明細書
2一位が置換された光学活性カルボン酸の製造法 技術分野
本発明は、 医薬品等の製造中間体として重要な、 光学活性な 2—ヒ ドロキシカ ルボン酸、 光学活性な 2—クロロカルボン酸及び光学活性な 2—ァセチルチオ力 ルボン酸、 の製造法に関する。 背景技術
-般式 ( 1 )
(式中、 R 1は、 置換基を有していても良い炭素数 1から 1 2のアルキル基、,置 換基を有していても良い炭素数 6から 1 4のァリール基、 又は、 置換基を有して いても良い炭素数 7から 1 5のァラルキル基をあらわす) で表される光学活性な 2—ヒ ドロキシカルボン酸は医薬品の製造上重要な中間体であり (例えば、 B i o s c i . B i o t e c h. B i o c h em.' 60 (8), 1 2 7 9— 1 28 3, 1 9 96)、 その製造法としては、 例えば、 以下の方法が知られている。
( i ) L—フエ二ルァラニンをクロ口ホルム中において濃塩酸で処理することに より L—フエ二ルァラニン塩酸塩を取得した後、 L—フエ-ルァラニンと Lーフ ェニルァラニンに対して 4当量のプロ トン酸 (塩酸及び硫酸) とを含有する水溶 液 (プロ トン濃度は 1. 4mo l Zk g) を 2倍モルの亜硝酸ナトリウム水溶液 を用いて、 0°C下、 3時間処理することにより、 (2 S) _ 2—ヒ ドロキシ一 3 一フユニルプロピオン酸を合成する。 反応後は、 エーテルで抽出し、 次いで脱水 してから、 ェ一テル溶液-を濃縮し、 残渣をベンゼンで処理することにより、 (2 S) — 2—ヒドロキシー 3 _フエニルプロピオン酸を結晶として採取する (単離 収率 40%) ( J . Am e r . C h em. S o c ., 8 6, 5 3 2 6— 5 3 30,
1 9 64)。
( i i ) L—フエ-ルァラニンと L—フエ二ルァラニンに対して 4当量のプロ ト ン酸 (硫酸) とを含有する水溶液 (プロ トン濃度は 2. I mo l Zk g) 中に 4 倍モルの亜硝酸ナトリウム固体を、 0°C下、 5時間かけて添加した後、 徐々に室 温に暖め、 ー晚撹拌することにより、 ( 2 S) — 2—ヒ ドロキシー 3—フエニル プロピオン酸を合成する。 反応後は、 醉酸ェチルで複数回抽出し、 得られた抽出 液を飽和食塩水で洗浄し、 硫酸マグネシウムで脱水してから、 酢酸ェチル溶液を 濃縮し、 へキサンを加えて晶析することにより、 (2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3 —フエニルプロピオン酸を結晶として採取する (単離収率 5 0%) ( J . H e t e r o c y c l i c C h e m., 2 9, 4 3 1—4 3 8, 1 9 9 2)。
しかしながら、 本発明者らが上記 ( i ) の方法を追試した結果、 クロ口ホルム やベンゼンといった毒性の高い有機溶媒を使用することや反応収率自体が 42 % と極めて低いことなどの問題があることが分かった。
また、 上記 ( i i ) の方法についても追試した結果、 亜硝酸ナトリウム固体を 使用することや大量の有機溶媒や無機塩を使用することによる操作の煩雑さ、 容 量の増大といった問題があること、 反応収率自体 6 5%と低いことが分かった。 尚、 上記 ( i i ) の方法は、 多量の類縁物質 (桂皮酸) が副生して収率が低いこ とから、工業的規模で用いるのは極めて難しい方法であること力';、 B i o s c i . B i o t e c h. B i o c h em., 6 0 (8), 1 2 7 9— 1 2 8 3, 1 9 9 6 に記載されている。 , 更に、 上記の U ) 及び ( i i ) の方法においては、 ラセミ化により相当量の 光学異性体 ((2 R) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸) が副生し 光学純度が低下するといった問題もあることが分かった。
このような背景下、 光学活性 2—ヒ ドロキシ一 3 _フエニルプロピオン酸を製 造するための別法、 例えば、 ラセミの 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオ二 トリルを微生物を用いて不斉還元する方法 (例えば、 B i o s c B i o t e c h. B i o c h em., - 60 (8), 1 2 79— 1 2 8 3, 1 9 9 6ゃ特開平 6 一 2 3 7 7 8 9号公報) も提案されているが、 毒性の高いシァノ化合物を使用す ること、 生産性が低いこと、 更に、 充分な光学純度が得られないことから、 この
方法も工業的製法として必ずしも好ましいものではなかった c
2—位が塩素原子で置換された光学活性カルボン酸である、 一般式 (2)
(式中、 R1は前記に同じ) の製造法に関して、 従来、
( i ) アミノ酸を原料として亜硝酸ナトリゥムを用い立体配置を保持してクロ口 化する方法 (L i e b i g s An n. 1 907, 35 7, 1.)
( i i ) 2—ヒ ドロキシカルボン酸エステルを立体配置の反転を伴ってクロ口化 する方法 (特開昭 6 1— 57534号公報)
が知られている。
しかし、 ( i ) の方法では、 天然型 L—アミノ酸を原料として用いると 2—位 の立体配置が (S) の 2—クロロカルボン酸が得られるが、 2—位の立体配置が (R) の 2—クロロカルボン酸を製造する為には高価な非天然型 D—アミノ酸を 原料とする必要があり、 (R) の 2 _クロロカルボン酸を得るための方法として は限界がある。
( i i ) の方法では、 2—ヒ ドロキシカルボン酸を 2—ヒ ドロキシカルボン酸 エステルに誘導した後、 立体配置の反転を伴ってクロ口化し、 その後、 加水分解 して 2—クロロカルボン酸に誘導する必要があり、 工程数が多く効率的でない。 また、 一般式 (3)
Rl丫 C。2H (3)
SAc
(式中、 R1は前記に同じ) で表される光学活性な 2—ァセチルチオカルボン酸 は医薬品の製造上重要な中間体であり (例えば、 血圧降下剤中間体として特開平
8 - 3 3 7 5 2 7号公報)、 その製造法としては、 従来、
( i ) 非天然型 D—アミノ酸の立体保持ブロモ化反応を経由してチオアセチル化 する方法 (特開平 8— 3 3 7 5 2 7号公報等)
( i i ) ラセミの 2—ァセチルチオカルボン酸の光学分割による方法 (特開平 6 - 5 6 7 9 0号公報)
( i i i ) チアゾリン化合物を微生物で加水分解する方法 (特開平 1 1— 1 9 2 0 9 7号公報)
( i v ) ジ置換アクリル酸誘導体を微生物で立体選択的に還元する方法 (特開平 1 1 - 1 9 6 8 8 9号公報)
が知られている。
しかし、 ( i ) の方法では、 (S ) 体を製造しょうとすると、 高価な非天然型 D —アミノ酸を原料に用いる必要があり、 (S ) 体を製造するための方法としては 限界がある。
( i i ) の方法は、 ラセミの 2—ァセチルチオカルボン酸を光学分割するため、 効率が悪く工業的な利用に問題がある。
( i i i ) の方法は、 チォヒダントイン誘導体の加水分解により得られた 2— チォカルボン酸誘導体の光学純度が 8 2 % e eと低いため、 別途光学純度を高め る操作が必要となり工業的な利用に問題がある。
( i v ) の方法は、 メルカプトアクリル酸誘導体の不斉還元の収率が 6 0〜 7 0 %と低く、 また、 得られた 2—チォカルボン酸誘導体の光学純度が 9 0 % e e と低いため、別途光学純度を高める操作が必要となり工業的な利用に問題がある。 発明の開示
本発明は、 上記現状に鑑み、 医薬品等の製造上重要な光学活性 2—ヒ ドロキシ カルボン酸を操作性良く高収率で製造することを目的とするものである。
また、 本発明は、 上記現状に鑑み、 光学活性 2—ヒ ドロキシカルボン酸に共存 する類緣物質や光学異性体を効率的に除去し、 簡便且つ効率的に、 工業的規模で 単離又は精製することを目的とするものである。
更に、 本発明は、 上記現状に鑑み、 医薬品等の製造上重要な光学活性 2—クロ
ロカルボン酸を Lーァミノ酸等の入手容易な原料から、 高い光学純度で効率的に 製造することを目的とするものである。
また、 本発明は、 上記現状に鑑み、 医薬品等の製造上重要な光学活性 2—ァセ チルチオカルボン酸を L一アミノ酸等の入手容易な原料から、 高い光学純度で効 率的に製造することを目的とするものである。 すなわち、 本発明は、 一般式 (4 ) \ノ COフ H
丫 (4)
2
(式中、 R 1は、 置換基を有していても良い炭素数 1から 1 2のアルキル基、 置 換基を有していても良い炭素数 6から 1 4のァリール基、 又は、 置換基を有して いても良い炭素数 7から 1 5のァラルキル基をあらわす) で表される光学活桂な 2—アミノカルボン酸に、 水溶液中で、 亜硝酸塩及びプロ トン酸を作用させて、 一般式 (1 ) )
(式中、 R 1は前記に同じ) で表される光学活性な 2—ヒ ドロキシカルボン酸を 製造する方法であって、
該光学活性 2—ァミノカルボン酸と、 該光学活性 2—アミノカルボン酸に対して 1〜3当量のプロ トン酸とを含有しプロ トン濃度が 0 . 5〜2 m o l Z k gであ る水溶液に、 1 0〜8 0 °Cの温度で、 亜硝酸塩を添加して反応を行う、 光学活性 2—ヒ ドロキシカルボン酸の製造法である。
また本発明は、 上記一般式 (1 ) で表される光学活性な 2—ヒ ドロキシカルボ ン酸を、 t一ブチルメチルエーテル及び炭化水素系溶媒を用いて晶析する、 光学 活性 2—ヒ ドロキシカルボン酸の晶析法でもある。
更に、 本発明は、 上記一般式 (1 ) で表される光学活性な 2—ヒ ドロキシカル ボン酸を、 塩化チォニル及び塩基性化合物と作用させることにより、 2—位の立 体配置の反転を伴って塩素化する、 一般式 (5 ) (5)
(式中、 R 1は前記に同じ。) で表される光学活性な 2—クロロカルボン酸ク'口 リ ドを製造する方法である。
