JPH06166683A - O,o´−ジアシル酒石酸無水物の製造法 - Google Patents

O,o´−ジアシル酒石酸無水物の製造法

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JPH06166683A
JPH06166683A JP4321019A JP32101992A JPH06166683A JP H06166683 A JPH06166683 A JP H06166683A JP 4321019 A JP4321019 A JP 4321019A JP 32101992 A JP32101992 A JP 32101992A JP H06166683 A JPH06166683 A JP H06166683A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価なO,O´−ジアシル酒石酸無水物の
造方法を提供する。 【構成】 クロル化剤存在下、カルボン酸を酒石酸と反
応せしめることを特徴とするO,O´−ジアシル酒石酸
無水物の製造法。 【効果】 高収率、高純度のO,O´−ジアシル酒石酸
無水物を工業的に安価に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、O,O´−ジアシル酒
石酸無水物の製造法に関する。
【0002】光学活性O,O´−ジアシル酒石酸無水物
は光学活性アミンや光学活性アルコールと反応して光学
活性モノアミドや光学活性モノエステルとなる。この反
応を利用してクロマト充填剤を作ることができる(米国
特許第4,318,819号明細書)。また光学活性
O,O´−ジアシル酒石酸無水物は光学活性アミン、光
学活性アミノ酸、光学活性ヒドロキシ酸、光学活性アミ
ノアルコールや光学活性アルコールと反応させるとジア
ステレオマー化合物となり、これらジアステレオマー化
合物はクロマトグラフィーや分別結晶によって光学分割
できる。たとえば、クロマトグラフィーでは光学活性ア
ミノアルコールであるβ−ブロッカーを光学分割するこ
とが報告されている(J.Chromatogr.31
6 P605−616(1984))。同じくβ−ブロ
ッカーのチモロールが分別結晶で光学分割されている
(オランダ特許第8500939号)。
【0003】また、光学活性O,O´−ジアシル酒石酸
無水物を加水分解することによって容易に製造できる光
学活性O,O´−ジアシル酒石酸は、医農薬およびその
中間体である光学活性アミンを製造する際の優れた光学
分割剤である。
【0004】
【従来の技術】従来、O,O´−ジアシル酒石酸無水物
として知られているものはO,O´−ジアセチル酒石酸
無水物とO,O´−ジベンゾイル酒石酸無水物の2つで
ある。O,O´−ジアセチル−L−酒石酸無水物の合成
法としては、(1)L−酒石酸に対して濃硫酸存在下、
無水酢酸を4.9当量使用する方法(OrganicS
yntheses Coll. Vol. P242
(1963))、また、O,O´−ジベンゾイル−L−
酒石酸無水物の製造法としては、(2)L−酒石酸に対
して塩化べンゾイルを3.2当量用いる方法(J.A
m.Chem.Soc.55,P2605(193
3))が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記(1)、(2)の
方法は酒石酸に対して3当量以上の酸無水物あるいは酸
クロリドを使用する方法であり、副生するカルボン酸を
除去しなければならず、高純度の光学活性O,O´−ジ
アシル酒石酸を得るのは容易でない。
【0006】したがって、O,O´−ジアシル酒石酸無
水物を高純度で収率よく、工業的に製造する方法が望ま
れていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
高純度のO,O´−ジアシル酒石酸無水物を収率よく、
しかも工業的に製造する方法を鋭意検討した結果、塩化
チオニルなどのクロル化剤の存在下、酒石酸と特定のカ
ルボン酸あるいは相当する酸クロリドとを反応せしめる
ことによってO,O´−ジアシル酒石酸無水物を高純度
で収率よく、かつ工業的に製造する方法を見出した。
【0008】すなわち、本発明は、クロル化剤存在下に
おいて次の一般式(I) RCOH……(I) (式中、Rは1〜4個の炭素原子を有するi)アルキル
基、ii) フェニル基またはiii)炭素数1〜4のア
ルキル基あるいはハロゲン原子により置換されているフ
ェニル基を表す。)で表されるカルボン酸または、次の
一般式(II) RCOCl……(II) (式中、Rは1〜4個の炭素原子を有するi)アルキル
基、ii) フェニル基またはiii)炭素数1〜4のア
ルキル基あるいはハロゲン原子により置換されているフ
ェニル基を表す。)で表されるカルボン酸クロリドを酒
石酸と反応せしめることを特徴とするO,O´−ジアシ
ル酒石酸無水物の製造法である。
【0009】以下、本発明の構成を詳細に説明する。
【0010】本発明において適用される上記式(I)ま
たは(II)で表されるカルボン酸またはカルボン酸ク
ロリドとしては、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの低級
脂肪族カルボン酸や安息香酸、o−トルイル酸、m−ト
ルイル酸、p−トルイル酸、o−クロロ安息香酸、m−
クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸などの芳香族カル
ボン酸、これらカルボン酸に相当する酸クロリドが挙げ
られる。
【0011】本発明において適用される上記式(I)で
表されるカルボン酸と酒石酸とからO,O´−ジアシル
酒石酸無水物を製造する場合、カルボン酸をクロル化剤
で酸クロリドに変換する反応、酸クロリドが酒石酸のヒ
ドロキシル基へO−アシル化する反応、O,O´−ジア
