明細書
ハロゲン化炭化水素の製造法
技術分野
本発明は、 一般式 HC 1 F y -, z (x、 yおよび zは 1 ≤ z≤ x 5、 y = 0〜4および x + y = 5を同時に満足する整数) で表されるハロゲン化炭化 水素の製造法に関し、 特に C2 C 1 F (R— 1 1 5) の副生量が少ない C2 H F5 (R— 1 25) の製造法に関する。
背景技術
- 1 2 5は規制フロンの代替物として有用であり、 冷媒などの用途に用いら れている · R— 1 2 5の製造法としては、 重クロム酸アンモニゥムを複分解して 得られる酸化クロム触媒の存在下に行う方法が知られている (じ S Ρ 53 34 7 8 7、 じ S Ρ 5399 549 )
前記従来の方法は、 R— 1 1 5が相当量副生する。 その副生量は、 R— 1 2 5 の生成量を増加させればさせる程増加し、 R— 1 2 5に対し数%に達する場合が ある。
R— 1 1 5はオゾン層保護法に基づく規制対象物質であり、 副生そのものが好 ましくないだけでなく、 たとえば冷媒の R— 1 25中に含有する R— 1 1 5が多 いと、 冷媒配管に使用される銅が溶出してメツキ現象を生じるなど、 R— 1 2 5 の冷媒性能に悪影響を及ぼす。 そこで一般に R— 1 25に対する R— 1 1 5の副 生量は 1 000 p p m以下に抑制することが望まれているつ
R— 1 2 5と R— i 1 5の混合物は、 R— 1 25ZR— 1 1 5 = 79重量0 /0/ 2 1重量%で共沸することが知られている (U S P 35052 3 3) , また R— 1 25と R— 1 1 5の混合物中、 R— 1 25が 99重量%以上でもこの混合物は ほとんど共沸様である,—. したがって、 R— 1 25と R— 1 1 5の沸点がそれぞれ 48. 5 Cと一 39. 1。Cと離れているものの、 蒸留分離はきわめて困難であ る。
この分離が困難な点を解決するために種々の方法が提案されている。 しカゝし、 抽出蒸留、 吸着除去、 R— 1 1 5の選択的な還元、 R— 1 1 5の選択的フッ素化 など煩雑な操作を必要とするものが多い: したがって R— 1 25製造の課題とし
て、 R— 1 1 5そのものの副生を抑制する触媒が望まれている。
この R— 1 1 5を抑制する試みとして、 触媒を改良することによる方法が特表 平 9一 5 1 1 5 1 5に記載されている。 この方法は 「亜鉛または亜鉛の化合物 J および 「フッ化クロムまたはォキシフッ化クロム」 を含有してなるフッ素化触媒 の存在下に一般式 C 2 H C 1 F ( xおよび yは各々別個に 0, 1, 2ま たは 3であり、 ただし x + yは 3である) で表されるハイ ド口フルォロクロロェ タンをフッ素化する試みである。 し力 し、 この方法は R— 1 2 5に対する R— 1 1 5の副生量を抑制する効果は不充分である。
また、 従来のフッ素化触媒を使用した R— 1 2 5の製造法は、 気相でフッ素化 した場合、 比較的触媒の寿命が短いという欠点がある,- 一般に寿命をより長くする試みとして、 反応ガス中に塩素ガスや酸素ガスを同 伴させる方法が知られている: 塩素を同伴させると、 さらに R— 1 2 5が塩素化 されて、 R— 1 1 5が副生する。 また酸素を同伴させると、 クロム触媒上で副生 する塩化水素とォキシ反応により塩素と水が生成する このため塩素ガスを同伴 させた場合と同様、 R— 1 1 5が副生するだけでなく、 水が副生するために塩化 水素およびフッ化水素とともにきわめて腐食性の高い雰囲気となる:
このようなことから、 塩素ガスまたは酸素ガスなどの添加ガスを用いずに、 反 応に直接関与する原料ガスのみの供給で寿命を長くできる触媒が望まれる ·, また 触媒が高活性であれば、 触媒の使用量が少なくて済み、 ニッケル系の高価な材料 を用いる反応器の大きさをより小さくすることが可能となる。
さらに、 触媒調製時ゃ賦活時などに水素のようなきわめて燃焼範囲の広い可燃 性ガスを使用する例 (U S P 5 4 9 4 8 7 3 ) もあるが、 工業的な規模では安全 上の特別な投資が必要となるため、 反応原料以外に使用するガスも、 窒素など不 活性ガスのみの使用が望まれる: またこのような不活性ガスを使用すると目的と する生成物の回収率の低下を招く可能性がある。
発明の開示
本発明者は、 かかる欠点を解消すべく鋭意研究した結果、 R— 1 5などのハ ロゲン化炭化水素を製造するための特定のフッ素化触媒が、 特に R— 1 2 5に対 して相対的に R— 1 1 5の副生量が少なく、 高活性でかつ高耐久性能を有するこ
とを見いだした。
すなわち本発明は、 以下の ( 1 ) 〜 (3) の要件を同時に満足するフッ素化触 媒の存在下、 一般式 C2 HC l x F y (x、 yは x = l〜5、 y = 0〜4および x + y = 5を同時に満足する整数) で表される化合物およびハークロロエチレン から選ばれる 1種以上の化合物をフッ化水素によりフッ素化して一般式 C2 HC
1 x-z Fy" (x、 yおよび zは 1 z≤ x≤ 5、 y = ()〜 4および x + y = 5 を同時に満足する整数) で表されるハロゲン化炭化水素を得ることを特徴とする ハロゲン化炭化水素の製造法であるつ
( 1 ) 亜鉛、 ジルコニウムおよびマンガンから選ばれる 1種以上の金属とクロム の複合酸化物からなる
(2) フッ素化反応に供する前におけるフッ素化触媒の表面積が 1 0 ()〜250 m - / g:
(3) フッ素化反応に供する前およびフッ素化反応中において酸化クロムに特徴 的な結晶性を実質的に示さない,
本発明において、 従来の触媒に比べ、 R— 1 1 5の副生を抑制し触媒寿命を長 く し、 かつ効率的に R— 1 2 5とその中間生成物を製造することができる:. 図面の簡単な説明
図 1は、 フッ化水素による活性化前の調製例 1で得られた複合酸化物触媒の X R Dチヤ一卜であり、
図 2は、 フッ化水素により活性化した後の実施例 1における複合酸化物触媒の X RDチヤ一トであり、
図 3は、 3 1 0日間の耐久性試験後の実施例 1における複合酸化物触媒の XR Dチヤ一トである.:,
発明を実施するための最良の形態
本発明において、 フッ化水素によりフッ素化される原料化合物は一般式 C 2 H C 1 x F y (x、 yは x = l〜5、 y = 0〜 4および x + y = 5を同時に満足す る整数) で表される化合物およびハーク口口エチレンから選ばれる 1種以上であ る。
具体的には、 ベンタクロロェタン、 テ トラクロ口フルォロェタン、 トリ クロ口
ジフルォロェタン、 ジクロロ 卜リフルォロェタン、 クロロテトラフルォロェタン およびバ一クロ口エチレンから選ばれる 1種以上である.: 好ましい原料化合物は ジクロロ トリフルォロエタンまたはク口ロテトラフルォロェタンである:
