JP4536294B2 - 歯科用磁性アタッチメント - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、歯科用補綴治療において歯根又はインプラントと義歯床とにそれぞれ軟磁性材料製のキーパーと永久磁石構造体が配備され、これらが常に一対の組み合わせで使用される歯科用磁性アタッチメントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、歯科用補綴治療において口腔内で部分床や全部床の義歯を装着する方法として、永久磁石と軟磁性材料製のキーパーとの間に作用する磁気吸引力を利用して維持機能を持たせる方法が広く採用されるようになってきている。即ち、この方法は、口腔内の顎堤部の残存歯にあっては根面板に固定され顎骨に埋設固定されたインプラントにあっては直接フィクスチャーに固定されるか又はアバットメントを介して固定されるキーパーを配備し、義歯床の顎堤側であってキーパーと対向する位置に永久磁石構造体を固定することで、キーパーと永久磁石構造体との間に作用する磁気吸引力を利用して義歯を装着する方法であり、義歯の機能や審美性を何ら損なうことなく義歯を口腔内に装着できることや、義歯の清掃等のために行う着脱が容易であることから、その適用例は急速に増加してきているのである。
【0003】
このようなキーパーと永久磁石構造体とを備えた歯科用磁性アタッチメントを使用する歯科用補綴治療において、咀嚼時等において義歯が荷重を受けた場合の変位量つまり被圧変位量としては、キーパーが固定される部分における被圧変位量と、キーパーが固定される部分以外の義歯が歯肉に接触する部位の被圧変位量とを考慮することが重要である。
【0004】
ところで、キーパーが固定される部分が顎堤部に埋設固定されたインプラントである場合にはインプラントが埋設固定された骨が被圧変位を受け、キーパーが固定される部分が残存歯である場合にはその残存歯が存在する部分の歯根膜が被圧変位を受け、キーパーが固定される部分以外の歯肉に接触する部位では歯肉が被圧変位を受けることになり、骨の被圧変位量をゼロとすると、各々の被圧変位量は約0.02mm,0.2mmであることが知られている。
【0005】
このようなキーパーと永久磁石構造体とを備えた歯科用磁性アタッチメントを使用する歯科用補綴物においては、被圧変位量の違いから咬合力はキーパーが固定される部分であるインプラント又は残存歯に集中的に加わり易いため、キーパーが固定される部分であるインプラント又は残存歯の損傷,周囲組織への侵襲が発生し易いことや、被圧変位量の違いによってキーパーが固定される部分であるインプラント又は残存歯を中心とする回転運動を伴うこととなるため歯科用磁性アタッチメントの吸引面間で損傷等の不具合を生じ易いことが指摘されている。
【0006】
このようなキーパーと永久磁石構造体とを備えた歯科用磁性アタッチメントを使用する歯科用補綴物における問題を解決する方法として特許第2893106号「義歯アタッチメントならびにその固定方法および固定用スペーサ」において永久磁石構造体の義歯床との接触部位に弾性体が介在させる方法が提案され、歯科用磁性アタッチメントに被圧変位機能を与えることが可能となった。また、同様に歯科用磁性アタッチメントに被圧変位機能を与える目的で弾性体を利用した技術思想は、特開平7−246208号や米国特許第4,626,213号にも開示されている。
【0007】
しかしながら、歯科用磁性アタッチメントに被圧変位機能を与える目的で弾性体を利用する方法は有効であるものの、これらの方法では弾性体が永久磁石構造体に直接固定されているものであるので、弾性体自体が損傷し易く、その結果持久力が必ずしも充分ではない等の欠点を有しており、また一旦試適として歯科用補綴物である義歯床に取り付けた後に弾性体の弾性率が好ましくなかったり弾性体の厚さが適切でなかったりすることが判明しても弾性体を最適なものに変更して適合性に優れた義歯とすることができないという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来技術の欠点を解消し、弾性体自体が損傷した場合や試適として取り付けた結果その弾性体の弾性率や厚さ等が好ましいものではなかったりした場合に、弾性体を正常な又は適正なものに交換可能なように、弾性体を義歯及び永久磁石構造体に対して着脱自在とする磁性アタッチメントを