WO1999004946A1

WO1999004946A1 - Feuille destinee a un decor moule a feuille metallique integree et procede de production de resine moulee presentant un tel decor, au moyen de ladite feuille

Info

Publication number: WO1999004946A1
Application number: PCT/JP1998/003245
Authority: WO
Inventors: Fujio Mori; Takuji Shibata; Tsuneyuki Yamanaka
Original assignee: Nissha Printing Co., Ltd.
Priority date: 1997-07-22
Filing date: 1998-07-21
Publication date: 1999-02-04
Also published as: EP0933183A1; DE69840227D1; US6326086B1; EP0933183B1; EP0933183A4

Description

明細書成形同時絵付用シートとこれを用いた成形同時絵付樹脂成形品の製造方法技術分野

本発明は、コンソールボックス（console box) 、センタークラスター (center cluster) 、スィッチベース（switch base) 等の自動車内装部品や、サイドマッドガード (side mudguard) 、バンノ一 (bumper) 、ホイノレキヤップ（wheel cover) 、モール（molding) 等の自動車外装部品等の立体形状成形品の表面に加飾するために用いられる成形同時絵付用シートとこれを用いた成形同時絵付樹脂成形品の製造方法に関する。背景技術

自動車の内装部品や外装部品を加飾するために用いられる成形同時絵付用シ一卜には、耐候性、立体加工性および透明性が厳しく要求されている。

従来、このような性質を備えている成形同時絵付用シートとしては、アタリルフィルム上に絵柄層が形成されたものがある。そして、これを用いた成形同時絵付樹脂成形品の製造方法は、次のとおりである。すなわち、成形同時絵付用シートを、射出成形用の金型内にセットし、型閉めし、成形樹脂をキヤビティに射出し、成形樹脂を固化させることによって、樹脂成形品を形成すると同時にその表面に成形同時絵付用シートを一体化接着させる方法である。自動車の内装部品や外装部品の場合、成形榭脂としては、ポリプロピレン樹脂ゃァクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂が一般的に使用される。

し力し、成形同時絵付用シートを構成するァクリルフィルムと成形樹脂を構成するポリプロピレン樹脂とでは、通常、収縮率が大幅に相違するので、両者の密着性が悪く、得られた成形同時絵付榭脂成形品において、アクリルフィルムがポリプロピレン榭脂成形品から剥離してしまうといった問題点があった。また、アクリルフィルムは脆く割れやすいフィルムであるので、立体形状に加工したり金型にセットしたりする際に破損するといつた問題点があった。したがって、本発明は、成形樹脂との接着性が高く、成形樹脂から剥離することがなく、立体形状成形品、特に深絞り成形品にも適用できる成形同時絵付用シートとこれを用いた成形同時絵付樹脂成形品の製造方法を提供することを目的とする。発明の開示

本発明は、上記目的を達成するため、以下のように構成している。

本発明の第 1態様によれば、 2種類以上の積層フィルムから構成されて射出成形用の金型内にセットされて成形樹脂の表面に一体化接着される成形同時絵付用シートにおいて、上記積層フィルムの上記成形樹脂に接着される面のフィルムは、成形同時絵付加工した後、少なくとも上記成形樹脂に接着される面の上記フィルムと上記成形樹脂との界面において、 1 k g f /インチ幅以上の引き剥がし強度があり、上記成形樹脂に接着される面のフィルムの上に少なくとも透明なアクリルフィルムが積層され、上記成形樹脂に接着される面のフィルムと上記アクリルフィルムの間に絵柄層が形成される成形同時絵付用シートを提供する。

本発明の第 2態様によれば、 1 1 0 °Cの環境温度下において幅 8 O mmの上記成形同時絵付用シートの試験片を一対のチヤックで挟みチヤック対向端縁間距離 1 0 0 mmで固定し、上記試験片の一端を 1 0 0 mm/m i nの一定速度で荷重をかけて引張試験を実施したときの引張破断伸度が 1 5 0 %以上である第 1態様に記載の成形同時絵付用シートを提供する。

本発明の第 3態様によれば、上記積層フィルムが、引張破断伸度上限に達するまでの範囲内において、上記積層フィルムを構成する各フィルムの伸度値における荷重の差が最大 5 . 0 k g以内である第 2態様に記載の成形同時絵付用シートを提供する。

本発明の第 4態様によれば、単位面積が 2 0 0 %以上伸ばされ立体形状となる部分を有する第 2又は 3態様に記載の成形同時絵付用シートを提供する。本発明の第 5態様によれば、上記積層フィルムの上記成形樹脂に接着される面のフィルムが、ポリプロピレンフィルムである第 1〜4態様のいずれかに記載の成形同時絵付用シートを提供する。

本発明の第 6態様によれば、上記ポリプロピレンフィルムが、非結晶性または低結晶性のポリプロピレン樹脂より形成される第 5態様に記載の成形同時絵付用シートを提供する。

本発明の第 7態様によれば、上記ポリプロピレンフィルムが、ポリプロピレン榭脂にスチレンエラストマ一樹脂を添加したものから構成される第 5又は 6 態様に記載の成形同時絵付用シートを提供する。

本発明の第 8態様によれば、上記ポリプロピレンフィルムが、メタ口セン触媒により重合された軟質プロピレン樹脂から構成される第 5〜 7態様のいずれかに記載の成形同時絵付用シートを提供する。

本発明の第 9態様によれば、上記積層フィルムの成形樹脂に接着される面のフィルムが、ァクリロ二トリルブタジエンスチレンフィルムである第 1〜4態様のいずれかに記載の成形同時絵付用シートを提供する。

本発明の第 1 0態様によれば、上記ァクリ口-トリルブタジエンスチレンフイルムの共重合比率において、ブタジエンの含有比率が 2 0〜5 0重量％である第 9態様に記載の成形同時絵付用シートを提供する。

本発明の第 1 1態様によれば、上記絵柄層の下に着色層または着色フィルムが設けられ、上記絵柄層を構成する下地層の色と、上記着色層または着色フィルムの色とが同系色である第 1〜1 0態様のいずれかに記載の成形同時絵付用シートを提供する。

本発明の第 1 2態様によれば、上記積層フィルムの成形樹脂に接着される面のフィルムが着色フイルムであり、上記絵柄層の下地層の色と上記着色フィルムの色とが同系色である第 1〜1 0態様のいずれかに記載の成形同時絵付用シートを提供する。

本発明の第 1 3態様によれば、上記絵柄層の上記下地層の色と上記着色層または着色フィルムの色の差である色度差が、次式 4.0≤ (^{A a}*)²+ (Ab*)² ≤ 45.0 である第 1 1〜12態様のいずれかに記載の成形同時絵付用シートを提供する。

(ただし、 a*、 b*は、国際照明委員会が 1976年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度をもつ a*b*表色系における表示単位である。 a*=500 [ (X ノ X。） ^1/3— (Y/Y₀) ^1/3] 、 b*=200 [ (Y/Y₀) ^1/3- (Ζ/Ζ。） ^1/3] である。ここで、 L*は明度指数でありじ =116 (Υ/Υ₀) ^1/3-16で定義され、 X、 Υ、 Ζは人間の目が物体の色を見て視感の 3特性で感じる各々の刺激値を表し、 X_Q、 Υ。、 Ζ。は人間の目が照明光源を見て視感の 3特性で感じる各々の刺激値を表す。 C標準光の場合、 X。 =98, 072、 Y。 = 100、 Z_Q = 118.225であり、 D₆₅標準光の場合、 X。 =95.045、 Y。 = 100、 Ζ。= 108.892をそれぞれ示す。 )

本発明の第 14態様によれば、立体加工された第 1〜13態様のいずれかに記載の成形同時絵付用シートを射出成形用の金型内にセットし、型閉めして溶融状態の成形樹脂をキヤビティに射出し、上記成形樹脂を固化させて樹脂成形品を形成すると同時にその表面に上記成形同時絵付用シートを一体化接着させる成形同時絵付樹脂成形品の製造方法を提供する。

