JP2893106B2 - 義歯アタッチメントならびにその固定方法および固定用スペーサ - Google Patents

義歯アタッチメントならびにその固定方法および固定用スペーサ

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JP2893106B2
JP2893106B2 JP2453398A JP2453398A JP2893106B2 JP 2893106 B2 JP2893106 B2 JP 2893106B2 JP 2453398 A JP2453398 A JP 2453398A JP 2453398 A JP2453398 A JP 2453398A JP 2893106 B2 JP2893106 B2 JP 2893106B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、義歯(入れ歯)の
技術分野に属し、より詳しくは、義歯床内に埋設されて
磁気吸引力により義歯を口中に固定する義歯アタッチメ
ントの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来から、抜歯患者の歯根部に植え込み
処置された根面板の軟磁性材料からなる吸着板(キーパ
ー)に、磁気吸引力によって義歯を着脱自在に固定する
義歯アタッチメントは公知である。しかしながら、通常
の磁気吸引式の義歯アタッチメントでは、食物を咀嚼す
るときの咬み合いによる押圧力が均等に生じた場合、図
22に示すように、歯肉部(B部)では歯根部(A部)
の約十倍の沈み込みが生じる。すなわち、歯肉部では
0.2mm程度の沈み込みが生じるのに対し、歯根部で
は0.02mm程度しか沈み込みが生じない。それゆ
え、この様な場合には支持歯に押圧力(咬合圧)が集中
して支持歯を傷めてしまう恐れがある。また、歯肉部と
歯根部との沈み込みの差によって義歯が傾き、義歯アタ
ッチメントの磁気吸着が外れてしまう恐れもある。
【0003】そこで、図23に示すように、歯根部に埋
設されている根面板に磁気吸引力で吸着する磁石体に、
根面板と吸着する吸着面と背向する側に弾力性があるキ
ャップを被せて接着した義歯アタッチメントが、特開平
7−246208号公報に開示されている(前者)。ま
た、図24に示すように、磁石体の側周面を球面状に形
成し、その外側からプラスチックのキャップで覆った義
歯アタッチメントが、米国特許第4,626,213号
に開示されている(後者)。
【0004】前者の義歯アタッチメントによれば、キャ
ップの弾性力を生かして義歯にかかる咬合圧を緩衝する
ことが可能であるとされている。しかしながらこの義歯
アタッチメントでは、キャップが咬合力で歯丈方向に収
縮すると、キャップの材料のポアソン比に従ってキャッ
プがその周縁方向へ拡がってしまう。この拡がりが大き
いと、磁石体の側周面とキャップの周縁部との間に隙間
ができ、この隙間に食物かすや唾液などの異物が浸入し
て腐敗する恐れがある。また、キャップと義歯床の間や
磁石体とキャップとの間に隙間が生じるので、接着面が
剥離してしまい、義歯床からキャップが外れやすくな
り、キャップからも磁石体が外れやすくなってしまう。
【0005】かといって咬合時にキャップが周縁部に拡
がるのを規制すると、キャップが歯丈方向に収縮しにく
くなり、実用上十分なキャップの収縮効果が得られなく
なり本来の機能が損なわれる。その結果、前述の歯肉部
と歯根部との沈み込みの差が残ってしまうので、義歯が
傾き、やはり磁石体がキャップから外れやすくなるとい
う不都合が生じる。
【0006】いっぽう後者の義歯アタッチメントでは、
磁石体の側周面とキャップの内周面とが互いに摺動して
相対的に傾くこと(回転運動)が可能であるので、義歯
の傾きによって義歯アタッチメントの磁気吸着が外れる
ことは防止されている。しかし、咬合圧に対するクッシ
ョン効果は十分ではない。すなわち、磁石体とキャップ
とは歯丈方向にはあまり相対移動ができないので、歯丈
方向での沈み込みを吸収するのに十分なクッション効果
が得られない。それゆえ、支持歯に咬合による押圧力が
集中して支持歯を傷めてしまう恐れを十分に払拭できて
いるとは言えない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
(第1の課題)そこで本発明は、咬合時にはその押圧力
によって適正な沈み込みが生じ、義歯の揺動を抑制して
支持歯を保護するとともに、磁石体が根面板から外れに
くく、あわせて磁石体がキャップからも外れにくい義歯
アタッチメントを提供することを、第1の解決すべき課
題とする。
【0008】(第2の課題)ところで上記課題を解決す
る義歯アタッチメントでは、後述するように、磁石体の
側周面とキャップの周縁部の内周面との間で歯丈方向に
摺動が可能である。それゆえ、キャップの周縁部の前縁
部は、磁石体の側周面の端部を最大の咬合力がかかった
ときにのみ覆うように、磁石体の吸着面より沈み込みス
トロークに対応する程度、咬合力がかかっていないとき
には後退した位置にある。そして、咬合力がかかったと
きに、キャップの周縁部の前縁は、磁石体の側周面の端
部に沿って相対的に摺動しつつ進出する。それゆえ、先
行技術としての義歯アタッチメントでは、キャップの周
縁部の前縁部が摺動により進出できるだけのスペース
(隙間)が、磁石体の側周面の端部の周囲に形成されて
いる必要がある。
【0009】ところが、磁石体とキャップとが一体とな
っている義歯アタッチメントを義歯床に埋設して固定す
る際に、接着用の自硬化性接合剤の塗布量が多いと、自
硬化性接合剤がはみ出してきて上記スペースを埋めてし
まう可能性があった。その場合には、はみ出してきた自
硬化性接合剤を除去する作業を行って上記スペースを確
保する必要があり、その分手間がかかった。
【0010】かといって自硬化性接合剤の塗布量が十分
でないと、十分に強固に義歯アタッチメントが義歯床内
に固定されない可能性が生じるので、自硬化性接合剤の
適正な塗布を行うためは熟練を要した。そこで本発明
は、上記先行技術の義歯アタッチメントを義歯床内に固
定する際に、十分な量の自硬化性接合剤で確実な固定が
なされながら、熟練を要さずとも上記スペースが確実に
確保される義歯アタッチメントの固定方法および固定用
スペーサを提供することを、第2の解決すべき課題とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記各課題を解決するた
めに、発明者らは以下の手段を発明した。 (義歯アタッチメント)本発明の義歯アタッチメント
は、歯根部に埋設した根面板に磁気吸引力で吸着する磁
石体と、該根面板に吸着する吸着面と背向する側の磁石
体を覆うキャップとからなり、義歯床内に埋設される。
本発明の義歯アタッチメントの特徴は、キャップが、本
体部と周縁部とからなり、歯丈方向に摺動可能に磁石体
を被っていることである。すなわち、キャップの本体部
は、磁石体の吸着面と背向する背向面を所定間隔を隔て
て覆い、咬合時の押圧力により変位して磁石体に当接す
る。一方、キャップの周縁部は、本体部の周縁に一体的
に形成され、磁石体の側周面に当接して側周面を摺動可
能に保持する。
【0012】以上の構成の義歯アタッチメントでは、咬
合時の押圧力がかかると、キャップの本体部が磁石体の
背向面に当接するまで、キャップが磁石体の側周面と当
接しつつ摺動し、義歯が歯肉に適正に沈み込むことがで
きる。それゆえ、支持歯の部分でも義歯が支持歯のない
部分と同程度の沈み込みを生じ、歯肉による支持力が反
作用として作用するので、支持歯に過大な押圧力がかか
らず、支持歯が保護される。また、同じ理由によって磁
石体が支持歯に対して傾動することがないので、磁石体
の吸着面が歯根部に埋設した根面板から斜めに浮き上が
ることがなくなり、磁石体が根面板から外れることが防
止される。さらに、咬合時の押圧力がかかっても、キャ
ップに磁石体と剥離する変形が生じないので、磁石体が
キャップから外れることも防止される。
【0013】ここで上記義歯アタッチメントは、磁石体
が吸着面と背向する側の中央部に凹部をもち、キャップ
は磁石体の凹部に当接し押圧力により弾性的に圧縮され
る凸状部をもつという構成を取ることができる。本構成
の義歯アタッチメントでは、咬合時の押圧力によりキャ
ップの凸状部が磁石体の凹部にはまり込んで当接し、キ
ャップの凸状部が弾力的に圧縮されるので優れたクッシ
ョン効果が得られる。すなわち、凸状部の材料の弾性率
および形状を適正に設計することにより、咬合力に対応
する沈み込み量が適正に設定され、優れたクッション効
果が発揮されるようになる。
【0014】併せて、キャップの磁石体に対する摺動ス
トロークすなわち沈み込み量が、所定の強さの押圧力ま
での沈み込み量で規制されるので、通常発揮される咬合
力の最大値に対応して最大沈み込み量が得られるように
設計することが可能になる。その結果、過大な咬合力が
かかった場合にも過大な沈み込み量の発生が防止される
ので、キャップに過大な変形を生じてキャップを傷めた
りキャップと義歯床との接着が剥離したりする不都合が
防止される。
【0015】(義歯アタッチメントの固定方法)本発明
の義歯アタッチメントの固定方法は、歯根部に埋設され
る根面板に磁気吸引力で吸着する磁石体と、磁石体の根
面板に吸着する吸着面に背向する側を覆うとともに磁石
体の側周面を摺動可能に覆い磁石体を相対移動可能に保
持するキャップとからなる義歯アタッチメントを、義歯
床内に埋設して固定する方法である。本固定方法は、磁
石体の側周面の端部のキャップが摺動して覆われる部分
に固定用スペーサを介在させた状態で根面板に吸着して
位置決めされている義歯アタッチメントを、自硬化性接
合剤を介在させて義歯床の凹部に挿入し、その状態で自