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、従来の被圧変位機能を与える目的で弾性体を利用する歯科用磁性アタッチメントは、弾性体に義歯床と永久磁石構造体とを連結する機能を担わせていたため弾性体が義歯床に直接固定されている構造であったので、弾性体を取り外すことができなかったことに着目し、義歯床に固定されるのは義歯固定部材のみとし、この義歯固定部材に対して永久磁石構造体が移動できるようにするため、該義歯固定部材と該永久磁石構造体とが該義歯固定部材及び該永久磁石構造体と該弾性体の各々に配備されている係合用の凹部と凸部との係合によるか又はその中間部にサンドイッチ構造状に該弾性体が固着されている弾性構造体と該義歯固定部材及び該永久磁石構造体との螺合によって連結されることで、各構造部材が相互に着脱自在にすればよいことを究明して、本発明を完成したのである。
【0010】
即ち本発明は、口腔内の顎堤部の残存歯にあっては根面板に固定され顎骨に埋設固定されたインプラントにあっては直接フィクスチャーに固定されるか又はアバットメントを介して固定される軟磁性材料製のキーパーと、義歯床の顎堤側であって該キーパーに対向する位置に埋設固定される義歯固定部材と、該義歯固定部材と間隙を設けて配置されており該キーパーと面接触するようにされている永久磁石構造体と、該永久磁石構造体と該義歯固定部材との間に着脱自在にして配備される弾性体とから成る歯科用磁性アタッチメントにおいて、該義歯固定部材と該永久磁石構造体とが該義歯固定部材及び該永久磁石構造体と該弾性体の各々に配備されている係合用の凹部と凸部との係合によるか又はその中間部にサンドイッチ構造状に該弾性体が固着されている弾性構造体と該義歯固定部材及び該永久磁石構造体との螺合によって連結されることで、各構造部材が相互に着脱自在であることを特徴とする歯科用磁性アタッチメントに関するものである。
【0011】
そして、永久磁石構造体の当接面をキーパー側に突出させた状態に該永久磁石構造体を収納した際にその内面に設けられている凹条に該弾性体の外周面に設けられている凸条が係合する筒状のカラーとを備えていたり、キーパーの露出面及びそれに対応する永久磁石構造体の当接面がそれぞれ同一半径の凹球面及び凸球面を成していたり、永久磁石構造体の義歯床の顎堤側に突出する部位の周面に永久磁石構造体の軸方向と平行な平面が形成されていたり、中間部にサンドイッチ構造状に弾性体が固着されている弾性構造体が永久磁石構造体の当接面と反対側に螺設されているオネジにメネジが螺合される永久磁石構造体装着部と義歯固定部材の内面に螺設されているメネジにオネジが螺合され且つ永久磁石構造体側の周面がカラー内に位置せしめられる義歯固定部材装着部とから成っていたり、義歯固定部材と弾性構造体の義歯固定部材装着部及び/又は永久磁石構造体装着部との内面に多角形のスパナ係合穴が形成されていたり、義歯固定部材の永久磁石構造体側の周面及び永久磁石構造体の当接面と反対側の周面にそれぞれ設けられている係合部に係合する係合部が弾性体の内部に設けられていたり、義歯固定部材の内面に該義歯固定部材を義歯床の顎堤側に形成されている義歯固定部材埋設用穴に位置固定して埋設する治具に螺合される治具用メネジが螺設されていたり、カラーの弾性体の外周が位置する部分に対応する内周の少なくとも一部に凹条の逃げ部が設けられていたりするとより好ましいことも併せて究明したのである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明に係る歯科用磁性アタッチメントの実施例について詳細に説明する。
図1は本発明に係る歯科用磁性アタッチメントの1実施例が残存歯と義歯とに固定されている状態を示す縦断面説明図、図2は図1に示した本発明に係る歯科用磁性アタッチメントにおけるキーパー以外の部材の拡大縦断面説明図、図3は図2における義歯固定部材の底面図、図4は図2における永久磁石構造体の底面図、図5は図2における弾性構造体の縦断面説明図、図6は図5の底面図、図7は本発明に係る歯科用磁性アタッチメントの他の実施例におけるキーパー以外の部材の拡大縦断面説明図、図8は図7における弾性体の縦断面図である。
【0013】
図面中、1は口腔内の顎堤部の残存歯にあっては根面板1bに固定され顎骨に埋設固定されたインプラントにあっては直接フィクスチャーに固定されるか又はアバットメントを介して一体にして固定される軟磁性材料製のキーパーである。このキーパー1の露出面1aは、後述する永久磁石構造体3の当接面3aと対応するように凹球面又は凸球面を成していることが好ましい。
