WO1999039656A1 - Fixation de fausse dent, procede et espaceur permettant de fixer cette derniere - Google Patents

Description

明細書

義歯ァタツチメン卜ならびにその固定方法および固定用スぺーサ 技術分野

本発明は、 義歯 （入れ歯） の技術分野に属し、 より詳しくは、 義歯床内に埋設 されて磁気吸引力により義歯を口中に固定する義歯アタッチメン卜の技術分野に 属する。 背景技術

従来から、 抜歯患者の歯根部に植え込み処置された根面板の軟磁性材料からな る吸着板 （キーパー） に、 磁気吸引力によって義歯を着脱自在に固定する義歯ァ タツチメン卜は公知である。

しかしながら、 通常の磁気吸引式の義歯アタッチメントでは、 食物を咀嚼する ときの咬み合いによる押圧力が均等に生じた場合、 図 2 2に示すように、 歯肉部 ( B部） では歯根部 （A部） の約十倍の沈み込みが生じる。 すなわち、 歯肉部で は 0 . 2 mm程度の沈み込みが生じるのに対し、 歯根部では 0 . 0 2 mm程度し か沈み込みが生じない。 それゆえ、 この様な場合には支持歯に押圧力 （咬合圧） が集中して支持歯を傷めてしまう恐れがある。 また、 歯肉部と歯根部との沈み込 みの差によって義歯が傾き、 義歯アタッチメン卜の磁気吸着が外れてしまう恐れ ある。

そこで、 図 2 3に示すように、 歯根部に埋設されている根面板に磁気吸引力で 吸着する磁石体に、 根面板と吸着する吸着面と背向する側に弾力性があるキヤッ プを被せて接着した義歯ァタツチメントカ^ 特開平 7— 2 4 6 2 0 8号公報に開 示されている （前者） 。 また、 図 2 4に示すように、 磁石体の側周面を球面状に 形成し、 その外側からプラスチックのキャップで覆った義歯アタッチメン卜が、 米国特許第 4， 6 2 6 , 2 1 3号に開示されている （後者） 。

前者の義歯ァタツチメン卜によれば、 キヤップの弾性力を生かして義歯にかか る咬合圧を緩衝することが可能であるとされている。 しかしながらこの義歯ァタ ツチメントでは、 キヤップが咬合力で歯丈方向に収縮すると、 キヤップの材料の

差替え用紙 （規則 26) ポアソン比に従ってキヤップがその周縁方向へ拡がってしまう。 この拡がりが大 きいと、 磁石体の側周面とキャップの周縁部との間に隙間ができ、 この隙間に食 物かすや唾液などの異物が浸入して腐敗する恐れがある。 また、 キャップと義歯 床の間や磁石体とキャップとの間に隙間が生じるので、 接着面が剥離してしまい 、 義歯床からキヤップが外れやすくなり、 キャップからも磁石体が外れやすくな つてしまう。

かといつて咬合時にキヤップが周縁部に拡がるのを規制すると、 キヤップが歯 丈方向に収縮しにくくなり、 実用上十分なキャップの収縮効果が得られなくなり 本来の機能が損なわれる。 その結果、 前述の歯肉部と歯根部との沈み込みの差が 残ってしまうので、 義歯が傾き、 やはり磁石体がキャップから外れやすくなると いう不都合が生じる。

いっぽう後者の義歯ァ夕ツチメン卜では、 磁石体の側周面とキヤップの内周面 とが互いに摺動して相対的に傾くこと （回転運動） が可能であるので、 義歯の傾 きによって義歯アタッチメン卜の磁気吸着が外れることは防止されている。 しか し、 咬合圧に対するクッション効果は十分ではない。 すなわち、 磁石体とキヤッ プとは歯丈方向にはあまり相対移動ができないので、 歯丈方向での沈み込みを吸 収するのに十分なクッション効果が得られない。 それゆえ、 支持歯に咬合による 押圧力が集中して支持歯を傷めてしまう恐れを十分に払拭できているとは言えな い。

(第 1の課題）

そこで本発明は、 咬合時にはその押圧力によって適正な沈み込みが生じ、 義歯 の揺動を抑制して支持歯を保護するとともに、 磁石体が根面板から外れにく く、 あわせて磁石体がキヤップからも外れにく 、義歯ァタツチメン卜を提供すること を、 第 1の解決すべき課題とする。

(第 2の課題）

ところで上記課題を解決する義歯アタッチメントでは、 後述するように、 磁石 体の側周面とキヤップの周縁部の内周面との間で歯丈方向に摺動が可能である。 それゆえ、 キャップの周縁部の前縁部は、 磁石体の側周面の端部を最大の咬合力 がかかつたときにのみ覆うように、 磁石体の吸着面より沈み込みストロ一クに対

差替え用紙 （規則 26) 応する程度、 咬合力がかかっていないときには後退した位置にある。 そして、 咬 合力がかかったときに、 キャップの周縁部の前縁は、 磁石体の側周面の端部に沿 つて相対的に摺動しつつ進出する。 それゆえ、 先行技術としての義歯アタッチメ ン卜では、 キャップの周縁部の前縁部が摺動により進出できるだけのスペース （ 隙間） カ^ 磁石体の側周面の端部の周囲に形成されている必要がある。

ところが、 磁石体とキヤップとが一体となっている義歯ァ夕ツチメントを義歯 床に埋設して固定する際に、 接着用の自硬化性接合剤の塗布量が多いと、 自硬化 性接合剤がはみ出してきて上記スペースを埋めてしまう可能性があつた。 その場 合には、 はみ出してきた自硬化性接合剤を除去する作業を行って上記スペースを 確保する必要があり、 その分手間がかかった。

かといつて自硬ィヒ性接合剤の塗布量が十分でないと、 十分に強固に義歯ァタッ チメン卜が義歯床内に固定されない可能性が生じるので、 自硬化性接合剤の適正 な塗布を行うためは熟練を要した。

そこで本発明は、 上記先行技術の義歯ァタツチメン卜を義歯床内に固定する際 に、 十分な量の自硬化性接合剤で確実な固定がなされながら、 熟練を要さずとも 上記スペースが確実に確保される義歯ァタツチメン卜の固定方法および固定用ス ぺーサを提供することを、 第 2の解決すべき課題とする。 発明の開示

上記各課題を解決するために、 発明者らは以下の手段を発明した。

(義歯ァタツチメン卜）

本発明の義歯ァタツチメントは、 歯根部に埋設した根面板に磁気吸引力で吸着 する磁石体と、 該根面板に吸着する吸着面と背向する側の磁石体を覆うキャップ とからなり、 義歯床内に埋設される。 本発明の義歯アタッチメントの特徴は、 キ ヤップが、 本体部と周縁部とからなり、 歯丈方向に摺動可能に磁石体を被ってい ることである。 すなわち、 キャップの本体部は、 磁石体の吸着面と背向する背向 面を所定間隔を隔てて覆 L、、 咬合時の押圧力により変位して磁石体に当接する。 —方、 キャップの周縁部は、 本体部の周縁に一体的に形成され、 磁石体の側周面 に当接して側周面を摺動可能に保持する。

差替え用紙 （規則 26) 以上の構成の義歯ァタツチメン卜では、 咬合時の押圧力がかかると、 キャップ の本体部が磁石体の背向面に当接するまで、 キヤップが磁石体の側周面と当接し つつ摺動し、 義歯が歯肉に適正に沈み込むことができる。 それゆえ、 支持歯の部 分でも義歯が支持歯のな L、部分と同程度の沈み込みを生じ、 歯肉による支持力が 反作用として作用するので、 支持歯に過大な押圧力がかからず、 支持歯が保護さ れる。 また、 同じ理由によって磁石体が支持歯に対して傾動することがないので 、 磁石体の吸着面が歯根部に埋設した根面板から斜めに浮き上がることがなくな り、 磁石体が根面板から外れることが防止される。 さらに、 咬合時の押圧力がか かっても、 キャップに磁石体と剥離する変形が生じないので、 磁石体がキャップ から外れることも防止される。

ここで上記義歯アタッチメントは、 磁石体が吸着面と背向する側の中央部に凹 部をもち、 キヤップは磁石体の凹部に当接し押圧力により弾性的に圧縮される凸 状部をもっという構成を取ることができる。 本構成の義歯アタッチメン卜では、 咬合時の押圧力によりキヤップの凸状部が磁石体の凹部にはまり込んで当接し、 キヤップの凸状部が弾力的に圧縮されるので優れたクッション効果が得られる。 すなわち、 凸状部の材料の弾性率および形状を適正に設計することにより、 咬合 力に対応する沈み込み量が適正に設定され、 優れたクッション効果が発揮される ようになる。

併せて、 キャップの磁石体に対する摺動ストロークすなわち沈み込み量が、 所 定の強さの押圧力までの沈み込み量で規制されるので、 通常発揮される咬合力の 最大値に対応して最大沈み込み量が得られるように設計することが可能になる。 その結果、 過大な咬合力がかかった場合にも過大な沈み込み量の発生が防止され るので、 キヤップに過大な変形を生じてキャップを傷めたりキヤップと義歯床と の接着が剥離したりする不都合が防止される。

(義歯アタッチメン卜の固定方法）

本発明の義歯ァタツチメン卜の固定方法は、 歯根部に埋設される根面板に磁気 吸引力で吸着する磁石体と、 磁石体の根面板に吸着する吸着面に背向する側を覆 うとともに磁石体の側周面を摺動可能に覆 L、磁石体を相対移動可能に保持するキ ヤップとからなる義歯アタッチメントを、 義歯床内に埋設して固定する方法であ

差替え用紙 （規則 26) る。 本固定方法は、 磁石体の側周面の端部のキャップが摺動して覆われる部分に 固定用スぺーサを介在させた状態で根面板に吸着して位置決めされている義歯ァ 夕ツチメントを、 自硬化性接合剤を介在させて義歯床の凹部に挿入し、 その状態 で自硬化性接合剤が磁石体の側周面の端部に浸入することを阻止しつつ自硬化性 接合剤を硬化させて、 義歯アタッチメン卜を義歯床の凹部に固定することを特徴 としている。

本固定方法では、 義歯アタッチメントを義歯床の凹部に挿入する際に、 義歯ァ 夕ツチメン卜のキヤップの表面と義歯床の凹部との間から自硬化性接合剤が漏れ 出そうになっても、 固定用スぺーザに封止されて漏れ出ることがない。 すなわち 、 磁石体の側周面の端部のキヤップが摺動して覆われる部分に固定用スぺーザが 介在しているので、 自硬化性接合剤が磁石体の側周面の端部に浸入することは阻 止される。 その結果、 磁石体の側周面の端部のキャップが摺動して覆われる部分 の周囲には、 固定用スぺ一サがなくなった後にキヤップが摺動して進出できるだ けの空間が確保されるので、 自硬化性接合剤がやや多めであっても義歯の沈み込 みストロークは確保される。

したがって本固定方法によれば、 義歯ァタツチメントを義歯床内に固定する際 に、 十分な量の自硬化性接合剤で確実な固定がなされながら、 熟練を要さずとも 義歯の沈み込み用のスペースが容易に確保されるという効果がある。