硬化性接合剤が磁石体の側周面の端部に浸入することを
阻止しつつ自硬化性接合剤を硬化させて、義歯アタッチ
メントを義歯床の凹部に固定することを特徴としてい
る。
【0016】本固定方法では、義歯アタッチメントを義
歯床の凹部に挿入する際に、義歯アタッチメントのキャ
ップの表面と義歯床の凹部との間から自硬化性接合剤が
漏れ出そうになっても、固定用スペーサに封止されて漏
れ出ることがない。すなわち、磁石体の側周面の端部の
キャップが摺動して覆われる部分に固定用スペーサが介
在しているので、自硬化性接合剤が磁石体の側周面の端
部に浸入することは阻止される。その結果、磁石体の側
周面の端部のキャップが摺動して覆われる部分の周囲に
は、固定用スペーサがなくなった後にキャップが摺動し
て進出できるだけの空間が確保されるので、自硬化性接
合剤がやや多めであっても義歯の沈み込みストロークは
確保される。
【0017】したがって本固定方法によれば、義歯アタ
ッチメントを義歯床内に固定する際に、十分な量の自硬
化性接合剤で確実な固定がなされながら、熟練を要さず
とも義歯の沈み込み用のスペースが容易に確保されると
いう効果がある。ここで、自硬化性接合剤の硬化後に、
固定用スペーサを取り外すことが望ましい(なお別案と
して、固定用スペーサが唾液に溶解して、無害な溶液に
なって消散してしまう構成も可能である)。この固定方
法では、義歯アタッチメントの義歯床内への固定後、速
やかかつ完全に固定用スペーサが除去されるので、義歯
の沈み込みストロークが当初の設定通り、速やかかつ確
実に確保される。したがってこの固定方法によれば、前
述の効果に加えて、速やかかつ確実に義歯の沈み込みス
トロークが確保されるので、義歯の装用感が当初から良
好になるという効果がある。
【0018】(義歯アタッチメントの固定用スペーサ)
本発明の義歯アタッチメントの固定用スペーサは、歯根
部に埋設される根面板に磁気吸引力で吸着する磁石体
と、磁石体の根面板に吸着する吸着面に背向する側を覆
うとともに磁石体の側周面を摺動可能に覆い磁石体を相
対移動可能に保持するキャップとからなり義歯床内に埋
設される義歯アタッチメントを固定するために一時的に
使用される固定用スペーサである。本固定用スペーサ
は、義歯床内に埋設され自硬化性接合剤で固定される際
に、磁石体の側周面の端部のキャップが摺動して覆う部
分に配設され、自硬化性接合剤の浸入を阻止する作用を
有することを特徴としている。
【0019】本固定用スペーサでは、義歯アタッチメン
トが義歯床内に埋設され自硬化性接合剤で固定される際
に、磁石体の側周面の端部のキャップが摺動して覆う部
分に本固定用スペーサが配設されているので、自硬化性
接合剤の浸入が阻止される。すなわち、義歯アタッチメ
ントの義歯床内への固定の際に、義歯アタッチメントの
キャップの表面と義歯床の凹部との間から自硬化性接合
剤が漏れ出そうになっても、本固定用スペーサに封止さ
れて漏れ出ることがない。つまり、磁石体の側周面の端
部のキャップが摺動して覆われる部分に本固定用スペー
サが介在しているので、自硬化性接合剤が磁石体の側周
面の端部に浸入することは阻止される。その結果、磁石
体の側周面の端部のキャップが摺動して覆われる部分の
周囲には、本固定用スペーサが除去された後に、キャッ
プが摺動して進出できるだけの空間が確保されるので、
自硬化性接合剤がやや多めであっても義歯の沈み込みス
トロークが確保される。
【0020】したがって、本発明の義歯アタッチメント
の固定用スペーサによれば、義歯アタッチメントを義歯
床内に固定する際に、十分な量の自硬化性接合剤で確実
な固定がなされながら、熟練を要さずとも沈み込み用の
スペースが確実に確保されるという効果がある。ここ
で、本発明の義歯アタッチメントの固定用スペーサは、
通常は義歯アタッチメントの磁石体が円形の吸着面を有
するので、磁石体の側周面に挿着されるリング状である
ことが望ましい。
【0021】かような固定用スペーサでは、通常は円形
の吸着面をもつ磁石体の側周面の周囲にリング状の固定
用スペーサが装着されている状態で、義歯アタッチメン
トの義歯床内への固定が行われる。その際、通常磁石体
およびキャップは軸対称形状をしているので、キャップ
の端部と固定用スペーサとの面合わせが精密にでき、キ
ャップの端部と固定用スペーサとの間から自硬化性接合
剤が漏れて磁石体の端部と固定用スペーサの内周面との
間に浸入してくることは、防止される。
【0022】それゆえ、義歯アタッチメントの固定後に
固定用スペーサが除去されてしまえば、磁石体の側周面
の周囲に、リング状の固定用スペーサの厚さに相当する
空間が形成される。すなわち、リング状の固定用スペー
サの厚さに相当する空間が一様に確保されるので、咬合
時に義歯が沈み込み、キャップが磁石体の側周面を摺動
して磁石体の端面(吸着面)に達するまで、十分な義歯
の沈み込みストロークが支持歯部分でも確保される。
【0023】したがって、かような固定用スペーサによ
れば、前述の効果に加えて、より確実に十分な義歯の沈
み込みストロークが確保されるという効果がある。ま
た、固定用スペーサの形状が単純であるので製造が容易
で安価に提供することができ、さらに義歯アタッチメン
トの固定作業時に固定用スペーサの表裏や方向(向き)
を考えることなく作業を進められるので作業が容易にな
るという効果もある。
【0024】
【発明の実施の形態】
(義歯アタッチメント)本発明の義歯アタッチメントに
おいては、特に磁石体を被うキャップの構成に特徴があ
る。キャップの本体部は、所定間隔を隔てて磁石体を覆
い、咬合時の押圧力により変位して磁石体の吸着面に背
向する背向面に、少なくとも一部で当接する。それゆ
え、上記所定間隔が義歯の沈み込みに対応して適正に設
定されていることが肝要である。また、キャップの一部
(例えば中央の凸状部)で磁石体の背向面に当接するこ
とが望ましく、この場合にはキャップの当接部分が適正
な弾性を有する材料で適正な形状に形成されていること
が肝要である。この場合、咬合時には、キャップの当接
部の周囲には、なお磁石体の背向面とキャップとの間に
いくらかの隙間が余されているので、キャップの当接部
のポアソン比に従って水平方向に拡がる変形は、上記隙
間に吸収される。それゆえ、キャップと磁石体との相対
移動により十分なクッション性が得られながら、キャッ
プの弾性変形によりキャップの周縁部が拡がって、磁石
体との間に隙間が空いてしまったり、義歯床との間の接
着が剥離したりすることは防止される。
【0025】キャップの周縁部は、磁石体の側周面に隙
間なく当接して磁石体を義歯床内に保持すると同時に、
磁石体の側周面と隙間を空けることなく摺動することが
できるように構成されていることが大切である。それゆ
え、キャップの周縁部は、磁石体の側周面を適正な強さ
で締め付けるだけの弾性ないし剛性を有することが望ま
しい。さらに、耐摩耗性にも優れていることが望まし
い。
【0026】義歯アタッチメントの構成についてである
が、磁石体の背向面の中央に凹部が形成されており、キ
ャップの本体部の中央に凸状部が形成されていて、この
凸状部が凹部に嵌合する構成を義歯アタッチメントが取
っていることが望ましい。かような構成の義歯アタッチ
メントでは、義歯アタッチメントの中央部で咬合による
押圧力が支承されるので、義歯アタッチメントの姿勢に
偏りが生じにくく、義歯が傾くことなく支持歯および歯
肉に支承される。
【0027】説明が一部重複するが、前述のように本発
明の義歯アタッチメントは、根面板に吸着する面と背向
する側の中央部に凹部をもつ磁石体と、この磁石体の凹
部と当接し押圧により弾性的に変形して収縮する凸状部
をもつとともに磁石体の凹部の周囲を所定間隔を隔てて
覆う本体部とこの本体部の周縁に一体的に形成され磁石
体の側周面を摺動可能に保持する周縁部をもつキャップ
とから構成されることが望ましい。
【0028】磁石体の凹部のキャップの凸状部と当接す
る部位が咬合による押圧の支点となって、キャップの凸
状部が弾性的に変形して収縮する。このとき、ポアソン
効果によりキャップの凸状部が、キャップが磁石体の凹
部の周囲を所定間隔を隔てて覆うことにより形成される
空隙に拡がる。このため、キャップの凸状部の歯丈方向
での大きな収縮量が得られるため、咬合による押圧に対
して優れたクッション性が得られるとともに、キャップ
がその周縁部の方向へ拡がるのを抑制する。
【0029】さらに、本発明の義歯アタッチメントで
は、キャップの周縁部を磁石体の側周面に逆テーパーに
嵌合させ、摺動可能に保持する。この逆テーパーにより
キャップの磁石体からの脱落防止がなされ、磁石体に対
してキャップが安定に冠着される。このとき、キャップ
の周縁部が磁石体の側周面に対して押圧付勢するように
取り付けることにより、磁石体とキャップとがさらに外
れにくくなる。
【0030】本発明の義歯アタッチメントでは、キャッ
プは押圧により弾性的に変形して収縮するものであれ
ば、特にその材料構成は特に限定されるものではない
が、少なくとも凸状部は硬質樹脂からなることが望まし
い。硬質樹脂は弾性に優れる材料であるため、キャップ
の歯丈方向での大きな収縮量を得ることができる。この
とき、硬質樹脂としては、ポリアセタールやシリコンゴ
ムなどを用いることができる。
【0031】あるいは、キャップにおいて、キャップの
凸状部が硬質樹脂からなり、キャップの周縁部が高耐食
性非磁性材料からなる構成をとることが望ましい。キャ
ップの周縁部は磁石体の側周面と当接して摺動する部分
であり、この部分が腐食してしまうとその摺動性が低下
してしまう。上記構成をとることにより、キャップの歯
丈方向での大きな収縮量が得られるだけでなく、キャッ
プの周縁部の腐食を防止することができる。高耐食性非
磁性材料としては、SUS316やTi合金、非磁性の
歯科用合金などを用いることができる。さらに、周縁部