本発明の第 15態様によれば、第 1〜13態様のいずれかに記載の成形同時絵付用シートを射出成形用の金型内にセットし、上記金型内で立体加工した後、型閉めして溶融状態の成形樹脂をキヤビティに射出し、上記成形榭脂を固化させて樹脂成形品を形成すると同時にその表面に上記成形同時絵付用シートを一体化接着させる成形同時絵付樹脂成形品の製造方法を提供する。図面の簡単な説明

本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。この図面においては、

図 1は、本発明の一実施形態において、成形同時絵付用シートを使用する成形同時絵付榭脂成形品の製造方法の工程の一つを示す断面図であり、図 2は、本発明の上記実施形態の成形同時絵付樹脂成形品の製造方法の工程の一つを示す断面図であり、

図 3は、本発明の上記実施形態の成形同時絵付樹脂成形品の製造方法の工程の一つを示す断面図であり、

図 4は、本発明の上記実施形態の成形同時絵付樹脂成形品の製造方法により得られた成形同時絵付樹脂成形品を示す断面図であり、

図 5は、上記実施形態の成形同時絵付用シートなどの引張伸度荷重曲線を示すグラフであり、

図 6は、本発明の上記実施形態の変形例にかかる成形同時絵付用シートを示す断面図であり、

図 7は、本発明の上記実施形態の別の変形例にかかる成形同時絵付用シートを示す断面図であり、

図 8は、本発明の上記実施形態のさらに別の変形例にかかる成形同時絵付用シートを示す断面図であり、

図 9は、図 7の成形同時絵付用シートにおいて下地層として視認できる範囲を説明するための成形同時絵付用シートの断面図であり、

図 1 0は、本発明の上記実施形態の変形例にかかる成形同時絵付樹脂成形品の製造方法に用いる立体加工された成形同時絵付用シートを示す断面図であり、図 1 1は、本発明の上記実施形態の上記変形例にかかる成形同時絵付樹脂成形品の製造方法の工程の一つを示す断面図であり、

図 1 2は、本発明の上記実施形態の上記変形例にかかる成形同時絵付樹脂成形品の製造方法の工程の一つを示す断面図であり、

図 1 3は、本発明の上記実施形態及びその種々の変形例の成形同時絵付用シ一トの引張破断伸度を測定する装置を示す斜視図であり、

図 1 4は、上記引張破断伸度を測定する装置の試験片を固定する部分を示す平面図であり、

図 1 5は、上記引張破断伸度を測定する装置の試験片を固定する部分を示す断面図である。発明を実施するための最良の形態

本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。

図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳しく説明する。

図 1〜3は、本発明の一実施形態において、成形同時絵付用シートを使用する成形同時絵付榭脂成形品の製造方法の工程の一つを示す断面図である。図 4 は、本発明の上記実施形態の成形同時絵付榭脂成形品の製造方法により得られた成形同時絵付榭脂成形品を示す断面図である。図 5は、上記実施形態の成形同時絵付用シートなどの引張伸度荷重曲線を示すグラフである。図 6〜9は、本発明の上記実施形態の種々の変形例の成形同時絵付用シートを示す断面図である。図 1 0は、本発明の上記実施形態の変形例にかかる成形同時絵付樹脂成形品の製造方法に用いる立体加工された成形同時絵付用シートを示す断面図である。図 1 1〜1 2は、本発明の上記実施形態の上記変形例にかかる成形同時絵付樹脂成形品の製造方法の工程の一つを示す断面図である。図 1 3は、上記実施形態及びその変形例の成形同時絵付用シートの引張破断伸度を測定する装置を示す斜視図である。図 1 4は、上記引張破断伸度を測定する装置の試験片を固定する部分を示す平面図である。図 1 5は、上記引張破断伸度を測定する装置の試験片を固定する部分を示す断面図である。

図中、 1はアクリルフィルム、 2は絵柄層、 3は成形樹脂に接着される面のフィルム（接着面側のフィルム）、 4は上記実施形態の成形同時絵付用シート、 5は射出成形用金型である可動型、 6は射出成形用金型であって可動型 5が締め付けられる固定型、 7は可動型 5と固定型 6の各キヤビティ形成面、 8は成形同時絵付用シート 4を固定型 6に固定する上下一対の棒状又は四角枠状のクランプ部材、 9は可動型 5に設けられた成形樹脂のゲート部、 1 0は可動型 5 と固定型 6で形成されるキヤビティ 2 0内に挿入される成形樹脂、 1 1は成形榭月旨 1 0が固化して成形される樹脂成形品、 1 2は真空吸引装置に接続され可動型 5に設けられて成形同時絵付用シート 4を吸引してキヤビティ 2 0のキヤビティ形成面 7に沿わせるための真空吸引孔、 1 3は成形同時絵付用シート 4 において絵柄層 2と接着面側のフィルム 3との間に設けられた接着層、 1 4は木目導管柄層、 1 5は木目導管柄層 1 4を有する下地層、 1 6は着色層、 1 7 は着色フィルムである。

本発明の上記実施形態の成形同時絵付用シート 4は、 2種類以上の積層フィルムを有する成形同時絵付用シート 4であって、上記積層フィルムの上記成形樹脂に接着される面のフィルム 3は、成形同時絵付加工した後、少なくとも上記成形樹脂 1 0に接着される面の上記フィルム 3と上記成形樹脂 1 0との界面において、 1 k g f /インチ幅以上の引き剥がし強度があり、その上に少なくとも透明なアクリルフィルム 1が積層され、両フィルム 3， 1の間に絵柄層 2 が形成されたものである（図 1〜4参照）。成形同時加工後、得られた絵付成形品には、それに応じた耐性が要求される。特に、自動車部品においては、耐熱性、耐湿性、耐光性、耐水性など厳しい耐性を持つ性能が必要であり、その場合、初期の引き剥がし強度が弱いと経時的にその強度が低下して、時には割れてしまう問題がある。耐性試験後も接着性能が維持できる初期の引き剥がし強度を試験した結果、少なくとも 1 k g f /インチ幅以上の強度が必要であることが分かった。そのようなものは、構成する成分の樹脂が同一か類似のもの、例えば、同じォレフィン系（炭化水素系）であるポリプロピレンとポリエチレンゃ、同じァクリロ二トリル共重合系であるァクリロニトリルブタジエンスチレンとアクリロニトリルスチレンなどの組み合わせとなる。また、透明なァクリノレフイノレム 1とは、絵柄層 2が見える範囲内であれば半透明のもの、薄い黄色などに着色されたもの、又は、体質顔料を含ませて艷消し状態としたものも含む。

このような構成の成形同時絵付用シート 4としては、例えば、ポリプロピレン成形樹脂 1 0との密着性が良好なポリプロピレンフィルムやポリエチレンフイルムなどの接着面側のフィルム 3をァクリルフィルム 1に積層したァクリル一ポリプロピレン積層フィルムゃァクリル一ポリエチレン積層フィルムがある。また、別の成形同時絵付用シート 4としては、アタリロニトリルブタジエンスチレン樹脂との密着性が良好なァクリロ二トリルブタジエンスチレンフィルムゃァクリロニトリルスチレンフィルムなどの接着面側のフィルム 3をァクリルフィルム 1に積層したアクリル一ァクリロニトリルブタジエンスチレン積層フイルムゃァクリル一ァクリロニトリルスチレン積層フィルムがある。このような成形同時絵付用シート 4は、成形樹脂 1 0に接着される面のフィルム 3は、成形同時絵付加工した後、少なくとも上記成形樹脂 1 0に接着される面の上記フィルム 3と上記成形樹脂 1 0との界面において、 1 k g f Zインチ幅以上の引き剥がし強度があるため、成形樹脂 1 0との接着性が高く、成形榭脂 1 0から剥離することがない。また、脆く割れやすいアクリルフィルム 1が成形樹脂 1 0に接着される面のフィルム 3に支持されるため、成形同時絵付用シート 4 が破損することもない。