テトラクロ口フルォロェタンとは、 1, 1, 2, 2—テ 卜ラクロ口フルォロェ タン (R— 1 2 1 ) および 1, 1, 1, 2—テトラクロ口フルォロェタン (R— 1 1 a) の総称である: また、 トリクロロジフルォロェタンとは、 1, 2, 2 —トリクロロー 1, 1, ジフルォロエタン (R— 1 2 2) 、 1 , 1, 2— トリク ロロ一 1, 2—ジフルォロェタン (R— 1 2 2 a ) および 1, 1, 1 —トリクロ ロー 2, 2, ジフルォロェタン (R— 1 2 2 b ) の総称である また、 ジクロロ トリフルォロェタンとは、 2, 2—ジクロロ一 1, 1, 1 一トリフルォロェタン ( R - 1 2 3 ) 、 1, 2—ジクロロー 1, 1, 2— トリフルォロェタン (R— 1 2 3 a ) および 1 , 1ージクロロー 1, 2, 2—トリフルォロェタン (R— 1 2 3 b ) の総称である,, また、 クロロテトラフルォロェタンとは 2—クロロー 1, 1, 1, 2—テトラフルォロェタン (R— 1 2 4) および 1 一クロロー 1, 1 , 2, 2—テトラフルォロエタン (R— 1 2 4 a ) の総称である,
テトラクロ口フルォロエタンとしては R— 1 2 1力;、 トリクロ口ジフルォロェ タンとしては R— 1 2 2 、 ジクロロトリフルォロェタンとしては R— 1 2 3が、 クロロテトラフルォロェタンとしては R— 1 4力 それぞれ好適である。
トリクロ口ジフルォロェタンを原料とする場合、 異性体である R— 1 2 2 aお よび R— 1 2 2 bのトリクロ口ジフルォロェタン中の含有量は 2 0重量%未満で あることが好ましい。 すなわちトリクロロジフルォロェタン中の R— 1 2 2の含 有量は 8 0重量%以上であることが好ましい。
R— 1 2 2 a と R— 1 2 2 bの量が多い程、 R— 1 1 0番台 ( R— 1 1 5、 R 一 1 1 4、 R— 1 1 4 a、 - 1 1 3 , R - 1 1 3 a , R— 1 1 2、 R— 1 1 2 aなどのバークロロフルォロカーボン類の総称) の副生量が増加する。 ここで、 R - 1 1 4, R - 1 1 4 a , R— 1 1 3、 R— 1 1 3 a、 R— 1 1 2、 R— 1 1 2 a とは、 それぞれ 1, 2—ジクロロテトラフルォロェタン、 1, 1ージクロ口 テトラフノレォロェタン、 1 , 1, 2—トリクロ口 トリフルォロェタン、 1, 1, 1—トリクロ口 トリフルォロェタン、 1, 1, 2, 2—テトラクロロジフルォロ
ェタン、 1, 1, 1, 2—テトラクロロジフルォロェタンのそれぞれ略称である, : 次にジクロロ トリフルォロェタンを原料とする場合、 異性体である R— 1 2 3 および R— 1 2 3 bのジクロロ トリフルォロェタン中の含有量は 1 5重量%未 満であることが好ましレ、: すなわちジクロロ トリフルォロェタン中の R— 1 23 の含有量は 85重量0 /0以上であることが好ましい。 R— 1 23 aと R— 1 23 b の量が多い程、 R— 1 1 0番台の副生量が増加する。
クロロテトラフルォロェタンを原料とする場合、 異性体である R— 1 24 aの クロロテトラフルォロェタン中の含有量は 1 0重量%未満であることが好ましい: すなわち、 クロロテ トラフルォロェタン中の R— 1 24の含有量は 90重量0 /0以 上であることが好ましい. R— 1 24 aの量が多い程、 R— 1 1 0番台への転化 量が増加する,.