だけでなく、凸状部の残部を高耐食性非磁性材料から構
成してもよい。これにより、キャップが腐食するのをさ
らに防止することができる。
【0032】あるいはまた、キャップの凸状部が軟質樹
脂からなり、凸状部以外の部分ではキャップが硬質樹脂
からなる構成を取ることも可能である。本構成では、キ
ャップの凸状部の弾性率が低下するので、義歯アタッチ
メントの発揮するクッション性がより柔らかくなる。ま
た、凸状部とそれ以外の部分が樹脂で形成されているの
で、キャップを一体成形することがより容易になる。さ
らに、キャップの周縁部が硬質樹脂から形成されている
ので、適当な剛性と柔軟性とをもってキャップの周縁部
が磁石体の側周面に隙間なく当接する状態を保ちつつ、
キャップの周縁部と磁石体の側周面との摺動が可能であ
る。
【0033】ところで、キャップが磁石体の凹部の周囲
を所定間隔を隔てて覆うことにより形成される空隙に異
物が入ると、咬合圧が異物に作用して局所的に大きな力
が作用する。それゆえ、空隙への異物の侵入は、義歯に
違和感を覚えるなどの不具合を生じるので好ましくな
い。そこで、この空隙を発泡体で充填し、異物の侵入を
阻止することが望ましい。このとき発泡体としては、内
部に独立気泡をもつ樹脂発泡体、例えば発泡ゴムやウレ
タンなどを用いることができる。
【0034】また、キャップが磁石体の凹部の周囲を所
定間隔を隔てて覆うことにより形成される空隙の少なく
とも一部に、弾性体を装填しても同様のクッション作用
が得られる。この弾性体としては、軟らかい弾性体であ
るシリコンゴムなどを用いることができる。これによ
り、キャップと磁石体との当接による衝撃を弱めること
ができる。
【0035】なお、上記発泡体および上記弾性体は、弾
力的に圧縮されて収縮するだけではなく、再び膨らんで
元の形状に戻ろうとする性質があり、圧縮された義歯ア
タッチメントの復元作用をも有するので、凸状部および
凹部がない形態にも適用することができる。また、前記
キャップの周縁部は、その周先端の外周より外側方向に
突出した突出部をもつことが好ましい。この突出部に義
歯が引っかけやすくなり、キャップに対する義歯の装着
性を大きくすることができる。すなわち、キャップの外
周面と義歯床の凹部との間の接着面の一部に、万一剥離
が生じた場合であっても、キャップは突出部により義歯
床の凹部内に係合して保持されるので、義歯アタッチメ
ントが義歯床から外れることが有効に防止される。
【0036】また、キャップの周縁部の内周面に当接す
る磁石体の側周面は、吸着面に向かって適正なテーパー
(先細り)形状を有していることが望ましい。本構成で
は、テーパーした磁石体の側周面を、周囲から締まり嵌
め気味にキャップの周縁部の内周面が保持するので、義
歯を口中から取り出す場合にも、義歯アタッチメントの
キャップが磁石体から外れる不具合が有効に防止され
る。
【0037】また、本発明の義歯アタッチメントで用い
る磁石体は、歯丈方向と交差してほぼリング状をなす磁
石と、該磁石をその中央孔を含み囲包し該磁石および前
記根面板との間で磁気回路を形成するヨーク部と、から
構成されることが望ましい。この磁石体については特願
平8−290775号で詳述されており、ここでは簡単
な形態の説明にとどめる。リング状の磁石の採用によ
り、磁石体を薄くしても、歯根部に埋設した根面板と磁
石体との磁気吸引力が大きくなり、奥歯のような歯丈方
向にスペースの少ない義歯に容易に埋設することができ
る。また、リング状の磁石を使用しており、磁石体の背
向面の中央部にはあまり磁束が取らないので、ヨーク部
の背向面の中央に深い凹部を形成することができるとい
う利点がある。
【0038】このとき、義歯アタッチメントの磁石体を
構成する磁石には、高いエネルギー積をもつ磁性体を用
いることが好ましく、これにより強固に義歯を固定する
ことができる。具体的には、上記磁石は、30MGOe
以上のエネルギー積をもつ磁性体からなることが実用的
に好ましい。このような磁性体としては、Nd(ネオジ
ム)−Fe(鉄)−B(ホウ素)系の希土類磁石やSm
(サマリウム)−Co(コバルト)系の希土類磁石など
があり、Nd−Fe−B系の希土類磁石では40MGO
e以上、Sm−Co系の希土類磁石では30MGOe以
上のエネルギー積とすることができる。
【0039】また、ヨーク部は軟磁性材からなることが
好ましい。この軟磁性材としては耐食性のあるステンレ
ス鋼が好ましく、これにより磁石の腐食を防止すること
ができる。以上のような構成の義歯アタッチメントによ
り、義歯を安定に位置固定することができる。また、支
台歯に応力集中が生じることがなくなり、支台歯を痛め
てしまうことがないという効果がある。さらに、義歯が
動揺することが防止されるので、義歯アタッチメントが
根面板から傾いて磁気吸引力が低下し義歯が外れてしま
うような不都合がないという効果もある。あるいは、キ
ャップなどに腐食を防止することができる材料を用いる
ことにより、長寿命でもある義歯アタッチメントを提供
することができるという効果を生じる。
【0040】(義歯アタッチメントの固定方法および固
定用スペーサ)以上のような義歯アタッチメントを義歯
床内に固定する固定方法と、その際に使用する固定用ス
ペーサについては、以下の二点が肝要である。すなわ
ち、前述のように磁石体の側周面をキャップの周縁部の
内周面が摺動するので、磁石体の側周面が自硬化性接合
剤によって汚れず、清浄な摺動面に保たれることが第1
の要点である。また、キャップの周縁部の前縁が、磁石
体の側周面に沿って摺動することができるように、キャ
ップの周縁部が進出できるだけの空間ないし隙間が確保
されることが第2の要点である。
【0041】そこで第1に、固定用スペーサの一方の面
とキャップの周縁部の前端面とが隙間なく当接して、キ
ャップの周縁部と磁石体の側周面との間に自硬化性接合
剤が浸入することを防止していることが肝要である。か
ような構成によれば、キャップの周縁部と磁石体の側周
面との間に自硬化性接合剤が浸入することが有効に防止
されるという効果がある。なお、固定用スペーサの内周
面は磁石体の側周面にやや締まり嵌め気味に嵌合して、
自硬化性接合剤の浸入を防止するようにしても良い。
【0042】第2に、固定用スペーサの内周面と外周面
との間の幅が、咬合時に進出してくるキャップの周縁部
の前縁部分の水平方向の厚みよりも大きいことが肝要で
ある。このように固定用スペーサとキャップの周縁部と
の関係が設定されていれば、咬合時に進出してくるキャ
ップの周縁部の前縁が、はみ出した自硬化性接合剤によ
って進出を阻まれることがなくなるという効果がある。
【0043】第3に、固定用スペーサの厚さが、キャッ
プの周縁部の最大摺動ストロークと同等に設定されてい
ることが望ましい。かような構成では、キャップの周縁
部の前縁が支持歯に埋設されている根面板に当接して圧
縮されることがなくなるので、キャップの周縁部が圧縮
されて変形することが防止される。その結果、キャップ
の周縁部の外周面と義歯アタッチメントが埋設されてい
る義歯床の凹部の内周面との間の接着面が、剥離するこ
とが防止されるという効果が得られる。
【0044】
【実施例】本発明の義歯アタッチメントならびにその固
定方法および固定用スペーサについて、複数の実施例を
対応する図面を参照して示し、以下の記載により具体的
に説明する。 [実施例1] (実施例1の義歯アタッチメントの構成)本発明の実施
例1としての義歯アタッチメント2は、図4に示すよう
に、歯根部Tに埋設した根面板3に磁気吸引力で吸着す
る磁石体21と、根面板3に吸着する吸着面と背向する
側の磁石体21を覆うキャップ22とからなり、義歯1
の義歯床12内に埋設される。
【0045】ここで磁石体21は、図1に示すように、
歯丈方向と交差して配設されるリング状のリング磁石2
4と、ヨーク部としての複雑な軸対称形状をした被冠ヨ
ーク25およびリング状の蓋ヨーク26とからなる。ヨ
ーク部としての被冠ヨーク25および蓋ヨーク26は、
リング磁石24の中央孔を含んでリング磁石24を包囲
し、リング磁石24と根面板3のキーパー32との間で
磁気回路を形成して、強力な磁気吸引力を発揮すること
を可能にしている。
【0046】吸着面21aは、中央部から外周部へ向か
って順に、被冠ヨーク25の中央部の端面、封止リング
26’の一方の面、リング状の蓋ヨーク26の一方の
面、封止リング26”の一方の面、および被冠ヨーク2
5の外周部の端面から、同心円状に形成されている。二
枚の封止リング26’,26”は、被冠ヨーク25と蓋
ヨーク26とを磁気的に絶縁し、被冠ヨーク25と蓋ヨ
ーク26との間にキーパー32を通らない磁力線が通じ
て磁気的に短絡することを防止している。
【0047】ここで、被冠ヨーク25の中央部の端面の
外周部と封止リング26’の外周面とは、レーザー溶接
または電子ビーム溶接により、気密かつ堅牢に溶接され
て互いに固定されている。同様に、封止リング26の外
周面と蓋ヨーク26の内周面とが溶接されており、蓋ヨ
ーク26の外周面と封止リング26”の内周面とが溶接
されている。また、封止リング26”の外周面と被冠ヨ
ーク25の外周部の内周面とが、同様に溶接されてい
る。それゆえ、吸着面21aは水密に封止されていてリ
ング磁石24は密封されており、唾液等が浸入して比較
的腐食しやすいリング磁石24に触れることは、完全に
防止されている。
【0048】以上のように磁石体21では、リング磁石
24を使用しており、磁石体21の背向面21cの中央
部にはあまり磁束が取らないので、被冠ヨーク25の背
向面21cの中央に深い凹部210を形成することがで
きるという利点がある。なお、吸着面21aは研摩され
てほぼ完全に平滑な平面に仕上げられており、同様のキ
ーパー32の吸着面とほとんど隙間なく密着することが
