WO2004004568A1

WO2004004568A1 - 移動型x線装置

Info

Publication number: WO2004004568A1
Application number: PCT/JP2003/008281
Authority: WO
Inventors: Yoshitomo Tsukamoto; Kouichiro Oku; Eiji Mita; Akira Shiuchi; Minoru Tanaka
Original assignee: Hitachi Medical Corporation
Priority date: 2002-07-02
Filing date: 2003-06-30
Publication date: 2004-01-15
Also published as: CN100525706C; CN1665448A

Abstract

被検体にX線を照射するX線管を含むX線発生部2と、可動羽根によりX線を絞る絞り部1と、X線発生部2及び絞り部1を保持するアーム部3と、アーム部3を支え、上下動させる支柱4と、運搬する台車5と、X線発生条件及び台車移動を制御するX線制御部6とを備えた移動型X線装置において、ツマミ部11、12を絞り部1の外周面に少なくとも2つ備えたり、絞り部1にX線撮影条件設定部を備えたりすることや、X線発生部2或は支柱4を押出成形し、装置移動の際、操作者の視界を確保することにより、移動型X線装置の操作性向上を実現させることができる。

Description

明細書

技術分野

本発明は、'被検体に X線を照射する X線発生部と、この X線発生部を昇降自在に支持する支持機構とを備えた、特に操作性に優れた移動型 X線装置に関するものである。背景技術

一般に移動型 X線装置は、被検体に X線を照射する X線発生部と、この X線発生部を支持するアーム部と、アーム部を昇降させる昇降機構とを具えている。特開 2002-34963号記載の移動型 X線装置を用いて X線撮影を行う場合、病室の大きさ、べッドの配置等で X線可動絞りを操作する位置が異なる。具体的には、べッドの周囲全体に作業用スペースがある状態では、操作する者は、べッドに対して移動型 X線装置が置かれた位置とは反対側に回って絞りの操作を行う。し力し、ベッドが壁際に配置されている場合には、操作する者は、壁が邪魔になって X線可動絞りケース正面側に立って絞り操作を行うことができない。したがって、操作する者は、 X線可動絞りのケース裏面側となる装置本体部の近くに立って絞り操作を行わなければならない。ケース裏面側に立ってケース正面側に設ける操作ツマミを操作することとなった場合には、 X線可動絞りのケース裏面側から X線可動絞りのケース正面側に手を回し、無理な姿勢で操作ツマミの操作を行う必要がある。また、 X線可動絞り全体を X線発生部に対して回転させる構造としている場合には、操作ッマミが操作する者の正面に向くように X線可動絞り全体をいちいち 180度回転させる必要がある。また、 X線発生部においては、 X線管収納ケース内に X線管を収納するため、 X線管収納ケースを製缶品又は铸物で形成している。そして、 X線管収納ケースを製缶品又は錶物のままにすると見栄えが悪くなることから、従来では、製缶品又は铸物のケースを樹脂製カバーで覆うようにしている。このように、 X線発生部においては、 X線管収納ケースを製缶品又は錶物で形成するとともに、製缶品又は錶物のケースを樹脂製カバーで覆うようにしていたため、製缶品又は铸物のケースを樹脂製カバーで覆うので、 X線発生部が大型化してしまい、装置移動の際、操作者の視界が狭くなり、障害物に当ってしまうという問題もある。支柱及びアーム部も同様である。

そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、操作者にとって操作性を向上した移動型 X線装置を提供することにある。発明の開示

本発明は、台車と、前記台車上に該装置を制御する制御部と、前記台車の進行方向に対して前記制御部よりも前部に配置された支柱と、前記支柱に上下駆動機構を有するスライダ部を介して連結されたアーム部と、前記アーム部の 2端の内前記スラィダ部側とは反対側端に X線管を有する X線発生部と、可動羽根により前記 X線を絞る絞り部とを備えた移動型 X線装置において、前記絞り部は、前記絞り部の第 1の側面に第 1の可動羽根を調整する第 1の操作ツマミと、前記第 1の側面とは異なる第 2の側面に前記第 1の可動羽根を調整する第 2の操作ツマミとを備えたものである。

また、第 2の側面は、前記第 1の側面に対向する面としてもよいし、第 1の操作ッマミと前記第 2の操作ツマミは、お互いに連動させてもよい。また、第 1の操作ツマミと前記第 2の操作ツマミに連結する第 1の回転軸を前記絞り部内に貫通させ、前記絞り部外に突出させてもよいし、第 2の可動羽根を調整する操作ッマミに連結する第 2の回転軸を絞り部内に備え、前記第 1の回転軸と、前記第 2 の回転軸とが平行になるように設置されるうにしてもよい。また、第 1の回転軸と、前記第 2の回転軸とが直交するように設置されるようにしてもよいし、可動羽根で設定される X線照射範囲を照光する照光器を前記絞り部内に備え、前記照光器のスィッチを前記絞り部の側面に配置させてもよレ、。また、絞り部に X線撮影条件設定部を備え、 X線管電圧、或は X線発生量を設定させてもよいし、絞り部に X線撮影条件以外の条件を制御する非 X線撮影条件制御部を備え、前記非 X線撮影条件制御部は、前記台車の移動を制御させてもよい。また、 X線撮影条件設定部と前記非 X線撮影条件制御部は、該操作ツマミが配置された前記絞り部の側面に設置させてもよいし、非 X線撮影条件制御部は、 X線照射中心軸方向への距離を測定する距離計を備えてもよい。また、支柱は、前記支柱の長手方向の 4面の内、第 1の面は平面状に形成され、前記第 1の面に対向する第 2の面は平面状に形成され、前記第 1の面と第 2の面を繋ぐ 2面のいずれかの面が湾曲していてもよいし、 X線発生部は、前記 X線発生部の上底部を操作者の視野を確保するように傾力せてもよい。また、 X線制御部は、前記 X線制御部の上底部を操作者の視野を確保するように傾力せてもよいし、支柱、及び前記 X線発生部は、押出成形部材で構成してもよい。また、支柱、及び前記 X線発生部は、アルミニゥム合金からなるようにしてもよいし、支柱は、レール部を一体に具えるように押出成形された押出成形部材により構成され、前記アーム部に連結する前記スライダ部を前記レール部上に設置してもよい。また、支柱内に前記 X線発生部の重量を支持する弾性材を用いたバランス部を備えてもよい。さらにまた、パランス部は、前記 X線発生部の昇降に伴つて前記 X線発生部を固定した第一ワイヤを巻き取る又は繰り出すように回転する大径滑車と、この大径滑車と同軸に配置される小径滑車とを有する輪軸と、前記 X線発生部の昇降に伴って伸縮し、伸縮した際の付勢力によって X線発生部の重量を支持する前記弾性材と、前記小径滑車と第二ワイヤにより連結されて小径滑車の回転に伴つて回転し前記弾性材の付勢力を一定にして前記 X線発生部に伝達する円錐滑車とを備え、前記弾性材は第三ワイャにより前記円錐滑車と連結されて、円錐滑車の回転に伴って伸縮するようにしてもよいし、弾性材の一端に動滑車と、円錐滑車と同軸に配置される同軸滑車とを具え、前記第三ワイヤは、前記動滑車と同軸滑車とを連結させてもよい。また、バランス部は、輪軸を有する上部プロックと、円錐滑車を有する下部プロックと、弾性材を有する中間部プロックとからなり、これらプロックは、連結部材により一体に連結されるようにしてもよい。図面の簡単な説明

