JP5061975B2 - 加飾樹脂成形品の製造方法及び加飾樹脂成形品 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、
(1)(A)表面に凹凸形状を有する熱可塑性樹脂フィルムを金型に挿入する工程、(B)該金型に成形樹脂を射出して加飾樹脂成形品を得る工程、及び(C)該加飾樹脂成形品を熱処理する工程を有する加飾樹脂成形品の製造方法であって、(C)工程の熱処理温度が、熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)より30℃低い温度以上の温度であることを特徴とする加飾樹脂成形品の製造方法、
(2)前記熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂がアクリル系樹脂又はポリカーボネート系樹脂である上記(1)に記載の加飾樹脂成形品の製造方法、
(3)前記熱可塑性樹脂フィルムの厚さが50〜200μmであり、表面の凹凸平均深さが30〜80μmである上記(1)又は(2)に記載の加飾樹脂成形品の製造方法、
(4)前記(A)工程及び(B)工程の間に、(A’)前記熱可塑性樹脂フィルムの立体加工工程を有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の加飾樹脂成形品の製造方法、
(5)前記立体加工工程が真空成形工程である上記(4)に記載の加飾樹脂成形品の製造方法、及び
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法により得られる、加飾部分の表面の凹凸平均深さが3〜15μmである加飾樹脂成形品、
を提供するものである。
なお、これらの樹脂は1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
また、バッカーフィルムは射出する成形樹脂との接着性を考慮して決定されるものであり、通常、該成形樹脂と同様の樹脂で構成される。すなわち、成形樹脂がABS樹脂である場合には、バッカーフィルムもABS樹脂で構成されていることが好ましい。
このような可塑性樹脂フィルムの表面に凹凸形状を設ける方法としては特に制限はないが、エンボス版を用いたエンボス加工が簡便であり、好ましい。
絵柄層の形成方法は、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の通常の印刷法や、ロールコート法、スプレーコート法等のコート法等により形成することができる。なお、絵柄層は、蒸着膜からなる金属蒸着によって形成することも可能である。
射出される成形樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、PPとPEの混合物などのポリオレフィン系樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂(ABS樹脂);ポリカーボネート(PC);ABS樹脂とPCの混合物;アクリル樹脂;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、及びこれらの混合物などが挙げられる。
なお、本発明の製造方法では、上記で得られた加飾樹脂成形品の成形樹脂表面に一体化接着した熱可塑性樹脂フィルム4のうち不要な部分を除去する、いわゆるトリミング工程を有していてもよい。
三次元形状に立体加工する方法としては、真空成形法や圧空成形法、熱せられたゴムを押しつける押圧成形法、プレス成形法等があるが、射出成形用金型内で立体加工する場合は、真空成形法及び圧空成形法が、続いての射出成形を容易に行うとの観点から好ましく、特に真空成形法が簡便であり好ましい。
ここで、真空成形法とは、化粧シート1'をその軟化点以上に加熱して軟化させ、真空成形金型の凹部と化粧シート1'との間の空間を密閉して真空吸引し、真空成形金型の凹部内面に化粧シート1'を接着させ、射出成形用金型の可動型2のキャビティ形成面4に合致した三次元形状に化粧シート1'を成形する方法である。
また、所望の形状に打ち抜き加工する方法としては、トムソン打ち抜き法、金型によるプレス法等がある。打ち抜き形状としては、化粧シート1'の外周の場合や、所定形状の孔等がある。なお、前記三次元形状に加工する際に同時に打ち抜き加工をしてもよい。
熱処理の温度としては、用いた熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂に応じて適宜設定されるものであり、十分に凹凸模様を再現させるためには、その樹脂のTgより30℃低い温度以上とすることが肝要である。より高い効果を得るとの観点からは、Tgより20℃低い温度以上とすることが好ましく、Tgより10℃低い温度以上とすることがさらに好ましい。
一方、熱処理温度の上限については、本発明の効果を奏する範囲であり、加飾樹脂成形品に悪影響を与えない範囲で特に制限はないが、通常110℃程度である。なお、Tgは通常の示差走査熱量計(DSC)を用いて測定されるものである。
熱処理時間についても、本発明の効果を奏する範囲で特に制限はなく、熱処理温度との関係で適宜決定されるものであるが、通常1〜240分間、好ましくは10〜60分間である。
このように本発明によれば、(B)工程によって失われる表面の凹凸平均深さを回復させることができ、非常に簡便な方法で加飾樹脂成形品にエンボス模様等の凹凸模様を付与することができる。
実施例1
(A)工程
熱可塑性樹脂フィルムとして、アクリル樹脂フィルム(住友化学(株)製「テクノロイS001」、厚さ125μm、アクリル樹脂のTg 105℃)を準備した。該アクリル樹脂フィルムに、80μmのエンボス深さを有するエンボス版を用いてエンボス加工を行い、表面の凹凸平均深さ50μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。
(A’)工程
この熱可塑性樹脂フィルムを射出成形用金型にセットし、真空成形を行った。真空成形は、ヒータを該熱可塑性樹脂フィルムから40mm離れた位置に配して、ヒータ温度を320℃に制御し、該フィルムの温度が110℃となるようにして5秒間加熱し、その後真空引きすることで行った。真空成形後の樹脂フィルム表面の凹凸深さを測定したところ、場所によって5〜15μmの凹凸深さがあり、凹凸平均深さとしては10μmと計算された。
(B)工程
成形樹脂であるABS樹脂を240℃で金型内に射出し、その後、金型温度が60℃まで冷却されたところで、樹脂成形品を取り出した。樹脂成形品表面の凹凸平均深さは3μmであった。
(C)工程
上記樹脂成形品をアクリル樹脂のTgより5℃低い100℃で30分間熱処理した。熱処理後の樹脂成形品表面の凹凸平均深さは9μmであった。
本発明の加飾樹脂成形品は、コンソールパネル、センタークラスター、スイッチベース等の自動車内装部品、塗装模様のサイドマットガード、バンパー、ホイルキャップやモール等の自動車外装部品等に好適である。
1’:化粧シート
2:可動型
3:固定型
4:キャビティ形成面
5: ゲート部
Claims (6)
- (A)表面に凹凸形状を有する熱可塑性樹脂フィルムを金型に挿入する工程、(B)該金型に成形樹脂を射出して加飾樹脂成形品を得る工程、及び(C)該加飾樹脂成形品を熱処理する工程を有する加飾樹脂成形品の製造方法であって、(C)工程の熱処理温度が、熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)より30℃低い温度以上の温度であることを特徴とする加飾樹脂成形品の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂がアクリル系樹脂又はポリカーボネート系樹脂である請求項1に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムの厚さが50〜200μmであり、フィルム表面の凹凸平均深さが30〜80μmである請求項1又は2に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
- 前記(A)工程及び(B)工程の間に、(A’)前記熱可塑性樹脂フィルムの立体加工工程を有する請求項1〜3のいずれかに記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
- 前記立体加工工程が真空成形工程である請求項4に記載の加飾樹脂成形品の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られる、加飾部分の表面の凹凸平均深さが3〜15μmである加飾樹脂成形品。
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