JP3257779B2 - タートラニル酸類の製造法 - Google Patents

タートラニル酸類の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タートラニル酸類
の製造法に関する。さらに詳しくは、ラセミ塩基性有機
化合物の光学分割剤として有用であり(特公昭57-8102
号公報;モンツカ(Montzka) ら、ザ・ジャーナル・オブ
・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.) 33, 39
93 (1968) ;米国特許第3,452,086 号明細書等)、また
アルコールの光学分割や不斉有機反応におけるキラルな
化合物(chiral auxiliary)としても好適に使用しうる
タートラニル酸類の工業的製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】タートラニル酸類の製造法としては、L
−酒石酸と無水酢酸とを、他の溶媒を存在させることな
しに触媒量の硫酸、有機スルホン酸等の作用によって反
応させ(第一工程)、得られたジアセチル酒石酸無水物
とアニリン類とを反応させ(第二工程)、ジアセチル酒
石酸モノアニリド(ジアセチルタートラニル酸類)を得
た後、これを加水分解し、L−タートラニル酸を得るこ
と(第三工程)からなる方法等が提案されている〔プレ
スマン(Pressmann) ら、ジャーナル・オブ・アメリカン
・ケミカル・ソサイエティ(J. Am. Chem. Soc.)31, 13
52 (1948) ;モンツカ(Montzka) ら、ザ・ジャーナル・
オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.) 3
3, 3993 (1968) ;特開平10-218847 号公報〕。
【0003】第一工程のジアセチル酒石酸無水物の製造
法は、例えば、エヌ・ラプヨーン(N.Rabjohn) 編、オー
ガニック・シンセセス(Organic Syntheses), Coll.Vol.
IV、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ インク(John
Wiley & Sons,INC.)、ニューヨーク N.Y., 1963, p242
などに記載されている。これらの記載によれば、酒石酸
と無水酢酸とを、特に他の反応溶媒が存在しないところ
で触媒量の硫酸存在下で激しく反応させ、生成した酢酸
を沸騰させるに至る。反応生成物を冷却して析出したジ
アセチル酒石酸無水物を濾過し、ベンゼン、エーテルな
どで漏斗上で洗浄することにより、ジアセチル酒石酸無
水物が得られている。この化合物は、やや不安定で長時
間の保存に耐えられないので、必要に応じて調製するの
が望ましいとされている。
【0004】第二工程では、ジアセチル酒石酸無水物と
アニリン類との反応は、メチレンクロライドのような不
活性な溶媒中で室温ないし溶媒の還流温度で行なわれて
おり、その反応完結のために、普通数時間加熱されてい
る。
【0005】第三工程では、生成したジアセチルタート
ラニル酸類をアルカリ水溶液と接触させ、室温〜加温下
でしばらく放置し、アセチル基の加水分解を行ない、酸
性にした後、氷冷して析出したタートラニル酸類が濾過
されている。
【0006】特開平10-218847 号公報に記載の方法によ
れば、第一工程における酒石酸と無水酢酸との反応にお
いて、これまで必要とされている硫酸触媒の代わりに、
無触媒あるいは有機スルホン酸、ルイス酸等の温和な触
媒を用いることにより、副生する酢酸および過剰の無水
酢酸を直接反応混合物から留去することが可能となり、
それにより化学的に不安定なジアセチル酒石酸無水物を
単離することなく直ちに第二工程のアニリン類との反応
を行うことができる。
【0007】しかしながら、この方法には、第一工程の
反応を終えた後、副生した酢酸および過剰の無水酢酸を
第一工程の反応混合物から留去するという煩雑な操作を
要するという欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
鑑みてなされたものであり、第一工程で副生した酢酸お
よび過剰の無水酢酸を反応混合物から留去するという煩
雑な操作を必要とせず、かつ第一工程で生成した化学的
に不安定なジアセチル酒石酸無水物を単離することな
く、タートラニル酸類を製造しうる方法を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、第一工程
の反応を終えた後、副生した酢酸および過剰の無水酢酸
を第一工程の反応混合物から留去せずに、さらに第一工
