JP4133041B2 - 移動型x線装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体にX線を照射するX線部と、このX線部を昇降自在に支持する支持機構とを具える移動型X装置に関するものである。特に、X線部の昇降量をより長くすると共に、支持機構をより小型化・軽量化することができ、操作性に優れた移動型X線装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、移動型X線装置においてX線部を支持するバランス構造として、以下の技術が知られている。
【0003】
(従来例1):図6は、バランス用ウエイトを用いたバランス構造を有する従来の移動型X線装置の斜視図である。この移動型X線装置100は、X線部101と、X線部101を昇降自在に支持する中空の支柱102とを台車110上に具える。X線部101は、被写体にX線を照射するX線管103と、X線管103を保持すると共に水平方向に伸縮自在な腕部104と、腕部104に連結されると共に支柱102をスライドするスライダ105とを具える。支柱102は、台車110に対して軸方向を軸として回転自在に設けており、その内側にX線部101の重量と釣り合うバランス用ウエイト106(X線部101との質量比1:1)を摺動自在に内蔵している。このウエイト106は、一端をスライダ105、他端をウエイト106に固定したワイヤ107によりX線部101と連結され、ワイヤ107は、支柱102上部に具える定滑車108にて保持される。即ち、X線部101とバランス用ウエイト106とは、ワイヤ107を介していわゆる釣瓶式に保持される。
【0004】
なお、台車110には、移動用の前輪111及び後輪112を具えており、操作者は、手押しハンドル113を押すことで、移動型X線装置100を移動させる。この構成は、後述する従来例2及び3についても同様である。
【0005】
上記構成により、例えば、スライダ105を支柱102に沿って図6において下向きに走行させてX線部101を降ろすと、ウエイト106が上向きに昇る。このとき、X線部101とバランス用ウエイト106とは重量が釣り合っているため、X線部101は、所望の高さで停止し、保持される。
【0006】
従来のバランス構造は、この移動型X線装置100のように、X線部との質量比が1:1であるバランス用ウエイトを使用しているものが大半である。
【0007】
(従来例2):図7は、バネバランサを用いたバランス構造を有する従来の移動型X線装置の側面図である。移動型X線装置200の基本的構成は、上記従来例1と同様であり、X線部101と、X線部101を昇降自在に支持する中空の支柱102とを台車110上に具える。そして、図7において支柱103の下方にぜんまいバネ(図示せず)を複数枚内蔵したバネバランサ201を具え、ぜんまいバネの付勢力によりX線部101の重量を支持する。バネバランサ201から引き出したワイヤ107の一端にX線部101に連結し、ワイヤ107の中間を支柱102上部に具える定滑車202に掛けている。なお、支柱103及びバネバランサ201は、台車110に対して支柱102の軸方向と平行な方向を軸203として回転自在に設けられている。
【0008】
バネバランサ201は、X線部101の重量とぜんまいバネの付勢力とが釣り合うように調整している。この構成により、例えば、スライダ105を支柱102に沿って図7において下向きに走行させてX線部101を降ろすと、ぜんまいバネの付勢力がX線部101の重量と釣り合っているため、X線部101は、所望の高さで停止し、保持される。
【0009】
(従来例3):図8は、圧縮バネを用いたバランス構造を有する従来の移動型X線装置であって、(A)は支柱部分の部分断面図、(B)は、(A)に示す領域Bの正面図である。移動型X線装置300の基本的構成は、上記従来例1と同様であり、X線部101と、X線部101を昇降自在に支持する中空の支柱102とを台車110上に具える。そして、支柱102内にX線部101の昇降に伴って伸縮する圧縮バネ301を具え、圧縮バネ301の付勢力によりX線部101の重量を支持する。圧縮バネ301は、円筒部302内に配置される。円筒部302は、支柱102内の下方に配置されて一端が固定され、他端の開口部に突起部302aを具えて圧縮バネ301の一端を当接させている。また、圧縮バネ301の他端は、円筒部302に配置した可動板303に当接させている。圧縮バネ301の内側には、動滑車304が配置され、この動滑車304は、可動板303を貫通する連結棒305の一端に支持される。一方、支柱102内の上方には、円錐滑車306及び円錐滑車306に同軸の滑車ドラム307が配置されている(図7(B)参照)。
【0010】
円錐滑車306は、一端にX線部101を連結し、他端を円錐滑車306に固定した第一ワイヤ308が巻き取られている。滑車ドラム307には、一端をドラム307に固定し、他端を支柱102の上部に固定し、かつ中間部を動滑車304に引っ掛けた第二ワイヤ309が巻き取られている。
【0011】
この構成により、例えば、スライダ105を支柱102に沿って図8(A)において下向きに走行させてX線部101を降ろすと、円錐滑車306が回転してX線部101を連結した第一ワイヤ308が繰り出されると同時に滑車ドラム307が回転して第二ワイヤ309を巻き取る。第二ワイヤ309の巻き取りに伴って動滑車304が引き上げられると共に、可動板303が上向きに移動して圧縮バネ301を押し縮める。そして、圧縮バネ301の付勢力とX線部101の重量とが釣り合うことで、X線部101は、所望の高さで停止し、保持される。このとき、円錐滑車306は、第一ワイヤ308の繰り出しに伴ってモーメントを変化させて、圧縮バネの付勢力を常に一定にしてX線部101に伝達する。