図 1は、本発明の全体構成を示した図である。図 2は、本発明の操作部により制御する箇所を示した図である。図 3は、本発明の第 1の X線可動絞りの外観図である。図 4は、本発明の X線可動絞りの内部構造図である。図 5は、本発明め第 2の X線可動絞りの外観図である。図 6は、本発明の X線撮影条件設定部を備えた X線可動絞りの外観斜視図である。図 7は、本発明の X線可動絞りの回路ブロック図である。図 8は、本発明の X線可動絞りの回路プロック図である。図 9は、本発明の X線部における X線管収納ケースの一部分解斜視図である。図 , 10は、本発明の X線管収納ケースの筒部の断面図である。図 11は、本発明の昇降機構における支柱の斜視図である。図 12は、（A)は、バランス部の左側面図、 (B)は、背面図である。図 13 は、各ワイヤの連結状態を示す説明図であり、（A) は、バランス部全体を示し、（B)は、第二ワイヤの小径滑車への固定個所を示す説明図、（C)は、第三ワイヤの同軸滑車への固定個所を示す説明図である。発明を実施するための最良の形態

本実施形態の本発明移動型 X線装置は、図 1に示すように台車 5は、前輪と後輪を具え、台車 5の前方に支柱 4が突設され、台車 5の後方に制御部 6が搭載されている。

支柱 4は、台車 5の前方において垂直軸を中心として回転自在に支持されている。支柱 4には、アーム部 3のスライダ部が昇降可能に支持されている。アーム部 3 はスライダ部を支点として上下揺動可能に伸縮自在になっている。そして、アーム部 3の先端部に X #泉発生部 2が取り付けられている。

X線発生部 2の下方には、絞り部 1を具えている。 X線発生部 2は図示していないが X線管を具える。 X線発生部 2で照射される X線は、絞り部 1で X線の照射範囲が設定されて、患者に照射されるようになっている。

また、制御部 6上方には、 X線発生部 2及び絞り部 1の X線照射条件の設定や、 X線照射を行なうための操作部 7を具える。なお、支柱 4内には、アーム部 3おょぴ X線発生部 2の重量を支持しながら、アーム部 3を昇降動作させるために、昇降機構を構成するための滑車、ワイヤ、パランス用弾性部材となるばねなどからなる部品が収納されている。（詳細は後述する。）

そして、 X線撮影を行うには、支柱 4に沿ってアーム部 3を上下移動させながら、アーム部 3の摇動動作および支柱 4の回転により X線発生部 2を水平方向に移動させて所定の位置まで移動させる。そして、操作部 7で X線照射条件を設定 • した後、 X線発生部 2の絞り部 1で X線照射範囲を設定し、'患者への X線照射を行う。

次に図 2に操作部 7により制御する箇所を示す。操作部 7を操作することにより、台車 5移動と、支柱 4の上下動或は回転動と、アーム部 3の伸縮動を含む装置移動に関する制御を行い。さらに、絞り部 1と、 X線発生部 2に関する X線の制御を行っている。

これより移動犁 X線装置の各コンポーネント（絞り部、 X線発生部、制御部、支柱）について、順に詳細に説明する。

<絞り部 >

絞り部 1の具体的構成にいて図 3から図 5に基づいて説明する。絞り部 1は、底面側を開口させたケースを具え、ケース外面には、絞り回転部 15、 2つの第 1 操作ツマミ 11、 2つの第 2操作ツマミ 12、 2つの照光スィッチ 13、メジャー 14 が設けられている。

絞り回転部 15は、ケースの上部に設けられており、この絞り回転部 15を介して絞り部 1が X線発生部 2の下部に回転可能に取り付けられる。なお、絞り回転部 15の回転中心部には、 X線生部 2で発生した X線をケース内に通すための孔 15aが形成されている。

ケース内には、図 4に示すように、可動制限羽根 81， 82と、可動制限羽根 81， 82の開閉を行う羽根開閉機構 91, 92と、照光ランプと、反射ミラー 16と、支持部材とを具える。

可動制限羽根 81， 82は、一対の羽根部 83が X方向に開閉する第 1可動制限羽根 81と、一対の羽根部 84が Y方向に開閉する第 2可動制限羽根 82とを具える。

さらに、支持部材の上部開口部 17には、反射ミラー 16が取り付けられている。支持部材のー側部には、照光ランプが固定されている。この照光ランプは図示していないがハロゲンランプを具えている。照光ランプで発光された光は、反射ミラー 16でケースの下方に向けて反射されて、ケース下方に位置される患者に照光される。なお、この反射ミラー 16は X線が透過するようになっている。

羽根開閉機構 91， 92は、第 1可動制限羽根 81の開閉動作を行うための第 1 羽根開閉機構 91と、第 2可動制限羽根 82の開閉動作を行うための第 2羽根開閉機構 92とを具える。第 1羽根開閉機構 91および第 2羽根開閉機構 92は支持部材に支持されている。

(第 1羽根開閉機構の構成）

第 1羽根開閉機構 91は、図 4に示すように、支持部材に回転可能に支持される第 1回転軸 91aを具える。第 1回転軸 91aの軸方向一端側には、第 1ベベルギア 91bが取り付けられており、この第 1ベベルギア 91bに第 2ベベルギア 91c を嚙み合わせる。