程における目的化合物である化学的に不安定なジアセチ
ル酒石酸無水物を単離することなく、また第一工程で用
いたのと同じ反応容器中で第一工程の反応終了後に直ち
に第二工程の反応を行うことができれば、更に第二工程
の反応終了後にジアセチルタートラニル酸類を単離する
ことなく直ちにアセチル基の加水分解(第三工程)をす
ることができるので、酒石酸と無水酢酸との反応からタ
ートラニル酸類の製造に至るまで、一連の反応操作を合
理化することができるとの新たな課題の下、鋭意研究を
重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0010】本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭
意研究を重ねた結果、第一工程において、酒石酸と無水
酢酸との反応の際には従前では、他に特別の溶媒が用い
られていなかったが、かかる第一工程において、反応を
阻害しない有機溶媒を用いて反応させれば、該反応で副
生する酢酸および過剰の無水酢酸を反応混合物から留去
せずに、かつ第一工程における目的化合物である化学的
に不安定なジアセチル酒石酸無水物を単離することな
く、第一工程の反応終了後に直ちに第一工程で用いたの
と同じ溶液および容器中で第二工程の反応を行なうこと
ができ、またこの第二工程で得られた反応溶液とアルカ
リ水溶液とを混合してアセチル基の加水分解を行なえ
ば、光学分割剤として有用なタートラニル酸類を高収率
かつ高純度で工業的規模で製造しうることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明の製造法によれば、第一
工程における酒石酸と無水酢酸との反応から、第三工程
におけるタートラニル酸類の製造に至るまでの一連の反
応操作を効率よく行なうことができる。
【0012】本発明の要旨は、(1) 反応を阻害しな
い有機溶媒中で酒石酸と無水酢酸とを反応させ、得られ
た反応溶液から生成したジアセチル酒石酸無水物を単離
せずに、該反応溶液とアニリン類とを混合し、ジアセチ
ル酒石酸無水物とアニリン類とを反応させ、得られたジ
アセチルタートラニル酸類をアルカリ加水分解すること
を特徴とするタートラニル酸類の製造法、(2) 反応
を阻害しない疎水性有機溶媒中で酒石酸と無水酢酸とを
反応させ、得られた反応溶液から生成したジアセチル酒
石酸無水物を単離せずに、該反応溶液とアニリン類とを
混合し、ジアセチル酒石酸無水物とアニリン類とを反応
させ、得られたジアセチルタートラニル酸類の疎水性有
機溶媒溶液とアルカリ水溶液とを接触させ、ジアセチル
タートラニル酸類を加水分解し、タートラニル酸類のア
ルカリ水溶液を得ることを特徴とするタートラニル酸類
の製造法、(3) 有機溶媒が芳香族系有機溶媒である
前記(1)又は(2)記載のタートラニル酸類の製造
法、(4) 有機溶媒がトルエンである前記(1)〜
(3)いずれか記載のタートラニル酸類の製造法、
(5) アニリン類が2−クロロアニリンであり、ター
トラニル酸類が2−クロロタートラニル酸である前記
(1)〜(4)いずれか記載のタートラニル酸類の製造
法、(6) 酒石酸と無水酢酸との反応を無触媒で行な
う前記(1)〜(5)いずれか記載のタートラニル酸類
の製造法、(7) 酒石酸がL−酒石酸又はD−酒石酸
であり、タートラニル酸類がL−体又はD−体である前
記(1)〜(6)いずれか記載のタートラニル酸類の製
造法、(8) 酒石酸がL−酒石酸であり、アニリン類
が2−クロロアニリンであり、タートラニル酸類がL−
2−クロロタートラニル酸である前記(1)〜(7)い
ずれか記載のタートラニル酸類の製造法に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の製造法は、例えば、以下
のスキームのように表わされる。
【0014】
【化1】
【0015】本発明では、まず、第一工程として、反応
を阻害しない有機溶媒中で酒石酸と無水酢酸とを反応さ
せる。
【0016】酒石酸は、L−酒石酸およびD−酒石酸の
いずれであってもよい。また、DL体であっても、本発
明の目的を妨げるものではない。酒石酸として、L−酒
石酸を用いた場合、目的化合物であるタートラニル酸類
はL−体となり、またD−酒石酸を用いた場合、該ター
トラニル酸類はD−体となる。
【0017】無水酢酸の量は、反応を完結させるために
は、化学量論的には、酒石酸1モルに対して3モル以上
であるが、通常、3.0〜3.3モルであることが好ま
しい。第二工程で使用されるアニリン類が高価であると
きなどには、経済面から化学量論量以下であってもよ
い。
【0018】酒石酸と無水酢酸との反応の際には、硫
酸、有機スルホン酸、ルイス酸等の触媒を使用すること