し力し、このような積層フィルムは、各々のフィルム材料の熱的性質や機械的性質が異なる場合が多いので、立体力卩ェの際には不具合が生じることもある。なぜなら、アクリルフィルムは、その軟化温度である 6 0 〜 9 0 °C以上に加熱した場合、立体形状に形状変化できるのに対して、アクリル一ポリプロピレン積層フィルムに用いられているポリプロピレンフィルムでは、その軟化温度が 1 3 0 °C〜1 6 0 °Cと高いので、上記ァクリルフィルムの軟化温度程度では立体形状に全く形状変化できないからである。アクリルフィルムの形状変化に追従させてポリプロピレンフィルムを無理やりに形状変化をさせようとすると、アクリルフィルムとポリプロピレンフィルムとの間で剥がれが生じたり、ポリプロピレンフィルムが破断したりすることがある。

また、アクリル一アクリロニトリルブタジエンスチレン積層フィルムも、ァクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムの軟化温度が 1 2 0 °C〜 1 6 0 °C と高いので、無理やりに形状変化をさせようとすると、アクリルフィルムが局所的に伸びて絵柄層のパターンが崩れてしまう。

したがって、このような積層フィルムは、アクリルフィルムと成形樹脂に接着される面のフィルムとの加熱条件下における伸び特性の差異に基づき、例えば、立体形状成形品、特に底の深いコンソールボックス等の深絞り成形品には適用することができないこともある。

本発明者は、各種の積層フィルムについて、立体加工の一例として真空成形法を取り上げ、上記不具合の原因を追及した結果、積層フィルムを構成する各々のフィルムの軟化点が異なることが、その原因であることを見出した。すなわち、軟化点の高い方のフィルムの適正な温度下で真空成形すれば、軟化点の低い方のフィルムは熱によって穴が開いたり、焼けが生じたり、しわが生じたりする。一方、軟化点の低い方のフィルムの適正な温度下で真空成形すれば、軟化点の高レ、方のフィルムは形状変ィ匕ができない。

これを解決するため、本発明の上記実施形態では、軟化点の高い方のフィルム（上記の場合、ポリプロピレンフィルムまたはアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム）の材質等を検討し、軟化点の低い方のフィルム（上記の場合、アクリルフィルム）の機械的特性に類似するように選択した。この軟ィ匕点の低い方のフィルムを立体加工するのに適する温度は 1 1 0 °C〜1 3 0 °C付近であり、その最も低い加工温度 1 1 o°cにおける引張試験を調べた結果、少なくとも伸度が 1 5 0 %以上になる機械的性質をもつフィルム材料は、単体のフイルムの状態でも非常に深い立体形状の加工が可能であることが分かった。したがって、積層したシートでも、この性質を満足するように材料を選択すれば性質の異なる 2種以上の積層シートでも、立体力卩ェが容易なものを得ることができる。

つまり、本発明の上記実施形態では、成形同時絵付用シート 4を、 1 1 0 °C の環境温度下において幅 8 0 mmの成形同時絵付用シート 4の試験片 3 0 0を —対のチャック 3 0 2， 3 0 3で挟みチャック対向端縁の間距離 1 0 O mm (図 1 4， 1 5参照）で固定し、試験片 3 0 0の一端を 1 0 O mmZm i nの一定速度で荷重をかけて引張試験を実施したときの引張破断伸度が 1 5 0 %以上であるように構成するのが好ましい（図 1 3〜図 1 5参照）。このように構成することにより、加熱しながら形状変化させた場合、積層フィルム間で剥がれが生じたり、一方の積層フィルムのみが破断したりすることがなく、立体形状に無理なく形状変化させることができる成形同時絵付用シートを得ることができる。

ここで、上記環境温度とは、試験片 300を実際に試験する雰囲気の温度である。図 1 3〜1 5に示すように、試験片 300は、成形同時絵付用シート 4 を幅 80mm、一対のチャック 302， 303で挟みチャック対向端縁間距離 1 0 Ommで引張試験に供することができる大きさに切断したものである。実際に成形同時絵付樹脂成形品 1 1を得るために製作した成形同時絵付用シート 4の寸法は、自動車外装部品であるモールの場合が 20 Omm X 1 50 Omm、ホイルキャップの場合が 80 OmmX 80 Omm、サイドマツドガ一ドの場合が 40 OmmX 1 50 Omm, バンパーの場合が 40 OmmX 200 Omm、コンソールボックスの場合が 30 OmmX 40 Omm、自動車内装部品であるセンタークラスターの場合が 35 OmmX 45 Omm、自動車内装部品であるスィツチベースの場合が 20 OmmX 25 Omm程度であったため、コンソ一ルボックス、センタークラスター、スィッチベースの成形同時絵付用シートの幅と長さとの比率がほぼ 8 ： 1 0であり、この比率に基づいて試験片 300を幅 8 Omm、一対のチャック 302， 303で挟みチャック対向端縁間距離 1

00mmと設定した。また、モール、サイドマッドガード、バンパー、ホイルキャップの場合はこの比率と異なるが、成形同時絵付用シートが立体成形される際に、 8 OmmX 1 0 Ommの試験を行えば、成形同時絵付用シート全体の挙動が分かるため、この寸法とした。なお、図 1 3〜1 5において、上側の一対のチャック 302は、試験片 300の上端を挟んだ状態でネジ 301により固定される。また、下側の一対のチャック 303は、試験片 300の下端を挟んだ状態でネジ 30 1により固定される。図 1 3に示すように、上側の一対のチャック 302は試験装置に固定される一方、下側の一対のチャック 303は可動部材 304により下向きに 100 mmZm i nの速度で下降して試験片 3 00に引張力を作用させる。

環境温度を 1 10°Cとしたのは、軟ィ匕点の低い方のフィルムを立体カ卩ェするのに適した温度である 1 10〜1 30°Cの低い方の値である 1 10 を採用したものである。できるだけ低い加工温度で成形した方が絵柄層のィンキゃ成形同時絵付用シート 4の熱劣化を防ぐことができる。また、試験片 3 0 0を引張する速度を 1 0 O mm/m i nとしたのは、立体加工する場合に成形同時絵付用シート 4が伸ばされるときの速度の最低値を採用したものである。

本発明の上記実施形態でいう引張破断伸度とは、 1 1 0 °Cの環境温度下において幅 8 O mmの上記成形同時絵付用シートの試験片 3 0 0を一対のチャック

3 0 2， 3 0 3で挟みチヤック対向端縁間距離 1 0 0 mmで固定し、上記試験片の一端を 1 0 O mmZm i nの一定速度で荷重をかける引張試験（tensile test) を実施するときにおいて得られる破断伸度（elongation at ruptureまたは elongation at break) 、すなわち、試験片 3 0 0が破断したときの伸度をいう。レ、くつかの成形同時絵付樹脂成形品に対して成形同時絵付用シートの最大の伸び率を測定したところ、モールの場合が 1 5 0〜2 0 0 %、ホイルキャップの場合が 1 7 0〜 2 3 0 %、サイドマツドガ一ドの場合が 1 7 0〜 2 8 0 %、バンパーの場合が 2 0 0〜 3 5 0 %、コンソールボッタスの場合が 1 8 0〜4 0 0 %、センタークラスターの場合が 1 7 0〜3 0 0 %、スィッチベースの場合が 1 7 0〜3 5 0 %程度であったため、本発明の上記実施形態ではこれらの値の最低限である 1 5 0 %以上を引張破断伸度とするようにしている。本発明の上記実施形態において使用するァクリルフィルム 1としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチルまたはこれらの誘導体を主成分とし、これにアクリルゴム等が混入されたものがある。また、ポリスチレンフィルムをアクリルフィルムでサンドイッチ状に積層したフィルムも、上記アタリルフィ ^ム 1に含まれる。

