WO2003091524A1

WO2003091524A1 - Operating mechanism of open/close body

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Publication number: WO2003091524A1
Application number: PCT/JP2003/005326
Authority: WO
Inventors: Seika Matsui; Hideharu Kato; Tsutomu Tanoi; Tomonori Suzuki; Mizuho Morimitsu
Original assignee: Aisin Seiki Kabushiki Kaisha; Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha; Toyota Shatai Kabushiki Kaisha
Priority date: 2002-04-25
Filing date: 2003-04-25
Publication date: 2003-11-06
Also published as: JP3620836B2; KR100990958B1; EP1498566B8; EP1498566A4; CN1277039C; CN1646784A; EP1498566A1; JP2003314142A; US20050237018A1; EP1498566B1; US7637057B2; KR20050008694A

Description

明細書開閉体の動作機構技術分野

本発明は、開閉体を開き駆動させる駆動手段と、開閉体の開き位置を検出する位置検出手段と、開閉体の全開位置を記憶する全開位置記憶手段とを備えており、前記駆動手段によって前記開閉体を開き駆動させる際、前記全開位置記憶手段が記憶している全開認識位置もしくは当該全開認識位置から一定量だけ手前の位置で前記駆動手段を停止する開閉体の動作機構に関する。背景技術

従来、ワンボックス力一のパックドア等にあっては、駆動手段によってバックドアを自動的に開き動作するものがある。このようなドアの自動開閉装置としては、例えば、日本実開平 3— 4 1 0 8 8号公報に示すようなものがあった。

即ち、当該装置は、ァクチユエ一ターによってドアを自動開閉する開閉機構を備えており、当該開閉機構に、ドアの開度に対応する信号を出力するホールセンサーからなるドア開度検出器を備えたものである。

当該装置は、このホールセンサ一によってドアの全開 '全閉のみならず、開閉途中のドアの開度を正確に検出することを目的とする。

し力し、上記従来の自動開閉装置では、以下に示すような問題があった。

例えば、車両によっては、ドアの取付状態が異なり、全開位置が一定であるとは限らない。そのため、上記ァクチユエ一ターでは、ドアの開き量の制御が正確になる反面、仮に、ドアの停止位置が機構的な全開位置よりも大きく設定されていると、ドアヒンジ等に無理な力がかかり、ドアヒンジを損傷させたりドアの建て付け不良を起こす等の不都合が生じる場合があった。

また、停止位置がドアの機構的な全開位置よりも開き側にあると、ドアの自動開き動作を停止制御することなくドアが機構的な全開位置に達してしまい、開き動作が、見栄えの悪いものとなってしまう。一方、ァクチユエ一ターによるドアの停止位置が、機構的な全開位置よりも小さい位置に設定されていると、ドア開度そのものが小さくなつて、荷物の出し入れ等に支障が出る。

さらに、ダンバ一等と併用するものでは、ァクチユエ一ターによる駆動を終了した後、さらにダンパーによって開き動作が行われるから、開き動作が 2段階になってやはり見栄えが悪くなる。

本発明の目的は、上記従来の問題点を解消し、開閉体の取付構造などを損傷することなく見栄えの良い開き動作を行う開閉体の動 ffl構を提供するところにある。発明の開示

本発明の開閉体の動作機構の特徴構成は次の通りである。

本発明に係る第 1の特徴構成は、第 1〜4図に示すごとく、開閉体 1を開き駆動させる駆動手段 3と、開閉体 1の開き位置を検出する位置検出手段と、開閉体 1の全開位置を記憶する全開位置記憶手段 5 aとを備えており、前記駆動手段 3によって前記開閉体 1を開き駆動させる際、前記全開位置記憶手段 5 aが記憶している全開認識位置もしくは当該全開認識位置から一定量だけ手前の位置で前記駆動手段 3を停止する開閉体 1の動作機構であって、前記駆動手段 3による開き駆動が終了したのちの開閉体 1の現在位置が前記全開認識位置と異なるとき、前記全開位置記憶手段 5 aが新たな全開認識位置を設定するように構成してある点に特徴を有する。