また、 本発明は、 上記一般式 (1 ) で表される光学活性な 2—ヒ ドロキシカル ボン酸を、 塩化チォニル及び塩基性化合物と作用させて、 2—位の立体配置の反 転を伴って塩素化することにより、 上記一般式 (5 ) で表される光学活性な 2— クロロカルボン酸ク口リ ドを得た後に、 得られた該酸ク口リ ドを加水分解する、 一般式 (2 )
(式中、 R 1は前記に同じ。) で表される光学活性な 2—クロロカルボン酸を製 造する方法である。
更に、 本発明は、 上記一般式 (2 ) で表される光学活性な 2 _クロロカルボン 酸を、 チォ酢酸塩と反応させることにより、 2—位の立体配置の反転を伴ってァ セチルチオ化する、 一般式 (3 )
(式中、 R 1は前記に同じ) で表される光学活性な 2—ァセチルチオカルボン酸 を製造する方法である。
以下、 本発明を詳述する。 本明細書は、 以下に示す反応 (a ) 〜 (c) を含む:
(a ) 一般式 (4) で表される光学活性な 2—アミノカルボン酸を一般式 (1) で表される光学活性な 2 _ヒ ドロキシカルボン酸に変換する反応、
(b) 光学活性な 2—ヒ ドロキシカルボン酸 (1 ) を一般式 (5) で表される光 学活性な 2—クロロカルボン酸クロリ ドに変換する反応、 及び、 光学活性な 2— クロロカルボン酸クロリ ド (5) を、 一般式 (2) で表される光学活性な 2—ク ロロカルボン酸に変換する反応、 並びに
(c) 更に、 光学活性な 2—クロロカルボン酸 (2) を一般式 (3) で表される 光学活性な 2—ァセチルチオカルボン酸に変換する反応。
(a) (b) (c) 加えて、 本明細書は、 一般式 (1) で表される光学活性な 2—ヒ ドロキシカル ボン酸を晶析する方法も含む。
これらを、 以下順を追って詳細に説明する。
1. 反応 (a )
本発明の反応 (a) においては、 光学活性 2—ァミノカルボン酸 (4) に、 亜 硝酸塩及びプロ トン酸を作用させて、 光学活性 2—ヒ ドロキシカルボン酸 (1 ) を合成する。
上記一般式 (4) 又は (1 ) において、 R1は、 置換基を有していても良い炭 素数 1から 1 2のアルキル基、 置換基を有していても良い炭素数 6から 1 4のァ リール基、 又は、 置換基を有していても良い炭素数 7から 1 5のァラルキル基を あらわす。 具体的には、 メチル基、 ェチル基、 イソプロピル基、 t e r t—プチ ル基、 n—ォクチル基、 ヒ ドロキシメチノレ基、 フエニル基、 p—ヒ ドロキシフエ
ニル基、 ベンジル基、 p—クロ口べンジル基、 p—フルォロベンジル基、 ナフチ ル基等を挙げることが出来るが、 これらに限定されるものではない。 好ましくは 置換基を有していても良い炭素数 7から 1 5のァラルキル基であり、 より好まし くはべンジル基である。
R 1が有していても良い置換基としては、 メ トキシ基、 エトキシ基、 t e r t —ブチルォキシ基、 n—ォクチルォキシ基等の炭素数 1から 1 2のアルコキシ基、 フエニルォキシ基、 p—ヒ ドロキシフエニルォキシ基等の炭素数 6から 1 4のァ リールォキシ基、 ベンジ/レオキシ基、 p—クロ口べンジルォキシ基、 p—フルォ 口ベンジルォキシ基等の炭素数 7から 1 5のァラルキルォキシ基、 ァセチル基、 ベンゾィル基等の炭素数 1から 1 5のァシル基、 ハロゲン原子、 水酸基等が挙げ られる。
R 1がァリール基又はァラルキル基である場合、 そのフエエル基上の置換基と しては特に制限されず、 例えば、 フッ素原子、 塩素原子等のハロゲン原子、 水酸 基、 メチル基、 イソプロピル基等の炭素数 1〜 1 2のアルキル基、 ベンジル基等 の炭素数 7〜 1 5のァラルキル基、フエニル基等の炭素数 6〜 1 4のァリール基、 メ トキシ基、 イソプロピルォキシ基等の炭素数 1〜 1 2のアルコキシ基、 ベンジ ルォキシ基等の炭素数 7〜 1 5のァラルキルォキシ基、 フエニルォキシ基等の炭 素数 6〜 1 4のァリールォキシ基、 ァセチル基、 ベンゾィル基等の炭素数 1 1 5のァシル基等を挙げることができるが、 なかでも、 ハロゲン原子が好適に用い られる。 これらの置換位置は、 特に制限ないが、 p位が一般的である。 また、 フ ェ二ル基は上記置換基によつて複数置換されていてもよいが、 一置換であるのが 一般的である。
本発明の反応 (a ) においては、 光学活性 2—アミノカルボン酸 (4 ) が (S ) 体である場合、 得られる光学活性 2—ヒ ドロキシカルボン酸 (1 ) は ( S ) 体が 優勢であり、 光学活性 2—アミノカルボン酸 (4 ) 力 ( R ) 体である場合、 得ら れる光学活性 2—ヒ ドロキシカルボン酸 (1 ) は (R ) 体が優勢である。
本発明の反応 (a ) は水溶液中で実施される。 一般に、 水中で好適に実施され るが、 悪影響のない範囲で、 有機溶媒が共存していてもよい。
本発明の反応 (a ) において使用する亜硝酸塩としては、 特に制限されないが、
例えば、 亜硝酸ナトリウム、 亜硝酸カリウム、 亜硝酸リチウム、 亜硝酸セシウム 等の亜硝酸アルカリ金属塩等を挙げることができる。 好ましくは、 亜硝酸ナ^リ ゥムである。 上記亜硝酸塩は、 水溶液 (例えば、 20〜40重量%亜硝酸ナトリ ゥム水溶液等) として使用するのが特に好適である。
本発明の反応 (a) において使用するプロ トン酸としては、 例えば、 硫酸、 塩 酸、 硝酸等の無機酸や、 酢酸、 クェン酸等の有機酸を挙げることができる。 一般 に、 無機酸を使用するのが簡便であるため好ましく、 なかでも、 副生物を抑制す るとともに高い反応収率を得る上では、 硫酸が最も好適である。 上記プロ トン酸 は、 水溶液として使用することもできる。
本発明の反応 (a) においては、 光学活性 2—アミノカルボン酸 (4) 及びプ 口 トン酸を含有する水溶液に、 上記亜硝酸塩を添加して反応を行う。
この際、 該光学活性 2—アミノカルボン酸 (4) に対して、 1〜3当量のプロ トン酸を使用するが、 2〜3当量のプロ トン酸を使用するのが好ましい。 また、 該光学活性 2—ァミノカルボン酸 (4) とプロ トン酸とを含有する水溶液のプロ トン濃度 (規定度) は 0. 5〜2mo l Zk gである力;、 l〜2mo l Zk gが 好ましい。 プロ トン酸の量及び濃度が充分でないと目的物の光学純度が低下する 傾向があり、プロ トン酸の量及び濃度が大きすぎると収率が低下する傾向がある。 上述のプロ トン濃度 (規定度) は、 下記式 1 ;
プロ トン濃度 (規定度) = (プロ トン酸のモル数 Xイオン価数) /反応系に存 在する水量 (mo 1 /k g)
で表される。 尚、 イオン価数とは、 プロ トン酸の陰イオンのイオン価の絶対値で ある。 従って、 上記式 1に従えば、 例えば、 水 l k gに対して、 硫酸 9 8 g ( 1 mo 1 ) を含有する場合、 この溶液のプロ トン濃度 (規定度) は 2mo l Zk g
t となる。
亜硝酸塩の使用量は、 上記光学活性 2—ァミノカルボン酸 (4) に対して、 1 倍モル以上、 好ましくは 2倍モル以上であり、 普通 2〜 4倍モルで好適に実施す ることができる。亜硝酸塩の添加は、連続的に或いは分割して行うのが好ましい。 この場合、 亜硝酸塩の添加速度としては、 1時間当たり、 上記光学活性 2—アミ ノカルボン酸 (4) 1モルに対して 0. 2〜1. 5倍モル、 好ましくは 0. 2 5
〜 1. 0倍モル、 より好ましくは 0. 3〜0. 7倍モルである。 添加速度が速す ぎても遅すぎても、 収率が低下する傾向がある。
亜硝酸塩の添加及びその後の反応は、 1 0〜80°Cで実施される。好ましくは、 1 5〜6 0°Cであり、 より好ましくは 2 0〜5 0°Cである。 上記温度が低すぎる と収率が低下したり、 反応液が固化する傾向があり、 上記温度が高すぎると収率 や光学純度が低下する傾向がある。
反応濃度は、 上記光学活性 2—ァミノカルボン酸 (4) の種類等により異 る ので一律に規定できないが、 反応終了時の反応液容量に対する上記光学活性 2— アミノカルボン酸 (4) の使用量(重量) として、 例えば、 下限は普通 1 wZv% 以上、 好ましくは 3 w/v%以上であり、 上限は、 3 0wZv%以下、 好ましく は 20 w/v%以下である。 一般に、 例えば 3〜20wZv%、 より好ましくは 5〜 1 5 wZv%、 とりわけ 8 ± 2 wZv%程度で好適に実施できる。
反応の進行は、 HP LC等で追跡することができる。 一般に、 反応は、 亜硝酸 塩の添加終了後 24時間以内に完了する。
反応終了後、 反応液から生成物を取得するためには、 一般的な後処理を行えば よい。 例えば、 反応終了後の反応液に、 酢酸ェチル、 ジェチルエーテル、 塩化メ チレン、 トルエン、 へキサン等の一般的な抽出溶媒を用いて抽出操作を行う。 得 られた抽出液から、 減圧加熱等の操作により反応溶媒および抽出溶媒を留去する と、 目的物が得られる。 このようにして得られる目的物は、 ほぼ純粋なものであ るが、 晶析精製、 分別蒸留、 カラムクロマトグラフィー等の一般的な手法により 精製を加え、 さらに純度を高めてもよい。
本発明の反応 (a) を用いれば、 非常に高い反応収率かつ光学純度で、 目的物 を製造することができる。 2. 光学活性な 2—ヒ ドロキシカルボン酸 ( 1 ) の晶析方法
光学活性な 2—アミノカルボン酸 (4) に、 水溶液中で、 亜硝酸塩及びプロ ト ン酸を作用させて、 光学活性な 2—ヒ ドロキシカルボン酸 (1) を製造する方法 においては、 目的とする 2—ヒ ドロキシカルボン酸 (1 ) 以外に、 対応する α,
f
]3—不飽和カルボン酸 (例えば、 フエニル基が置換されていても良い桂皮酸等)
等の類縁物質や光学異性体等の不純物が副生することが多い。 ' これらの不純物を除去して、 簡便且つ効率的に上記光学活性 2—ヒ ドロキシカ ルボン酸 (1 ) を単離又は精製するために、 本発明の晶析方法においては、 t — ブチルメチルエーテル及び炭化水素系溶媒を用いて晶析する。 t—プチルメチル エーテルの使用は、 収率向上、 品質向上に大きく寄与する。