一般式 C H C 1 ί'ヽ (x、 yは x = l〜5、 y = 0〜4および x + y = 5 を同時に満足する整数) で表される化合物およびパ一クロ口エチレンから選ばれ る 1種以上の原料中、 R— 1 1 5が実質的に含まれていないこと、 また R— 1 1 5までフッ素化する可能性のある他の R— 1 1 0番台が実質的に含まれていない ことが好ましい:
フッ素化される原料が、 パークロロエチレン、 テトラクロ口フルォロェタンま たはトリクロロジフルォロェタンの場合、 それぞれの原料中の R— 1 1 1、 R— 1 1 2、 R— 1 1 2 a、 R - 1 1 3および R— 1 1 3 aの合計量は 5重量%以下 に抑制しておく ことが好ましレ、 同様に、 ジクロロ トリフルォロェタンの場合は R— 1 1 4、 R— 1 1 4 a、 R— 1 1 3および R— 1 1 3 aの合計量が 1重量0 /0 以下に、 クロロテトラフルォロエタン中の場合は R— 1 1 4と R— 1 14 aの合 計量が 1重量%以下に抑制しておく ことが好ましい:
ハークロロエチレンに対するフッ化水素の供給モル比は 2〜 20が好ましく、 5〜 1 0がより好ましい: 一般式 C 2 H C 1 x F (x、 yは x =】 -〜 5、 y = 0〜4および x + y = 5を同時に満足する整数) で表される化合物から選ばれる 1種以上の原料化合物に対するフッ化水素の供給モル比は 1〜20が好ましく、 2〜 1 0がより好ましい。
ジクロロ トリフルォロェタンに対するフッ化水素の供給モル比は 1〜 1 0が好
ましく、 2〜6がより好ましい: クロロテトラフルォロェタンに対するフッ化水 素の供給モル比は、 1〜1 0が好ましく、 1〜4がより好ましい。
混合原料であっても、 それぞれの原料が R— 1 2 5までフッ素化するために必 要な化学量論以上のフッ化水素を触媒反応場に存在させておくことが、 R— 1 1 5の副生を抑制するために好ましい。
反応温度は、 2 5 0〜 4 0 0 SCが好ましく、 より好ましくは 2 8 0〜 3 5 0 °C である。 高温では原料転化率が高くなる反面、 R— 1 1 0番台の副生量が増加す る: 反応は気相フッ素化反応が好ましい: 反応圧力は、 通常常圧〜 1 5 a t mで ある:.
反応器の材質としては、 ステンレス鋼以上のニッケル系高級材質が通常使用さ れる,. 例えば、 インコネル、 ハステロイ、 モネル、 s u s 3 1 6、 純ニッケル、 などが挙げられる..
本発明におけるフッ素化触媒は以下の (1 ) 〜 (3 ) の要件を同時に満足する フッ素化触媒である。
( 1 ) 亜鉛、 ジルコニウムおよびマンガンから選ばれる 1種以上の金属とクロム の複合酸化物からなる。
( 2 ) フッ素化反応に供する前におけるフッ素化触媒の表面積が 1 0 0〜2 5 0 m / g
( 3 ) フッ素化反応に供する前およびフッ素化反応中において酸化クロムに特徴 的な結晶性を実質的に示さないつ
