JP5065644B2 - 化粧シート及びその製造方法並びに化粧シート付射出成形品 - Google Patents
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Description
また、成形同時加飾シートとしては、種々のものが提案されており、例えば、複数の樹脂シートを積層してなり絵柄層を有するものが提案されている(特許文献2参照)。
このような、化粧シートの反りに起因する問題は、化粧シートを射出成形用金型内に入れてから、射出成形用金型の凹部に沿うように真空成形等により立体加工する方法の場合でも同様に発生する問題である。
なお、複数のシートを積層してなる化粧シートにおいて、それぞれのシートの材質として同一材料を使用したとしても、該材料に含まれる可塑剤やフィラーの種類及び含有量等の要因で上記反りの問題は発生する。ましてや、異なる材質のシートを積層する場合にはその反りの程度は顕著なものとなる。
すなわち、本発明は、
(1)樹脂の射出成形と加飾を同時に行う射出成形同時加飾用シートであって、2枚の樹脂シートを少なくとも1層の絵柄層を挟んで積層してなり、2枚の樹脂シート間の線膨張係数の差が4×10-5/℃(41〜50℃)以下である化粧シート、
(2)前記2枚の樹脂シートのうち、表面側樹脂シートの材質がポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリオレフィン及びポリカーボネートから選ばれる少なくとも1種であり、成形用樹脂と接する樹脂シートの材質がポリオレフィン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート及びポリエステルから選ばれる少なくとも1種である上記(1)に記載の化粧シート、
(3)2枚の樹脂シート間に接着層を有する上記(1)又は(2)に記載の化粧シート、
(4)2枚の樹脂シートの積層がドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、又は熱ラミネート法により形成される上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化粧シート、
(5)線膨張係数の差が4×10-5/℃(41〜50℃)以下である2枚の樹脂シートを積層する化粧シートの製造方法であって、樹脂シート間に少なくとも1層の絵柄層を設け、かつ2枚の樹脂シートをドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、又は熱ラミネート法により積層させる化粧シートの製造方法、及び
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の化粧シートをあらかじめ立体加工及び打ち抜き加工を行った後、金型を用いた射出成形法により成形用樹脂と一体化して形成される化粧シート付射出成形品
を提供するものである。
以下、本発明の化粧シートについて図1を用いて具体的に説明する。
図1に示すように、化粧シート4は、第1樹脂シート1a、第2樹脂シート1bと絵柄層2と必要に応じて設けられる接着層3から構成されており、化粧シート4を構成する2枚の樹脂シート(第1樹脂シート1aと第2樹脂シート1b)間の線膨張係数の差が4×10-5/℃(41〜50℃)以下である。
以上の点から、化粧シート4全体の厚みとしては、さらに0.2〜1.0mmの範囲がより好ましい。
絵柄層2の形成方法は、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の通常の印刷法や、ロールコート法、スプレーコート法等のコート法等により形成すると良い。なお、絵柄層2は、蒸着膜からなる金属蒸着によって形成することも可能である。
本発明の化粧シート付射出成形品の製造方法は、上記において説明した、2枚の樹脂シートが積層された化粧シート4を射出成形用金型内にセットし、成形樹脂を射出し、成形樹脂の固化と同時に成形樹脂表面に化粧シート4を一体化接着させる方法である。この際に、化粧シート4を構成する各シート間の線膨張係数の差が4×10-5/℃(41〜50℃)以下であるため、当該化粧シートが反り返ることを防止することができ、その結果、成形不良品の削減、歩留まりの向上、コストの削減など様々な効果を発揮することができる。