上記炭化水素系溶媒としては、 脂肪族炭化水素或いは芳香族炭化水素を挙げる ことができる。 脂肪族炭化水素としては、 特に制限されないが、 例えば、 炭素数 5〜1 2の鎖状又は環状の脂肪族炭化水素を好適に用いることができる。 具体的 には、 へキサン、 ヘプタン、 オクタン、 デカン、 シクロへキサン、 メチルシクロ へキサン、 ェチルシクロへキサン等を挙げることができるが、 好ましくは、 へキ サン、 ヘプタン、 メチルシクロへキサンである。 芳香族炭化水素としては、 特に 制限されないが、 例えば、 炭素数 6〜1 2の単環性の芳香族炭化水素を好適に用 いることができる。 具体的には、 ベンゼン、 トルエン、 キシレン、 ェチルベンゼ ン等を挙げることができるが、 好ましくは、 トルエンである。 晶析収率の観点か ら、 脂肪族炭化水素を用いるのが特に好ましい。 炭化水素系溶媒としては 1種類 のみを用いてもよいし、 数種類を併用してもよい。
上記炭化水素系溶媒と t一ブチルメチルエーテルの割合は、 炭化水素系溶媒に 対する t—ブチルメチルエーテルの容量比として、 一般に 1以下、 好ましくは 2 / 3以下、 より好ましくは 1 / 2以下であり、 又、 一般に 1 / 3 0以上、 好まし くは 1 / 2 0以上、 より好ましくは 1 Z 1 0以上であるが、 上記光学活性 2—ヒ ドロキシカルボン酸 (1 ) の溶解度、 処理濃度、 精製効果 (不純物除去効果) 及 び得られる結晶の物性を勘案して、 適宜、 変量させることができる。
本発明の晶析法としては、 特に限定されないが、 例えば、 冷却晶析法、 濃 晶 析法、 溶媒置換を用いる晶析法 (例えば、 t一プチルメチルェ一テルからなる溶 液を上記炭化水素系溶媒からなる溶液に置換していく晶析法)、 t—プチルメチ ルエーテルからなる溶液に上記炭化水素系溶媒を添加することによる晶析法、 上 記炭化水素系溶媒に t一ブチルメチルエーテルからなる溶液を添加することによ る晶析法等を用レ、ることができる。 これらの晶析法を組み合わせて実施するのも 好ましい。
なかでも好ましい方法は、 光学活性 2—ヒ ドロキシカルボン酸 (1 ) を含有す る t一ブチルメチルエーテル溶液に炭化水素系溶媒を添加して晶析を行う方法と、 光学活性 2—ヒ ドロキシカルボン酸 (1 ) を含有する t一ブチルメチルエーテル 溶液を炭化水素系溶媒に添加して晶析を行う方法である。 特に、 光学活性 2—ヒ ドロキシカルボン酸 (1 ) を含有する t一ブチルメチルエーテル溶液に、 炭化水 素系溶媒を添加して晶析するのが好適である。 , 光学活性 2—ヒ ドロキシカルボン酸 ( 1 ) として、 好ましくは R 1が芳香環に 置換基を有していてもよいべンジル基であり、 なかでも最も好ましくは光学活性 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸ゃ光学活性 2—ヒ ドロキシ一 3— ( p—ハロフエニル) プロピオン酸である。
本発明の晶析は、 上述の反応により得られた光学活性 2—ヒ ドロキシカルボン 酸 (1 ) を含む水溶液から、 t一ブチルメチルエーテルを用いて得られた抽出液 (さらにそれを洗浄した液も含む)又はその濃縮液を用レ、て行うのが好適である。 晶析濃度は、 特に制限されないが、 溶剤容量に対する上記光学活性 2—ヒドロ キシカルボン酸 ( 1 ) の重量として、 一般に 2〜3 0 wZ v %、 好ましくは 5 ~ 2 0 w/ V %である。
晶析温度は、 特に制限されないが、 得られる結晶の物性や品質の観点から、' 3 0 °C以上であるのが好ましい。
晶析に際しては、 必要に応じ、 種晶を添加することができる。
本発明の晶析方法で得られる光学活性 2—ヒ ドロキシカルボン酸( 1 )結晶は、 遠心分離、 加圧濾過、 減圧濾過等の一般的な固液分離法を用いて結晶を採取する ことができる。 尚、 結晶の採取に際しては、 晶析液を最終的に 1 0 °C以下に冷却 して晶出量を最大化することができる。 得られた結晶は、 更に、 必要に応じ、 例 えば減圧 (真空) 乾燥することにより乾燥結晶として取得することができる。 本発明の晶析法は、 再結晶法として利用することができるし、 反応液からの単 離方法としても利用することができる。
本発明の晶析方法を用いれば、 非常に高い晶析収率で、 高品質の目的物を得る ことができる。 '
3. 反応 (b)
本発明の反応 (b) は、 上記一般式 (1) で表される光学活性な 2—ヒ ドロキ シカルボン酸を、 塩化チォニル及び塩基性化合物と作用させることにより、 2— 位の立体配置の反転を伴って塩素化し、 上記一般式 (5) で表される光学活性な 2—クロロカルボン酸クロリ ドに変換する工程、 更にこの光学活性な 2 _クロ口 カルボン酸クロリ ド (5) を加水分解することにより、 上記一般式 (2) で表さ れる光学活性な 2—クロロカルボン酸に導く工程を含む。
上記一般式 (1)、 (5) 又は (2) において、 R1は上記と同じである。 好ま しくはべンジル基である。
本発明の反応 (b) において一般式 (1) における 2—位の立体配置は反転す る。 すなわち、 上記一般式 (1) における 2—位の立体配置が (S) であるとき、 一般式 (5) 及び (2) における 2—位の立体配置は (R) であり、 又、 一般式
(1) における 2—位の立体配置が (R) であるとき、 一般式 (5) 及び (2) における 2—位の立体配置は (S) である。 一般式 (1) における 2—位の立体 配置は (R) 又は (S) のいずれでもよいが、 好ましくは (S) である。
また本発明の反応 (b) の反転塩素化反応における立体反転率は 95%以上で あることが好ましい。 ここでいう立体反転率とは、 原料 [2—ヒ ドロキシカルボ ン酸 (1)] の鏡像体過剰率 (%e e) に対する、 逆の立体配置を有する生成物 [2—クロロカルボン酸クロリ ド (5) 又は 2—クロロカルボン酸 (2)] の鏡 像体過剰率 (%e e) の比で表される。
本発明の反応 (b) において、 光学活性な 2—ヒ ドロキシカルボン酸 (1) に 対する塩化チォニルの使用量は、 普通、 2倍モル量以上であるが、 原料あるいは 生成物の分解、 ラセミ化等を抑制し、 収率を最大化するためには、 更に過剰量使 用するのが好ましい。 従って、 本発明の反応 (b) における塩化チォニルの使用 量は、 一般式 (1) で表される光学活性な 2—ヒ ドロキシカルボン酸に対して、 一般に 2倍モル量以上であるが、 本発明の効果を最大に発揮するためには 2. 5 倍モル量以上、 好ましくは 3倍モル量以上である。
本発明の反応 (b) において、 使用する塩基性化合物としては特に限定されな いが、 好ましくは、 有機塩基、 アミ ド基含有化合物、 4級アンモニゥムハロゲン
化物が挙げられる。
上記有機塩基としてはアルキルァミン、 ァラルキルァミン、 ァリールアミン及 び芳香族ァミンがあげられ、 具体的には、 トリェチルァミン、 トリブチルァミン、 ェチルジイソプロピルァミン、 N—メチル一 2—ピロリジン、 ジメチルァニリン、 イミダゾール、 ピリジン、 ルチジン等を挙げることが出来るが、 これらに限定さ れるものではない。 好ましくは、 トリェチルァミン、 ジイソプロピルェチルアミ ン、 ピリジンである。
また、 上記アミ ド基含有化合物としては、 具体的には、 ジメチルホルムアミ ド、 ジメチルァセトアミ ド、 テトラメチル尿素、 N—メチル一 2—ピロリ ドン、 へキ サメチル憐酸トリアミ ド等を挙げることが出来るが、 これらに限定されるもので はない。 好ましくは、 ジメチルホルムアミ ド、 N—メチル一 2—ピロリ ドンであ る。
また、 上記 4級アンモニゥムハロゲン化物としては、 具体的には、 塩化テトラ メチルアンモニゥム、 塩化テトラェチルアンモニゥム、 塩化テトラ n—ブチルァ ンモニゥム、 塩化べンジルトリメチルアンモニゥム、 塩化べンジルトリ n—ブチ ルアンモニゥム、 臭化テトラメチルアンモニゥム、 臭化テトラェチルアンモニゥ ム、臭化テトラ n—ブチルアンモニゥム、臭化ベンジルトリメチルアンモニゥム、 臭化ベンジルトリ n _プチルアンモニゥム等を挙げることが出来るが、 これらに 限定されるものではない。 好ましくは、 塩化テトラ n—ブチルアンモニゥムであ る。
上記塩基性化合物のうち、 一般にアミ ド基含有化合物が好ましい。 中でもジメ チルホルムアミ ド、 N—メチル一 2—ピロリ ドン等が好適に用いられる。
本発明の反応 (b ) において、 上記塩基性化合物の使用量は一般式 (1 ) で表 される光学活性な 2—ヒ ドロキシカルボン酸に対して、 化学量論量以上を用いる こともできる力;、 好ましくは 0 . 5倍モル量以下である。 普通、 約 0 . 1〜0 . 5倍モル量で好適に実施できる。
本発明の反応 (b ) において用いられる反応溶媒は、 非プロ トン性有機溶媒が 好ましい。 非プロ トン性有機溶媒としては特に限定されず、 例えば、 n—へキサ ン、 メチルシクロへキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、 トルエン、 キ
シレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジェチルエーテル、 テトラヒ ドロフラン、 1 , 4—ジォキサン、 t一ブチルメチルエーテル、 ジメ トキシェタン、 エチレングリ コールジメチルェ一テル等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、 クロ口ホルム、 1, 1 , 1— トリクロロェタン等のハロゲン系溶媒;ァセトニトリル、 ジメチルホル ムアミ ド、 ジメチルァセ トアミ ド、 ジェチルァセ トアミ ド、 ジメチルブチルアミ ド、 N—メチルー 2—ピロリ ドン、 へキサメチル燐酸トリアミ ド等の含窒素系溶 媒等を挙げることが出来る。 これらは単独で用いても良く、 2種類以上を併用し てもよい。
