JP2004201984A - 歯科インプラント - Google Patents
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Abstract
【課題】歯科インプラントにおいて、外部からの細菌などの侵入を許してしまう隙間を生じないようにし、口腔内の常在菌が歯肉溝から入り込み、隙間において繁殖し、炎症を生じることを防止する。
【解決手段】骨内埋入部材15の上端面と前記歯肉粘膜貫通部材17の下端面における、嵌合突起又は嵌合溝の周囲に、環状突き合わせ面20、21を設けるとともに、これら一対の環状突き合わせ面20、21のうち、一方の環状突き合わせ面20の略全面を凹状として、前記一方の環状突き合わせ面20の外周端を凸とすることで、骨内埋入部材15と前記歯肉粘膜貫通部材17とを結合させる際に、前記一対の環状突き合わせ面20、21は、まず外周端が最初に当接するようにした。
【選択図】図1
【解決手段】骨内埋入部材15の上端面と前記歯肉粘膜貫通部材17の下端面における、嵌合突起又は嵌合溝の周囲に、環状突き合わせ面20、21を設けるとともに、これら一対の環状突き合わせ面20、21のうち、一方の環状突き合わせ面20の略全面を凹状として、前記一方の環状突き合わせ面20の外周端を凸とすることで、骨内埋入部材15と前記歯肉粘膜貫通部材17とを結合させる際に、前記一対の環状突き合わせ面20、21は、まず外周端が最初に当接するようにした。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、口腔内において下顎骨、上顎骨、口蓋などに設置される歯科インプラントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯科インプラントは、略円筒状をなす骨内埋入部材(フィクスチャー等)の上端面に対して、歯肉粘膜貫通部材(アバットメント等)の下端面を突き合わせた状態で、固定用螺子により両者を結合する構造が一般的である。
【0003】
前記骨内埋入部材の上端面と歯肉粘膜貫通部材の下端面には、多角柱状の嵌合溝と嵌合突起が形成されており、両部材の固定は、これら嵌合溝と嵌合突起とを嵌合させた状態で行なう。これにより、部材間の横ズレや回転防止を行っていた。
【0004】
しかし、両部材の突き合わせ面には隙間が生じることが、数多くの研究で指摘されている(非特許文献1および非特許文献2を参照)。
【0005】
歯科インプラントに隙間が生ずると、口腔内の常在菌が歯肉溝から入り込み、隙間において繁殖し、炎症を生じることが臨床上重大な問題点である。
【0006】
この問題に対して、二つの解決法がある。ひとつは出来るだけ、突き合わせ面の加工精度を向上させ、両者が完全に圧着することにより、隙間が生じないようにするという方法、もうひとつは、接合面に溝を設け、シリコンゴムなどを材料とするOリングを溝内に圧入し、締結による圧着で、例えギャップが生じても、Oリングの密着により、上記細菌の侵入を防ぐ方法がある。
【0007】
図2(a)(b)に、前者の例を示す。同図に示すように、骨内埋入部材としてのフィクスチャー1の上端面に設けられた六角穴2と、歯肉粘膜貫通部材3としてのポスト3の下端面に突出した六角柱4が組み合わさることにより、ポスト3の回転が止められ、さらにフィクスチャー1の上端面6とポスト3の下端面5とが突き合わされることによりポスト3の上下方向の位置が定まる。この際、固定用螺子7により両者が締結される構造となっている。
【0008】
また、図2(c)に後者の例を示す、同図に示すように、ポスト3の下端面8に、Oリング9が嵌り、かつOリング9の断面直径をやや下回るような深さの溝10を設け、ここに予めOリング9を装着する構造となっている。
【非特許文献1】Guindy JS, Besimo CE, Besimo R, Schiel H, Meyer J.; Bacterial leakage into and from prefabricated screw-retained implant-bornecrowns in vitro.; J Oral Rehabil 1998 Jun;25(6):p403-8
【非特許文献2】Jansen VK, Conrads G, Richter EJ.; Microbial leakage and marginal fit of the implant-abutment interface.; Int J Oral Maxillofac Implants 1997 Jul-Aug;12(4):p527-40