【0012】
なお、図8に示す移動型X線装置300では、円錐滑車306及び滑車ドラム307を一対具えており、それぞれが第一ワイヤ308、第二ワイヤ309を巻き取っており、X線部101は、2本の第一ワイヤ308に連結される。また、X線部101と円錐滑車306間には、第一ワイヤ308をガイドするアイドラ310を配置している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術では、以下の問題があった。
(従来例1)
(1) 従来例1では、X線部の昇降量(上下ストローク)をより長くするために、一般にバランス用ウエイトの高さ(支柱の軸方向の長さ)を短くしている。しかし、バランス用ウエイトの高さを短くすると、幅や厚み(それぞれ支柱の軸方向と直交する方向の長さ)が大きくなり、必然的に支柱も太くなる。支柱は、一般に、台車の前方(図6では紙面手前側)に配置されるため、支柱が太くなると前方視界が悪くなるという問題がある。バランス用ウエイトの材料として鉛などの比重の大きい材料を使用しても、上下ストロークを長くすると、支柱を太くせざるを得ず、従来例1では、良好な前方視界を得ることが困難であり、病院内の廊下などの走行が危惧される。
【0014】
一方、特開2000-41976号公報記載の技術では、バランス用ウエイトの高さを長くし、その一部が台車を貫通するように構成することで、ウエイトの断面積を小さくしている。しかし、この技術でも、上下ストロークを長くするには、バランス用ウエイトの断面積を大きくせざるを得なく、その結果、良好な前方視界が得られる程度の太さの支柱が得られるとは言いがたい。
【0015】
(2) 従来例1では、操作者がスライダを上下に移動させる際、特に、動かし始めにおいて、バランス用ウエイトに慣性力が働くために重くなり、操作者の負担が大きく、操作性がよくない。
【0016】
(3) 従来例1では、バランス用ウエイト分の質量が加算されるため、移動用X線装置の総質量が増加して比較的重く、走行操作性がよくない。
【0017】
(4) 従来例1においてバランス用ウエイトは、支柱内に固定されていないため、移動用X線装置の走行の際、ウエイトが支柱の内部に触れてガタガタと騒音を発し、特に、夜間の走行に大きな障害となる。
【0018】
(従来例2)
従来例2では、バネバランサを用いることで、支柱内に配置される部材がほとんどワイヤだけであるため、支柱自体の太さを細くすることができ、良好な前方視界を確保するが、以下の問題がある。
【0019】
(1) 従来例2では、バネバランサの容積が比較的大きく、搭載させる台車の全長(図7において左右方向の長さ)が長くなる。即ち、移動型X線装置が大型化して、走行操作性に劣る。
【0020】
(2) 従来例2では、支柱下方にバネバランサが配置されるため、バネバランサ部分をスライダが走行することができない。即ち、この技術では、バネバランサ部分より下方にX線部を位置させることができないため、X線部の上下ストロークがバランサ部分だけ短くなる。この問題は、特に、水平方向に伸縮する腕部のみを具えた方式(いわゆるテレスコピックアーム方式)の装置において大きな障害となる。
【0021】
(3) 従来例2では、X線部を水平方向に回転させる際、比較的細い支柱上側のみを回転させる構造とすると、バネバランサから引き出されたワイヤが支柱内で捩れる恐れがある。そのため、ワイヤが捩れないように支柱とバネバランサとを一体で回転させなければならず、回転半径が大きくて回転させにくく、操作性がよくない。
【0022】
なお、特開2000-23958号公報では、バネバランサを支柱から分離して台車に収納し、バネバランサから引き出されたワイヤを巻き取るドラムと、X線部に連結したワイヤを巻き取るドラムとを連結棒で連結し、この連結棒の外周に支柱が配置される技術を開示している。この技術では、支柱の回転にワイヤが連動しないため、支柱のみを回転させてもワイヤが捩れることがない。しかし、バネバランサは、容積が比較的大きいため、バネバランサ本体を小型化することが困難であり、バネバランサを用いることは、装置全体の小型化の障害となる。
【0023】
(従来例3)
従来例3では、圧縮バネを用いることで、バランス構造の質量を軽くしており、操作性がよいが、以下の問題がある。
(1) 支柱が比較的太い。
1.従来例3では、支柱内の圧縮バネの内側に動滑車を配置している。圧縮バネを小さくするには、動滑車を小さくすればよいが、動滑車を小さくすると第二ワイヤが摩耗し易くなる。そこで、従来、ワイヤを摩耗しにくくするため、ワイヤ径に対し一定の径を有する動滑車が用いられており、動滑車を収納する圧縮バネも大きくせざるを得なく、結果として支柱が比較的太くなる。
【0024】
2.従来例3では、円錐滑車に巻き取らせたワイヤ長分だけX線部を昇降させることができる。また、円錐滑車により圧縮バネの付勢力を常に一定にしてX線部に伝達させるためには、モーメントを変化させる必要がある。そのため、上下ストローク量を大きくすると、ワイヤを巻き取るために加えて、モーメントの変化の範囲を大きくするために円錐滑車の径を大きくしなければならない。円錐滑車を大きくすることで、収納する支柱も比較的太くなる。
