し量を制御することにより有色層 2の厚 さを適宜に変化させるものであるが，これに伴って有色層 2に隣接する内層 1の厚さも 変化させる。したがって，積層成形体全体の厚さはほぼ一定であり，製品形状に起因 する肉厚変化を除いて肉厚が極端に薄くなつたり厚くなつたりする箇所も生じることはな い。

[0025] 積層成形体を構成する材料はポリエチレン樹脂，ポリプロピレン樹脂等のォレ フィン系榭脂，ポリエチレンテレフタレート樹脂 (PET)等のポリエステル樹脂にカ卩ぇバリ ァ樹脂として，エチレンビュルアルコール共重合体 (EVOH) ,あるいはナイロン等を使 用することがでさる。

[0026] 上述した構造の積層成形体は，内層としての本体部分 1に対応する樹脂素材 を供給するための流路と，本体部分 1の外側に一体的に配置された有色層 2に対応す る樹脂素材を供給するための流路とを備えた成形装置を用い、これらの樹脂素材を共 押出しすることによって成形することができる。

[0027] 次に，図 3〜図 7に示す他の実施例に係る積層成形体について説明する。

[0028] 本発明に従う積層成形体は，図 3に示すように有色層 2の外側に光沢材もしく はフロスト材からなる艷消し層 3を設けることもでき，これにより色の濃淡のみならず，色 調に変化を加えることができる。

[0029] また，本発明による積層成形体は，図 4〜図つに例示するように，接着層と，酸 素の透過を抑制するための EVOHやメタキシリレン基含有ポリアミド等カゝらなるバリア層 とを設けた適宜の組み合わせとすることが可能である。すなわち，図 4の実施例では，' 図 3の実施例における有色層 2と艷消し層 3との間に接着層 4を配置している _ό図 5 の実施例では，図 1及ぴ図 2の実施例における内層としての本体部分 1と有色層 2と の間に接着層 4, ノリア層 5及ぴ接着層 4を順次に配置してレ、る。図 6の実施例では， 図 5の実施例における内層としての本体部分 1の内側にもノ リア層 5を配置している。 更に，図 7の実施例では，図 6の実施例における本体部分 1とその内側のパリア層 5 との間にも接着層 4を配置している。さらには，既知の酸素吸収剤を含有させた層を設 けることも可能である。層構成にっレ、ては上記以外にも用途に応じて適宜に変更するこ とができ，この点に関しては特に限定されない。

[0030] 有色層の厚さは，積層成形体全体の厚さの 50%以内で変動させるのが望まし レ、。その理由は，有色層.の肉厚変動性及び外観性のためである。なお，有色層の肉厚 を変化させることにより多彩なグラデーション効果を発現させることが可能であるが，例 えば上掲図 2に示したところの本体部分 1をも有色層としてこの本体部分 1と有色層 2と を重ね合わせた隣接配置型の層構成を採用するようにしてもよぐこれによりグラデー シヨン効果の変更に係わる選択の幅がより一層拡大される。

[0031] 積層成形体に有色層が複数存在する層構成においては有色層を相互に重ね 合わせた隣接配置型の他、有色層の相互間に接着層やバリア層あるいは艷消し層を 挟んだ離隔配置型とすることも可能で、これによつてもグラデーション効果の変更に係 わる選択幅が拡大される。

[0032] 図 8及ぴ図 9は，本発明の更に他の実施例に係る積層成形体として 2層ポト ル型容器のブロー成形品を例示したものであり，図 1及ぴ図 2におけると同一の参照数 字は，同一又は対応する構成要素を表わすものである。本実施例では，容器本体 1が その円周方向の半周に亙ってのみ有色層 2を有し，残りの半周に亙っては有色層 2が 設けられていなレヽ。有色層 2は，本体部分 1の外側に一体的に配置されたものである。 有色層 2の厚さは，図 9に示すとおり，一端部から中央部に向けて漸次に増加し，中央 部から他端部に向けて漸次に減少する。したがって，有色層 2は色調が一端部から中 央部に向けて濃くなり，中央部から他端部に向けて淡くなる円周方向のグラデーション 効果を発現するものである。