第 2ベベルギア 91cは、支持部材に回転可能に支持される伝達軸 91dの一端側に固定されており、伝達軸 91dの他端側には、伝達軸 91d と同期回転する第 1 平歯車 91eが固定されている。

第 1平歯車 91eは、一方の羽根部 83を開閉動作させる第 1羽根駆動歯車 93 と嚙み合い、さらに、第 1羽根駆動歯車 93は、他方の羽根部 83を開閉動作させる第 2羽根駆動歯車 94と嚙み合う。

第 1羽根駆動歯車 93は、円板状部材 93aと、この円板状部材 93aの外周部に固定される 2つの円弧状の歯部材 93bとを具える。一方の歯部材 93bの外周には第 1平歯車 9i_eに嚙み合う歯が形成され、他方の歯部材 93bの外周には、第 2羽根駆動歯車 94と嚙み合う歯が形成されている。

さらに、円板状部材 93aの外周縁の一部に半径方向に伸びるリンク部 93cを延設している。このリンク部 93cには、長孔 93dが形成されており、この長孔 93d 内に羽根部 83に設けるピン 85を移動可能に嵌め合わせる。

第 2羽根駆動歯車 94は、円板状部材 94aと、この円板状部材 94aの外周部に固定される 1つの円弧状の歯部材 94bとを具える。歯部材 94bの外周には第 1 羽根駆動歯車 93の歯部材 93bと嚙み合う歯が形成されている。

さらに、円板状部材 94aの外周縁の一部に半径方向に伸びるリンク部 94cを延設している。このリンク部 94cには、長孔 94dが形成されており、この長孔 94d 内に羽根部 83に設けるピン 85を移動可能に嵌め合わせる。

そして、第 1回転軸 91aの両端部には第 1操作ツマミ 11が固定される。図 3、図 5では、第 1操作ツマミ. 11のどちらか一方をまわすと他方の第 1操作ツマミ 11と第 1回転軸 91aとが同期回転するようになっている。なお、第 1操作ツマミ 11は図 2に示すように、ケース内から第 1回転軸 91aの両端部を突出させた状態で第 1回転軸 91aに固定される。

これまで第 1回転軸 91aの両端部を突出させた機構について説明した力必ずしもケース内から第 1回転軸 91aの両端部を突出させなくてもよい。言いかえると、一方の操作ッマミと他方の操作ッマミとを独立させて設置させ、別々に同じ羽根部の開閉制御を行ってもよい。

第 1羽根開閉機構 91による第 1可動制限羽根 81の開閉動作について説明する。第 1操作ツマミ 11を回転させると第 1回転軸 91aが回転し、第 1ベベルギア 91b、第 2ベベルギア 91c、第 1平歯車 91eを介して第 1羽根駆動歯車 93が回転し、さらに、第 2羽根駆動歯車 94も回転する。第 1羽根駆動歯車 93と第 2羽根駆動歯車 94の回転動作に伴い、リンク部 93c， 94cの長孔 93d， 94d内をピン 85が移動して第 1可動制限羽根 81が開閉する。

第 2羽根開閉機構 92は、図 4に示すように、支持部材に回転可能に支持される第 2回転軸 92aを具える。第 2回転軸 92aの軸方向一端側には、第 2平歯車 92bが取り付けられており、この第 2平歯車 92bに第 2羽根駆動歯車 94の一方の羽根部 84を開閉動作させる第 3羽根駆動歯車 95を嚙み合わせ、さらに、第 3 羽根駆動歯車 95を、他方の羽根部 84を開閉動作させる第 4羽根駆動歯車 96に嚙み合わせる。

第 3羽根駆動歯車 95も、円板状部材 95aと、この円板状部材 95aの外周部に固定される 2つの円弧状の歯部材 95bとを具える。一方の歯部材 95bの外周には第 2平歯車 92bに嚙み合う歯が形成され、他方の歯部材 95bの外周には、第 4 羽根駆動歯車 96と嚙み合う歯が形成されている。

さらに、円板状部材 95aの外周縁の一部に半径方向に伸びるリンク部 95cを延設している。このリンク部 95cには、長孔 95dが形成されており、この長孔 95d 内に羽根部 84に設けるピン 86を移動可能に嵌め合わせる。

第 4羽根駆動歯車 96は、円板状部材 96aと、この円板状部材 96aの外周部に固定される 1つの円弧状の歯部材 96b とを具える。歯部材 96bの外周には第 3 羽根駆動歯車 95の歯部材 95bと嚙み合う歯が形成されている。さらに、円板状部材 96aの外周縁の一部に半径方向に伸びるリンク部 96cを延設している。このリンク部 96cには、長孔 96dが形成されており、この長孔 96d 内に羽根部 84に設けるピン 86を移動可能に嵌め合わせる。

第 2羽根開閉機構 92による第 2可動制限羽根 82の開閉動作について説明する。第 2操作ツマミ 12を回転させると第 2回転軸 92aが回転し、第 2平歯車 92bを介して第 3羽根駆動歯車 95が回転し、さらに、第 4羽根駆動歯車 96も回転する。第 3羽根駆動歯車 95と第 4羽根駆動歯車 96の回転動作に伴い、リンク部 95c， 96cの長孔 95d， 96d内をピン 86が移動して、第 2可動制限羽根 82が開閉する。さらに、図 3に示すように、照光ランプの照光スィッチ 13を第 1操作ツマミ 11と第 2操作ツマミ 12が設けられているそれぞれのケース側面に設けている。照光スィッチ 13は、第 1操作ツマミ 11と第 2操作ツマミ 12の間で、これらの下方に設けられており、照光スィツチ 13のオン動作で照光ランプから X線撮影箇所に光が当てられる。この光の照光範囲が X線の照射範囲となる。通常、照光ランプにはハロゲンランプなどが利用される。照光ランプは点灯してから一定時間で自動的に消灯する。そのため、タイマー回路も X線可動絞り内に設けられている。本実施形態では、 30秒の点灯後、自動的に消灯するよう制御される。次に移動形 X線装置を、壁際に配置されたべッドの側面に配置する場合の操作について説明する。

移動形 X線装置を、べッドの側面に配置したときには通常、絞り部 1のケース正面側が壁に向かってしまう場合が多い。しかしながら、本実施形態によれば、絞り部 1のケース裏面側にも第 1操作ツマミ 11と第 2操作ツマミ 12を設けているので、絞り部 1全体を回転させることなく、しかも、無理な姿勢となることなく、絞りの設定作業を簡単に行える。