【0025】
(2) 従来例3では、X線部と円錐滑車間に小径のアイドラを具えており、第一ワイヤは、円錐滑車のワイヤ溝を移動する際、このアイドラ表面をアイドラの軸方向に対して左右に横滑りすることで摩擦し寿命を損なう。
【0026】
(3) 従来例3では、支柱の一端(例えば、上側)を開口して、円筒部、可動板、圧縮バネなどの各部品を順次挿入して支柱内で組み立てを行うため、組立作業が困難であり、また、多大な組立工数を必要とする。ここで、バランス構造の組み立てを容易にするために、支柱をその軸方向に分割させて、支柱の分割片にバランス構造を組み立ててから、分割片を接合して支柱を形成することが考えられる。しかし、支柱を分割すると、X線部の重量を十分に支持できる程度の強度を有しにくく、実用上、支柱を分割することは行わない。
【0027】
そこで、本発明の主目的は、X線部の昇降量をより長くすると共に、操作性がよく、より小型化・軽量化された移動型X線装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、組立作業性に優れる移動型X線装置を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明は、バランス構造として弾性材を用い、弾性材の付勢力を一定にしてX線部に伝達する円錐滑車と、円錐滑車が巻き取るワイヤ長を低減させる輪軸とを具えることで上記目的を達成する。
【0029】
即ち、本発明移動型X線装置は、被写体にX線を照射するX線部と、このX線部を昇降自在に支持する支持機構とを具える移動型X装置である。支持機構は、X線部を走行させる中空の支柱と、一端にX線部を固定した第一ワイヤにてX線部と連結されると共に前記支柱内に配置されてX線部の重量を支持するバランス部とを有する。バランス部は、X線部の昇降に伴って前記第一ワイヤを巻き取る又は繰り出すように回転する大径滑車と、この大径滑車と同軸に配置される小径滑車とを有する輪軸と、X線部の昇降に伴って伸縮し、伸縮した際の付勢力によってX線部の重量を支持する弾性材と、前記小径滑車と第二ワイヤにより連結されて小径滑車の回転に伴って回転し弾性材の付勢力を一定にしてX線部に伝達する円錐滑車とを具える。そして、弾性材は、第三ワイヤにより前記円錐滑車に同軸に取り付けられる同軸滑車と連結されて、円錐滑車の回転に伴って伸縮する。
【0030】
本発明移動型X線装置は、X線部の重量を支持するバランス構造として弾性材の付勢力を用い、X線部を連結した第一ワイヤを巻き取る滑車(輪軸)と、バネの付勢力を一定にしてX線部に伝える滑車(円錐滑車)とを別個にする。そして、円錐滑車が巻き取る第二ワイヤの長さをより短くするために輪軸を用いる。この構成により、本発明移動型X線装置は、上下ストロークをより長くしても、円錐滑車の小型化が可能であり、支柱をより細くすることができるため、良好な前方視界を確保することが可能である。また、バランス部を支柱内に収納するため、バランス部によってX線部の上下ストロークが短くなったり、バランス部のために台車の全長を長くしたりする必要もない。更に、バランス用ウエイトを用いていないことから支持機構が比較的軽量であるため、X線部を昇降させる際の操作力を軽減すると共に、X線装置全体も軽量化することができ、走行操作性に優れる。
【0031】
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明では、各滑車間などを連結するワイヤとして、一端にX線部を固定し、他端側を輪軸の大径滑車に巻き取られる第一ワイヤと、一端側を小径滑車に巻き取られ、他端側を円錐滑車に巻き取られる第二ワイヤと、一端側を円錐滑車に連結され、他端側を弾性材に連結される第三ワイヤとが用いられる。
【0032】
バランス部において輪軸を構成する大径滑車は、X線部の必要な昇降量を得る第一ワイヤを巻き取る大きさのものであればよい。大径滑車の円周面には、第一ワイヤを容易に巻き取ることができるように、ワイヤ用の溝を設けることが好ましい。以下、本発明に用いる他の滑車についても同様である。
【0033】
輪軸を構成する小径滑車は、後述する実施例の場合、大径滑車から伝わる力が(大径滑車の径/小径滑車の径)倍である。一方、小径滑車がワイヤを繰り出す又は巻き取る量は、大径滑車がワイヤを繰り出す又は巻き取る量、即ち、X線部の昇降量の(小径滑車の径/大径滑車の径)倍である。従って、小径滑車の径と大径滑車の径との比が大きいほど、円錐滑車の巻き取り量を小さくすることができる。即ち、円錐滑車の径をより小さくすることができる。ただし、輪軸の径は、X線部が十分な昇降量が得られる程度の大きさを適宜選択するとよい。
【0034】
弾性材は、X線部の重量が支持可能な付勢力を出力できるものであればよく、例えば、引張バネや圧縮バネなどのバネが挙げられる。バネを用いる場合、収納する支柱の寸法を小さくできるようにバネの外径は小さいものが好ましい。また、バネの支柱への配置は、例えば、バネの両端にバネの内周面に適合する形状を有する固定ブロックを嵌め込み、このブロックの中心(バネの軸方向)に連結棒を取り付け可能とし、連結棒を支柱に固定する構成が挙げられる。このとき、支柱の内周に適合した板片などを一端の固定ブロックに装着させて、板片を支柱内に嵌め込み、バネの回転を止めるよう構成してもよい。他端の固定ブロックには、後述する動滑車を取り付けることが好ましい。