フッ素化触媒は亜鉛、 ジルコニウムおよびマンガンから選ばれる 1種以上の金 属とクロムの複合酸化物であるために、 触媒上での脱ハロゲン化水素を抑制する 効果が期待され、 この結果、 ォレフィンが触媒上で重合、 重質化して触媒上に沈 着する量が減少し、 触媒寿命の長期化も同時に達成されると考えられる。 また、 酸化クロムの e s k o 1 i t e構造などへの結晶化を抑制する効果も期待される c ハロゲン交換反応に供される 2 5 ()〜4 0 0 Cの反応温度付近では、 きわめて 遅い速度ではあるが徐々にフッ素化触媒中の酸素原子含有量が減り、 フッ素化触 媒のフッ素化が進行すると同時に、 酸化物の結晶化も進行すると考えられる。 ここで亜鉛などの異種の原子価の異なる金属が存在することにより、 実質的に
非晶質もしくは結晶化度の低い状態をより長く保持することが可能となると考え られる.、 例えば、 同一処方で調製した亜鉛とクロムの複合酸化物と純酸化クロム とをそれぞれ 2 5 0〜 3 0 (TCで空気もしくは酸素を含有する雰囲気中で焼成す ろと、 純酸化クロムに比べこの複合酸化物は結晶化の進行が抑制できることが分 かった。
複合酸化物中の亜鉛、 ジルコニウムおよびマンガンから選ばれる 1種以上の金 属含有量がそれらの酸化物換算で 2〜 2 0重量%であることが、 R— 1 1 5の副 生が少なく、 高活性かつ高耐久性能の触媒、 および R— 1 2 5とその中間生成物 製造における高い生産性と低コスト化が可能となるので好ましい:
フッ素化触媒は、 フッ化水素、 フッ素化炭化水素などによるフッ素化前処理、 すなわちフッ素化反応に供する前に触媒を活性化処理しておくことが好ましい。 この活性化処理により、 複合酸化物の酸素原子が部分的にフッ素原子に置換され る一方で、 フッ素化触媒の表面積が低下し、 例えば 5 ()〜 2 0 0 m 2 Z gとなる。 活性化処理は、 通常窒素でフッ化水素ゃフッ素化炭化水素を希釈して行うが、 窒素 Zフッ素化炭化水素で活性化を行った後、 窒素/フッ化水素で活性化するな どの組み合わせにより、 最初から窒素/フッ化水素で活性化する場合に比べ、 フ ッ素化触媒の表面積を低下させにく くすることもできる:,
この活性化処理の温度は、 フッ化水素などの存在下で水が凝縮しない最低温度 と、 触媒の結晶化が進行しない最高温度によって、 決定される。 具体的には 2 0 0〜 3 5 0 が好ましく、 より好ましくは 2 5 0〜 3 0 0 X:である,, 通常 1 0〜 2 0重量%程度のフッ素がフッ素化触媒に導入されるまで活性化処理を行うこと が好ましい。
フッ素化触媒は、 例えば、 空気などの酸素含有ガスや塩素などにより再活性化 処理できるが、 フッ素化触媒の表面積の低下を伴う結晶化の起こりにくい再活性 化処理が好ましい: またフッ素化触媒は、 例えば気相フッ素化反応時に、 部分的 にフッ素化または塩素化フッ素化された状態となり、 前記活性化処理と同様な効 果が得られる。 したがって、 活性化処理はフッ素化反応に供する前に行わなくて もよい:
フッ素化触媒がフッ素化反応に供されると、 その表面積は低下する傾向にある。
実質的に反応に供された状態でのフッ素化触媒の表面積として 4 0 m 2 Z g以上 であれば、 十分な触媒性能が得られるため、 この表面積以上に維持することが好 ましい:.