ができる。しかし、触媒として、硫酸を使用した場合、
生成したジアセチル酒石酸無水物を化学的に不安定に
し、また硫酸やルイス酸のような強酸性物質を使用した
場合、次の第二工程における反応で、それに対応する量
のアニリン類が塩(硫酸塩等)となって反応に関与しな
くなるため、結果的にアニリン類を過剰に加える必要が
ある。したがって、本発明においては、無触媒であるこ
とが好ましい。
【0019】本明細書にいう「反応を阻害しない有機溶
媒」とは、第一工程および第二工程における反応を阻害
しないものをいう。この有機溶媒の中では、疎水性有機
溶媒は、第三工程でのアルカリ加水分解反応において、
アルカリ水溶液との分液操作を容易に行なうことがで
き、しかもその際に不純物を有機層に残存させて有機層
と加水分解生成物とを容易に分離することができる観点
から、好ましい。疎水性有機溶媒としては、ベンゼン、
クロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶
媒、なかでも特にトルエンを好適に使用することができ
る。なお、無水酢酸は、当然に、ここでいう有機溶媒で
はない。有機溶媒の量は、特に限定がないが、通常、酒
石酸1重量部に対して、2〜10重量部程度であること
が好ましい。
【0020】酒石酸と無水酢酸との反応は、通常、70
℃以上、好ましくは80〜120℃で行なうことが望ま
しい。なお、酒石酸と無水酢酸との反応が前記有機溶媒
中で行なわれるので、反応の際には、還流することによ
り反応温度を制御することができる。
【0021】酒石酸と無水酢酸との反応終了後、生成し
たジアセチル酒石酸無水物を反応溶液から単離せずに、
該反応溶液をそのままの状態で第二工程であるジアセチ
ル酒石酸無水物とアニリン類との反応に供される。
【0022】第二工程におけるジアセチル酒石酸無水物
とアニリン類との反応の際には、第一工程で副生した酢
酸や残存する無水酢酸を第一工程で得られた反応溶液か
ら留去することなく、そのままの状態で、該反応溶液と
アニリン類とを混合し、ジアセチル酒石酸無水物とアニ
リン類とを反応させる。
【0023】アニリン類としては、例えば、アニリン、
2−クロロアニリン等のハロゲン置換アニリン誘導体等
が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して
用いることができる。これらの中では、2−クロロアニ
リンは、本発明において好適に使用しうるものである。
なお、アニリン類として2−クロロアニリンを用いた場
合には、本発明の目的化合物であるタートラニル酸類と
して2−クロロタートラニル酸が得られる。
【0024】アニリン類の量は、特に限定がないが、通
常、生成したジアセチル酒石酸無水物1モルあたり、
1.05〜1.1モルである。なお、高価なアニリン類
を使用する場合には、経済性を考慮して、生成したジア
セチル酒石酸無水物1モルあたり、該アニリン類の量が
1モル以下となるようにして使用することもある。
【0025】なお、第一工程で硫酸やルイス酸のような
強酸性物質を触媒として使用した場合には、これらの触
媒がアニリン類と中和反応し、塩を生成することになる
ので、アニリン類の量は、該中和反応に使用される量を
加味して定めることが好ましい。
【0026】2−クロロアニリンを第一工程で得た反応
溶液と混合した後、数時間攪拌することにより、ジアセ
チル酒石酸無水物とアニリン類との反応を完結させるこ
とができる。
【0027】反応温度は、通常、室温〜50℃であるこ
とが好ましい。反応時には、顕著な発熱がないが、必要
に応じて流水等で冷却してもよい。
【0028】反応に要する時間は、特に限定がなく、通
常、10分〜2時間程度である。
【0029】次に、第二工程におけるジアセチル酒石酸
無水物とアニリン類との反応終了後、第三工程として、
ジアセチルタートラニル酸類のアルカリ加水分解を行な
う。
【0030】ジアセチルタートラニル酸類の加水分解
は、第二工程で得られた反応溶液から有機溶媒を留去す
るなどしてジアセチルタートラニル酸類を単離したの
ち、これをメタノール等のアルコール−苛性アルカリ溶
液、苛性アルカリ水溶液等を用いたアルカリ加水分解に
よって行なうことができる。苛性アルカリとしては、例
えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ
る。
【0031】なお、第一工程および第二工程で有機溶媒
として疎水性有機溶媒を使用したときには、第二工程で
生成したジアセチルタートラニル酸類を反応溶液から単
離せずに、過剰のアルカリ水溶液と接触させ、そのまま
アセチル基を加水分解することができる。その際、種々
の不純物や反応副生成物が有機溶媒層に残留するので、