前記駆動手段による開き駆動が終了したのちの開閉体の現在位置というのは、多くの場合、開閉体の機構的な全開位置を意味する。即ち、本構成の動作機構は、現在認識している全開認識位置を開閉体の機構的な全開位置に順次近付けるという位置学習機能を持たせるものである。このような学習機能を備えることで、最初の開閉体の全開位置を仮に設定しておいた場合でも、当該学習機能によって開閉体を機構的な全開位置の近傍まで駆動開き動作を行わせることができるから、開閉体の自動開き動作が見栄えのよいものとなる。

そして、開閉体の取付機構等に無理な力を作用させることなく開閉体を開き動作させることができる。本発明に係る第 2の特徴構成は、図 1、 4に示すごとく、第 1の特徴構成において、前記現在位置が前記全開認識位置よりも開き側の位置であるとき（# 1 )、前記全開位置記憶手段 5 aが、前記現在位置を前記新たな全開認識位置と認識する（# 2 ) ように構成する点に特徴を有する。

前記現在位置は、一般に、開閉体の機構的な全開位置であることが多い。よって本構成のごとく、開き動作を終了した現在の位置を、新たな全開認識位置と再認識するものであれば、次回の開き動作は機構的な全開位置を目標に行われることとなり、開閉体の停止位置を迅速に前記機構的な全開位置に近づけることができる。本発明に係る第 3の特徴構成は、図 1、 5に示すごとく、第 1の特徴構成において、前記現在位置が前記全開認識位置よりも開き側の位置であるとき（# 1 )、前記全開位置記憶手段 5 aが、前記現在位置と前記全開認識位置との間の位置を前記新たな全開認識位置と認識する（# 2 ) ように構成する点に特徴を有する。

本構成であれば、開閉体の全開認識位置の急激な修正を抑制することができるから、開き動作を終了させる位置が機構的な全開位置を越えてしまうといった事態が生じない。よって、開閉体の取付け部が損傷する等の不都合の発生を防止しつつ、開閉体の全開認識位置を、順次、機構的な全開位置に近づけることができる。

本発明に係る第 4の特徴構成は、図 1、 6に示すごとく、第 1の特徵構成において、前記全開位置記憶手段 5 aが、前記駆動手段 3による開き駆動が終了したのち（# 1， 2 ) —定時間後（# 3 ) の前記開閉体 1の現在位置を、前記新たな全開認識位置と認識する（# 4 ) ように構成する点に特徴を有する。

本構成のごとく、一定時間経過後の開閉体の現在位置を認識するものであれば、開閉体が、予期せぬ要因、例えば、人力や風力等によって一時的に全開位置とは異なる位置に動作したような場合でも、開閉体が機構的な全開位置で静止したと思われる時間の経過後に、全開位置の位置検知を行うことができる。よって、誤って過大なあるいは過小な位置を全開認識位置とする事態を有効に防止することができる。本発明に係る第 5の特徴構成は、図 1、 7に示すごとく、第 1の特徴構成において、前記全開位置記憶手段 5 aが、前記駆動手段 3による開き駆動が終了したのち（# 1 , 2 ) 一定時間後（# 3 ) の前記開閉体 1の位置と前記全開認識位置との間の位置を、前記新たな全開認識位置と認識する（# 4 ) ように構成する点に特徴を有する。

本構成のごとく、新たな全開認識位置の認識を、前記一定時間経過後の現在位置と、現在認識している全開認識位置との間に設定することで、開閉体の全開認識位置の急激な修正を抑制することができる。よって、例えば、開閉体の取付け部が損傷する等の不都合の発生を防止しつつ、開閉体の全開認識位置を、順次、機構的な全開位置に近づけることができる。

本発明に係る第 6の特徵構成は、図 1、 8に示すごとく、第 1の特徴構成において、前記開閉体 1が過負荷判定手段を備えており、当該過負荷判定手段が、前記全開認識位置の近傍の領域であって予め設定した領域において（# 1 ) 過負荷を検出したとき（林 2 )、前記全開位置記憶手段 5 aが、前記全開認識位置よりも閉じ側の位置を前記新たな全開認識位置と認識する（# 3 ) ように構成する点に特徴を有する。

仮に、全開認識位置が、開閉体の機構的な全開位置よりも開き側にあると、開閉体の取り付け部などに過負荷が作用することとなる。本構成のごとく、過負荷を検出したとき、現在の全開認識位置よりも閉じ側に新たな全開認識位置を設定するものであれば、上記過負荷の発生が防止でき、開閉体あるいは駆動手段等が損傷するのを有効に防止することができる。

