明細書
シクロ化合物及びその医薬用途
技術分野
本発明は、 シクロ化合物及びその医薬用途に関する。 更に詳しくは、 シクロ構 造を有する化合物及びその医薬上許容される塩を含有してなる低血糖等の重篤な 副作用のない、 高血糖状態のみを改善する優れた薬理作用を有する新規な糖尿病 治療薬に関する。
背景技術
糖尿病は、 インスリン作用の不足によって、 糖、 脂質、 アミノ酸代謝異常のも たらされる慢性的な疾患である。 無治療の状態では持続する高血糖や尿糖を示す。 糖尿病は、 インスリン依存型とィンスリン非依存型に分けられ、 糖尿病患者の約
9 0 %はインスリン非依存型の糖尿病である。
インスリン依存型糖尿病は、 インスリン分泌能が消失しているため、 ケトン血 症、 アシドーシスに傾きやすく、 放置すれば糖尿病性昏睡に陥る。 食餌や経口血 糖降下剤では治療効果はなく、 インスリンによってのみ治療可能である。
一方、 ィンスリン非依存型糖尿病は、 ィンスリン作用が正常よりも低下してい るものの、 ケトン血症、 アシドーシス傾向は乏しく治療上必ずしもインスリンを 必要としない。
ィンスリン非依存型糖尿病患者の高血糖の原因の一つに糖刺激に対するインス リン分泌の異常や標的細胞におけるィンスリン抵抗性の増大等が指摘されている ィンスリン分泌の異常は、 脖臓S細胞に於いて血液中の糖濃度を感知してそれに 応じてインスリンを分泌する機能が異常を来たしていると考えられるが、 詳細な メカニズムは未だ解明されていない。 インスリン分泌異常としては、 インスリン 分泌能力不足ばかりでなく、 初期分泌の消失や分泌の遅延が挙げられ、 その結果 として高血糖を引き起こしているためと考えられている。 ィンスリンの抵抗性と は、 細胞における糖の取り込みにおけるィンスリン作用が低下していることを指 す。 その意味ではインスリン自体の異常、 標的細胞におけるインスリン受容体の
異常、 細胞内での伝達系の異常等が原因と考えられる。 しかし、 インスリ ンの抵 抗性が、 なぜ起こっているのかは完全には解明されていない (治療学 2 9 ( 4 ) 3 7 8〜3 8 1頁 (1 9 9 5 ) ) 。
現在、 高血糖を是正する目的で、 インスリン製剤、 スルホニルゥレア剤、 ビグ アナイ ド剤、 インスリ ン抵抗性を改善する糖尿病治療剤、 a —ダルコシダ一ゼ阻 害剤等が存在する。 インスリ ン製剤は、 インスリ ン依存性糖尿病に用いる薬剤で あり、 確実に血糖を低下させるが、 注射により投与しなければならないうえに低 血糖になるおそれもある。 スルホニルゥレア剤は脬 /3細胞を剌激し、 内因性イン スリン分泌を促進するが、 ィンスリン分泌のタイミング及び分泌量は、 血糖値と は関係なく、 薬物の投与タイミング、 投与量によって決まる。 このため副作用と して、 しばしば薬剤の作用持続に起因する低血糖を呈する。 また、 食欲不振等の 消化器症状が現れる。 重症ケトーシス又は肝若しくは腎機能障害のある患者には 禁忌である。 ビグアナィ ド系薬物は膝 yS細胞刺激はなく、 単独投与によっては健 常人及び糖尿病患者のいずれも低血糖を生じない。 作用機序として嫌気的解糖作 用による糖利用の増大、 糖新生の抑制、 糖の腸管吸収抑制などが考えられる。 副 作用として比較的重篤な乳酸性ァシド一シスを起こしゃすい。 ィンスリン抵抗性 を改善する薬剤はチアゾリジン誘導体があるが、 チアゾリジン誘導体は、 インス リ ン分泌促進作用を及ぼさず、 インスリ ン作用の増強を有し、 インスリ ン受容体 キナーゼ活性化、 末梢組織の糖取り込み促進作用、 肝糖産生亢進状態の改善等が みられるが、 副作用として消化器症伏及び浮腫等が起こり、 また、 赤血球数、 へ マトクリッ ト、 ヘモグロビンの低下と L D Hの上昇が起こる事が示されている ( 新しい糖尿病治療学、 9 0〜9 9頁 (1 9 9 4 ) 医薬ジャーナル社) 。
—方、 他の糖尿病治療薬としては α —グルコシダーゼを阻害する薬物が存在す る。 な—グルコシダ一ゼ阻害薬は消化管における糖質の消化 ·吸収を遅延させ食 後の血糖上昇を抑制するが、 膨満感、 腹鳴、 下痢等の副作用が問題となっている (JOSLIN' S DIABETES MELLITUS 13th Edition 521-522 ) 。 その他、 特開昭 6 3 - 5 4 3 2 1号公報には投与直後に急激かつ一過性のィンスリ ン分泌を示し、 速
攻性かつ短時間作用型の経口血糖降下剤が示されている。 し力、しながら、 血糖量 に応じたインスリン分泌を行うものではなく、 しかも効果が薬剤の投与量、 投与 タイミングに依存するために、 血糖コントロールがむずかしく誤投与による低血 糖の危険が残る。 さらに、 特開平 4— 1 2 8 2 6 6号公報には、 アルド一ス還元 酵素阻害剤がグルコース濃度依存的なィンスリン分泌促進作用を合わせもつこと が記載されている。 しかしながら、 投与量が多いうえに十分な血糖コントロール が得られていない。 そこで、 単に血糖を下げる薬剤ではなく、 正常範囲内に血糖 をコントロールできる薬剤が望まれていた。
なお、 糖尿病治療薬に係る発明で構造的に類似する化合物としては以下のもの が公知である。 しかしながら、 このような化合物が本発明のごとき正常範囲内に 血糖をコントロールできるという優れた糖尿病治療薬として有効であることを示 す公知の文献は存在せず、 ましてや、 それを示唆するデータも全く開示されてい ない。 以下に、 これら公知化合物の構造式と文献名 (R e g i s t r y N u rn b e r (R. N. ) 、 特許公報番号又は文献名) 及びそこに開示される主たる用 途を表 1乃至表 8に示す。
表 1
また、 我々は特願平 9— 4 9 8 0 3号において本発明と同様な作用を有する化 合物を先に出願している。
発明の開示