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記加工精度の向上による解決案でも、加工ツールによる荒れ、うねり、傾きなどが生じることを避けることは出来ず、隙間が生じることへの対策として不十分であった。すなわち、固定用螺子をどれだけ強く締結しても、全周にわたり完全に隙間を消滅させることが難しく、通常の、固定用螺子では、側方からの咬合力が過大な場合、ネジの緩みが発生し、簡単にギャップが再生すること、あるいは、一般的に認められる範囲の加工精度のばらつきが、本解決案の効果を直接左右するという問題点がある。
【0010】
また、Oリングを用いる前記解決案でも、ポストおよびフィクスチャーの最外周での隙間を根本的に減じるわけではなく、Oリングの密着している箇所までは、外部からの細菌の侵入は容易に行われる恐れがある。
【0011】
また、シリコンゴムは安定した高分子であるとは言え、前述したように口腔内の細菌や汚れなどがリングまでは侵入してくるため、定期的に締結スクリューを緩め、洗浄ないしは交換を行わなければならない。この作業によって、場合によっては作業の前後でポストおよび上部構造の微小なズレが生じ、結果的に隙間が生じることを帰って助長してしまったりするなど、インプラントに悪い影響が与えられる危険性がある。
【0012】
これら従来技術の課題に鑑み、本発明では、歯科インプラントにおいて、外部からの細菌などの侵入を許してしまう隙間を生じないようにし、口腔内の常在菌が歯肉溝から入り込み、隙間において繁殖し、炎症を生じることを防止する目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本発明の歯科インプラントは、多角柱状の嵌合突起及び嵌合溝のいずれか一方を、略円筒状をなす骨内埋入部材の上端面に設け、かつ他方を、歯肉粘膜貫通部材の下端面に設け、これら嵌合突起と嵌合溝とを嵌合した状態で、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合する歯科インプラントであって、前記骨内埋入部材の上端面と前記歯肉粘膜貫通部材の下端面における、前記嵌合突起又は嵌合溝の周囲に、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合させる際に相互に突き合わされる環状突き合わせ面を設けるとともに、これら一対の環状突き合わせ面のうち、一方の環状突き合わせ面の略全面を凹状として、前記一方の環状突き合わせ面の外周端を凸とすることで、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合させる際に、前記一対の環状突き合わせ面は、まず外周端が最初に当接するようにしたことを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合させる際に、前記一方の環状突き合わせ面の外周端が最初に他方の環状突き合わせ面に当接し、圧着が進むにつれ、この外周端部が変形し、この部分の隙間が全て埋められる。したがって、外部からの細菌などの侵入を防ぐことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図によって説明する。
【0016】
図1は、本発明一実施形態の歯科インプラントを示し、この歯科インプラントは、骨内埋入部材としてのフィクスチャー15と歯肉粘膜貫通部材としてのポスト17、および固定用螺子18とからなる。
【0017】
この歯科インプラントにおいては、多角形状の嵌合突起と嵌合溝のいずれか一方が、略円柱状をなすフィクチャー15の上面に設けられ、他方が、ポスト17の下端面に設けられる。本実施形態では、ポスト17の下端面の中央に、六角形柱状の嵌合溝19が設けられ、フィクスチャー15の上端面の中央に嵌合突起14がそれぞれ設けられている。 そして、これら嵌合溝19又は嵌合突起14の周囲には、フクスチャー15とポスト17とを結合する際に相互に突き合わされる環状突き合わせ面20,21が設けられている。
【0018】
前記フクスチャー15とポスト17との固定は、前記六角形柱状の嵌合溝19と嵌合突起14を嵌合させ、前記環状突き合わせ面20,21を突き合わせた状態で、固定用螺子18を螺設することで行なう。この固定用螺子18の螺設のために、前記フィクスチャー15とポスト17には、軸線方向の螺子用孔22が設けられている。