ここで、 自硬化性接合剤の硬化後に、 固定用スぺーサを取り外すことが望まし い （なお別案として、 固定用スぺ一ザが唾液に溶解して、 無害な溶液になって消 散してしまう構成も可能である） 。 この固定方法では、 義歯アタッチメントの義 歯床内への固定後、 速やかかつ完全に固定用スぺーザが除去されるので、 義歯の 沈み込みストロークが当初の設定通り、 速やかかつ確実に確保される。 したがつ てこの固定方法によれば、 前述の効果に加えて、 速やかかつ確実に義歯の沈み込 みストロークが確保されるので、 義歯の装用感が当初から良好になるという効果 がある。

(義歯ァタツチメン卜の固定用スぺーサ）

本発明の義歯アタッチメン卜の固定用スぺーサは、 歯根部に埋設される根面板 に磁気吸引力で吸着する磁石体と、 磁石体の根面板に吸着する吸着面に背向する

差替え用紙 （規則 26) 側を覆うとともに磁石体の側周面を摺動可能に覆い磁石体を相対移動可能に保持 するキャップとからなり義歯床内に埋設される義歯アタッチメントを固定するた めに一時的に使用される固定用スぺ一サである。 本固定用スぺ一サは、 義歯床内 に埋設され自硬化性接合剤で固定される際に、 磁石体の側周面の端部のキヤップ が摺動して覆う部分に配設され、 自硬化性接合剤の浸入を阻止する作用を有する ことを特徴としている。

本固定用スぺ一サでは、 義歯ァタツチメン卜が義歯床内に埋設され自硬化性接 合剤で固定される際に、 磁石体の側周面の端部のキヤップが摺動して覆う部分に 本固定用スぺ一ザが配設されているので、 自硬化性接合剤の浸入が阻止される。 すなわち、 義歯アタッチメントの義歯床内への固定の際に、 義歯アタッチメント のキヤップの表面と義歯床の凹部との間から自硬化性接合剤が漏れ出そうになつ ても、 本固定用スぺ一ザに封止されて漏れ出ることがない。 つまり、 磁石体の側 周面の端部のキヤップが摺動して覆われる部分に本固定用スぺ一ザが介在してい るので、 自硬ィ匕性接合剤が磁石体の側周面の端部に浸入することは阻止される。 その結果、 磁石体の側周面の端部のキヤップが摺動して覆われる部分の周囲には 、 本固定用スぺ一ザが除去された後に、 キャップが摺動して進出できるだけの空 間が確保されるので、 自硬化性接合剤がやや多めであっても義歯の沈み込みスト ロークが確保される。

したがって、 本発明の義歯アタッチメン卜の固定用スぺ一ザによれば、 義歯ァ タツチメントを義歯床内に固定する際に、 十分な量の自硬化性接合剤で確実な固 定かなされながら、 熟練を要さずとも沈み込み用のスペースが確実に確保される という効果がある。

ここで、 本発明の義歯ァタツチメン卜の固定用スぺ一サは、 通常は義歯ァタツ チメン卜の磁石体が円形の吸着面を有するので、 磁石体の側周面に揷着されるリ ング状であることが望ましい。

かような固定用スぺーサでは、 通常は円形の吸着面をもつ磁石体の側周面の周 囲にリング状の固定用スぺーザが装着されている状態で、 義歯ァタツチメン卜の 義歯床内への固定が行われる。 その際、 通常磁石体およびキャップは軸対称形状 をしているので、 キャップの端部と固定用スぺーザとの面合わせが精密にでき、

差替え用紙 （規則 26) キャップの端部と固定用スぺーザとの間から自硬化性接合剤が漏れて磁石体の端 部と固定用スぺーザの内周面との間に浸入してくることは、 防止される。

それゆえ、 義歯アタッチメン卜の固定後に固定用スぺ一ザが除去されてしまえ ば、 磁石体の側周面の周囲に、 リング状の固定用スぺーザの厚さに相当する空間 が形成される。 すなわち、 リング状の固定用スぺーザの厚さに相当する空間が一 様に確保されるので、 咬合時に義歯が沈み込み、 キャップが磁石体の側周面を摺 動して磁石体の端面 （吸着面） に達するまで、 十分な義歯の沈み込みストローク が支持歯部分でも確保される。

したがって、 かような固定用スぺーサによれば、 前述の効果に加えて、 より確 実に十分な義歯の沈み込みストロークが確保されるという効果がある。 また、 固 定用スぺ一ザの形状が単純であるので製造が容易で安価に提供することができ、 さらに義歯アタッチメン卜の固定作業時に固定用スぺ一ザの表裏や方向 （向き） を考えることなく作業を進められるので作業が容易になるという効果もある。

(義歯アタッチメント）

本発明の義歯アタッチメン卜においては、 特に磁石体を被うキャップの構成に 特徴がある。

キャップの本体部は、 所定間隔を隔てて磁石体を覆い、 咬合時の押圧力により 変位して磁石体の吸着面に背向する背向面に、 少なくとも一部で当接する。 それ ゆえ、 上記所定間隔が義歯の沈み込みに対応して適正に設定されていることが肝 要である。 また、 キャップの一部（例えば中央の凸状部） で磁石体の背向面に当 接することが望ましく、 この場合にはキヤップの当接部分が適正な弾性を有する 材料で適正な形状に形成されていることが肝要である。 この場合、 咬合時には、 キャップの当接部の周囲には、 なお磁石体の背向面とキャップとの間にいくらか の隙間が余されているので、 キヤップの当接部のポアソン比に従って水平方向に 拡がる変形は、 上記隙間に吸収される。 それゆえ、 キャップと磁石体との相対移 動により十分なクッション性が得られながら、 キヤップの弾性変形によりキヤッ プの周縁部が拡がって、 磁石体との間に隙間が空いてしまったり、 義歯床との間 の接着が剥離したりすることは防止される。

キヤップの周縁部は、 磁石体の側周面に隙間なく当接して磁石体を義歯床内に

差替え用紙 （規則 26) 保持すると同時に、 磁石体の側周面と隙間を空けることなく摺動することができ るように構成されていることが大切である。 それゆえ、 キャップの周縁部は、 磁 石体の側周面を適正な強さで締め付けるだけの弾性な t、し剛性を有することが望 ましい。 さらに、 耐摩耗性にも優れていることが望ましい。

義歯ァ夕ツチメン卜の構成についてであるが、 磁石体の背向面の中央に凹部が 形成されており、 キャップの本体部の中央に凸状部が形成されていて、 この凸状 部が凹部に嵌合する構成を義歯アタッチメン卜が取っていることが望ましい。 か ような構成の義歯アタッチメントでは、 義歯アタッチメン卜の中央部で咬合によ る押圧力が支承されるので、 義歯アタッチメントの姿勢に偏りが生じにく く、 義 歯が傾くことなく支持歯および歯肉に支承される。

説明が一部重複するが、 前述のように本発明の義歯ァタツチメントは、 根面板 に吸着する面と背向する側の中央部に凹部をもつ磁石体と、 この磁石体の凹部と 当接し押圧により弾性的に変形して収縮する凸状部をもっとともに磁石体の凹部 の周囲を所定間隔を隔てて覆う本体部とこの本体部の周縁に一体的に形成され磁 石体の側周面を摺動可能に保持する周縁部をもつキャップとから構成されること が望ましい。

磁石体の凹部のキャップの凸状部と当接する部位が咬合による押圧の支点とな つて、 キャップの凸状部が弾性的に変形して収縮する。 このとき、 ポアソン効果 によりキヤップの凸状部が、 キヤップが磁石体の凹部の周囲を所定間隔を隔てて 覆うことにより形成される空隙に拡がる。 このため、 キャップの凸状部の歯丈方 向での大きな収縮量が得られるため、 咬合による押圧に対して優れたクッシヨン 性が得られるとともに、 キヤップがその周縁部の方向へ拡がるのを抑制する。 さらに、 本発明の義歯ァタツチメントでは、 キヤップの周縁部を磁石体の側周 面に逆テーパーに嵌合させ、 摺動可能に保持する。 この逆テーパーによりキヤッ プの磁石体からの脱落防止がなされ、 磁石体に対してキヤップが安定に冠着され る。 このとき、 キャップの周縁部が磁石体の側周面に対して押圧付勢するように 取り付けることにより、 磁石体とキャップとがさらに外れにく くなる。

本発明の義歯ァタツチメントでは、 キヤップは押圧により弾性的に変形して収 縮するものであれば、 特にその材料構成は特に限定されるものではないが、 少な

差替え用紙 （規則 26) くとも凸状部は硬質樹脂からなることが望ましい。 硬質樹脂は弾性に優れる材料 であるため、 キャップの歯丈方向での大きな収縮量を得ることができる。 このと き、 硬質樹脂としては、 ポリアセタールやシリコンゴムなどを用いることができ る。

あるいは、 キャップにおいて、 キャップの凸状部が硬質樹脂からなり、 キヤッ プの周縁部が高耐食性非磁性材料からなる構成をとることが望ましい。 キヤップ の周縁部は磁石体の側周面と当接して摺動する部分であり、 この部分が腐食して しまうとその摺動性が低下してしまう。 上記構成をとることにより、 キャップの 歯丈方向での大きな収縮量が得られるだけでなく、 キヤップの周縁部の腐食を防 止することができる。 高耐食性非磁性材料としては、 S U S 3 1 6や T i合金、 非磁性の歯科用合金などを用いることができる。 さらに、 周縁部だけでなく、 凸 状部の残部を高耐食性非磁性材料から構成してもよい。 これにより、 キャップが 腐食するのをさらに防止することができる。

あるいはまた、 キャップの凸状部が軟質樹脂からなり、 凸状部以外の部分では キャップが硬質樹脂からなる構成を取ることも可能である。 本構成では、 キヤッ プの凸状部の弾性率が低下するので、 義歯ァタツチメントの発揮するクッション 性がより柔らかくなる。 また、 凸状部とそれ以外の部分が樹脂で形成されている ので、 キャップを一体成形することがより容易になる。 さらに、 キャップの周縁 部が硬質樹脂から形成されているので、 適当な剛性と柔軟性とをもってキヤップ の周縁部が磁石体の側周面に隙間なく当接する状態を保ちつつ、 キヤップの周縁 部と磁石体の側周面との摺動が可能である。

ところで、 キヤップが磁石体の凹部の周囲を所定間隔を隔てて覆うことにより 形成される空隙に異物が入ると、 咬合圧が異物に作用して局所的に大きな力が作 用する。 それゆえ、 空隙への異物の侵入は、 義歯に違和感を覚えるなどの不具合 を生じるので好ましくない。 そこで、 この空隙を発泡体で充填し、 異物の侵入を 阻止することが望ましい。 このとき発泡体としては、 内部に独立気泡をもつ樹脂 発泡体、 例えば発泡ゴムやウレタンなどを用いることができる。

また、 キヤップが磁石体の凹部の周囲を所定間隔を隔てて覆うことにより形成 される空隙の少なくとも一部に、 弾性体を装填しても同様のクッシヨン作用が得

差替え用紙 （規則 26) られる。 この弾性体としては、 軟らかい弾性体であるシリコンゴムなどを用いる ことができる。 これにより、 キャップと磁石体との当接による衝撃を弱めること ができる。 ，

なお、 上記発泡体および上記弾性体は、 弾力的に圧縮されて収縮するだけでは なく、 再び膨らんで元の形状に戻ろうとする性質があり、 圧縮された義歯ァタツ チメン卜の復元作用をも有するので、 凸状部および凹部がない形態にも適用する ことができる。

また、 前記キャップの周縁部は、 その周先端の外周より外側方向に突出した突 出部をもつことが好ましい。 この突出部に義歯が引っかけやすくなり、 キャップ に対する義歯の装着性を大きくすることができる。 すなわち、 キャップの外周面 と義歯床の凹部との間の接着面の一部に、 万一剥離が生じた場合であっても、 キ ヤップは突出部により義歯床の凹部内に係合して保持されるので、 義歯ァタツチ メン卜が義歯床から外れることが有効に防止される。

また、 キャップの周縁部の内周面に当接する磁石体の側周面は、 吸着面に向か つて適正なテ一パ一 （先細り） 形状を有していることが望ましい。 本構成では、 テーパーした磁石体の側周面を、 周囲から締まり嵌め気味にキヤップの周縁部の 内周面が保持するので、 義歯を口中から取り出す場合にも、 義歯アタッチメント のキヤップが磁石体から外れる不具合が有効に防止される。

また、 本発明の義歯アタッチメントで用いる磁石体は、 歯丈方向と交差してほ ぼリング状をなす磁石と、 該磁石をその中央孔を含み囲包し該磁石および前記根 面板との間で磁気回路を形成するヨーク部と、 から構成されることが望ましし、。 この磁石体については特願平 8— 2 9 0 7 7 5号で詳述されており、 ここでは簡 単な形態の説明にとどめる。 リング状の磁石の採用により、 磁石体を薄くしても 、 歯根部に埋設した根面板と磁石体との磁気吸引力が大きくなり、 奥歯のような 歯丈方向にスペースの少ない義歯に容易に埋設することができる。 また、 リング 状の磁石を使用しており、 磁石体の背向面の中央部にはあまり磁束が取らないの で、 ヨーク部の背向面の中央に深 、凹部を形成することができるという利点があ る。

このとき、 義歯アタッチメントの磁石体を構成する磁石には、 高いエネルギー

差替え用紙 （規則 26) 積をもつ磁性体を用いることが好ましく、 これにより強固に義歯を固定すること ができる。 具体的には、 上記磁石は、 3 O M G O e以上のエネルギー積をもつ磁 性体からなることが実用的に好ましい。 このような磁性体としては、 N d (ネオ ジム） —F e (鉄） —B (ホウ素） 系の希土類磁石や S m (サマリウム） 一 C o (コバルト） 系の希土類磁石などがあり、 N d— F e— B系の希土類磁石では 4 0 M G〇 e以上、 S m— C 0系の希土類磁石では 3 0 M G〇 e以上のエネルギー 積とすることができる。

また、 ヨーク部は軟磁性材からなることが好ましい。 この軟磁性材としては耐 食性のあるステンレス鋼が好ましく、 これにより磁石の腐食を防止することがで きる。

以上のような構成の義歯アタッチメン卜により、 義歯を安定に位置固定するこ とができる。 また、 支台歯に応力集中が生じることがなくなり、 支台歯を痛めて しまうことがないという効果がある。 さらに、 義歯が動揺することが防止される ので、 義歯アタッチメン卜が根面板から傾いて磁気吸引力が低下し義歯が外れて しまうような不都合がないという効果もある。 あるいは、 キャップなどに腐食を 防止することができる材料を用いることにより、 長寿命でもある義歯アタッチメ ントを提供することができるという効果を生じる。

(義歯ァタツチメン卜の固定方法および固定用スぺーサ）

以上のような義歯ァタツチメン卜を義歯床内に固定する固定方法と、 その際に 使用する固定用スぺーサについては、 以下の二点が肝要である。 すなわち、 前述 のように磁石体の側周面をキヤップの周縁部の内周面が摺動するので、 磁石体の 側周面が自硬化性接合剤によって汚れず、 清浄な摺動面に保たれることが第 1の 要点である。 また、 キャップの周縁部の前縁が、 磁石体の側周面に沿って摺動す ることができるように、 キヤップの周縁部が進出できるだけの空間な 、し隙間が 確保されることが第 2の要点である。

そこで第 1に、 固定用スぺーザの一方の面とキヤップの周縁部の前端面とが隙 間なく当接して、 キヤップの周縁部と磁石体の側周面との間に自硬化性接合剤が 浸入することを防止していることが肝要である。 力、ような構成によれば、 キヤッ プの周縁部と磁石体の側周面との間に自硬化性接合剤が浸入することが有効に防

差替え用紙 （規則 26) 止されるという効果がある。 なお、 固定用スぺーザの内周面は磁石体の側周面に やや締まり嵌め気味に嵌合して、 自硬化性接合剤の浸入を防止するようにしても 良い。

第 2に、 固定用スぺ一ザの内周面と外周面との間の幅が、 咬合時に進出してく るキヤップの周縁部の前縁部分の水平方向の厚みよりも大きいことが肝要である 。 このように固定用スぺーザとキャップの周縁部との関係が設定されていれば、 咬合時に進出してくるキヤップの周縁部の前縁が、 はみ出した自硬化性接合剤に よって進出を阻まれることがなくなるという効果がある。

第 3に、 固定用スぺ一ザの厚さが、 キャップの周縁部の最大摺動ストロークと 同等に設定されていることが望ましい。 かような構成では、 キャップの周縁部の 前縁が支持歯に埋設されている根面板に当接して圧縮されることがなくなるので 、 キャップの周縁部が圧縮されて変形することが防止される。 その結果、 キヤッ プの周縁部の外周面と義歯アタッチメン卜が埋設されている義歯床の凹部の内周 面との間の接着面が、 剥離することが防止されるという効果が得られる。 図面の簡単な説明

第 1図は、 実施例 1の義歯ァタツチメン卜の構成を示す側断面図

第 2図は、 実施例 1の義歯ァタツチメン卜の固定方法を示す側断面図 第 3図は、 実施例 1の固定用スぺ一ザの作用を示す側断面図

第 4図は、 実施例 1の義歯ァタツチメン卜と義歯との関係を示す側断面図 第 5図は、 実施例 1の義歯ァタツチメン卜の無負荷時の状態を示す側断面図 第 6図は、 実施例 1の義歯ァ夕ツチメン卜の咬合時の状態を示す側断面図 第 7図は、 実施例 1の義歯ァタツチメン卜の寸法を示す側断面図

第 8図は、 実施例 2の義歯アタッチメン卜の構成を示す側断面図

第 9図は、 実施例 3の義歯ァタツチメン卜の構成を示す側断面図

第 1 0図は、 実施例 4の義歯アタッチメン卜の構成を示す側断面図

第 1 1図は、 実施例 5の義歯アタッチメントの構成を示す側断面図

第 1 2図は、 実施例 6の義歯ァタッチメン卜の構成を示す側断面図

第 1 3図は、 実施例 7の義歯アタッチメン卜の構成を示す側断面図

差替え用紙 （規則 26) 第 14図は、 実施例 7の義歯ァタツチメン卜の無負荷時の状態を示す側断面図 第 15図は、 実施例 7の義歯ァタッチメン卜の咬合時の状態を示す側断面図 第 16図は、 実施例 8の義歯ァ夕ツチメン卜の構成を示す側断面図

第 17図は、 実施例 8の義歯アタッチメン卜の無負荷時の状態を示す側断面図 第 18図は、 実施例 8の義歯ァタツチメン卜の咬合時の状態を示す側断面図 第 19図は、 実施例 9の義歯ァタツチメン卜の構成を示す斜透視図

第 20図は、 実施例 9の義歯ァ夕ツチメン卜の構成を示す平面図

第 21図は、 実施例 9の義歯ァタツチメン卜の構成を示す側断面図 第 22図は、 従来の義歯の装用状態および沈み込みを示す模式図

第 23図は、 従来技術としての義歯ァタツチメン卜の構成を示す断面図 第 24図は、 従来技術としての義歯アタッチメントの構成を示す断面図 符号の説明

1 ：義歯

1 1 ：人工歯 12 ：義歯床 10 ：義歯床の凹部

13 ： 自硬化性接合剤

2 ：義歯ァタツチメント

21， 2 Γ , 21" , 21 A：磁石体 210 ：凹部

21 a :吸着面 21 b :側周面 21 c :背向面

24 ： リング磁石 24' ：円盤磁石

25 ：被冠ヨーク （軟磁性体からなるヨーク部）

26 ：蓋ヨーク （軟磁性体からなる蓋リング）

26' ， 26" ， 26 B ：封止リング （非磁性体からなる蓋リング）

26 A：蓋ヨーク （軟磁性体からなる円盤状の蓋部材）

27 :板磁石 27' ：中間ヨーク 27" ：外側ヨーク

28 ：封止板

22, 22' , 22" ， 22 A， 22B :キャップ

221 :本体部 222 :周縁部

223 :凸状部 224 :突出部

差替え用紙 （規則 26) 2 2 6， 2 2 6 ' ：樹脂カバ一 （硬質 P O M製）

2 2 7， 2 2 7 ' ：樹脂クッション （軟質 P O M製）

2 3 ：固定用スぺーサ

4 ：発泡体 4 ' ， 4 " ：弾性体

3 ：根面板

3 1 ：根面板本体部 3 2， 3 2 ' ：キーパー （軟磁性体製の吸着板） M：磁力線 T ：支持歯、 歯根部 F ：歯肉 S ：間隔、 隙間、 スペース 発明を実施するための最良の形態

本発明の義歯ァタツチメン卜ならびにその固定方法および固定用スぺ一サにつ いて、 複数の実施例を対応する図面を参照して示し、 以下の記載により具体的に 説明する。

実施例 1

(実施例 1の義歯ァタツチメン卜の構成）

本発明の実施例 1としての義歯アタッチメント 2は、 図 4に示すように、 歯根 部 Tに埋設した根面板 3に磁気吸引力で吸着する磁石体 2 1と、 根面板 3に吸着 する吸着面と背向する側の磁石体 2 1を覆うキャップ 2 2とからなり、 義歯 1の 義歯床 1 2内に埋設される。

ここで磁石体 2 1は、 図 1に示すように、 歯丈方向と交差して配設されるリン グ状のリング磁石 2 4と、 ヨーク部としての複雑な軸対称形状をした被冠ヨーク 2 5およびリング状の蓋ヨーク 2 6とからなる。 ヨーク部としての被冠ヨーク 2 5および蓋ヨーク 2 6は、 リング磁石 2 4の中央孔を含んでリング磁石 2 4を包 囲し、 リング磁石 2 4と根面板 3のキーパー 3 2との間で磁気回路を形成して、 強力な磁気吸引力を発揮することを可能にしている。

吸着面 2 1 aは、 中央部から外周部へ向かって順に、 被冠ヨーク 2 5の中央部 の端面、 封止リング 2 6 ' の一方の面、 リング状の蓋ヨーク 2 6の一方の面、 封 止リング 2 6 " の一方の面、 および被冠ヨーク 2 5の外周部の端面から、 同心円 状に形成されている。 二枚の封止リング 2 6 ' , 2 6 " は、 被冠ヨーク 2 5と蓋 ヨーク 2 6とを磁気的に絶縁し、 被冠ヨーク 2 5と蓋ヨーク 2 6との間にキ一パ