また、べッドに斜め方向からしかアプローチできない場合でも絞り部 1を回転させることなく、第 1操作ツマミ 11と第 2操作ツマミ 12が操作する者の目の前に位置づけされるので、絞りの設定作業を簡単に行える。

なお、第 1操作ツマミ 11と第 2操作ツマミ 12とを同じ面に設けた力 S、図 5に示すように、第 1操作ツマミ 11と第 2操作ツマミ 12とが別のケース側面に設けられるようにしてもよい。この場合は、第 1操作ツマミ 11の第 1回転軸と第 2 操作ツマミ 12の第 2回転軸 92aとが直交するようにケース内に配設する。図 5 に示す実施形態でも、操作性の向上が同様に望める。

さらに絞り部 1は、図 6に示すように、下方が開口した箱型のケース 20の正面に操作パネルが設けられている。この操作パネルには、可動制限羽根の操作つまみ 12、 11、撮影条件設定器 23、撮影条件兼距離表示器 22A、 22B、撮影条件表示と距離表示の切替スィッチ 21、台車前進スィッチ 24A、台車後進スィッチ

24B、照光スィッチ 13が設けられている。

撮影条件設定器 23は X線撮影時の撮影条件を設定する。撮影条件には、通常、

X線管の管電圧と mAs値（管電流と時間の積）が用いられる。管電圧が低いと透過力の弱い長波長の X線力高いと透過力の強い短波長の X線が得られ、人体の組織や厚みに応じて管電圧を調整する。 mAs値は X線の発生量を調整する。ここでは、操作パネルにある「十」と「一」のポタンを押すことで管電圧と mAs 値を調整する。この右側の表示器 22Bは、切替スィツチ 21の操作により、後述する超音波距離計の測定結果も切り替えて表示することができる。

台車前進 ·後進スィッチ 24A、 24Bは、その操作により、台車 5を駆動して X 線装置自体を前進 ·後退させる。通常、ベッドサイドに X線装置を横付けし、 X 線発生部 2および絞り部 1を適切な照射位置に移動させる力 X線装置自体を前後進させることでも X線発生部 2および絞り部 1の位置決めを行うことができる。また、この絞り部 1の内部には、超音波距離計 27が設けられている。超音波距離計 27は、超音波の送受信部 27A、 27Bと演算部とを有し、送信部 27Aから超音波を送信し、受信部 27Bで反射波を受信するまでの時間を検知する。この時間を元に演算部で演算して X線焦点から患者体表面までの距離を求め、さらに演算して X線焦点から X線フィルムまでの距離を求める。患者の体厚は、標準、痩せぎみ、太りぎみ等、数パターンを記憶手段に記憶しておき、予め患者の体型を選択することで、体型に応じた体厚を読み出し、 X線焦点から患者体表面までの距離に加算することで X線焦点から X線フィルムまでの距離を求める。測定された距離は、切替スィッチ 21 の切り替えにより、操作パネルの撮影条件兼距離表示器 22Bに表示される。

本実施形態では、ケース正面側の角部内に送信部 27Aおよび受信部 27Bを設置した。羽根部は円弧運動して X線照射野の調整を行うため、羽根部の円弧軌道の外側には若干の空間がある。特に、ケース 20内の角部は、図 6に示すように、 X線照射野とは干渉しない部分であり、ここに送信部 27Aと受信部 27Bを配置することで、ケース 20を大型化することなく超音波距離計 27を内蔵することができる。

きらに、この絞り部 1のケース両側には凹型の取っ手 26が取り付けられ、 X 線発生部 2およぴ絞り部 1を所定位置に固定するためのブレーキ機構が設けられている。このブレーキ機構を解除してからでないと移動ができない。このブレーキ機構の解除スイッチ 25を設けることで、 X線発生部 2および絞り部 1の移動を可能にする。解除スィッチは取っ手の内側に設けられているため、取っ手 26 を握りさえすれば、同時に解除スィッチ 25を押すことができる。

X線可動絞りの回路プロック図を図 7に示す。撮影条件設定器 23、撮影条件兼距離表示器 22A、 22B、表示切替スィッチ 21、台車前進スィッチ 24A、台車後進スィッチ 24B、照光スィツチ 13、超音波距離計 27およびブレーキ解除スィツチ 39は、一括制御手段であるマイコン回路基板 33にまとめて接続される。このマイコン回路基板 33 と本体とは、マイコン回路基板 33 を駆動する一対の電源線 34Aと一対の通信線 34Bとの合計 4本の配線で接続されている。照光ランプ 30 の電源はマイコン回路を通さずに別の電源線を用いて本体側に接続されている。さらにアース線 32も本体側に接続されている。

上記のマイコン回路基板 33はマイコンを含み、本体側と各種信号の入出力および演算を制御する。通信には汎用的な RS— 232C等の規格を使用することで、 X線装置本体の通信の受信を容易にし、様々な装攀に接続することも可能となる。通信により本体側で受け取ったデータ、例えば距離計の測定データは撮影条件の自動設定に利用するなど、二次的な利用も考えられる。

このマイコン回路基板 33は、ケース 20内の上部に配置される。羽根部は円弧運動により X線照射野の調整を行うため、ケース 20内の上部には若干の空間がある。この空間にマイコン回路基板 33を配置することで、ケース 20内のスぺースを有効利用することができる。

このマイコン回路基板 33を介しての X線装置の動作は次のように行われる。まず、 X線可動絞りの取っ手 26を握ることでブレーキ解除スィツチ 25がオンになり、ブレーキが'解除される。それに伴い、絞り部 1 (X線発生部 2) を支柱 4 沿いにスライドしたり、アーム部 3を伸縮したりすることで、所定の位置に移動させることができる。必要に応じて、台車前進スィッチ 24A、台車後進スィッチ 24Bを押すことで X線装置自体を前進または後退させ、 X線可動絞り 3 (X線発生部）の位置決めを行う。

