JP4067852B2 - 歯科用インプラントフィクスチャー - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、上顎で上顎洞に対応する部位等の骨厚さが薄い部位に対して骨結合する部分の長さが一定長さの歯科用インプラントフィクスチャーの埋入が要求される上顎洞底挙上術を行う症例において、骨厚さより長い歯科用インプラントフィクスチャーを埋入することが可能な歯科用インプラントフィクスチャーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年インプラント治療は、骨がチタン金属に強固に結合する現象(骨結合)が発見されて以来、特に歯科の領域において成功率の高い補綴治療法として発展してきた。この歯科用インプラント治療においては、顎骨内に穿設して形成された穴内への歯科用インプラントフィクスチャーの埋入により、骨の創傷を治癒する作用と歯科用インプラントフィクスチャーの表面で骨結合につながる作用とが同時に起こり、これらを獲得するためにはこの治癒期間内は安静を維持させることが重要である。このため歯科用インプラントフィクスチャーを顎骨内に埋入手術後、一旦粘膜又は上皮で覆い、歯科用インプラントフィクスチャーに外力を加えない方法が採られている。この手術を1次手術という。1次手術後一定治癒期間がおかれ、骨結合が獲得された後に補綴処理を施すための手術が行われている。この手術は2次手術と呼ばれている。2次手術では、歯科用インプラントフィクスチャーの口腔内側に粘膜又は上皮を貫通するアバットメントを装着し、以降の処理は体内から露出したアバットメントを介して種々の過程を経て補綴物が固定される。
【0003】
このような歯科用インプラント治療において、解剖学的制約により上顎で上顎洞に対応する部位等の骨厚さが薄い部位へ歯科用インプラントフィクスチャーの埋入を余儀なくされた場合には、骨結合する部分の長さが短い歯科用インプラントフィクスチャーが適用されるか、又は上顎洞底挙上術を施した後に骨結合する部分が通常の歯科用インプラントフィクスチャーと同様の最適長さの歯科用インプラントフィクスチャーが埋入されている。しかしながら、歯科用インプラントフィクスチャーの口腔内側にアバットメントを介して固定される補綴物には咬合荷重が加わり、この荷重は歯科用インプラントフィクスチャー周囲の骨で受けることになるため、骨結合する部分の長さが短い歯科用インプラントフィクスチャーでは骨結合する部分の表面積が小さいことから応力が大きくなって過大応力による周囲骨の吸収を伴い、治療の失敗につながる。一方、上顎洞底挙上術を併用する方法は、高度な熟練と注意とを要するため一般的な治療法としての普及は困難とされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、骨厚さが薄い部位に対して骨結合する部分の長さが通常の歯科用インプラントフィクスチャーと同様の最適長さの歯科用インプラントフィクスチャーの埋入が要求される上顎洞底挙上術を行う症例において、従来のような高度な熟練と危険性とを伴う手術を要さずに、骨結合する部分の長さが最適長さの歯科用インプラントフィクスチャーが埋入することが可能な歯科用インプラントフィクスチャーを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、骨厚さが薄い部位に対して骨結合する部分の長さが最適長さである歯科用インプラントフィクスチャーの埋入が要求される上顎洞底挙上術を行う症例において、歯科用インプラントフィクスチャーを、口腔内側から先端に至る貫通穴が穿設されている円筒状本体と、この円筒状本体の貫通穴に螺設されているメネジに螺合して貫通穴内の口腔内側に充分なメネジ長さを残すように埋入されて固定され貫通穴の口腔内側と反対側の開口部を封塞する先端ネジと、円筒状本体の貫通穴に螺設されているメネジに長さ方向中央部に螺設されているオネジが螺合されてその先端が円筒状本体の貫通穴の口腔内側と反対側の開口部において貫通穴との隙間を封塞できる中心軸線に沿って貫通穴が設けられている中空状で円筒状本体より長いノズル部材とで構成すれば、予め上顎洞側の粘膜骨膜の境までの骨厚さだけ歯科用インプラントフィクスチャー埋入用下穴を上顎骨に穿孔し、次いで先端ネジが予め固定された状態の円筒状本体から成る歯科用インプラントフィクスチャーをこの下穴の深さに対応した深さまで埋入した後、先端ネジを円筒状本体から取り外して円筒状本体の貫通穴に口腔内側から螺入して固定したノズル部材の貫通穴を通してその先端から培養された骨芽細胞又は骨髄細胞を注入圧を加えて注入して上顎洞に接している粘膜骨膜を剥がし、所定量の骨芽細胞又は骨髄細胞を注入して歯科用インプラントフィクスチャーの最終埋入深さ以上の注入を確保した後に、ノズル部材を円筒状本体の貫通穴から取り外して円筒状本体の貫通穴に先端ネジを再度固定した後に予定された深さまで歯科用インプラントフィクスチャーを埋入すればよいことを究明して本発明を完成したのである。
【0006】
即ち本発明は、口腔内側の一端に凸状又は凹状の角筒部を有し、中心軸線に沿って設けられている貫通穴に口腔内側から谷径以下の円筒穴に至るメネジが螺設されており、該円筒穴の口腔内側と反対側には先細りのテーパー穴又は段付穴が設けられている円筒状本体と、
該円筒状本体内の口腔内側に充分な該メネジ長さを残すように埋入される長さであって該メネジに螺合するオネジが一端側に螺設されており該テーパー穴又は段付穴に外周が接して該円筒状本体の貫通穴の口腔内側と反対側の開口部を封塞するテーパー部が他端側に設けられている先端ネジと、
長さ方向中央部に該円筒状本体のメネジに螺合されるオネジが螺設されており、先端に該円筒状本体のテーパー穴又は段付穴に外周が接して該円筒状本体の貫通穴の口腔内側と反対側の開口部において該円筒状本体の貫通穴との隙間を封塞するためのテーパー部が設けられており、中心軸線に沿って貫通穴が設けられている中空状であって、該円筒状本体より長いノズル部材と
で構成されていることを特徴とする歯科用インプラントフィクスチャーである。
【0007】
そしてこのような歯科用インプラントフィクスチャーにおいて、円筒状本体はその外周にオネジが螺設されている円筒状本体であったり、その口腔内側と反対側先端外周に切り刃が設けられている円筒状本体であったりすればより好ましいのである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーと、歯科用インプラント治療においてこの本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーと共に使用される部材と、この本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーを使用して行う歯科用インプラント治療の1次手術について詳細に説明する。
図1は本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーの円筒状本体の中央線断面説明図、図2は図1の平面図、図3は本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーの先端ネジの一部を断面で示す正面説明図、図4は図3の平面図、図5は本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーの円筒状本体と先端ネジとが固定されている状態を示す中央線断面説明図、図6は本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーのノズル部材の左半分を断面で示す正面説明図、図7は本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーのノズル部材に装着して使用されるチューブの断面説明図、図8は本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーを使用して行う1次手術の骨芽細胞又は骨髄細胞の注入作業に入る前までの工程説明図、図9は本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーを使用して行う1次手術の骨芽細胞又は骨髄細胞の注入作業までの工程説明図、図10は本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーを使用して行う1次手術の骨芽細胞又は骨髄細胞の注入作業完了後から歯科用インプラントフィクスチャーの最終埋入前までの工程説明図、図11は本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーを使用して行う1次手術の歯科用インプラントフィクスチャーの最終埋入完了までの工程説明図である。