シル酒石酸が無水物化される3つの反応に分けることが
できる。カルボン酸のクロル化反応と酒石酸のO−アシ
ル化反応は、カルボン酸の種類によって、同じ温度で進
行する場合と異なる場合がある。一般に低級脂肪族カル
ボン酸は比較的低温でO−アシル化されるが、芳香族カ
ルボン酸のO−アシル化反応は通常カルボン酸のクロル
化反応よりも高温で進行する。したがって、低級脂肪族
カルボン酸はクロル化剤を添加することでカルボン酸の
クロル化とO−アシル化、無水物化が同時に進行する
が、芳香族カルボン酸ではあらかじめクロル化剤でカル
ボン酸クロリドに変換したのち、O−アシル化反応、無
水物化反応を行う。
【0012】酒石酸のO−アシル化反応は、酒石酸1モ
ルに対して2モルのカルボン酸クロリドが酒石酸のヒド
ロキシル基のアシル化に消費されると同時に、1モルの
カルボン酸クロリドが酒石酸のジカルボン酸の無水物化
に消費され、1モルのカルボン酸が副生する。O−アシ
ル化反応と無水物化反応の反応速度差は小さく、区別す
ることが容易でない。よって、従来の方法では通常3モ
ルのカルボン酸クロリドが必要となり、カルボン酸で
は、O,O´−ジアシル酒石酸無水物を作ることができ
ない。
【0013】ところが、本発明のごとくクロル化剤を使
用すれば、カルボン酸をあらかじめ系中で酸クロリドに
変換して反応に供した後、副生したカルボン酸を再びク
ロル化剤で酸クロリドに変換することにより、カルボン
酸の使用量を従来法の3モルから2モルに削減できる。
しかも生成したO,O´−ジアシル酒石酸無水物は高純
度、高収率で製造することができる。。
【0014】以上のことから、上記カルボン酸は酒石酸
1モルに対して2モルが当量となる。したがって、その
使用量は酒石酸1モルに対して2.0〜2.8モル、好
ましくは2.0〜2.4モルである。2.8モル以上使
えば副生するカルボン酸あるいは過剰量の酸クロリドを
除去するのがそれだけ困難になる。カルボン酸1モルを
クロル化するには1モルのクロル化剤が必要であるか
ら、クロル化剤の使用量は酒石酸1モルに対して少なく
とも3.0モルが必要である。したがって、クロル化剤
は3.0〜6.0モル、好ましくは3.0〜4.5モル
がよい。3.0モル以下の場合はカルボン酸が定量的に
酸クロリドに変換されず、O,O´−ジアシル酒石酸無
水物の収率が低くなるし、6.0モル以上使用すれば過
剰なクロル化剤を取除かなければならない。
【0015】次に上記式(II)で表されるカルボン酸
クロリドと酒石酸とからO,O´−ジアシル酒石酸無水
物を製造する場合は、前反応としてカルボン酸の酸クロ
リドへの変換を除いた他はカルボン酸の場合と同様であ
る。この場合には副生したカルボン酸を系中クロル化剤
で再び酸クロリドに変換してカルボン酸クロリドを再使
用することで酒石酸1モルに対してカルボン酸クロリド
の使用量を従来法の3モルから2モルの削減できる。
【0016】したがって、カルボン酸クロリドの使用量
は酒石酸1モルに対して2.0〜2.8モル、好ましく
は2.0〜2.4モルである。2.8モル以上使えば副
生したカルボン酸あるいは過剰量の酸クロリドを除去す
るのがそれだけ困難になる。カルボン酸クロリド2モル
を使用するとO,O´−ジアシル化とジカルボン酸の無
水物化が同時に進行して2/3モルのカルボン酸が副生
することになる。クロル化するには1モルのクロル化剤
が必要であるから、クロル化剤の使用量は少なくとも酒
石酸1モルに対して1.0モルが必要である。したがっ
て、クロル化剤は酒石酸1モルに対して1.0〜2.0
モル、好ましくは1.0〜1.6モルがよい。1.0モ
ル以下の場合はカルボン酸が定量的に酸クロリドに変換
されず、O,O´−ジアシル酒石酸無水物の収率が低く
なるし、2.0モル以上使用すれば過剰なクロル化剤を
取除かなければならない。
【0017】カルボン酸を酸クロリドに変換するための
クロル剤としては五塩化リン、三塩化リン、オキシ塩化
リン、塩化チオニル、塩化オキザリル、ホスゲン、クロ
ル炭酸エチルなどが使用できるが、O−アシル化反応を
妨害せず、O−アシル化反応後、生成したO,O´−ジ
アシル酒石酸無水物を取り出す時ケ−クに混入しないク
ロル化剤がよい。したがって、塩化水素や亜硫酸ガスと
なって系外に流出する塩化チオニルが好ましい。
【0018】ここで、使用する溶媒としてはO,O´−
ジアシル酒石酸無水物を変質せしめることなく、かつア
シル化反応を妨害しないものであればよく、ベンゼン、
トルエン、キシレンなど芳香族系、ジオキサンなどのエ
ーテル系、ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化
水素系が挙げられる。
【0019】カルボン酸のクロル化反応はカルボン酸や
クロル化剤の種類にもよるが、一般的には110℃以下
で行われ、酒石酸のO−アシル化反応は反応温度30〜
160℃、好ましくは40〜140℃で行われる。反応
時間は反応温度などその他の条件により適宜選択するこ
とができ、一般的には1〜40時間で終了する。
【0020】次に酒石酸とカルボン酸を反応させる方法
について述べる。たとえば、酒石酸およびカルボン酸
を、あるいは必要に応じて溶媒も一挙に仕込み、その溶
液もしくはスラリー溶液中に塩化チオニルなどのクロル
化剤を添加する。もちろん、酒石酸、カルボン酸および
クロル化剤を一挙に仕込んでもよい。この方法は低級脂
肪族カルボン酸で、O−アシル化反応が低温で進行する
ものに適用できる。またカルボン酸のクロル化反応より
酒石酸のO−アシル化反応の方が高い反応温度で進行す
る場合には、あらかじめカルボン酸を塩化チオニルなど
のクロル化剤で酸クロリドとし、次いで酒石酸を加えて
O−アシル化する。酒石酸は始めにカルボン酸と同時に
添加しておいてもよい。途中、副生したカルボン酸を再
び酸クロリドに変換する場合は、温度を下げてクロル化
剤を添加すればよい。
【0021】カルボン酸クロリドを使用するときはO−
アシル化反応から始まる。副生したカルボン酸を再び酸
クロリドに変換する場合は、カルボン酸の場合と同じで
ある。 目的とするO,O´−ジアシル酒石酸無水物は
反応終了後、濾過、洗浄、あるいは必要に応じて濃縮し
たのち濾過するなどして公知の方法によって容易に単離
することができる。単離したO,O´−ジアシル酒石酸
無水物は高純度であり、しかも光学活性酒石酸が原料の
場合は光学活性を保持している。また不幸にして原料の
カルボン酸が混入したときにはトルエン、アセトニトリ
ル、アセトンなどの有機溶媒でO,O´−ジアシル酒石
酸無水物を再結晶精製するか、トルエンなど疎水性の有
機溶媒の存在下炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄するこ
ともでき、また塩化チオニルなどのクロル化剤で再処理
するこによりカルボン酸を液体の酸クロリドとして除去
することもできる。
【0022】O,O´−ジアシル酒石酸無水物は、トル
エン、ベンゼンなど疎水性の有機溶媒と水との混合溶媒
中、40〜90℃で加熱することで容易に加水分解され
る。反応終了後、濾過、洗浄などの操作によって、高収
率、高純度のO,O´−ジアシル酒石酸が得られ、原料
酒石酸の光学活性は保持されたままである。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0024】なお、実施例において反応濾液中に存在す
るO,O´−ジアシル酒石酸無水物の定量はO,O´−
ジアシル酒石酸無水物をイソプロピルアミンと反応させ
てモノアミド化したのち、高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)により分析した。光学純度は、CHIRA
CEL OJ(ダイセル製)を用いて、HPLCにより
分析した。
【0025】実施例1 温度計、滴下ロート、コンデンサー、攪拌機を備えた4
つ口300mlフラスコにL−酒石酸30.0g(0.2
00モル)とトルエン36.1gを仕込んだ。十分に攪
拌下、コンデンサー上部より微減圧に引いてトルエンを
還流させながら、滴下ロートよりp−トルイル酸クロリ
ドを68.0g(0.440モル)を2時間かけて滴下
した。滴下中バス温は液温より13〜15℃高く保っ
た。p−トルイル酸クロリドを1/2滴下すると晶析が
始まった。滴下後沸点下で1時間熟成したのち、バス温
を80℃に下げ、液温を75〜85℃に保ちながら塩化
チオニル28.6g(0.240モル)を1時間で滴下
した。滴下終了後同温で1時間熟成し、バス温を130
℃に上げてさらに沸点下6時間攪拌した。このときの液
温は約115℃であった。次にトルエン68.1gを添
加して冷却した。反応液を濾過し、トルエン43.0g
でケークを洗浄した。60℃で減圧乾燥して白色の結晶
O,O´−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸無水物6
7.5g(0.183モル)を得た。得られた化合物の
分析結果は次のとおりであった。収率は91.5%であ
った。得られた結晶中に含まれるp−トルイル酸は0.
1%であった。
【0026】融点:204〜205℃ IR:2974、2954、1883、1809、17
32、1707、1610、1267、1058、10
19cm-1 NMR:2.42 ppm(6H),6.64 ppm(2
H),7.35〜8.02ppm (8H)
【0027】温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた4
つ口300mlフラスコに、得られたO,O´−ジ−p−
トルオイル−L−酒石酸無水物67.5g(0.183
モル)とトルエン28.3gおよび水166.6gを仕
込み、液温81〜83℃で2時間攪拌した。液温60℃
まで冷却し、種晶50mgを添加して油状物を結晶化させ
たのち室温まで冷却した。結晶を濾過、洗浄後、60℃
で減圧乾燥し、69.2g(0.179モル)のO,O
´−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸を得た。収率は9
7.8%であった。得られた結晶中に含まれるp−トル
イル酸は0.3%であり、融点は169〜171℃、光
学純度は99.5%eeであった。
【0028】実施例2 温度計、滴下ロート、コンデンサー、攪拌機を備えた4
つ口200mlフラスコにL−酒石酸15.0g(0.1
00モル)とトルエン18.0gおよびp−トルイル酸
30.0g(0.220モル)を仕込んだ。攪拌下、液
温を80〜90℃に保ちながら滴下ロートより塩化チオ
ニル29.8g(0.250モル)を1時間かけて滴下
した。滴下後1時間攪拌したのち、液温を120℃に上
げてコンデンサー上部より微減圧に引いてトルエンを還
流させながら沸点下で2時間攪拌した。途中で結晶が析
出した。次にバス温を80℃に下げ、液温を75〜85
℃に保ちながら、塩化チオニル15.0g(0.126
モル)を1時間で滴下した。滴下終了後同温で1時間熟
成し、バス温を130℃に上げてさらに沸点下6時間攪
拌した。このときの液温は約115℃であった。トルエ
ン40.1gを添加して冷却した。反応液を濾過し、ト
ルエン23.0gでケークを洗浄した。60℃で減圧乾
燥して白色の結晶O,O´−ジ−p−トルオイル−L−
酒石酸無水物33.2g(0.090モル)を得た。収
率は90.1%であった。得られた結晶中に含まれるp
−トルイル酸は0.3%であり、融点は204〜205
℃であった。
【0029】実施例3 温度計、滴下ロート、コンデンサー、攪拌機を備えた4
つ口300mlフラスコにL−酒石酸30.0g(0.2
00モル)とトルエン36.1gを仕込んだ。十分に攪
拌下、コンデンサー上部より微減圧に引いて液温110
℃に保ちながら滴下ロートより塩化ベンゾイルを61.