本発明者等は、 高血糖状態においては血糖低下作用を有し、 低血糖等の副作用 を起こさない薬剤を見い出すベく鋭意検討した結果、 投与しても低血糖等の重篤 な副作用を起こさず、 高血糖状態のみに作用を及ぼし、 糖尿病治療薬として有用 であり、 糖尿病の慢性合併症の予防剤としても有用な薬剤を見い出し、 本発明を 兀成し 。
即ち、 本発明は、 下記 (1 ) 乃至 (7 ) に示される化合物、 その医薬上許容さ れる塩、 その医薬用途及び医薬組成物に関する。
( 1 ) 一般式 〔 1〕
A八 C00E1 〔1〕
〔式中、 Aは
(ここで、 R 2 はハロゲン原子で置換された低級アルキル基であり、 R 3 はハロ ゲン原子又は低級アルキル基であり、 R 4 は低級アルキル基であり、 R 5 は低級 アルキル基である。 ) であり、 R 1 は水素原子、 低級アルキル基、 ァリール基、 シクロアルキル基又はァラルキル基である。 〕 で示されるシクロ化合物又はその 医薬上許容される塩。
( 2 ) Aが
であり、 R
2 におけるハロゲン原子で置換された低級アルキル基のハロゲン原子 及び R
3 におけるハロゲン原子がフッ素であり、 R
1 が水素原子である (1) 記 載のシクロ化合物又はその医薬上許容される塩。
(3) Aが
(ここで、 R2 はフッ素で置換された低級アルキル基である。 ) である (2) 記 載のシクロ化合物又はその医薬上許容される塩。
(4) Aが
である (1) 記載のシクロ化合物又はその医薬上許容される塩。
(5) t r a n s— 4ー 〔4一 (フルォロメチル) シクロへキシル〕 一 4一 ォキソブタン酸、 t r a n s— 4— 〔4— (トリフルォロメチル) シクロへキシ ル〕 一 4一ォキソブタン酸、 4一 (4, 4—ジメチルシクロへキシル) 一 4—ォ キソブタン酸、 (土) 一 4一 ( 4ーメチルー 3—シクロへキセニル) 一 4ーォキ ソブタン酸、 4— (4— c一フルオロー 4一 tーメチルー 1一 rーシクロへキシ
ル) — 4ーォキソブタン酸、 ェチル 〔 ( t r a n s— 4ーメチルシクロへキサ ンカルボニル) ァミノ〕 ァセテ一ト及び 〔 (t r a n s— 4—メチルシクロへキ サンカルボニル) ァミノ〕 酢酸からなる群より選ばれるシクロ化合物又はその医 薬上許容される塩。
(6) (1) - (5) のいずれかに記載のシクロ化合物又はその医薬上許容 される塩と医薬的に許容される担体とを含有してなる医薬組成物。
(7) (1) 〜 (5) のいずれかに記載のシクロ化合物又はその医薬上許容 される塩を含有してなる糖尿病治療薬。
図面の簡単な説明
図 1は、 ブドウ糖負荷した後、 種々の用量の本発明化合物 (実施例 1) とカル ボキシメチルセルロース (コントロール) を経口投与したときの血糖の変化 (縦 軸) と経過時間 (横軸) を示すグラフである。 ---〇…はコン トロール、 ー誊一は 本発明化合物 1 0 m gノ k g、 ー醒一は本発明化合物 3 0 m gノ k g、 一▲—は 本発明化合物 1 0 OmgZk gの結果をそれぞれ示す。 p < 0. 0 5, **p < 0. 0 1)
発明の詳細な説明
本明細書において使用する各置換基の定義は次の通りである。
「低級アルキル基」 とは炭素数 1乃至 6の直鎖又は分枝してもよいアルキル基 であり、 例えばメチル基、 ェチル基、 プロピル基、 イソプロピル基、 ブチル基、 イソブチル基、 s e c—ブチル基、 t e r t—ブチル基、 ペンチル基、 イソペン チル基、 ネオペンチル基、 3—ペンチル基、 t e r t—ペンチル基又はへキシル であ O o
R3 、 R4 及び R5 における低級アルキル基として好ましくは炭素数 1乃至 4 の直鎖又は分枝してもよいアルキル基であり、 例えばメチル基、 ェチル基、 プロ ピル基、 イソプロピル基、 ブチル基、 イソブチル基、 s e c一プチル基、 t e r t—ブチル基であり、 より好ましくはメチル基である。
R 1 における低級アルキル基として好ましくは炭素数 1乃至 4の直鎖又は分枝
してもよいアルキル基であり、 例えばメチル基、 ェチル基、 プロピル基、 イソプ 口ピル基、 ブチル基、 イソブチル基、 s e c一ブチル基、 t e r t—ブチル基で あり、 より好ましくはメチル基又はェチル基である。
「ハロゲン原子」 とは、 塩素、 臭素、 フッ素又はヨウ素であり、 好ましくはフ ッ である。
「ハロゲン原子で置換された低級アルキル基」 とは、 上記低級アルキル基が上 記ハロゲン原子で置換されているものであり、 例えばフルォロメチル基、 ジフル ォロメチル基、 トリフルォロメチル基、 1一フルォロェチル基、 2—フルォロェ チル基、 1 , 1 —ジフルォロェチル基、 1 , 2—ジフルォロェチル基、 2, 2 - ジフルォロェチル基、 2, 2, 2— トリフルォロェチル基、 1 —フルォロプロピ ル基、 2—フルォロプロピル基、 3—フルォロプロピル基、 3 , 3 —ジフルォロ プロピル基、 3, 3 , 3—トリフルォロプロピル基、 1 —フルォロブチル基、 2 —フルォロブチル基、 3—フルォロブチル基、 4一フルォロブチル基、 4 , 4 - ジフルォロブチル基、 4, 4 , 4— トリフルォロブチル基、 クロロメチル基、 ジ クロロメチル基、 トリクロロメチル基、 1一クロ口ェチル基、 2—クロ口ェチル 基、 1 , 1ージクロ口ェチル基、 1 , 2—ジクロ口ェチル基、 2, 2—ジクロ口 ェチル基、 2, 2 , 2— トリクロ口ェチル基、 1一クロ口プロピル基、 2—クロ 口プロピル基、 3—クロ口プロピル基、 3, 3—ジクロ口プロピル基、 3, 3 , 3—トリクロ口プロピル基、 1一クロロブチル基、 2—クロロブチル基、 3—ク ロロブチル基、 4 -クロロブチル基、 4, 4ージクロロブチル基、 4, 4 , 4一 トリクロロブチル基、 ブロモメチル基、 ジブロモメチル基、 トリブロモメチル基、 1一ブロモェチル基、 2 —ブロモェチル基、 1, 1 —ジブロモェチル基、 1, 2 一ジブロモェチル基、 2, 2—ジブロモェチル基、 2, 2 , 2—トリプロモェチ ル基、 1—ブロモプロピル基、 2—ブロモプロピル基、 3—ブロモプロピル基、 3 , 3—ジブロモプロピル基、 3 , 3 , 3—トリブロモプロピル基、 1一ブロモ ブチル基、 2—ブロモブチル基、 3—ブロモブチル基、 4—ブロモブチル基、 4 , 4一ジブロモブチル基、 4, 4 , 4一トリブロモブチル基等であり、 好ましくは