【0009】
図面中、1は本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーの主要部を構成するチタン又はチタン合金製の円筒状本体であり、口腔内側の一端に凸状又は凹状の角筒部1a(図示した実施例では凸状角筒部)を有し、中心軸線に沿って設けられている貫通穴に口腔内側から谷径以下の円筒穴1cに至るメネジ1bが螺設されており、この円筒穴1cの口腔内側と反対側には先細りのテーパー穴又は段付穴1d(図示した実施例ではテーパー穴)が設けられており、また外周にはオネジ1eが螺設されていると共に口腔内側と反対側先端外周に切り刃1fが設けられている円筒状本体である。
【0010】
2は本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーを構成するチタン又はチタン合金製の部材であり、円筒状本体1内の口腔内側に充分なメネジ1b長さを残すように埋入される長さであって円筒状本体1のメネジ1bに螺合するオネジ2aが一端側に螺設されており、円筒状本体1のテーパー穴又は段付穴1dに外周が接して円筒状本体1の貫通穴の口腔内側と反対側の開口部を封塞するためのテーパー部2bが他端側に設けられていると共にオネジ2aが螺設されている側の端面には六角レンチ等のレンチが挿入して係合されるレンチ係合穴2cが設けられている先端ネジである。ここで、前記円筒状本体1内の口腔内側に充分なメネジ1b長さを残す理由は、この先端ネジ2がテーパー部2bを円筒状本体1のテーパー穴又は段付穴1dに外周が接した状態となるまで円筒状本体1内に螺入された状態で、円筒状本体1内の口腔内側のメネジ1bには、後述するマウントスクリュー6や、カバースクリュー8や、補綴物を固定するためのアバットメントを円筒状本体1に固定するためのアバットメントスクリューが螺入された際に充分の螺合強度を確保できなければならないからである。
【0011】
3は本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーを構成する部材であり、円筒状本体1の貫通穴に口腔内側から挿入された後に長さ方向中央部に螺設されているオネジ3aが円筒状本体1のメネジ1bに螺合されて先端に円筒状本体1のテーパー穴又は段付穴1dに外周が接して円筒状本体1の貫通穴の口腔内側と反対側の開口部において円筒状本体1の貫通穴との隙間を封塞するためのテーパー部3bが設けられており、中心軸線に沿って貫通穴3cが設けられている中空状であって、円筒状本体1より長いノズル部材である。
【0012】
4はノズル部材3のテーパー部3bが設けられている側と反対側の外面に嵌合されて骨芽細胞又は骨髄細胞Rをノズル部材3の貫通穴3c内に供給するための軟質合成樹脂製のチューブである。
【0013】
上記したような本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーや軟質合成樹脂製のチューブ4を使用して骨厚さが薄い部位に対して骨結合する部分の長さが所定長さである歯科用インプラントフィクスチャーの埋入が要求される上顎洞底挙上術を行う必要がある場合の歯科用インプラント治療の1次手術について、図8〜図11の工程図に基づいて説明する。
【0014】
先ず、図8の(A)に示すように歯科用インプラントフィクスチャーの埋入が要求される上顎の骨厚さが薄い部位に対して、口腔内側粘膜骨膜Wを切開した後に上顎洞Z側の上顎洞側粘膜骨膜Yの境までの骨厚さだけ上顎骨Xに歯科用インプラントフィクスチャー用埋入下穴を穿設する。