これらのアクリルフィルム 1は、単独でも、 1 1 0 °Cの環境温度下において幅 8 O mmの試験片 3 0 0を一対のチヤック 3 0 2， 3 0 3で挟みチヤック対向端縁間距離 1 0 0 mmで固定し、試験片 3 0 0の一端を 1 0 0 mm/m i n の一定速度で荷重をかけて引張試験を実施したときの引張破断伸度が 1 5 0 % 以上であり、低い荷重で伸度の大きな伸び挙動を示すものである。

積層フィルムの成形樹脂に接着される面のフィルム 3は、成形樹脂 1 0がポリプロピレン榭脂の場合には、ポリプロピレンフィルムが好ましい。立体形状に加工する場合には、接着性だけでなく、機械的性質をアクリルフィルム 1に近づける必要があり、ポリエチレンフィルムと比較して多様な性質のものを選択する余地が多いポリプロピレンフィルムの方が適している。特に、モール、サイドマッドガード、バンパー、ホイルキャップなどの自動車用外装部品の場合は、耐熱性と耐水性、リサイクル性が要求されるので、耐熱性と耐水性、リサイクル性に優れたポリプロピレンフィルムの方が好ましい。特に、ポリプロピレンフィルムとしては、 1 1 0 °Cの環境温度下において幅 8 O mmの試験片 3 0 0を一対のチャック 3 0 2， 3 0 3で挟みチャック対向端縁間距離 1 0 0 mmで固定し、試験片 3 0 0の一端を 1 0 0 mm/m i nの一定速度で荷重をかけて引張試験を実施したときの引張破断伸度が 1 5 0 %以上であるものが好ましい。

また、ポリプロピレンフィルムは、その組成、製造法の差により、伸び挙動が千差万別である。それ故、次の（1 ) 〜（3 ) に示すポリプロピレンフィルムはァクリルフィルムに似た伸び挙動を示すので、これらを選定するのが好ましい。

( 1 ) ポリプロピレン樹脂にゴム系榭脂たとえばエチレン一プロピレン共重合ゴムやスチレンエラストマ一樹脂を適当な割合で添加したポリプロこのポリプロピレンフィルムを得るためには、ポリプロピレン樹脂 1 0 重量部に対してエチレン一プロピレン共重合ゴムを◦. 3〜 2重量部添加するカあるいは、ポリプロピレン樹脂 1 0重量部に対してスチレンエラストマ一樹脂を 0 . 5〜 2重量部添加すればよい。このようにすることにより、上記引張破断伸度を向上させることができる。

( 2 ) 非結晶性または低結晶性のポリプロピレン樹脂から構成されるポリプロピレンフィルム：

このポリプロピレンフィルムは、結晶性のポリプロピレン樹脂から構成されるポリプロピレンフィルムに比べて低レ、荷重で伸度の大き！/、伸び挙動の性質 ·機能を有する。ただし、この非結晶性または低結晶性のポリプロピレン樹脂は、軟化点が低く、ベとつくものが多いので、扱いにくい。そこで、このポリプロピレン榭脂の両面を薄い結晶性のポリプロピレン樹脂で被覆した三層構造（薄膜結晶性ポリプロピレン樹脂 1 0 _β mZ非結晶性または低結晶性のポリプロピレン樹脂 1 0 0 μ mZ薄膜結晶性ポリプロピレン樹脂 Ι Ο μ πιなど）のフィルムとするのが好ましい。

( 3 ) メタロセン触媒により重合された軟質プロピレン樹脂から構成されるポリプロピレンフィルム：

メタロセン触媒により特定の低い分子量分布内に重合された軟質プロピレン樹脂が結晶性のポリプロピレン樹脂に比べて低い荷重で伸度の大きい伸び挙動を示す性質'機能を有するので、ポリプロピレンフィルムの引張破断伸度に好結果をもたらす。なお、メタ口セン触媒とは、メタ口センとメチルアルミノキサンとから構成される触媒である。また、この触媒は、プロピレンモノマーを、ポリプロピレン樹脂のメソ位置あるいはラセミ位置に配置 ·揷入が可能であるため、低結晶性で剛性が低く、軟質性の特性を持ったシンジオタクチックポリプロピレンを得ることができるので有効である。

( 1 ) 〜（3 ) のポリプロピレンフィルムは、単独でも、 1 1 0 °Cの環境温度下において幅 8 O mmの試験片 3 0 0を一対のチャック 3 0 2， 3 0 3で挟みチヤック対向端縁間距離 1 0 0 mmで固定し、試験片 3 0 0の一端を 1 0 0 mm/m i nの一定速度で荷重をかけて引張試験を実施したときの引張破断伸度が 1 5 0 %以上であり、低い荷重で伸度の大きな伸び挙動を示すものである。なお、結晶性のポリプロピレン榭脂から構成されるポリプロピレンフィルムを選定してはならない。

また、積層フィルムの成形樹脂に接着される面のフィルム 3は、樹脂成形品 1 1がアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂の場合には、アタリロニトリルブタジエンスチレンフィルムが好ましい。立体形状に加工する場合には、接着性だけでなく、機械的性質をアクリルフィルム 1に近づける必要があり、ァクリロニトリルスチレンフィルムと比較して、ブタジエンの含有量を変化させることで立体形状に加工しゃすくなり、機械的性質がァクリルフィルム 1にくなるァクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムの方が好ましい。特に、コンソールボックス、センタークラスター、スィッチベースなどの自動車用内装部品の場合は、耐熱性と耐衝撃性が要求されるので、耐熱性と耐衝撃性に優れたアクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムの方が好ましい。特に、ァタリロニトリルブタジエンスチレンフィルムとしては、 1 1 0 °Cの環境温度下において幅 8 O mmの試験片 3 0 0を一対のチャック 3 0 2， 3 0 3で挟みチャック対向端縁間距離 1 0 0 mmで固定し、試験片 3 0 0の一端を 1 0 0 mm /m i nの一定速度で荷重をかけて引張試験を実施したときの引張破断伸度が 1 5 0 %以上であるものが好ましい。

ァクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムは、その共重合比率により挙動や耐熱性が千差万別である。ブタジェンはゴム系の樹脂であり伸びがよく、この含有比率を高くすることでァクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムをアクリルフィルム 1に似た伸び挙動にすることができる。ただし、その反面、耐熱性などの諸物性が低下する。したがって、物性を維持し、低い荷重で伸度の大きな伸び挙動を示す含有比率を試験したところ、ブタジェンの含有比率が 2 0〜5 0重量％の範囲、特に 3 0〜4 5重量⁰ /₀にすれば、アクリルフィルム 1に似た伸び挙動を維持し、物性の大きな低下はなかった。ジェン成分を多くしたァクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムについて詳述したが、これに代わるものとしては、フィルム製膜後延伸加工しないァモルファスポリエチレンテレフタレートフィルムがある。また、本発明の上記実施形態の成形同時絵付用シート 4は、二層構造でも三層構造でもよい。