9g(0.440モル)を3時間かけて滴下した。塩化
ベンゾイルを1/2滴下すると晶析が始まった。滴下中
バス温は122〜124℃に保った。液温110℃で2
時間熟成したのち、バス温を80℃に下げ、液温を75
〜85℃に保ちながら塩化チオニル28.6g(0.2
40モル)を1時間で滴下した。滴下終了後同温で1時
間熟成し、液温110℃で6時間攪拌した。このときの
液温は約115℃であった。次にトルエン68.1gを
添加して冷却した。反応液を濾過し、トルエン40.0
gでケークを洗浄した。50℃で減圧乾燥して白色の結
晶O,O´−ジベンゾイル−L−酒石酸無水物54.8
g(0.161モル)を得た。得られた化合物の分析結
果は次のとおりであった。収率は80.5%であった。
得られた結晶中に含まれる安息香酸は0.2%であっ
た。
【0030】融点:194〜196℃ IR:2968、2950、1880、1823、17
38、1706、1568、1266、1058、10
27、709cm-1 NMR:6.75 ppm(2H),7.45〜8.20 p
pm(10H)
【0031】温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた4
つ口300mlフラスコに、得られたO,O´−ジベンゾ
イル−L−酒石酸無水物54.8g(0.161モル)
とトルエン23.1gおよび水156.5gを仕込み、
液温81〜83℃で2時間攪拌した。液温50℃まで冷
却し、種晶40mgを添加して油状物を結晶化させたのち
室温まで冷却した。結晶を濾過、洗浄後、50℃で減圧
乾燥し、58.3g(0.155モル)のO,O´−ジ
ベンゾイル−L−酒石酸・1水塩を得た。収率は96.
3%であった。得られた結晶中に含まれる安息香酸は
0.3%であり、融点は89〜91℃、光学純度は9
9.5%eeであった。
【0032】実施例4 コンデンサー、滴下ロートを備えた50ml2口フラスコ
にDL−酒石酸3.0g(0.020モル)、トルエン
4.0g、p−トルイル酸クロリド8.5g(0.05
5モル)を仕込んで、バス温130℃でコンデンサー上
部より微減圧に引きながら4時間スターラー攪拌した。
次いで、バス温を90℃に下げて、塩化チオニル3.0
g(0.025モル)を添加し1時間攪拌した。トルエ
ン30gを加えてバス温度130℃に上げて全部溶解さ
せたのちゆっくり冷却した。反応液を濾過、洗浄、60
℃で減圧乾燥して白色の結晶O,O´−ジ−p−トルオ
イル−DL−酒石酸無水物5.9g(0.016モル)
を得、実施例1と同様にして加水分解し、5.9g
(0.015モル)のO,O´ジ−p−トルオイル−D
L−酒石酸を得た。得られた結晶中に含まれるp−トル
イル酸は0.2%であった。
【0033】実施例5 コンデンサー、滴下ロートを備えた50ml2口フラスコ
に酢酸4.3g(0.072モル)、L−酒石酸4.5
g(0.030モル)を仕込み、バス温67℃で塩化チ
オニル14.2g(0.119モル)をスターラー攪拌
下4時間で滴下し、さらに同温度で2時間攪拌した。冷
却後、トルエン3.5gを加えて攪拌した。反応液を濾
過、洗浄、50℃で減圧乾燥して白色の粗結晶5.6g
を得、酢酸/トルエンの混合溶媒で再結晶して、O,O
´−ジアセチル−L−酒石酸無水物4.2g(0.01
9モル)を得た。収率63%で融点は132〜134℃
であった。
【0034】実施例6 コンデンサー、滴下ロートを備えた50ml2口フラスコ
にキシレン6.0g、o−クロル安息香酸クロリド1
1.6g(0.066モル)およびL−酒石酸4.5g
(0.030モル)を仕込んだ。バス温130℃でコン
デンサー上部より微減圧に引きながら4.5時間攪拌し
た。次いで、バス温を90℃に下げて、塩化チオニル
5.1g(0.043モル)を添加し1.5時間攪拌し
た。さらにバス温130℃に上げ2.5時間攪拌した。
トルエン30gを加えて攪拌しながらゆっくり室温まで
冷却した。反応液を濾過、洗浄、50℃で減圧乾燥して
白色の結晶O,O´−ジ−o−クロルベンゾイル−L−
酒石酸無水物6.6g(0.016モル)を得た。得ら
れた化合物の分析結果は次のとおりであった。収率54
%。
【0035】融点:165〜169℃ IR:2936、1888、1805、1735、15
90、1249、1142、1131、1057、10
47、952、738cm-1 NMR:6.80 ppm(2H),7.40〜8.15 p
pm(8H)
【0036】実施例7 コンデンサー、滴下ロートを備えた50ml2口フラスコ
にキシレン6.0g、m−トルイル酸クロリド10.2
g(0.066モル)およびL−酒石酸4.5g(0.
030モル)を加え、バス温を130℃に上げてコンデ
ンサー上部より微減圧に引きながら3.5時間攪拌し
た。次いで、バス温を90℃に下げて塩化チオニル5.