【0035】
円錐滑車は、上記弾性材の付勢力がX線部の重量と釣り合うようにモーメントを変更できるものであればよい。この円錐滑車には、後述する同軸滑車を同軸に取り付けて、弾性材を連結する第三ワイヤを巻き取らせることが好ましい。
【0036】
上記バランス部を構成する輪軸、弾性材、円錐滑車の支柱への配置は、それぞれが接触したり、各ワイヤが捩れたりすることがないように行うことが好ましい。例えば、支柱の上方に輪軸、下方に円錐滑車、輪軸と円錐滑車の中間に弾性材を配置することが挙げられる。
【0037】
ここで、上記弾性材は、X線部の昇降に伴って伸縮するが、伸縮量(例えば、バネの場合、バネの最大伸び又は縮み量と初期状態の長さとの差)が大きいと疲労が大きく寿命が短くなる。そこで、弾性材の伸縮量をより小さくするために、第三ワイヤの移動量を少なくする構成にすることが好ましい。具体的には、弾性材の一端に動滑車と、円錐滑車と同軸に配置される同軸滑車とを具え、第三ワイヤは、前記動滑車と同軸滑車とを連結する構成が好ましい。動滑車を用いることで弾性材に加わる力は、第三ワイヤに加わる力の2倍となるが、弾性材の伸縮量は、第三ワイヤの移動量の1/2倍とすることができる。
【0038】
動滑車は、その軸と直交する方向を軸として回転自在に設けられることが好ましい。同軸滑車に巻き取られる第三ワイヤは、同軸滑車の回転に伴って、動滑車に対する繰り出し位置又は巻き取り位置が移動する。即ち、同軸滑車の回転に伴って、同軸滑車と動滑車間の第三ワイヤの位置関係が変化する。このとき、動滑車をその軸と直交する方向を軸として回転可能とすると、同軸滑車の回転に伴い第三ワイヤが移動する際、この第三ワイヤに引かれて動滑車の円周面の向きを変化させることができる。従って、同軸滑車と動滑車間の第三ワイヤは、ほぼ常に一定の位置関係を保つことができ、捩れなどを防止することができる。
【0039】
上記バランス部の構成部材は、支柱内に順次挿入して配置し、組み立ててもよいが、組立作業性を向上させるために予め一体に形成することが好ましい。具体的には、バランス部は、輪軸を有する上部ブロックと、円錐滑車を有する下部ブロックと、弾性材を有する中間部ブロックとからなり、これらブロックは、連結部材により一体に連結されることが好ましい。連結部材は、各ブロックを連結できるものであればよい。例えば、4本の角材を用いて断面矩形状に配置し、上端に上部ブロック、下端に下部ブロック、中間に中間部ブロックを配置、固定してもよい。連結部材により一体に形成することで、支柱の外でバランス部を組み立てることが可能であり、バランス部を組み立てた後に支柱に挿入することができるため、組立作業性に優れる。また、このようなバランス部は、支柱への出し入れを簡単に行うことができ、各種点検や微調整などを容易に行うことができる。
【0040】
支柱は、バランス部を内蔵できる大きさで、X線部の昇降に耐え得る強度を具え、スライダが走行可能な構成であればよい。例えば、断面矩形状の角パイプや、断面円形状のパイプなどで走行面を具えるものを用いてもよい。また、支柱には、点検用などの窓を設けていてもよい。
【0041】
本発明において、その他の構成は従来の移動型X線装置と同様にするとよい。例えば、支柱は、台車に対して支柱の軸方向を軸として回転自在に設ける構成が挙げられる。X線部は、被写体にX線を照射するX線管、X線管を保持する腕部、腕部に連結されると共に支柱をスライドするスライダを具えることが挙げられる。腕部は、水平方向に伸縮する方式のものや、スライダを中心点として上下方向に回転する方式(いわゆるパンタアーム方式)のものが挙げられる。X線部及びX線部の支持機構は、車輪を具えた移動可能な台車に搭載する。また、操作者が台車を移動させ易いように手押しハンドルなどを具えることが好ましい。
【0042】
なお、輪軸を用いず単なる滑車を用い、この滑車と円錐滑車との間にもう1つ動滑車を設けた構成でも、円錐滑車の径をより大きくすることなくストローク長をより長くすることができる。しかし、円錐滑車の直径方向と軸方向の変位により、ワイヤが捩れ易く、ワイヤの寿命を著しく損なう。また、本発明よりも構成が複雑となり、組立作業性もあまりよくない。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明移動型X線装置の斜視図、図2(A)は、X線部の支持機構の右側面における部分断面図、(B)はその正面図、(C)は左側面図、図3(A)は、バランス部の左側面図、(B)は、背面図、図4は、図3(A)の断面図である。
【0044】
本発明移動型X線装置1は、図1に示すように前輪111及び後輪112を有する台車110上に、被写体にX線を照射するX線部101と、このX線部101を昇降自在に支持する支持機構2を具える。支持機構2は、X線部101を走行させる支柱3と、一端にX線部101を固定した第一ワイヤ20(図3参照)にてX線部101と連結されると共に、支柱3内に配置されてX線部101の重量を支持するバランス部4(図2、3参照)とを有する。X線部101は、被写体にX線を照射するX線管103と、X線管103を保持すると共に水平に伸縮自在な腕部104と、腕部104に連結されると共に支柱3をスライドするスライダ105とを具える。バランス部4を具える支柱3は、台車110前方に垂直軸周りに回転自在な軸受けを有する支柱受け114が設けられ、この支柱受け114に挿入固着される。支柱受け114には、下部ブロック14(図3参照)が固定される回転ベース(図示せず)を具える。この構成により、支柱3は、その軸方向を軸として回転自在である。台車110には、操作者がX線装置1を移動させる際、X線装置1を押す手押しハンドル113を具える。上記の基本的構造は、従来の技術と同様であるが、本発明移動型X線装置1は、バランス部に特徴を有しており、以下、バランス部を中心に説明する。