差替え用紙 （規則 26) 一 3 2を通らない磁力線が通じて磁気的に短絡することを防止している。

ここで、 被冠ヨーク 2 5の中央部の端面の外周部と封止リング 2 6 ' の外周面 とは、 レーザー溶接または電子ビーム溶接により、 気密かつ堅牢に溶接されて互 いに固定されている。 同様に、 封止リング 2 6の外周面と蓋ヨーク 2 6の内周面 とが溶接されており、 蓋ヨーク 2 6の外周面と封止リング 2 6 " の内周面とが溶 接されている。 また、 封止リング 2 6 " の外周面と被冠ヨーク 2 5の外周部の内 周面とが、 同様に溶接されている。 それゆえ、 吸着面 2 1 aは水密に封止されて 、てリング磁石 2 4は密封されており、 唾液等が浸入して比較的腐食しゃす 、リ ング磁石 2 4に触れることは、 完全に防止されている。

以上のように磁石体 2 1では、 リング磁石 2 4を使用しており、 磁石体 2 1の 背向面 2 1 cの中央部にはあまり磁束が取らないので、 被冠ヨーク 2 5の背向面 2 1 cの中央に深い凹部 2 1 0を形成することができるという利点がある。 なお、 吸着面 2 1 aは研摩されてほぼ完全に平滑な平面に仕上げられており、 同様のキーノ一 3 2の吸着面とほとんど隙間なく密着することができるようにな つている。 それゆえ、 極めて強力な磁気吸引力が義歯ァ夕ツチメント 2の磁石体 2 1と根面板 3のキーパー 3 2との間に発生し、 義歯 1は強固に口中に保持され る。

一方、 キャップ 2 2は、 同じく図 1に示すように、 本体部 2 2 1と周縁部 2 2 2とから構成されている硬質樹脂製の均質な一体部材である。 本体部 2 2 1は、 磁石体 2 1の吸着面 2 1 aと背向する背向面 2 1 cを所定間隔を隔てて覆い、 咬 合時の押圧力により変位して磁石体 2 1に当接する部分である。 周縁部 2 2 2は 、 本体部 2 2 1の周縁に一体的に形成されており、 磁石体 2 1の側周面 2 1 bに 当接して側周面 2 1 bを摺動可能に保持する作用を有する。

キャップ 2 2の窪みに磁石体 2 1を嵌合させて義歯アタッチメント 2を完成さ せるには、 磁石体 2 1の背向面 2 1 c上にキャップ 2 2を載せ、 所定の押圧力で 磁石体 2 1をキャップ 2 2に圧入すればよい。 磁石体 2 1の側周面 2 1 bのうち 背向面 2 1 cに近い部分 （肩部） は、 背向面 2 1 cに向かって先細りに丸くなつ ているので、 大きい押圧力をかければ、 磁石体 2 1はキャップ 2 2にはまり込む ようなつている。

差替え用紙 （規則 26) 磁石体 2 1の肩部では側周面 2 1 bが背向面 2 1 cに向かってテーパーしてい る （または面取りされているか、 なで肩形状になっている） 特徴は、 以下のいず れの実施例にもあり、 磁石体 2 1がキャップ 2 2に押圧力によってはまり込みや すいように配慮されている。 なお、 磁石体 2 1をキャップ 2 2に嵌める際に必要 な押圧力は、 磁石体 2 1が発揮する磁気吸引力よりも十分に大きく設定されてお り、 義歯アタッチメント 2を根面板 3から剥がす際にも、 磁石体 2 1がキャップ 2 2から脱落することがないようになっている。

また、 磁石体 2 1は、 吸着面 2 1 aと背向する側の背向面 2 1 cの中央部に凹 部 2 1 0を持つ。 これに対してキャップ 2 2は、 前述の本体部 2 2 1の一部とし て、 磁石体 2 1の凹部 2 1 0に当接し押圧力により弾性的に圧縮される凸状部 2 2 3を持つ。 咬合による押圧力が義歯ァタツチメント 2にかかっていない場合に は、 凸状部 2 2 3の周囲の磁石体 2 1の背向面 2 1 cとキャップ 2 2の本体部 2 2 1との間には、 適正な間隔 Sが形成されている。 また、 磁石体 2 1の凹部 2 1 0とキャップ 2 2の凸状部 2 2 3とは中心部でのみ当接しており、 その周囲では 、 磁石体 2 1の凹部 2 1 0の表面とキヤップ 2 2の凸状部 2 2 3の表面との間に 、 隙間が形成されている。 それゆえ、 咬合時の押圧力によりキャップ 2 2の凸状 部 2 2 3が圧縮されて弾性変形して水平方向に張り出しても、 磁石体 2 1の凹部 2 1 0およびキヤップ 2 2の凸状部 2 2 3の周囲の隙間に張り出し部は収容され るので、 キャップ 2 2が水平方向に張り出すような変形は起こらない。

また、 咬合時の押圧力により、 キャップ 2 2の周縁部 2 2 2が磁石体 2 1の側 周面 2 1 bに沿って摺動して、 キャップ 2 2の本体部 2 2 1が磁石体 2 1に接近 する。 このようにキヤップ 2 2の本体部 2 2 1が磁石体 2 1に接近しても、 磁石 体 2 1の背向面 2 1 cとキャップ 2 2の本体部 2 2 1との間に形成されている適 正な間隔 Sがつぶれて、 磁石体 2 1の背向面 2 1 cとキャップ 2 2の本体部 2 2 1とが当接するに至るだけである。 それゆえ、 咬合時の押圧力によりキャップ 2 2の本体部 2 2 1の全体が磁石体 2 1に当接しても、 キャップ 2 2は硬質樹脂で 形成されているので、 キャップ 2 2が水平方向に張り出すような変形は、 ほとん ど起こらない。

したがって、 キャップ 2 2の外形形状が咬合時の押圧力によっても変ィヒしない

差替え用紙 （規則 26) ので、 自硬化性接合剤により接着されているキャップ 2 2の表面と義歯床 1 2の 凹部 1 0 (図 2参照） との間の接着面に剥離が生じることが防止されている。 さらに、 キャップ 2 2の周縁部 2 2 2は、 その周先端の外周よりも外側方向に 突出したリング状の突条である突出部 2 2 4をもつ。 その結果、 キャップ 2 2の 周縁部 2 2 2の突出部 2 2 4が義歯床 1 2に係合し、 義歯床 1 2に対して義歯ァ タツチメン卜 2がより確実に保持されている。 すなわち、 キャップ 2 2の外周面 と義歯床 1 2の凹部 1 0との間の接着面の一部に、 万一剥離が生じた場合であつ ても、 キャップ 2 2は周縁部 2 2 2の突出部 2 2 4により義歯床 1 2の凹部 1 0 内に係合している。 その結果、 義歯アタッチメント 2が義歯床 1 2から外れるこ とが有効に防止されるという効果がある。

なお、 図 5から図 6にかけて示すように、 咬合時にはその押圧力により義歯ァ タツチメント 2のキャップ 2 2が磁石体 2 1に対して摺動して進出し、 義歯 1の 義歯床 1 2が歯肉 Fに沈み込む。 逆に、 咬合時の押圧力が解除されると、 図 5に 示すように、 歯肉 Fの弾力性によって義歯床 1 2を浮かせる復元力が生じ、 キヤ ップ 2 2が磁石体 2 1に対して摺動して後退し、 咬合前の元の状態に復旧する。 また、 再び図 1に示すように、 キャップ 2 2の周縁部 2 2 2の内周面に当接す る磁石体 2 1の側周面 2 1 bは、 吸着面 2 1 aに向かって適正なテーパー （先細 り） 形状をしている。 それゆえ、 テーパーした磁石体 2 1の側周面 2 1 bを、 周 囲から締まり嵌め気味にキャップ 2 2の周縁部 2 2 2の內周面が保持する。 その 結果、 義歯 1を口中から取り出す場合にも、 義歯アタッチメント 2のキャップ 2 2 2が磁石体 2 1から外れる不具合が有効に防止される。

以上をまとめて若干の補足を行うと、 本実施例の義歯ァタツチメント 2は、 再 び図 1に示すように、 歯根部 Tに埋設した根面板 3 (図 4参照） のキーパー 3 2 に磁気吸引力で吸着する磁石体 2 1と、 キーパー 3 2に吸着する面と背向する側 の磁石体 2 1を覆うキヤップ 2 2とからなる。

磁石体 2 1は、 歯丈方向 （図 3の矢印方向） と交差してほぼリング状をなすリ ング磁石 2 4と、 リング磁石 2 4をその中央孔を含み囲包し磁石 1 1およびキー パ一3 2との間で磁気回路を形成するヨーク部としての被冠ヨーク 2 5および蓋 ヨーク 2 6とを有する。 リング磁石 2 4は、 N d— F e— B系の希土類磁石から

差替え用紙 （規則 26) なり、 4 O M G O e以上のエネルギー積をもつ。 一方、 被冠ヨーク 2 5は、 根面 板 3のキーパー 3 2に吸着する面と背向する側の中央部に凹部 2 1 0をもっとと もに、 磁石 1 1を収容できるリング状の収容溝を有した端面が略 M字状の軸対称 部材である。 蓋ヨーク 2 6は、 上記収容溝の開口側を覆いリング磁石 2 4を収容 溝内にシールする薄いリング状の軟磁性部材である。 被冠ヨーク 1 2 aおよび蓋 ヨーク 1 2 bは、 ともに軟磁性のステンレス鋼からなる。

キャップ 2 2は、 全体がポリァセタール硬質樹脂 （または硬質ポリォキシメチ レン樹脂） からなる軸対称形の非磁性部材である。 キャップ 2 2は、 磁石体 2 1 の凹部 2 1 0の周囲を所定間隔を隔てて覆う本体部 2 2 1と、 本体部 2 2 1の周 縁に一体的に形成され磁石体 2 1の側周面 2 1 bを摺動可能に保持する周縁部 2 2 2とをもつ。 キャップ 2 2は、 本体部 2 2 1の中央に、 磁石体 2 1の凹部 2 1 0と当接し押圧力により弾性的に変形して収縮する凸状部 2 2 3を有する。 本実施例の義歯アタッチメン卜では、 キャップ 2 2の周縁部 2 2 2カ、 磁石体 2 1の側周面 2 1 bに逆テーパーに冠着されており、 キヤップ 2 2の周縁部 2 2 2力 磁石体 2 1の側周面 2 1 bに対して摺動可能に保持されている。 さらに、 磁石体 2 1の側周面 2 1 bは、 キャップ 2 2の周縁部 2 2 2から締め付けるよう に押圧されているので、 キヤップ 2 2は磁石体 2 1からさらに外れにくくなって いる。 また、 キャップ 2 2の周縁部 2 2 2は、 その周先端の外周よりも外側方向 に突出した突出部 2 2 4をもつ。