上記成形樹脂に接着される面のフィルム 3の選定に当たっては、各々の引張伸度荷重曲線がほぼ一致するものを選定することが理想的である。し力、し、これが一致していなくても、引張破断伸度上限に達するまでの範囲内において、積層フィルムを構成する各フィルムの伸度値における荷重の差が最大 5 . 0 k g以内のものを選定すれば好ましい結果が得られる（図 5参照）。引張伸度荷重曲線とは、材料の試験片すなわち上記試験片 3 0 0 (本発明の上記実施形態では幅 8 0 mm, ー对のチヤック 3 0 2， 3 0 3で挟みチヤック対向端縁間距離 1 0 0 mm) に荷重を与えて一定速度（本発明の上記実施形態では 1 0 O mmZm i n ) で引張ったときの材料の機械的性質を調べたものであり、縦軸に荷重、横軸に材料の伸度（試験片の引張り方向の増加長さを元の試験片の引張り方向の長さ（本発明の上記実施形態では 1 0 O mm) に対する百分率で表したもの）をとつて、材料が破断するまでの関係を描いた曲線のことをいう。

また、成形同時絵付用シート 4は、単位面積が 2 0 0 %以上伸ばされ立体形状となる部分を有してもよい。先の成形同時絵付樹脂成形品 1 1を得た例において、成形同時絵付用シート 4の最大の伸びた個所の絵柄を調べたところ、面積比でモールの場合が 2 0 5 %、ホイルキャップの場合が 2 9 0 %、サイドマッドガ一ドの場合が 3 1 0 %、バンパーの場合が 3 6 0 %、コンソールボックスの場合が 3 3 0 %、センタ一クラスターの場合が 2 8 0 %、スィッチベースの場合が 3 4 0 %程度であったため、本発明の上記実施形態ではこれらの値のおよそ最低限である 2 0 0 %以上とするものである。なお、ここでいう 2 0 0 %とは、元の面積の 2倍になることをいう。

成形同時絵付用シート 4の厚みとしては、 5 0〜2 0 0 0〃mが好ましレ、。 5 Ο μ πιより薄いと、成形榭月旨 1 0を射出したとき、成形樹脂 1 0の熱圧により成形同時絵付用シートにしわが生じる。 2 0 0 O /i mを超えると、成形同時絵付用シートの成形性が劣るため、成形同時絵付用シートを立体形状に加工するのが困難である。特に、 5 0〜7 0 0 μ ιηが好ましい。この範囲の成形同時絵付用シート 4は、成形同時絵付用シートを任意の形状に打ち抜いたり、切断したり、成形用金型に挿入したりする作業性がよい。また、成形同時絵付用シ —ト 4の成形性に優れるので、成形同時絵付用シート 4を立体形状に加工するのが短時間でできる。 7 0 0 μ πιを超えると、巻き状態の成形同時絵付用シートとすることが困難であり、生産性が劣るものとなる。さらに、立体形状に加ェするのを射出成形用金型の可動型 5上で行う場合は、成形後に成形同時絵付用シート 4の不要な部分のトリミングを行うため、やや薄めの 5 0〜2 0 0 / mが好ましい。また、立体形状に加工するのを射出成形用金型とは別の金型で行う場合は、立体形状加工成形用金型に挿入する工程が必要となるので、成形同時絵付用シート 4に剛性が必要であり、やや厚めの 3 0 0〜7 0 0 /x mが好ましい。

また、アクリルフィルム 1の厚みとしては、 3 0〜7 0 0 / mが好ましい。 3 0 /x mに満たないと、フィルム強度が低く割れたりし、耐候性に欠ける。 7 0 0 μ mを超えると、巻き状態の成形同時絵付用シートとすることが困難であり、生産性が劣るものとなる。より好ましくは 3 0〜2 0 0 μ πιがよい。この範囲のようにアクリルフィルムが薄いめであると、 1本のロールに卷くことができるァクリルフィルムの長さがより大きくなるため、生産効率が高くなる。本発明の上記実施形態の成形同時絵付用シート 4には、上記したように、絵柄層 2が設けられる（図 1〜4， 6， 1 0〜1 2参照）。この絵柄層 2は、樹脂成形品 1 1の表面に文字や図形、記号等を表したり、着色表面を表したりするためのものである。また、絵柄層 2は、黒色やシルバーメタリック色などの、パターンが無い全面べた 1色のものであってもよく、あるいは、木目模様や石目模様などのパターンがある 1色または多色のものであってもよい。あるいは、 ,絵柄層 2は、透明黄色の全面べた、またはパターン層とシルバーメタリック色の全面べた、またはパターン層とを積層して金色全面べた、またはパターン層を表現するようにしてもよい。絵柄層 2は、顔料と榭脂バインダーから構成される顔料ィンキ層、パール顔料と樹脂バインダ一から構成される光輝性顔料層、染料と樹月旨バインダーから構成される染料インキ層の群から選ばれる少なくとも一層によって構成される。このような絵柄層 2は、オフセット印刷法、グラビア印刷法、又はスクリーン印刷法等の通常の印刷法や、ロールコート法、又はスプレーコート法等のコート法等により形成するとよい。絵柄層 2の厚みとしては、 0 . 1〜2 0 /x mが好ましい。通常の印刷法によれば、この範囲となる。

絵柄層 2のより具体的な例として、前述した自動車用内装部品でよく用いられるものとして木目柄がある。木目柄は、木目の葉脈やその周辺の微細な導管を表現する木目導管柄層と、木目模様全体の色合いに直接影響を与える下地層とから構成されるのが一般的である。これを上記実施形態の変形例とし図 7〜 8に示す。すなわち、図 7の変形例では、アクリルフィルム 1と接着面側のフイルム 3との間の絵柄層 2として、アクリルフィルム 1に隣接配置されて木目導管柄層 1 4と下地層 1 5とから構成されている。また、下地層 1 5と接着面側のフィルム 3との間に着色層 1 6が配置されている。また、図 8の別の変形例では、接着面側のフィルム 3の機能をも兼用する着色フィルム 1 7と、ァクリノレフイノレム 1との間の絵柄層 2が、木目導管柄層 1 4を間欠的に有する下地層 1 5より構成されている。

下地層 1 5は、具体的には、木目を構成する黄 ·赤 ·茶 ·黒などの顔料を樹脂バインダーと溶剤とともに混合してィンキ化し、通常の印刷法によつて形成するとよい。下地層 1 5は単層であっても、多層であってもよい。また、下地層 1 5は、パターン化した部分的なものであっても、全面ベタに設けたものであってもよい。

立体成形加工をすると、特に端部の絞りの大きい樹脂成形品 1 1などでは、部分的に絵柄層 2が伸ばされ、絵柄層 2が透けてしまいデザィン性が低下する。そこで、下地層 1 5の下に、下地層 2の色と同系色の着色層 1 6 (図 7の変形例参照。）または着色フィルム 1 7 (図 8の別の変形例参照。）を設置するとよい。着色フィルム 1 7は、積層フィルムの成形榭脂 1 0に接着される面のフイルム 3と兼用してもよい（図 8参照）。なお、本発明の上記実施形態において、下地層 1 5の色とは、アクリルフィルム側から見てその色を視認できるまでの範囲（図 8の変形例を示す図 9における符合 Vの範囲）の色と定義する (図 9参照）。着色層 1 6または着色フィルム 1 7の厚みとしては、 1 /z m以上が好ましい。 1 μ πι未満であると、成形同時絵付用シート 4を立体形状に加ェしたときに、着色層 1 6または着色フィルム 1 7が透けてしまうので不都合である。

本発明の上記実施形態でいう同系色とは、下地層 1 5の色と着色層 1 6または着色フィルム 1 7の色の差である色度差が、国際照明委員会（Commission Internationale de 1， Eclairage, CIE) が 1 9 7 6年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度をもつ L * a * b *表色系において、 a *=500 [ (X/X ₀) ^1/3 - (Y /Υ ₀) ^1/3] および b *=200 [ (Y/Y ₀) ^1/3- ( ΖΖ Ζ。） ^1/3] で定義される a *と b *の差の合計、すなわち、以下の（数 2 ) の値が 4. 0以上 45. 0以下であることをいう。なお、 L*は明度指数でありじ = 116 (Y/Y ₀) ^1/3— 16で定義され、 X、 Υ、 Ζは人間の目が物体の色を見て視感の 3特性で感じる各々の刺激値を表し、 Χ。、 Υ。、 Ζ。は人間の目が照明光源を見て視感の 3特性で感じる各々の刺激値を表す。 C標準光の場合、 X。 =98. 072、 Υ。 = 100、 Ζ。 = 118. 225であり、 D₆₅標準光の場合、 X。 =95. 045、 Y。 = 100、 Ζ。= 108. 892をそれぞれ示す。