該アルカリ水溶液を酸析するのみで、更に精製すること
なく、高純度のタートラニル酸類を析出させることがで
きる。
【0032】前記加水分解をアルカリ加水分解で行なう
場合、苛性アルカリの量は、アセチル基の加水分解、残
存無水酢酸の加水分解および生成タートラニル酸類の中
和を考慮して、第一工程で使用した無水酢酸の使用量か
ら計算した量を最低限必要とする。苛性アルカリの量
は、通常、生成したタートラニル酸類のアミド結合の分
解防止の観点から、酒石酸1モルに対して7〜8モルで
あることが好ましい。
【0033】ジアセチルタートラニル酸類の加水分解法
としては、ジアセチルタートラニル酸類をアルカリ水溶
液に添加して加水分解をする方法、およびジアセチルタ
ートラニル酸類にアルカリ水溶液を添加して加水分解を
する方法が挙げられる。これらの方法の中では、前者の
方法は、強アルカリ性で接触させるため、アミド結合の
加水分解を伴いやすいが、その反面、加水分解の速度が
早いという利点がある。また、後者の方法は、加水分解
の速度が遅く、若干加熱を要するが、その反面、反応容
器が1つでよく、副反応が起こり難いという利点があ
る。
【0034】ジアセチルタートラニル酸類の加水分解
は、通常、40〜70℃程度の温度で行なうことができ
る。
【0035】タートラニル酸類の単離は、通常、ジアセ
チルタートラニル酸類の加水分解によって得られた加水
分解溶液を濃塩酸等で酸性にし、析出したタートラニル
酸類を濾取することによって行なうことができる。
【0036】アルコール−苛性アルカリで加水分解した
ときには、加水分解溶液から有機溶媒を留去して得られ
たタートラニル酸類のアルカリ金属塩を水に溶解して水
溶液を調製し、この水溶液に計算量よりも若干過剰の濃
塩酸等を加えて酸析することが好ましい。
【0037】アルカリ水溶液中でジアセチルタートラニ
ル酸類のアセチル基の加水分解したときには、加水分解
反応終了後の反応溶液に計算量よりも過剰の濃塩酸等を
加えて酸析することが好ましい。
【0038】生成したタートラニル酸類は、濾過等によ
り単離したのち、再結晶等を行なって精製してもよい
が、第一工程および第二工程で疎水性有機溶媒を使用
し、アセチルタートラニル酸類を反応溶液から単離せず
にアルカリ水溶液と接触させ、そのままアセチル基を加
水分解したときには、前述のように、種々の不純物や反
応副生成物が有機溶媒層に残留するので、該アルカリ水
溶液を酸析し、単離したタートラニル酸類は、高純度を
有するため、更に精製をする必要がない。また、さらに
精製するにしても再結晶回数を大幅に低減させることが
できるので、精製操作を大幅に簡素化させることができ
る。
【0039】かくして、タートラニル酸類が得られる
が、本発明においては、酒石酸がL−酒石酸であり、ア
ニリン類が2−クロロアニリンであり、タートラニル酸
類がL−2−クロロタートラニル酸である場合、該L−
2−クロロタートラニル酸は、パロキセチンの有用な中
間体であるトランス−(±)−(3S,4R)−(4−
フルオロフェニル)−3−ヒドロキシメチルピペリジン
から(−)体を光学分割するのに好適に使用しうるもの
である。
【0040】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定される
ものではない。
【0041】実施例1〔L-2-クロロタートラニル酸の製
造〕 L-酒石酸 30.02g(0.2 モル)にトルエン150ml および無
水酢酸 61.26g(0.6 モル)を加え、40分間還流させた
後、冷却し、接種してスラリー溶液とし、38〜46℃で2-
クロロアニリン28.07g(0.22モル)をこのスラリー溶液
に15分間かけて滴下し、2時間経過後に反応の終了を高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)で確認し、反応溶液を
得た。
【0042】別途、96%水酸化カリウム 81.83g(1.4 モ
ル)を水600ml に溶解させた水溶液を調製した。
【0043】次に、この水溶液中に、前記で得られた反
応溶液を21〜25℃で17分間かけて滴下し、30分間経過後
に反応の終了をHPLCで確認した後、約50℃に昇温し、96
%水酸化カリウム2.34g でpHを11.8〜12.0に調整し、
分液して不純物をトルエン層に除去し、水層を得た。
【0044】得られた水層に、35%塩酸 152.10g(1.46
モル)を約50℃で25分間かけて滴下し、酸析させ、冷却
し、3 〜5 ℃で1時間熟成後、濾過し、冷水240ml で洗
浄し、乾燥してL-2-クロロタートラニル酸 34.26g を得
た(収率66.0%)。
【0045】実施例2〔L-2-クロロタートラニル酸の製