フッ素化反応に供する前におけるフッ素化触媒の表面積は 1 0 ()〜 2 5 0 / gであり、 1 8 5〜 2 5 0 m 2 / gが好ましい: フッ素化反応に供する前であ りかつ活性化処理されているフッ素化触媒の表面積は 5 0 m 2 Z g以上であるこ とが好ましい。
例えば、 触媒調製段階の複合酸化物の状態での本発明におけるフッ素化触媒は、 X線回折分析 (X R D ) で回折ビークが e s k o l i t eなどの酸化クロムの結 晶構造を明確に示さない すなわち、 本発明におけるフッ素化触媒は実質的に酸 化クロムの回折ビークが測定されない実質的に非晶質なフッ素化触媒である。 また、 本発明におけるフッ素化触媒は、 例えば 2 Θ = 2 6〜2 7 d e gに特徴的 なヒークを有するフッ素化触媒である。 このピークは、 フッ素化触媒に混入する 成形助剤であるグラフアイ 卜に由来すると考えられる。
触媒調製方法の一例は以下のとおりであるが、 これに限定されない 亜鉛とク ロムの複合酸化物触媒を例に挙げて説明する。
硝酸クロム、 塩化クロム、 硫酸クロムなどのクロム塩の水溶液および硝酸亜鉛、 塩化亜鉛、 硫酸亜鉛などの亜鉛の塩の水溶液とアンモニア水を混合することによ つて水酸化クロムと水酸化亜鉛の共沈化合物を得る。
この共沈化合物を得るに際し、 クロム塩水溶液にアンモニアを一定速度で添加 し、 p H 4付近から沈殿を生成せしめ p H 7 . 5〜8付近までアンモニアを滴下 し、 さらに 6 0〜 9 0 程度の高温で熟成することが好ましい。 p Hは一定に保 つよりも、 上記のとおり変化させることが好ましレ\
フッ素化触媒の表面積をより高くすることができることから、 触媒調製方法に おいて水酸化物を得る際に p Hを徐々に上げながら水酸化物を共沈させ、 かつ高 温で熟成させることが好ましい,
次に、 この沈殿を濾過後、 6 0〜9 0 °Cの熱水で洗浄、 乾燥することが好まし い: この乾燥は、 例えば、 空気中で 8 0〜: I 5 0 SC、 特に 9 0〜 1 2 0 で、 1 0〜 2 0 0時間、 特に 1 5〜 3 0時間ほど行うことが好ましレ、:
このクロムと亜鉛の水酸化物を粉砕した後、 ベレッ トに成形する。 この際、 グ ラフアイ トなどの成形助剤を使用してもよい: この成形された触媒を、 窒素など の不活性ガス気流中にて焼成して非晶質の亜鉛とクロムの複合酸化物にする。 二の焼成温度は、 3 5 0〜4 5 0 C程度であり、 高い温度を採用する場合、 酸 化物の結晶化を回避するため焼成時間を短くすることが好ましい。 焼成された亜 鉛とクロムの複合酸化物の表面積は、 1 0 0〜 2 5 0 m2 Zg程度である。 以下の実施例では、 パークロロエチレン、 R— 1 2 3、 R— 1 2 3 a、 R— 1 2 3 b , R- 1 2 4, R— 1 24 aを原料として、 亜鉛、 ジルコニウムおよびマ ンガンから選ばれる 1種以上の金属とクロムの複合酸化物をあらかじめフッ化水 素などで前処理したフッ素化触媒の存在下、 フッ化水素と反応させて、 R— 1 2 5とその中間生成物を製造した,
ここで R— 1 2 3、 R - 1 2 3 a , R— 1 2 3 bを原料とした場合、 R— 1 2 4、 R— 1 24 aが副生し、 R— 1 24、 R— 1 2 4 aを原料とした場合も R— 1 2 3、 R- 1 2 3 a R— 1 2 3 bが副生する。
本発明の実施例での反応器は、 特に記載のない限りインコネル 600製、 1Z 2 B (内径 1 6. 1 mm) のし'字型反応器 (触媒最大充填可能量 2 0 0 m l ) を 使用した,: 本反応での触媒は、 いずれも Φ 3 mm X 3 mmに打錠成形したのち、 所定の前処理を経て、 反応器に充填し、 反応に供した,—, 接触時間はすべて空塔基 準の接触時間である。 また、 表 1一 1 5において、 %および p p mはモル基準で める。