【0019】
前記環状突き合わせ面20,21の一方20は、その外周端部分が凸となるように、略全面が凹状に形成されている。
【0020】
このように構成される本発明の歯科インプラントは、前記フィクスチャー16とポスト17とを結合させる際に、前記一方の環状突き合わせ面20の外周端が最初に他方の環状突き合わせ面に当接し、圧着が進むにつれ、この外周端部が変形し、この部分の隙間が全て埋められる。したがって、外部からの細菌などの侵入を防ぐことができる。
【0021】
本実施形態において、凹状に形成された前記一方の環状突き合わせ面20は、外周端側から内周端側に向かって漸次深くなる、テーパー凹状である。かかる構成によれば、当初、非常に狭い面積で圧着が行われることにより、変形がより容易に行われると共に、圧着が進むにつれ、圧力を受ける面積が相乗的に増加し、初期の密着という目的が達成できた後は、不必要な変形が生じることを防ぐことができる。
【0022】
また、テーパー凹状の前記一方の環状突き合わせ面は、他方の環状突き合わせ面21に対して2°〜5°のテーパー角度aを有することが好ましい。
【0023】
このテーパー角度aが2°未満の場合、外周端部の凸の度合いが小さいので、外周端部の変形が不十分となる恐れがあり、他方、5°を超えると、前記外周端部が過度に変形して、凸が潰れてしまう恐れがある。
【0024】
また、前記一方の環状突き合わせ面20の外周端部には、巾10〜50μmのフラットランド部24を形成されていることが好ましい。これは、前記外周端部が過度に変形して、凸が潰れてしまうことを防止することができる。ここでフラットであるというのは、螺子の軸に対して略直角であることを意味する。
【0025】
このフラットランド部24は、当該部材が加工される最終的な工程で、部材の対象軸に対し垂直、言い換えれば締結する螺子の軸に対して垂直に正確に加工される結果生じるもので、その平面において殆ど同時に相対する面に接触することにより、均一な変形が可能になる。
【0026】
前記巾が10μm未満の場合、凸が潰れてしまうことを防止できない恐れがあり、他方、50μmを超えると、外周端部が変形し難くなる恐れがある。
【0027】
このフラットランド部24は、研磨されていることが好ましい。研磨により、より密着性が高まるためである。
【0028】
前記フィクスチャー15とポスト17とは、例えば、チタン合金(Ti-6Al-4V)に対しては、純チタン(CP-Ti)、あるいはチタン合金や、純チタンに対しては金合金というように、その材質が硬度において異なるものを用いることにより、より変形が効果的に行われる。
【0029】
すなわち、凹状に形成した前記一方の環状突き合わせ面20を備える部材(フィクスチャー15)は、硬度が低い材質で構成する。これにより、前記一方の環状突き合わせ面20の外周端部が変形し易くなる。
【0030】
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は、これら実施形態に限定されるものでなく、発明の目的を逸脱しない限り任意の形態とすることができることは云うまでもない。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明の歯科インプラントによれば、多角柱状の嵌合突起及び嵌合溝のいずれか一方を、略円筒状をなす骨内埋入部材の上端面に設け、かつ、他方を歯肉粘膜貫通部材の下端面に設け、これら嵌合突起と嵌合溝とを嵌合した状態で、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合する歯科インプラントであって、前記骨内埋入部材の上端面と前記歯肉粘膜貫通部材の下端面における、前記嵌合突起又は嵌合溝の周囲に、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合させる際に相互に突き合わされる環状突き合わせ面を設けるとともに、これら一対の環状突き合わせ面のうち、一方の環状突き合わせ面の略全面を凹状として、前記一方の環状突き合わせ面の外周端を凸とすることで、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合させる際に、前記一対の環状突き合わせ面は、まず外周端が最初に当接するようにしたことから、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合させる際に、前記一方の環状突き合わせ面の外周端が最初に他方の環状突き合わせ面に当接し、圧着が進むにつれ、この外周端部が変形し、この部分の隙間が全て埋められる。したがって、外部からの細菌などの侵入を防ぐことができる。