できるようになっている。それゆえ、極めて強力な磁気
吸引力が義歯アタッチメント2の磁石体21と根面板3
のキーパー32との間に発生し、義歯1は強固に口中に
保持される。
【0049】一方、キャップ22は、同じく図1に示す
ように、本体部221と周縁部222とから構成されて
いる硬質樹脂製の均質な一体部材である。本体部221
は、磁石体21の吸着面21aと背向する背向面21c
を所定間隔を隔てて覆い、咬合時の押圧力により変位し
て磁石体21に当接する部分である。周縁部222は、
本体部221の周縁に一体的に形成されており、磁石体
21の側周面21bに当接して側周面21bを摺動可能
に保持する作用を有する。
【0050】キャップ22の窪みに磁石体21を嵌合さ
せて義歯アタッチメント2を完成させるには、磁石体2
1の背向面21c上にキャップ22を載せ、所定の押圧
力で磁石体21をキャップ22に圧入すればよい。磁石
体21の側周面21bのうち背向面21cに近い部分
(肩部)は、背向面21cに向かって先細りに丸くなっ
ているので、大きい押圧力をかければ、磁石体21はキ
ャップ22にはまり込むようなっている。
【0051】磁石体21の肩部では側周面21bが背向
面21cに向かってテーパーしている(または面取りさ
れているか、なで肩形状になっている)特徴は、以下の
いずれの実施例にもあり、磁石体21がキャップ22に
押圧力によってはまり込みやすいように配慮されてい
る。なお、磁石体21をキャップ22に嵌める際に必要
な押圧力は、磁石体21が発揮する磁気吸引力よりも十
分に大きく設定されており、義歯アタッチメント2を根
面板3から剥がす際にも、磁石体21がキャップ22か
ら脱落することがないようになっている。
【0052】また、磁石体21は、吸着面21aと背向
する側の背向面21cの中央部に凹部210を持つ。こ
れに対してキャップ22は、前述の本体部221の一部
として、磁石体21の凹部210に当接し押圧力により
弾性的に圧縮される凸状部223を持つ。咬合による押
圧力が義歯アタッチメント2にかかっていない場合に
は、凸状部223の周囲の磁石体21の背向面21cと
キャップ22の本体部221との間には、適正な間隔S
が形成されている。また、磁石体21の凹部210とキ
ャップ22の凸状部223とは中心部でのみ当接してお
り、その周囲では、磁石体21の凹部210の表面とキ
ャップ22の凸状部223の表面との間に、隙間が形成
されている。それゆえ、咬合時の押圧力によりキャップ
22の凸状部223が圧縮されて弾性変形して水平方向
に張り出しても、磁石体21の凹部210およびキャッ
プ22の凸状部223の周囲の隙間に張り出し部は収容
されるので、キャップ22が水平方向に張り出すような
変形は起こらない。
【0053】また、咬合時の押圧力により、キャップ2
2の周縁部222が磁石体21の側周面21bに沿って
摺動して、キャップ22の本体部221が磁石体21に
接近する。このようにキャップ22の本体部221が磁
石体21に接近しても、磁石体21の背向面21cとキ
ャップ22の本体部221との間に形成されている適正
な間隔Sがつぶれて、磁石体21の背向面21cとキャ
ップ22の本体部221とが当接するに至るだけであ
る。それゆえ、咬合時の押圧力によりキャップ22の本
体部221の全体が磁石体21に当接しても、キャップ
22は硬質樹脂で形成されているので、キャップ22が
水平方向に張り出すような変形は、ほとんど起こらな
い。
【0054】したがって、キャップ22の外形形状が咬
合時の押圧力によっても変化しないので、自硬化性接合
剤により接着されているキャップ22の表面と義歯床1
2の凹部10(図2参照)との間の接着面に剥離が生じ
ることが防止されている。さらに、キャップ22の周縁
部222は、その周先端の外周よりも外側方向に突出し
たリング状の突条である突出部224をもつ。その結
果、キャップ22の周縁部222の突出部224が義歯
床12に係合し、義歯床12に対して義歯アタッチメン
ト2がより確実に保持されている。すなわち、キャップ
22の外周面と義歯床12の凹部10との間の接着面の
一部に、万一剥離が生じた場合であっても、キャップ2
2は周縁部222の突出部224により義歯床12の凹
部10内に係合している。その結果、義歯アタッチメン
ト2が義歯床12から外れることが有効に防止されると
いう効果がある。
【0055】なお、図5から図6にかけて示すように、
咬合時にはその押圧力により義歯アタッチメント2のキ
ャップ22が磁石体21に対して摺動して進出し、義歯
1の義歯床12が歯肉Fに沈み込む。逆に、咬合時の押
圧力が解除されると、図5に示すように、歯肉Fの弾力
性によって義歯床12を浮かせる復元力が生じ、キャッ
プ22が磁石体21に対して摺動して後退し、咬合前の
元の状態に復旧する。
【0056】また、再び図1に示すように、キャップ2
2の周縁部222の内周面に当接する磁石体21の側周
面21bは、吸着面21aに向かって適正なテーパー
(先細り)形状をしている。それゆえ、テーパーした磁
石体21の側周面21bを、周囲から締まり嵌め気味に
キャップ22の周縁部222の内周面が保持する。その
結果、義歯1を口中から取り出す場合にも、義歯アタッ
チメント2のキャップ222が磁石体21から外れる不
具合が有効に防止される。
【0057】以上をまとめて若干の補足を行うと、本実
施例の義歯アタッチメント2は、再び図1に示すよう
に、歯根部Tに埋設した根面板3(図4参照)のキーパ
ー32に磁気吸引力で吸着する磁石体21と、キーパー
32に吸着する面と背向する側の磁石体21を覆うキャ
ップ22とからなる。磁石体21は、歯丈方向(図3の
矢印方向)と交差してほぼリング状をなすリング磁石2
4と、リング磁石24をその中央孔を含み囲包し磁石1
1およびキーパー32との間で磁気回路を形成するヨー
ク部としての被冠ヨーク25および蓋ヨーク26とを有
する。リング磁石24は、Nd−Fe−B系の希土類磁
石からなり、40MGOe以上のエネルギー積をもつ。
一方、被冠ヨーク25は、根面板3のキーパー32に吸
着する面と背向する側の中央部に凹部210をもつとと
もに、磁石11を収容できるリング状の収容溝を有した
端面が略M字状の軸対称部材である。蓋ヨーク26は、
上記収容溝の開口側を覆いリング磁石24を収容溝内に
シールする薄いリング状の軟磁性部材である。被冠ヨー
ク12aおよび蓋ヨーク12bは、ともに軟磁性のステ
ンレス鋼からなる。
【0058】キャップ22は、全体がポリアセタール硬
質樹脂(または硬質ポリオキシメチレン樹脂)からなる
軸対称形の非磁性部材である。キャップ22は、磁石体
21の凹部210の周囲を所定間隔を隔てて覆う本体部
221と、本体部221の周縁に一体的に形成され磁石
体21の側周面21bを摺動可能に保持する周縁部22
2とをもつ。キャップ22は、本体部221の中央に、
磁石体21の凹部210と当接し押圧力により弾性的に
変形して収縮する凸状部223を有する。
【0059】本実施例の義歯アタッチメントでは、キャ
ップ22の周縁部222が、磁石体21の側周面21b
に逆テーパーに冠着されており、キャップ22の周縁部
222が、磁石体21の側周面21bに対して摺動可能
に保持されている。さらに、磁石体21の側周面21b
は、キャップ22の周縁部222から締め付けるように
押圧されているので、キャップ22は磁石体21からさ
らに外れにくくなっている。また、キャップ22の周縁
部222は、その周先端の外周よりも外側方向に突出し
た突出部224をもつ。
【0060】なお、本実施例の義歯アタッチメント2で
は、蓋ヨーク26および封止リング26’,26”によ
って、リング磁石24が被冠ヨーク25から脱落するこ
とが防止されている。それゆえ、根面板3のキーパー3
2に吸着している磁石体21をキーパー32から引き離
す際にも、強固にリング磁石24が被冠ヨーク25に収
容されているので、リング磁石24が義歯アタッチメン
ト2から脱落する恐れはない。
【0061】(実施例1の義歯アタッチメントの作用効
果)本実施例の義歯アタッチメント2を用い、図4に示
すように、義歯1を口中に取り付けた。義歯1の組み付
けでは、先ず、複数個の人工歯11が接着圧入等の固着
手段により固定されている末広がり状の義歯床12の凹
部10(図2参照)内に、本実施例の義歯アタッチメン
ト2を挿入して埋設した。本実施例の義歯アタッチメン
ト2では、キャップ22の突出部224が義歯床12の
凹部10の内周面に引っかかって、義歯アタッチメント
2と義歯床12とが互いに外れにくくなっている。
【0062】続いて、支持歯の歯根部T内に予め埋設さ
れいる根面板3のキーパー32に、本実施例の義歯アタ
ッチメント2を磁気吸引力によって吸着させ、人工歯1
1が配設された義歯床12を口内に取り付けた。本実施
例の義歯アタッチメント2では、図5から図6にかけて
に示すように、咬合による押圧力に対し、キャップ22
の凸状部223が弾性変形することにより、歯丈方向で
適正な弾力性をもって大きな収縮量が得られる。その結
果、本実施例の義歯アタッチメント2によれば、口中に
装用された義歯1において優れたクッション性が得られ
る。
【0063】また、磁石体21とキャップ22とが互い
に外れにくいばかりではなく、キャップ22が義歯床1
2から脱落しにくい。さらに、前述の図22とは異な
り、義歯1のうち支持歯Tのある部分での沈み込み量が
増大し、支持歯がなく歯肉によってのみ支持されている
部分と沈み込み量とほぼ均等にすることができる。その
結果、義歯1の動揺が抑制されるので、義歯アタッチメ
ント2の磁気吸着が外れてしまうことがない。
【0064】そればかりではなく、磁石体21の側周面
21bが球面状でなくとも、キャップ22の周縁部22
2の弾性変形が許す範囲で、キャップ22は磁石体21