特に、 ジェチルエーテル、 テトラヒ ドロフラン、 1, 4—ジォキサン、 t—ブ チルメチルエーテル、 ジメ トキシェタン、 エチレングリコールジメチルエーテル 等のエーテル系溶媒あるいはベンゼン、 トルエン、 キシレン等の芳香族炭化水素 系溶媒を用いると、 高い立体反転率かつ高い収率で反応が進行し、 光学活性な 2 —ヒ ドロキシカルボン酸 ( 1 ) から光学活性な 2—クロロカルボン酸クロリ ド ( 5 ) を高い光学純度で得ることが出来る。 なかでもテトラヒ ドロフラン、 ジメ トキシェタン、 1, 4一ジォキサン、 トルエンが好ましく、 とりわけテトラヒ ド 口フラン、 トルエンが好ましい。
その反応温度としては、一 2 0 °Cから 1 2 0 °Cが好ましく、より好ましくは 0 °C から 8 0 °Cであり、 とりわけ 2 0 °Cから 6 0 °Cが最も好ましい。
その反応濃度としては、 特に限定されないが、 溶媒量に対して一般式 (1 ) で 表される光学活性な 2—ヒ ドロキシカルボン酸量で 5 wZ v O/o以上、 好ましくは 1 0 wZ v %以上である。
本発明の反応 (b ) において反応手順は特に限定されないが、 例えば、 光学活 性な 2—ヒ ドロキシカルボン酸 ( 1 ) の溶液に塩化チォニルを加え、 数時間攪拌 する。 しかる後に上記塩基性化合物を加えた後に、 数時間攪拌することで光学活 性な 2—クロロカルボン酸クロリ ド (5 ) が得られる。 光学活性な 2—クロロカ ルボン酸クロリ ド (5 ) は、 例えば、 該反応液から溶媒を蒸発させた後、 濃縮液 を減圧蒸留することによ-り単離できる。
さらに、 光学活性な 2—クロロカルボン酸クロリ ド (5 ) を加水分解すること により、 光学活性な 2—クロロカルボン酸 (2 ) に変換できる。
上記加水分解反応は、 通常、 光学活性な 2—クロロカルボン酸クロリ ド (5 ) を含む上記反応液又は溶液に、 室温又は室温以下で水を加え、 数分〜数時間攪拌 することにより実施できる。
この反応液から生成物を取得するためには、 一般的な後処理を行えばよい。 例 えば、 加水分解反応終了後の反応液に、 酢酸ェチル、 ジェチルエーテル、 塩ィ メ チレン、 トルエン、 へキサン等の一般的な抽出溶媒を用いて抽出操作を行う。 得 られた抽出液から、 減圧加熱等の操作により反応溶媒および抽出溶媒を留去する と、 光学活性な 2—クロロカルボン酸 (2 ) が得られる。
また、 加水分解をすることなく、 濃縮、 蒸留等の操作により光学活性な 2—ク ロロカルボン酸クロリ ド (5 ) を一旦取得した後、 加水分解反応以降の操作を行 つてもよレヽ。
さらに、 光学活性な 2—クロロカルボン酸 (2 ) の抽出に際しては、 少なくと も 1回、 中性〜塩基性条件下、 光学活性な 2—クロロカルボン酸 (2 ) を水相に 分配して、 有機溶媒中に夾雑物を除去する操作を行ってもよい。 また、最終的に、 酸性条件下、 光学活性な 2—クロロカルボン酸 (2 ) を有機溶媒中に分配して、 中和により生じる塩等を含む夾雑物を水相に除去する操作を行ってもよい。 の ようにして得られる生成物は、 ほぼ純粋なものであるが、 晶析精製、 分別蒸留、 カラムクロマトグラフィー等の一般的な手法により精製を加え、 さらに純度を高 めてもよい。
4 . 反応 (c )
本発明の反応 (c ) は、 上記一般式 (2 ) で表される光学活性な 2—クロロカ ルボン酸を、 チォ酢酸塩と反応させることにより、 2 _位の立体配置の反転を伴 つてァセチルチオ化して、 一般式 (3 ) で表される光学活性な 2 _ァセチルチオ カルボン酸を調製することからなる。
上記一般式 (2 ) 又は (3 ) において、 R 1は上記と同じである。 好ましくは ベンジル基である。 - 本発明の反応 (c ) において一般式 (2 ) における 2—位の立体配置は反転す る、 すなわち、 上記一般式 (2 ) における 2—位の立体配置が (S ) であるとき、
一般式 (3) における 2—位の立体配置は (R) であり、 又、 一般式 (2) にお ける 2—位の立体配置が (R) であるとき、 一般式 (3) における 2—位の立体 配置は (S) である。 一般式 (2) における 2—位の立体配置は (R) 又は (S) のいずれでもよいが、 好ましくは (R) である。
また、 本発明の反応 (c ) における立体反転率は 9 5%以上であることが好ま しい。 ここでいう立体反転率とは、 原料 [2—クロロカルボン酸 (2)] の鏡像 体過剰率 (%e e) に対する、 逆の立体配置を有する生成物 [2—ァセチルチオ カルボン酸 (3)] の鏡像体過剰率 (%e e) の比で表される。
本発明の反応 (c) において、 チォ酢酸塩としては、 特に限定されないが、 チ ォ酢酸と塩基との塩を挙げることができ、 好ましくは、 チォ酢酸ナトリウム、'チ ォ酢酸カリウム、 チォ酢酸リチウム、 チォ酢酸セシウム等のチォ酢酸アルカリ金 属塩である。 中でも、 チォ酢酸カリウムが好適に用いられる。
また、 チォ酢酸と塩基 (例えばアルカリ金属の水酸化物、 水素化物、 アルコキ シド等) を用いて反応系中でチォ酢酸塩を調製し反応をおこなってもよい。 上記 アルカリ金属の水酸化物としては水酸化リチウム、 水酸化ナトリウム、 水酸化力 リウム等を挙げることが出来る力 これらに限定されるものではない。 好ましく は、 水酸化カリウムである。 上記アルカリ金属の水素化物としては水素化リチウ ム、 水素化ナトリウム、 水素化カリウム等を挙げることが出来るが、 これらに限 定されるものではない。 好ましくは、 水素化カリウムである。 上記アルカリ金属 のアルコキシドとしてはリチウムメ トキシド、 ナトリ ゥムメ トキシド、 カリウム メ トキシド等を挙げることが出来るが、 これらに限定されるものではない。 女ネま しくは、 カリウムメ トキシドである。
本発明の反応 (c) において、 チォ酢酸塩の使用量は一般式 (2) で表される 光学活性な 2—クロロカルボン酸に対して、 1から 5倍当量であり、 好ましくは 1から 2倍当量である。
本発明の反応 (c) においては、 該反応を、 極性非プロ トン性化合物の存在下 で行うことが好ましい。 上記極性非プロ トン性化合物としては特に限定されず、 例えば、 テトラヒ ドロフラン、 1, 4—ジォキサン、 ジメ トキシェタン、 ェチレ ングリコールジメチルエーテル等の水溶性エーテル系化合物;酢酸ェチル、 酢酸
ブチル等のエステル系化合物;アセトン、 メチルェチルケトン等のケトン系化合 物 ;塩ィ匕メチレン、 クロロホノレム、 1 , 1 , 1— トリクロロェタン等のハロゲン 系化合物; ジメチルスルホキシド等の含硫黄系化合物;ァセトニトリル、 ジメチ ルホルムアミ ド、 ジメチルァセトアミ ド、 ジェチルァセ トアミ ド、 ジメチルズチ ルアミ ド、 N—メチルー 2 _ピロリ ドン、 へキサメチル燐酸トリアミ ド等の含窒 素系化合物等が挙げられる。 これらは単独で用いても良く、 2種類以上を併用し てもよい。 なかでも、 水溶性エーテル系化合物、 エステル系化合物、 ケトン系化 合物、 含硫黄系化合物、 含窒素系化合物が好ましく用いられる。 具体的には、 誘 電率 1 5以上かつ双極子モーメント 2 . 5 D以上の極性非プロ トン性化合物が好 ましい。 そのなかでも、上述の含窒素系化合物であって液状のものが好適である。 とりわけ、 反応収率及び立体反転率等の観点から、 アミ ド基含有液状化合物が好 適であり、 具体的には、 ジメチルホルムアミ ド、 ジメチルァセトアミ ド、 ジェチ ルァセトアミ ド、 ジメチルブチルアミ ド、 N—メチル一 2—ピロリ ドンが好まし い。
このような極性非プロ トン性化合物を反応系中に存在させるには、 該化合物の うち液状のものをチオアセチル化における反応溶媒として用いても良いし、また、 該化合物のうち固体のものを水及び Z又は下記その他の有機溶媒に溶解させて存 在させても良い。 このうち、 反応溶媒として用いることが簡便である。 極性非プ 口 トン性化合物を反応溶媒として用いる場合、 反応溶媒は極性非プロ トン性化合 物単独でも艮いし、 水及び Z又は下記その他の有機溶媒との混合溶媒でも良い。 本発明の反応 (c ) において用いられる反応溶媒は、 一般に、 水、 有機溶媒、 又は、 それらからなる混合溶媒である。 上記有機溶媒には上記極性非プロ トン性 化合物が含まれるが、 それ以外の有機溶媒としては特に限定されず、 例えば、 メ タノ一ノレ、 エタノーノレ、 ブタノーノレ、 イソプロノ、。ノ一ノレ、 エチレングリ コーノレ、 メ トキシアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、 トルエン、 n—へキサン、 シク口へキサン等の炭化水素系溶媒;ジェチルエーテル、 ジィソプロピルェ テ ル、 ジブチルエーテル、 -t一ブチルメチルエーテル等の非水溶性エーテル系溶媒 等を挙げることが出来る。 これらは単独で用いても良く、 2種類以上を併用して もよい。
また、 反応収率が低い溶媒などでは、 収率向上を狙いとして、 相間移動触媒を 用いることもできる。 使用する相間移動触媒としては、 特に限定されないが、 例 えば、 1 2—クラウン一 4、 1 5—クラウン一 5、 1 8—クラウン一 6、 24— クラゥンー 8、 ジベンゾー 1 8—クラゥン一 6、 ジベンゾー 24—クラウン一 8、 ジシクロへキシルー 1 8—クラウン一 6、 ジシクロへキシノレ一 24—クラウン一 8等のクラウンエーテル類; ク リプタンド [2, 2]、 ク リプタンド [2, 1 , 1]、 クリプタンド [2, 2, 1]、 ク リプタンド [2, 2, 2]、 タリブタンド [2 B, 2, 2] 等のクリプタンド類; トリオクチルメチルアンモニゥムクロリ ド (商品名 : AL I QUAT 336)、 トリオクチルメチルアンモニゥムブロ ミ ド、 メチルトリアルキル(炭素数 8から 10) アンモニゥムクロリ ド(商品名 : Ad o g e n 464) 等の 4級アンモニゥム塩が挙げられる。 上記相間移動触 媒のうち、 一般に 4級アンモニゥム塩が好ましく、 中でもトリオクチルメチルァ ンモニゥムクロリ ドが好適に用いられる。