ここで、（数 2 ) の式は以下のようなものである。

この（数 2 ) の式において、 45. 0を越えると、伸ばされた部分と伸ばされない部分の色の違いが目立ちすぎる。 4. 0に満たないと、下地層 1 5と着色層 1 6または着色フィルム 1 7が視覚的に見て同色であるので、着色層 1 6または着色フィルム 1 7が下地層 1 5の機能を有するため下地層 1 5は不要となる。このように、絵柄層 2を構成する下地層 1 5の色と、着色層 1 6または着色フィルム 1 7の色とが同系色とすることにより、成形同時絵付用シート 4の形状変化をさせた場合、下地層 1 5が透けても着色層 1 6または着色フィルム 1 7により絵柄層 2の色変化を防止することができる。

また、絵柄層 2は金属薄膜層から構成されるもの、あるいは、金属薄膜層と印刷層との組み合わせから構成されるものでもよい。金属薄膜層は、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、又は鍍金法などで形成する。表現したい金属光沢色に応じて、ァノレミニゥム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、又は亜鉛などの金属、又はこれらの合金若しくは化合物を使用する。絵柄層 2は、成形同時絵付用シート 4である積層フィルムを構成する 2種以上のフィルム（例えばアクリルフィルム 1 ) とフィルム（例えば接着面側のフイルム 3又は着色フィルム 1 7 ) との間に形成される。このような構成とするためには、アクリルフィルム 1を印刷原反とし、その表面に絵柄層 2を形成し、次に、成形樹脂 1 0に接着される面のフィルム 3をその絵柄層 2を覆うようにラミネート法により積層すればよい。あるいは、上記構成とするために、成形榭月旨 1 0に接着される面のフィルム 3を印刷原反とし、その表面に絵柄層 2を形成し、次に、アクリルフィルム 1をその絵柄層 2を覆うようにラミネート法により積層するようにしてもよい。ラミネート法としては、一方のフィルム表面が接着性を呈するまで加熱して他方のフィルムを貼合せるいわゆる熱ラミネ一ト法や、接着剤を介して 2枚のフィルムを貼合せるいわゆるドライラミネ一ト法等がある。また、絵柄層 2を形成したフィルムの上に、絵柄層 2を覆うようにフィルム材料となる樹脂（特にポリプロピレンの場合）を押出成形により被覆するいわゆる押出コート法等もある。押出コート法の場合、フィルム単体の引張破断伸度曲線を得るには、フィルム材料となる樹脂単体で上記被覆厚さと同等の厚さで押出成形により製膜したフィルムで代用できる。

また、ァクリルフィルム 1 と成形樹脂 1 0に接着される面のフィルム 3との接着性を向上させるために、図 6に示すように、接着層 1 3を設けてもよレ、。接着層 1 3は、ポリ塩化ビュル酢酸ビュル共重合体系榭脂、アクリル系樹脂、又はウレタン系樹脂等から構成していてもよい。

次に、本発明の上記実施形態の成形同時絵付樹脂成形品の製造方法を説明する。

まず、上記成形同時絵付用シート 4を射出成形用の金型である可動型 5の表面にクランプ部材 8によりセットする（図 1参照）。

可動型 5へのセットの仕方の具体例としては、ロール軸に長尺の成形同時絵付用シート 4を一且卷き取ってロール状巻物とし、このロール状卷物を射出成形用の可動型 5の上部に可動型 5と一体的に移動可能に載置し、ロール状巻物力、ら成形同時絵付用シ一ト 4を巻き出しながら、退避した可動型 5と固定型 6 との間を通過させ、射出成形用の可動型 5の下部に可動型 5と一体的に移動可能に設置したフィルム卷き取り手段のロール軸により成形同時絵付用シート 4 を卷き取るようにすればよい。別の例としては、枚葉の成形同時絵付用シート 4を用いて、ロボットや人手により可動型 5の表面にセットしてもよい。成形同時絵付用シート 4の可動型 5の表面へのセットに際しては、成形同時絵付用シート 4を可動型 5の表面に配置した後、可動型 5の表面に対する成形同時絵付用シート 4の位置を位置決めセンサー等により決定し、成形同時絵付用シート 4を射出成形用の可動型 5の表面にクランプ部材 8によって押さえ付けるとよい。

次いで、成形同時絵付用シート 4を射出成形用の可動型 5の表面にセットした後に、射出成形用の可動型 5に形成された真空吸引孔 1 2を利用して、成形同時絵付用シート 4を可動型 5のキヤビティ形成面 7に沿わせるように真空吸引することにより、射出成形用の可動型 5の凹部すなわちキヤビティ 2 0のキャビティ形成面 7に沿うように立体形状に加工する（図 2参照）。具体例としては、可動型 5と固定型 6との間に挿入した加熱板等で、可動型 5の表面にセットした成形同時絵付用シート 4をその軟化点以上に加熱して軟化させ、射出成形用の可動型 5の凹部と成形同時絵付用シート 4との間の空間を密閉して真空吸引孔 1 2から排気して真空吸引し、射出成形用の可動型 5の凹部内面（キャビティ形成面 7 ) に成形同時絵付用シート 4を密着させる方法がある。立体形状に加工する際、あるいはクランプ部材 8で成形同時絵付用シート 4を押さえ付けて固定する際に、成形同時絵付用シート 4の不要部分の打抜き加工をしてもよい。

上記方法に代えて、成形同時絵付用シート 4を射出成形用の可動型 5の表面にセットする前に、射出成形用の可動型 5と固定型 6とは別の立体加工成形用型を用いて成形同時絵付用シート 4を予め所望の形状に立体加工し、また所望の形状に打抜き加工したのち（図 1 0参照）、射出成形用の可動型 5の凹部内に、立体加工された成形同時絵付用シート 4をはめ込むようにしてもよい（図 1 1参照）。ここで、立体加工とは、平面の状態から立体的形状（例えば、底の深いコンソールボックス）に成形同時絵付用シート 4を形状変化させることをいう。所望の形状としては、射出成形用の可動型 5又は固定型 6のキヤビティ形成面 7に合致する形状等がある。立体形状に加工する方法としては、真空成形法や圧空成形法、熱せられたゴムを押しつける押圧成形法、又はプレス成形法等がある。ここで、真空成形法とは、成形同時絵付用シート 4をその軟化点以上に加熱して軟ィヒさせ、真空成形金型の凹部と成形同時絵付用シート 4との間の空間を密閉して真空吸引し、真空成形金型の凹部内面に成形同時絵付用シート 4を密着させ、射出成形用の可動型 5のキヤビティ形成面 7に合致した立体形状に成形同時絵付用シート 4を成形する方法である。所望の形状に打抜き加工する方法としては、トムソン打抜き法、金型によるプレス法等がある。打抜き形状としては、所定形状の外周に沿った線や所定形状の孔等がある。なお、上記立体形状に加工する際に同時に打抜き加工をしてもよい。

次に、固定型 6に対して可動型 5を型閉めして溶融状態の成形樹脂 1 0を固定型 6のグート部 9からキヤビティ 2 0内に射出し、成形樹脂 1 0を固化させてキヤビティ 2 0内で樹脂成形品 1 1を形成すると同時にその表面に成形同時絵付用シート 4の接着性フィルム 3側を一体化接着させる（図 3， 1 2参照）。その後、樹脂成形品 1 1を可動型 5から取り出したのち、樹脂成形品 1 1に接着した成形同時絵付用シート 4のうち不要な部分を除去する（図 4参照）。なお、上記したように予め所望の形状に打ち抜き加工していた場合には、成形同時絵付用シート 4の不要な部分を除去する作業は不要である。