【0014】
2は義歯床の顎堤側であってキーパー1の露出面1aに対向する位置に埋設固定される義歯固定部材であって、その側周面には義歯床を構成するレジンとの接触面積を増大させて義歯床を構成するレジンと完全に一体となるような凹凸が設けられている。この義歯固定部材2としては、図2及び図3に示した実施例においてはその内面にメネジ2aが螺設されていると共にそのメネジ2aより更に内側に多角形のスパナ係合穴2bが設けられており、図7に示した実施例においてはその義歯床に固定される側と反対側の周面に後述する弾性体4との係合用の凹部や凸部から成る係合部2cが設けられていると共に内面に義歯固定部材2を義歯床の顎堤側に形成されている義歯固定部材埋設用穴に位置固定して埋設する治具に螺合される治具用メネジ2dが螺設されている。
【0015】
3は義歯固定部材2と間隙を設けて配置されておりキーパー1の露出面1aと面接触する対応する当接面3aを有する永久磁石構造体であり、図2に示した実施例においてはその当接面3aと反対側にオネジ3bが螺設されており、図7に示した実施例においてはその当接面3aと反対側の周面に後述する弾性体4との係合用の凹部や凸部から成る係合部3cが設けられている。そして、この永久磁石構造体3は後述する弾性体4と共に義歯床から取り外すことができなければならないので、義歯床の顎堤側に突出する部位の周面にその軸方向と平行な平面3dが形成されていることが好ましい。また、この永久磁石構造体3の当接面3aとしては、キーパー1の露出面1aの形状が凹球面又は凸球面を成している場合にそれに対応するように同一半径の凸球面又は凹球面を成していることが好ましい。
【0016】
4は永久磁石構造体3と義歯固定部材2との間に着脱自在にして配備されており義歯固定部材2と永久磁石構造体3との間隙において被圧変位量に対応する変位を可能にする弾性体であり、その周面に後述する筒状のカラー6が配備される場合にはそのカラー6の内面に設けられている凹条6aに係合する凸条4aが設けられている。図2及び図3に示した実施例は、弾性体4が後述する弾性構造体5において永久磁石構造体装着部5aと義歯固定部材装着部5bとの間に挟まれるように固着されてサンドイッチ状の構成をなして取り付けられる例を開示するものであり、また図7に示した実施例においては義歯固定部材2の係合部2cに係合される係合部4bと永久磁石構造体3の係合部3cに係合される係合部4cとが設けられている弾性体4のみの実施例を開示している。なお、この弾性体4の素材としては、シリコンゴム,アクリルゴム,ウレタンゴム,フッ素ゴム,ポリエチレン,ナイロン,ポリサルホン,アセタール等が好ましく用いられる。
【0017】
5は図5に示す実施例のように金属又は硬質樹脂で作製された永久磁石構造体装着部5aと義歯固定部材装着部5bとの間に弾性体4が固着されて成る弾性構造体である。図2及び図3に示す実施例のようにこの弾性構造体5の永久磁石構造体装着部5aには永久磁石構造体3の当接面3aと反対側に螺設されているオネジ3bに螺合されるメネジ5aaが螺設されており、また義歯固定部材装着部5bには義歯固定部材2の内面に螺設されているメネジ2aに螺合されるオネジ5bbが螺設されている。そして、義歯固定部材2と弾性構造体5の義歯固定部材装着部5b及び/又は永久磁石構造体装着部5aとの内面には多角形のスパナ係合穴2b,5cが形成されていると取り付けが容易になるので好ましい。
【0018】
6は永久磁石構造体3の当接面3a側を突出させた状態に永久磁石構造体3を収納した際にその内面に設けられている凹条6aに弾性体4の周面に設けられている凸条4aが係合する筒状のカラーであり、このカラー6の弾性体4の外周が位置する部分に対応する内周の少なくとも一部には凹条の逃げ部6bが設けられていることが好ましい。また、このカラー6は義歯床を構成する素材であるアクリル樹脂と同様のアクリル樹脂で構成されていると、このカラー6の口腔内側にアクリルゴムのような封鎖材を塗布して唾液等のカラー6内への浸入を防止する際に封鎖材とのなじみが良いので好ましい。
【0019】