に対して傾動することができる。すなわち、キャップ2
2を保持している義歯床12は、磁石体21が吸着して
いる根面板3のキーパー32に対して所定の範囲での傾
動が可能である。それゆえ、磁石体21の吸着面21a
がキーパー32から傾いて浮くことなしに、義歯アタッ
チメント2が根面板3にしっかりと吸着した状態を保っ
たまま、義歯1は口中で所定の範囲で傾動することが可
能になる。逆に表現すれば、義歯1が口中で通常の使用
状態で起こる程度に傾動しても、義歯1が口中から不用
意に外れる恐れがなくなる。
【0065】以上の効果をまとめると、再び図4に示す
ように、本実施例の義歯アタッチメント2によれば、義
歯1を口中に安定に支持し固定することができるという
効果がある。また、咬合時に義歯アタッチメント2によ
り適正な沈み込みが生じるので、支台歯Tに応力集中が
生じることがなくなり、支台歯Tを痛めてしまうことが
ないという効果がある。さらに、同様の理由で義歯1が
動揺することが防止されるので、義歯アタッチメント2
が根面板3から傾いて磁気吸引力が低下し義歯1が支持
歯Tから外れてしまうような不都合がないという効果も
ある。逆に、咬合時に前後方向などに傾動が生じても、
義歯アタッチメント2のキャップ22と磁石体21との
間の摺動で傾きが吸収されるので、義歯アタッチメント
2が根面板3から外れやすくなるような不具合が防止さ
れるという効果がある。併せて、キャップなどに腐食を
防止することができる材料を用いることにより、長寿命
でもある義歯アタッチメントを提供することができると
いう効果を生じる。
【0066】(実施例1の固定方法および固定用スペー
サの構成)本発明の一実施例としての義歯アタッチメン
トの固定方法は、図2に示すように、義歯アタッチメン
ト2を義歯床12の凹部10に配設する配設工程(図中
1.〜4.)と、自硬化性接合剤13を硬化させて固定
する固定工程(図中4.)と、固定用スペーサ23を取
り外す除去工程(図中5.)とからなる。
【0067】本実施例の義歯アタッチメント2は、図3
に示すように、磁気吸引力を有する磁石体21と、磁石
体21の一部を覆う樹脂製のキャップ22とから構成さ
れている。磁石体21は、軟磁性体からなるヨークと永
久磁石とから形成されている磁石構造体(図1参照)で
あり、歯根部Tに埋設される根面板3(図4参照)のキ
ーパー32に磁気吸引力で吸着して閉磁路を形成する。
ここで、キーパー32と対向して吸着する磁石体21の
一端面を吸着面21aと呼び、吸着面21aの外縁部に
接して磁石体21の外周面を形成する面を側周面21b
と呼ぶことにする。
【0068】キャップ22は、磁石体21の吸着面21
aに背向する側を覆うとともに、磁石体21の側周面2
1bを歯丈方向(図中上下方向)に摺動可能に覆ってお
り、磁石体21を相対移動可能に保持している。磁石体
21の吸着面21aに背向する側とキャップ22との間
には、咬合時の沈み込みストロークに相当する間隙Sが
形成されていて、間隙Sに相当する距離だけ、キャップ
22の周縁部は磁石体21の側周面21bを歯丈方向に
摺動して相対移動する。なお、キャップ22の中央部は
磁石体21の側に突出しており、その厚さは材料のレジ
ン(硬質樹脂)の持つ弾力性により、咬合時に圧縮され
て収縮するようになっている。
【0069】本実施例としての義歯アタッチメント固定
用スペーサ23は、義歯床12(図4参照)内に埋設さ
れる義歯アタッチメント2を固定するために一時的に使
用される固定用スペーサ23である。再び図3に示すよ
うに、本実施例の固定用スペーサ23は、磁石体21の
側周面21bの端部に予め挿着されており、固定用スペ
ーサ23の形状は、リング状すなわち平ワッシャ状であ
る。
【0070】後述するように、固定用スペーサ23は、
義歯アタッチメント2が義歯床12内に埋設され自硬化
性接合剤13で固定される際には、咬合時に磁石体21
の側周面21bの端部のキャップ22が摺動して覆う部
分に予め配設されている。固定用スペーサ23には、固
定用スペーサ23が占める空間と固定用スペーサ23の
内周面が接している空間に、自硬化性接合剤13の浸入
を阻止する作用がある。
【0071】本実施例の義歯アタッチメントの固定方法
は、前述の義歯アタッチメント2を固定用スペーサ23
を使用して義歯床12内に埋設して固定する方法であ
る。先ず、配設工程は、再び図2の1.〜4.に示すよ
うに、義歯アタッチメント2が埋設されるべき義歯床1
2の凹部10に自硬化性接合剤13を介在させた状態
で、義歯アタッチメント2を配設する工程である。
【0072】すなわち、図2の1.に示すように、義歯
1は、レジン(ポリメチルメタクリレート樹脂)製の義
歯床12と、義歯床12に植え付けられて固定されてい
るレジン(ポリメチルメタクリレート樹脂)製の人工歯
11とからなる。義歯床12には、支持歯Tに埋設され
ている根面板3(図4参照)に対向する側に、義歯アタ
ッチメント2が埋設されるべき凹部10が形成されてい
る。配設工程では、図2の2.に示すように、義歯床1
2の凹部10の内面全体に自硬化性接合剤(アクリル系
の即時重合レジン)13が塗布される。
【0073】その一方で、図2の3.に示すように、歯
肉内Fに残されている支持歯Tには、予め根面板3が埋
設されて固定されている。根面板3は、支持歯Tに基部
が埋設され支持歯Tの表面を端部で覆っている根面板本
体部31と、根面板本体部31の表面に形成されている
凹部に埋設されている軟磁性体であるステンレス鋼製の
円盤状部材であるキーパー32とから構成されている。
配設工程ではまた、義歯アタッチメント2の端部の周囲
に固定用スペーサ23が配設されている状態で、根面板
3のキーパー32に義歯アタッチメント2が磁気吸着に
より、予め仮固定されている。
【0074】しかるのち、前述のように自硬化性接合剤
13が塗布されると直ぐに、図2の4.に示すように、
歯科医の手で前述の義歯1が義歯アタッチメント2に被
せられ、義歯アタッチメント2は義歯床12の凹部10
に嵌合する。次に固定工程では、再び図2の4.に示す
ように、磁石体21の側周面21bの端部のキャップ2
2が摺動して覆われる部分に固定用スペーサ23を介在
させた状態で、義歯アタッチメント2を義歯床12の凹
部10に嵌合させて位置決めする。そして、その状態で
自硬化性接合剤13が磁石体21の側周面21bの端部
に浸入することを固定用スペーサ23により阻止しつ
つ、自硬化性接合剤13を硬化させて、義歯アタッチメ
ント2を義歯床12の凹部10に固定する。すなわち、
歯科医が患者の口中で義歯1を数分間押さえていれば、
自硬化性接合剤13は自然に固まり、義歯アタッチメン
ト2は、キャップ22の表面全体で義歯床12の凹部1
0に接着されて固定保持される。
【0075】この際、キャップ22と凹部10との間か
ら漏れだそうとする自硬化性接合剤13は、固定用スペ
ーサ23の存在に阻まれてキャップ22の周縁部の前縁
が咬合時に前進してくる空間に入り込むことがない。そ
れゆえ、自硬化性接合剤13の塗布量が多少多すぎた場
合にも、キャップ22の周縁部の前縁が咬合時に進出し
てくる空間は確保されている。
【0076】最後に除去工程では、上記固定工程の後
に、義歯アタッチメント2を固定保持している義歯1が
患者の口中から取り出され、図2の5.に示すように、
固定用スペーサ23がピンセット等で取り外される。固
定用スペーサ23が取り外された後には、固定用スペー
サ23の占めていた空間、すなわち固定用スペーサ23
の外周面と磁石体21の側周面21bの端部との間の空
間が確保されている。
【0077】それゆえ、自硬化性接合剤13によってキ
ャップ22の周縁部の前縁が咬合時に前進してくる空間
が塞がれることがなく、キャップ22は固定用スペーサ
23の厚さに相当するストロークだけ、咬合時に磁石体
21と相対移動することができる。したがって、歯肉部
の沈み込みに相当する沈み込みが支持歯部でも同様に得
られ、支持歯Tへの咬合力の集中による支持歯Tの破損
や支持歯Tの周囲の歯肉Fの炎症がなくなり、義歯アタ
ッチメント2の磁気吸着が外れることもなくなる。
【0078】(実施例1の固定方法および固定用スペー
サの効果)以上詳述したように、本発明の義歯アタッチ
メントの固定方法および固定用スペーサによれば、義歯
アタッチメント2を義歯床12内に固定する際に、十分
な量の自硬化性接合剤で確実な固定がなされる。そのう
え、自硬化性接合剤13の塗布に熟練を要さずとも、あ
るいははみ出した自硬化性接合剤13の除去作業を行わ
ずとも、キャップ22の周縁部の前縁が咬合時に進出す
るスペースが容易に確保されるという効果がある。
【0079】(実施例1の固定用スペーサの寸法および
材料)なお、本実施例としての義歯アタッチメントの固
定用スペーサ23の寸法は、内径が磁石体21の外径プ
ラス0.2mmであり、厚さが義歯1の最大沈み込みス
トロークに相当している。逆に言えば、固定用スペーサ
23の厚さ以上には義歯1はほとんど沈み込むことがな
い。また、固定用スペーサ23の材料としては、人体に
無害な物で適度の堅さがあり、自硬化性接合剤13から
容易に剥がせるものであれば、多種多様の材料が使用可
能である。
【0080】一例を挙げれば、磁石体21の吸着面21
aの外径が3.9mmであり、最大沈み込みが0.2m
mである場合には、固定用スペーサ23の形状は内径
4.1mm、外径5.0mm、厚さ0.2mmの平ワッ
シャ状であり、その材料はアルミ合金である。他の一例
を挙げれば、磁石体21の吸着面21aの外径が3.4
mmであり、最大沈み込みが0.1mmである場合に
は、固定用スペーサ23の形状は内径3.6mm、外径
4.6mm、厚さ0.1mmの平ワッシャ状であり、そ
の材料はSUS304ステンレス鋼である。
【0081】さらに他の一例を挙げれば、磁石体21の
