JP2004351700A - 積層板の製造方法および積層板 - Google Patents
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Abstract
【課題】高信頼性のパッケージ基板を作製することに適しており、そり,ねじれ変形等が小さく,また熱による伸縮が少ない低熱膨張積層板、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】Siに近い熱膨張係数を持った合金箔を,さらに熱膨張係数が15ppm/℃以下のプリプレグを使用し、合金箔積層板を作製する。
【選択図】 なし
【解決手段】Siに近い熱膨張係数を持った合金箔を,さらに熱膨張係数が15ppm/℃以下のプリプレグを使用し、合金箔積層板を作製する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,低熱膨張係数を有する積層板の製造方法およびその製造方法により得られる積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、銅張積層板の製造には,従来から,エポキシ樹脂,エポキシ樹脂硬化剤,硬化促進剤からなるエポキシ樹脂組成物をガラスクロスに含浸させ半硬化状態にしたプリプレグと銅箔が用いられてきた。
【0003】
また,多層プリント配線板は,あらかじめ回路を形成した内層プリント配線板と外層配線材料である銅箔とを,プリプレグを介して,熱圧成形により一体化し、さらに外層銅箔に回路を形成して得られる。このプリプレグには,従来,ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸乾燥し,樹脂を半硬化状態にしたガラスクロスプリプレグ,もしくはガラスクロスを用いないプリプレグとして,フィルム形成能を有する樹脂を半硬化状態にした接着フィルム(特開平6−200216号公報参照),またはこの接着フィルムを銅箔の片面に形成した銅箔付き接着フィルム(特開平6−196862号公報参照)が使用されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−200216号公報
【特許文献2】
特開平6−196862号公報
【0005】
なお,ここでいうフィルム形成能とは,プリプレグの搬送,切断および積層等の工程中において,樹脂の割れや欠落等のトラブルが生じにくい,あるいはまたその後の熱圧成形時に,層間絶縁層(接着フィルム)が内層回路存在部等で異常に薄くなったりしない,そして層間絶縁抵抗の低下やショートというトラブルを生じにくいなどの性能を意味する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年,配線板であるパッケージ基板の実装方法は,目覚しい進化を遂げており,QFPなどの多ピン実装分野から,BGAなどのはんだボールを用いた実装方法へ,さらにはSIPと呼ばれる実装方法へと進んできている。さらに,その実装方法が進化するにつれ,半導体チップを直接搭載可能な配線板に対するの要求が高まってきている。しかしながら,配線板であるパッケージ基板と半導体チップとの熱膨張係数の違いが原因で,その伸縮時のストレスから,配線板表面にクラックが入るという問題が起きている。
【0007】
この要求に対し,従来の樹脂基板においては,より低熱膨張である樹脂(たとえば液晶ポリマやアラミド,ポリイミドなど)を使用した場合,樹脂そのものでは低熱膨張化が可能であるが,銅箔との組み合わせで、銅張積層板としては低熱膨張化が難しいという課題があった。また,ガラスセラミックを使用する方法や,Si上に薄膜回路形成を行う方法などによりパッケージ基板を作製することが考えられるが,いずれも高コストであり,量産化は難しい。
【0008】
また,電子機器の小型化,高性能化,低コスト化が進行し,プリント配線板も同様に,高密度化,薄型化,高信頼性化,低コスト化が要求されている。高密度化の要求に対してはプリント配線板の多層化により,薄型化の要求に対しては内層回路基板およびプリプレグを薄くすることにより対応している。しかし,ガラスクロスを使用するプリプレグの場合は,極薄化すると,耐熱性や耐電食性などの信頼性の低下、あるいは表面のうねりに伴う平滑性の低下などの問題が生じ,プリプレグの極薄化自体に限界があった。
【0009】
一方,ガラスクロスを使用しないプリプレグである,接着フィルムや銅箔付き接着フィルムは,厚さをより薄くすることができ,また小径のドリル加工性,レーザ穴加工性および表面平滑性に優れる。しかしながら,これらのプリプレグで作製した多層プリント配線板は,外層絶縁層(接着フィルム)にガラスクロス基材がないので剛性が極めて低く,これに起因して,特にはんだリフローなどの高温下において、外層絶縁層にクラックが発生するなどの問題が顕在化している。
【0010】
さらに,ガラスクロス基材を有しない外層絶縁層(接着フィルム)は,熱膨張係数も大きいので,半導体チップなどの実装部品との熱膨張の差が大きくなる。このことは,実装部品との接続信頼性の低下につながり,加熱冷却時の熱膨張−収縮に伴い,はんだ接続部にクラックや破断が起こり易い等の問題を抱えることになる。したがって,現状のガラスクロス基材を有しない接着フィルムや銅箔付き接着フィルムを使用しても,多層プリント配線板の薄型化,高密度化など、高度化する要求に対応できない状況にある。