このような構成部材から構成されている本発明に係る歯科用磁性アタッチメントを使用して歯科用補綴治療を行うに際しては、口腔内の顎堤部の残存歯がある場合には鋳造等により作製された根面板1bにキーパー1を固定させる。また、インプラントを用いる場合は、症例により適宜判断される処置として従来と同様に、顎骨に埋設固定されたインプラントのフィクスチャーに直接にキーパーを取り付け固定したり、アバットメントを介して取り付け固定したりする。これは、従来のキーパーと永久磁石構造体の間に作用する磁気吸引力を利用して義歯床の維持機能を持たせる歯科用補綴治療方法と本質的に何ら変わりがないからである。
【0020】
そして、人工歯を配置した義歯床をアクリル樹脂等のレジン材料を用いて部分床や全部床の義歯を作製する。この際、義歯固定部材2を義歯床の顎堤側に最初から埋設固定する場合と、キーパー1が固定された位置と対向する義歯床の顎堤側に義歯固定部材2を埋設固定するための義歯固定部材埋設用穴を予め形成しておいて、その位置に治具によって義歯固定部材2を位置させ義歯床を構成するレジン材料と親和性の良い樹脂を介して埋設し固定する場合とがある。後者の場合には、図7に示すように位置固定用の治具に螺合される治具用メネジ2dが義歯固定部材2に螺設されていると、義歯固定部材2を精度良く義歯床に埋設固定することができるので好ましい。
【0021】
かくして残存歯又はインプラントのキーパー1が固定された位置と対向する義歯床の顎堤側の位置に義歯固定部材2が埋設固定されることになる。この作業の後、この義歯固定部材2に着脱自在にして弾性体4を連結するのであるが、この態様には図2に示す態様と図7に示す態様とがある。
【0022】
先ず図2に示す態様の場合について説明すると、図3に示す如くその中間部にサンドイッチ構造状に弾性体4が固着されている弾性構造体の場合には、永久磁石構造体装着部5aと義歯固定部材装着部5bとにそれぞれメネジ5aaとオネジ5bbとが螺設されているので、先ず義歯固定部材装着部5bに螺設されているオネジ5bbを義歯床の顎堤側から義歯固定部材2の内面に螺設されているメネジ2aに螺合させる。この際、義歯固定部材2及び義歯固定部材装着部5bの内面に多角形のスパナ係合穴2b及び5cが形成されていると、義歯固定部材2に大きなトルクが作用して義歯床が損傷する危険が無くなるので好ましい。これは義歯固定部材2の内面のスパナ係合穴2bには義歯固定部材2が回転しないように保持するスパナを嵌合させ、更に義歯固定部材装着部5bの内面のスパナ係合穴5cにはもう一つのスパナを嵌合させると弾性構造体5を回転させられるようになって、弾性構造体5が義歯固定部材2に無理な力が加わらないようにして螺合させられることになるからである。
【0023】
次いで、同じく義歯床の顎堤側から永久磁石構造体3の当接面3aと反対側に螺設されているオネジ3bを弾性構造体5の永久磁石構造体装着部5aに螺設されているメネジ5aaに螺合させるのである。この際、永久磁石構造体3の義歯床の顎堤側に突出する部位の周面に永久磁石構造体3の軸方向と平行な平面3dが形成されていると、永久磁石構造体3をその平面3dでスパナやレンチで把持して回転させることができるので便利である。
【0024】
かくして義歯床の顎堤側に義歯固定部材2と、弾性構造体5と、永久磁石構造体3とがこの順序で取り付けられたら、図2に示す態様の場合には、義歯床の顎堤側から永久磁石構造体3の周面にその内面が位置するように筒状のカラー6を挿入してカラー6の内面に設けられている凹条6aに弾性体4の周面に設けられている凸条4aを係合させて永久磁石構造体3の当接面3a側を突出させた状態にするのである。
【0025】
また図7に示す態様の場合には、先ず義歯床の顎堤側から義歯固定部材2の永久磁石構造体3側の周面に設けられている係合部2cに弾性体4の内面に設けられている係合部4bを弾性体4の弾性変形を利用して係合させる。しかる後、永久磁石構造体3の当接面3aと反対側の周面に設けられている係合部3cを弾性体4の内部に設けられている係合部4cに弾性体4の弾性変形を利用して係合させるのである。
【0026】
またこの操作は、永久磁石構造体3の当接面3aと反対側の周面に設けられている係合部3cを弾性体4の内部に設けられている係合部4cに弾性体4の弾性変形を利用して永久磁石構造体3の当接面3aと反対側の周面に設けられている係合部3cを係合させることを先に行い、次いで義歯床の顎堤側から義歯固定部材2の永久磁石構造体3側の周面に設けられている係合部2cに弾性体4の内部に設けられている係合部4bを弾性体4の弾性変形を利用して係合させても同じであることは言うまでものない。
【0027】