8g(0.049モル)を添加し、1.5時間攪拌し
た。さらにバス温130℃に上げ5時間攪拌した。トル
エン30gを加えて攪拌しながらゆっくり室温まで冷却
した。反応液を濾過、洗浄、60℃で減圧乾燥して白色
の結晶O,O´−ジ−m−トルオイル−L−酒石酸無水
物8.4g(0.023モル)を得た。得られた化合物
の分析結果は次のとおりであった。HPLC分析による
反応濾液中に含まれるO,O´−ジ−m−トルオイル−
L−酒石酸無水物を合せて反応収率は82%、単離収率
は76%であった。
【0037】融点:142〜147℃ IR:2962、1881、1820、1734、17
04、1590、1333、1276、1196、10
60、1016cm、740cm-1 NMR:2.40 ppm(6H),6.68 ppm(2
H),7.35〜8.00 ppm(8H)
【0038】
【発明の効果】 本発明によれば高収率、高純度のO,
O´−ジアシル酒石酸無水物を工業的に安価に製造でき
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年2月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 O,O´−ジアシル酒石酸無水物の
製造法
【特許請求の範囲】
【化1】 (式中、R、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキ
ル基あるいはハロゲン原子を表す。)で表される芳香族
カルボン酸を酒石酸と反応せしめることを特徴とする
O,O´−ジアシル酒石酸無水物の製造法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、O,O´−ジアシル酒
石酸無水物の製造法に関する。
【0002】光学活性O,O´−ジアシル酒石酸無水物
は有用な物質であり、種々の用途に利用されている。例
えば、光学活性アミンや光学活性アルコールを反応させ
ると光学活性モノアミドや光学活性モノエステルとな
り、この反応を利用してクロマト充填剤を作ることがで
きる(米国特許第4,318,819号明細書)。また
光学活性O,O´−ジアシル酒石酸無水物はラセミの
ミン、ラセミのアミノ酸、ラセミのヒドロキシ酸、ラセ
ミのアミノアルコールやラセミのアルコールと反応させ
るとジアステレオマー化合物となり、これらジアステレ
オマー化合物はクロマトグラフィーや分別結晶法によっ
て光学分割することができる。たとえば、クロマトグラ
フィーではアミノアルコールであるβ−ブロッカーを光
学分割することが報告されている(J.Chromat
ogr.316 P605−616(1984))。同
じくβ−ブロッカーのチモロールが分別結晶法で光学分
割されている(オランダ特許第8500939号)
【0003】
【従来の技術】来、O,O´−ジアシル酒石酸無水物
として知られているものはO,O´−ジアセチル酒石酸
無水物とO,O´−ジベンゾイル酒石酸無水物である。
【0004】O,O´−ジアセチル−L−酒石酸無水物
の合成法としては、(1)L−酒石酸1モルに対して濃
硫酸存在下、無水酢酸を4.9モル使用する方法(Or
ganic Syntheses Coll. Vo
l. P242(1963))、また、O,O´−ジベ
ンゾイル−L−酒石酸無水物の製造法としては、(2)
L−酒石酸1モルに対して塩化べンゾイルを3.2モル
用いる方法(J.Am.Chem.Soc.55,P2
605(1933))が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記(1)、(2)の
方法は酒石酸1モルに対して3モル以上の酸無水物ある
いは酸クロリドを使用する方法であり、副生するカルボ
ン酸を除去しなければならず、高純度の光学活性O,O
´−ジアシル酒石酸無水物を得るのは容易でない。 し
たがって、O,O´−ジアシル酒石酸無水物を高純度で
収率よく、工業的に製造する方法が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
高純度のO,O´−ジアシル酒石酸無水物を収率よく、
しかも工業的に製造する方法を鋭意検討した結果、クロ
ル化剤の存在下、酒石酸と特定のカルボン酸を反応せし
めることによってO,O´−ジアシル酒石酸無水物を高
純度で収率よく、かつ工業的に製造する方法を見出し
た。
【0007】すなわち、本発明は、クロル化剤存在下に
おいて次の一般式(I) COH……(I) (式中、R は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基
を表す。)で表される低級脂肪族カルボン酸、あるいは
次の一般式(II)
【化2】 (式中、R,Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキ
ル基あるいはハロゲン原子を表す。)で表される芳香族
カルボン酸を酒石酸と反応せしめることを特徴とする
O,O´−ジアシル酒石酸無水物の製造法である。
【0008】以下、本発明の構成を詳細に説明する。
【0009】本発明において適用される上記式(I)ま
たは(II)で表されるO−アシル化剤のカルボン酸を
本発明では以下カルボン酸と称する。具体的には、
酸、プロピオン酸、酪酸などの低級脂肪族カルボン酸類
や安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−ト
ルイル酸、o−クロロ安息香酸、m−クロロ安息香酸、
p−クロロ安息香酸などのモノ置換芳香族カルボン酸
類、あるいは3,4−ジメチル安息香酸などのジ置換芳