フルォロメチル基、 ジフルォロメチル基、 トリフルォロメチル基、 1 一フルォロ ェチル基、 2—フルォロェチル基、 1, 1ージフルォロェチル基、 1 , 2—ジフ ルォロェチル基、 2 , 2—ジフルォロェチル基、 2 , 2, 2— トリフルォロェチ ル基、 1—フルォロプロピル基、 2 —フルォロプロピル基、 3—フルォロプロピ ル基、 3 , 3—ジフルォロプロピル基、 3, 3 , 3— トリフルォロプロピル基、 1 一フルォロブチル基、 2 —フルォロブチル基、 3—フルォロブチル基、 4ーフ ルォロブチル基、 4, 4ージフルォロブチル基、 4 , 4 , 4— トリフルォロブチ ル基等であり、 より好ましくはフルォロメチル基、 トリフルォロメチル基である。
「ァリール基」 とは、 フヱニル基、 ビフヱ二リル基、 ナフチル基等であり、 好 ましくはフヱニル基である。
「シクロアルキル基」 とは、 炭素数 3乃至 7のシクロアルキル基であり、 具体 的には、 シクロプロピル基、 シクロブチル基、 シクロペンチル基、 シクロへキシ ル基又はシクロへプチル基であり、 好ましくはシクロペンチル基又はシキロへキ シル基であり、 より好ましくはシクロへキシル基である。
「ァラルキル基」 とは、 ァリール基がフヱニル基を意味し、 かつアルキル部が炭 素数 1乃至 6個のアルキル基であるァリ一ルアルキル基であって、 例えばべンジ ル基、 フエニルェチル基、 フヱニルプロピル基、 フエニルブチル基、 フエニルぺ ンチル基又はフヱニルへキシル基等であり、 好ましくはベンジル基又はフヱニル ェチル基であり、 より好ましくはべンジル基である。
「医薬上許容される塩」 とは、 上記一般式 〔1〕 で示される化合物と無毒性の 塩を形成するものであればいかなるものであってもよい。 例えば塩酸塩、 臭化水 素酸塩、 硫酸塩、 リン酸塩、 硝酸塩等の無機酸付加塩;酢酸塩、 プロピオン酸塩、 コハク酸塩、 乳酸塩、 グリコール酸塩、 リンゴ酸塩、 酒石酸塩、 クェン酸塩、 マ レイン酸塩、 フマル酸塩、 メタンスルホン酸塩、 p —トルエンスルホン酸塩、 ァ スコルビン酸塩等の有機酸付加塩;ァスパラギン酸塩、 グルタミ ン酸塩等の酸性 アミノ酸との塩;ナトリウム塩、 カリウム塩、 リチウム塩等のアルカリ金属塩; マグネシウム塩、 カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩; アルミニウム塩;アン
モニゥム塩; 卜リメチルァミン塩、 トリェチルァミン塩、 ピリジン塩、 ピコリン 塩、 ジシクロへキシルァミン塩、 N , N, 一ジベンジルエチレンジァミン塩等の 有機塩基塩; リジン塩、 アルギニン塩等の塩基性アミノ酸との塩を挙げることが できる。
また、 本発明の化合物は不斉炭素を有する場合もあり、 その場合、 光学的に純 粋なェナンチォマー、 そのラセミ体、 あるいはそれらの組み合わせ及び比率が任 意である混合物が存在し、 本発明は、 それらのいかなる異性体からなる糖尿病治 療薬をも包含する。
また、 ラセミ体の場合には必要であれば光学分割法により、 一方の光学活性体 のみを得ることができ、 不斉合成法を用いれば、 直接一方の光学活性体のみを得 ることができる。 更に、 本発明の化合物は場合によっては、 水和物であってもよ く、 溶媒和物であってもよい。
なお、 本発明においては各化合物のプロドラッグ及び代謝物も包含される。 「プロドラッグ」 とは薬物分子を化学的に修飾した誘導体でそれ自体は生理活性 を示さず、 投与後体内で、 もとの薬物分子に復元し薬効を示すものをいう。
本発明の化合物の医薬製剤としては通常、 それ自体公知の薬理学的に許容され る担体、 賦形剤、 希釈剤、 増量剤、 崩壊剤、 安定剤、 保存剤、 緩衝剤、 乳化剤、 芳香剤、 着色剤、 甘味剤、 粘稠剤、 矯味剤、 溶解捕助剤、 その他の添加剤、 具体 的には、 水;植物油;エタノール又はべンジルアルコールのようなアルコール; ポリエチレングリコール; グリセロールトリアセテート ;ゼラチン ; ラク トース、 でんぷんのような炭水化物; ステアリン酸マグネシウム、 タルク、 ラノリ ン、 ヮ セリン、 白糖、 ブドウ糖、 マンニッ ト、 ソルビッ ト、 結晶セルロース、 アラビア ゴム、 デキストリン、 ヒ ドロキシプロピルメチルセルロース、 ポリビニルピロリ ドン、 カルナバロウ、 ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、 力 カオ脂、 ラウリン酸、 レシチン、 グリセリン、 パラォキシ安息香酸ナトリウム、 安息香酸ナトリウム、 サリチル酸、 ソルビン酸カリウム等と混合して錠剤、 丸剤、 散剤、 顆粒剤、 座剤、 注射剤、 液剤、 カプセル剤、 トローチ剤等の形態により経
口又は非経口的に投与することができる。 投与量は、 疾患の程度、 投与する化合 物並びに投与経路、 患者の年齢、 性別、 体重により変わり得るが、 経口の場合、 通常成人 1日当たり本発明の化合物を 0. 0 0 1〜1 00 Omg、 特に 0. 1〜
1 0 0 m g投与すればよい。