【0011】
いっぽう,銅箔については,安価であること,伸びが大きいことなどにより,従来から電解銅箔が使用されてきていたが,銅の熱膨張係数は,約16ppm/℃あり,同じように,半導体チップとの熱膨張係数のアンマッチを引き起こす可能性があった。
【0012】
本発明は,高信頼性のパッケージ基板を作製することに適しており、そり,ねじれ変形等が小さく,また熱による伸縮が少ない低熱膨張積層板、及びその製造方法を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、Siに近い熱膨張係数を持った合金箔及び熱膨張係数が15ppm/℃以下のプリプレグからなる低熱膨張合金箔積層板を提供することで、上記の課題に対する解決を図った。
【0014】
請求項1に記載の発明は、少なくとも,1枚以上のプリプレグを介して,合金箔を加熱加圧により被着させることからなる積層板の製造方法である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、積層板の製造方法において,合金箔が42アロイであることを特徴とする請求項1に記載の積層板の製造方法である。
【0016】
請求項3に記載の発明は、積層板の製造方法において,表面に,銅めっき処理を施した合金箔を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層板の製造方法である。
【0017】
請求項4に記載の発明は、積層板の製造方法において,30〜120℃における熱膨張係数が15ppm/℃以下であるプリプレグを用いることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の積層板の製造方法である。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の積層板の製造方法を用いて製造された積層板である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明で使用できる合金としては、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、モリブデン、チタン、アルミニウム、銅、ニオブ、タリウム、鉛、亜鉛、カドミウム、スズ、タンタル、マンガン、タングステンなどの金属を少なくとも2種以上含む合金が挙げられ、これらを合金箔として用いる。合金箔の厚みとしては、1〜70μmが好ましく、5〜35μmがより好ましく、9〜18μmが特に好ましい。
【0020】
本発明で使用できる合金箔としては,例えば42アロイ,コバール合金,およびステンレススチール等が挙げられるが、これらに限定したものではない。また30〜120℃における熱膨張係数が、15ppm/℃以下の合金箔が好ましく、Siに近い熱膨張係数を持った合金箔がより好ましい。なかでも,42アロイは,120℃付近の熱膨張係数が5ppm/℃以下であり,半導体チップ(3ppm/℃)の熱膨張係数に非常に近いもののひとつであるため,特に好ましい。
【0021】
合金箔は,一般的に剛直であり,プリント配線板製造工程で予想される収縮工程で,プリプレグ等の伸びに耐え切れず,クラックが入る恐れがある。しかし、低熱膨張のプリプレグと組み合わせ、低熱膨張で整合を取ることで、製造工程でのクラックの発生を抑制することができる。また合金箔表面に伸びの良い銅めっきを施すことにより、さらにクラックが発生しずらくなるなど、銅めっきを行うことは有効である。
【0022】
そのときのめっき厚みは,全体の熱膨張係数に影響を与えない程度がよく,具体的には,0.1〜3μmが好ましく、0.5〜1.5μmがより好ましい。銅めっきは無電解銅めっきでも、電気銅めっきでもよい。また、化学的粗化、機械的粗化、酸洗、脱脂、触媒付与などのめっき前処理を行っても良い。なお42アロイに銅めっきを行った市販品を用いても良い。
【0023】
そして,本発明では,めっきした表面の銅に,エッチングや酸化剤などによる化学的粗化、またはバフやサンドブラスなどによる機械的粗化を施すことも,樹脂と金属箔の密着性を上げる点から有効である。
【0024】
また本発明は,めっきした銅,または粗化処理を施した銅の表面に,防錆処理や,樹脂との密着性を上げるカップリング処理のような,表面処理を施すことも好ましい。
【0025】
本発明のプリプレグに使用できる樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、けい素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂またはこれらの種々の変性樹脂類が好適である。これらの樹脂に、電気絶縁性フィラーを含有してなる樹脂組成物が使用でき、電気絶縁性フィラーを含むことにより、熱膨張率を小さくすることが可能となる。
【0026】