照光スィツチ 13をオンにすると、マイコン回路基板 33を介.して本体側へオン信号が送られ、タイマー回路で設定された所定時間の間、照光ランプ 30が点灯される。この照光ランプ 30の点灯により、撮影者は X線の照射範囲を確認する。次に、切替スィツチ 21で表示器 22Bを距離表示にしておき、超音波距離計 27 で距離測定を行う。送信器から超音波を発信し、受信器で反射波を受信して、その間の時間を元に演算部で演算して X線焦点から患者体表面までの距離を求め、さらに演算して X線焦点から X線フィルムまでの距離を求める。求められた距離は表示器 22Bに表示される。

次に、切替スィツチ 21で表示器 22Bを撮影条件表示に切り替える。その状態で撮影条件設定器 23を操作して、管電圧や mAs値を設定する。設定した管電圧や mAs値は表示器 22Bに表示される。そして、撮影条件が決まったら X線撮影を行う。

'このように、マイコン回路基板 33を用いて撮影条件設定器 23とそれ以外の機能を制御する非撮影条件制御部からの信号を一括して入出力制御し、絞り部 1と制御部 6 との通信を行うことで、多くの機能を持たせてもマイコン回路基板 33 (X線可動絞り）と制御部 6との間の配線を少なくできる。

上記では、マイコン回路基板 33 を用いて多数の機能を実現するための信号を一括して制御したが、図 8に示すように、各スィッチ 24A、 24B、 13、 39や照光ランプ 30を、マイコン回路基板 33を介することなく直接本体側に接続して制御を行ってもよい。この場合、 X線可動絞りと本体間の配線数が增ぇるが、同様に X線可動絞り側で各種の操作が行える。

く X線発生部〉

X線発生部 2の具体的構成について図 9、図 10に基づいて説明する。 X線発生部 2は、被検体に X線を照射する X線管が収納される X線管収納ケースを具える。

X線管収納ケースは、図 9に示すように、筒部 41と、筒部 41の両側開口部を覆う蓋部 42とを備え、ネジ締めにより蓋部 42を筒部 41に固定するようになつている。なお、ネジは省略している。

本実施形態では、 X線管収納ケースは、アルミ-ゥム合金で形成されており、 X線管収納ケースの筒部 41を押出成形により形成している。筒部 41は押出成形により、胴体部 41aとネジが嵌められるネジ穴 41bとが一体に成形される。

X線管収納ケースは、アルミユウム合金で形成されているので、ケース全体の軽量化が図れる。さらに、押出成形により筒部 41 を形成しているので、所望のデザインに成形できる。

ここで図 10に示されるように、 X線管収納ケースの上底が傾いて形成されている。収納時には、支柱を回転させて、 X線発生部 2が操作部の上にほぼ密着するように置かれるのであるが、この状態で、装置を移動すると、操作者にとって X線発生部 2が視界の邪魔になり、運搬することが困難であった。そこで、操作者（約 160cm) の身長の視線から装置の先端部（台車前輪部）が見えるような角度を考慮して、 X線発生部 2の上底部を進行方向に対して先を低く傾力せた。例えば 5° < Θく 45° の範囲で X線発生部 2の傾斜を与え、操作者が低身長ある場合、制御部 6の高さによる視野の障害を考慮し、 X線発生部 2の傾斜を 10° としたり、逆に高身長である場合は、台車 5の先端が見えるように 40° としたりしてもよい。これにより、操作者に合った視界を確保することができ、障害物を避け、装置を移動しやすくなつた。なお、アーム,駆動方式（テレスコピック、パンタァーム）による X線発生部 2の上底部の傾き角度変更は、押出成形のデザィン次第で随時可能である。

<制御部〉

図 1で示されるように、制御部 6も同様に、進行方向に対して上底が丸みを帯びて形成されている。これは装置を移動する際に、操作者にとって制御部 6が視界の邪魔になり、運搬することが困難であった。そこで、制御部 6の上底を進行方向に対して先を低く、丸みを帯びて傾かせることにより、操作者の視界を確保することができ、障害物を避け、装置を移動しやすくなつた。

く支柱〉

支柱 4の具体的構成について図 11、図 12、図 13に基づいて説明する。後述する昇降機構に関しては、支柱 4内に昇降動作させるための各部品が収納されている。押出成形により筒状収納部 51とレール部 52とがー体に成形された支柱 4が形成される。なお、この支柱 4はアルミニウム合金により形成される。

支柱 4の押出成形は、断面矩形状の筒状収納部 51と、筒状収納部 51の側面から一方向に延設されて一端部が内方に折り曲げられた状態で成形される 2つの嵌合溝 52aとを有するように筒状に押出成形される。筒状収納部 51の側面には、軸方向に伸びる複数の凹み 53が押出成形により成形される。これら凹み 53が支柱 4の模様となる。

また、支柱 4の上部には、支柱 4内部の各部品の調整や点検などを行う点検用窓 54を設けている。この点検用窓 54は、押出成形後に切削加工により形成される。

さらに、支柱 4の上部には、スライダ部に連結されるワイヤを筒部内に導くための開口部 55が形成されている。この開口部 55も、押出成形後に切削加工により形成される。支柱 4の底部には、台車に取り付けられる支持板 56が溶接により固定されている。

以上、支柱 4全体の外観も良好にでき、支柱 4のデザインの自由度が広がる。しかも、レール部の歪も生じなくなり、 X線部の昇降動作をスムーズ行うことができる。さらに、支柱 4を溶接なしで形成することができるため、支柱 4を必要最小限に細くすることができる。よって、装置を移動する際に、操作者の視界の妨げになっていた支柱 4を細くすることにより、操作者の視界を確保することができ、装置を移動しやすくなつた。，

ここで、支柱 4内の昇降機構について、詳細に説明する。昇降機構は、 X線発生部 2を含むスライダ 105を走行させる支柱 4と、一端にスライダ 105を固定した第一ワイヤ 71にてスライダ 105と連結されると共に、支柱 4内に配置されて X線発生部 2の重量を支持するバランス部 (図 12参照）とを有する。バランス部を具える支柱 4は、台車 5前方に垂直軸周りに回転自在な軸受けを有する支柱受けが設けられ、この支柱受けに挿入固着される。支柱受けには、下部ブロックが固定される回転ベースを具える。この構成によ.り、支柱 4は、その軸方向を軸として回転自在である。台車 5には、操作者が X線装置を移動させる際、 X線装置を押す手押しハンドルを具える。