なお、 本発明化合物は動物用医薬としても適応することができる。
次に、 本発明に係わる一般式 〔1〕 で表わされるシクロ化合物の製造方法につ いて述べる力 本発明化合物の製造方法は例示の製造方法に限定されるものでは ないのは勿論である。
以下、 合成方法を示し、 更に詳しく説明する。
製造方法 1 〔Aが
の場合; R
2 =-CH
2 ι (Χι はハロゲン原子である。 ) 〕
〔12〕
(ここで R 6 はメチル基、 ェチル基、 プロピル基、 ブチル基、 t e r t—ブチル 基等の低級アルキル基であり、 R 7 は t e r t—ブチル基であり、 R 1'はメチル 基、 ェチル基、 プロピル基、 ブチル基等の低級アルキル基; シクロプロピル基、 シクロブチル基、 シクロペンチル基、 シクロへキシル基等のシクロアルキル基; フエニル基等のァリール基;ベンジル基等のァラルキル基等である。 X及び X 2 は同一又は異なって塩素原子、 臭素原子、 ヨウ素原子等のハロゲン原子であり、 Χ ι はフッ素等のハロゲン原子である。 )
工程 1
メタノール、 エタノール等のアルコール類の溶媒中、 化合物 (2 ) をアルカリ 金属水酸化物 (例えば水酸化ナトリウム、 水酸化カリウム等) 等の塩基の存在下、 氷冷下乃至室温下で反応させ、 次に塩酸、 硫酸、 硝酸等の無機酸で中和すること により部分加水分解した化合物 (3 ) を得ることができる。
工程 2
ベンゼン、 トルエン、 n—へキサン、 シクロへキサン、 塩化メチレン、 クロ口 ホルム等の溶媒中もしくはそれらの混合溶媒中又は無溶媒で化合物 (3 ) をォキ サリルクロリ ド、 ォキサリルブロミ ド、 チォニルクロリ ド等と冷却下乃至加温下、 好ましくは 0。C乃至加温下にて反応させることにより化合物 (4 ) を得ることが できる。 本反応はジメチルホルムアミ ド等を添加することにより、 より好ましい 結果を得ることがある。
工程 3
ジエチレングリコールジメチルェ一テル、 1 , 4一ジォキサン、 テトラヒ ドロ フラン等のエーテル類の溶媒中、 水素化ホウ素ナトリウム、 水素化トリメ トキシ ホウ素ナトリウム等の還元剤の存在下、 化合物 (4 ) を反応させることにより化 合物 (5 ) を得ることができる。
工程 4
化合物 (5 ) をクロ口ホルム、 塩化メチレン等の溶媒中、 氷冷下乃至加温下、 N , N—ジェチル ( 2—クロ口— 1 , 1 , 2—トリフルォロェチル) ァミ ンで代
表されるフッ化アミン試薬や三フッ化 (ジェチルアミノ硫黄) 等のフッ化剤と反 応させることにより化合物 (6 ) を得ることができる。
また、 化合物 (5 ) をクロ口ホルム、 塩化メチレン等の溶媒中、 または無溶媒 でピリジン、 N—メチルモルホリン、 トリェチルァミ ン等の有機塩基の存在下、 氷冷下乃至室温にてメタンスルホニルクロリ ド、 p—トルエンスルホニルクロリ ド、 トリフルォロメタンスルホン酸無水物等と反応させることによりスルホン酸 エステルとしたのち、 ジエチレングリコール、 テトラヒドロフラン等のエーテル 溶媒中、 室温乃至加温下、 フッ化カリウム、 フッ化ナトリウム、 テトラブチルァ ンモニゥムフルオリ ド等のフッ化物と反応させることにより化合物 (6 ) を得る ことができる。
工程 5
水または水とメタノール、 エタノール等のアルコール類若しくは 1, 4ージォ キサン、 テトラヒドロフラン等の環状エーテル類との混合溶媒中、 水酸化リチウ ム、 水酸化力リゥム、 水酸化ナトリゥム等の塩基の存在下、 化合物 ( 6 ) を冷却 下乃至加温下にて加水分解させることにより化合物 (7 ) を得ることができる。 工程 6
ベンゼン、 トルエン、 n—へキサン、 シクロへキサン、 塩化メチレン、 クロ口 ホルム等の溶媒中もしくはそれらの混合溶媒中又は無溶媒で化合物 (7 ) をォキ サリルク口リ ド、 ォキサリルブロミ ド、 チォニルク口リ ド等と冷却下乃至加温下、 好ましくは 0 °C乃至加温下にて反応させることにより化合物 (8 ) を得ることが できる。 本反応はジメチルホルムアミ ド等を添加することにより、 より好ましい 結果を得ることがある。
工程 7
ェチルエーテル、 1, 4一ジォキサン、 テトラヒ ドロフラン等のエーテル類、 ベンゼン、 トルエン、 n—へキサン、 シクロへキサン、 N, N—ジメチルホルム アミ ド、 ジメチルスルホキシド等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、 水素化リチ ゥム、 水素化ナトリウム、 ナトリウムメ トキシド、 ナトリウムエトキシド、 リチ
ゥムジイソプロピルアミ ド、 炭酸ナトリウム、 炭酸カリウム等の塩基の存在下、 化合物 (8 ) と化合物 (9 ) を冷却下乃至加温下で反応させることにより化合物
( 1 0 ) を得ることができる。
工程 8
ベンゼン、 トルエン、 n—へキサン、 シクロへキサン、 塩ィ匕メチレン、 クロ口 ホルム等の溶媒中もしくはそれらの混合溶媒中又は無溶媒でギ酸、 トリフルォロ 酢酸、 p — トルエンスルホン酸等の酸触媒の存在下にて冷却下乃至加温下、 好ま しくは室温乃至加温下、 化合物 ( 1 0 ) を反応させることにより化合物 〔 1 , 〕 を得ることができる。
工程 9
水または水とメタノール、 エタノール等のアルコール類若しくは 1 , 4ージォ キサン、 テトラヒ ドロフラン等の環状エーテル類との混合溶媒中、 水酸化リチウ ム、 水酸化力リゥム、 水酸化ナ卜リゥム等の塩基の存在下、 化合物 〔 1 〕 を冷 却下乃至加温下にて加水分解させることにより化合物 〔 1 2 〕 を得ることができ o
尚、 既知化合物
を出発原料とする場合は、 工程 6から順次工程 9まで行なうことにより Aが
であって、 目的化合物の一つである
を得ることができる,
製造方法 2 (Aが