かくして義歯床の顎堤側に義歯固定部材2と、弾性体4と、永久磁石構造体3とがこの順序で取り付けられたら、図7に示す態様の場合には義歯床の顎堤側から永久磁石構造体3の周面にその内面が位置するように筒状のカラー6を挿入してカラー6の内面に設けられている凹条6aに弾性体4の周面に設けられている凸条4aを係合させて永久磁石構造体3の当接面3a側を突出させた状態にするのである。
【0028】
このようにして口腔内の顎堤部の残存歯又は顎堤部に埋設固定されたインプラントにキーパー1が固定され、更に義歯床の顎堤側であってキーパー1の露出面1aに対向する位置に埋設固定された義歯固定部材2に、この義歯固定部材2と間隙を設けてキーパー1の露出面1aに対応する当接面3aを有する永久磁石構造体3が配置されることになる。
【0029】
このように永久磁石構造体3の当接面3a側を突出させた状態において、咀嚼時にキーパー1の露出面1aと永久磁石構造体3の当接面3aとの間に咬合力が作用すると弾性体4が変形して被圧変位量が確保されることになる。この際、永久磁石構造体3を収納している筒状のカラー6の内面に設けられている凹条6aに弾性体4の周面に設けられている凸条4aが係合している場合には、弾性体4のポアソン比に基づく体積変化は、カラー6の弾性体4の外周が位置する部分に対応する内周の少なくとも一部に凹条の逃げ部6bが設けられていれば何ら問題はない。
【0030】
ところで、咬合による荷重の発生は局在することもありこれによる回転運動も伴う場合もある。このような場合には、キーパー1の露出面1a及びそれに対応する永久磁石構造体3の当接面3aがそれぞれ同一半径の凹球面及び凸球面を成していれば、これらの球面間で相互に面が密着した状態にての滑りながらの動きが無理なく得られることになる。即ち、このような構成にすることにより、回転が伴うような複雑な動きにも充分対応することが可能になるのである。
【0031】
そして、弾性体4が損傷したり、一旦試適として歯科用補綴物である義歯床に取り付けた後に弾性体4の弾性率が好ましくなかったり弾性体の厚さが適切でなかったりすることが判明した場合には、カラー6が存在する場合には先ずカラー6を義歯床内から取り外す。次いで、図2に示す態様の場合は永久磁石構造体3を弾性構造体5から取り外した後に、弾性構造体5を義歯固定部材2から取り外す。しかして、新たな弾性体4が固着されている弾性構造体5を義歯固定部材2に取り付ける操作以降を前述のように行えば良いのである。また、図7に示す態様の場合には、カラー6が存在する場合には先ずカラー6を取り外し、次に弾性体4の弾性による変形を利用して永久磁石構造体3を把持して弾性体4と共に義歯固定部材2から取り外した後に弾性体4から永久磁石構造体3を取り外し、義歯固定部材2に新たな弾性体4と磁石構造体3とを取り付ける操作以降を前述のように行えば良いのである。
【0032】
【発明の効果】
以上に詳述した如き本発明に係る歯科用磁性アタッチメントは、従来の弾性体を有する歯科用磁性アタッチメントにおける、弾性体自体が損傷し易く持久力が必ずしも充分ではなく、また一旦試適として歯科用補綴物である義歯床に取り付けた後に弾性体の弾性率が好ましくなかったり弾性体の厚さが適切でなかったりすることが判明しても弾性体を最適なものに変更して適合性に優れた義歯とすることができないという欠点を解消したものである。即ち、本発明に係る歯科用磁性アタッチメントは弾性体の交換が可能で、弾性体を有する歯科用磁性アタッチメントの初期の効果を義歯を作製し直すこと無く維持できるものであり、更には口腔内に変化が生じた場合でも最適な被圧変位を有する義歯に容易に変更することができるなど、その臨床応用上の効果は非常に大きなものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る歯科用磁性アタッチメントの1実施例が残存歯と義歯とに固定されている状態を示す縦断面説明図である。
【図2】図1に示した本発明に係る歯科用磁性アタッチメントにおけるキーパー以外の部材の拡大縦断面説明図である。
【図3】図2における義歯固定部材の底面図である。
【図4】図2における永久磁石構造体の底面図である。
【図5】図2における弾性構造体の縦断面説明図である。
【図6】図5の底面図である。
【図7】本発明に係る歯科用磁性アタッチメントの他の実施例におけるキーパー以外の部材の拡大縦断面説明図である。
【図8】図7における弾性体の縦断面図である。