相間移動触媒の使用量は、 特に限定されないが、 一般に、 一般式 (2) で表さ れる光学活性な 2—クロロカルボン酸に対して 0.05から 5モル。 /0が好ましく、 より好ましくは 0. 3から 1モル%である。
その反応温度としては、一 20°Cから 1 20°Cが好ましく、より好ましくは 0°C から 50°Cである。
反応終了後、 反応液から生成物を取得するためには、 一般的な後処理を行えば よレ、。 例えば、 反応終了後の反応液に水を加え、 酢酸ェチル、 ジェチルエーテル、 塩化メチレン、 トルエン、 へキサン等の一般的な抽出溶媒を用いて抽出操作を行 う。 得られた抽出液から、 減圧加熱等の操作により反応溶媒および抽出溶媒を留 去すると、 目的物が得られる。 また、 反応終了後、 直ちに減圧加熱等の操作によ り反応溶媒を留去してから同様の操作を行ってもよい。 このようにして得られる 目的物は、 ほぼ純粋なものであるが、 晶析精製、 分別蒸留、 カラムクロマトグラ フィ一等の一般的な手法により精製を加え、 さらに純度を高めてもよい。 発明を実施するための最良の形態
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、 本発明はこれら実施
例のみに限定されるものではない。 以下において、 2—ヒ ドロキシー 3—フエニルプロピオン酸の定量、 及び 2— ヒ ドロキシー 3— (p—フルオロフェニル) プロピオン酸の見かけ純度測定は、 以下の分析系を用いて行った。
[カラム 野村化学製 D e v e l o s i l OD S— HG— 3 1 5 OmmX 4. 6 mm I . D.、 移動相: 0. 1 w t/v%リン酸水 Zァセトニトリノレ= 7 5 25, 流速: 1. Om l /m i n、 検出: UV 2 1 0 nm、 カラム温度: 40。C、 保持時間: 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸 3. 9分、 2 —ヒ ドロキシ一 3— (p—フルオロフェニル) プロピオン酸 5. 1分]
なお、 上述の見かけ純度とは、 上記分析系において、 式 2 ;
見かけ純度 = (2—ヒ ドロキシ一 3— (p—フルオロフェニル) プロピオン酸の 面積値 検出された全化合物の面積値の和) X 1 00 (%)
で表される。
t また、 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸、 及び 2—ヒ ドロキシー 3 一 (p—フルオロフヱニル) プロピオン酸の光学純度の評価は、 それぞれ以下の 方法に従い、 対応するメチルエステルに誘導して決定した。
2—ヒ ドロキシ— 3—フユニルプロピオン酸の光学純度評価
生成物 20m g (0. 1 2 mm o 1 ) をメタノール 1 m 1 と トノレェン 3. 5 m 1 の混合溶液に溶かし、 1 0 %トリメチルシリルジァゾメタン溶液 1 6 6 m g ( 0. 1 5mmo 1 ) を滴下し、 室温で 3 0分反応した後、 減圧下、 溶媒を留去し、 濃 縮物をシリカゲルカラム (へキサン Z酢酸ェチル =4/1) で精製して、 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸メチルエステルを得た。 このメチルエステ ルの HP L C分析 [カラム : ダイセル化学製 C h i r a 1 c e 1 OD— Η、,移 動相:へキサン Zィソプロパノ一ル= 9 8/2、 流速: 1. 0m l /m i n、 検 出: UV 2 1 0 nm、 カラム温度: 5°C、保持時間: S体 3 2m i n、 R体 3 0 m i π」
2—ヒ ドロキシ— 3— (2—フルオロフェニル) プロピオン酸の光学純度評価
生成物 2 0m g (0. 1 1 mm o 1 ) をメタノール 1 m 1 と トルエン 3. 5 m 1の混合溶液に溶かし、 1 0 %トリメチルシリルジァゾメタン溶液 1 6 6 m g ( 0. 1 5mmo 1 ) を滴下し、 室温で 30分反応した後、 減圧下、 溶媒を留去し、 濃 縮物をシリカゲルカラム (へキサン/酢酸ェチル =4ノ1) で精製して、 2—ヒ ドロキシー 3— (p—フルオロフェ -ル) プロピオン酸メチルエステルを得た。 このメチルエステルの HP LC分析 [カラム : ダイセル化学製 C h i r a 1 c e l O J、 移動相:へキサン Zエタノール = 95Z5、 流速: 1. 0 m 1 Zm i n、 検出: UV 2 1 0 nm、 カラム温度: 20°C、 保持時間: R体 1 5 m i n、 S体 1 6m i n」
(実施例 (2 S) ー 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸の製造
濃硫酸 8. 8 8 g (90. 5mmo 1 ) を水 1 1 0 gに希釈した液に、 L—フ ェニルァラニン 1 0. 00 g (60. 5mmo 1 ) を加えた後、 内温 20°Cにて、 亜硝酸ナトリウム 1 0. 4 5 g (1 5 1. 5mmo 1 ) と水 20 gとの混合物を 5時間かけて添加した。 添加後、 引き続き 20°Cで 20時間攪拌し、 t—ブチル メチルエーテル 1 00m lを加え、 20°Cで 3 0分攪拌後、有機相を分離した(抽 出液 1)。 更に、 水相には t一ブチルメチルエーテル 5 0m 1を加え、 20でで 30分攪拌後、 有機相を分離した (抽出液 2)。 抽出液 1と抽出液 2を混合した 抽出液 1 1 6. 5 g中には、 (2 S) — 2—ヒ ドロキシー 3—フエニルプロピオ ン酸 8. 6 g (収率 8 6%、 光学純度 9 5. 9 % e e ) を含んでいた。 尚、 本実 施例の反応における、 プロ トン濃度 (規定度) は 1. 7mo 1 Zk g、 プロ トン 酸量は 3. 0当量 (対 L—フエ二ルァラニン)、 反応温度は 20°Cであった。
(実施例 2 ) ( 2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸の製造 濃硫酸 5. 9 3 g (6 0. 5mmo 1 ) を水 1 1 0 gに希釈した液に対して、
L一フエ二ルァラニン 1 0. 0◦ g (6 0. 5 mm o 1 ) を加えた後、 内温 20 °C にて、 亜硝酸ナトリウム 1 0. 4 5 g ( 1 5 1. 5 mm o 1 ) と水 20 gとの混 合物を 5時間かけて添加した。添加後、引き続き 20°Cで 20時間攪拌した後に、 実施例 1と同様の後処理を行った。 得られた抽出液 1 1 6. 1 g中には、 (2 S) 一 2—ヒ ドロキシ一 3 _フエニルプロピオン酸 8. 7 g (収率 8 7%、 光学純度 9 5. 2 % e e ) を含んでいた。 尚、 本実施例の反応における、 プロ トン濃度 (規 定度) は 1. l mo 1 Zk g、 プロ トン酸量は 2. 0当量 (対 L—フエニルァ ラニン)、 反応温度は 20°Cであった。 (実施例 3 ) (2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸の製造 濃硫酸 4. 1 5 g (4 2. 4mmo 1 ) を水 1 1 0 gに希釈した液に対して、 L—フエ二ルァラニン 1 0. 00 g (6 0. 5 mm o 1 ) を加えた後、 内温 20 °C にて、 亜硝酸ナトリウム 1 0. 45 g ( 1 5 1. 5mmo 1 ) と水 20 gとの混 合物を 5時間かけて添加した。添加後、引き続き 20°Cで 20時間攪拌した後 (こ、 実施例 1と同様の後処理を行った。 得られた抽出液 1 1 5. 8 g中には、 (2 S) — 2—ヒ ドロキシ— 3—フエニルプロピオン酸 8. 7 g (収率 8 7 %、 光学純度 9 2. 0 % e e ) を含んでいた。 尚、 本実施例の反応における、 プロ トン濃度 (規 定度) は 0. 8mo 1 /k g、 プロ トン酸量は 1. 4当量 (対 L一フエニルァ ラニン)、 反応温度は 20°Cであった。
(比較例 1 )
濃硫酸 1 4. 8 3 g ( 1 5 1. 3mmo 1 ) を水 1 1 0 gに希釈した液に対し て、 L—フエ二ルァラニン 1 0. 00 g (60. 5 mm o 1 ) を加えた後、 内温 20°Cにて、 亜硝酸ナトリウム 1 0. 4 5 g ( 1 5 1. 5 mm o 1 ) と水 20 g との混合物を 5時間かけて添加した。 添加後、 引き続き 20°Cで 20時間攪拌し た後に、 実施例 1と同様の後処理を行った。 得られた抽出液 1 1 4. 4 g中には、 (2 S) ー 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸 6. 9 g (収率 6 9%、 光学純度 9 6. 5 % e e ) を含んでいた。 尚、 本比較例の反応における、 プロ ト ン濃度 (規定度) は 2. 7mo 1 /k g、 プロ トン酸量は 5. 0当量 (対 L—
フエ二ルァラニン)、 反応温度は 20°Cであった。 (比較例 2 )
濃硫酸 8. 88 g (90. 5 mm o 1 ) を水 1 10 gに希釈した液に対して、 L一フエ二ルァラニン 10. 00 g (60. 5mmo 1 ) を加えた後、 内温 0°C にて、 亜硝酸ナトリウム 10. 45 g (1 51. 5 mm o 1 ) と水 20 gとの混 合物を 5時間かけて添加した。 添加後、 引き続き 0°Cで 20時間攪拌した後に、 実施例 1と同様の後処理を行った。 得られた抽出液 1 1 3. 7 g中には、 (2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フヱニルプロピオン酸 7. 0 g (収率 70%、 光学純度 96. 6 % e e ) を含んでいた。 尚、 本比較例の反応における、 プロ トン濃度 (規 定度) は 1. 7 mo 1 /k g、 プロ トン酸量は 3. 0当量 (対 L—フエニルァ ラニン)、 反応温度は 0°Cであった。