の場合; R
3'は低級アルキル基であり、
R4 は前記の通りである。 ソ
(9) (13)
(式中、 R "、 R 3'、 R 4 、 R 7 及び X 2 は前記の通りである。 )
工程 1
製造方法 1の工程 6と同様にしてベンゼン、 トルエン、 n—へキサン、 シクロ へキサン、 塩化メチレン、 クロ口ホルム等の溶媒中もしくはそれらの混合溶媒中 又は無溶媒で化合物 (1 1 ) をォキサリルクロリ ド、 ォキサリルブロミ ド、 チォ ニルク口リ ド等と冷却下乃至加温下、 好ましくは 0 乃至加温下にて反応させる ことにより化合物 (1 2 ) を得ることができる。 本反応はジメチルホルムアミ ド 等を添加することにより、 より好ましい結果を得ることがある。
工程 2
製造方法 1の工程 7と同様にして、 ェチルエーテル、 1, 4一ジォキサン、 テ トラヒドロフラン等のエーテル類、 ベンゼン、 トルエン、 n—へキサン、 シクロ へキサン、 N, N—ジメチルホルムアミ ド、 ジメチルスルホキシド等の溶媒また
はそれらの混合溶媒中、 水素化リチウム、 水素化ナトリウム、 ナトリゥムメ トキ シド、 ナトリウムェ卜キシド、 リチウムジイソプロピルァミ ド、 炭酸ナトリウム、 炭酸カリウム等の塩基の存在下、 化合物 (1 2 ) と化合物 (9 ) を冷却下乃至加 温下で反応させることにより化合物 (1 3 ) を得ることができる。
工程 3
製造方法 1の工程 8と同様にして、 ベンゼン、 トルエン、 n—へキサン、 シク 口へキサン、 塩化メチレン、 クロ口ホルム等の溶媒中もしくはそれらの混合溶媒 中又は無溶媒でギ酸、 トリフルォロ酢酸、 p—トルエンスルホン酸等の酸触媒の 存在下にて冷却下乃至加温下、 好ましくは室温乃至加温下、 化合物 (1 3 ) を脱 保護し脱炭酸させることにより化合物 〔1 3 〕 を得ることができる。
工程 4
製造方法 1の工程 9と同様にして、 化合物 〔1 3 〕 を水または水とメタノール, エタノール等のアルコール類もしくは 1, 4一ジォキサン、 テトラヒドロフラン 等の環状エーテル類との混合溶媒中、 水酸化リチウム、 水酸化カリウム、 水酸化 ナトリゥム等の塩基の存在下、 冷却下乃至加温下にて加水分解させることにより 化合物 〔1 4 〕 を得ることができる。
製造方法 3 (Aが
の場合;式中、 R
3"はハロゲン原子であり、 R
4 及び R
5 は前記の通りである。 )
(式中、 X2 、 Rl R3"、 R4 、 Rs 及び R7 は前記の通りである。 ) 工程 1
製造方法 1の工程 6と同様にしてベンゼン、 トルエン、 n—へキサン、 シクロ へキサン、 塩化メチレン、 クロ口ホルム等の溶媒中若しくはそれらの混合溶媒中 又は無溶媒で化合物 (1 4) をォキサリルクロリ ド、 ォキサリルブロミ ド、 チォ ニルク口リ ド等と冷却下乃至加温下、 好ましくは 0 °C乃至加温下にて反応させる ことにより化合物 (1 5) を得ることができる。 本反応はジメチルホルムアミ ド 等を添加することにより、 より好ましい結果を得ることがある。
工程 2
製造方法 1の工程 7と同様にして、 ェチルエーテル、 1 , 4—ジォキサン、 テ トラヒ ドロフラン等のエーテル類、 ベンゼン、 トルエン、 n—へキサン、 シクロ へキサン、 N, N—ジメチルホルムアミ ド、 ジメチルスルホキシド等の溶媒又は それらの混合溶媒中、 水素化リチウム、 水素化ナトリウム、 ナトリウムメ トキシ ド、 ナトリウムェトキシド、 リチウムジイソプロピルァミ ド、 炭酸ナトリウム、 炭酸カリウム等の塩基の存在下、 化合物 (1 5) と化合物 (9) を冷却下乃至加 温下で反応させることにより化合物 ( 1 6) を得ることができる。
工程 3
製造方法 1の工程 8と同様にして、 ベンゼン、 トルエン、 n—へキサン、 シク 口へキサン、 塩化メチレン、 クロ口ホルム等の溶媒中もしくはそれらの混合溶媒 中又は無溶媒でギ酸、 卜リフルォロ酢酸、 p—トルエンスルホン酸等の酸触媒の 存在下にて冷却下乃至加温下、 好ましくは室温乃至加温下、 化合物 (1 6) を反 応させることにより化合物 〔15 〕 を得ることができる。
工程 4
化合物 〔15 〕 をエーテル、 テトラヒドロフラン等のエーテル類の溶媒中、 氷 冷下乃至加温下、 フッ化水素ピリジン錯体又はフッ化水素トリェチルアミン錯体 を反応させることにより化合物 〔16 〕 を得ることができる。
または、 化合物 〔15 〕 をクロ口ホルム、 塩化メチレン等の溶媒中、 トリェチ
ルァミン三フッ化水素錯体と N—クロロコハク酸ィミ ド又はトリエチルァミン三 フッ化水素錯体と N—プロモコハク酸イミ ド等を反応させ、 次いで、 ベンゼン、 トルエン等の溶媒中、 加温下、 水素化トリプチルスズ、 水素化卜リフエニルスズ 等の有機スズ水素化合物と、 2, 2, —ァゾビス (イソプチロニトリル) 等のラ ジカル開始剤を反応させることにより化合物 〔1 6 〕 を得ることができる。
工程 5
製造方法 1の工程 9と同様にして、 水または水とメタノール、 エタノール等の アルコール類もしくは 1 , 4一ジォキサン、 テトラヒ ドロフラン等の環状ェ一テ ル類との混合溶媒中、 水酸化リチウム、 水酸化カリウム、 水酸化ナトリウム等の 塩基の存在下、 化合物 〔 1 6 〕 を冷却下乃至加温下にて加水分解させることによ り化合物 〔 1 7 〕 を得ることができる。
工程 5,
工程 5と同様にして、 水または水とメタノール、 エタノール等のアルコール類 もしくは 1, 4—ジォキサン、 テトラヒ ドロフラン等の環状エーテル類との混合 溶媒中、 水酸化リチウム、 水酸化カリウム、 水酸化ナトリウム等の塩基の存在下、 化合物 〔 1 5 〕 を冷却下乃至加温下にて加水分解させることにより化合物 〔 1 8 〕 を得ることができる。