本発明に係る第 7の特徴構成は、図 1に示すごとく、第 1の特徴構成において、前記開閉体 1を開方向に付勢する開閉体上昇機構 3 0を備えており、前記駆動手段 3を停止した位置から前記開閉体 1の機構的な全開位置まで開き動作させるよう構成する点に特徴を有する。

本構成のごとく、例えば、エアーダンパー等の開閉体上昇機構を設けることで、駆動手段による駆動を現在の全開認識位置の手前で止め、開閉体の損傷を防止しつつ、開閉体を機構的な全開位置まで確実に開き動作させることを可能としている。

本発明に係る第 8の特徴構成は、図 1、 9に示すごとく、第 7の特徴構成において、前記駆動手段 3による開き駆動が終了したのち（# 1， 2 ) の一定時間內（# 3 ) に、前記開閉体 1が開き側に一定量以上動作し（# 4 )、かつ、前記開閉体 1の現在位置が前記全開認識位置よりも開き側の位置であるとき（# 5 )、当該現在位置を前記新たな全開認識位置と認識する（# 6 ) ように構成する点に特徴を有する。本構成は、駆動手段による開き動作と開閉体上昇機構による開き動作とが混在している開閉体に対し、開閉体上昇機構による開き動作が落ち着いたと予測される一定時間を基準として、開閉体が現在の全開認識位置よりも一定量以上開き側で静止しているような場合に、新たな全開認識位置を再認識するものである。

よって、開閉体上昇機構による開き動作のストロークを極力少なく設定できるため、開閉体の開き動作が滑らかで見栄えの良いものとなる。

本発明に係る第 9の特徴構成は、図 1、 1 0に示すごとく、第 7の特徴構成において、前記駆動手段 3による開き駆動が終了したのち（# 1， 2 ) の一定時間内（# 3 ) に、前記開閉体 1が開き側に一定量以上動作し（# 4 )、かつ、前記開閉体 1の現在位置が前記全開認識位置よりも開き側の位置であるとき（# 5 )、当該現在位置と前記全開認識位置との間の位置を前記新たな全開認識位置と認識する（# 6 ) ように構成する点に特徴を有する。

本構成であれば、開閉体上昇機構による開き駆動を利用した開閉体において、その全開認識位置を一度に機構的な全開位置に近づけるのではなく、徐々に機構的な全開位置に近付けることができる。よって、例えば、開閉体の取付け部が損傷する等の不都合の発生を防止しつつ、開閉体の全開認識位置を、順次、機構的な全開位置に近づけることができる。

本発明に係る第 1 0の特徴構成は、図 1、 1 1に示すごとく、第 7の特徴構成において、前記駆動手段 3による開き駆動が終了したのち（# 1， 2 ) の一定時間内（# 3 ) に、前記開閉体 1が、開き側に一定量以上動作しないとき（# 4 )、前記全開認識位置よりも閉じ側の位置を前記新たな全開認識位置と認識する（# 5 ) ように構成する点に特徴を有する。

駆動手段に開閉体上昇機構を併用する場合、全開認識位置の手前の位置で駆動手段を止めた後、開閉体上昇機構によって若干の開き動作を行わせ、機構的な全開位置に開閉体を静止させるのが好ましい。

しかし、現在の全開認識位置が機構的な全開位置に極めて近いか、機構的な全開位置を超えている場合には、開閉体上昇機構による開き量が得られないことがある。仮に、駆動手段に誤動作が生じると、開閉体が機械的な全開位置を容易に超えて、開閉体の取り付け部を損傷するなどの不都合が生じる。そこで、本構成のごとく、開閉体の開き動作が所定の条件を満たさない場合には、新たな全開認識位置を閉じ側に設定するものとすれば、上記損傷等の不都合が生じるのを有効に防止することができる。図面の簡単な説明