なお、 本実施例の義歯ァタツチメン卜 2では、 蓋ヨーク 2 6および封止リング 2 6 ' ， 2 6 " によって、 リング磁石 2 4が被冠ヨーク 2 5から脱落することが 防止されている。 それゆえ、 根面板 3のキーパー 3 2に吸着している磁石体 2 1 をキーパー 3 2から引き離す際にも、 強固にリング磁石 2 4が被冠ヨーク 2 5に 収容されているので、 リング磁石 2 4が義歯アタッチメント 2から脱落する恐れ はない。

(実施例 1の義歯ァタツチメン卜の作用効果）

本実施例の義歯アタッチメント 2を用い、 図 4に示すように、 義歯 1を口中に 取り付けた。 義歯 1の組み付けでは、 先ず、 複数個の人工歯 1 1が接着圧入等の 固着手段により固定されている末広がり状の義歯床 1 2の凹部 1 0 (図 2参照）

差替え用紙 （規則 26) 内に、 本実施例の義歯ァタツチメン卜 2を挿入して埋設した。 本実施例の義歯ァ タツチメン卜 2では、 キャップ 2 2の突出部 2 2 4が義歯床 1 2の凹部 1 0の内 周面に引つかかって、 義歯アタッチメン卜 2と義歯床 1 2とが互いに外れにく く なっている。

続いて、 支持歯の歯根部 T内に予め埋設されいる根面板 3のキーパー 3 2に、 本実施例の義歯アタッチメント 2を磁気吸引力によって吸着させ、 人工歯 1 1が 配設された義歯床 1 2を口内に取り付けた。

本実施例の義歯ァタツチメント 2では、 図 5から図 6にかけてに示すように、 咬合による押圧力に対し、 キャップ 2 2の凸状部 2 2 3が弾性変形することによ り、 歯丈方向で適正な弾力性をもって大きな収縮量が得られる。 その結果、 本実 施例の義歯ァタツチメント 2によれば、 口中に装用された義歯 1において優れた クッション性が得られる。

また、 磁石体 2 1とキャップ 2 2とが互いに外れにくいばかりではなく、 キヤ ップ 2 2が義歯床 1 2から脱落しにくい。 さらに、 前述の図 2 2とは異なり、 義 歯 1のうち支持歯 Tのある部分での沈み込み量が増大し、 支持歯がなく歯肉によ つてのみ支持されている部分と沈み込み量とほぼ均等にすることができる。 その 結果、 義歯 1の動揺が抑制されるので、 義歯ァタツチメント 2の磁気吸着が外れ てしまうことがない。

そればかりではなく、 磁石体 2 1の側周面 2 1 bが球面状でなくとも、 キヤッ プ 2 2の周縁部 2 2 2の弾性変形が許す範囲で、 キャップ 2 2は磁石体 2 1に対 して傾動することができる。 すなわち、 キャップ 2 2を保持している義歯床 1 2 は、 磁石体 2 1が吸着している根面板 3のキーパー 3 2に対して所定の範囲での 傾動が可能である。 それゆえ、 磁石体 2 1の吸着面 2 1 aがキーパー 3 2から傾 いて浮くことなしに、 義歯アタッチメント 2が根面板 3にしつかりと吸着した状 態を保ったまま、 義歯 1は口中で所定の範囲で傾動することが可能になる。 逆に 表現すれば、 義歯 1が口中で通常の使用状態で起こる程度に傾動しても、 義歯 1 が口中から不用意に外れる恐れがなくなる。

以上の効果をまとめると、 再び図 4に示すように、 本実施例の義歯アタッチメ ント 2によれば、 義歯 1を口中に安定に支持し固定することができるという効果

差替え用紙 （規則 26) がある。 また、 咬合時に義歯アタッチメント 2により適正な沈み込みが生じるの で、 支台歯 Tに応力集中が生じることがなくなり、 支台歯 Tを痛めてしまうこと がないという効果がある。 さらに、 同様の理由で義歯 1が動揺することが防止さ れるので、 義歯ァタツチメン卜 2が根面板 3から傾いて磁気吸引力力低下し義歯 1が支持歯 Tから外れてしまうような不都合がないという効果もある。 逆に、 咬 合時に前後方向などに傾動が生じても、 義歯ァタツチメン卜 2のキャップ 2 2と 磁石体 2 1との間の摺動で傾きが吸収されるので、 義歯ァタツチメン卜 2が根面 板 3から外れやすくなるような不具合が防止されるという効果がある。 併せて、 キヤップなどに腐食を防止することができる材料を用いることにより、 長寿命で もある義歯アタッチメン卜を提供することができるという効果を生じる。

(実施例 1の固定方法および固定用スぺーザの構成）

本発明の一実施例としての義歯アタッチメン卜の固定方法は、 図 2に示すよう に、 義歯アタッチメント 2を義歯床 1 2の凹部 1 0に配設する配設工程 （図中 1 . 〜4 . ) と、 自硬化性接合剤 1 3を硬化させて固定する固定工程 （図中 4 . ) と、 固定用スぺーサ 2 3を取り外す除去工程 （図中 5 . ) とからなる。

本実施例の義歯アタッチメント 2は、 図 3に示すように、 磁気吸引力を有する 磁石体 2 1と、 磁石体 2 1の一部を覆う樹脂製のキヤップ 2 2とから構成されて いる。 磁石体 2 1は、 軟磁性体からなるヨークと永久磁石とから形成されている 磁石構造体 （図 1参照） であり、 歯根部 Tに埋設される根面板 3 (図 4参照） の キーパー 3 2に磁気吸引力で吸着して閉磁路を形成する。 ここで、 キーパー 3 2 と対向して吸着する磁石体 2 1の一端面を吸着面 2 1 aと呼び、 吸着面 2 1 aの 外縁部に接して磁石体 2 1の外周面を形成する面を側周面 2 1 bと呼ぶことにす る。

キャップ 2 2は、 磁石体 2 1の吸着面 2 1 aに背向する側を覆うとともに、 磁 石体 2 1の側周面 2 1 bを歯丈方向 （図中上下方向） に摺動可能に覆っており、 磁石体 2 1を相対移動可能に保持している。 磁石体 2 1の吸着面 2 1 aに背向す る側とキャップ 2 2との間には、 咬合時の沈み込みス卜ロークに相当する間隙 S が形成されていて、 間隙 Sに相当する距離だけ、 キャップ 2 2の周縁部は磁石体

2 1の側周面 2 1 bを歯丈方向に摺動して相対移動する。 なお、 キャップ 2 2の

差替え用紙 （規則 26) 中央部は磁石体 2 1の側に突出しており、 その厚さは材料のレジン （硬質樹脂） の持つ弾力性により、 咬合時に圧縮されて収縮するようになっている。

本実施例としての義歯アタッチメント固定用スぺーサ 2 3は、 義歯床 1 2 (図 4参照） 内に埋設される義歯アタッチメン卜 2を固定するために一時的に使用さ れる固定用スぺーサ 2 3である。 再び図 3に示すように、 本実施例の固定用スぺ —サ 2 3は、 磁石体 2 1の側周面 2 1 bの端部に予め挿着されており、 固定用ス ぺ一サ 2 3の形状は、 リング状すなわち平ヮッシャ状である。

後述するように、 固定用スぺ一サ 2 3は、 義歯アタッチメント 2が義歯床 1 2 内に埋設され自硬化性接合剤 1 3で固定される際には、 咬合時に磁石体 2 1の側 周面 2 1 bの端部のキャップ 2 2が摺動して覆う部分に予め配設されている。 固 定用スぺ一サ 2 3には、 固定用スぺ一サ 2 3が占める空間と固定用スぺ一サ 2 3 の内周面が接している空間に、 自硬化性接合剤 1 3の浸入を阻止する作用がある 本実施例の義歯ァタツチメン卜の固定方法は、 前述の義歯ァタツチメント 2を 固定用スぺーサ 2 3を使用して義歯床 1 2内に埋設して固定する方法である。 先ず、 配設工程は、 再び図 2の 1 . 〜4 . に示すように、 義歯アタッチメント 2が埋設されるべき義歯床 1 2の凹部 1 0に自硬化性接合剤 1 3を介在させた状 態で、 義歯ァタツチメン卜 2を配設する工程である。

すなわち、 図 2の 1 . に示すように、 義歯 1は、 レジン （ポリメチルメタクリ レート樹脂） 製の義歯床 1 2と、 義歯床 1 2に植え付けられて固定されているレ ジン （ポリメチルメタクリレート樹脂） 製の人工歯 1 1と力、らなる。 義歯床 1 2 には、 支持歯 Tに埋設されている根面板 3 (図 4参照） に対向する側に、 義歯ァ タツチメント 2が埋設されるべき凹部 1 0が形成されている。 配設工程では、 図 2の 2 . に示すように、 義歯床 1 2の凹部 1 0の内面全体に自硬化性接合剤 （ァ クリル系の即時重合レジン） 1 3が塗布される。

その一方で、 図 2の 3 . に示すように、 歯肉内 Fに残されている支持歯 Tには 、 予め根面板 3が埋設されて固定されている。 根面板 3は、 支持歯 Tに基部が埋 設され支持歯 Tの表面を端部で覆っている根面板本体部 3 1と、 根面板本体部 3 1の表面に形成されている凹部に埋設されている軟磁性体であるステンレス鋼製

差替え用紙 （規則 26) の円盤状部材であるキーパー 3 2とから構成されている。 配設工程ではまた、 義 歯ァタツチメント 2の端部の周囲に固定用スぺーサ 2 3が配設されている状態で 、 根面板 3のキーパー 3 2に義歯アタッチメント 2が磁気吸着により、 予め仮固 定されている。

しかるのち、 前述のように自硬化性接合剤 1 3が塗布されると直ぐに、 図 2の 4 . に示すように、 歯科医の手で前述の義歯 1が義歯アタッチメント 2に被せら れ、 義歯アタッチメント 2は義歯床 1 2の凹部 1 0に嵌合する。

次に固定工程では、 再び図 2の 4 . に示すように、 磁石体 2 1の側周面 2 1 b の端部のキャップ 2 2が摺動して覆われる部分に固定用スぺ一サ 2 3を介在させ た状態で、 義歯ァタツチメント 2を義歯床 1 2の凹部 1 0に嵌合させて位置決め する。 そして、 その状態で自硬化性接合剤 1 3が磁石体 2 1の側周面 2 1 bの端 部に浸入することを固定用スぺーサ 2 3により阻止しつつ、 自硬^性接合剤 1 3 を硬化させて、 義歯アタッチメン卜 2を義歯床 1 2の凹部 1 0に固定する。 すな わち、 歯科医が患者の口中で義歯 1を数分間押さえていれば、 自硬化性接合剤 1 3は自然に固まり、 義歯アタッチメント 2は、 キャップ 2 2の表面全体で義歯床 1 2の凹部 1 0に接着されて固定保持される。

この際、 キャップ 2 2と凹部 1 0との間から漏れだそうとする自硬化性接合剤 1 3は、 固定用スぺーサ 2 3の存在に阻まれてキャップ 2 2の周縁部の前縁が咬 合時に前進してくる空間に入り込むことがない。 それゆえ、 自硬化性接合剤 1 3 の塗布量が多少多すぎた場合にも、 キャップ 2 2の周縁部の前縁が咬合時に進出 してくる空間は確保されている。