香族カルボン酸類が挙げられる。
【0010】本発明において上記式(I)または(I
I)で表されるカルボン酸と酒石酸からO,O´−ジア
シル酒石酸無水物を製造する場合、カルボン酸をクロル
化剤で酸クロリドに変換する反応、酸クロリドが酒石酸
水酸基をO−アシル化する反応、酒石酸あるいは酒石
酸誘導体が無水物化される反応の3つに分けることがで
きる。カルボン酸のクロル化反応と酒石酸のO−アシル
化反応は、カルボン酸の種類によって、同じ温度で進行
する場合と異なる場合がある。一般に低級脂肪族カルボ
ン酸類は通常クロル化が進行する温度でO−アシル化さ
れるが、芳香族カルボン酸類のO−アシル化反応は通常
カルボン酸のクロル化反応よりも高温で進行する。した
がって、低級脂肪族カルボン酸はクロル化剤を添加す
ることでカルボン酸のクロル化とO−アシル化、無水物
化が同時に進行するが、芳香族カルボン酸類ではあらか
じめクロル化剤でカルボン酸クロリドに変換したのち、
O−アシル化反応が起こる温度に昇温して、O−アシル
化反応と無水物化反応を行うことが好ましい。
【0011】ところで、酒石酸のO−アシル化反応は、
O−アシル化剤にカルボン酸クロリドを使用する場合、
酒石酸1モルに対して2モルのカルボン酸クロリドが酒
石酸の2つの水酸基のO−アシル化に消費されると同時
に、1モルのカルボン酸クロリドが酒石酸あるいは酒石
酸誘導体のジカルボキシル基の無水物化に消費され、1
モルのカルボン酸が副生する。また、酸無水物を使用す
る場合、酒石酸1モルに対して2モルの酸無水物が酒石
酸の2つの水酸基のO−アシル化に消費されると同時
に、1モルの酸無水物が酒石酸あるいは酒石酸誘導体の
ジカルボキシル基の無水物化に消費され、4モルのカル
ボン酸が副生することになる。O−アシル化反応と無水
物化反応の反応速度差は小さく、区別することが容易で
ない。よって、従来の方法では通常3モル以上ののカル
ボン酸クロリド、あるいは酸無水物が必要となる。
【0012】従来のO−アシル化剤は酸クロリド、酸無
水物しか知られていなかった。それは、酒石酸の2級水
酸基が、クロル化剤と反応して酒石酸のクロル誘導体に
変換される可能性があったからである。
【0013】驚くべきことに、本発明によれば、酒石酸
とクロル化剤との反応は起こらず、選択的にカルボン酸
とクロル化剤の反応が優先し、カルボン酸が系中で酸ク
ロリドに変換できる。その理由は、クロル化の際に本発
明の反応で使われる溶媒中にカルボン酸と酒石酸が共存
すると、酒石酸はそれらの溶媒に非常に難溶であるた
め、酒石酸の2級水酸基あるいは酒石酸のカルボキシル
基のクロル化が起こりにくく、溶媒に比較的溶けやすい
O−アシル化剤のカルボン酸が優先的にクロル化剤と反
応することによる。すなわち、酒石酸とO−アシル化剤
のカルボン酸との溶媒への溶解度差からクロル化剤の反
応を制御することが可能となった。しかも、副生したカ
ルボン酸を系中で再びクロル化剤によって酸クロリドに
変換することができる。したがって、O−アシル化剤を
カルボン酸クロリドやカルボン酸無水物から安価なカル
ボン酸にすることができ、その上カルボン酸の使用量を
従来法の3モルから2モルに削減できるので、副生した
カルボン酸の除去が不要となり、O,O´−ジアシル酒
石酸無水物高純度、高収率で製造することができる。
【0014】以上のことから、上記カルボン酸は酒石酸
1モルに対して2モルが当量となる。したがって、その
使用量は酒石酸1モルに対して2.0〜2.8モル、好
ましくは2.0〜2.4モルである。2.8モル以上使
えば副生するカルボン酸あるいは過剰量の酸クロリドを
除去するのがそれだけ困難になる。カルボン酸1モルを
クロル化するには1モルのクロル化剤が必要であるか
ら、クロル化剤の使用量は酒石酸1モルに対して少なく
とも3.0モルが必要である。したがって、クロル化剤
は3.0〜6.0モル、好ましくは3.0〜4.5モル
がよい。3.0モル以下の場合はカルボン酸が定量的に
酸クロリドに変換されず、O,O´−ジアシル酒石酸無
水物の収率が低くなるし、6.0モル以上使用すれば過
剰なクロル化剤を取除かなければならない。
【0015】ルボン酸を酸クロリドに変換するための
クロル化剤としては通常に用いられる五塩化リン、三塩
化リン、塩化チオニルなどが使用できるが、O−アシル
化反応を妨害せず、O−アシル化反応後に生成したO,
O´−ジアシル酒石酸無水物を取り出す時結晶に混入し
ないクロル化剤がよい。したがって、塩化水素や亜硫酸
ガスとなって系外に流出する塩化チオニルが好ましい。
【0016】ここで、使用する溶媒としてはO,O´−
ジアシル酒石酸無水物を変質せしめることなく、かつア
シル化反応を妨害しないものであればよく、ベンゼン、
トルエン、キシレン、クロロベンゼンなど芳香族系、ジ
オキサンなどのエーテル系、ヘキサン、シクロヘキサン
などの脂肪族炭化水素系が挙げられる。
【0017】カルボン酸のクロル化反応はカルボン酸や
クロル化剤の種類にもよるが、一般的には室温から11
0℃以下で行われ、酒石酸のO−アシル化反応は30〜
160℃、好ましくは40〜140℃で行われる。反応
時間は反応温度などその他の条件により適宜選択するこ
とができ、一般的には1〜40時間で終了する。
【0018】次に酒石酸とカルボン酸を反応させる方法
について述べる。たとえば、酒石酸およびカルボン酸
を、あるいは必要に応じて溶媒も一挙に仕込み、その溶
液もしくはスラリー溶液中にクロル化剤を添加する。も
ちろん、酒石酸、カルボン酸およびクロル化剤を一挙に
仕込んでもよい。この方法は低級脂肪族カルボン酸で、
O−アシル化反応が低温で進行するものに適用できる。