吸着面21aの外径が4.4mmであり、最大沈み込み
が0.4mmである場合には、固定用スペーサ23の形
状は内径4.6mm、外径6.0mm、厚さ0.4mm
の平ワッシャ状であり、その材料は硬質ゴムである。 (実施例1の固定方法および固定用スペーサの変形態様
1)前述の実施例1での義歯アタッチメントの固定方法
では、最後に固定用スペーサ23を取り外す除去工程が
あるが、固定用スペーサ23の材料を工夫することによ
り、除去工程を省略する変形態様1が可能である。
【0082】たとえば、固定用スペーサ23を形成して
いる材料が、人体に無害な溶解性ないし昇華性の材料で
あれば、特別に除去工程を設けて固定用スペーサ23を
除去しなくても、義歯1を使用しているうちに自然に固
定用スペーサ23は消滅する。その結果、前述の実施例
1の義歯アタッチメント2の固定方法および固定用スペ
ーサと同様の効果が得られる。
【0083】(実施例1の固定方法および固定用スペー
サの変形態様2)前述の実施例では、義歯床12の凹部
10に義歯アタッチメント2を挿入して固定する作業を
患者の口中で行ってるが、患者の口中でない広い作業空
間で行う変形態様2の実施も可能である。本変形態様で
は、先ず患者の口中から型どりをした模型を用い、その
模型に対して義歯アタッチメント2の位置決めをしたう
えで、義歯床12の凹部10に自硬化性接合剤13が塗
布されている義歯1を被せて固定作業を行う。自硬化性
接合剤13が硬化した後に、上記模型から義歯アタッチ
メント2を保持している義歯1を取り外し、固定用スペ
ーサ23を取り外せば、前述の実施例で製作したものと
同様に義歯1の沈み込み用の空間が確保された義歯1が
完成する。
【0084】本変形態様によれば、上記模型を製作する
手間はかかるものの、口中作業が減るので歯科医や歯科
技工士などの施工者の作業がより容易になり、患者の肉
体的・精神的な負担も減るという効果がある。また、硬
化に比較的高い温度を要する自硬化性接合剤13の使用
も可能になるという効果もある。 (実施例1の固定方法および固定用スペーサの変形態様
3)前述の実施例では、自硬化性接合剤13は義歯床1
2の凹部10内に塗布されていたが、そうではない変形
態様3も実施可能である。
【0085】たとえば、根面板3に吸着して位置決めさ
れている義歯アタッチメント2の頂部に自硬化性接合剤
13の塊を乗せておき、義歯床12を被せるに従って自
硬化性接合剤13が凹部10の内部に拡がるようにして
も良い。あるいは、いったん(冷却するなどの手段で)
固体のフィルム状にして義歯アタッチメント2のキャッ
プ22の表面にコーティングしてある自硬化性接合剤1
3を、義歯アタッチメント2ごと義歯床12の凹部10
に挿入した後、(自然に暖まって)ペースト状になった
自硬化性接合剤13が硬化する手段を取っても良い。し
たがってこの変形態様では、自硬化性接合剤13には熱
硬化性樹脂系の接着剤の使用が好適である。
【0086】または、義歯アタッチメント2のキャップ
22の表面と義歯床12の凹部10の内壁面とのうち、
一方に主剤を塗布しておき、他方に硬化剤を塗布してお
いてから、固定用スペーサ23を保持して位置決めされ
ている義歯アタッチメント2に義歯床12を被せる手段
を取ることも可能である。以上のいずれの手段による変
形態様であっても、前述の実施例1の義歯アタッチメン
ト2の固定方法および固定用スペーサと同様の作用効果
が得られる。
【0087】(実施例1の固定方法および固定用スペー
サのその他の変形態様)前述の義歯床12、人工歯11
および自硬化性接合剤13などを他の材料で形成する変
形態様も可能である。たとえば、人工歯11は、各種樹
脂の他、ポーセレンや各種セラミックスでも形成可能で
ある。また、義歯床12は、各種樹脂以外にも、チタニ
ウムなどの人体に無害な金属で形成することが可能あ
る。さらに、自硬化性接合剤13には、アクリル系以外
の即時重合レジンや各種熱硬化性レジンの使用が可能で
ある。
【0088】これらの変形態様によっても、前述の実施
例1の義歯アタッチメント2の固定方法および固定用ス
ペーサとほぼ同様の作用効果が得られる。 (実施例1の義歯アタッチメントの寸法)本実施例の義
歯アタッチメント2の実施をより容易にする目的で、参
考までに具体的な寸法を図7に示す。本実施例の義歯ア
タッチメント2の全ての部材およびキーパー32は軸対
称(回転対称)形状をしているので、同図中の寸法から
製作に必要な寸法のうち主要な寸法を読みとることがで
きるであろう。
【0089】[実施例2] (実施例2の義歯アタッチメント)本発明の実施例2と
しての義歯アタッチメント2は、図8に示すように、キ
ャップ22が磁石体21の凹部210の周囲を所定間隔
を隔てて覆うことにより形成される空隙に発泡体4を充
填する他は、実施例1と同様の構成をもつ義歯アタッチ
メント2である。発泡体4としては、発泡ゴムもしくは
ウレタンからなる独立泡を有するものを用いた。
【0090】本実施例の義歯アタッチメント2では、弾
性体4によってキャップ22のクッション性が損なわれ
ることなく、独立泡からなる発泡体4が、外部からの異
物の空隙への侵入を防止する。それゆえ、本実施例の義
歯アタッチメント2によれば、磁石体21とキャップ2
2との間の空間に異物が浸入することが、完全に阻止さ
れるという効果がある。
【0091】[実施例3] (実施例3の義歯アタッチメント)実施例3としての義
歯アタッチメント2は、図9に示すように、キャップ2
2が磁石体21の凹部210の周囲を所定間隔を隔てて
覆うことにより形成される空隙の一部に、ゴム弾性体
4’をその横方向に空隙が設けられるように装填する他
は、実施例1と同様の構成をもつ義歯アタッチメントで
ある。ゴム弾性体4’としては、シリコンゴム等の緩衝
材を用いることができる。
【0092】本実施例の義歯アタッチメント2では、前
述の実施例1の効果に加えて、ゴム弾性体4’の弾力的
な圧縮作用により、キャップ2と磁石体1との当接によ
る衝撃を弱めることができるという効果がある。 [実施例4] (実施例4の義歯アタッチメント)実施例4としての義
歯アタッチメント2は、図10に示すように、キャップ
22が磁石体21の凹部210の周囲を所定間隔を隔て
て覆うことにより形成される空隙の一部に、ゴム弾性体
4”をキャップ22と所定間隔設けられるように装填す
る他は、実施例1と同様の構成をもつ義歯アタッチメン
ト2である。ここでも、ゴム弾性体4”としてシリコン
ゴム等の緩衝材を用いることができる。
【0093】本実施例の義歯アタッチメント2では、前
述の実施例1の効果に加えて、キャップ22の凸状部2
23が途中まで圧縮されてから、ゴム弾性体4”の弾力
的な圧縮作用によって、キャップ22と磁石体21との
当接による衝撃を弱めることができる。 [実施例5] (実施例5の義歯アタッチメント)実施例5としての義
歯アタッチメント2は、図11に示すように、キャップ
22の凸状部223が硬質樹脂からなり、周縁部222
を含む残部が高耐食性非磁性材料からなる他は、実施例
1と同様の構成をもつ義歯アタッチメント2である。本
実施例では、上記硬質樹脂および上記高耐食性非磁性材
料として、それぞれポリアセタールおよびSUS316
を用いた。
【0094】本実施例の義歯アタッチメント2では、実
施例1の義歯アタッチメント2の優れた性能に加え、キ
ャップ22の剛性を向上させながらキャップ22の腐食
を防止することができる。 [実施例6] (実施例6の義歯アタッチメント)本発明の実施例6と
しての義歯アタッチメント2は、図12に示すように、
キーパー32に磁気吸引力で吸着する磁石体21’と、
根面板3に吸着する吸着面21aに背向する側の磁石体
21を覆うキャップ22’とからなる。
【0095】磁石体21’は、歯丈方向と交差して配設
される円盤状の円盤磁石24’と、ヨーク部としての軸
対称形状をした被冠ヨーク25’およびリング状の蓋ヨ
ーク26Aと、封止リング26Bとからなる。ヨーク部
としての被冠ヨーク25および蓋ヨーク26Aは、円盤
磁石24’を包囲し、リング磁石24とキーパー32と
の間で磁気回路を形成して、強力な磁気吸引力を発揮す
ることを可能にしている。
【0096】吸着面21aは、中央部から外周部へ向か
って順に、円盤状の蓋ヨーク26Aの一方の面、封止リ
ング26Bの一方の面、および被冠ヨーク25’の外周
部の端面から、同心円状に形成されている。封止リング
26Bは、被冠ヨーク25’と蓋ヨーク26Aとを磁気
的に絶縁し、被冠ヨーク25’と蓋ヨーク26Aとの間
にキーパー32を通らない磁力線が通じて磁気的に短絡
することを防止している。
【0097】ここで、封止リング26Bの内周面および
外周面は、それぞれ蓋ヨーク26Aの外周面と被冠ヨー
ク25’の端面の内周面とに、レーザー溶接または電子
ビーム溶接により、気密かつ堅牢に溶接されて互いに固
定されている。それゆえ、吸着面21aは水密に封止さ
れていて円盤磁石24’は密封されており、唾液等が浸
入して比較的腐食しやすい円盤磁石24’に触れること
は、完全に防止されている。
【0098】なお、吸着面21aは研摩されてほぼ完全
に平滑な平面に仕上げられており、同様のキーパー32
の吸着面とほとんど隙間なく密着することができるよう
になっている。それゆえ、極めて強力な磁気吸引力が義
歯アタッチメント2の磁石体21’とキーパー32との
間に発生し、義歯1(図4参照)は強固に口中に保持さ
れる。
【0099】一方、キャップ22は、本体部221と周
縁部222とからなり、本体部221の凸状部223の
凸部を形成している樹脂クッション227と、その他の
全ての部分を形成している樹脂カバー226とから、一
体的に構成されている。樹脂クッション227を形成し
ている材料は、軟質POM(ポリオキシメチレン)樹脂
であり、樹脂カバー226を形成している材料は、硬質