最後に除去工程では、 上記固定工程の後に、 義歯アタッチメン卜 2を固定保持 している義歯 1が患者の口中から取り出され、 図 2の 5 . に示すように、 固定用 スぺーサ 2 3がピンセッ ト等で取り外される。 固定用スぺ一サ 2 3が取り外され た後には、 固定用スぺーサ 2 3の占めていた空間、 すなわち固定用スぺーサ 2 3 の外周面と磁石体 2 1の側周面 2 1 bの端部との間の空間が確保されている。 それゆえ、 自硬化性接合剤 1 3によってキャップ 2 2の周縁部の前縁が咬合時 に前進してくる空間が塞がれることがなく、 キャップ 2 2は固定用スぺーサ 2 3 の厚さに相当するストロークだけ、 咬合時に磁石体 2 1と相対移動することがで

差替え用紙 （規則 26) きる。 したがって、 歯肉部の沈み込みに相当する沈み込みが支持歯部でも同様に 得られ、 支持歯 Tへの咬合力の集中による支持歯 Tの破損や支持歯 Tの周囲の歯 肉 Fの炎症がなくなり、 義歯アタッチメント 2の磁気吸着が外れることもなくな る。

(実施例 1の固定方法および固定用スぺーザの効果）

以上詳述したように、 本発明の義歯ァ夕ツチメン卜の固定方法および固定用ス ぺーサによれば、 義歯アタッチメント 2を義歯床 1 2内に固定する際に、 十分な 量の自硬化性接合剤で確実な固定がなされる。 そのうえ、 自硬化性接合剤 1 3の 塗布に熟練を要さずとも、 あるいははみ出した自硬化性接合剤 1 3の除去作業を 行わずとも、 キャップ 2 2の周縁部の前縁が咬合時に進出するスペースが容易に 確保されるという効果がある。

(実施例 1の固定用スぺーサの寸法および材料）

なお、 本実施例としての義歯アタッチメン卜の固定用スぺ一サ 2 3の寸法は、 内径が磁石体 2 1の外径プラス 0 . 2 mmであり、 厚さが義歯 1の最大沈み込み ストロークに相当している。 逆に言えば、 固定用スぺーサ 2 3の厚さ以上には義 歯 1はほとんど沈み込むことがない。 また、 固定用スぺ一サ 2 3の材料としては 、 人体に無害な物で適度の堅さがあり、 自硬化性接合剤 1 3から容易に剥がせる ものであれば、 多種多様の材料が使用可能である。

一例を挙げれば、 磁石体 2 1の吸着面 2 1 aの外径が 3 . 9 mmであり、 最大 沈み込みが 0 . 2 mmである場合には、 固定用スぺーサ 2 3の形状は内径 4 . 1 mm、 外径 5 . 0 mm、 厚さ 2 mmの平ヮッシャ状であり、 その材料はアル ミ合金である。

他の一例を挙げれば、 磁石体 2 1の吸着面 2 1 aの外径が 3 . 4 mmであり、 最大沈み込みが 0 . 1 mmである場合には、 固定用スぺ一サ 2 3の形状は内径 3 . 6 mm、 外径 4 . 6 mm、 厚さ 0 . 1 mmの平ヮッシャ状であり、 その材料は S U S 3 0 4ステンレス鋼である。

さらに他の一例を挙げれば、 磁石体 2 1の吸着面 2 1 aの外径が 4 . 4 mmで あり、 最大沈み込みが 0 . 4 mmである場合には、 固定用スぺ一サ 2 3の形状は 内径 4 . 6 mm、 外径 6 . 0 mm、 厚さ 0 . 4 mmの平ヮッシャ状であり、 その

差巷え用紙 （規則 26) 材料は硬質ゴムである。

(実施例 1の固定方法および固定用スぺーザの変形態様 1 )

前述の実施例 1での義歯ァタツチメン卜の固定方法では、 最後に固定用スぺ一 サ 2 3を取り外す除去工程があるが、 固定用スぺーサ 2 3の材料を工夫すること により、 除去工程を省略する変形態様 1が可能である。

たとえば、 固定用スぺ一サ 2 3を形成している材料が、 人体に無害な溶解性な いし昇華性の材料であれば、 特別に除去工程を設けて固定用スぺーサ 2 3を除去 しなくても、 義歯 1を使用しているうちに自然に固定用スぺーサ 2 3は消滅する 。 その結果、 前述の実施例 1の義歯ァタツチメント 2の固定方法および固定用ス ぺ一ザと同様の効果が得られる。

(実施例 1の固定方法および固定用スぺーザの変形態様 2 )

前述の実施例では、 義歯床 1 2の凹部 1 0に義歯アタッチメント 2を挿入して 固定する作業を患者の口中で行ってるが、 患者の口中でない広 、作業空間で行う 変形態様 2の実施も可能である。

本変形態様では、 先ず患者の口中から型どりをした模型を用い、 その模型に対 して義歯ァタツチメント 2の位置決めをしたうえで、 義歯床 1 2の凹部 1 0に自 硬化性接合剤 1 3が塗布されている義歯 1を被せて固定作業を行う。 自硬化性接 合剤 1 3が硬化した後に、 上記模型から義歯アタッチメント 2を保持している義 歯 1を取り外し、 固定用スぺーサ 2 3を取り外せば、 前述の実施例で製作したも のと同様に義歯 1の沈み込み用の空間が確保された義歯 1が完成する。

本変形態様によれば、 上記模型を製作する手間はかかるものの、 口中作業が減 るので歯科医や歯科技工士などの施工者の作業がより容易になり、 患者の肉体的 •精神的な負担も減るという効果がある。 また、 硬化に比較的高い温度を要する 自硬化性接合剤 1 3の使用も可能になるという効果もある。

(実施例 1の固定方法および固定用スぺーザの変形態様 3 )

前述の実施例では、 自硬化性接合剤 1 3は義歯床 1 2の凹部 1 0内に塗布され ていたが、 そうではない変形態様 3も実施可能である。

たとえば、 根面板 3に吸着して位置決めされている義歯アタッチメント 2の頂 部に自硬化性接合剤 1 3の塊を乗せておき、 義歯床 1 2を被せるに従って自硬ィ匕

差替え用紙 （規則 26) 性接合剤 1 3が凹部 1 0の内部に拡がるようにしても良い。

あるいは、 いったん （冷却するなどの手段で） 固体のフィルム状にして義歯ァ タツチメント 2のキャップ 2 2の表面にコ一ティングしてある自硬化性接合剤 1 3を、 義歯アタッチメント 2ごと義歯床 1 2の凹部 1 0に挿入した後、 （自然に 暖まって） ペースト状になった自硬化性接合剤 1 3が硬化する手段を取っても良 い。 したがつてこの変形態様では、 自硬化性接合剤 1 3には熱硬ィヒ性樹脂系の接 着剤の使用が好適である。

または、 義歯ァタツチメント 2のキャップ 2 2の表面と義歯床 1 2の凹部 1 0 の内壁面とのうち、 一方に主剤を塗布しておき、 他方に硬化剤を塗布しておいて から、 固定用スぺーサ 2 3を保持して位置決めされている義歯アタッチメン卜 2 に義歯床 1 2を被せる手段を取ることも可能である。

以上のいずれの手段による変形態様であっても、 前述の実施例 1の義歯ァタッ チメン卜 2の固定方法および固定用スぺ一ザと同様の作用効果が得られる。

(実施例 1の固定方法および固定用スぺーザのその他の変形態様）

前述の義歯床 1 2、 人工歯 1 1および自硬化性接舍剤 1 3などを他の材料で形 成する変形態様も可能である。

たとえば、 人工歯 1 1は、 各種樹脂の他、 ポ一セレンや各種セラミックスでも 形成可能である。 また、 義歯床 1 2は、 各種樹脂以外にも、 チタニウムなどの人 体に無害な金属で形成することが可能ある。 さらに、 自硬化性接合剤 1 3には、 ァクリル系以外の即時重合レジンゃ各種熱硬化性レジンの使用が可能である。 これらの変形態様によっても、 前述の実施例 1の義歯アタッチメン卜 2の固定 方法および固定用スぺ一ザとほぼ同様の作用効果が得られる。

(実施例 1の義歯ァタツチメン卜の寸法）

本実施例の義歯ァタツチメント 2の実施をより容易にする目的で、 参考までに 具体的な寸法を図 7に示す。 本実施例の義歯ァタツチメント 2の全ての部材およ びキーパー 3 2は軸対称 （回転対称） 形状をしているので、 同図中の寸法から製 作に必要な寸法のうち主要な寸法を読みとることができるであろう。 実施例 2

差替え用紙 （規則 26) (実施例 2の義歯アタッチメン卜）

本発明の実施例 2としての義歯アタッチメント 2は、 図 8に示すように、 キヤ ップ 2 2が磁石体 2 1の凹部 2 1 0の周囲を所定間隔を隔てて覆うことにより形 成される空隙に発泡体 4を充填する他は、 実施例 1と同様の構成をもつ義歯ァ夕 ツチメント 2である。 発泡体 4としては、 発泡ゴムもしくはウレタンからなる独 立泡を有するものを用いた。

本実施例の義歯ァタツチメン卜 2では、 弾性体 4によってキヤップ 2 2のクッ シヨン性が損なわれることなく、 独立泡からなる発泡体 4が、 外部からの異物の 空隙への侵入を防止する。 それゆえ、 本実施例の義歯ァ夕ツチメント 2によれば 、 磁石体 2 1とキャップ 2 2との間の空間に異物が浸入することカ 、 完全に阻止 されるという効果がある。 実施例 3

(実施例 3の義歯アタッチメン卜）

実施例 3としての義歯アタッチメント 2は、 図 9に示すように、 キャップ 2 2 力磁石体 2 1の凹部 2 1 0の周囲を所定間隔を隔てて覆うことにより形成される 空隙の一部に、 ゴム弾性体 4 ' をその横方向に空隙が設けられるように装填する 他は、 実施例 1と同様の構成をもつ義歯ァタツチメントである。 ゴム弾性体 4 ' としては、 シリコンゴム等の緩衝材を用いることができる。

本実施例の義歯ァタツチメント 2では、 前述の実施例 1の効果に加えて、 ゴム 弾性体 4 ' の弾力的な圧縮作用により、 キャップ 2と磁石体 1との当接による衝 撃を弱めることができるという効果がある。 実施例 4

(実施例 4の義歯アタッチメント）

実施例 4としての義歯アタッチメント 2は、 図 1 0に示すように、 キャップ 2 2が磁石体 2 1の凹部 2 1 0の周囲を所定間隔を隔てて覆うことにより形成され る空隙の一部に、 ゴム弾性体 4 " をキャップ 2 2と所定間隔設けられるように装 填する他は、 実施例 1と同様の構成をもつ義歯アタッチメント 2である。 ここで

差替え用紙 （規則 26) も、 ゴム弾性体 4 " としてシリコンゴム等の緩衝材を用いることができる。 本実施例の義歯アタッチメント 2では、 前述の実施例 1の効果に加えて、 キヤ ップ 2 2の凸状部 2 2 3が途中まで圧縮されてから、 ゴム弾性体 4 " の弾力的な 圧縮作用によって、 キャップ 2 2と磁石体 2 1との当接による衝撃を弱めること ができる。 実施例 5