【符号の説明】
1 キーパー
1a 露出面
1b 根面板
2 義歯固定部材
2a メネジ
2b スパナ係合穴
2c 係合部
2d 治具用メネジ
3 永久磁石構造体
3a 当接面
3b オネジ
3c 係合部
3d 平面
4 弾性体
4a 凸条
4b 係合部
4c 係合部
5 弾性構造体
5a 永久磁石構造体装着部
5aa メネジ
5b 義歯固定部材装着部
5bb オネジ
5c スパナ係合穴
6 カラー
6a 凹条
6b 逃げ部
Claims (9)
- 口腔内の顎堤部の残存歯にあっては根面板(1b)に固定され顎骨に埋設固定されたインプラントにあっては直接フィクスチャーに固定されるか又はアバットメントを介して固定される軟磁性材料製のキーパー(1)と、義歯床の顎堤側であって該キーパー(1)に対向する位置に埋設固定される義歯固定部材(2)と、該義歯固定部材(2)と間隙を設けて配置されており該キーパー(1)と面接触するようにされている永久磁石構造体(3)と、該永久磁石構造体(3)と該義歯固定部材(2)との間に着脱自在にして配備される弾性体(4)とから成る歯科用磁性アタッチメントにおいて、該義歯固定部材(2)と該永久磁石構造体(3)とが該義歯固定部材(2)及び該永久磁石構造体(3)と該弾性体(4)の各々に配備されている係合用の凹部と凸部との係合によるか又はその中間部にサンドイッチ構造状に該弾性体(4)が固着されている弾性構造体(5)と該義歯固定部材(2)及び該永久磁石構造体(3)との螺合によって連結されることで、各構造部材(2,3,4又は5)が相互に着脱自在であることを特徴とする歯科用磁性アタッチメント。
- 永久磁石構造体(3)の当接面(3a)をキーパー(1)側に突出させた状態に該永久磁石構造体(3)を収納した際に、その内面に設けられている凹条(6a)に該弾性体(4)の外周面に設けられている凸条(4a)が係合する筒状のカラー(6)とを備えている請求項1に記載の歯科用磁性アタッチメント。
- キーパー(1)の露出面(1a)及びそれに対応する永久磁石構造体(3)の当接面(3a)が、それぞれ同一半径の凹球面及び凸球面を成している請求項1又は2に記載の歯科用磁性アタッチメント。
- 永久磁石構造体(3)の義歯床の顎堤側に突出する部位の周面に永久磁石構造体(3)の軸方向と平行な平面(3d)が形成されている請求項1から3までのいずれか1項に記載の歯科用磁性アタッチメント。
- 中間部にサンドイッチ構造状に弾性体(4)が固着されている弾性構造体(5)が、永久磁石構造体(3)の当接面(3a)と反対側に螺設されているオネジ(3b)にメネジ(5aa)が螺合される永久磁石構造体装着部(5a)と、義歯固定部材(2)の内面に螺設されているメネジ(2a)にオネジ(5bb)が螺合され且つ永久磁石構造体(3)側の周面がカラー(6)内に位置せしめられる義歯固定部材装着部(5b)とから成る請求項1から4までのいずれか1項に記載の歯科用磁性アタッチメント。
- 義歯固定部材(2)と弾性構造体(5)の義歯固定部材装着部(5b)及び/又は永久磁石構造体装着部(5a)との内面に多角形のスパナ係合穴(2b,5c)が形成されている請求項5に記載の歯科用磁性アタッチメント。
- 義歯固定部材(2)の永久磁石構造体(3)側の周面及び永久磁石構造体(3)の当接面(3a)と反対側の周面にそれぞれ設けられている係合部(2c,3c)に係合する係合部(4c,4d)が弾性体(4)の内部に設けられている請求項1から5までのいずれか1項に記載の歯科用磁性アタッチメント。
- 義歯固定部材(2)の内面に該義歯固定部材(2)を義歯床の顎堤側に形成されている義歯固定部材埋設用穴に位置固定して埋設する治具に螺合される治具用メネジ(2d)が螺設されている請求項7に記載の歯科用磁性アタッチメント。
- カラー(6)の弾性体(4)の外周が位置する部分に対応する内周の少なくとも一部に凹条の逃げ部(6b)が設けられている請求項1から8までのいずれか1項に記載の歯科用磁性アタッチメント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001197050A JP4536294B2 (ja) | 2001-06-28 | 2001-06-28 | 歯科用磁性アタッチメント |
Applications Claiming Priority (1)
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