次いで、テーパー部2bの外周が円筒状本体1のテーパー穴又は段付穴1dに接して円筒状本体1の貫通穴の口腔内側と反対側の開口部を封塞する状態まで円筒状本体1のメネジ1bにオネジ2aが螺合されて先端ネジ2が固定された図5に示す状態の本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーを準備し、その円筒状本体1の口腔内側の一端の凸状又は凹状の角筒部1aにフィクスチャーマウント5に設けられている凹状又は凸状の角筒部を係合させ、フィクスチャーマウント5の側面に設けられている平面部でフィクスチャーマウント5を保持して円筒状本体1がフィクスチャーマウント5に対して回転しない状態でマウントスクリュー6をこのフィクスチャーマウント5の中心軸線に沿って設けられている貫通穴を貫通させて円筒状本体1の中心軸線に沿って設けられている貫通穴に螺設されているメネジ1bに螺合させることによって円筒状本体1に固定したフィクスチャーマウント5の側面を保持して、図8の(B)に示すように歯科用インプラントフィクスチャー用埋入下穴の中心線と円筒状本体1の中心線とが一致するようにして円筒状本体1の凸状又は凹状の角筒部1aが設けられている側と反対側の先端を歯科用インプラントフィクスチャー用埋入下穴の開口部位に位置せしめる。
【0015】
次いで図8の(C)に示すようにフィクスチャーマウント5がマウントスクリュー6によって固定された本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーを歯科用インプラントフィクスチャー用埋入下穴の深さに対応した深さまで埋入する。この際、歯科用インプラントフィクスチャー用埋入下穴の内径が円筒状本体1の外径と略同一であれば歯科用インプラントフィクスチャー用埋入下穴の中心線と円筒状本体1の中心線とが一致するように押し込んで埋入すればよく、歯科用インプラントフィクスチャー用埋入下穴の内径が円筒状本体1の外径より小さい場合は歯科用インプラントフィクスチャー用埋入下穴の中心線と円筒状本体1の中心線とが一致するようにして全体を円筒状本体1の中心線を中心として回転させて円筒状本体1の外周に螺設されているオネジ1eで上顎骨Xにネジを切るようにして歯科用インプラントフィクスチャー用埋入下穴内に円筒状本体1を埋入する。このようにして全体を円筒状本体1の中心線を中心として回転させて歯科用インプラントフィクスチャー用埋入下穴内に円筒状本体1を埋入する場合には、円筒状本体1の口腔内側と反対側先端外周に切り刃1fが設けられていると歯科用インプラントフィクスチャー用埋入下穴内への挿入が容易になって好ましい。
しかる後、フィクスチャーマウント5の側面を保持して円筒状本体1が回転しないようにした状態でマウントスクリュー6を回転させて、円筒状本体1からマウントスクリュー6をフィクスチャーマウント5と共に取り外し、円筒状本体1の口腔内側の一端に設けられている凸状又は凹状の角筒部1aにフィクスチャー固定用ツール7に設けられている凹状又は凸状の角筒部を係合させてこのフィクスチャー固定用ツール7をその側面に設けられている平面部で保持して円筒状本体1が回転しない状態にしておいて、円筒状本体1の貫通穴に挿入したレンチ(図示せず)を先端ネジ2のオネジ2aが螺設されている側の端面に設けられているレンチ係合穴2cに係合させてレンチを回転させることによって先端ネジ2を取り外して図8の(D)に示す状態にする。
【0016】
この状態で、図9の(E)に示すようにノズル部材3のテーパー部3bが設けられている側と反対側の外面にチューブ4を嵌合したものを準備する。
しかる後、円筒状本体1の口腔内側の一端に係合させたフィクスチャー固定用ツール7をその側面に設けられている平面部で保持して円筒状本体1が回転しない状態にしておいて、円筒状本体1の貫通穴に口腔内側からノズル部材3を挿入しノズル部材3の長さ方向中央部に螺設されているオネジ3aを円筒状本体1のメネジ1bに螺合させてテーパー部3bが円筒状本体1のテーパー穴又は段付穴1dに外周が接する図9の(F)に示す状態とした後、チューブ4からノズル部材3,円筒状本体1の貫通穴を通して円筒状本体1先端の開口部から培養された骨芽細胞又は骨髄細胞Rを注入圧を加えて注入して上顎洞Zに接している上顎洞側粘膜骨膜Yを剥がし、一定量の骨芽細胞又は骨髄細胞Rを注入して歯科用インプラントフィクスチャーの最終埋入深さ以上の注入を確保する。この際、ノズル部材3の先端のテーパー部3bは円筒状本体1のテーパー穴又は段付穴1dに外周が接して封塞状態が確保されているので、歯科用インプラントフィクスチャー内への骨芽細胞又は骨髄細胞Rの流入が防止されて無駄なく上顎洞Z側に骨芽細胞又は骨髄細胞Rの膨らみを与えることができる。尚、注入する骨芽細胞又は骨髄細胞Rが培養骨芽細胞の場合は、患者自身の骨芽細胞を培養したものが最適であることはいうまでもない。