(実施例 5の義歯アタッチメント）

実施例 5としての義歯アタッチメン卜 2は、 図 1 1に示すように、 キャップ 2 2の凸状部 2 2 3が硬質樹脂からなり、 周縁部 2 2 2を含む残部が高耐食性非磁 性材料からなる他は、 実施例 1と同様の構成をもつ義歯ァタツチメント 2である 。 本実施例では、 上記硬質樹脂および上記高耐食性非磁性材料として、 それぞれ ポリアセタールおよび S U S 3 1 6を用いた。

本実施例の義歯ァタツチメント 2では、 実施例 1の義歯ァタツチメント 2の優 れた性能に加え、 キャップ 2 2の剛性を向上させながらキャップ 2 2の腐食を防 止することができる。 実施例 6

(実施例 6の義歯ァタツチメント）

本発明の実施例 6としての義歯アタッチメント 2は、 図 1 2に示すように、 キ ―パ一 3 2に磁気吸引力で吸着する磁石体 2 Γ と、 根面板 3に吸着する吸着面 2 1 aに背向する側の磁石体 2 1を覆うキャップ 2 2 ' とからなる。

磁石体 2 Γ は、 歯丈方向と交差して配設される円盤状の円盤磁石 2 4 ' と、 ヨーク部としての軸対称形状をした被冠ヨーク 2 5 * およびリング状の蓋ヨーク 2 6 Aと、 封止リング 2 6 Bとからなる。 ヨーク部としての被冠ヨーク 2 5およ び蓋ヨーク 2 6 Aは、 円盤磁石 2 4 ' を包囲し、 リング磁石 2 4とキーパー 3 2 との間で磁気回路を形成して、 強力な磁気吸引力を発揮することを可能にしてい る o

吸着面 2 1 aは、 中央部から外周部へ向かって順に、 円盤状の蓋ヨーク 2 6 A

差替え用紙 （規則 26) の一方の面、 封止リング 2 6 Bの一方の面、 および被冠ヨーク 2 5 ' の外周部の 端面から、 同心円状に形成されている。 封止リング 2 6 Bは、 被冠ヨーク 2 5 ' と蓋ヨーク 2 6 Aとを磁気的に絶縁し、 被冠ヨーク 2 5 ' と蓋ヨーク 2 6 Aとの 間にキー 一 3 2を通らない磁力線が通じて磁気的に短絡することを防止してい る。

ここで、 封止リング 2 6 Bの内周面および外周面は、 それぞれ蓋ヨーク 2 6 A の外周面と被冠ヨーク 2 5 ' の端面の内周面とに、 レーザー溶接または電子ビー ム溶接により、 気密かつ堅牢に溶接されて互いに固定されている。 それゆえ、 吸 着面 2 1 aは水密に封止されていて円盤磁石 2 4 ' は密封されており、 唾液等が 浸入して比較的腐食しやすい円盤磁石 2 4 ' に触れることは、 完全に防止されて いる。

なお、 吸着面 2 1 aは研摩されてほぼ完全に平滑な平面に仕上げられており、 同様のキーパー 3 2の吸着面とほとんど隙間なく密着することができるようにな つている。 それゆえ、 極めて強力な磁気吸引力が義歯ァ夕ツチメン卜 2の磁石体 2 Γ とキーパー 3 2との間に発生し、 義歯 1 (図 4参照） は強固に口中に保持 される。

一方、 キャップ 2 2は、 本体部 2 2 1と周縁部 2 2 2と力、らなり、 本体部 2 2 1の凸状部 2 2 3の凸部を形成している樹脂クッシヨン 2 2 7と、 その他の全て の部分を形成している樹脂カバ一 2 2 6と力、ら、 一体的に構成されている。 樹脂 クッション 2 2 7を形成している材料は、 軟質 P O M (ポリオキシメチレン） 樹 脂であり、 樹脂カバ一 2 2 6を形成している材料は、 硬質 P O M樹脂である。 す なわち、 キャップ 2 2 ' のうち、 凸状部 2 2 3の要部 （樹脂クッション 2 2 7 ) は軟質樹脂から形成されており、 それ以外の部分 （樹脂カバー 2 2 6 ) は硬質樹 脂から形成されている。

本体部 2 2 1の凸状部 2 2 3の樹脂クッシヨン 2 2 7は、 磁石体 2 1の吸着面 2 1 aと背向する背向面 2 1 cを所定間隔 Sを隔てて覆い、 無負荷状態でも磁石 体 2 1に当接している。 樹脂クッシヨン 2 2 7以外の本体部 2 2 1と周縁部 2 2 2とは、 硬質な樹脂カバ一 2 2 6として一体成形されている。 周縁部 2 2 2は、 磁石体 2 1 * の側周面 2 1 bに当接して側周面 2 1 bを摺動可能に保持する作用

差替え用紙 （規則 26) を有する。

ここで、 キャップ 2 2 ' の周縁部 2 2 2が当接して摺動する磁石体 2 Γ の側 周面 2 1 bは、 吸着面 2 1 aに向かってテーパーしているので、 周縁部 2 2 2が 締め付ける力により、 磁石体 2 Γ はキャップ 2 2 ' に強固に保持される。 それ ゆえ、 義歯 1を口中から外す際に磁気吸引力で磁石体 2 Γ がキーパー 3 2に吸 引されても、 磁石体 2 Γ がキャップ 2 2 ' 力、ら脱落することは確実に防止され ている。

また、 磁石体 2 Γ は、 吸着面 2 1 aと背向する側の背向面 2 1 cの中央部に 凹部 2 1 0を持つ。 これに対してキャップ 2 2は、 前述の本体部 2 2 1の一部と して、 磁石体 2 1の凹部 2 1 0に当接し押圧力により弾性的に圧縮される凸状部 2 2 3の樹脂クッシヨン 2 2 7を持つ。 咬合による押圧力が義歯アタッチメント 2にかかっていない場合には、 凸状部 2 2 3の周囲の磁石体 2 1の背向面 2 1 c とキャップ 2 2の本体部 2 2 1との間には、 適正な間隔 Sが形成されている。 磁石体 2 1の凹部 2 1 0とキヤップ 2 2の凸状部 2 2 3の樹脂クッシヨン 2 2 7とは互いに当接している。 その周囲では、 磁石体 2 Γ の凹部 2 1 0の表面と キャップ 2 2の凸状部 2 2 3の表面との間に、 隙間が形成されている。 それゆえ 、 咬合時の押圧力によりキャップ 2 2 ' の凸状部 2 2 3の樹脂クッション 2 2 7 が圧縮されて弾性変形し、 水平方向に張り出すことがあっても、 磁石体 2 1の凹 部 2 1 0およびキヤップ 2 2の凸状部 2 2 3の周囲の隙間に収容される。 その結 果、 キャップ 2 2 ' が水平方向に張り出すような変形は起こらない。

また、 咬合時の押圧力がかかった場合には、 キャップ 2 2 ' の周縁部 2 2 2が 磁石体 2 1の側周面 2 1 bに沿って摺動して、 キャップ 2 2 ' が磁石体 2 Γ に 接近する。 このようにキャップ 2 2 ' が磁石体 2 Γ に接近しても、 磁石体 2 1 ' の背向面 2 1 cとキャップ 2 2 ' の本体部 2 2 1との間に形成されている適正 な間隔 Sがつぶれて、 磁石体 2 Γ の背向面 2 1 cとキャップ 2 2 ' の本体部 2 2 1とが当接するに至るだけである。 それゆえ、 咬合時の押圧力によりキャップ 2 2 ' の本体部 2 2 1が磁石体 2 Γ の背向面 2 1 cのほぼ全体に当接するだけ で、 キャップ 2 2 ' が水平方向に張り出すような変形は起こらない。

したがって、 キャップ 2 2 ' の外形形状は、 咬合時の押圧力によってもほとん

差替え用紙 （規則 26) ど変化しない。 それゆえ、 自硬化性接合剤により接着されているキャップ 2 2 ' の表面と義歯床 1 2の凹部 1 0 (図 2参照） との間の接着面に剥離が生じること が防止されているので、 本実施例の義歯アタッチメント 2も強固に義歯床 1 2に 保持される。

さらに、 キャップ 2 2 ' の周縁部 2 2 2は、 その周先端の外周よりも外側方向 に突出したリング状の突条である突出部 2 2 4をもつ。 その結果、 キャップ 2 2 ' の周縁部 2 2 2の突出部 2 2 4に義歯床 1 2が係合し、 義歯床 1 2に対して義 歯アタッチメント 2がより確実に保持されている。 すなわち、 キャップ 2 2の外 周面と義歯床 1 2の凹部 1 0との間の接着面の一部に、 万一剥離が生じた場合で あっても、 キャップ 2 2は周縁部 2 2 2の突出部 2 2 4により義歯床 1 2の凹部 1 0内に係合している。 その結果、 本実施例の義歯アタッチメント 2もまた、 義 歯床 1 2から外れることが有効に防止されるという効果がある。

本実施例の義歯ァタツチメン卜 2によっても、 実施例 1と同様の作用効果が得 られるばかりではなく、 磁石体 2 Γ が簡素に構成されているので、 実施例 1に 比較してコストダウンが可能であるという効果もある。 さらに、 軟質樹脂から凸 状部 2 2 3の樹脂クッション 2 2 7が形成されているので、 咬合時には当初から 比較的ソフ卜な装用感が得られるという効果がある。 実施例 7

(実施例 7の義歯アタッチメン卜）

実施例 7としての義歯アタッチメント 2は、 図 1 3に示すように、 キャップ 2 2 " の樹脂クッシヨン 2 2 7が小さくなっている他は、 前述の実施例 6と同様の 構成を取っている。 すなわち、 樹脂クッシヨン 2 2 7が薄くなつているので、 無 負荷時には磁石体 2 1 * の凹部 2 1 0と樹脂クッシヨン 2 2 7との間に、 適正な 隙間 Sが形成されている。

それゆえ、 咬合時の初期には、 図 1 4に示すように、 義歯アタッチメント 2の キャップ 2 2の凸状部 2 2 3による反発力は生ぜず、 義歯 1は支持歯 Tがある部 分でも歯肉 Tの義歯床 1 2に対する反発力だけで支持される。 しかる後、 普通の 最大咬合力に達すると、 図 1 5に示すように、 義歯アタッチメント 2のキャップ

差替え用紙 （規則 26) 2 2 " の本体部 2 2 1は、 全体で磁石体 2 Γ の背向面 2 1 cに当接する。 その結果、 咬合時に歯肉 Fの反発力を超える大きな咬合力がかかった時にのみ 支持歯 Tによる反発力が発揮されるので、 歯肉 Fに咬合による過大な押圧力がか かることが防止され、 歯肉 Fが保護されるという効果がある。 また、 歯肉 Fの反 発力を超える大きな咬合力がかかるまでは、 支持歯 Tがある部分でも歯肉 Fだけ の部分でも （図 2 2参照） 、 歯肉 Fの反発力だけで義歯 1が支持されるので、 義 歯 1の顎 （あご） に対する沈み込みが均等になり、 ソフトな装用感が得られると いう効果もある。 実施例 8