【0045】
(バランス部の全体構成)
バランス部4は、図2に示すように支柱3の上方に輪軸5を具える。輪軸5は、スライダ105の昇降に伴って回転し、一端にスライダ105を固定した第一ワイヤ20(図3参照)を巻き取る大径滑車6と、この大径滑車6と同軸に配置される小径滑車7とを有する。支柱3の下方に円錐滑車8と同軸滑車10とを具える。円錐滑車8は、スライダ105の昇降に伴う大径滑車6の回転により、一端を小径滑車7に固定される第二ワイヤ21(同)を巻き取ると共に、モーメントを変化させることで後述する引張バネ9の付勢力を一定にしてX線部に伝達する。同軸滑車10は、円錐滑車8に同軸に配置される。そして、支柱3の中間部に引張バネ9を具える。引張バネ9は、スライダ105の昇降に伴って伸縮し、伸縮した際の付勢力によってX線部101(図1参照)の重量を支持する。この引張バネ9の下方側端部には、動滑車11を具える。引張バネ9は、一端を同軸滑車10に固定され、中間部を動滑車11に引っ掛けた第三ワイヤ22(図3参照)が同軸滑車10に巻き取られ又は繰り出されることにより伸縮する。なお、図2、4では、各ワイヤを省略している。
【0046】
そして、本例では、図3、4に示すように4本の連結部材12にて、輪軸5を有する上部ブロック13と、円錐滑車8及び同軸滑車10を有する下部ブロック14と、引張バネ9を有する中間部ブロック15とを一体に連結する。本例では、4本の連結部材12がつくる矩形内に中間部ブロック15が収納できるように連結部材12を支柱3(図2参照)の軸方向に平行に配置する。また、連結部材12は、強度を高めるために断面]状に形成した金属板を用いる。以下、各ブロックを説明する。
【0047】
(上部ブロック)
本例において上部ブロック13に具える輪軸5は、大径滑車6の径:小径滑車7の径=2:1のもので、大径滑車6の円周面に第一ワイヤ20を巻き取るためのワイヤ溝6a(後述する図5参照)、小径滑車7の円周面に第二ワイヤ21を巻き取るためのワイヤ溝7a(同)を具えるものを用いる。これら滑車6及び7は、キー5aにより連結する(図4参照)。輪軸5は、対向する側面に軸受け13aを具える断面[状の枠体13bに回転可能に支持され、正面側(スライダ105と対向する側で図3(B)では、紙面奥側)に輪軸5に適合した形状に切り欠いた当て板13c(図3(A)では、図示せず)を具える。本例において枠体13bの側面の幅及び底面の大きさは、中間部ブロック15の大きさに合わせており、大径滑車6の一部は、枠体13bの側面に覆われない(図3(A)参照)。この枠体13bの側面の下方に2本ずつそれぞれ対向するように連結部材12を固定する。
【0048】
輪軸5の上方には、支柱3(図2参照)の断面に適合した蓋部13dを具える。蓋部13dの内側は、大径滑車6の円弧に適合させて切欠き13eを設けている。このため、蓋部13d表面に凹凸を設けることなく、枠体13bの側面の図3、4において上下方向の長さをより短くすることができ、上部ブロック13を小型化できると共に、美観がよい。
【0049】
(下部ブロック)
本例において下部ブロック14に具える円錐滑車8は、円周面に第二ワイヤ21を巻き取るため及び引張バネ9の付勢力を一定にしてX線部に伝えるべくモーメントを適切に変化できるようなラセン溝8a(後述する図5参照)を具えるものを用いる。また、本例では、第三ワイヤ22を2本用いており、1つの滑車が1本のワイヤ23を巻き取るように同径の2個の同軸滑車10を円錐滑車8に同軸に具える。この同軸滑車10も同様に円周面にワイヤ溝10a(後述する図5参照)を具える。これら円錐滑車8及び同軸滑車10は、キー8bにより連結している(図4参照)。また、円錐滑車8及び同軸滑車10は、輪軸5と同様に対向する側面に軸受け14aを具える断面]状の枠体14bに回転可能に支持される。枠体14bの底面には、第三ワイヤ22の固定部14cを具える。この枠体14bの側面の上方に2本ずつそれぞれ対向するように連結部材12を固定する。
【0050】
このような下部ブロック14は、円形状のプレート14eに固定され、プレート14eは、台車110の支柱受け114(図1参照)に具える回転ベース(図示せず)に固定されて、支持機構が支柱の軸方向を軸として回転可能にする。
【0051】
(中間部ブロック)
中間部ブロック15は、4本の連結部材12がつくる矩形内に引張バネ9が配置される。引張バネ9は、X線部の重量を十分支持できる付勢力を発生できるものを用いる。本例において引張バネ9は、以下のようにして連結部材12がつくる矩形内に配置する。図4に示すように引張バネ9の両端に、中心にネジ孔を有する固定ブロック9aを嵌め込む。一方、長いネジ部を有する六角ボルト状の連結棒9bを上部ブロック13の枠体13bの底面に挿通させて、ナット13fを締め付けることで連結棒9bを枠体13bの底面に固定する。この連結棒9bに上方側の固定ブロック9aを取り付けることで、引張バネ9は、上部ブロック13の枠体13bの底面に対して連結棒9bにより吊り下げられた状態で配置される(図2参照、図2では弾性材を省略)。この構成により、引張バネ9の初期状態の長さは、連結棒9bの締め付け量により調整することができる。