【0032】
また、前記一方の環状突き合わせ面を、テーパー凹状とした場合、当初、非常に狭い面積で圧着が行われることにより、変形がより容易に行われると共に、圧着が進むにつれ、圧力を受ける面積が相乗的に増加し、初期の密着という目的が達成できた後は、不必要な変形が生じることを防ぐことができる。
【0033】
また、テーパー凹状をなす前記一方の環状突き合わせ面を、他方の環状突き合わせ面に対して2°〜5°のテーパー角度を有するようにした場合、前記外周端部の変形が十分可能となる。
【0034】
また、前記一方の環状突き合わせ面の外周端に、巾10〜50μmのフラットランド部を形成した場合、前記外周端部が過度に変形して、凸が潰れてしまうことを防止することができる。このフラットランドは、当該部材が加工される最終的な工程で、部材の対象軸に対し垂直、言い換えれば締結するネジの軸に対して垂直に正確に加工される結果生じるもので、その平面において殆ど同時に相対する接合面に接触することにより、均一な変形が可能になる。
【0035】
また、前記一方の環状突き合わせ面の硬度を、他方の環状突き合わせ面の硬度よりも小さくした場合、前記外周端部の変形が十分可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)は、本発明一実施形態に係る歯科インプラントの断面図であり、(b)は(a)の部分拡大図である。
【図2】(a)(b)(c)は、従来の歯科インプラントの断面図であり、(b)(c)は、(a)の部分拡大図である。
【符号の説明】
15・・フィクスチャー(骨内埋入部),18・・固定用螺子,17・・ポスト(歯肉粘膜貫通部材),19・・嵌合溝,14・・嵌合突起,20・・環状突き合せ面,21・・環状突き合せ面,22・・螺子用孔,24・・フラットランド部,
【発明の属する技術分野】
本発明は、口腔内において下顎骨、上顎骨、口蓋などに設置される歯科インプラントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯科インプラントは、略円筒状をなす骨内埋入部材(フィクスチャー等)の上端面に対して、歯肉粘膜貫通部材(アバットメント等)の下端面を突き合わせた状態で、固定用螺子により両者を結合する構造が一般的である。
【0003】
前記骨内埋入部材の上端面と歯肉粘膜貫通部材の下端面には、多角柱状の嵌合溝と嵌合突起が形成されており、両部材の固定は、これら嵌合溝と嵌合突起とを嵌合させた状態で行なう。これにより、部材間の横ズレや回転防止を行っていた。
【0004】
しかし、両部材の突き合わせ面には隙間が生じることが、数多くの研究で指摘されている(非特許文献1および非特許文献2を参照)。
【0005】
歯科インプラントに隙間が生ずると、口腔内の常在菌が歯肉溝から入り込み、隙間において繁殖し、炎症を生じることが臨床上重大な問題点である。
【0006】
この問題に対して、二つの解決法がある。ひとつは出来るだけ、突き合わせ面の加工精度を向上させ、両者が完全に圧着することにより、隙間が生じないようにするという方法、もうひとつは、接合面に溝を設け、シリコンゴムなどを材料とするOリングを溝内に圧入し、締結による圧着で、例えギャップが生じても、Oリングの密着により、上記細菌の侵入を防ぐ方法がある。
【0007】
図2(a)(b)に、前者の例を示す。同図に示すように、骨内埋入部材としてのフィクスチャー1の上端面に設けられた六角穴2と、歯肉粘膜貫通部材3としてのポスト3の下端面に突出した六角柱4が組み合わさることにより、ポスト3の回転が止められ、さらにフィクスチャー1の上端面6とポスト3の下端面5とが突き合わされることによりポスト3の上下方向の位置が定まる。この際、固定用螺子7により両者が締結される構造となっている。
【0008】
また、図2(c)に後者の例を示す、同図に示すように、ポスト3の下端面8に、Oリング9が嵌り、かつOリング9の断面直径をやや下回るような深さの溝10を設け、ここに予めOリング9を装着する構造となっている。