【0017】
次いで、フィクスチャー固定用ツール7を保持して円筒状本体1が回転しないようにした状態でノズル部材3を回転させて円筒状本体1の貫通穴から取り外して図10の(G)に示す状態にする。
しかる後に、フィクスチャー固定用ツール7を保持して円筒状本体1が回転しないようにした状態を維持しておいて円筒状本体1の貫通穴に口腔内側から先端ネジ2をオネジ2aが螺設されている側の端面に設けられているレンチ係合穴2cにレンチを係合させて回転させることによってテーパー部2bの外周が円筒状本体1のテーパー穴又は段付穴1dに接して円筒状本体1の貫通穴の口腔内側と反対側の開口部を封塞する状態まで円筒状本体1のメネジ1bにオネジ2aを再度螺入して円筒状本体1に固定して図10の(H)に示す状態にする。
【0018】
次いで、円筒状本体1の口腔内側の一端に設けられている凸状又は凹状の角筒部1aからフィクスチャー固定用ツール7を取り外し、図8の(B)と同様に、円筒状本体1の口腔内側の一端の凸状又は凹状の角筒部1aにフィクスチャーマウント5を係合させ、フィクスチャーマウント5の側面を保持して円筒状本体1が回転しないようにした状態でマウントスクリュー6をこのフィクスチャーマウント5の中心軸線に沿って設けられている貫通穴を貫通させて円筒状本体1の中心軸線に沿って設けられている貫通穴に螺設されているメネジ1bに螺合させて図10の(I)に示す状態にする。
【0019】
しかる後、図11の(J)に示すようにフィクスチャーマウント5がマウントスクリュー6によって固定された本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーの先端ネジ2付き円筒状本体1を上顎の予定された深さまで埋入する。この埋入は、円筒状本体1の外周にオネジ1eが螺設されていない場合には円筒状本体1の中心線に沿って埋入すればよく、円筒状本体1の外周にオネジ1eが螺設されている場合には円筒状本体1の中心線を中心として回転させて円筒状本体1の外周に螺設されているオネジ1eと上顎骨Xとの螺合状態を維持して埋入する。
次いで、フィクスチャーマウント5の側面を保持して円筒状本体1が回転しないようにした状態でマウントスクリュー6を回転させて円筒状本体1及びフィクスチャーマウント5から取り外した後に、フィクスチャーマウント5を円筒状本体1から取り外して図11の(K)に示す状態とする。
【0020】
しかる後、円筒状本体1の口腔内側から円筒状本体1のメネジ1bにカバースクリュー8を螺合させて円筒状本体1の口腔内側の貫通穴の開口部を閉塞させた図11の(L)に示す状態とした後、そのカバースクリュー8の口腔内側を口腔内側粘膜骨膜Wで覆うと1次手術が完了するのである。なお、注入された骨芽細胞又は骨髄細胞Rは、一定期間の後に骨に変わると共に周囲骨との結合が終了し、更に歯科用インプラントフィクスチャーとの骨結合も完了して機能骨として整い、強固にインプラントの支持を果たせるようになるのである。
尚、2次手術は従来と同様である。
【0021】
【発明の効果】
以上に詳述したような工程を経て歯科用インプラント治療の1次手術を行う際に使用される本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーは、骨結合する部分の長さが通常の歯科用インプラントフィクスチャーと略同じ長さであるので上顎洞底挙上術を行う治療必要がある骨厚さが薄い部位に対して適用しても骨結合する部分の表面積が小さいことから応力が大きくなって咬合荷重による過大応力で周囲骨の吸収が生じることがなく、上顎洞底挙上術のような高度な熟練と危険性を伴う手術を要さずに歯科用インプラント治療を実施することを可能とするものであり、その歯科医療分野に貢献する価値の非常に大きなものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーの円筒状本体の中央線断面説明図である。