【0052】
本例では、上方側の固定ブロック9aの上面に4本の連結部材12がつくる形状に適合した矩形状の板片9cを配置し、ねじ9dによりこの固定ブロック9aに固定している。板片9cは、連結部材12に対して摺動可能に配置され、連結部材12に固定されない。この構成により、引張バネ9の初期状態を調整する際などで、引張バネ9の位置を上下させる際、引張バネ9は、連結棒9bの軸方向に沿って移動することができ、引張バネ9の軸方向を連結棒9bの軸方向に平行に維持することができる。
【0053】
下方側の固定ブロック9aには、引張バネ9の軸方向(連結棒9bの軸方向)を軸として回転可能な軸受け9e(図3では、省略)を有する動滑車11を具える。
【0054】
(各滑車の連結状態)
次に、図5を用いて各滑車の連結状態を説明する。本例では、スライダ105(図5では背面を示す)と大径滑車6とを第一ワイヤ20、小径滑車7と円錐滑車8とを第二ワイヤ21、同軸滑車10と引張バネ9とを第三ワイヤ22で連結している。
【0055】
第一ワイヤ20の一端は、スライダ21のワイヤ固定部105aに固定され、他端は、大径滑車6に固定される。大径滑車6への固定は、後述する同軸滑車10の場合と同様である。図5では、スライダ105側の第一ワイヤ20を湾曲させているが、実際は、支柱3(図2参照)の軸方向とほぼ平行に配置されて、大径滑車6に巻き取られる。
【0056】
第二ワイヤ21の一端は、小径滑車7のつば部に設けられた切欠き(図示せず)に引っ掛け、図5(B)に示すように末端を固定部7bにより固定する。第二ワイヤ21の他端は、円錐滑車8のつば部に設けられた切欠き8d(図3(A)参照)に引っ掛け、末端を固定部8cにより固定する。本例において第二ワイヤ21は、2本用いている。そのため、各滑車7及び8に対する固定個所は、図5(A)、(B)に示すように円周方向にずらして設けている。また、2本のワイヤは、並行させて各滑車7及び8に巻き取らせる。本例では、輪軸5の小径滑車7と円錐滑車8とは、ワイヤ溝7aとラセン溝8aとがほぼ平行になるように配置している(図3(A)参照)。そのため、X線部の昇降に伴って第二ワイヤ21を巻き取ったり繰り出したりする際、2本の第二ワイヤ21は、小径滑車7と円錐滑車8間をほぼ平行に同方向に移動するため、捩れることがない。
【0057】
第三ワイヤ22の一端は、同軸滑車10のつば部に設けられた切欠き(図示せず)に引っ掛け、図5(C)に示すように末端を固定部10bにより固定する。第三ワイヤ22の他端は、図5(A)に示す一面を湾曲させたガイドブロック14d及び固定部14cに挿通し、末端を固定する。ガイドブロック14dを具えることで、第三ワイヤ22の他端側が同軸滑車10に絡まることを防止する。本例では、第三ワイヤ22も2本用いており、各ワイヤは、それぞれ別の同軸滑車10で巻き取らせる。また、本例では、動滑車11の円周面にワイヤ溝11aを2本並行に具え、各同軸滑車10に一端を固定した2本の第三ワイヤ22の中間部を各ワイヤ溝11aに引っ掛ける。本例では、初期状態において同軸滑車10と動滑車11とは、ワイヤ溝10aとワイヤ溝11aとがほぼ平行するように配置している(図3(A)参照)。また、動滑車11は、引張バネ9の軸方向を軸として回転可能である。そのため、X線部の昇降に伴って第三ワイヤ22を巻き取ったり繰り出したりする際、2本の第三ワイヤ22は、動滑車11を引っ張って同軸滑車10と動滑車11間をほぼ平行に保って移動することができる。
【0058】
次に、バランス部4の組み立て手順を説明する(図2〜5参照)。まず、引張バネ9の両端に固定ブロック9aを嵌め込み、一端に板片9c、他端に動滑車11を取り付ける。大径滑車6に第一ワイヤ20の一端を、小径滑車7に第二ワイヤの一端を固定し、輪軸5を枠体13に配置して、上部ブロック13を形成する。同軸滑車10に第三ワイヤ22の一端を固定し、円錐滑車8及び動滑車10を枠体14bに配置して、下部ブロック14を形成し、プレート14eに固定する。上部ブロック13の枠体13bの底面に連結棒9bを固定し、連結棒9bで上記引張バネ9を吊り下げて固定する(中間部ブロック15の形成)。枠体13b及び枠体14bに連結部材12を固定し、上部ブロック13、下部ブロック14、中間部ブロック15を連結する。
【0059】
捨て巻きを経て同軸滑車10から引き出した第三ワイヤ22の他端側を動滑車11に引っ掛けて、ガイドブロック14dを経て固定部14cで固定する。次に、捨て巻きを経て円錐滑車8から引き出した第二ワイヤ21の他端側を小径滑車7に巻き付けて末端を固定部7bで固定する。このとき、ワイヤ21、22や引張バネ9などの調整を行ってもよい。そして、大径滑車6に第一ワイヤ20を巻き付けておき、バランス部が構成される。本例では、上記のようにバランス部4を支柱3内ではなく、支柱3の外で組み立てるため、組立作業性に優れる。
【0060】
上記構成されたバランス部4は、上部ブロック13側から支柱3の開口部に挿入して配置し固定する。次に、支柱3にX線部のスライダ105を走行可能に取り付ける。そして、大径滑車6に巻きつけた第一ワイヤ20の他端側を引き出し、支柱上端まで昇降させた状態のスライダ105に固定することで、本発明移動型X線装置が構成される。
【0061】