三次元形状に立体加工する方法としては、真空成形法や圧空成形法、熱せられたゴムを押しつける押圧成形法、プレス成形法等がある。ここで、真空成形法とは、化粧シート4をその軟化点以上に加熱して軟化させ、真空成形金型の凹部と化粧シート4との間の空間を密閉して真空吸引し、真空成形金型の凹部内面に化粧シート4を接着させ、射出成形用金型の可動型5のキャビティ形成面7に合致した三次元形状に化粧シート4を成形する方法である。
また、所望の形状に打ち抜き加工する方法としては、トムソン打ち抜き法、金型によるプレス法等がある。打ち抜き形状としては、化粧シート4の外周の場合や、所定形状の孔等がある。なお、前記三次元形状に加工する際に同時に打ち抜き加工をしてもよい。
表1に示すように、第1樹脂シートとして、線膨張係数の異なる2種類のアクリル樹脂(アクリル樹脂A〜B)を用意した。また、第2樹脂シートとして、線膨張係数の異なる3種類のポリプロピレン樹脂(ポリプロピレン樹脂A〜C)とABS樹脂を用意した。これらの樹脂の線膨張係数、および厚さは表1に記載したとおりである。
これらの樹脂を用いて、表1に示すように、第1樹脂シートと第2樹脂シートとをそれぞれ組み合わせて、図1に示すような化粧シート4を形成し、当該化粧シート4を用いて射出成形品を形成した。
具体的には、化粧シートにあっては、反りが生じていない場合が◎、若干の反りが生じているが、なんら問題とならない程度である場合が○、反りが生じており、問題を生じる可能性がある場合が△、反りが大きく、射出成形の際に問題が生じる場合が×である。
また、射出成形品の評価にあっては、化粧シートが所望の位置に一体化接着されており、形成時にあっても特に問題が生じなかった場合が◎、化粧シートが許容範囲内に一体化接着されており、形成時にあっても問題が生じなかった場合が○、化粧シートに若干のズレが生じている、若しくは形成時に化粧シートの欠落など、若干のトラブルが生じた場合が△、化粧シートが所望の位置から大幅にズレている、若しくは形成時に大きなトラブルが生じ歩留まり等に影響が生じうる場合が×である。
本発明の化粧シートを用いて製造した本発明の化粧シート付射出成形品は、コンソールパネル、センタークラスター、スイッチベース等の自動車内装部品、塗装模様のサイドマットガード、バンパー、ホイルキャップやモール等の自動車外装部品等に好適である。
1b:第2樹脂シート
2:絵柄層
3:接着層
4:化粧シート
5:可動型
6:固定型
7:キャビティ形成面
9:ゲート部
Claims (5)
- 射出成形用金型にセットする前に、あらかじめ立体加工を行い、射出成形用金型の可動型のキャビティ形成面に合致するよう打ち抜き加工を行った後、射出成形用金型の前記キャビティ内に載置され、樹脂の射出成形と加飾を同時に行う射出成形同時加飾用化粧シートであって、2枚の樹脂シートを少なくとも1層の絵柄層を挟んで積層してなり、2枚の樹脂シート間の線膨張係数の差が4×10-5/℃(41〜50℃)以下である射出成形同時加飾用化粧シート。
- 前記2枚の樹脂シートのうち、表面側樹脂シートの材質がポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリオレフィン及びポリカーボネートから選ばれる少なくとも1種であり、成形用樹脂と接する樹脂シートの材質がポリオレフィン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート及びポリエステルから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の射出成形同時加飾用化粧シート。
- 2枚の樹脂シート間に接着層を有する請求項1又は2に記載の射出成形同時加飾用化粧シート。
- 2枚の樹脂シートがドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、又は熱ラミネート法により積層されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形同時加飾用化粧シート。
- 化粧シートに対し、射出成形用金型内にセットする前に立体加工及び打ち抜き加工を行う工程と、当該加工後の化粧シートを射出成形用金型内にセットする工程と、射出成形法により成形用樹脂と一体化する工程とを有する化粧シート付射出成形品の製造方法であって、該化粧シートが、2枚の樹脂シートを少なくとも1層の絵柄層を挟んで積層してなり、かつ、2枚の樹脂シート間の線膨張係数の差が4×10 -5 /℃(41〜50℃)以下である化粧シート付射出成形品の製造方法。
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