製造方法 4 ( Aが
〔1 10〕
〔式中、 X 2 及び Rいは前記の通りであり、 R 1 "は水素原子又はナトリウム、 力 リウム、 リチウム等のアルカリ金属である。 〕
工程 1
製造方法 1の工程 6と同様にして、 ベンゼン、 トルエン、 n—へキサン、 シク 口へキサン、 塩化メチレン、 クロ口ホルム等の溶媒中もしくはそれらの混合溶媒 中又は無溶媒で化合物 (1 7 ) をォキサリルクロリ ド、 ォキサリルブロミ ド、 チ ォニルクロリ ド等と冷却下乃至加温下、 好ましくは 0 乃至加温下にて反応させ ることにより化合物 (1 8 ) を得ることができる。 本反応はジメチルホルムアミ ド等を添加することにより、 より好ましい結果を得ることがある。
工程 2
化合物 (1 8 ) を塩化メチレン、 クロ口ホルム、 ジメチルホルムアミ ド、 テト ラヒドロフラン、 ジメ トキシェタン、 ジメ トキシメタン、 トルエン等の溶媒中若 しくはそれらの混合溶媒中、 化合物 (1 9 ) で表わされるグリシンエステル誘導
体と、 ピリジン、 トリェチルァミン、 N—メチルモルホリン等の有機塩基の存在 下、 氷冷下乃至加温下にて反応させることにより化合物 〔 19 〕 を得ることがで
¾ 。
工程 3 [R1' =メチル、 ェチルの場合〕
メタノール、 エタノール等のアルコール系溶媒、 1, 4一ジォキサン、 テトラ ヒ ドロフラン等のエーテル系溶媒又は水、 若しくはこれらの混合溶媒中、 化合物 〔19 〕 を水酸化リチウム、 水酸化カリウム、 水酸化ナトリウム等の無機塩基と 反応させ、 対応するリチウム塩、 カリウム塩、 ナトリウム塩である化合物 〔110〕 を得ることができる。 またそれらを塩酸、 硫酸等の無機酸で中和することにより R 1 "が水素原子である化合物を得ることができる。
CR1' =ベンジルの場合〕
メタノール、 エタノール等のアルコール系溶媒、 酢酸ェチル、 テトラヒ ドロフ ラン等の溶媒中、 化合物 〔19 〕 をパラジウム一炭素、 水酸化パラジウム一炭素 等のパラジウム触媒を用いて、 室温乃至加温下、 1気圧乃至 5気圧の水素と反応 させることにより R 1Λが水素原子である化合物を得ることができる。
実施例
以下に、 本発明の糖尿病治療薬に用いる化合物の実施例を示すが、 本発明はこ れらの実施例に限定されるものではないことは勿論である。
実施例 1
t r a n s— 4— 〔4一 (フルォロメチル) シクロへキシル〕 一 4一才キソブ タン酸
a) 4—メ トキシカルボニルシクロへキサンカルボン酸
ジメチル 1, 4ーシクロへキサンジカルボキシレート (2 4. 6 g) のメタ ノール (8 Om l ) 溶液に 0°Cにて水酸化カリウム (6. 5 4 g) 加え、 3時間 撹拌した。 メタノールを減圧溜去後、 得られた残渣を水に溶解し、 水層をエーテ ルで洗浄した。 水層を塩酸で酸性とした後、 酢酸ェチルで抽出、 濃縮し表題化合 物 (7. 1 0 g) を得た。
b) メチル 4一 (クロ口ホルミル) シクロへキサンカルボキシレート 実施例 1の a) で得られた 4—メ トキシカルボニルシクロへキサンカルボン酸
(1 0. 4 g) の塩化メチレン ( 2 0 0 m 1 ) 溶液に、 室温にてォキサリルクロ リ ド (5. 7 0m 1 ) を加え、 次にジメチルホルムアミ ド (0. 1m l ) を加え 撹拌した。 反応終了後、 反応液を濃縮し、 表題化合物 ( 1 1. 4 g) を得た。
c) メチル 4一 (ヒドロキシメチル) シクロへキサンカルボキシレート 実施例 1の b) で得られたメチル 4— (クロ口ホルミル) シクロへキサン力 ルボキシレート (1 1. 4 g) の 1, 4一ジォキサン ( 2 2 8 m 1 ) 溶液を水素 化ホウ素ナトリウム (4. 2 1 g) と還流下反応させた。 反応終了後、 氷水に注 ぎ、 酸性にした後、 酢酸ェチルで抽出した。 得られた有機層を飽和炭酸水素ナト リゥム溶液、 飽和食塩水にて順次洗浄し、 濃縮して、 表題化合物 (7. 5 6 g) を得た。
d) メチル 4— C (トリフルォロメタンスルホニル) ォキシメチル〕 シクロ へキサンカルボキシレ一ト
実施例 1の c) で得られたメチル 4— (ヒ ドロキシメチル) シクロへキサン カルボキシレ一ト (1. 4 6 5 g) の塩化メチレン (2 9m l ) 溶液に 0°Cにて、 ピリジン (0. 82 6 m 1 ) と トリフルォロメタンスルホン酸無水物 (2. 1 5 m l ) を加え、 1時間撹拌した。 反応を希硫酸で終了させ、 有機層を水で洗浄し、 濃縮して、 表題化合物 (2. 2 1 4 g) を得た。
e ) メチル 4一 (フルォロメチル) シクロへキサンカルボキシレート 実施例 1の d) で得られたメチル 4一 C (トリフルォロメタンスルホニル) ォキシメチル〕 シクロへキサンカルボキシレート (2. 2 1 4 g) とテトラプチ ルアンモニゥムフルオリ ドのテトラヒ ドロフラン溶液 ( 1 M, 72. 8m l ) を 混合し、 55 °Cにて 1時間反応させた。 反応混合物を濃縮し、 得られた残渣を酢 酸ェチルに溶解し、 水で洗浄後、 濃縮した。 カラムクロマトグラフィーにて精製 し表題化合物 (0. 95 2 g) を得た。
f ) 4 - (フルォロメチル) シクロへキサンカルボン酸
実施例 1の e) で得られたメチル 4一 (フルォロメチル) シクロへキサン力 ルポキシレート (0. 9 52 g) のメタノール (3. 5m l ) 溶液に室温にて水 酸化ナトリウム水溶液 (1 N, 7. 1m l ) を加え、 1 2時間撹拌した。 メタノ —ルを減圧留去後、 水層を酸性とした後、 酢酸ェチルで抽出し、 濃縮して、 表題 化合物 (0. 7 54 g) を得た。