POM樹脂である。すなわち、キャップ22’のうち、
凸状部223の要部(樹脂クッション227)は軟質樹
脂から形成されており、それ以外の部分(樹脂カバー2
26)は硬質樹脂から形成されている。
【0100】本体部221の凸状部223の樹脂クッシ
ョン227は、磁石体21の吸着面21aと背向する背
向面21cを所定間隔Sを隔てて覆い、無負荷状態でも
磁石体21に当接している。樹脂クッション227以外
の本体部221と周縁部222とは、硬質な樹脂カバー
226として一体成形されている。周縁部222は、磁
石体21’の側周面21bに当接して側周面21bを摺
動可能に保持する作用を有する。
【0101】ここで、キャップ22’の周縁部222が
当接して摺動する磁石体21’の側周面21bは、吸着
面21aに向かってテーパーしているので、周縁部22
2が締め付ける力により、磁石体21’はキャップ2
2’に強固に保持される。それゆえ、義歯1を口中から
外す際に磁気吸引力で磁石体21’がキーパー32に吸
引されても、磁石体21’がキャップ22’から脱落す
ることは確実に防止されている。
【0102】また、磁石体21’は、吸着面21aと背
向する側の背向面21cの中央部に凹部210を持つ。
これに対してキャップ22は、前述の本体部221の一
部として、磁石体21の凹部210に当接し押圧力によ
り弾性的に圧縮される凸状部223の樹脂クッション2
27を持つ。咬合による押圧力が義歯アタッチメント2
にかかっていない場合には、凸状部223の周囲の磁石
体21の背向面21cとキャップ22の本体部221と
の間には、適正な間隔Sが形成されている。
【0103】磁石体21の凹部210とキャップ22の
凸状部223の樹脂クッション227とは互いに当接し
ている。その周囲では、磁石体21’の凹部210の表
面とキャップ22の凸状部223の表面との間に、隙間
が形成されている。それゆえ、咬合時の押圧力によりキ
ャップ22’の凸状部223の樹脂クッション227が
圧縮されて弾性変形し、水平方向に張り出すことがあっ
ても、磁石体21の凹部210およびキャップ22の凸
状部223の周囲の隙間に収容される。その結果、キャ
ップ22’が水平方向に張り出すような変形は起こらな
い。
【0104】また、咬合時の押圧力がかかった場合に
は、キャップ22’の周縁部222が磁石体21の側周
面21bに沿って摺動して、キャップ22’が磁石体2
1’に接近する。このようにキャップ22’が磁石体2
1’に接近しても、磁石体21’の背向面21cとキャ
ップ22’の本体部221との間に形成されている適正
な間隔Sがつぶれて、磁石体21’の背向面21cとキ
ャップ22’の本体部221とが当接するに至るだけで
ある。それゆえ、咬合時の押圧力によりキャップ22’
の本体部221が磁石体21’の背向面21cのほぼ全
体に当接するだけで、キャップ22’が水平方向に張り
出すような変形は起こらない。
【0105】したがって、キャップ22’の外形形状
は、咬合時の押圧力によってもほとんど変化しない。そ
れゆえ、自硬化性接合剤により接着されているキャップ
22’の表面と義歯床12の凹部10(図2参照)との
間の接着面に剥離が生じることが防止されているので、
本実施例の義歯アタッチメント2も強固に義歯床12に
保持される。
【0106】さらに、キャップ22’の周縁部222
は、その周先端の外周よりも外側方向に突出したリング
状の突条である突出部224をもつ。その結果、キャッ
プ22’の周縁部222の突出部224に義歯床12が
係合し、義歯床12に対して義歯アタッチメント2がよ
り確実に保持されている。すなわち、キャップ22の外
周面と義歯床12の凹部10との間の接着面の一部に、
万一剥離が生じた場合であっても、キャップ22は周縁
部222の突出部224により義歯床12の凹部10内
に係合している。その結果、本実施例の義歯アタッチメ
ント2もまた、義歯床12から外れることが有効に防止
されるという効果がある。
【0107】本実施例の義歯アタッチメント2によって
も、実施例1と同様の作用効果が得られるばかりではな
く、磁石体21’が簡素に構成されているので、実施例
1に比較してコストダウンが可能であるという効果もあ
る。さらに、軟質樹脂から凸状部223の樹脂クッショ
ン227が形成されているので、咬合時には当初から比
較的ソフトな装用感が得られるという効果がある。
【0108】[実施例7] (実施例7の義歯アタッチメント)実施例7としての義
歯アタッチメント2は、図13に示すように、キャップ
22”の樹脂クッション227が小さくなっている他
は、前述の実施例6と同様の構成を取っている。すなわ
ち、樹脂クッション227が薄くなっているので、無負
荷時には磁石体21’の凹部210と樹脂クッション2
27との間に、適正な隙間Sが形成されている。
【0109】それゆえ、咬合時の初期には、図14に示
すように、義歯アタッチメント2のキャップ22の凸状
部223による反発力は生ぜず、義歯1は支持歯Tがあ
る部分でも歯肉Tの義歯床12に対する反発力だけで支
持される。しかる後、普通の最大咬合力に達すると、図
15に示すように、義歯アタッチメント2のキャップ2
2”の本体部221は、全体で磁石体21’の背向面2
1cに当接する。
【0110】その結果、咬合時に歯肉Fの反発力を超え
る大きな咬合力がかかった時にのみ支持歯Tによる反発
力が発揮されるので、歯肉Fに咬合による過大な押圧力
がかかることが防止され、歯肉Fが保護されるという効
果がある。また、歯肉Fの反発力を超える大きな咬合力
がかかるまでは、支持歯Tがある部分でも歯肉Fだけの
部分でも(図22参照)、歯肉Fの反発力だけで義歯1
が支持されるので、義歯1の顎(あご)に対する沈み込
みが均等になり、ソフトな装用感が得られるという効果
もある。
【0111】[実施例8] (実施例8の義歯アタッチメント)本発明の実施例8と
しての義歯アタッチメント2は、図16に示すように、
前述の実施例6または実施例7と比較して、キャップ2
2Aの凸状部223の樹脂クッション227がない点だ
けが異なっており、その他の構成は同一である。すなわ
ち、本実施例の義歯アタッチメント2のキャップ22A
には、前述の実施例11,12と異なり、凸状部223
がなく、キャップ22Aは、硬質POM樹脂からなる樹
脂カバー226のみで一体成形されている。
【0112】本実施例の義歯アタッチメント2でも、図
17および図18に示すように、前述の実施例7と同様
の作用効果が発揮される。そればかりではなく、前述の
ようにキャップ22Aが硬質樹脂から一体成形されてい
るので、本実施例の義歯アタッチメント2によれば、な
おいっそうのコストダウンが可能になるという効果があ
る。
【0113】[実施例9] (実施例9の義歯アタッチメント)本実施例の義歯アタ
ッチメント2は、図19〜21に示すように、磁石体2
1Aの構成が前述の各実施例と異なっており、これに伴
ってキャップ22Bも軸対称形ではなくやや四角張った
形状をしている。キャップ22Bは、その他の点では基
本的構成は実施例6のキャップ22’と同様である。ま
た、義歯アタッチメント2が軸対称形ではなくやや角張
っていることに伴い、キーパー32’も円盤状ではなく
やや角張った形状をしている。
【0114】磁石体21Aの基本的な構成は、図21に
示すように、板状の希土類磁石からなる二枚の板磁石2
7と、軟磁性のステンレス鋼からなるブロック状の一つ
の中間ヨーク27’および二つの外側ヨーク27”とか
らなる。二つの板磁石27は、同極(例えばN極)を互
いに対向させて平行に配設されており、間に中間ヨーク
27’を挟持している。また、二つの板磁石27の互い
に背向する極も互いに同極(例えばS極)であり、両板
磁石27および中間ヨーク27’は、二つの外側ヨーク
27”によって挟持されている。すなわち、磁石体21
Aは、中心から両側に向かって順に、中間ヨーク27’
と板磁石27と外側ヨーク27”とからなるダブルサン
ドイッチ構造をしている。
【0115】それゆえ、同じく図21に模式的に示すよ
うに、磁石体21Aはキーパー32’との間に二つの閉
磁路Mを形成するので、強力な磁気吸引力を発揮するこ
とができる。なお、中間ヨーク27’および外側ヨーク
27”に接触していない各板磁石27の四方の表面は、
非磁性のステンレス鋼からなる薄板である封止板28に
よって封止されており、腐食が防止されている。各封止
板28は、中間ヨーク27’および外側ヨーク27”に
レーザー溶接されており、両板磁石27はそれぞれ水密
かつ気密に密封されている。また、封止板28は非磁性
体であるので、封止板28による磁気回路の短絡は防止
されている。
【0116】また、磁石体21Aの全周囲の側面ないし
側周面21bは、吸着面21aに向かってテーパしてい
るので、磁石体21Aはキャップ22Bにより確実に保
持される。中間ヨーク27’の背向面21cには、溝状
に凹部210が形成されており、凹部210の中央にキ
ャップ22の凸状部223の樹脂クッション227が当
接する。それゆえ、本実施例の義歯アタッチメント2に
よれば、前述の実施例7と同様の作用効果が発揮され
る。なお、前述の図21は咬合による押圧力がかかって
いる状態で示されており、無負荷時には図13と同様
に、キャップ22Bの本体部221と磁石体21Aの背
向面21cとの間には、適正な間隙が形成されている。
【0117】なお、本実施例の義歯アタッチメント2
も、実施例1で詳述した固定方法により義歯床内に固定
されうるが、その際使用される固定用スペーサは、実施
例1と同様ではない。すなわち、本実施例の義歯アタッ
チメント2の固定方法で使用される固定用スペーサは、
磁石体21Aの吸着面21aの形状ないし側周面21b
の形状に合わせて、リング状ではなくやや角張った形状