【図2】 図1の平面図である。
【図3】 本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーの先端ネジの一部を断面で示す正面説明図である。
【図4】 図3の平面図である。
【図5】 本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーの円筒状本体と先端ネジとが固定されている状態を示す中央線断面説明図である。
【図6】 本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーのノズル部材の左半分を断面で示す正面説明図である。
【図7】 本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーのノズル部材に装着して使用されるチューブの断面説明図である。
【図8】 本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーを使用して行う1次手術の骨芽細胞又は骨髄細胞の注入作業に入る前までの工程説明図である。
【図9】 本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーを使用して行う1次手術の骨芽細胞又は骨髄細胞の注入作業までの工程説明図である。
【図10】 本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーを使用して行う1次手術の骨芽細胞又は骨髄細胞の注入作業完了後から歯科用インプラントフィクスチャーの最終埋入前までの工程説明図である。
【図11】 本発明に係る歯科用インプラントフィクスチャーを使用して行う1次手術の歯科用インプラントフィクスチャーの最終埋入完了までの工程説明図である。
【符号の説明】
1 円筒状本体
1a 凸状又は凹状の角筒部
1b メネジ
1c 円筒穴
1d 先細りのテーパー穴又は段付穴
1e オネジ
1f 切り刃
2 先端ネジ
2a オネジ
2b テーパー部
2c レンチ係合穴
3 ノズル部材
3a オネジ
3b テーパー部
3c 貫通穴
4 チューブ
5 フィクスチャーマウント
6 マウントスクリュー
7 フィクスチャー固定用ツール
8 カバースクリュー
R 骨芽細胞又は骨髄細胞
W 口腔内側粘膜骨膜
X 上顎骨
Y 上顎洞側粘膜骨膜
Z 上顎洞
Claims (3)
- 口腔内側の一端に凸状又は凹状の角筒部(1a)を有し、中心軸線に沿って設けられている貫通穴に口腔内側から谷径以下の円筒穴(1c)に至るメネジ(1b)が螺設されており、該円筒穴(1c)の口腔内側と反対側には先細りのテーパー穴又は段付穴(1d)が設けられている円筒状本体(1)と、
該円筒状本体(1)内の口腔内側に充分な該メネジ(1b)長さを残すように埋入される長さであって該メネジ(1b)に螺合するオネジ(2a)が一端側に螺設されており該テーパー穴又は段付穴(1d)に外周が接して該円筒状本体 ( 1 ) の貫通穴の口腔内側と反対側の開口部を封塞するテーパー部(2b)が他端側に設けられている先端ネジ(2)と、
長さ方向中央部に該円筒状本体 ( 1 ) のメネジ (1b) に螺合されるオネジ (3a) が螺設されており、先端に該円筒状本体 ( 1 ) のテーパー穴又は段付穴 (1d) に外周が接して該円筒状本体 ( 1 ) の貫通穴の口腔内側と反対側の開口部において該円筒状本体 ( 1 ) の貫通穴との隙間を封塞するためのテーパー部 (3b) が設けられており、中心軸線に沿って貫通穴 (3c) が設けられている中空状であって、該円筒状本体 ( 1 ) より長いノズル部材 ( 3 ) と
で構成されていることを特徴とする歯科用インプラントフィクスチャー。 - 円筒状本体(1)が、その外周にオネジ(1e)が螺設されている円筒状本体である請求項1に記載の歯科用インプラントフィクスチャー。
- 円筒状本体(1)が、その口腔内側と反対側先端外周に切り刃(1f)が設けられている円筒状本体である請求項1又は2に記載の歯科用インプラントフィクスチャー。
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