g) 4一 (フルォロメチル) シクロへキサンカルボニル クロリ ド
実施例 1の f ) で得られた 4一 (フルォロメチル) シクロへキサンカルボン酸 (0. 7 5 4 g) の塩化メチレン (1 5m l ) 溶液に室温にて、 ォキサリルク口 リ ド (0. 5 3 4 m 1 ) を加え、 次にジメチルホルムアミ ド ( 0. 0 5m l ) を 加え、 撹拌した。 反応終了後、 反応液を濃縮し、 表題化合物 (0. 8 4 1 g) を 1守た。
h) ェチル 4一 〔4一 (フルォロメチル) シクロへキシル〕 一 4一ォキソ一
3, 3—ビス ( t e r t—ブトキシカルボニル) ブタノエート
水素化ナトリウム (6 0%オイルデイスパージヨン, 0. 1 9 8 g) のテトラ ヒ ドロフラン (2. 0 m 1 ) 懸濁液にジー t e r t—ブチル 2— (エトキシカ ルボニルメチル) プロパンジォエート ( 1. 4 2 g) のテトラヒ ドロフラン (30 m l ) 溶液を室温にて滴下し撹拌した。 次に反応液に実施例 1の g) で得られた
4— (フルォロメチル) シクロへキサンカルボニル クロリ ド (0. 8 4 1 g) のテトラヒドロフラン (10m 1 ) 溶液を滴下し、 撹拌した。 反応終了後、 反応液 に飽和塩化アンモニゥム水溶液を加え、 混合液を酢酸ェチルで抽出した。 得られ た有機層を飽和食塩水で洗浄し、 濃縮して、 表題化合物 (2. 0 9 2 g) を得た。
i ) ェチル t r a n s— 4— 〔4一 (フルォロメチル) シクロへキシル〕 一 4ーォキソブタノエ一ト
実施例 1の h) で得られたェチル 4— 〔4— (フルォロメチル) シクロへキ シル〕 一 4—ォキソ一 3 , 3—ビス ( t e r t—ブトキシカルボニル) ブタノエ —ト (2. 0 9 2 g) のトルエン (4 0m l ) 溶液に ρ—トルエンスルホン酸' 一水和物 (0. 0 89 5 g) を加え、 反応液を 3時間還流した。 反応終了後、 反
応液を飽和炭酸水素ナ卜リゥム水溶液、 飽和食塩水で順次洗浄し、 濃縮し、 表題 化合物 (0. 84 0 g) を得た。
j ) t r a n s— 4— 〔4一 (フルォロメチル) シク口へキシル〕 一 4ーォキ ソブタン酸
実施例 1の i ) で得られたェチル t r a n s— 4— C 4 - (フルォロメチル) シクロへキシル〕 一 4ーォキソブタノエ一ト (0. 8 4 0 g) のメタノール
(4. 0 0 m 1 ) 溶液に室温にて水酸化ナトリウム水溶液 ( 1 N, 3. 7 8m l ) を加え、 1 2時間撹拌した。 メタノールを減圧留去後、 水層を酸性とした後、 酢 酸ェチルで抽出し、 濃縮して、 表題化合物 (0. 5 3 9 g) を得た。
実施例 2
t r a n s— 4— 〔4一 (トリフルォロメチル) シクロへキシル〕 一 4ーォキ ソブタン酸
4 - (トリフルォロメチル) シクロへキサンカルボン酸より実施例 1の g) 、 h) 、 i) 、 j ) の工程と同様にして表題化合物を得た。
実施例 3
4一 (4, 4—ジメチルシクロへキシル) 一 4—ォキソブタン酸
4, 4—ジメチルシクロへキサンカルボン酸より実施例 1の g) 、 h) 、 i ) 、 j ) の工程と同様にして表題化合物を得た。
実施例 4
(士) 一 4一 ( 4一メチル一 3—シクロへキセニル) 一 4一ォキソブタン酸 (士) — 4ーメチルー 3—シクロへキセンカルボン酸より実施例 1の g) 、 h) 、 i) 、 j ) の工程と同様にして表題化合物を得た。
実施例 5
4— ( 4— c—フルオロー 4一 t—メチルー 1— rーシクロへキシル) ー 4一 ォキソブタン酸
a) ェチル (土) 一 4一 (4一メチル— 3—シクロへキセニル) 一 4ーォキ ソブタノエ一ト
(土) 一 4ーメチルー 3—シクロへキセンカルボン酸より実施例 1の g) 、 h) 、 i ) の工程と同様にして表題化合物を得た。
b) ェチル (土) 一 4— (3—ブロモー 4一フルオロー 4—メチルシクロへ キシル) 一 4ーォキソブタノエ一ト
実施例 5の a) で得られたェチル (土) — 4— (4ーメチルー 3—シクロへ キセニル) 一 4ーォキソブタノエ一卜 (2. 1 2 6 g) の塩化メチレン (42. 5m l ) 溶液に N—プロモコハク酸ィミ ド ( 1. 6 9 g) と トリエチルァミ ン三 フッ化水素酸塩 (2. 7 8m l ) を加えた。 反応液を室温にて 3 0分間撹拌し、 飽和炭酸水素ナトリゥム水溶液で洗浄し、 濃縮して、 表題化合物 (3. 0 6 g) を得た。
c ) ェチノレ 4一 ( 4— cーフノレオ口一 4— t—メチノレー 1— rーシクロへキ シル) 一 4ーォキソブタノエ一ト
実施例 5の b) で得られたェチル (土) — 4一 ( 3—ブロモ— 4一フルォロ - 4ーメチルシクロへキシル) 一 4ーォキソブタノエ一ト (3. 0 6 g) のトル ェン (1 22. 4m 1 ) 溶液に水素化トリプチルスズ (2. 8 0 m 1 ) と 2, 2' —ァゾビス (イソプチロニトリル) (0. 1 5 5 g) を加え、 反応液を 2時間還 流した。 反応液を室温にて飽和フッ化ナトリウム水溶液で洗浄し、 濃縮した。 得 られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ一にて精製し表題化合物 (1. 6 1 g) を得た。
d) 4一 (4一 c—フルオロー 4一 t—メチルー 1一 r—シクロへキシル) ― 4ーォキソブタン酸
実施例 5の c) で得られたェチル 4一 (4一 c一フルオロー 4 - t一メチル — 1一 rーシクロへキシル) 一 4一才キソブタノエー卜より実施例 1の j ) と同 様にして表題化合物を得た。