(比較例 3 )
L—フエ二ルァラニン 14 g (85mmo 1 ) を 1 N硫酸水溶液 100 m 1に 溶かした溶液に、 亜硝酸ナトリウム 14 g (2 1 7mmo 1 ) を水 20 m 1に溶 かした溶液を 0°Cで 3時間かけて滴下した後、 室温で終夜攪拌した。 酢酸ェチル 100m 1で 3回抽出した後、 有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥した。 この抽 出液中の (2 S) —2—ヒ ドロキシ—3—フエニルプロピオン酸の光学純度は 9 3. 0%e eであった。 減圧下溶媒を留去し粗精製 (2 S) — 2—ヒ ドロキシ— 3—フエニルプロピオン酸 1 2 gを得た。 さらに酢酸ェチル 35 m 1を用いて再 結晶し目的の(2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸 7. 5 g (収 率 53%) を得た。 なお、 本比較例の反応における、 プロ トン濃度 (規定度) は 1. Omo 1 Zk g、 プロ トン酸量は 1. 2当量 (対 L—フエ二ルァラニン)、 反応温度は 0°C〜室温であった。
^-NMR (40 OMH z , CDC 13) 5 ( p p m) 7. 34— 7. 25 (5 H, m), 4. 5 1 ( 1 H, d d, J = 7. 3, 4. 4Hz), 3. 2 1 ( 1 H, d d, J = 14. 2H z, 4. 4Hz), 3. 00 (1 H, d d, J = 1 3. 7 H z , 7. 4 H z )。
(実施例 4 ) (2 S) 一 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸の製造 濃硫酸 8. 8 8 g (90. 5mmo 1 ) を水 1 1 0 gに希釈した液に対して、 L一フエ二ルァラニン 1 0. 00 g (6 0. 5 mm o 1 ) を加えた後、 内温 40 °C にて、 亜硝酸ナトリウム 1 0. 45 g ( 1 5 1. 5mmo 1 ) と水 20 gとの混 合物を 5時間かけて添加した。 添加後、 引き続き 40°Cで攪拌した後に、 実施例 1と同様の後処理を行った。 得られた抽出液 1 4 6. 9 g中には、 (2 S) - 2 ーヒ ドロキシー 3—フエニルプロピオン酸 8. 9 g (収率 8 9 %、 光学純度 94. 3 % e e ) を含んでいた。 尚、 本実施例の反応における、 プロ トン濃度 (規定度) は 1. 7mo 1 Zk g、 プロ トン酸量は 3. 0当量 (対 L—フエ二ルァラニン)、 反応温度は 40°Cであった。
(実施例 5 ) (2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸の製造 濃硫酸 8. 8 8 g (90. 5mmo 1 ) を水 1 1 0 gに希釈した液に対して、 L—フエ二ルァラニン 1 0. 00 g (6 0. 5mm o 1 ) を加えた後、 内温 70 °C にて、 亜硝酸ナトリウム 1 0. 45 g ( 1 5 1. 5mmo 1 ) と水 20 gとの混 合物を 5時間かけて添加した。添加後、引き続き 70°Cで 20時間攪拌した後に、 実施例 1と同様の後処理を行った。 得られた抽出液 1 4 7. 3 g中には、 (2 S) — 2—ヒ ドロキシ— 3—フエニルプロピオン酸 8. 5 g (収率 8 5%、 光学純度 9 2. 0 % e e ) を含んでいた。 尚、 本実施例の反応における、 プロ トン濃度 (規 定度) は 1. 7mo 1 /k g、 プロ トン酸量は 3. 0当量 (対 L—フエニルァ ラニン)、 反応温度は 70°Cであった。
(実施例 6 ) (2 S) — 2—ヒ ドロキシー 3—フエニルプロピオン酸の製造 濃硫酸 8. 8 8 g (90. 5mmo 1 ) を水 1 1 0 gに希釈した液に対して、 L—フエ二ルァラニン 1 0. 00 g (6 0. 5mmo 1 ) を加えた後、 内温 20 °C にて、 亜硝酸ナトリゥム -1 0. 45 g ( 1 5 1. 5mmo 1 ) と水 20 gとの混 合物を 2時間かけて添加した。添加後、引き続き 20°Cで 20時間攪拌した後に、 実施例 1と同様の後処理を行った。 得られた抽出液 1 1 6. 3 g中には、 (2 S)
一 2—ヒ ドロキシ— 3—フユニルプロピオン酸 8. 5 g (収率 8 5%、 光学純度 94. 0 % e e ) を含んでいた。 尚、 本実施例の反応における、 プロ トン濃度 (規 定度) は 1. 7mo 1 k g、 プロ トン酸量は 3. 0当量 (対 L—フエニルァ ラニン)、 反応温度は 20°Cであった。
(比較例 4 )
濃硫酸 8. 8 8 g (90. 5mmo 1 ) を水 5 5 gに希釈した液に対して、 L —フエ二ルァラニン 1 0. 00 g (60. 5 mm o 1 ) を加えた後、 内温 20°C にて、 亜硝酸ナトリウム 1 0. 45 g ( 1 5 1. 5mmo 1 ) と水 20 gとの混 合物を 5時間かけて添加した。 添加後、引き続き 20°Cで 20時間攪拌した後に、 実施例 1と同様の後処理を行った。 得られた抽出液 1 1 6. 5 g中には、 (2 S) _ 2—ヒ ドロキシ— 3—フエニルプロピオン酸 6. 4 g (収率 64%、 光学純度 9 6. 6 % e e ) を含んでいた。 尚、 本比較例の反応における、 プロ トン濃度 (規 定度) は 3. 3mo 1 Zk g、 プロ トン酸量は 3. 0当量 (対 L—フエニルァ ラニン)、 反応温度は 20°Cであった。
(比較例 5 )
本比較例は、 J . Am e r . C h e m. S o c ., 86, 5 3 2 6— 5 3 3 0,, 1 9 64記載の方法の反応成績を確認したものである。
L—フエ二ルァラニン塩酸塩 1 2. 2 g (60. 5 mm o 1 ) を、 5 %硫酸 1 8 3m l (硫酸: 96. 0 mm o 1 ) に加えた後に、 亜硝酸ナトリウム 8. 3 5 g ( 1 2 1 mmo 1 ) と水 44. 5 gとの混合物を、 0 °Cにて 3時間処理した。 この後に、 反応液にジェチルエーテル 1 00m lを加え、 攪拌した後に、 有機相 を分離した (抽出液 1)。 更に、 水相にはジェチルエーテル 5 0m 1を加え、 攪 拌した後に、 有機相を分離した (抽出液 2)。 抽出液 1と抽出液 2を混合した抽 出液 9 5. O g中には、 (2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸 4. 2 g (収率 4 2%、 光学純度 9 2. 6 % e e ) を含んでいた。 尚、 本比較例 の反応における、 プロ トン濃度 (規定度) は 1. 4mo 1 /k g, プロ トン酸量 は 4. 0当量 (対 L—フエ二ルァラニン)、 反応温度は 0°Cであった。 ,
(比較例 6 ) ' 本比較例は、 J . H e t e r o c y c l i c C h e m. , 2 9, 4 3 1—4 3 8, 1 9 9 2記載の方法の反応成績を確認したものである。
亜硝酸ナトリウム結晶 1 6. 6 g (24 lmmo 1 ) を、 1 M硫酸 1 20m l (硫酸: 1 20 mm o 1 ) と L—フエ二ルァラニン 1 0. 0 g (6 0. δ mm o 1 ) との混合物に、 0°Cにて 5時間かけて添加した。 添加後、 室温 (1 5°C) に 昇温し、 一晩攪拌を行った。 この反応液に酢酸ェチル 4 Om 1を加え、 攪拌した 後に、 有機相を分離した。 更に、 上記操作を 2回繰り返して行い、 上記有機相を あわせた抽出液 1 1 5. 2 gを得た。 (2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニル プロピオン酸 6. 6 g (収率 6 6%、 光学純度 9 6. 2 % e e ) を含んでいた。 尚、 本比較例の反応における、 プロ トン濃度 (規定度) は 2. lmo l Zk g、 プロ トン酸量は 4. 0当量 (対 L—フエ二ルァラニン)、 反応温度は亜硝酸ナ トリウム添加時は 0°C、 添加終了後は室温 (1 5°C) であった。
(実施例 7 ) (2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸の晶析 実施例 2で得た (2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエ-ルプロピオン酸ノ t一 ブチルメチルエーテル抽出液 6 6. 7 g ((2 S) — 2—ヒ ドロキシー 3—フエ ニルプロピオン酸 5. 0 g含有、 光学純度 9 5. 2 % e e ) を減圧濃縮し、 濃縮 液 20. O gを得た。 この濃縮液を攪拌しながら、 40°Cにてへキサン 6 0m 1 を徐々に添加し、 結晶を析出させた後に、 5°Cまで冷却し、 引き続き 2時間攪拌 した。 得られた結晶を減圧濾過し、 次いで、 へキサン/ t一ブチルメチルエーテ ノレ (75/2 5容量比) 1 0m lで 2回洗浄した。 得られた湿結晶を減圧 (真空) 乾燥 (フル真空、 40°C、 1晚) し、 (2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニル プロピオン酸 4. 5 g (純度 9 8. 7 %、 光学純度 9 9. 9 % e e以上、 晶析収 率 8 9%) を得た。