第 1図は、本発明に係る開閉体の動作機構の概要を示す説明図であり、

第 2図は、開閉体の全閉状態を示す説明図であり、

第 3図は、開閉体の全開状態を示す説明図であり、

第 4図は、本発明に係る動作機構の学習態様 1を示す説明図であり、

第 5図は、本発明に係る動作機構の学習態様 2を示す説明図であり、

第 6図は、本発明に係る動作機構の学習態様 3を示す説明図であり、

第 7図は、本発明に係る動作機構の学習態様 4を示す説明図であり、

第 8図は、本発明に係る動作機構の学習態様 5を示す説明図であり、

第 9図は、本発明に係る動作機構の学習態様 6を示す説明図であり、

第 1 0図は、本発明に係る動作機構の学習態様 7を示す説明図であり、

第 1 1図は、本発明に係る動作機構の学習態様 8を示す説明図である。発明を実施するための最良の形態

以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。

〔概要〕

本発明に係る開閉体の動作機構を、図 1乃至図 8に基づいて説明する。

本発明の開閉体は、主に、駆動モーターによって自動開き動作する開閉体に適用するものである。例えば、図 1に示すごとく、ワンボックスカーのバックドア 1に適用可能な他、トランクのラッグ一ジドアやスライドドア等の通常の車両用ドア等にも適用することができる。また、一般の車庫の扉であって、上方に開き動作する方式の扉等にも適用可能である。

以下には、図 1に示すワンボックスカーのバックドア 1に適用した例を示す。当該パックドア 1は、図 2に示すごとく、車体 1 2の後部上方にドアヒンジ 1 aを介して取り付けてある。車体 1 2の側には駆動手段 3を設けてあり、車内に設けたメインスィッチ 6あるいはパックドア 1に設けたハンドルスィッチ 8、あるいは、図示しないがワイヤレスのリモコンスィッチ等の操作によって、パックドア 1を開き側に駆動させることができる。

図 2にはパックドア 1の全閉状態を示し、図 3には全開状態を示す。

前記駆動手段 3は、主に、駆動モーター Mと、当該駆動モーター Mの回転速度を調節する減速機構 R、当該減速機構 Rとパックドア 1とを連結するアーム部材 3 b及びロッド 4、さらに前記駆動モ一ター Mの動作を制御するコントローラ一 5とで構成してある。また、全開位置まで動作したバックドア 1を支持するエアダンパー 3 0を前記車体 1 2 とバックドア 1とに亘つて設けてある。

前記駆動手段 3としては、例えば、各種の直流モーターを用いると共にロータリーェンコーダ—等を併設して、前記コントローラー 5によって駆動モーター Mの回転角度や回転速度を制御できるものとする。そして、当該構成は、パックドア 1の現在位置を検出する位置検出手段として機能する。

そして、この位置検出手段では、前記口一タリーエンコーダー等からの出力に基づいて、バックドア 1の開閉方向における現在位置を示す位置データを、コントローラ一 5 に対して出力する。この位置検出手段から出力される位置データとしては、前記ロータリーェンコ一ダ一等からの出力に基づく所定の変換が行われてパックドア 1の現在位置を直接的に示すデータや、前記ロータリ一エンコーダー等からの出力そのままであってバックドア 1の現在位置を間接的に示すデータ等が含まれる。ここで、例えば、バックドア 1の現在位置を直接的に示すデータとしては、バックドア 1の開度（全閉位置からの角度）や、アーム部材 3 bの動作角度等として表されるデータがある。

本発明の開閉体の動作機構は、特に、パックドア 1を駆動手段 3によって自動開き動作させる際に、パックドア 1を適正な位置まで駆動させるベくパックドア 1の全開位置を学習認識させるものである。

パックドア 1を全開すると、機構的な全開位置で静止姿勢となる。よって、バックドァ 1を駆動させる適正位置は、原則として機構的な全開位置である。ただし、バックドァ 1の機構的な全開位置は車両毎に異なるうえ、開閉回数が增加するに伴って位置が変化することも考えられる。そこで、本発明の開閉体の動作機構では、以下に示すような学習態様によってバックドア 1の自動開き量を適宜調節している。なお、本実施形態においては、全開認識位置、現在位置、及び駆動停止位置は、コントローラ一 5において、バックドア 1の開閉方向の位置を示す位置データに対応するデータとして定義されている。そして、これらの位置データは、それが大きい値であるほどパックドア 1の開き側の位置を表している。 (学習態様 1 )

本態様につき、図 4に基づいて説明する。図 4には、バックドア 1の動作を示す模式図と、前記コントローラ一 5に全開位置を学習させるためのサブルーチンを示してある。本学習態様は、例えば、駆動手段の一例である駆動モータ一 Mがバックドア 1を駆動し、バックドア 1の開き動作が終了した後の現在の位置が、前記コントローラー 5の全開位置記憶手段 5 aが認識している全開認識位置よりも開き側にあるとき、即ち、「全開認識位置く現在位置」のとき（図 4 # 1 ) 、現在の位置を新たな全開認識位置として前記全開位置記億手段 5 aに再認識させる（図 4 # 2 ) ものである。