本発明に用いられる電気絶縁性フィラーは,無機充填材、セラミックまたは、ガラスなどである。電気絶縁性フィラーは,繊維状フィラー,球状フィラー,鱗片状フィラー,不定形フィラーなどのフィラーを用いることができる。また、ホウ酸アルミニウム,ウォラストナイト,チタン酸カリウム,塩基性硫酸マグネシウム,酸化マグネシウム,窒化けい素,水酸化アルミニウム,α−アルミナ,タルク等から選ばれた1種類以上のものを用いることができる
【0027】
電気絶縁性フィラーの配合量は、樹脂固形分100重量部に対し50〜350重量部が好ましく、100〜230重量部であることがより好ましい。50重量部未満であると,切断時に樹脂が細かく砕けて飛散しやすくなる等の取り扱い性が悪くなるとともに配線板にしたときに十分な放熱性や低熱膨張性が得られない。350重量部を超えると、熱圧成形時の内層回路の穴埋め性や回路間への樹脂充填性が損なわれ、熱圧成形後のフィラー複合樹脂層中にボイドやかすれが発生しやすくなり、配線板特性を損なう恐れがある。
【0028】
前記の樹脂組成物を使用したプリプレグとしては,ガラスクロスやアラミド繊維などの強化材に樹脂組成物を含浸乾燥し,樹脂を半硬化状態にした強化材入りプリプレグが好ましい。なお、30〜120℃における熱膨張係数が15ppm/℃以下であるプリプレグとしては、GEA−679F、GEA−679(LD)(以上、製品名:日立化成工業株式会社製)などが、市販品として、挙げられる。
【0029】
【実施例】
以下に,本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが,本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
実施例1
ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させた厚さ0.06mmのプリプレグ(製品名GEA−679F:日立化成工業株式会社製)の上下に、厚さ12μmの42アロイを積層し,プレスを用いて180℃,3MPaの条件で,1時間加熱加圧し,両面合金箔積層板を得た。さらにプリプレグのみで、前記の条件で、加熱加圧しプリプレグ硬化物を得た。
【0031】
実施例2
42アロイに3μmの銅めっきを施した合金箔を使用した他は,実施例1と同様の方法で両面合金箔積層板(銅めっきが最外層)及びプリプレグ硬化物を得た。
【0032】
実施例3
ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグに,厚さ0.06mmのGEA−679(LD)(製品名;日立化成工業株式会社製)を用いた他は,実施例1と同様の方法で両面合金箔積層板及びプリプレグ硬化物を得た。
【0033】
実施例4
ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグに,厚さ0.06mmのGRA−67BE(製品名;日立化成工業株式会社製)を用いた他は,実施例1と同様の方法で両面合金箔積層板及びプリプレグ硬化物を得た。
【0034】
比較例1
厚さ12μmの銅箔を用いた他は,実施例1と同様の方法で両面銅張積層板及びプリプレグ硬化物を得た。
【0035】
得られた積層板及びプリプレグ硬化物について,TMA引っ張り法(JIS C 6481に準拠)で,熱膨張係数を測定した。なお、試料のサイズは、厚み0.09mm×5.0mm×25mmであり、測定装置としてTMA2940(TA Instruments製)を用いた。結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
本発明における実施例1〜3の両面合金箔積層板は,プリプレグ,配線金属(合金箔)ともに低熱膨張で整合が取れており、熱膨張係数は11ppm/℃以下である。それに対し、比較例1に示されているように、金属箔に銅箔(約16ppm/℃)を用いた場合は、積層板の熱膨張係数は15ppm/℃を超しており、また材料間の熱膨張係数の差も大きい。これに対し、実施例1〜4に示すように合金箔を用いた場合、両面積層板とプリプレグ硬化物の熱膨張係数の差が、0.5〜1.9ppm/℃と少なく、配線の多い部分と少ない部分の熱膨張量差に起因するそり変形、ねじれ変形、クラック等が少なくなる。
【0038】
【発明の効果】
以上、本発明の両面合金箔積層板は、材料が低熱膨張で整合が取れているため,そり,ねじれ変形等が小さく,熱による伸縮が少ないことからプリプレグ,金属(合金)箔にクラックが入りにくいため,信頼性に優れる。したがって、この低熱膨張両面合金箔積層板を用いることにより,高信頼性のパッケージ基板を作製することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は,低熱膨張係数を有する積層板の製造方法およびその製造方法により得られる積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、銅張積層板の製造には,従来から,エポキシ樹脂,エポキシ樹脂硬化剤,硬化促進剤からなるエポキシ樹脂組成物をガラスクロスに含浸させ半硬化状態にしたプリプレグと銅箔が用いられてきた。
【0003】