射出成形用の金型としての可動型 5と固定型 6は、上記した実施形態に特に限定されることはないが、成形樹脂 1 0を射出するゲート部 9を有する固定型 6と可動型 5から構成され、固定型 6と可動型 5とが型閉めされることによつて、固定型 6および可動型 5のキヤビティ形成面 7によつて囲まれた単数あるいは複数のキヤビティ 2 0が形成されるものを使用すればよい。射出成形用の可動型 5と固定型 6とにより形成されるキヤビティ 2 0内にセットされた成形同時絵付用シート 4は、キヤビティ形成面 7を覆うことになる。キヤビティ 2 0は樹脂成形品 1 1に孔部を形成するものであってもよい。キヤビティ 2 0を形成する凹部は固定型 6あるいは可動型 5のいずれかに形成されていてもよい。可動型 5又は固定型 6は、凹部の周囲で成形同時絵付用シート 4を押さえ付けて固定するクランプ部材 8を有してもよい（図 1〜3参照）。クランプ部材 8 は固定型 6あるいは可動型 5に設置されてもよい。

なお、横型射出成形機の場合には、上記のとおりであるが、竪型射出成形機の場合には、固定型と可動型の関係が横型射出成形機の場合と逆になる。また、射出成形機の金型は 2枚型の場合でけでなく、 3枚型の場合にも同様に適用することができる。

成形樹脂 1 0は、特に限定されることはない。自動車の内装部品や外装部品に用いられる代表的な成形樹脂としては、 α—メチルスチレンを含有した耐熱

'ftアタリロニトリルブタジエンスチレン榭脂、ポリカーボネートをァロイしたアタリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、タルクを含有したポリプロピレン榭脂、変成ポリプロピレン樹脂等を挙げることができる。

以下に、より具体的な実施例を挙げる。

実施例 1

以下の条件で、黄金色のポリプロピレン樹脂製自動車ホイールキャップを製造した。アクリルフィルム上に、透明黄色のアクリル樹脂系インキを用いて絵柄層を形成し、その上に厚み 6 0 O Aのアルミニウム蒸着から構成される金属蒸着層を形成し、その上にアルミ顔料（透明黄色の顔料を含む）入りのビニル樹脂系インキを用いて後アンカー層を形成し、その上にウレタン樹脂系ドライラミネ一ト接着剤を用いて接着層を形成した。

ポリプロピレンフィルムとして、カーボンブラック/チタンホワイト = 1 / 8を含有したァイソタクテイクポリプロピレン樹脂（1 0重量部）とエチレン一プロピレン共重合ゴム（1重量部）とから構成されるグレー色のものを用い、上記アクリルフィルムとラミネートした。

ァクリルフィルムおよびポリプロピレンフィルム並びにこれらの積層フィルムの機械的特性を表 1に示す。また、色特性を表 2に示す。 (表 1 )

(表 2 )

以上のようにして得られた成形同時絵付用シートを、射出成形用の可動型内にセットして真空成形し、型閉め後、タルクを含有したポリプロピレン成形榭脂をキヤビティ内に射出し、ポリプロピレン成形樹脂を固化させて榭脂成形品を形成すると同時にその表面に成形同時絵付用シートのポリプロピレンフィルム側を一体化接着させ、黄金色のポリプロピレン樹脂製自動車ホイールキヤップを得た。このようにして得た成形同時絵付樹脂成形品は、成形同時絵付用シ一トの剥がれや破損がないものであった。

実施例 2

以下の条件で、ク口ム色のポリプロピレン樹脂製自動車バンパーを製造した。ァクリルフィルム上に、厚み 3 0 OAのクロム蒸着から構成される金属蒸着層を絵柄層として形成し、その上にビュル榭脂系インキを用いてアンカー層を形成し、その上にウレタン樹脂系ドライラミネート接着剤を用いて接着層を形成した。

ポリプロピレンフィルムとして、メタ口セン触媒シンジオタクテイクポリプロピレン樹脂からなり、カーボンブラック Z力ドミゥムイエロー/チタンホヮィトニ 1 5//8を含有したグレー色のものを用い、上記ァクリルフィルムとラミネートした。ムの機械的特性を表 3に示す。また、色特性を表 4に示す。

(表 3)

荷重値の

1 1 o°c 伸度伸度差が

伸度 5 0

における 1 0 0 1 5 0 最大にな

%での

引張破断 %での %でのるときの荷重値

厚さ伸度荷重値荷重値伸度/ ァクリ 7 5 μ m 1 40 %

1. 2 1. 4 1. 5

ノレフィ 2 5 0 % / 1. 5 k g k g k g

ノレム k g ポリプ 20 0

1 40 % ロピレ μια 1. 4 2. 8 3. 6

1 8 0 % /3. 9 ンフィ k g k g k g

k g ノレム

2 7 9 1 40 % 積層フ 1. 4 2. 7 3. 0

μ m 1 7 0 % /3. 3 ィノレム k g k g k g

k g (表 4 )

以上のようにして得られた成形同時絵付用シートを、射出成形用の可動型内にセットして真空成形し、型閉め後、変成ポリプロピレン成形樹脂をキヤビティに射出し、変成ポリプロピレン成形樹脂を固化させて樹脂成形品を形成すると同時にその表面に成形同時絵付用シートのポリプロピレンフィルム側を一体化接着させ、クロム色のポリプロピレン樹脂製自動車バンパーを得た。このようにして得た成形同時絵付樹脂成形品は、成形同時絵付用シートの剥がれや破損がないものであった。

実施例 3

以下の条件で、木目柄のァクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂製コンソールパネルを製造した。

アクリルフィルム上に、第 1絵柄層として黒色顔料（カーボンブラック）入りビュル樹脂系インキを用いた木目導管柄層を形成し、その上に第 2絵柄層として黄色パール顔料入りビニル樹脂系インキを用いた光輝性顔料層を形成し、その上に第 3絵柄層として茶色顔料（弁柄）入りの塩化ビュル樹脂系インキを用いた木目下地層を形成した。

アタリロニトリルブタジエンスチレンフィルムとして、カーボンブラックノ酸化鉄 = 1 Z 6を含有したァクリロ二トリル：ブタジエン：スチレンの共重合比が 2 0 : 3 5 : 4 5 (重量％) から構成される茶色のものを用い、上記ァクリルフイノレムと 1 0 0。Cで熱ラミネートした。

ァクリルフィルムおよびァクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム並ぴにこれらの積層フィルムの機械的特性を表 5に示す。また、色特性を表 6に示す。 (表 5 )

(表 6 )

以上のようにして得られた成形同時絵付用シートを、射出成形用の可動型内にセットして真空成形し、型閉め後、耐熱性アクリロニトリルブタジエンスチレン成形樹脂をキヤビティに射出し、耐熱性ァクリロニトリルブタジエンスチレン成形樹脂を固化させて樹脂成形品を形成すると同時にその表面に成形同時絵付用シートのアタリロニトリルブタジエンスチレンフィルム側を一体化接着させ、木目柄の耐熱性ァクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂製コンソールボックスを得た。このようにして得た成形同時絵付樹脂成形品は、成形同時絵付用シートの剥がれや破損がないものであった。

比較例

実施例 1において用いた厚み 200 μπιのグレー色ポリプロピレンフィルムに代えて厚み 50 μ πιの赤色二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いたほかは実施例 1と同様にして、黄金色のポリプロピレン樹脂製自動車ホイールキヤップを製造した。

アタリルフィルムぉよぴポリプロピレンフィルム並びにこれらの積層フィルムの機械的特性を表 7に示す。また、色特性を表 8に示す。

(表 7)