通常、コントローラ一 5に記憶させたバックドア 1の全開認識位置は、バックドア 1 の組立のバラつき等を考慮して、パックドア 1の機構的な全開位置よりもある程度閉じ側に設定する。バックドア 1は、駆動モーター Mによって全開認識位置もしくは全開認識位置の一定量手前の位置まで開き動作される。以降においては、この位置を駆動停止位置と称する。

通常、前記駆動停止位置で駆動モータ一 Mの電磁クラッチ等を操作し、駆動モータ一 Mの連係が断たれる。バックドア 1には、一般に、開閉体上昇機構の一例であるエアダンパ一 3 0等を設けてある。よって、バックドア 1は、当該エアダンパー 3 0によって前記駆動停止位置からさらに開き動作させられ、機構的な全開位置まで開いて静止する。本学習態様 1によれば、このように開き動作の終了位置が、現在認識している全開認識位置よりも開き側にあるとき、全開認識位置を開き側に再設定することで、開閉体の組立などに際して当初の全開認識位置を予備的な位置に設定している場合であっても、全開認識位置を機構的な全開位置に迅速に近づけることができる。

(学習態様 2 )

本学習態様を図 5に基づいて説明する。本学習態様は、上記学習態様 1による全開認識位置の修正量を少なく設定するものである。例えば、学習態様 1による全開認識位置の修正を行うと、次回のバックドア 1の全開位置は、機構的な全開位置となるはずである。しかし、前回の学習時に、人力や風圧が加わっている可能性もあり、このような予期せぬ要因によって、全開認識位置が機構的な全開位置を超えている可能性もある。また、全開認識位置が正確な位置であっても、モーター駆動に誤差が生じ、機構的な全開位置を超えてドアヒンジ 1 aなどを損傷する事態が決して生じないともいえない。

そこで、本学習態様 2では、バックドア 1の現在位置が全開認識位置よりも開き側の位置であるとき、即ち、「全開認識位置く現在位置」のとき（# 1 ) 、前記全開位置記憶手段 5 aが、前記現在位置と前記全開認識位置との間の位置を前記新たな全開認識位置と認識する（# 2 ) ように構成する。具体的には、本実施形態においては、コント口 —ラー 5において、「全開認識位置 = ( n X現在位置+ m X全開認識位置） ÷ ( n + m)」という式に基づく演算を行い、新たな全開認識位置を算出して全開位置記憶手段 5 aに記憶させる処理を行う。ここで、 n及び mは任意の正数であり、これらの値は通常は出荷時に予め設定しておく。

具体的には、例えば、現在の全開位置と現在認識している全開認識位置とに応じて、重み付け平均を採るなどいわゆるフィルタをかけた構成とする。本構成にすることで、バックドア 1の全開認識位置の急激な修正を抑制することができ、パックドア 1の取付け部が損傷する等の不都合の発生を防止することができる。そして、パックドア 1の全開認識位置を、順次、機構的な全開位置に近づけることができる。

(学習態様 3 )

本学習態様は図 6に基づいて説明する。本学習態様は、新たな全開認識位置を決定するのに、時間成分を考慮するものである。

例えば、バックドア 1が駆動による開き動作を終了する間際に、バックドア 1に人力や風圧が作用して、パックドア 1の開き具合が一時的に過大或いは過小となることがある。このような場合に、上記学習態様 1のような手法を用いると新たな全開認識位置が機構的な全開位置と異なることになる。

そこで、本学習態様 3では、全開位置記憶手段 5 a力前記駆動手段 3による開き駆動が終了したのち（# 1， 2 ) —定時間 T ( r )経過後（# 3 ) のバックドア 1の現在位置を、新たな全開認識位置と認識する（# 4 ) 。ここで、一定時間 T ( r )は、パックドァ 1が予期せぬ要因によって全開位置とは異なる位置に停止した後、機構的な全開位置まで動作するのに要する時間よりも長い時間に設定すると好適である。このような時間は、経験則や実験等により定められる。

本構成であれば、パックドア 1が予期せぬ要因によって一時的に全開位置とは異なる位置に動作したような場合でも、バックドア 1が機構的な全開位置で静止したのちに、全開位置の位置検知を行うことができる。よって、誤って過大なあるいは過小な位置を全開認識位置とする事態を有効に防止することができる。