【非特許文献1】Guindy JS, Besimo CE, Besimo R, Schiel H, Meyer J.; Bacterial leakage into and from prefabricated screw-retained implant-bornecrowns in vitro.; J Oral Rehabil 1998 Jun;25(6):p403-8
【非特許文献2】Jansen VK, Conrads G, Richter EJ.; Microbial leakage and marginal fit of the implant-abutment interface.; Int J Oral Maxillofac Implants 1997 Jul-Aug;12(4):p527-40
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記加工精度の向上による解決案でも、加工ツールによる荒れ、うねり、傾きなどが生じることを避けることは出来ず、隙間が生じることへの対策として不十分であった。すなわち、固定用螺子をどれだけ強く締結しても、全周にわたり完全に隙間を消滅させることが難しく、通常の、固定用螺子では、側方からの咬合力が過大な場合、ネジの緩みが発生し、簡単にギャップが再生すること、あるいは、一般的に認められる範囲の加工精度のばらつきが、本解決案の効果を直接左右するという問題点がある。
【0010】
また、Oリングを用いる前記解決案でも、ポストおよびフィクスチャーの最外周での隙間を根本的に減じるわけではなく、Oリングの密着している箇所までは、外部からの細菌の侵入は容易に行われる恐れがある。
【0011】
また、シリコンゴムは安定した高分子であるとは言え、前述したように口腔内の細菌や汚れなどがリングまでは侵入してくるため、定期的に締結スクリューを緩め、洗浄ないしは交換を行わなければならない。この作業によって、場合によっては作業の前後でポストおよび上部構造の微小なズレが生じ、結果的に隙間が生じることを帰って助長してしまったりするなど、インプラントに悪い影響が与えられる危険性がある。
【0012】
これら従来技術の課題に鑑み、本発明では、歯科インプラントにおいて、外部からの細菌などの侵入を許してしまう隙間を生じないようにし、口腔内の常在菌が歯肉溝から入り込み、隙間において繁殖し、炎症を生じることを防止する目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本発明の歯科インプラントは、多角柱状の嵌合突起及び嵌合溝のいずれか一方を、略円筒状をなす骨内埋入部材の上端面に設け、かつ他方を、歯肉粘膜貫通部材の下端面に設け、これら嵌合突起と嵌合溝とを嵌合した状態で、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合する歯科インプラントであって、前記骨内埋入部材の上端面と前記歯肉粘膜貫通部材の下端面における、前記嵌合突起又は嵌合溝の周囲に、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合させる際に相互に突き合わされる環状突き合わせ面を設けるとともに、これら一対の環状突き合わせ面のうち、一方の環状突き合わせ面の略全面を凹状として、前記一方の環状突き合わせ面の外周端を凸とすることで、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合させる際に、前記一対の環状突き合わせ面は、まず外周端が最初に当接するようにしたことを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合させる際に、前記一方の環状突き合わせ面の外周端が最初に他方の環状突き合わせ面に当接し、圧着が進むにつれ、この外周端部が変形し、この部分の隙間が全て埋められる。したがって、外部からの細菌などの侵入を防ぐことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図によって説明する。
【0016】
図1は、本発明一実施形態の歯科インプラントを示し、この歯科インプラントは、骨内埋入部材としてのフィクスチャー15と歯肉粘膜貫通部材としてのポスト17、および固定用螺子18とからなる。
【0017】
この歯科インプラントにおいては、多角形状の嵌合突起と嵌合溝のいずれか一方が、略円柱状をなすフィクチャー15の上面に設けられ、他方が、ポスト17の下端面に設けられる。本実施形態では、ポスト17の下端面の中央に、六角形柱状の嵌合溝19が設けられ、フィクスチャー15の上端面の中央に嵌合突起14がそれぞれ設けられている。 そして、これら嵌合溝19又は嵌合突起14の周囲には、フクスチャー15とポスト17とを結合する際に相互に突き合わされる環状突き合わせ面20,21が設けられている。