またカルボン酸のクロル化反応より酒石酸のO−アシル
化反応の方が高い反応温度で進行する場合には、あらか
じめカルボン酸を塩化チオニルなどのクロル化剤で酸ク
ロリドとし、次いで酒石酸を加え、昇温してO−アシル
化する。酒石酸は始めにカルボン酸と同時に添加してお
いてもよい。途中、副生したカルボン酸を再び酸クロリ
ドに変換する場合は、温度を下げてクロル化剤を添加す
ればよい。
【0019】的とするO,O´−ジアシル酒石酸無水
物は反応終了後、濾過、洗浄、あるいは必要に応じて濃
縮したのち濾過するなどして公知の方法によって容易に
単離することができる。単離したO,O´−ジアシル酒
石酸無水物は高純度であり、しかも光学活性酒石酸が原
料の場合は光学活性を保持している。また不幸にして
−アシル化剤の固体のカルボン酸が混入したときにはト
ルエン、アセトニトリル、アセトンなどの有機溶媒で
O,O´−ジアシル酒石酸無水物を再結晶精製するか、
た塩化チオニルなどのクロル化剤で再処理するこによ
りカルボン酸を液体の酸クロリドとして除去することも
できる。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0021】なお、実施例において反応濾液中に存在す
るO,O´−ジアシル酒石酸無水物の定量はO,O´−
ジアシル酒石酸無水物をイソプロピルアミンと反応させ
てモノアミド化したのち、高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)により分析した。光学純度は、O,O´−
ジアシル酒石酸無水物を加水分解して得られるO,O´
−ジアシル酒石酸をCHIRACEL OJ(ダイセル
製)を用いて、HPLCにより分析した。
【0022】実施例1 温度計、滴下ロート、コンデンサー、攪拌機を備えた4
つ口00mlフラスコにL−酒石酸15.0g(0.1
00モル)とトルエン18.0gおよびp−トルイル酸
30.0g(0.220モル)を仕込んだ。攪拌下、液
温を80〜90℃に保ちながら滴下ロートより塩化チオ
ニル29.8g(0.250モル)を1時間かけて滴下
した。滴下後1時間攪拌したのち、液温を120℃に上
げてコンデンサー上部より微減圧に引いて発生したSO
や塩酸ガスを抜き出しながらトルエン還流下で2時間
攪拌した。途中で結晶が析出した。次にバス温を80℃
に下げ、液温を75〜85℃に保ちながら、塩化チオニ
ル15.0g(0.126モル)を1時間で滴下した。
滴下終了後1時間熟成したのち、バス温を130℃に上
げてさらに還流下6時間反応させた。このときの液温は
約115℃であった。トルエン40.1gを添加して冷
却したのち、反応液を濾過し、結晶をトルエン23.0
gで洗浄した。60℃で減圧乾燥して白色の結晶O,O
´−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸無水物33.2g
(0.090モル)を得た。収率は90.1%であっ
た。得られた結晶中に含まれるp−トルイル酸は0.3
%であり、融点は204〜205℃。光学純度は99.
5%eeであった。
【0023】IR:2974、2954、1883、1
809、1732、1707、1610、1267、1
058、1019cm-1 NMR:2.42 ppm(6H),6.64 ppm(2
H),7.35〜8.02ppm (8H) 実施例2 温度計、滴下ロート、コンデンサー、攪拌機を備えた4
つ口300mlフラスコにL−酒石酸30.0g(0.2
00モル)とトルエン36.1gおよび安息香酸53.
7g(0.440モル)を仕込んだ。攪拌下、液温を8
0〜90℃に保ちながら滴下ロートより塩化チオニル5
9.6g(0.500モル)を1時間かけて滴下した。
滴下後1時間攪拌したのち、液温を110℃に上げてコ
ンデンサー上部より微減圧に引いて発生したSOや塩
酸ガスを抜き出しながら3時間攪拌した。途中で結晶が
析出した。次にバス温を80℃に下げ、液温を75〜8
5℃に保ちながら、塩化チオニル28.6g(0.24
0モル)を1時間で滴下した。滴下終了後1時間熟成
し、液温110℃で6時間攪拌した。次にトルエン6
8.1gを添加して冷却した。反応液を濾過し、トルエ
ン40.0gで結晶を洗浄した。50℃で減圧乾燥して
白色の結晶O,O´−ジベンゾイル−L−酒石酸無水物
54.8g(0.161モル)を得た。収率は80.6
%、得られた結晶中に含まれる安息香酸は0.2%であ
り、融点は194〜196℃。光学純度は99.5%e
eであった。
【0024】IR:2968、2950、1880、1
823、1738、1706、1568、1266、1
058、1027、709cm-1 NMR:6.75 ppm(2H),7.45〜8.20 p
pm(10H)
【0025】実施例3コンデンサー、滴下ロートを備えた50ml2口フラスコ
にDL−酒石酸3.0g(0.020モル)、トルエン
4.0g、p−トルイル酸6.3g(0.046モ
ル)、塩化チオニル6.5g(0.055モル)を仕込
んで、バス温90℃で3時間攪拌した後、バス温度13
0℃でコンデンサー上部より微減圧に引いて発生したS
や塩酸ガスを抜き出しながら4時間スターラー攪拌
した。次いで、バス温を90℃に下げて、塩化チオニル
3.6g(0.030モル)を添加し1時間攪拌した。
バス温度130℃に上げ3時間攪拌し、トルエン30g
を加えて全部溶解させたのちゆっくり冷却した。反応液
を濾過、洗浄、60℃で減圧乾燥して白色の結晶O,O
´−ジ−p−トルオイル−DL−酒石酸無水物5.9g
(0.016モル)を得た(単離収率80%)。
