JP5862032B2 - インサート成形物の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記課題を改善するためになされたものでありその目的は、インサートするプレフォームフィルム形状を工夫する事により、インサート成形品においてインサートフィルム端部が製品表面に露出することを防ぎ、インサートフィルム端部からの剥離課題を改善するインサート成形手法を提供することである。
なお、本実施の形態のインサート成形物の製造方法の説明に先駆けて、一般的なインサート成形のプロセスについて説明する。一般に、インサート成形のプロセスとして、(1)プレフォーム工程(2)トリミング工程、(3)射出成形工程、に大別することができる。
(2)トリミング工程においては、賦形したフィルムをトリミングしインサート用プレフォームフィルムを得る。
通常のインサート成形プロセスにおけるプレフォームおよびトリミングを行ったプレフォームフィルム形状を図4に示す。このプレフォームフィルムを射出成形金型へ挿入し、射出成形を行うと、図1に示すように、インサートフィルム1の端部が成形品3の表面に露出している形状となる。このような状態のインサート成形品に関しては、例えば爪等による物理的な負荷により、インサートフィルム1端部をきっかけにした剥離が起きる可能性がある。
プレフォームフィルム2端部が内側に折り込まれた形状を付与する手法として、例えば図6に示すように、まず射出成形金型形状に沿った第1プレフォーム型4を用い製品形状に沿った形に賦形加工を行う。次に、トリミングを実施することで、図4に示すようなプレフォームフィルム1を得る。
本実施の形態に係るインサート成形物の製造方法により、図5に示すように、フィルム端部が内側に折り込まれたプレフォームフィルム2を用いるにより、インサート成形品端面処理としては、例えば図2に示すように、インサートフィルム端部が射出成形樹脂に埋め込まれた形状や、図3に示すように、射出成形品端部までインサートフィルムが回り込んだ形状のインサート成形品を製造することが可能となる。これら端面処理を施すことにより、インサート成形フィルム端部に起因するインサートフィルムの剥離不具合を改善することができる。
このような射出成形に用いられる熱可塑性樹脂として、特に制限するものではなく汎用的な射出成形用樹脂を用いることができる。例えば、ABS系樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、PC系樹脂(ポリカーボネート)、PCとABSのアロイ樹脂、PET系樹脂(ポリエチレンテレフタレート)、PMMA系樹脂(アクリル)、PP系樹脂(ポリプロピレン)、PLA系樹脂(ポリ乳酸)などが挙げられる。
〔実施例〕
(加飾フィルム)
加飾フィルムとしてアクリルフィルム(三菱レイヨン社製アクリルフィルム:HBS010P/ガラス転移温度100℃、基材厚み125μm)に、グラビアインキ(東洋インキ製造製のアクリル−塩酢ビインキ)に光輝顔料を添加したインキも含め重ね刷りし、グラビア印刷にて絵柄印刷層を設けた。絵柄印刷層面に、スクリーン印刷にて帝国インキ製IMB−003を接着層として印刷を施し加飾フィルムを作製した。
加飾フィルムを100℃に加熱し圧空成形により、製品形状に沿う形状に対応した第1プレフォーム型4(図6参照)を用いた予備賦形を実施し、トリミング加工を行うことでプレフォームフィルム1を作製した。製品形状は、縦120mm×横75mm×高さ(絞り深さ)5mm、形品肉厚1mm、外周R=5の蓋形状とし、射出成形型を作製した。これに対し第1プレフォーム型4としては高さ(絞り深さ)を4.5mmとし作製した。
第1プレフォーム型4に対して、高さ(絞り深さ)を4mmとし、プレフォームフィルム1の端部に対応する位置が削られて溝5Aが形成された第2プレフォーム型5にプレフォームフィルム1を配置し(図8参照)、リングヒーター6にてプレフォームフィルム1の端部を局所的に加熱することで、図9に示すように、プレフォームフィルム端部0.5mmが内側に折り込まれた形状であるプレフォームフィルム2を得た。
作製したプレフォームフィルム2を射出成形用金型に挿入、固定し、射出成形することでインサート成形品を得た。射出成形用樹脂としては、日本A&L製ポリカーボネート、ABSアロイ樹脂(T105)を用い,射出温度270℃、最大射出圧力200MPa、金型温度70℃、射出率150cm3/秒の成形条件にて射出成形を実施した。
実施例および比較例にて作製したインサート成形品に関して、インサートフィルム断面観察および恒温恒湿耐性試験(40℃90%RH、96時間)を実施した。結果として、実施例にて作製したインサート成形品はインサートフィルム端部が射出成形樹脂に埋め込まれた形状が得られているのに対し、比較例にて作製したインサート成形品はインサートフィルム端部が露出している形状であった。また、恒温恒湿試験後の外観観察から、実施例にて作製したインサート成形品は端部剥がれ、浮き等外観変化が無かったのに対し、比較例にて作製したインサート成形品は端部の剥がれが観察された。つまり、本発明におけるプレフォームフィルム2の端部が製品形状に対して内側に折り込まれた形状であることで、インサート成形品においてインサートフィルム端部が製品表面に露出することを防ぎ、インサートフィルム端部からの剥離を改善するインサート成形手法およびインサート成形品を提供することができた。
さらに、上記実施の形態では、プレフォームフィルム端部が製品形状に対して内側に折り込まれた形状であり、インサート成形品において、インサートフィルム端部が製品端部に対して回りこんだ形状となるため、インサートフィルムが製品端面まで被覆することができる。
以上、実施の形態について説明したが、これらの実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
例えば、上記実施の形態に係るインサート成形物の製造方法およびインサート成形物では、インサートフィルムの端部が内側へ折れ曲がるような形状としたが、インサートフィルムの端部が内側へ曲線状に湾曲するように形成できるようにプレフォーム型5の溝5Aを湾曲する凹部に形成しても勿論よい。
さらに、上記実施の形態では、第2プレフォーム型5の周囲にリングヒーター6を配置してインサートフィルムの端部を加熱したが、熱風を放出する熱風ヒーターを配置してもよい。
2 プレフォームフィルム
3 成形品
4 第1プレフォーム型
5 第1プレフォーム型
6 リングヒーター
Claims (1)
- 予め製品形状に沿った賦形加工を施したプレフォームフィルムを射出成形金型に挿入し、射出成形をおこなうインサート成形物の製造方法であって、
前記プレフォームフィルム端部が製品形状に対して内側に折り込まれた形状に加工するプレフォーム工程と、インサート成形を行う工程と、を備え、
前記プレフォーム工程は、製品形状に沿った第1のプレフォーム型を用いた第1プレフォームを行い、続いてトリミング処理を行った第1プレフォームフィルムを得た後、製品形状より絞りが浅く、かつ製品形状に対して内方に削られた第2プレフォーム型を用い、前記第1プレフォームフィルムの端部を加熱することにより製品形状に対して内側に折り曲げられた第2プレフォームフィルムを作製し、前記第2プレフォームフィルムの端部が製品形状に対して内側に折り込まれた形状となり、前記インサート成形物は、前記プレフォームフィルム端部が射出成形樹脂の肉厚方向に埋め込まれた形状を有することを特徴とするインサート成形物の製造方法。
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