なお、本例において支柱3は、断面矩形状であり、正面にスライダ105が走行可能で、かつスライダ105が落下しないように、軸方向に沿ってスライダ105の嵌合溝3aを具える(図1、図2(B)参照)。また、第一ワイヤ20などの調整や点検などが行う点検窓3bを具える(図2(A)参照)。図2(C)は、点検窓を開けた状態を示す。更に支柱3の上方、下方にそれぞれスライダ105の当り止め3c、3dを具える(図2(A)、(B)参照)。また、支柱3の正面に大径滑車6が支柱3の内壁に接触しないように矩形窓3eを設けている(図1、図2(B)参照)が、当り止め3cより上方に輪軸5を位置させているため(図2(A)参照)、スライダ105の走行に問題はない。
【0062】
スライダ105は、支柱3に接触する面にローラ105b、105cを具えており(図2(A)、5参照)、支柱3の嵌合溝3a(図2(A)参照)の側面にローラ105bを接触させ、溝3aの正面にローラ105cを接触させて走行する。また、スライダ105には、各ワイヤ20〜22(図3参照)や引張バネ9などが破断した際、スライダ105の急激な降下を防止する安全機構を具える。具体的には、スライダ105の裏面(支柱3と向かい合う面)に、裏面から突出する方向に突出板105dを具え(図2(A)、5参照)、ワイヤ固定部105a及びバネ材105eにより固定している(図5参照)。この突出板105dは、ワイヤ固定部105aの第一ワイヤ20に力が作用している際、バネ材105eの付勢力を調整して、支柱3に接触しないように配置される。しかし、第一ワイヤ20などが破断した際は、バネ材105eの付勢力により、突出板105dが支柱3の正面に突出して引っ掛かることで、X線部の落下を防止する。
【0063】
更に、各滑車6〜8、10には、案内溝(図示せず)を設けると、各ワイヤ20〜22が横滑りなどもなく、各ワイヤの寿命を長くすることができる。
【0064】
上記構成を具える本発明移動型X線装置は、スライダ105を支柱3に沿って図2において下向きに走行させてX線部101(図1参照)を降ろすと、大径滑車6が回転して第一ワイヤ20を繰り出す。同時に小径滑車7が回転して、第二ワイヤ21を巻き取ると共に、円錐滑車8が回転して第二ワイヤ21を繰り出す。また、同時に同軸滑車10が回転して、第三ワイヤ22を巻き取ると共に、動滑車11を下向きに引っ張り、結果として引張バネ9を下向きに引っ張り、付勢力が作用する。この付勢力により、X線部101は、所望の高さで停止し、保持される。このとき、動滑車11を用いたことで、引張バネ9は、同軸滑車10が第三ワイヤ22bを巻き取った長さの1/2の長さ伸ばされ、かつ付勢力が増大する。従って、スライダ105の移動量により、引張バネ9の付勢力は変化するが、本発明では、円錐滑車8によりモーメントを変化させることで、X線部101の重量を支持する力を一定に保持することが可能である。
【0065】
上記本発明移動型X線装置は、上下ストロークをより長くしながらも、円錐滑車の径を小さくし、支柱の幅及び厚みをより小さくすることができる。そのため、良好な前方視界を確保することが可能である。なお、上記実施例では、引張バネを用いたものを示したが、圧縮バネなどに置き換えてもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように本発明移動型X線装置によれば、以下の優れた効果を奏する。
(1) バランス構造に弾性材を用いることで、支柱、特に走行時正面から見た支柱寸法(幅)を小さくできるので、走行の際、前方視界を向上させることができる。また、弾性材を用いることで、X線部を昇降させる際、操作力をより小さくすることができ、作業性がよく、操作者の負担を軽減することができる。更に、弾性材を用いることで、バランス用ウエイトを用いた場合に比較して、支持機構の重量を約1/3〜1/4にすることができ、軽量化が可能である。加えて、バランス部を支柱内に収納できるため、バネバランサを用いた場合と比較して台車の全長を短くすることができる。その他、弾性材を用いることで、走行時の騒音を軽減させることが可能である。
【0067】
(2) 輪軸を用いることで、X線部の昇降量を十分に確保することができる。例えば、円錐滑車の大径を従来例3と同等とすると、昇降量は、約2倍程度となり、増大化が図れる。昇降量を従来例3と同等とすると、円錐滑車の大径を従来例2よりも小さくすることができ、支柱をより細くすることが可能である。
【0068】
(3) 更に、バランス部を連結部材により連結して一体に構成することで、バランス部を支柱の外で組み立てることができ、組立作業性にきわめて優れる。また、支柱への配置が容易であるため、組立調整や保守も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明移動型X線装置の斜視図である。
【図2】 (A)は、X線部の支持機構の右側面における部分断面図、(B)はその正面図、(C)は左側面図である。
【図3】 (A)は、バランス部の左側面図、(B)は、背面図である。
【図4】図3(A)の断面図である。
【図5】本発明において、各ワイヤの連結状態を示す説明図であり、(A)は、バランス部全体を示し、(B)は、第二ワイヤの小径滑車への固定個所を示す説明図、(C)は、第三ワイヤの同軸滑車への固定個所を示す説明図である。
【図6】バランス用ウエイトを用いたバランス構造を有する従来の移動型X線装置の斜視図である。