【0018】
前記フクスチャー15とポスト17との固定は、前記六角形柱状の嵌合溝19と嵌合突起14を嵌合させ、前記環状突き合わせ面20,21を突き合わせた状態で、固定用螺子18を螺設することで行なう。この固定用螺子18の螺設のために、前記フィクスチャー15とポスト17には、軸線方向の螺子用孔22が設けられている。
【0019】
前記環状突き合わせ面20,21の一方20は、その外周端部分が凸となるように、略全面が凹状に形成されている。
【0020】
このように構成される本発明の歯科インプラントは、前記フィクスチャー16とポスト17とを結合させる際に、前記一方の環状突き合わせ面20の外周端が最初に他方の環状突き合わせ面に当接し、圧着が進むにつれ、この外周端部が変形し、この部分の隙間が全て埋められる。したがって、外部からの細菌などの侵入を防ぐことができる。
【0021】
本実施形態において、凹状に形成された前記一方の環状突き合わせ面20は、外周端側から内周端側に向かって漸次深くなる、テーパー凹状である。かかる構成によれば、当初、非常に狭い面積で圧着が行われることにより、変形がより容易に行われると共に、圧着が進むにつれ、圧力を受ける面積が相乗的に増加し、初期の密着という目的が達成できた後は、不必要な変形が生じることを防ぐことができる。
【0022】
また、テーパー凹状の前記一方の環状突き合わせ面は、他方の環状突き合わせ面21に対して2°〜5°のテーパー角度aを有することが好ましい。
【0023】
このテーパー角度aが2°未満の場合、外周端部の凸の度合いが小さいので、外周端部の変形が不十分となる恐れがあり、他方、5°を超えると、前記外周端部が過度に変形して、凸が潰れてしまう恐れがある。
【0024】
また、前記一方の環状突き合わせ面20の外周端部には、巾10〜50μmのフラットランド部24を形成されていることが好ましい。これは、前記外周端部が過度に変形して、凸が潰れてしまうことを防止することができる。ここでフラットであるというのは、螺子の軸に対して略直角であることを意味する。
【0025】
このフラットランド部24は、当該部材が加工される最終的な工程で、部材の対象軸に対し垂直、言い換えれば締結する螺子の軸に対して垂直に正確に加工される結果生じるもので、その平面において殆ど同時に相対する面に接触することにより、均一な変形が可能になる。
【0026】
前記巾が10μm未満の場合、凸が潰れてしまうことを防止できない恐れがあり、他方、50μmを超えると、外周端部が変形し難くなる恐れがある。
【0027】
このフラットランド部24は、研磨されていることが好ましい。研磨により、より密着性が高まるためである。
【0028】
前記フィクスチャー15とポスト17とは、例えば、チタン合金(Ti-6Al-4V)に対しては、純チタン(CP-Ti)、あるいはチタン合金や、純チタンに対しては金合金というように、その材質が硬度において異なるものを用いることにより、より変形が効果的に行われる。
【0029】
すなわち、凹状に形成した前記一方の環状突き合わせ面20を備える部材(フィクスチャー15)は、硬度が低い材質で構成する。これにより、前記一方の環状突き合わせ面20の外周端部が変形し易くなる。
【0030】
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は、これら実施形態に限定されるものでなく、発明の目的を逸脱しない限り任意の形態とすることができることは云うまでもない。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明の歯科インプラントによれば、多角柱状の嵌合突起及び嵌合溝のいずれか一方を、略円筒状をなす骨内埋入部材の上端面に設け、かつ、他方を歯肉粘膜貫通部材の下端面に設け、これら嵌合突起と嵌合溝とを嵌合した状態で、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合する歯科インプラントであって、前記骨内埋入部材の上端面と前記歯肉粘膜貫通部材の下端面における、前記嵌合突起又は嵌合溝の周囲に、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