(学習態様 4 )

本学習態様は図 7に基づいて説明する。本学習態様は、上記学習態様 3による全開認識位置の修正量を少なく設定するものである。本学習態様の趣旨は、上記学習態様 1に対する学習態様 2の趣旨と同じである。

即ち、本学習態様 4では、全開位置記憶手段 5 aが、前記駆動手段 3による開き駆動が終了したのち（# 1， 2 ) 一定時間 T ( r )経過後（# 3 ) の前記バックドア 1の位置と前記全開認識位置との間の位置を、前記新たな全開認識位置と認識する（# 4 ) 。ここでの # 3及び # 4の具体的処理は、前述の（学習態様 2 ) における # 2の処理と同様とすることができる。

本態様によれば、バックドア 1の全開認識位置の急激な修正を抑制することができ、例えば、バックドア 1の取付け部が損傷する等の不都合の発生を防止しつつ、バックドァ 1の全開認識位置を、順次、機構的な全開位置に近づけることができる。

(学習態様 5 )

本学習態様は図 8に基づいて説明する。本学習態様は、特に、パックドア 1が機構的な全開位置を超えて開き動作された場合に、全開認識位置を閉じ側に修正するものである。

図 8には、現在認識している全開認識位置および駆動停止位置が機構的な全開位置を超えている例を示す。この場合には、パックドア 1が駆動モーター Μによって駆動停止位置まで駆動されると、駆動機構の何れかの箇所に過大な力が作用することとなる。よつて、ドアヒンジ 1 a等が損傷するのを防止するために、現在認識している全開認識位置を閉じ側に修正する必要がある。

即ち、本学習態様 5では、バックドア 1の動作機構に過負荷判定手段を備えておき、当該過負荷判定手段が、前記全開認識位置の近傍の領域であって予め設定した領域において（# 1 ) 過負荷を検出したとき（# 2 ) 、全開位置記憶手段 5 aに、全開認識位置よりも閉じ側の位置を新たな全開認識位置と認識させる（# 3 ) ものである。具体的には、本実施形態においては、コント口一ラー 5において、「全開認識位置 =全開認識位置一 D」という式に基づく演算を行い、新たな全開認識位置を算出して全開位置記憶手段 5 aに記憶させる処理を行う。ここで、 Dは任意の正数であり、これらの値は通常は出荷時に予め設定しておく。

尚、前記過負荷判定手段としては、例えば、前記駆動モーター Mに設けた口一タリーエンコーダ一等で構成することができる。即ち、当該モ一ターの回転速度をモニターしておき、回転数が指令値に対して一定量低下したことで過負荷が作用していることを判定することができる。

本態様であれば、機構的な全開位置よりも開き側の位置を全開認識位置としている誤つた認識を適宜修正し、パックドア 1あるいは駆動機構等が損傷するのを有効に防止することができる。

[別実施の形態]

例えば、ワンボックス力一のパックドア 1には、通常、左右のエアダンパ一 3 0を備えており、全開位置でバックドア 1を支持するよう構成してある。開閉体上昇機構の一例であるこのエアダンパー 3 0は、バックドア 1が全開位置近傍にあるとき伸び方向に作用する。パックドア 1の開き動作に注目すると、正常な場合には、パックドア 1は先ず駆動モーター Mによって全開認識位置もしくは全開認識位置の一定量手前に設定した前記駆動停止位置まで開き駆動される。駆動モータ一 Mには、例えば、電磁カップリングを用いたクラッチを備えてあり、駆動停止と共に当該クラッチが断たれる。拘束を失つたパックドア 1は、エアダンパ一 3 0の伸ぴ力によって上方に開き動作し、機構的な全開位置で停止する。

一般に、バックドア 1の動きは前記駆動停止位置でピタリと静止するのが好ましい。し力し、現実には、機構的な全開位置よりも閉じ側に駆動停止位置を設定し、その後の一定量はエアダンパー 3 0等によって開き動作させることとして、駆動モータ一 Mによる過大な開き動作を防止している。このように、エアダンパー 3 0を設けることで、駆動モーター Mによる駆動を手前で止め、パックドア 1の損傷を防止しつつ、バックドア 1を機構的な全開位置まで確実に開き動作させることを可能としている。よって、上記のようなエアダンバ一 30による開き動作は必ず存在することになる。