【図7】バネバランサを用いたバランス構造を有する従来の移動型X線装置の側面図である。
【図8】圧縮バネを用いたバランス構造を有する従来の移動型X線装置であって、(A)は、支柱部分の部分断面図、(B)は、(A)に示す領域Bの正面図である。
【符号の説明】
1 移動型X線装置 2 支持機構 3 支柱 3a 嵌合溝 3b 点検窓
3c、3d 当り止め 3e 矩形窓 4 バランス部 5 輪軸 5a キー
6 大径滑車 6a、7a、10a、11a ワイヤ溝 7 小径滑車
7b、8c、10b、14c 固定部 8 円錐滑車 8a ラセン溝 8b キー
8d 切欠き 9 引張バネ 9a 固定ブロック 9b 連結棒 9c 板片
9d ねじ 9e 軸受け 10 同軸滑車 11 動滑車 12 連結部材
13 上部ブロック 13a、14a 軸受け 13b、14b 枠体 13c 当て板
13d 蓋部 13e 切欠き 13f ナット 14 下部ブロック
14d ガイドブロック 14e プレート 15 中間部ブロック
20 第一ワイヤ 21 第二ワイヤ 22 第三ワイヤ
100、200、300 移動型X線装置 101 X線部 102 支柱 103 X線管
104 腕部 105 スライダ 105a ワイヤ固定部 105b、105c ローラ
105d 突出板 105e バネ材 106 バランス用ウエイト 107 ワイヤ
108 定滑車 110 台車 111 前輪 112 後輪 113 手押しハンドル
201 バネバランサ 202 定滑車 203 軸 301 圧縮バネ 302 円筒部
302a 突起部 303 可動板 304 動滑車 305 連結棒 306 円錐滑車
307 滑車ドラム 308 第一ワイヤ 309 第二ワイヤ 310 アイドラ

Claims (10)

  1. 被写体にX線を照射するX線部と、前記X線部を昇降自在に支持する支持機構とを具える移動型X線装置であって、
    前記支持機構は、
    前記X線部を走行させる中空の支柱と、一端に前記X線部を固定した第一ワイヤにて前記X線部と連結されると共に前記支柱内に配置されて前記X線部の重量を支持するバランス部とを有し、
    前記バランス部は、
    前記X線部の昇降に伴って前記第一ワイヤを巻き取る又は繰り出すように回転する大径滑車と、前記大径滑車と同軸に配置される小径滑車とを有する輪軸と、
    前記X線部の昇降に伴って伸縮し、伸縮した際の付勢力によって前記X線部の重量を支持する弾性材と、
    前記小径滑車と第二ワイヤにより連結されて前記小径滑車の回転に伴って回転し前記弾性材の付勢力を一定にして前記X線部に伝達する円錐滑車とを具え、
    前記弾性材は第三ワイヤにより前記円錐滑車に同軸に取り付けられる同軸滑車と連結されて、前記円錐滑車の回転に伴って伸縮することを特徴とする移動型X線装置。
  2. 前記小径滑車のワイヤ溝と前記円錐滑車のラセン溝とが、ほぼ平行になるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の移動型X線装置。
  3. 更に、前記弾性材の一端に動滑車を具え、前記動滑車を介して前記第三ワイヤが、前記弾性材前記同軸滑車とを連結することを特徴とする請求項1または2に記載の移動型X線装置。
  4. 前記動滑車の軸と直交する方向を軸として、前記弾性材の一端に前記動滑車が回転自在に支持されることを特徴とする請求項3に記載の移動型X線装置。
  5. 前記支柱上部から順に、前記輪軸、前記弾性材、前記円錐滑車が配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の移動型X線装置。
  6. 前記バランス部は、当該バランス部を組み立てた後に前記支柱内に配置できるように、前記バランス部を一体に連結可能な連結部材に固定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の移動型X線装置。
  7. 前記バランス部は、前記輪軸を有する上部ブロックと、前記円錐滑車と前記同軸滑車を有する下部ブロックと、前記弾性材を有する中間部ブロックとからなり、これらブロックは、前記連結部材により一体に連結されることを特徴とする請求項6に記載の移動型X線装置。
  8. 前記下部ブロックを構成する枠体に、前記第三ワイヤを固定する固定部を有することを特徴とする請求項7に記載の移動型X線装置。
  9. 前記弾性材は、前記上部ブロックを構成する枠体の底面に吊り下げられた状態で配置されることを特徴とする請求項7または8に記載の移動型X線装置。
  10. 前記X線部は、X線管と前記X線管を支柱に対してスライド自在に支持するスライダとを具え、
    前記スライダは、前記支柱との対向面から突出する方向に設けられる突出板と、前記突出板に設けられ前記第一ワイヤを固定するワイヤ固定部と、前記突出板を支柱側に付勢するバネ材とを有し、
    前記ワイヤ固定部に前記第一ワイヤの張力が作用しているときは、前記突出板が支柱と接触しないように配置され、
    前記ワイヤ固定部に前記第一ワイヤの張力が作用していないときは、前記バネ材の付勢力により前記突出板が前記支柱に突出して引っ掛かるように構成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の移動型X線装置。
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