(実施例 8の義歯ァタツチメン卜）

本発明の実施例 8としての義歯アタッチメント 2は、 図 1 6に示すように、 前 述の実施例 6または実施例 7と比較して、 キャップ 2 2 Aの凸状部 2 2 3の樹脂 クッション 2 2 7がない点だけが異なっており、 その他の構成は同一である。 す なわち、 本実施例の義歯ァ夕ツチメント 2のキャップ 2 2 Aには、 前述の実施例 1 1 , 1 2と異なり、 凸状部 2 2 3がなく、 キャップ 2 2 Aは、 硬質 P O M樹脂 からなる樹脂カバー 2 2 6のみで一体成形されている。

本実施例の義歯アタッチメント 2でも、 図 1 7および図 1 8に示すように、 前 述の実施例 7と同様の作用効果が発揮される。 そればかりではなく、 前述のよう にキャップ 2 2 Aが硬質樹脂から一体成形されているので、 本実施例の義歯ァ夕 ツチメント 2によれば、 なおいっそうのコス卜ダウンが可能になるという効果が あ 実施例 9

(実施例 9の義歯アタッチメント）

本実施例の義歯アタッチメント 2は、 図 1 9〜2 1に示すように、 磁石体 2 1 Aの構成が前述の各実施例と異なっており、 これに伴ってキャップ 2 2 Bも軸対 称形ではなくやや四角張った形状をしている。 キャップ 2 2 Bは、 その他の点で は基本的構成は実施例 6のキャップ 2 2 ' と同様である。 また、 義歯アタッチメ

差替え用紙 （規則 26) ン卜 2が軸対称形ではなくやや角張っていることに伴い、 キーパー 3 2 ' も円盤 状ではなくやや角張った形状をして 、る。

磁石体 2 1 Aの基本的な構成は、 図 2 1に示すように、 板状の希土類磁石から なる二枚の板磁石 2 7と、 軟磁性のステンレス鋼からなるブロック状の一つの中 間ヨーク 2 7 ' および二つの外側ヨーク 2 7 " とからなる。 二つの板磁石 2 7は 、 同極 （例えば N極） を互いに対向させて平行に配設されており、 間に中間ョー ク 2 7 ' を挟持している。 また、 二つの板磁石 2 7の互いに背向する極も互いに 同極 （例えば S極） であり、 両板磁石 2 7および中間ヨーク 2 7 ' は、 二つの外 側ヨーク 2 7 " によって挟持されている。 すなわち、 磁石体 2 1 Aは、 中心から 両側に向かって順に、 中間ヨーク 2 7 ' と板磁石 2 7と外側ヨーク 2 7 " とから なるダブルサンドィッチ構造をしている。

それゆえ、 同じく図 2 1に模式的に示すように、 磁石体 2 1 Aはキーパー 3 2 ' との間に二つの閉磁路 Mを形成するので、 強力な磁気吸引力を発揮することが できる。

なお、 中間ヨーク 2 7 ' および外側ヨーク 2 7 " に接触していない各板磁石 2 7の四方の表面は、 非磁性のステンレス鋼からなる薄板である封止板 2 8によつ て封止されており、 腐食が防止されている。 各封止板 2 8は、 中間ヨーク 2 7 ' および外側ヨーク 2 7 " にレーザー溶接されており、 両板磁石 2 7はそれぞれ水 密かつ気密に密封されている。 また、 封止板 2 8は非磁性体であるので、 封止板 2 8による磁気回路の短絡は防止されている。

また、 磁石体 2 1 Aの全周囲の側面ないし側周面 2 1 bは、 吸着面 2 1 aに向 かってテーパしているので、 磁石体 2 1 Aはキャップ 2 2 Bにより確実に保持さ れる。

中間ヨーク 2 7 ' の背向面 2 1 cには、 溝状に凹部 2 1 0が形成されており、 凹部 2 1 0の中央にキャップ 2 2の凸状部 2 2 3の樹脂クッシヨン 2 2 7が当接 する。 それゆえ、 本実施例の義歯ァタツチメント 2によれば、 前述の実施例 7と 同様の作用効果が発揮される。 なお、 前述の図 2 1は咬合による押圧力がかかつ ている状態で示されており、 無負荷時には図 1 3と同様に、 キャップ 2 2 Bの本 体部 2 2 1と磁石体 2 1 Aの背向面 2 1 cとの間には、 適正な間隙が形成されて

差替え用紙 （規則 26) いる。

なお、 本実施例の義歯ァタツチメント 2も、 実施例 1で詳述した固定方法によ り義歯床内に固定されうる力 その際使用される固定用スぺーサは、 実施例 1と 同様ではない。 すなわち、 本実施例の義歯ァタツチメン卜 2の固定方法で使用さ れる固定用スぺーサは、 磁石体 2 1 Aの吸着面 2 1 aの形状ないし側周面 2 1 b の形状に合わせて、 リング状ではなくやや角張った形状をしている。 しかしなが ら、 本実施例で使用される固定用スぺ一ザの持つ作用効果は、 実施例 1とそれと 変わるところはない。

(実施例 9の変形態様）

本実施例の義歯ァタツチメント 2において、 板磁石 2 7および中間ヨーク 2 7 ' の枚数を増やした変形態様が可能である。 本変形態様では、 互いに隣り合う板 磁石 2 7は、 互いに同性の磁極を対向させて配設される。 本変形態様によれば、 各板磁石 2 7から発生する磁束が少なくなるので、 板磁石 2 7および各ヨーク 2 Ί , 、 2 7 " の厚さを薄く形成できるだけではなく、 高さ （磁石体 2 1 Aの厚さ ) を薄く形成することができるという効果がある。 この効果は、 積層する板磁石 2 7の数を増すほど顕著になる。

その結果、 本変形態様によれば、 磁石体 2 1 Aおよびキーパー 3 2 ' をよりい つそう薄く構成することが可能になるという効果がある。 発明の効果

以上詳述したように、 本発明の義歯アタッチメントによれば、 咬合時にはその 押圧力によって適正な沈み込みが生じ、 義歯の揺動を抑制して支持歯を保護する とともに、 磁石体が根面板から外れにく く、 あわせて磁石体がキャップカヽらも外 れにくいという効果がある。 すなわち、 前述の第 1の解決すべき課題が解決され る。 また、 本発明の義歯アタッチメントの固定方法および固定用スぺーサによれ ば、 上記義歯アタッチメントを義歯床内に固定する際に、 十分な量の自硬化性接 合剤で確実な固定がなされながら、 熟練を要さずともキヤップの周縁部が進出す るためのスペースが確実に確保されるという効果がある。 すなわち、 前述の第 2 の解決すべき課題が解決される。

差替え用紙 （規則 26)

Claims

請求の範囲

1 . 歯根部に埋設した根面板に磁気吸引力で吸着する磁石体と、 該根面板に吸着 する吸着面と背向する側の該磁石体を覆うキャップとからなり、 義歯床内に埋設 される義歯ァタツチメン卜であって、

前記キヤップは、

前記磁石体の該吸着面と背向する背向面を所定間隔を隔てて覆い、 咬合時の押 圧力により変位して該磁石体に当接する本体部と、

該本体部の周縁に一体的に形成され、 該磁石体の側周面に当接して該側周面を 摺動可能に保持する周縁部と、

をもつことを特徴とする義歯ァタツチメント。

2 . 前記磁石体は、 前記吸着面と背向する側の中央部に凹部をもち、

前記キヤップは、 該磁石体の該凹部に当接し押圧力により弾性的に圧縮される 凸状部をもつ、

請求項 1記載の義歯ァタツチメン卜。

3 . 前記キヤップのうち少なくとも前記凸状部は樹脂からなる、 請求項 2記載 の義歯ァ夕ツチメン卜。

4 . 前記キャップのうち、 前記凸状部は樹脂からなり、 前記周縁部は高耐食性非 磁性材料からなる、

請求項 3記載の義歯ァ夕ツチメント。

5 . 前記キャップのうち、 前記凸状部は軟質樹脂からなり、 該凸状部以外の部分 は硬質樹脂からなる、

請求項 2記載の義歯アタッチメント。

6 . 前記キヤップと前記磁石体との間の空隙に充填された発泡体を有する、 請求項 1に記載の義歯ァタツチメン卜。

7 . 前記キャップと前記磁石体との間の空隙の少なくとも一部に装填された弾性 体を有する、

請求項 1に記載の義歯アタッチメン卜。

8. 前記キャップの周縁部は、 その周先端の外周よりも外側方向に突出した突出 部をもつ、

差替え用紙 （規則 26) 請求項 1記載の義歯ァ夕ツチメント。

9 . 前記キャップの周縁部の内周面に摺接する前記磁石体の側周面は、 前記吸着 面に向かってテーパーしている、

請求項 1記載の義歯アタッチメント。

1 0 . 前記磁石体は、

歯丈方向と交差して配設されるリング状のリング磁石と、

該リング磁石の中央孔を含んで該リング磁石を包囲し、 該リング磁石および前 記根面板との間で磁気回路を形成するヨーク部とから構成される、

請求項 1記載の義歯ァ夕ツチメント。

1 1 . 前記磁石体は、 互いに同質の磁極を対向させ所定の間隔を空けて配設され た複数の板状の板磁石と、 少なくとも各該板磁石の間に挟持された軟磁性体から なる少なくとも一つのヨークとを有する、

請求項 1記載の義歯アタッチメン卜。

1 2 . 歯根部に埋設される根面板に磁気吸引力で吸着する磁石体と、 該磁石体の 該根面板に吸着する吸着面に背向する側を覆うとともに該磁石体の側周面を摺動 可能に覆い該磁石体を相対移動可能に保持するキヤップとからなる義歯ァタツチ メントを、 義歯床内に埋設して固定する方法であって、

前記磁石体の前記側周面の端部の前記キャップが摺動して覆われる部分に固定 用スぺーサを介在させた状態で前記根面板に吸着して位置決めされている前記義 歯ァタツチメン卜を、 自硬化性接合剤を介在させて前記義歯床の前記凹部に挿入 し、 その状態で前記自硬化性接合剤が前記磁石体の該側周面の該端部に浸入する ことを阻止しつつ前記自硬化性接合剤を硬化させて、 該義歯ァタツチメントを該 義歯床の該凹部に固定することを特徴とする義歯ァタツチメン卜の固定方法。

1 3 . 前記自硬化性接合剤の硬化後に、 前記固定用スぺーサを取り外す請求項 1 2記載の義歯ァタツチメン卜の固定方法。

1 4 . 歯根部に埋設される根面板に磁気吸引力で吸着する磁石体と、 該磁石体の 該根面板に吸着する吸着面に背向する側を覆うとともに該磁石体の側周面を摺動 可能に覆い該磁石体を相対移動可能に保持するキャップとからなり義歯床内に埋 設される義歯アタッチメントを固定するために一時的に使用される固定用スぺー

差替え用紙 （規則 26) サであって、

前記義歯床内に埋設され自硬化性接合剤で固定される際に、 前記磁石体の前記 側周面の端部の前記キヤップが摺動して覆う部分に配設され、 前記自硬化性接合 剤の浸入を阻止することを特徴とする義歯アタッチメント固定用スぺ一サ。

1 5 . 前記磁石体の前記側周面に揷着されるリング状である請求項 1 4記載の義 歯ァタツチメント固定用スぺーサ。

差替え用紙 （規則 26)