合させる際に相互に突き合わされる環状突き合わせ面を設けるとともに、これら一対の環状突き合わせ面のうち、一方の環状突き合わせ面の略全面を凹状として、前記一方の環状突き合わせ面の外周端を凸とすることで、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合させる際に、前記一対の環状突き合わせ面は、まず外周端が最初に当接するようにしたことから、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合させる際に、前記一方の環状突き合わせ面の外周端が最初に他方の環状突き合わせ面に当接し、圧着が進むにつれ、この外周端部が変形し、この部分の隙間が全て埋められる。したがって、外部からの細菌などの侵入を防ぐことができる。
【0032】
また、前記一方の環状突き合わせ面を、テーパー凹状とした場合、当初、非常に狭い面積で圧着が行われることにより、変形がより容易に行われると共に、圧着が進むにつれ、圧力を受ける面積が相乗的に増加し、初期の密着という目的が達成できた後は、不必要な変形が生じることを防ぐことができる。
【0033】
また、テーパー凹状をなす前記一方の環状突き合わせ面を、他方の環状突き合わせ面に対して2°〜5°のテーパー角度を有するようにした場合、前記外周端部の変形が十分可能となる。
【0034】
また、前記一方の環状突き合わせ面の外周端に、巾10〜50μmのフラットランド部を形成した場合、前記外周端部が過度に変形して、凸が潰れてしまうことを防止することができる。このフラットランドは、当該部材が加工される最終的な工程で、部材の対象軸に対し垂直、言い換えれば締結するネジの軸に対して垂直に正確に加工される結果生じるもので、その平面において殆ど同時に相対する接合面に接触することにより、均一な変形が可能になる。
【0035】
また、前記一方の環状突き合わせ面の硬度を、他方の環状突き合わせ面の硬度よりも小さくした場合、前記外周端部の変形が十分可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)は、本発明一実施形態に係る歯科インプラントの断面図であり、(b)は(a)の部分拡大図である。
【図2】(a)(b)(c)は、従来の歯科インプラントの断面図であり、(b)(c)は、(a)の部分拡大図である。
【符号の説明】
15・・フィクスチャー(骨内埋入部),18・・固定用螺子,17・・ポスト(歯肉粘膜貫通部材),19・・嵌合溝,14・・嵌合突起,20・・環状突き合せ面,21・・環状突き合せ面,22・・螺子用孔,24・・フラットランド部,
Claims (5)
- 多角柱状の嵌合突起及び嵌合溝のいずれか一方を、略円筒状をなす骨内埋入部材の上端面に設け、かつ、他方を歯肉粘膜貫通部材の下端面に設け、これら嵌合突起と嵌合溝とを嵌合した状態で、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合する歯科インプラントであって、前記骨内埋入部材の上端面と前記歯肉粘膜貫通部材の下端面における、前記嵌合突起又は嵌合溝の周囲に、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合させる際に相互に突き合わされる環状突き合わせ面を設けるとともに、これら一対の環状突き合わせ面のうち、一方の環状突き合わせ面の略全面を凹状として、前記一方の環状突き合わせ面の外周端を凸とすることで、前記骨内埋入部材と前記歯肉粘膜貫通部材とを結合させる際に、前記一対の環状突き合わせ面は、まず外周端が最初に当接するようにしたことを特徴とする歯科インプラント。
- 前記一方の環状突き合わせ面が、テーパー凹状であることを特徴とする請求項1記載の歯科インプラント。
- テーパー凹状をなす前記一方の環状突き合わせ面は、他方の環状突き合わせ面に対して2°〜5°のテーパー角度を有することを特徴とする請求項2記載の歯科インプラント。
- 前記一方の環状突き合わせ面の外周端に、巾10〜50μmのフラットランド部を形成したことを特徴とする請求項1記載の歯科インプラント。
- 前記一方の環状突き合わせ面の硬度が、他方の環状突き合わせ面の硬度よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の歯科インプラント。
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