[0033] なお，図 8及び図 9に示す積層成形体は，例えば，内層としての本体部分 1 に対応する樹脂素材，有色層 2に対応する樹脂素材との合流部における流路の断面 形状を略三日月状とすることにより成形することが可能である。また，その合流部におけ る流路の断面積を経時的に増減させるための適当な制御手段を設ける場合には，有 色層 2の厚さを押出し方向に対して交差する方向のみならず，押出し方向と平行な方 向にも適宜に増減させることが可能であり、これにより多くのグラデーション模様が具現 ィ匕できることになる。

[0034] 有色層 2の厚さを押出し方向に対して交差する方向及び押出し方向と平行な 方向の二方向に増減させた本発明の実施例を図 10に示す。

[0035] 上述したところから明らかなとおり，本発明によれば，共押出しに際して有色層 を形成する樹脂素材の供給量を調整するのみで美的外観の改善された積層成形体を 容易かつ確実に得ることが可能である。また，積層成形体は有色層の厚さを変化させ ても全体の厚さ tをほぼ一定としたため，局所的に薄肉 ·肉厚部ができることもなく，した 力 Sつて強度的にも安定した品質の成形品を得ることができると共に，コスト上昇を抑えた グラデーション効果の高い積層成形体を提供することが可能である。

[0036] なお， 本発明を好適な実施例について説明したが， その範囲を逸脱する となく上記以外の各種態様をもって実施し得ることは言うまでもない _c

Claims

請 求 の 範 囲

1. 少なくとも 2種類の樹脂素材を共押出しして成形した積層成形体であって， 前記積層成形体の少なくとも一層が， その樹脂素材の押出し方向を基準とする所 定の方向に沿つて連続的又は断続的に厚さを変動させた有色層よりなることを特 徵とする積層成形体。

2. 前記所定の^向が，積層成形体の前記少なくとも一層の樹脂素材の押出し方向と 平行な方向であることを特徴とする，請求項 1記載の積層成形体。

3. 所定の方向が，積層成形体の前記少なくとも一層の樹脂素材の押出し方向と交差 する方向であることを特徴とする，請求項 1記載の積層成形体。

4. 前記所定の方向が，積層成形体の前記少なくとも一層の樹脂素材の押出し方向と 平行な方向及び該押出し方向と交差する方向の二方向であることを特徴とする，請求 項 1記載の積層成形体。

5. 前記積層成形体は，全体の厚さが前記所定の方向に沿ってほぼ一定であることを 特徴とする，請求項 1〜4の何れか一項に記載の積層成形体。

6. 前記有色層は，積層成形体の厚さの 50%以内で厚さを変動させたものであることを 特徴とする，請求項 1〜5の何れか一項に記載の積層成形体。

7. 前記積層成形体が，ブロープリフォーム，ダイレクトブローボトル，チューブ又はブ ローチューブであることを特徴とする請求項 1〜6の何れか一項に記載の積層成形体。

8. 少なくとも 2種類の樹脂素材を共押出しして積層成形体を形成するにあたり， 前記積層成形体の少なくとも一層として有色層を押出し，その有色層が樹脂素材の 押出し方向を基準とする所定の方向に沿って連続的又は断続的に変動する厚さを有 するよう，該有色層の樹脂素材の押出し量を制御することを特徴とする積層成形体の 製造方法。

9. 前記所定の方向を，積層成形体の前記少なくとも一層の樹脂素材の押出し方向と 平行な方向とすることを特徴とする，請求項 8記載の製造方法。

10. 前記所定の方向を，積層成形体の前記少なくとも一層の樹脂素材の押出し方向と 交差する方向とすることを特徴とする，請求項 8記載の製造方法。

11. 前期所定の方向を，積層成形体の前期少なくとも一層の樹脂素材の押出し方向と 平行な方向及ぴ該押出し方向と交差する方向の二方向とすることを特徴とする，請求 項 8記載の製造方法。

12. 前記積層成形体全体の厚さが前記所定の方向に沿ってほぼ一定となるよう，前記 有色層以外の少なくとも一層の樹脂素材の押出し量を制御することを特徴とする，請求 項 8〜： 11の何れか一項に記載の製造方法。

13. 前記有色層の厚さが，積層成形体全体の厚さの 50° /。以内で変動するよう，該有 色層の樹脂素材の押出し量を制御することを特徴とする，請求項 8〜： 12の何れか一項 に記載の製造方法。

14. 前記積層成形体により，ブロープリフォーム，ダイレクトブローボトル，チューブ又は ブローチューブを形成することを特徴とする請求項 8〜： 13の何れか一項に記載の製造 方法。