また,多層プリント配線板は,あらかじめ回路を形成した内層プリント配線板と外層配線材料である銅箔とを,プリプレグを介して,熱圧成形により一体化し、さらに外層銅箔に回路を形成して得られる。このプリプレグには,従来,ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸乾燥し,樹脂を半硬化状態にしたガラスクロスプリプレグ,もしくはガラスクロスを用いないプリプレグとして,フィルム形成能を有する樹脂を半硬化状態にした接着フィルム(特開平6−200216号公報参照),またはこの接着フィルムを銅箔の片面に形成した銅箔付き接着フィルム(特開平6−196862号公報参照)が使用されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−200216号公報
【特許文献2】
特開平6−196862号公報
【0005】
なお,ここでいうフィルム形成能とは,プリプレグの搬送,切断および積層等の工程中において,樹脂の割れや欠落等のトラブルが生じにくい,あるいはまたその後の熱圧成形時に,層間絶縁層(接着フィルム)が内層回路存在部等で異常に薄くなったりしない,そして層間絶縁抵抗の低下やショートというトラブルを生じにくいなどの性能を意味する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年,配線板であるパッケージ基板の実装方法は,目覚しい進化を遂げており,QFPなどの多ピン実装分野から,BGAなどのはんだボールを用いた実装方法へ,さらにはSIPと呼ばれる実装方法へと進んできている。さらに,その実装方法が進化するにつれ,半導体チップを直接搭載可能な配線板に対するの要求が高まってきている。しかしながら,配線板であるパッケージ基板と半導体チップとの熱膨張係数の違いが原因で,その伸縮時のストレスから,配線板表面にクラックが入るという問題が起きている。
【0007】
この要求に対し,従来の樹脂基板においては,より低熱膨張である樹脂(たとえば液晶ポリマやアラミド,ポリイミドなど)を使用した場合,樹脂そのものでは低熱膨張化が可能であるが,銅箔との組み合わせで、銅張積層板としては低熱膨張化が難しいという課題があった。また,ガラスセラミックを使用する方法や,Si上に薄膜回路形成を行う方法などによりパッケージ基板を作製することが考えられるが,いずれも高コストであり,量産化は難しい。
【0008】
また,電子機器の小型化,高性能化,低コスト化が進行し,プリント配線板も同様に,高密度化,薄型化,高信頼性化,低コスト化が要求されている。高密度化の要求に対してはプリント配線板の多層化により,薄型化の要求に対しては内層回路基板およびプリプレグを薄くすることにより対応している。しかし,ガラスクロスを使用するプリプレグの場合は,極薄化すると,耐熱性や耐電食性などの信頼性の低下、あるいは表面のうねりに伴う平滑性の低下などの問題が生じ,プリプレグの極薄化自体に限界があった。
【0009】
一方,ガラスクロスを使用しないプリプレグである,接着フィルムや銅箔付き接着フィルムは,厚さをより薄くすることができ,また小径のドリル加工性,レーザ穴加工性および表面平滑性に優れる。しかしながら,これらのプリプレグで作製した多層プリント配線板は,外層絶縁層(接着フィルム)にガラスクロス基材がないので剛性が極めて低く,これに起因して,特にはんだリフローなどの高温下において、外層絶縁層にクラックが発生するなどの問題が顕在化している。
【0010】
さらに,ガラスクロス基材を有しない外層絶縁層(接着フィルム)は,熱膨張係数も大きいので,半導体チップなどの実装部品との熱膨張の差が大きくなる。このことは,実装部品との接続信頼性の低下につながり,加熱冷却時の熱膨張−収縮に伴い,はんだ接続部にクラックや破断が起こり易い等の問題を抱えることになる。したがって,現状のガラスクロス基材を有しない接着フィルムや銅箔付き接着フィルムを使用しても,多層プリント配線板の薄型化,高密度化など、高度化する要求に対応できない状況にある。
【0011】
いっぽう,銅箔については,安価であること,伸びが大きいことなどにより,従来から電解銅箔が使用されてきていたが,銅の熱膨張係数は,約16ppm/℃あり,同じように,半導体チップとの熱膨張係数のアンマッチを引き起こす可能性があった。
【0012】
本発明は,高信頼性のパッケージ基板を作製することに適しており、そり,ねじれ変形等が小さく,また熱による伸縮が少ない低熱膨張積層板、及びその製造方法を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、Siに近い熱膨張係数を持った合金箔及び熱膨張係数が15ppm/℃以下のプリプレグからなる低熱膨張合金箔積層板を提供することで、上記の課題に対する解決を図った。
【0014】
請求項1に記載の発明は、少なくとも,1枚以上のプリプレグを介して,合金箔を加熱加圧により被着させることからなる積層板の製造方法である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、積層板の製造方法において,合金箔が42アロイであることを特徴とする請求項1に記載の積層板の製造方法である。
【0016】
請求項3に記載の発明は、積層板の製造方法において,表面に,銅めっき処理を施した合金箔を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層板の製造方法である。