バランス部は、図 12に示すように支柱 4の上方に輪軸 60を具える。輪軸 60 は、アーム部 3が連結するスライダ 105の昇降に伴って回転し、一端にスライダ 105を固定した第一ワイヤ 71を卷き取る大径滑車 61と、この大径滑車 61と同軸に配置される小径滑車 62とを有する。支柱 4の下方に円錐滑車 63と同軸滑車 65とを具える。円錐滑車 63は、スライダ 105の昇降に伴う大径滑車 61の回転により、一端を小径滑車 62に固定される第二ワイヤ 72(同)を巻き取ると共に、モーメントを変化させることで後述する引張パネ 64の付勢力を一定にして X線部に伝達する。同軸滑車 65は、円錐滑車 63に同軸に配置される。そして、支柱 4の中間部に引張パネ 64を具える。引張バネ 64は、スライダ 105の昇降に伴つて伸縮し、伸縮した際の付勢力によって X線発生部 2及び絞り部 1重量を支持する。この引張バネ 64の下方側端部には、動滑車 66を具える。引張パネ 64は、一端を同軸滑車 65に固定され、中間部を動滑車 66に引っ掛けた第三ワイヤ 73 が同軸滑車 65に卷き取られ又は繰り出されることにより伸縮する。

そして、本実施形態では、 4本の連結部材 67にて、輪軸 60を有する上部プロック 68と、円錐滑車 63及ぴ同軸滑車 65を有す φ下部ブロック 69と、引張バネ 64を有する中間部ブロック 70とを一体に連結する。本実施形態では、 4本の連結部材 67がっくる矩形内に中間部プロック 70が収納できるように連結部材 67 を支柱 4の軸方向に平行に配置する。また、連結部材 67は、強度を高めるために断面状に形成した金属板を用いる。以下、各ブロックを説明する。

本実施形態において上部プロック 68に具える輪軸 60は、大径滑車 61の径：小径滑車 62の径 =2： 1のもので、大径滑車 61の円周面に第一ワイヤ 71を卷き取るためのワイヤ溝 61a、小径滑車 62の円周面に第二ワイヤ 72を巻き取るためのワイヤ溝 62a (同)を具えるものを用いる。

これら滑車 61及ぴ 62は、キーにより連結する。輪軸 60は、対向する側面に軸受け 68aを具える断面状の枠体 68bに回転可能に支持され、正面側 (スライダ 105と対向する側)に輪軸 60に適合した形状に切り欠いた当て板 68cを具える。本実施形態において枠体 68bの側面の幅及び底面の大きさは、中間部プロック 70 の大きさに合わせており、大径滑車 61の一部は、枠体 68bの側面に覆われない。この枠体 68bの側面の下方に 2本ずつそれぞれ対向するように連結部材 67を固定する。

輪軸 60の上方には、支柱 4の断面に適合した蓋部 68dを具える。蓋部 68dの内側は、大径滑車 61の円弧に適合させて切欠き 68eを設けている。このため、蓋部 68d表面に凹 ώを設けることなく、枠体 68bの側面の上下方向の長さをより短くすることができ、上部プロック 68を小型化できると共に、美観がよい。本実施形態において下部プロック 69に具える円錐滑車 63は、円周面に第二ヮィャ 72を卷き取るため及び引張バネ 64の付勢力を一定にして X線部に伝えるベくモーメントを適切に変化できるようなラセン溝 63aを具えるものを用いる。また、本実施形態では、第三ワイヤ 73を 2本用いており、 1つの滑車が 1本のヮィャを卷き取るように同径の 2個の同軸滑車 65を円錐滑車 63に同軸に具える。この同軸滑車 65も同様に円周面にワイヤ溝 65aを具える。これら円錐滑車 63及ぴ同軸滑車 65は、キー 63bにより連結している。また、円錐滑車 63及び同軸滑車 65は、輪軸 60と同様に対向する側面に軸受け 69aを具える断面状の枠体 69b に回転可能に支持される。枠体 69bの底面には、第三ワイヤ 73の固定部 69cを具える。この枠体 69bの側面の上方に 2本ずつそれぞれ対向するように連結部材 67を固定する。

このような下部プロック 69は、円形状のプレート 69eに固定され、プレート 69eは、台車 5の支柱受けに具える回転ベース (図示せず)に固定されて、支持機構が支柱の軸方向を軸として回転可能にする。

中間部ブロック 70は、 4本の連結部材 67がっくる矩形内に引張パネ 64が配置される。引張パネ 64は、 X ¾部の重量を十分支持できる付勢力を発生できるものを用いる。本実施形態において引張バネ 64は、以下のようにして連結部材 67がっくる矩形内に配置する。引張バネ 64の両端に、中心にネジ孔を有する固定ブロックを嵌め込む。一方、長いネジ部を有する六角ポルト状の連結棒 64bを上部ブロック 68の枠体 68bの底面に揷通させて、ナット 68fを締め付けることで違結棒 64bを枠体 68bの底面に固定する。この連結棒 64bに上方側の固定ブロック 64bを取り付けることで、引張バネ 64は、上部プロック 68の枠体 68b の底面に対して連結棒 64bにより吊り下げられた状態で配置される。この構成により、なお、引張パネ 64の初期状態の長さは、連結棒 64bの締め付け量により調整することができる。

本実施形態では、上方側の固定プロックの上面に 4本の連結部材 67がっくる形状に適合した矩形状の板片 64cを配置し、ネジ 64dによりこの固定プロックに固定している。板片 64cは、連結部材 67に対して摺動可能に配置され、連結部材 67に固定されない。この構成により、引張パネ 64の初期状態を調整する際などで、引張パネ 64の位置を上下させる際、引張パネ 64は、連結棒 64bの軸方向に沿って移動することができ、引張パネ 64の軸方向を連結棒 64bの軸方向に平行に維持することができる。

下方側の固定ブロックには、引張バネ 64の軸方向 (連結棒 64bの軸方向)を軸として回転可能な軸受け 64eを有する動滑車 66を具える。

次に、各滑車の連結状態を説明する。本実施形態では、スライダ 105と大径滑車 61とを第一ワイヤ 71、小径滑車 62と円錐滑車 63とを第二ワイヤ 72、同軸滑車 65と引張パネ 64とを第三ワイヤ 73で連結している。