造〕 L-酒石酸 37.52g(0.25モル)にトルエン93.8mlを加え、
約90℃で無水酢酸 76.57g(0.75モル)を添加し、88〜10
9 ℃で1時間20分間反応させた後、冷却し、接種してス
ラリー溶液とし、43〜45℃で2-クロロアニリン35.08g
(0.275モル)を15分間かけて滴下し、30分間経過後に反
応の終了をHPLCで確認した。
【0046】この反応溶液に水431.5gを加え、更に25%
水酸化ナトリウム水溶液288.0g(1.8モル)を57〜63℃で
1時間かけて滴下し、pHを10.5±0.5 に調整して30分間
経過した後に、反応の終了をHPLCで確認した後、分液に
よって不純物をトルエン層に除去し、水層を得た。
【0047】この水層に35%塩酸190.11g(1.82モル)を
約60℃で5分間かけて滴下し、酸析させ、冷却し、3〜
5℃で30分間熟成後、濾過し、冷水112.6ml で洗浄し、
乾燥してL-2-クロロタートラニル酸48.68gを得た(収率
75.0%)。
【0048】なお、実施例1および2で得られたL-2-ク
ロロタートラニル酸は、いずれも以下の物性を有してい
た。 旋光度〔α〕20 D +98〜+102° 融点 180 〜183 ℃
【0049】
【発明の効果】本発明のタートラニル酸類の製造法によ
れば、第一工程において、酒石酸と無水酢酸との反応の
際には、従前、他に特別の溶媒が用いられていなかった
が、本発明においては、反応を阻害しない有機溶媒が用
いられているので、該反応で副生する酢酸および過剰の
無水酢酸を反応混合物から留去させずに、この反応にお
ける反応生成物である不安定なジアセチル酒石酸無水物
を単離することなく、第一工程反応の反応溶液をそのま
ま用いて第一工程と同じ反応容器中で第一工程の反応終
了後に直ちに第二工程であるジアセチル酒石酸無水物と
アニリン類との反応を行なうことができ、またこの反応
溶液とアルカリ水溶液とを接触させてジアセチルタート
ラニル酸類のアセチル基の加水分解を行なえば、高収率
かつ高純度で、極めて取扱い容易に、光学分割剤として
有用なタートラニル酸類を工業的規模で製造することが
できるという効果が奏される。
【0050】したがって、本発明の製造法によれば、酒
石酸と無水酢酸との反応からタートラニル酸類の製造に
至るまでの一連の反応操作を合理化することができると
いう優れた効果が奏される。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応を阻害しない有機溶媒中で酒石酸と
    無水酢酸とを反応させ、得られた反応溶液から生成した
    ジアセチル酒石酸無水物を単離せずに、該反応溶液とア
    ニリン類とを混合し、ジアセチル酒石酸無水物とアニリ
    ン類とを反応させ、得られたジアセチルタートラニル酸
    類をアルカリ加水分解することを特徴とするタートラニ
    ル酸類の製造法。
  2. 【請求項2】 反応を阻害しない疎水性有機溶媒中で酒
    石酸と無水酢酸とを反応させ、得られた反応溶液から生
    成したジアセチル酒石酸無水物を単離せずに、該反応溶
    液とアニリン類とを混合し、ジアセチル酒石酸無水物と
    アニリン類とを反応させ、得られたジアセチルタートラ
    ニル酸類の疎水性有機溶媒溶液とアルカリ水溶液とを接
    触させ、ジアセチルタートラニル酸類を加水分解し、タ
    ートラニル酸類のアルカリ水溶液を得ることを特徴とす
    るタートラニル酸類の製造法。
  3. 【請求項3】 有機溶媒が芳香族系有機溶媒である請求
    項1又は2記載のタートラニル酸類の製造法。
  4. 【請求項4】 有機溶媒がトルエンである請求項1〜3
    いずれか記載のタートラニル酸類の製造法。
  5. 【請求項5】 アニリン類が2−クロロアニリンであ
    り、タートラニル酸類が2−クロロタートラニル酸であ
    る請求項1〜4いずれか記載のタートラニル酸類の製造
    法。
  6. 【請求項6】 酒石酸と無水酢酸との反応を無触媒で行
    なう請求項1〜5いずれか記載のタートラニル酸類の製
    造法。
  7. 【請求項7】 酒石酸がL−酒石酸又はD−酒石酸であ
    り、タートラニル酸類がL−体又はD−体である請求項
    1〜6いずれか記載のタートラニル酸類の製造法。
  8. 【請求項8】 酒石酸がL−酒石酸であり、アニリン類
    が2−クロロアニリンであり、タートラニル酸類がL−
    2−クロロタートラニル酸である請求項1〜7いずれか
    記載のタートラニル酸類の製造法。
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