【0017】
請求項4に記載の発明は、積層板の製造方法において,30〜120℃における熱膨張係数が15ppm/℃以下であるプリプレグを用いることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の積層板の製造方法である。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の積層板の製造方法を用いて製造された積層板である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明で使用できる合金としては、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、モリブデン、チタン、アルミニウム、銅、ニオブ、タリウム、鉛、亜鉛、カドミウム、スズ、タンタル、マンガン、タングステンなどの金属を少なくとも2種以上含む合金が挙げられ、これらを合金箔として用いる。合金箔の厚みとしては、1〜70μmが好ましく、5〜35μmがより好ましく、9〜18μmが特に好ましい。
【0020】
本発明で使用できる合金箔としては,例えば42アロイ,コバール合金,およびステンレススチール等が挙げられるが、これらに限定したものではない。また30〜120℃における熱膨張係数が、15ppm/℃以下の合金箔が好ましく、Siに近い熱膨張係数を持った合金箔がより好ましい。なかでも,42アロイは,120℃付近の熱膨張係数が5ppm/℃以下であり,半導体チップ(3ppm/℃)の熱膨張係数に非常に近いもののひとつであるため,特に好ましい。
【0021】
合金箔は,一般的に剛直であり,プリント配線板製造工程で予想される収縮工程で,プリプレグ等の伸びに耐え切れず,クラックが入る恐れがある。しかし、低熱膨張のプリプレグと組み合わせ、低熱膨張で整合を取ることで、製造工程でのクラックの発生を抑制することができる。また合金箔表面に伸びの良い銅めっきを施すことにより、さらにクラックが発生しずらくなるなど、銅めっきを行うことは有効である。
【0022】
そのときのめっき厚みは,全体の熱膨張係数に影響を与えない程度がよく,具体的には,0.1〜3μmが好ましく、0.5〜1.5μmがより好ましい。銅めっきは無電解銅めっきでも、電気銅めっきでもよい。また、化学的粗化、機械的粗化、酸洗、脱脂、触媒付与などのめっき前処理を行っても良い。なお42アロイに銅めっきを行った市販品を用いても良い。
【0023】
そして,本発明では,めっきした表面の銅に,エッチングや酸化剤などによる化学的粗化、またはバフやサンドブラスなどによる機械的粗化を施すことも,樹脂と金属箔の密着性を上げる点から有効である。
【0024】
また本発明は,めっきした銅,または粗化処理を施した銅の表面に,防錆処理や,樹脂との密着性を上げるカップリング処理のような,表面処理を施すことも好ましい。
【0025】
本発明のプリプレグに使用できる樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、けい素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂またはこれらの種々の変性樹脂類が好適である。これらの樹脂に、電気絶縁性フィラーを含有してなる樹脂組成物が使用でき、電気絶縁性フィラーを含むことにより、熱膨張率を小さくすることが可能となる。
【0026】
本発明に用いられる電気絶縁性フィラーは,無機充填材、セラミックまたは、ガラスなどである。電気絶縁性フィラーは,繊維状フィラー,球状フィラー,鱗片状フィラー,不定形フィラーなどのフィラーを用いることができる。また、ホウ酸アルミニウム,ウォラストナイト,チタン酸カリウム,塩基性硫酸マグネシウム,酸化マグネシウム,窒化けい素,水酸化アルミニウム,α−アルミナ,タルク等から選ばれた1種類以上のものを用いることができる
【0027】
電気絶縁性フィラーの配合量は、樹脂固形分100重量部に対し50〜350重量部が好ましく、100〜230重量部であることがより好ましい。50重量部未満であると,切断時に樹脂が細かく砕けて飛散しやすくなる等の取り扱い性が悪くなるとともに配線板にしたときに十分な放熱性や低熱膨張性が得られない。350重量部を超えると、熱圧成形時の内層回路の穴埋め性や回路間への樹脂充填性が損なわれ、熱圧成形後のフィラー複合樹脂層中にボイドやかすれが発生しやすくなり、配線板特性を損なう恐れがある。
【0028】
前記の樹脂組成物を使用したプリプレグとしては,ガラスクロスやアラミド繊維などの強化材に樹脂組成物を含浸乾燥し,樹脂を半硬化状態にした強化材入りプリプレグが好ましい。なお、30〜120℃における熱膨張係数が15ppm/℃以下であるプリプレグとしては、GEA−679F、GEA−679(LD)(以上、製品名:日立化成工業株式会社製)などが、市販品として、挙げられる。
【0029】
【実施例】
以下に,本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが,本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
実施例1
ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させた厚さ0.06mmのプリプレグ(製品名GEA−679F:日立化成工業株式会社製)の上下に、厚さ12μmの42アロイを積層し,プレスを用いて180℃,3MPaの条件で,1時間加熱加圧し,両面合金箔積層板を得た。さらにプリプレグのみで、前記の条件で、加熱加圧しプリプレグ硬化物を得た。
【0031】
実施例2
42アロイに3μmの銅めっきを施した合金箔を使用した他は,実施例1と同様の方法で両面合金箔積層板(銅めっきが最外層)及びプリプレグ硬化物を得た。
【0032】
実施例3
ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグに,厚さ0.06mmのGEA−679(LD)(製品名;日立化成工業株式会社製)を用いた他は,実施例1と同様の方法で両面合金箔積層板及びプリプレグ硬化物を得た。
【0033】
実施例4
ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグに,厚さ0.06mmのGRA−67BE(製品名;日立化成工業株式会社製)を用いた他は,実施例1と同様の方法で両面合金箔積層板及びプリプレグ硬化物を得た。
【0034】
比較例1
厚さ12μmの銅箔を用いた他は,実施例1と同様の方法で両面銅張積層板及びプリプレグ硬化物を得た。
【0035】
得られた積層板及びプリプレグ硬化物について,TMA引っ張り法(JIS C 6481に準拠)で,熱膨張係数を測定した。なお、試料のサイズは、厚み0.09mm×5.0mm×25mmであり、測定装置としてTMA2940(TA Instruments製)を用いた。結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
本発明における実施例1〜3の両面合金箔積層板は,プリプレグ,配線金属(合金箔)ともに低熱膨張で整合が取れており、熱膨張係数は11ppm/℃以下である。それに対し、比較例1に示されているように、金属箔に銅箔(約16ppm/℃)を用いた場合は、積層板の熱膨張係数は15ppm/℃を超しており、また材料間の熱膨張係数の差も大きい。これに対し、実施例1〜4に示すように合金箔を用いた場合、両面積層板とプリプレグ硬化物の熱膨張係数の差が、0.5〜1.9ppm/℃と少なく、配線の多い部分と少ない部分の熱膨張量差に起因するそり変形、ねじれ変形、クラック等が少なくなる。
【0038】
【発明の効果】
以上、本発明の両面合金箔積層板は、材料が低熱膨張で整合が取れているため,そり,ねじれ変形等が小さく,熱による伸縮が少ないことからプリプレグ,金属(合金)箔にクラックが入りにくいため,信頼性に優れる。したがって、この低熱膨張両面合金箔積層板を用いることにより,高信頼性のパッケージ基板を作製することができる。
Claims (5)
- 少なくとも,1枚以上のプリプレグを介して,合金箔を加熱加圧により被着させることからなる積層板の製造方法。
- 積層板の製造方法において,合金箔が42アロイであることを特徴とする請求項1に記載の積層板の製造方法。
- 積層板の製造方法において,表面に,銅めっき処理を施した合金箔を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層板の製造方法。
- 積層板の製造方法において,30〜120℃における熱膨張係数が15ppm/℃以下であるプリプレグを用いることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の積層板の製造方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の積層板の製造方法を用いて製造された積層板。
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JP2003150700A JP2004351700A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 積層板の製造方法および積層板 |
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---|---|---|---|---|
JP2007118597A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-05-17 | Dainippon Printing Co Ltd | 化粧シート及びその製造方法並びに化粧シート付射出成形品 |
JP2015145115A (ja) * | 2014-02-04 | 2015-08-13 | 日立化成株式会社 | 金属張り積層板の製造方法及び金属張り積層板 |
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2003
- 2003-05-28 JP JP2003150700A patent/JP2004351700A/ja active Pending
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