実施例 6
ェチル 〔 ( t r a n s— 4ーメチルシクロへキサンカルボニル) ァミノ〕 ァ セァ—ト
91
PCT/JP98/03542
a) t r a n s— 4—メチルシクロへキサンカルボニル クロリ ド
t r a n s - 4ーメチルシクロへキサンカルボン酸 (2 5. 0 g) の塩化メチ レン ( 2 5 0 m l ) 溶液にォキサリルクロリ ド ( 1 6. 8 5 m 1 ) とジメチルホ ルムアミ ド (0. 1 m l ) を加え、 室温にて 1時間撹拌し反応させ、 反応液を濃 縮し、 表題化合物 (22. 8 g) を得た。
b) ェチル 〔 ( t r a n s— 4—メチルシクロへキサンカルボニル) ァミノ〕 ァセテ一ト
グリシンェチルエステル塩酸塩 (0. 62 7 g) のジメチルホルムアミ ド (2 0. 0m 1 ) 溶液に N—メチルモルホリン (1. 1 0m 1 ) を加え撹拌し、 続け て実施例 6の a) で得られた t r a n s— 4ーメチルシクロへキサンカルボニル クロリ ド (0. 7 2 2 g) を加え撹拌した。 反応液を濃縮し、 得られた残渣を 酢酸ェチルに溶解し、 有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、 5%硫酸水素力 リウム水溶液、 飽和食塩水で洗浄し、 表題化合物 (0. 6 7 9 g) を得た。
実施例 7
〔 ( t r a n s— 4ーメチルシクロへキサンカルボニル) ァミノ〕 酢酸 a ) ベンジル 〔 ( t r a n s - 4—メチルシクロへキサンカルボニル) ァミ ノ〕 ァセテ一ト
実施例 6の a) で得られた t r a n s - 4—メチルシクロへキサンカルボニル クロリ ドとグリシンベンジルエステル塩酸塩を用い、 実施例 6の b) と同様に して表題化合物を得た。
b) [ (t r a n s - 4ーメチルシクロへキサンカルボニル) ァミノ〕 酢酸 実施例 7の b) で得られたベンジル 〔 (t r a n s— 4—メチルシクロへキ サンカルボニル) ァミノ〕 ァセテ一ト (1. 6 8 g) のエタノール (5 Om l ) 溶液に 5%パラジウム一炭素 (1. 52 g) を加え、 室温にて 1気圧水素雰囲気 下で 5時間撹拌した。 5 %パラジウム一炭素を瀘去し、 瀘液を濃縮して表題化合 物 (1. 2 0 g) を得た。
以下に実施例化合物の物性値を示す。
9 ε
16680/66 O/W
L ε
ひ S£0/86df/J d 16680/66 OW
製剤例
以下、 製剤処方例により本発明を具体的に説明する。
製剤処方例
式 〔 1〕 の化合物 3. Omg
結晶セルロース 6 7. Omg
コーンスターチ 2 5. Omg
タノレク 4. 0 m g
ステアリ ン酸マグネシウム 1. Omg
上記組成を十分に混合し、 造粒後、 乾燥し打錠機にて 1錠 1 0 Omgの錠剤と した。
試験例
以下、 試験例により本発明を具体的に説明する。
試験例 1
絶食ラッ トを用いた耐糖能試験
体重約 2 5 0 gの Wi s t a r系雄性ラッ ト (日本チヤ一ルスリバ一) を実験 前日より 1 6時間絶食した後用いた。 ブドウ糖 (1 g/k g) を腹腔内投与し、 3 0、 6 0及び 1 2 0分後に尾静脈より採血 (0. 2m l ) した。 血清を得た後、 へキソキナーゼ法により血糖値を測定した。 被検薬物は、 0. 5%カルボキシメ チルセルロース又はコーンオイルに懸濁し、 ブドウ糖負荷の 3 0分前に経口投与 した。 コントロールには 0. 5 %カルボキシメチルセルロースを投与した。 血糖 値上昇の抑制活性は、 ブドウ糖負荷後 3 0分後のコントロールの血糖上昇値を 1 0 0%とし、 被検薬物投与群の抑制率 (%) で表示した。 また、 1 2 0分後の 血糖値もコントロールに対する変化率 (%) で表示した。
以下に、 試験結果を示す。
表 1 1
実施例番号 用量 g/kg) 30分後低下率(¾) 120 分後低下率(%)
100 56.5 20.6 実施例 1 30 34.4
10 15.3
100 29.8 17.8 実施例 2 30
10 18.0 7.6
100 33.5 5.8 実施例 3 30
10 10.4
100 44.7
実施例 4 30
10 23.1 11.9
100 47.0 20.1 実施例 5 30
10 14.8 9.9
100 25.0 0.7 実施例 6 30
10 28.0 0.2
100
実施例 7 30 25.7 7.2
10
一例として、 本発明化合物 (実施例 1 ) とコントロールを経口投与した際の血 糖値の経時的な変化を図 1に示した。 図 1においては、 本発明化合物の投与量を 種々に変えて測定した結果を示している。 図 1によれば、 本発明化合物はブドウ 糖負荷後 3 0分後の高血糖状態においては血糖を有意に低下させるが、 1 2 0分 後の血糖状態ではもはや血糖を必要以上に低下させる事はなかった。 さらに本発 明化合物は投与量にかかわらず、 ブドウ糖負荷後 3 0分後の高血糖伏態において は血糖を有意に低下させ、 1 2 0分後の血糖状態ではもはや血糖を必要以上に低 下させないという傾向が認められる。 他の実施例化合物も同様の作用を示した。 以上の試験結果等より、 本発明にかかる化合物は、 高血糖状態においては優れ た血糖低下作用を有し、 しかも低血糖等の重篤な副作用を起こさない。 従って、 糖尿病治療薬として有用であり、 糖尿病の慢性合併症の予防剤としても有用な薬 剤である。 本出願は、 日本で出願された平成 9年特許願第 2 3 5 4 0 0号を基礎としてお り、 その内容は本明細書に全て包含されるものである。