そこで、本学習態様では、主に、このようなエアダンパー 30の開き動作を極力少なくして、パックドア 1の見栄えの良い開き動作を実現することを目的とする。

(学習態様 6)

このため、本学習態様では、例えば、図 9に示すごとく、駆動手段 3によるパックドァ 1の開き駆動が終了したのち（#1， 2) の一定時間 T(s)内（#3) に、パックドァ 1が開き側に一定量以上動作し（#4) 、かつ、パックドア 1の現在位置が全開認識位置よりも開き側の位置であるとき、即ち、「全開認識位置 <現在位置」のとき（#5)、現在位置を新たな全開認識位置と認識する（#6) ものである。ここで、一定時間 T(s) は、エアダンパー 30による開き動作に要する時間よりも長レヽ時間に設定する。

本態様であれば、駆動モータ一 Mによる開き動作とエアダンパー 30による開き動作とが混在しているバックドア 1であっても、機構的な全開位置の近傍まで駆動モータ一 Mによって開き動作させることができる。しかも、エアダンパー 30による開き動作のストロ一クを極力少なく設定できるため、バックドア 1の開き動作が滑らかで見栄えの良いものとなる。

(学習態様 7)

本学習態様を図 10に基づいて説明する。本態様の趣旨は、エアダンバ一30を用いる場合の態様であって、上記学習態様 1に対して学習態様 2を設けた趣旨と同じである。即ち、本態様では、駆動手段 3によるパックドア 1の開き駆動が終了したのち（#1， 2)の一定時間 T(s)内（#3)に、パックドア 1が開き側に一定量以上動作し（#4)、かつ、バックドア 1の現在位置が全開認識位置よりも開き側の位置であるとき、即ち、「全開認識位置 <現在位置」のとき（#5) 、当該現在位置と前記全開認識位置との間の位置を新たな全開認識位置とする（#6) ものである。ここでの #6の具体的処理は、前述の（学習態様 2) における # 2の処理と同様とすることができる。

本態様であれば、エアダンパー 30による開き駆動を利用したバックドア 1であっても、パックドア 1の全開認識位置を徐々に機構的な全開位置に近付けることができる。 (学習態様 8) 本学習態様を図 1 1に基づいて説明する。本態様は、エアダンパー 3 0を用いる場合の態様であって、全開認識位置が、機構的な全開位置に極めて近いか機構的な全開位置を超えている場合に、閉じ側に新たな全開認識位置を再設定することを目的とする。即ち、本態様では、駆動手段 3によるバックドア 1の開き駆動が終了したのち（# 1， 2 ) の一定時間 T ( s )内（# 3 ) に、バックドア 1が開き側に一定量以上動作しないとき（# 4 ) 、全開認識位置よりも閉じ側の位置を新たな全開認識位置と認識する（# 5 ) ものである。ここでの # 5の具体的処理は、前述の（学習態様 5 ) における # 3の処理と同様とすることができる。

尚、全開認識位置よりも閉じ側の位置とは、例えば、全開認識位置の初期値であったり、現在の全開認識位置よりも任意の量だけ閉じ側の位置をいうものとする。

図 1 1には、駆動モータ一 Mによる開き動作を終了したバックドア 1力エアダンバ一 3 0によって僅かに開き動作する例を示している。

エアダンパ一 3 0による開き量が前記一定量よりも少ない場合には、駆動モーター M の誤動作等によって、バックドア 1が機械的な全開位置を容易に超えてしまう場合がある。これを防止するために、上記態様のごとく、新たな全開認識位置を閉じ側に設定するのである。

尚、図 1 1に示した例の他に、現在の全開認識位置が、既にパックドア 1の機構的な全開位置を超えている場合も想定される。このような場合には、新たな全開認識位置を閉じ側に再設定することはいうまでもない。

(効果）

以上のごとく、本発明に係る開閉体の動構によれば、開閉体の駆動機構等を損傷することなく全開認識位置を機構的な全開位置に近付けることができる。つまり、全開認識位置を機構的な全開位置よりも大幅に閉じ側に設定しても、その後の全開位置の修正が容易となるから、開閉体の組立てを厳密に行う必要がなく、例えば、車両の組立ェ数を削減することができる。