(実施例 8 ) ( 2 S) 一 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸の晶析 別途取得した、 (2 S) — 2—ヒ ドロキシー 3—フエニルプロピオン酸 Z t—
ブチルメチルエーテル抽出液 3450 g ((2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエ ニルプロピオン酸 253. 3 g含有、 光学純度 93. 0 % e e ) を減圧濃縮し、 濃縮液 734 gを得た。 この濃縮液を攪拌しながら、 40°Cにてへキサン 223 Om 1を 3時間かけて添加し、 結晶を析出させた後に、 5°Cまで冷却し、 引き続 き 2時間攪拌した。 得られた結晶を減圧濾過し、 次いで、 へキサン/ t 一ブチル メチルエーテル (75/ 25容量比) 25 Om 1で 2回洗浄した。 得られた湿結 晶を減圧 (真空) 乾燥 (フル真空、 40。C、 1晚) し、 (2 S) — 2—ヒ ド c (キ シ一 3—フエニルプロピオン酸 232. 2 g (純度 98. 2 %、 光学純度 99. 8 % e e、 晶析収率 90 %) を得た。
(比較例 7 )
別途取得した、 (2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸 Z酢酸 ェチル抽出液 83. 3 g (( 2 S) 一 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン 酸 5. O g含有、 光学純度 93. 7%e e) を減圧濃縮し、 濃縮液 20. O gを 得た。 この濃縮液を攪拌しながら、 40°Cにてへキサン 5 Om 1を徐々に添加し、 結晶を析出させた後に、 5°Cまで冷却し、 引き続き 2時間攪拌した。 得られた結 晶を減圧濾過し、 次いで、 へキサン/酢酸ェチル (75Z 25容量比) 10m l で 2回洗浄した。 得られた湿結晶を減圧 (真空) 乾燥 (フル真空、 40°C、 1晚) し、 (2 S) —2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸 4. 5 g (純度 98. 8 %、 光学純度 98. 0 % e e、 晶析収率 88 %) を得た。
(実施例 9 ) (2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸の晶析 別途取得した、 (2 S) — 2—ヒ ドロキシー 3—フエニルプロピオン酸 Z t — ブチルメチルエーテル抽出液 66. 4 g ((2 S) 一 2—ヒ ドロキシ一 3—フエ ニルプロピオン酸 5. O g含有、 光学純度 95. 3 % e e ) を減圧濃縮し、 濃縮 液 1 6. 7 gを得た。 この濃縮液を攪拌しながら、 40°Cにてトルエン 1 5 Om 1を徐々に添加し、 結晶を析出させた後に、 5°Cまで冷却し、 引き続き 2時間攪 拌した。 得られた結晶を減圧濾過し、 次いで、 トルエン t—ブチルメチルエー テル (9 0Z 1 0容量比) 10m lで 2回洗浄した。 得られた湿結晶を減圧 (真
空) 乾燥 (フル真空、 4 0°C、 1晚) し、 (2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエ ニルプロピオン酸 4. 0 g (純度 9 9. 2 %、 光学純度 9 9. 9 % e e以上、 晶 析収率 8 0%) を得た。
(実施例 1 0 ) (2 R) — 2—ヒ ドロキシ一 3— (p—フルオロフェニル) プ 口ピオン酸の晶析
(R) — 2—ヒ ドロキシ一 3— (p—フルオロフェニル) プロピオン酸粗結晶 4. 9 6 g (見かけ純度 8 0%、 光学純度 9 7. 2 % e e ) と t 一ブチルメチル エーテル 1 Om I との混合物を、 種晶 2 Omgを添加したへキサン 4 Om 1に、 攪拌下、 3 0°Cでゆつく りと添加して、 結晶を析出させた後に、 5°Cまで冷却し、 引き続き 2時間攪拌した。 得られた結晶を減圧濾過し、 次いで、 へキサン Z t — ブチルメチルエーテル (8 0/2 0容量比) 1 0m】で 2回洗浄し、 得られ 湿 結晶を減圧 (真空) 乾燥 (フル真空、 4 0°C、 1晚) し、 (R) — 2—ヒ ドロキ シ一 3— (p—フルオロフェニル) プロピオン酸 3. 8 0 g (見かけ純度: 9 9 %、 光学純度 9 9. 9 %e e、 晶析収率 9 5 %) を得た。
(実施例 1 1 ) (2 R) — 2—_クロロ一 3—フエニルプロピオン酸クロリ ド
( 2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸 5. 0 g ( 3 0. 1 m m o 1 ) をトルエン 5 Om 1を加え、 塩化チォニル 1 0. 7 g (9 0. 3 mm o 1 ) を滴下し、 4 0°Cにて 2時間攪拌した。 その液にジメチルホルムアミ ド 0. 44 g (6. Ommo 1 ) を加え、 4 0 °Cにて 2 4時間攪拌した。 この反応液を 減圧濃縮した後に、 更にトルエン 9 Om 1を加えて、 再度減圧濃縮を行った。 こ うして得られた濃縮液を減圧蒸留 (沸点:約 l mmH g、 1 0 2— 1 0 3°C) し て、 (2 R) — 2—クロ口一 3—フエニルプロピオン酸クロリ ド 3. 1 g ( 1 4. 1 mmo 1、 収率 4 7%) を得た。
H-NMR (400MH z, CDC 13) δ ( p p m) 7. 36 - 7. 23 (5 H, m), 4. 7 1 ( 1 H, t, J = 7. 3 H z ), 3. 47 ( 1 H, d d, J = 14. 2 H z , 6. 4 H z ), 3. 02 ( 1 H, d d, J = 14. 2 H z , 7. 8H z)。 13C— NMR (1 00MH z , CD C 13) δ ( p m) 1 70. 2 5, 1 34. 30, 1 29. 36, 1 28. 83, 1 27. 84, 65. 44, 40. 68。 I R (n e a t) (cm—1) 3034, 1 783, 1 605, 14 99, 1456, 1435, 1 246, 1 1 75, 1080, 1003, 925, 88 7, 835, 737, 6 98, 648, 548, 484。 (実施例 1 2) — (2 R) _— 2—クロ口一— 3— _フエ二ルプロピオン酸
( 2 S) —2—ヒドロキシー 3—フエニルプロピオン酸 50 Omg (3. 0 m mo 1、 光学純度 100% e e (S)) をテトラヒ ドロフラン 5m lに溶かした 溶液に、 塩化チォニル 0. 66m l (9. Ommo 1 ) を室温で滴下し 1 5時間 攪拌した。 その反応溶液に塩化テトラ n—プチルアンモニゥム 1 7 Omg (0. 6 Ommo 1 ) を加え 40°Cで 4時間加熱した。 反応溶液に水 5 m 1を加え 30 分攪拌した後、 酢酸ェチル 90 m 1で抽出した。 有機相を飽和食塩水溶液 10 m 1で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。減圧下溶媒を留去し目的の(2 R) —クロ口一 3—フエニルプロピオン酸 499m g (収率 90%) を得た。 JH-NMR (400MHz, CDC 1 3) δ (p pm) 7. 36— 7. 23 (5 Η, m), 4. 49 ( 1 Η, t, J = 7. 3 H z ), 3. 39 ( 1 H, d d, J = 14. 1 H z , 6. 9H z), 3. 02 ( 1 H, d d, J = 14. 2Hz, 7. 8 H z )0
尚、 生成物の光学純度は以下の方法に従い対応するメチルエステルへ誘導して 決定した。 生成物 25mg (0. 14mmo 1 ) をメタノ一ル 1 m 1 と トル ン 3. 5 m 1の混合溶液に溶かし、 10%トリメチルシリルジァゾメタンへキサン
溶液 200mg (0. 1 8mmo 】) を滴下し室温で 3 0分反応した後、 減 ^下 溶媒を留去し濃縮物をシリカゲルカラム (へキサン Z酢酸ェチル =4 : 1) で精 製して 2—クロ口一 3—フエニルプロピオン酸メチルエステルを得た。 このメチ ルエステルの HP LC分析 [カラム: C h i r a 1 c e 1 OD-H (ダイセル製)、 溶離液:へキサン/イソプロパノール = 1 00 : 1、 流速: 1. Om l Zm i n、 温度: 40°C、 検出波長: 2 1 0 nm、 保持時間: R体 2 6m i n、 S体 2 8m i n] を行ったところ、 9 8. 9 % e e (R) (立体反転率 9 8. 9%) で めった。 (実施例 1 3 ) (2 R) — 2—クロ口 _ 3—フエニルプロピオン酸
( 2 S) — 2—ヒ ドロキシー 3 _フエ-ルプロピオン酸 20. 4 g (1 22. 8mmo 1、 光学純度 1 00% e e ( S)) をテ トラヒ ドロフラン 200m l に 溶かした溶液に、 塩化チォニル 43. 8 g (3 6 8. 4mmo 1 ) を滴下し、 3 5〜40°Cで 2時間攪拌した。 その液にジメチルホルムアミ ド 1. 8 g (24. 6mmo 1 ) を加え、 4 2〜 44°Cにて 6時間攪拌した。 この反応液を冷却し、 20°C以下を維持しながら水 70m 1を滴下し、 約 1時間攪拌した後、 トルエン
200m lで抽出した。 有機相に水 7 Om 1を加え、 3 0%水酸化ナトリウム水 にて pHを 9. 0に調整後、 有機相を分液除去し、 水相を得た。 この水相にトル ェン 200m lを加え、 3 5 %塩酸水にて p Hを 1. 0に調整後、 水相を分液除 去し、 トルエン相を得た。 このトルエンを減圧留去し、 (2 R) — 2—クロ口一
3—フエニルプロピオン酸 2 1. 1 g ( 1 1 4. 3mmo 1、 収率 9 3%) を得 た。 実施例 1 2と同様の方法により生成物の光学純度を測定したところ、 99.