【0026】実施例 コンデンサー、滴下ロートを備えた50ml2口フラスコ
に酢酸4.3g(0.072モル)、L−酒石酸4.5
g(0.030モル)を仕込み、バス温67℃で塩化チ
オニル14.2g(0.119モル)をスターラー攪拌
下4時間で滴下し、2時間攪拌した。冷却後、トルエン
3.5gを加えて攪拌した。析出結晶を濾過、洗浄、5
0℃で減圧乾燥して白色の粗結晶5.6gを得、酢酸/
トルエンの混合溶媒で再結晶して、O,O´−ジアセチ
ル−L−酒石酸無水物4.2g(0.019モル)を得
た。単離収率63%で融点は132〜134℃であっ
た。
【0027】実施例 コンデンサー、滴下ロートを備えた50ml2口フラスコ
にキシレン6.0g、o−クロロ安息香酸10.3g
(0.066モル)、L−酒石酸4.5g(0.030
モル)および塩化チオニル9.4g(0.079モル)
を仕込んで、バス温90℃で3時間攪拌した後、バス温
度130℃でコンデンサー上部より微減圧に引き発生し
たSOや塩酸ガスを抜き出しながら4.5時間攪拌し
た。次いで、バス温を90℃に下げて、塩化チオニル
5.1g(0.043モル)を添加し1.5時間攪拌し
た。さらにバス温130℃に上げ2.5時間攪拌した。
トルエン30gを加えて攪拌しながらゆっくり室温まで
冷却した。析出結晶を濾過、洗浄、50℃で減圧乾燥し
て白色の結晶O,O´−ジ−o−クロロベンゾイル−L
−酒石酸無水物6.6g(0.016モル)を得た。得
られた化合物の分析結果は次のとおりであった。単離収
率54%。
【0028】融点:165〜169℃ IR:2936、1888、1805、1735、15
90、1249、1142、1131、1057、10
47、952、738cm-1 NMR:6.80 ppm(2H),7.40〜8.15 p
pm(8H)
【0029】実施例 コンデンサー、滴下ロートを備えた50ml2口フラスコ
にキシレン6.0g、m−トルイル酸8.9g(0.0
66モル)、L−酒石酸4.5g(0.030モル)
よび塩化チオニル9.4g(0.079モル)を仕込ん
で、バス温85℃で3時間攪拌した後、バス温を130
℃に上げてコンデンサー上部より微減圧に引き発生した
SO や塩酸ガスを抜き出しながら3.5時間攪拌し
た。次いで、バス温を85℃に下げて塩化チオニル5.
8g(0.049モル)を添加し、1.5時間攪拌し
た。さらにバス温130℃に上げ5時間攪拌した。キシ
レン30gを加えて攪拌しながらゆっくり室温まで冷却
した。反応液を濾過、洗浄、50℃で減圧乾燥して白色
の結晶O,O´−ジ−m−トルオイル−L−酒石酸無水
物8.4g(0.023モル)を得た。得られた化合物
の分析結果は次のとおりであった。HPLC分析による
反応濾液中に含まれるO,O´−ジ−m−トルオイル−
L−酒石酸無水物を合せて反応収率は82%、単離収率
は76%であった。
【0030】融点:142〜147℃ IR:2962、1881、1820、1734、17
04、1590、1333、1276、1196、10
60、1016cm、740cm-1 NMR:2.40 ppm(6H),6.68 ppm(2
H),7.35〜8.00 ppm(8H)
【0031】実施例7 攪拌機、温度計、コンデンサーおよび滴下ロートを装着
した300mlの反応器にD−酒石酸30.Og(O.
200モル)、3,4−ジメチル安息香酸66.0g
(0.440モル)およびトルエン40gを仕込んだ。
攪拌下、液温を80〜90℃に保ちながら滴下ロートよ
り塩化チオニル59.6g(0.500モル)を1時間
かけて滴下した。滴下後1時間攪拌したのち、液温を1
20℃に上げてコンデンサー上部より微減圧に引いて発
生したSOや塩酸ガスを抜き出しながら2時間攪拌し
た。途中で結晶が析出した。次にバス温を80℃に下
げ、液温を75〜85℃に保ちながら、塩化チオニル2
8.6g(0.240モル)を1時間で滴下した。滴下
終了後1時間熟成し、液温120℃で6時間攪拌した。
次にトルエン68.0gを添加して冷却した。反応液を
濾過し、トルエン40.0gで結晶を洗浄した。40℃
で減圧乾燥して白色結晶のO,O´−ジ−(3,4−ジ
メチルベンゾイル)−D−酒石酸無水物71.4g
(0.180モル)を得た。融点は180〜182℃で
収率は90.1%であった。
【0032】
【発明の効果】 本発明によれば酒石酸とカルボン酸類
から高収率、高純度のO,O´−ジアシル酒石酸無水物
を工業的に安価に製造できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロル化剤存在下において次の一般式
    (I) RCOH……(I) (式中、Rは1〜4個の炭素原子を有するi)アルキル
    基、ii) フェニル基またはiii)炭素数1〜4のア
    ルキル基あるいはハロゲン原子により置換されているフ
    ェニル基を表す。)で表されるカルボン酸を酒石酸と反
    応せしめることを特徴とするO,O´−ジアシル酒石酸
    無水物の製造法。
  2. 【請求項2】 クロル化剤存在下において次の一般式
    (II) RCOCl……(II) (式中、Rは1〜4個の炭素原子を有するi)アルキル
    基、ii) フェニル基またはiii)炭素数1〜4のア
    ルキル基あるいはハロゲン原子により置換されているフ
    ェニル基を表す。)で表されるカルボン酸クロリドを酒
    石酸と反応せしめることを特徴とするO,O´−ジアシ
    ル酒石酸無水物の製造法。
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