また、開閉体の使用に伴って機構的な全開位置が変化した場合でも、全開認識位置を常に前記機構的な全開位置に近付けることができる。よって、駆動開き動作の終了後、短時間で開閉体が静止して、開閉体の開き動作が見栄えのよいものとなる。特に、駆動手段とエアダンパーとを併用している場合等には、両者による開き動作が二段階に分かれて見えることがなく、顕著な効果を得ることができる。産業上の利用可能' [4

本発明の開閉体の動構は、ワンボックスカーのパックドア、トランクのラッグ一ジドアやスライドドア等の通常の車両用ドア、さらに、一般の車庫の扉であって、上方に開き動作する方式の扉等に用いることが可能である。

Claims

請求の範囲

1. 開閉体（1) を開き駆動させる駆動手段 (3) と、

開閉体（1) の開き位置を検出する位置検出手段と、

開閉体（1) の全開位置を記憶する全開位置記憶手段（5 a) とを備えており、前記駆動手段 (3) によって前記開閉体（1) を開き駆動させる際、前記全開位置記憶手段（5 a) が記憶している全開認識位置もしくは当該全開認識位置から一定量だけ手前の位置で前記駆動手段 (3) を停止する開閉体（1) の動作機構であって、前記駆動手段（3) による開き駆動が終了したのちの開閉体（1) の現在位置が前記全開認識位置と異なるとき、前記全開位置記憶手段（5 a) が新たな全開認識位置を設定するように構成してある開閉体（1) の動作機構。

2. 前記現在位置が前記全開認識位置よりも開き側の位置であるとき、前記全開位置記憶手段（5 a) 力 S、前記現在位置を前記新たな全開認識位置と認識するように構成してある請求項 1に記載の開閉体（1) の動作機構。

3. 前記現在位置が前記全開認識位置よりも開き側の位置であるとき、前記全開位置記憶手段（5 a) 1 前記現在位置と前記全開認識位置との間の位置を前記新たな全開認識位置と認識するように構成してある請求項 1に記載の開閉体（1) の動作機構。

4. 前記全開位置記憶手段 (5 a) 力前記駆動手段（3) による開き駆動が終了したのち一定時間後の前記開閉体（1) の現在位置を、前記新たな全開認識位置と認識するように構成してある請求項 1に記載の開閉体（1) の動構。

5. 前記全開位置記憶手段（5 a) 力前記駆動手段 (3) による開き駆動が終了したのち一定時間後の前記開閉体（1) の位置と前記全開認識位置との間の位置を、前記新たな全開認識位置と認識するように構成してある請求項 1に記載の開閉体（1) の動作機構。

6. 前記開閉体（1) が過負荷判定手段を備えており、当該過負荷判定手段が、前記全開認識位置の近傍の領域であって予め設定した領域において過負荷を検出したとき、前記全開位置記憶手段 (5 a) 、前記全開認識位置よりも閉じ側の位置を前記新たな全開認識位置と認識するように構成してある請求項 1に記載の開閉体（ 1 )の動作機構。

7. 前記開閉体（1) を開方向に付勢する開閉体上昇機構（30) を備えており、前記駆動手段 (3) を停止した位置から前記開閉体（1) の機構的な全開位置まで開き動作させるよう構成してある請求項 1に記載の開閉体（1) の動構。

8. 前記駆動手段 (3) による開き駆動が終了したのちの一定時間内に、前記開閉体 (1) が開き側に一定量以上動作し、かつ、前記開閉体（1) の現在位置が前記全開認識位置よりも開き側の位置であるとき、当該現在位置を前記新たな全開認識位置と認識するように構成してある請求項 7に記載の開閉体（1) の動作機構。

9. 前記駆動手段（3) による開き駆動が終了したのちの一定時間内に、前記開閉体 (1) が開き側に一定量以上動作し、かつ、前記開閉体（1) の現在位置が前記全開認識位置よりも開き側の位置であるとき、当該現在位置と前記全開認識位置との間の位置を前記新たな全開認識位置と認識するように構成してある請求項 7に記載の開閉体（ 1 ) の動作機構。

10. 前記駆動手段（3) による開き駆動が終了したのちの一定時間内に、前記開閉体（1) 1 開き側に一定量以上動作しないとき、前記全開認識位置よりも閉じ側の位置を前記新たな全開認識位置と認識するように構成してある請求項 7に記載の開閉体 (1) の動作機構。