荷重値の差

1 1 0°C 伸度伸度伸度

が最大になにおける 5 0% 1 00 % 1 5 0

厚さるときの

引張破断でのでの %での

伸度 Z 伸度荷重値荷重値荷重値

荷重値ァクリ 1 2 5 9 0 %/

1. 3 1. 6 1. 8

ノレフィ μ ra 2 9 0 % 1. 6 k g k g k g

ノレム k g ポリプ 5 0

ロピレ μ m

9 0 %/ ンフィ 4. 8—

9 0% 9. 4 ノレム k g

k g に軸

延伸）

1 8 2 伸度

積層フ μ m 20%で

ィノレム 9 0% 積層フィ

ルム間の

剥がれ (表 8 )

この成形同時絵付用シートは、 2 0 %伸ばした時点で積層フィルム間で剥がれが生じ、伸ばされた部分は赤茶色に変色したデザイン性の悪いものであった。本発明は、以上のような構成を採るので、以下のような効果を奏する。

つまり、本発明の成形同時絵付用シートは、 2種類以上の積層フィルムから構成される成形同時絵付用シートにおいて、上記積層フィルムの上記成形樹脂に接着される面のフィルムは、成形同時絵付加工した後、少なくとも上記成形樹脂に接着される面の上記フィルムと上記成形樹月旨との界面において、 1 k g f Zインチ幅以上の引き剥がし強度があり、その上に少なくとも透明なアタリルフィルムが積層され、両フィルムの間に絵柄層が形成されたものであるので、成形樹脂との接着性が高く、成形樹脂から剥離することがない。また、脆く割れやすいァクリルフィルムが成形樹脂に接着される面のフィルムに支持されるため、成形同時絵付用シートが破損することもない。

また、本発明の成形同時絵付樹脂成形品の製造方法は、予め立体加工した上記の成形同時絵付用シートを射出成形用金型内に配置して、又は、上記の成形同時絵付用シートを射出成形用金型内で立体加工して、射出成形により成形同時絵付用シートと成形樹脂とが一体化するので、成形同時絵付樹脂成形品を容易に得ることができる。

明細書、請求の範囲、図面、要約書を含む 1 9 9 7年 7月 2 2日に出願された日本特許出願第 9一 2 1 2 5 9 8号及び 1 9 9 8年 3月 1 3日に出願された日本特許出願第 1 0— 8 2 7 3 9号に開示されたものの総ては、参考としてここに総て取り込まれるものである。

本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとつては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。

Claims

請求の範囲

1. 2種類以上の積層フィルムから構成されて射出成形用の金型（5， 6) 内にセットされて成形樹脂（1 0) の表面に一体化接着される成形同時絵付用シート（4) において、上記積層フィルムの上記成形樹脂に接着される面のフィルム（3) は、成形同時絵付加工した後、少なくとも上記成形樹脂（1 0) に接着される面の上記フィルム（3) と上記成形榭脂（10) との界面において、 1 k g f /インチ幅以上の引き剥がし強度があり、上記成形樹脂に接着される面のフィルム（3) の上に少なくとも透明なアクリルフィルム（1) が積層され、上記成形樹脂に接着される面のフィルム（3) と上記アクリルフイルム（1) の間に絵柄層（2) が形成される成形同時絵付用シート。

2. 1 10°Cの環境温度下において幅 80 mmの上記成形同時絵付用シートの試験片（300) を一対のチャック（302， 303) で挟みチャック対向端縁間距離 100mmで固定し、上記試験片の一端を 1 0 OmmZm i nの一定速度で荷重をかけて引張試験を実施したときの引張破断伸度が 1 50%以上である請求項 1に記載の成形同時絵付用シート。

3. 上記積層フィルムが、引張破断伸度上限に達するまでの範囲内において、上記積層フィルムを構成する各フィルムの伸度値における荷重の差が最大 5. O k g以内である請求項 2に記載の成形同時絵付用シート。

4. 単位面積が 200%以上伸ばされ立体形状となる部分を有する請求項 2又は 3に記載の成形同時絵付用シート。

5. 上記積層フィルムの上記成形樹脂に接着される面のフィルム（3) 、ポリプロピレンフィルムである請求項 1〜4のいずれかに記載の成形同時絵付用シート。

6. 上記ポリプロピレンフィルムが、非結晶性または低結晶性のポリプロピレン樹脂より形成される請求項 5に記載の成形同時絵付用シート。

7. 上記ポリプロピレンフィルムが、ポリプロピレン樹脂にスチレンエラストマ一樹脂を添加したものから構成される請求項 5又は 6に記載の成形同時絵付用シート。

8. 上記ポリプロピレンフィルムが、メタ口セン触媒により重合された軟質プロピレン樹脂から構成される請求項 5〜 7のいずれかに記載の成形同時絵付用シート。

9. 上記積層フィルムの成形樹脂に接着される面のフィルム（3) 力ァクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムである請求項 1〜4のいずれかに記載の成形同時絵付用シート。

10. 上記ァクリロニトリルブタジエンスチレンフィルムの共重合比率において、ブタジエンの含有比率が 20〜 50重量％である請求項 9に記載の成形同時絵付用シート。

1 1. 上記絵柄層（2) の下に着色層（16) または着色フィルム（1 7) が設けられ、上記絵柄層を構成する下地層（15) の色と、上記着色層または着色フィルムの色とが同系色である請求項 1〜 10のいずれかに記載の成形同時絵付用シート。

12. 上記積層フィルムの成形樹脂に接着される面のフィルム（3) が着色フィルムであり、上記絵柄層（2) の下地層の色と上記着色フィルムの色とが同系色である請求項 1〜 10のいずれかに記載の成形同時絵付用シート。

13. 上記絵柄層 (2) の上記下地層の色と上記着色層または着色フィルムの色の差である色度差が、次式

4.0≤ 7(^{Δ a} * )²⁺ (Ab*)² ≤ 45.0 である請求項 1 1〜12のいずれかに記載の成形同時絵付用シート。

(ただし、 a*、 b*は、国際照明委員会が 1976年に推奨した知覚的にほぼ均等な歩度をもつ L*a*b*表色系における表示単位である。 a*=500 [ (X /X₀) ¹ノ ³— (Y/Y₀) ^1/3] 、 b*=200 [ (Y/Y₀) ^1/3— (Ζ/Ζ₀) ^|/3] である。ここで、 L*は明度指数であり L*=116 (Y/Y₀) ^1/3— 16で定義され、 X、 Υ、 Ζは人間の目が物体の色を見て視感の 3特性で感じる各々の刺激値を表し、 X。、 Y _Q、 Z。は人間の目が照明光源を見て視感の 3特性で感じる各々の刺激値を表す。 C標準光の場合、 X。 =98. 072、 Y。 = 100、 Ζ。 = 118. 225であり、 D₆₅標準光の場合、 X。 =95. 045、 Y。 = 100、 Ζ。 = 108. 892をそれぞれ示す。 )

1 4. 立体加工された請求項 1〜1 3のいずれかに記載の成形同時絵付用シートを射出成形用の金型内にセットし、型閉めして溶融状態の成形樹脂をキャビティに射出し、上記成形樹脂を固化させて樹脂成形品を形成すると同時にその表面に上記成形同時絵付用シ一トを一体化接着させる成形同時絵付樹脂成形品の製造方法。

1 5 . 請求項 1〜1 3のいずれかに記載の成形同時絵付用シートを射出成形用の金型内にセットし、上記金型内で立体加工した後、型閉めして溶融状態の成形樹脂をキヤビティに射出し、上記成形樹脂を固化させて樹脂成形品を形成すると同時にその表面に上記成形同時絵付用シートを一体化接着させる成形同時絵付樹脂成形品の製造方法。