8 % e e (R) (立体反転率 9 9. 8%) であった。 (実施例 1 4) (2 R) — 2—クロ口一 3—フエニルプロピオン酸
( 2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸 20. 4 g ( 1 22. 8mmo 1、 光学純度 1-00 % e e (S)) に 1, 4—ジォキサン 2 0 Om 1を 加え、 塩化チォニル 4 3. 8 g (3 6 8. 4 mm o 1 ) を滴下し、 40°Cにて 2 時間攪拌した。 その液にジメチルホルムアミ ド 1. 8 g (24. 6mmo 1 ) を
加え、 40°Cにて 6時間攪拌した。 この反応液を冷却し、 20°C以下を維持しな がら水 7 0 m 1を滴下し、約 1時間攪拌した後、 トルエン 2 O Om lで抽出した。 有機相に水 70m 1を加え、 3 0%水酸化ナトリウム水にて p Hを 9. 0に調整 後、 有機相を分液除去し、 水相を得た。 この水相にトルエン 2 O Om lを加え、 3 5 %塩酸水にて p Hを 1. 0に調整後、 水相を分液除去し、 トルエン相を得た。 このトルエンを減圧留去し、 (2 R) — 2—クロ口一 3—フエニルプロピオジ酸 1 9. 1 g ( 1 0 3. 3 mm o 1、 収率 84 %) を得た。 実施例 1 2と同様の方 法により生成物の光学純度を測定したところ、 9 9. 7 % e e (R) (立体反転 率 9 9. 7%) であった。
(実施例 1 5 ) (2 R) — 2—クロ口一 3—フエニルプロピオン酸
( 2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸 20. 4 g ( 1 2 2. 8 mm o 1、 光学純度 1 00%e e (S)) にトルエン 2 O Om l を加え、 塩化 チォニル 4 3. 8 g (3 6 8. 4mmo 1 ) を滴下し、 40°Cにて 2時間攪拌し た。 その液にジメチルホルムアミ ド 1. 8 g (24. 6 mmo 1 ) を加え、 40°C にて 24時間攪拌した。 この反応液を冷却し、 20°C以下を維持しながら水 70 m lを滴下し、 約 1時間攪拌した後、 トルエン 20 Om 1で抽出した。 有機 に 水 7 0m lを加え、 30%水酸化ナトリウム水にて p Hを 9. 0に調整後、 有機 相を分液除去し、 水相を得た。 この水相にトルエン 20 Om 1を加え、 3 5%塩 酸水にて p Hを 1. 0に調整後、 水相を分液除去し、 トルエン相を得た。 このト ルェンを減圧留去し、 (2 R) — 2—クロ口一 3—フエニルプロピオン酸 2 1. 6 g ( 1 1 6. 8 mm o 1、 収率 9 5 %) を得た。 実施例 1 2と同様の方法によ り生成物の光学純度を測定したところ、 9 9. 5 % e e (R) (立体反転率 9 9. 5%) であった。
(実施例 1 6 ) (2 R) 一 2—クロ口一 3—フエニルプロピオン酸
( 2 S) — 2—ヒ ドロキシ一 3—フエニルプロピオン酸 200 m g ( 1. 2m mo 1、 光学純度 1 0 0%e e (S)) をジメ トキシェタン 2 m 1 に溶かした溶 液に、 塩化チォニル 0. 1 8m l (2. 4mmo 1 ) を室温で滴下し 1 5時間攪
t 拌した。 その反応溶液にピリジン 0. 0 1 m l (0. 1 2mmo 1 ) を加え 6 0°C で 4時間加熱した。 反応溶液に水 1 0 m 1を加え 3 0分攪拌した後、 酢酸ェチル 5 0m lで抽出した。 有機相を飽和食塩水溶液 1 0m lで洗浄し、 硫酸ナトリウ ムにより乾燥した。 減圧下溶媒を留去し目的の (2 R) — 2—クロロー 3—フエ ニルプロピオン酸 1 3 5mg (収率 6 1 %) を得た。 実施例 1 2と同様の方法に より生成物の光学純度を測定したところ、 光学純度 9 7. 6 % e e (R) (立体 反転率 9 7. 6 %) であった。
(実施例 1 7 (2 R: 2—クロ口一 3—フエ二ノレプロピオン酸
反応溶媒として以下の表 1の溶媒を用いる以外、 実施例 1 6と同様に塩化チォ ニル 2倍モル量を用いて反応を行った。 結果を以下の表 1に示す。 ' 表 1
(実施例 1 8) — (2 S) — 2—ァセチルチオ— 3—フエニルプロピオン酸
実施例 1 4で得られた (2 R) — 2—クロ口— 3—フエエルプロピオン酸 1 0 0 m g (0. 54 mm o 1 ) をジメチルホルムアミ ド 2 m 1に溶かした溶液に、 チォ酢酸カリウム 6 8 m- g (0. 64mmo 1 ) を室温で加え 24時間攪拌した。 反応溶液に 6%チォ硫酸ナトリゥム水溶液 0. 5 m 1を加え、 酢酸ェチル 3 Om 1で抽出した。 有機相を 6 %チォ硫酸ナトリゥム水溶液 3 m 1、 水 3 m 1、 飽和
食塩水溶液 3m 1で洗浄し、 硫酸ナトリゥムにより乾燥した。 減圧下溶媒を留去 し目的の(2 S)— 2—ァセチルチオ一 3 _フエニルプロピオン酸 1 0 l mg (収 率 8 3%) を得た。
1 H-NMR (40 OMH z , CDC 1 3) δ (p p m) 7. 34— 7. 22 (5 Η, m), 4. 4 3 ( 1 Η, t, J = 7. 6 H z ), 3. 3 0 ( 1 H, d d, J, =
1 3. 9 H z , 7. 9 H z ), 3. 0 2 ( 1 H, d d, J = 1 3. 9 H z , 7.
6 H z ), 2. 3 3 ( 3 H, s)。
尚、 生成物の光学純度は以下の方法に従い対応するメチルエステルへ誘導して 決定した。 生成物 2 5mg (0. 1 2 mm o 1 ) をメタノール 1 m 1 と トルェン 3. 5m 1の混合溶液に溶かし、 1 0%トリメチルシリルジァゾメタンへキサン 溶液 1 6 6mg (0. 1 5mmo 1 ) を滴下し室温で 30分反応した後、 減圧下 溶媒を留去し濃縮物をシリカゲルカラム (へキサン Z酢酸ェチル =4 : 1) で精 製して 2—ァセチルチオ一 3—フエニルプロピオン酸メチルエステルを得た。 こ のメチルエステルの HP L C分析 [カラム : C h i r a 1 c e l OD— H (ダイ セル製)、 溶離液:へキサン イソプロパノール = 1 00 : 1、 流速: 1. 0 m 1 Zm i n、 温度: 40°C、 検出波長: 2 1 0 nm、 保持時間: R体 3 7m i n、 S体 3 8m i n] を行ったところ、 光学純度 9 7. 9 % e e (S) (立体 反転率 9 8. 2%) であった。 (実施例 1 9 ) (2 S) — 2 _ァセチルチオ一 3—フエニルプロピオン酸
( 2 R) 一 2—クロ口一 3—フエニルプロピオン酸 1 0 Om g (0. 54mm o 1 ) を N—メチル一 2—ピロリ ドン 2m 1に溶かした溶液に、 チォ酢酸力リウ ム 9 3mg (0. 8 1 mmo 1 ) を室温で加え 24時間攪拌した。 実施例 1 8と 同様の方法により、 反応の後処理を行い、 目的の (2 S) _ 2 _ァセチルチオ— 3—フエニルプロピオン酸 1 1 4m g (0. 5 1 mm o 1、 収率 94 %) を得た。
(実施例 20 ) (2 S — 2 _ァセチルチオ一 3—フエニルプロピオン酸 ' チォ酢酸カリウム 1 6. 1 g (1 4 1. 0 mmo 1 ) をジメチルホルムアミ ド 40m lに混合させた液に対して、 実施例 1 3で得た (2 R) — 2—クロ口一 3
—フエニルプロピオン酸 20. 0 g ( 1 08. 0mm o 1 ) を 0°C下滴下した後、 室温で 24時間攪拌した。 反応溶液に 6 %チォ硫酸ナトリゥム水溶液 60 m 1、 トルエン 2 0 Om 1を加えた後に、 3 5%塩酸水を 4. 6 §で ^11. 7に調整 後、 分液し、 有機相を取得した。 この有機相を 6 %チォ硫酸ナトリウム水溶液 6 Om l , 飽和食塩水 6 0 mし 水 6 0 m 1で洗浄した。 減圧下溶媒を留去し、 目 的の (2 S) — 2—ァセチルチオ一 3—フエニルプロピオン酸 20. 7 g (9 1. 8mmo 1、 収率 8 5 %) を得た。 実施例 1 8と同様の方法により、 生成物の光 学純度を測定したところ、 9 8. 9 % e e (S) (立体反転率 9 9. 1%) であ つた。
(実施例 2 1 ) (2 S) — 2 _ァセチルチオ— 3—フエニルプロピオン酸 反応溶媒として以下の表 2の溶媒を用いる以外、 実施例 1 8と同様に反応を行 レ、、 表 2に示した時間が経過したときの、 (2 S) — 2—ァセチルチオ一 3—フ ェニルプロピオン酸 (A) と (2 R) — 2—クロ口一 3—フエニルプロピオン酸
(B) の HP LC分析時の面積値をもとに、 下記式 3で表される (2 S) — 2— ァセチルチオ一 3—フエニルプロピオン酸 (A) の比率を求めた。
(A) の比率(%) = [(A) の HP LC面積値 Z ((B) の HP LC面積値 + (A) の H P L C面積値) ] X 1 00
結果を以下の表 2に示す。 なお、 上記化合物の面積値の評価には、 以下の HP LC分析系を用いて行った。
(HP LC)
[カラム:野村化学 D e v e l o s i l OD S—HG— 3 1 5 OmmX 4. 6 mm I . D.、 移動相 : 0. 1 w tノ v %リン酸水 Zァセトニトリル = 7 5 / 2 5、 流速: 1. Om l /m i n、 検出: UV 2 1 0 nm、 カラム温度: 40°C、 保持時間: (2 R) — 2—クロ口一 3—フエニルプロピオン酸 (B) 1 9. 9 分、 (2 S) — 2—ァセチルチオ— 3—フエニルプロピオン酸 (A) 2 2. 6 分]
表 2
(実施例 2 2 ) ( 2 S ) _ 2—ァセチルチオ一 3—フエニルプロピオン酸 反応溶媒として以下の表 3の溶媒を用いる以外、 実施例 1 8と同様に反応を行 い、 表 3に示した時間が経過したときの、 実施例 2 1と同様に上記式 3で表され る (2 S ) — 2—ァセチルチオ一 3 _フエニルプロピオン酸の比率を求めた。 表 3
産業上の利用の可能性
本発明は、 上述の構成よりなるので、 医薬品等の製造上重要な、 光学活性 2— ヒ ドロキシカルボン酸、 光学活性 2—クロロカルボン酸及び光学活性 2—ァ チ ルチオカルボン酸を入手容易な原料から高い光学純度で効率的に製造することが できる。 また、 光学活性 2—ヒ ドロキシカルボン酸を簡便かつ効率的に単離又は 精製することができる。