第一ワイヤ 71の一端は、スライダ 72のワイヤ固定部 105aに固定され、他端は、大径滑車 61に固定される。大径滑車 61への固定は、後述する同軸滑車 65 の場合と同様である。スライダ 105側の第一ワイヤ 71を湾曲させているが、実際は、支柱 4の軸方向とほぼ平行に配置されて、大径滑車 61に卷き取られる。第二ワイヤ 72の一端は、小径滑車 62のつば部に設けられた切欠きに引つ掛け、末端を固定部 62bにより固定する。第二ワイヤ 72の他端は、円錐滑車 63のつば部に設けられた切欠き 63dに引っ掛け、末端を固定部 63cにより固定する。本実施形態において第二ワイヤ 72は、 2本用いている。

そのため、各滑車 62及び 63に対する固定個所は、円周方向にずらして設けている。また、 2本のワイヤは、並行させて各滑車 62及ぴ 63に卷き取らせる。本実施形態では、輪軸 60の小径滑車 62と円錐滑車 63とは、ワイヤ溝 62aとラセン溝 63aとがほぼ平行になるように配置している。そのため、 X線部の昇降に伴つて第二ワイヤ 72を卷き取ったり繰り出したりする際、 2本の第二ワイヤ 72は、小径滑車 62と円錐滑車 63間をほぼ平行に同方向に移動するため、捩れることがなレ、。

第三ワイヤ 73の一端は、同軸滑車 65のつば部に設けられた切欠きに引っ掛け、末端を固定部 65bにより固定する。第三ワイヤ 73の他端は、一面を湾曲させたガイドブロック 69d及び固定部 69cに揷通し、末端を固定する。ガイドブロック 69dを具えることで、第三ワイヤ 73の他端側が同軸滑車 65に絡まることを防止する。本実施形態では、第三ワイヤ 73も 2本用いており、各ワイヤは、それぞれ別の同軸滑車 65で卷き取らせる。また、本実施形態では、動滑車 66の円周面にワイヤ溝 66aを 2本並行に具え、各同軸滑車 65に一端を固定した 2本の第三ワイヤ 73の中間部を各ワイヤ溝 66aに引っ掛ける。本実施形態では、初期状態において同軸滑車 65と動滑車 66とは、ワイヤ溝 65aとワイヤ溝 66aとがほぼ平行するように配置している。また、動滑車 66は、引張パネ 64の軸方向を軸として回転可能である。そのため、 X線部の昇降に伴って第三ワイヤ 73を卷き取つたり繰り出したりする際、 2本の第三ワイヤ 73は、動滑車 66を引っ張って同軸滑車 65と動滑車 66間をほぼ平行に保って移動することができる。

次に、パランス部の組み立て手順を説明する。まず、引張バネ 64の両端に固定ブロックを嵌め込み、一端に板片 64c、他端に動滑車 66を取り付ける。大径滑車 61に第一ワイヤ 71の一端を、小径滑車 62に第二ワイヤの一端を固定し、輪軸 60を枠体に配置して、上部プロック 68を形成する。同軸滑車 65に第三ワイャ 73の一端を固定し、円錐滑車 63及び動滑車 65を枠体 69bに配置して、下部プロック 69を形成し、プレート 69eに固定する。上部プロック 68の枠体 68b の底面に連結棒 64bを固定し、連結棒 64bで上記引張パネ 64を吊り下げて固定する（中間部プロック 70の形成)。枠体 68b及び枠体 69bに連結部材 67を固定し、上部ブロック 68、部プロック 69、中間部プロック 70を連結する。

捨て卷きを経て同軸滑車 65から引き出した第三ワイヤ 73の他端側を動滑車 66に引っ掛けて、ガイドプロック 69dを経て固定部 69cで固定する。次に、捨て卷きを経て円錐滑車 63から引き出した第二ワイヤ 72の他端側を小径滑車 62 に巻き付けて末端を固定部 62bで固定する。このとき、ワイヤ 72、 73や引張バネ 64などの調整を行ってもよい。そして、大径滑車 61に第一ワイヤ 71を卷き付けておき、バランス部が構成される。本実施形態では、上記のようにバランス部を支柱 4内ではなく、支柱 4の外で組み立てるため、組立作業性に優れる。上記構成されたバランス部は、上部ブロック 68側から支柱 4の開口部に揷入 'して配置し固定する。次に、支柱 4に X線部のスライダ 105を走行可能に取り付ける。そして、大径滑車 61に巻きつけた第一ワイヤ 71の他端側を引き出し、支柱上端まで昇降させた状態のスライダ 105に固定することで、本発明移動型 X線装置が構成される。

なお、本実施形態において支柱 4は、断面矩形状であり、正面にスライダ 105 が走行可能で、かつスライダ 105が落下しないように、軸方向に沿ってスライダ 105の嵌合溝を具える。

スライダ 105は、支柱 4に接触する面にローラ 105b、 105cを具えており、支柱 4の嵌合溝の側面にローラ 105bを接触させ、溝の正面にローラ 105cを接触させて走行する。また、スライダ 105には、各ワイヤ 71〜73や引張パネ 64などが破断した際、スライダ 105の急激な降下を防止する安全機構を具える。具体的には、スライダ 105の裏面 (支柱 4と向かい合う面)に、裏面から突出する方向に突出板 105dを具え、ワイヤ固定部 105a及ぴバネ材 105eにより固定している。この突出板 105dは、ワイヤ固定部 105aの第一ワイヤ 71に力が作用している際、バネ材 105eの付勢力を調整して、支柱 4に接触しないように配置される。しかし、第一ワイヤ 71などが破断した際は、バネ材 105eの付勢力により、突出板 105dが支柱 4の正面に突出して引っ掛かることで、 X線部の落下を防止する。上記構成を具える本発明移動型 X線装置は、スライダ 105を支柱 4に沿って下向きに走行させて X線発生部 2を降ろすと、大径滑車 61が回転して第一ワイヤ 71を繰り出す。同時に小径滑車 62が回転して、第二ワイヤ 72を卷き取ると共に、円錐滑車 63が回転して第二ワイヤ 72 を繰り出す。また、同時に同軸滑車 65が回転して、第三ワイヤ 73を卷き取ると共に、動滑車 66を下向きに引っ張り、結果として引張パネ 64を下向きに引っ張り、付勢力が作用する。この付勢力により、 X線発生部 2は、所望の高さで停止し、保持される。このとき、動滑車 66を用いたことで、引張バネ 64は、同軸滑車 65が第三ワイヤ 73bを卷き取つた長さの 1/2の長さ伸ばされ、かつ付勢力が増大する。従って、スライダ 105 の移動量により、引張パネ 64の付勢力は変化するが、本発明では、円錐滑車 63 によりモーメントを変化させることで、 X線発生部 2の重量を支持する力を一定に保持することが可能である。