をしている。しかしながら、本実施例で使用される固定
用スペーサの持つ作用効果は、実施例1とそれと変わる
ところはない。
【0118】(実施例9の変形態様)本実施例の義歯ア
タッチメント2において、板磁石27および中間ヨーク
27’の枚数を増やした変形態様が可能である。本変形
態様では、互いに隣り合う板磁石27は、互いに同性の
磁極を対向させて配設される。本変形態様によれば、各
板磁石27から発生する磁束が少なくなるので、板磁石
27および各ヨーク27’,27”の厚さを薄く形成で
きるだけではなく、高さ(磁石体21Aの厚さ)を薄く
形成することができるという効果がある。この効果は、
積層する板磁石27の数を増すほど顕著になる。
【0119】その結果、本変形態様によれば、磁石体2
1Aおよびキーパー32’をよりいっそう薄く構成する
ことが可能になるという効果がある。
【0120】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の義歯アタ
ッチメントによれば、咬合時にはその押圧力によって適
正な沈み込みが生じ、義歯の揺動を抑制して支持歯を保
護するとともに、磁石体が根面板から外れにくく、あわ
せて磁石体がキャップからも外れにくいという効果があ
る。すなわち、前述の第1の解決すべき課題が解決され
る。
【0121】また、本発明の義歯アタッチメントの固定
方法および固定用スペーサによれば、上記義歯アタッチ
メントを義歯床内に固定する際に、十分な量の自硬化性
接合剤で確実な固定がなされながら、熟練を要さずとも
キャップの周縁部が進出するためのスペースが確実に確
保されるという効果がある。すなわち、前述の第2の解
決すべき課題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の義歯アタッチメントの構成を示す
側断面図
【図2】 実施例1の義歯アタッチメントの固定方法を
示す側断面図
【図3】 実施例1の固定用スペーサの作用を示す側断
面図
【図4】 実施例1の義歯アタッチメントと義歯との関
係を示す側断面図
【図5】 実施例1の義歯アタッチメントの無負荷時の
状態を示す側断面図
【図6】 実施例1の義歯アタッチメントの咬合時の状
態を示す側断面図
【図7】 実施例1の義歯アタッチメントの寸法を示す
側断面図
【図8】 実施例2の義歯アタッチメントの構成を示す
側断面図
【図9】 実施例3の義歯アタッチメントの構成を示す
側断面図
【図10】実施例4の義歯アタッチメントの構成を示す
側断面図
【図11】実施例5の義歯アタッチメントの構成を示す
側断面図
【図12】実施例6の義歯アタッチメントの構成を示す
側断面図
【図13】実施例7の義歯アタッチメントの構成を示す
側断面図
【図14】実施例7の義歯アタッチメントの無負荷時の
状態を示す側断面図
【図15】実施例7の義歯アタッチメントの咬合時の状
態を示す側断面図
【図16】実施例8の義歯アタッチメントの構成を示す
側断面図
【図17】実施例8の義歯アタッチメントの無負荷時の
状態を示す側断面図
【図18】実施例8の義歯アタッチメントの咬合時の状
態を示す側断面図
【図19】実施例9の義歯アタッチメントの構成を示す
斜透視図
【図20】実施例9の義歯アタッチメントの構成を示す
平面図
【図21】実施例9の義歯アタッチメントの構成を示す
側断面図
【図22】従来の義歯の装用状態および沈み込みを示す
模式図
【図23】従来技術としての義歯アタッチメントの構成
を示す断面図
【図24】従来技術としての義歯アタッチメントの構成
を示す断面図
【符号の説明】
1:義歯 11:人工歯 12:義歯床 10:義歯床の凹部 13:自硬化性接合剤 2:義歯アタッチメント 21,21’,21”,21A:磁石体 210:凹
部 21a:吸着面 21b:側周面 21c:背向面 24:リング磁石 24’:円盤磁石 25:被冠ヨーク(軟磁性体からなるヨーク部) 26:蓋ヨーク(軟磁性体からなる蓋リング) 26’,26”,26B:封止リング(非磁性体からな
る蓋リング) 26A:蓋ヨーク(軟磁性体からなる円盤状の蓋部材) 27:板磁石 27’:中間ヨーク 27”:外側
ヨーク 28:封止板 22,22’,22”,22A,22B:キャップ 221:本体部 222:周縁部 223:凸状部 224:突出部 226,226’:樹脂カバー(硬質POM製) 227,227’:樹脂クッション(軟質POM製) 23:固定用スペーサ 4:発泡体 4’,4”:弾性体 3:根面板 31:根面板本体部 32,32’:キーパー(軟磁
性体製の吸着板) M:磁力線 T:支持歯、歯根部 F:歯肉
S:間隔、隙間、スペース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61C 8/00 A61C 13/235

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歯根部に埋設した根面板に磁気吸引力で
    吸着する磁石体と、該根面板に吸着する吸着面と背向す
    る側の該磁石体を覆うキャップとからなり、義歯床内に
    埋設される義歯アタッチメントであって、 前記キャップは、 前記磁石体の該吸着面と背向する背向面を所定間隔を隔
    てて覆い、咬合時の押圧力により変位して該磁石体に当
    接する本体部と、 該本体部の周縁に一体的に形成され、該磁石体の側周面
    に当接して該側周面を摺動可能に保持する周縁部と、を
    もつことを特徴とする義歯アタッチメント。
  2. 【請求項2】 前記磁石体は、前記吸着面と背向する側
    の中央部に凹部をもち、 前記キャップは、該磁石体の該凹部に当接し押圧力によ
    り弾性的に圧縮される凸状部をもつ、 請求項1記載の義歯アタッチメント。
  3. 【請求項3】 前記キャップのうち少なくとも前記凸状
    部は樹脂からなる、請求項2記載の義歯アタッチメン
    ト。
  4. 【請求項4】 前記キャップのうち、前記凸状部は樹脂
    からなり、前記周縁部は高耐食性非磁性材料からなる、 請求項3記載の義歯アタッチメント。
  5. 【請求項5】 前記キャップのうち、前記凸状部は軟質
    樹脂からなり、該凸状部以外の部分は硬質樹脂からな
    る、 請求項2記載の義歯アタッチメント。
  6. 【請求項6】 前記キャップと前記磁石体との間の空隙
    に充填された発泡体を有する、 請求項1に記載の義歯アタッチメント。
  7. 【請求項7】 前記キャップと前記磁石体との間の空隙
    の少なくとも一部に装填された弾性体を有する、 請求項1に記載の義歯アタッチメント。
  8. 【請求項8】 前記キャップの周縁部は、その周先端の
    外周よりも外側方向に突出した突出部をもつ、 請求項1記載の義歯アタッチメント。
  9. 【請求項9】 前記キャップの周縁部の内周面に摺接す
    る前記磁石体の側周面は、前記吸着面に向かってテーパ
    ーしている、 請求項1記載の義歯アタッチメント。
  10. 【請求項10】 前記磁石体は、 歯丈方向と交差して配設されるリング状のリング磁石
    と、 該リング磁石の中央孔を含んで該リング磁石を包囲し、
    該リング磁石および前記根面板との間で磁気回路を形成
    するヨーク部とから構成される、 請求項1記載の義歯アタッチメント。
  11. 【請求項11】 前記磁石体は、互いに同質の磁極を対
    向させ所定の間隔を空けて配設された複数の板状の板磁
    石と、少なくとも各該板磁石の間に挟持された軟磁性体
    からなる少なくとも一つのヨークとを有する、 請求項1記載の義歯アタッチメント。
  12. 【請求項12】 歯根部に埋設される根面板に磁気吸引
    力で吸着する磁石体と、該磁石体の該根面板に吸着する
    吸着面に背向する側を覆うとともに該磁石体の側周面を
    摺動可能に覆い該磁石体を相対移動可能に保持するキャ
    ップとからなる義歯アタッチメントを、義歯床内に埋設
    して固定する方法であって、 前記磁石体の前記側周面の端部の前記キャップが摺動し
    て覆われる部分に固定用スペーサを介在させた状態で前
    記根面板に吸着して位置決めされている前記義歯アタッ
    チメントを、自硬化性接合剤を介在させて前記義歯床の
    前記凹部に挿入し、その状態で前記自硬化性接合剤が前
    記磁石体の該側周面の該端部に浸入することを阻止しつ
    つ前記自硬化性接合剤を硬化させて、該義歯アタッチメ
    ントを該義歯床の該凹部に固定することを特徴とする義
    歯アタッチメントの固定方法。
  13. 【請求項13】 前記自硬化性接合剤の硬化後に、前記
    固定用スペーサを取り外す請求項12記載の義歯アタッ
    チメントの固定方法。
  14. 【請求項14】 歯根部に埋設される根面板に磁気吸引
    力で吸着する磁石体と、該磁石体の該根面板に吸着する
    吸着面に背向する側を覆うとともに該磁石体の側周面を
    摺動可能に覆い該磁石体を相対移動可能に保持するキャ
    ップとからなり義歯床内に埋設される義歯アタッチメン
    トを固定するために一時的に使用される固定用スペーサ
    であって、 前記義歯床内に埋設され自硬化性接合剤で固定される際
    に、前記磁石体の前記側周面の端部の前記キャップが摺
    動して覆う部分に配設され、前記自硬化性接合剤の浸入
    を阻止することを特徴とする義歯アタッチメント固定用
    スペーサ。
  15. 【請求項15】 前記磁石体の前記側周面に挿着される
    リング状である請求項14記載の義歯アタッチメント固
    定用スペーサ。
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