上記本発明移動型 X線装置は、上下ストロークをより長くしながらも、円錐滑車の径を小さくし、支柱の幅及ぴ厚みをより小さくすることができる。そのため、良好な前方視界を確保することが可能である。なお、上記実施例では、引張パネを用いたものを示したが、圧縮バネなどに置き換えてもよい。

以上、ツマミ部 11、 12を絞り部 1の外周面に少なくとも 2つ備えたり、前記絞り部に X線撮影条件設定部を備えたりすることや、 X線発生部 2或は支柱 4を押出成形し、装置移動の際、操作者の視界を確保することにより、移動型 X線装置の操作性向上を実現させることができた。

なお、アーム部 3を支柱 4に対して垂直に上下動させるテレスコピック型を示したが、アーム部 3を支柱 4に対して角度を変えて、 X線発生部 2を上下動させるパンタアーム型でも本発明を実施できるということは言うまでもない。

Claims

求の範囲台車と、前記台車上に該装置を制御する制御部と、前記台車の進行方向に対して前記制御部よりも前部に配置された支柱と、前記支柱に上下駆動機構を有するスライダ部を介して連結されたアーム部と、前記アーム部の 2端の内前記スラィダ部側とは反対側の端に X線管を有する X線発生部と、可動羽根により前記 X線を絞る絞り部とを備えた移動型 X線装置において、前記絞り部は、前記絞り部の第 1の側面に第 1の可動羽根を調整する第 1 め操作ツマミと、前記第 1の側面とは異なる第 2の側面に前記第 1の可動羽根を調整する第 2の操作ツマミとを備えることを特徴とする移動型 X線装置。

2. 前記第 2の側面は、前記第 1の側面に対向する面であることを特徴とする請求項 1記載の移動型 X線装置。

前記第 1の操作ツマミと前記第 2の操作ツマミは、お互いに連動することを特徴とする請求項 2記載の移動型 X線装置。

4. 前記第 1の操作ツマミと前記第 2の操作ツマミに連結する第 1の回転軸を前記絞り部内に貫通させ、前記絞り部外に突出させたことを特徴とする請求項 3記載の移動型 X線装置。

5. 第 2の可動羽根を調整する操作ツマミに連結する第 2の回転軸を絞り部内に備え、前記第 1の回転軸と、前記第 2の回転軸とが平行になるように設置されることを特徴とする請求項 ·4記載の移動型 X線装置。

6. 前記第 1の回転軸と、前記第 2の回転軸とが直交するように設置されることを特徴とする請求項 5記載の移動型 X線装置。

7. 前記可動羽根で設定される X線照射範囲を照光する照光器を前記絞り部内に備え、前記照光器のスィツチを前記絞り部の側面に配置していることを特徴とする請求項 1に記載の移動型 X線装置。

8. 前記絞り部に X線撮影条件設定部を備え、 X線管電圧、或は X線発生量を設定することを特徴とする請求項 1に記載の移動型 X線装置。

9. 前記絞り部に X線撮影条件以外の条件を制御する非 X線撮影条件制御部を備え、前記非 X線撮影条件制御部は、前記台車の移動を制御することを特徴とする請求項 1に記載の移動型 X線装置。

10. 前記 X線撮影条件設定部と前記非 X線撮影条件制御部は、該操作ツマミが配置された前記絞り部の側面に設置されていることを特徴とする請求項 8及ぴ請求項 9に記載の移動型 X線装置。

11. 前記非 X線撮影条件制御部は、 X線照射中心軸方向への距離を測定する距離計を備えることを特徴とする請求項 8に記載の移動型 X線装置。

12. 前記支柱は、前記支柱の長手方向の 4面の内、第 1の面は平面状に形成され、前記第 1の面に対向する第 2の面は平面状に形成され、前記第 1の面と第 2の面を繫ぐ 2面のいずれかの面が湾曲していることを特徴とする請求項 1に記載の移動型 X線装置。

13. 前記 X線発生部は、前記 X線発生部の上底部を操作者の視野を確保するように傾かせることを特徴とする請求項 1に記載の移動型 X線装置。

14. 前記 X線制御部は、前記 X線制御部の上底部を操作者の視野を確保するように傾かせることを特徴とする請求項 1に記載の移動型 X線装置。

15. 前記支柱、及び前記 X線発生部は、押出成形部材で構成されていることを特徴とする請求項 1に記載の移動型 X線装置。

16. 前記支柱、及び前記 X線発生部は、アルミ-ゥム合金からなることを特徴とする請求項 11に記載の移動型 X線装置。

17. 前記支柱は、レール部を一体に具えるように押出成形された押出成形部材により構成され、前記アーム部に連結する前記スライダ部を前記レール部上に設置することを特徴とする請求項 8に記載の移動型 X線装置。

18. 前記支柱内に前記 X線発生部の重量を支持する弹性材を用いたパランス部を備えることを特徴とする請求項 1に記載の移動型 X線装置。

19. 前記バランス部は、前記 X線発生部の昇降に伴って前記 X線発生部を固定した第一ワイヤを卷き取る又は繰り出すように回転する大径滑車と、この大径滑車と同軸に配置される小径滑車とを有する輪軸と、前記 X線発生部の昇降に伴つて伸縮し、伸縮した際の付勢力によって X線発生部の重量を支持する前記弾性材と、前記小径滑車と第二ワイヤにより連結されて小径滑車の回転に伴って回転し前記弾性材の付勢力を一定にして前記 X線発生部に伝達する円錐滑車とを備え、前記弾性材は第三ワイヤにより前記円錐滑車と連結されて、円錐滑車の回転に伴って伸縮することを特徴とする請求項 18 に記載の移動型 X線装置。

20. 前記弾性材の一端に動滑車と、円錐滑車と同軸に配置される同軸滑車とを具え、前記第三ワイヤは、前記動滑車と同軸滑車とを連結することを特徴とする請求項 19に記載の移動型 X線装置。

21. 前記バランス部は、輸軸を有する上部プロックと、円錐滑車を有する下部ブロックと、弾性材を有する中間部ブロックとからなり、これらブロックは、連結部材により一体に連結されることを特徴とする請求項 19 に記載の移動型 X線装置。