図 1〜図 3において、 縦軸は c p s (X線強度) 、 横軸は 2 Θ (C u Kひ) を 表す。 測定条件は以下のとおりである。
管球: C u
管電圧: 4 0 K V
管電流: 1 0 0mA
走査軸 2 θ Z Θ
ゴニォメーター:広角ゴニォメータ一
サンプリング幅: 0. 0 1 0度
走査速度: 2. 0 00度ノ分
発散スリ ッ ト : 1度
散乱スリッ ト : 1度
受光スリッ ト : 0. 30 mm
Θオフセッ ト角度: 0. 000度 調製例 1
硝酸クロムの 2 570 gと硝酸亜鉛の 1 00 g (それぞれ無水物換算) を 1 5 リ ッ トルの純水に溶解させた後、 1 0重量0 /0のアンモニア水 7. 2リ ッ トルを 5 0〜 1 00 m 1 Z分ほどでゆつく りと滴下する。 p H 4付近から水酸化物の沈殿 が得られる アンモニア滴下終了は、 p H 7. 5付近であり、 生成した水酸化物 はゆっく り撹拌したまま、 8 O'C 1時間加熱して沈殿を得る。 この水酸化物を濾 過後、 80 Cの熱水にて 3回洗浄、 窒素雰囲気下 1 00eC 1 0時間乾燥させる。 こうして得られた水酸化物を Φ 3 mm X 3 mmのべレツ 卜に成形した,:. このペレ ットを窒素気流中 380aCにて 8時間焼成し、 複合酸化物を得た。
亜鉛とクロムの複合酸化物の表面積は、 2 1 0m2 Zgであり、 XRDの結果 を図 1に示す。 この複合酸化物は 2 6. 6 d e g付近に特徴的なビークを有する 力 結晶性は低い化合物である二とが分かり、 酸化クロムに特徴的な結晶性を実 質的に示さなかった。
実施例 1
調製例 1で調製した亜鉛とクロムの複合酸化物ペレツ ト 1 0 Om 1 をインコネ ル 600製反応器に充填し、 フッ化水素と窒素を 2 5 O :、 フッ化水素 Z窒素 = 1 / 3のモル比、 接触時間 1 0秒で 24時間活性化した。 活性化時に酸素が部分 的にフッ素に置換されて表面積が 79 m Zgまで低下した。
XRDの結果を図 2に示す。 活性化によって酸化クロムの結晶化など進行して いないことが分かる。 本触媒を用いて、 R— 1 23の気相フッ素化を行った。 原 料 R— 1 2 3中の異性体 R— 1 23 aと R— 1 23 bは合わせても 0. 1重量0 /0 以下である。 フッ化水素と R— 1 2 3を 29 (TC、 フッ化水素 ZR— 1 2 3 = 3 / 1のモル比、 接触時間 1 0秒で供給した。 脱酸後、 ガスクロマトグラフにより 分析した結果を表 1に示す。 R— 1 1 5の副生量は R— 1 25に対する生成量で
算出した (以下同様)
表 1
このように、 同一反応条件で継続して反応させた場合、 当初 R— 1 2 3転化率 は低く、 R— 1 2 5の選択率も低い一方、 比較的 R— 1 1 5の副生量は多い 2 0日程度で徐々に成績は安定、 3 1 0日までほとんど性能に変化がなく R— 1 1 5の生成量が低下することが分かった.: 3 1 0日後の表面積は 4 6 m
2 Zgであ り、 X RDの結果を図 3に示す。 酸化クロムなどへの結晶化はほとんど進んでい ないことが分かる,
比較調製例 1
硝酸クロムの 2 74 0 g (無水物換算) を 1 5 リ ッ トルの純水に溶解させた後、 1 0重量%のアンモニア水 Ί · 2 リ ツ トルを 5 0〜 1 0 0 gZ分ほどでゆつく り と滴下する。 p H4付近から水酸化物の沈殿が得られ、 最終 p H 7. 5までアン モニァ水を滴下する。 生成した水酸化物はゆっく り撹拌したまま、 8 CTC 1時間 加熱して沈殿を得る, この水酸化物を濾過後、 8 0°Cの熱水にて 3回洗浄、 窒素 雰囲気下 1 0 0 、 1 0時間乾燥させる。 こう して得られた水酸化物を 0 3 mm X 3 mmのべレツ 卜に成形した,. このべレツ トを窒素気流中 3 8 0。Cにて 8時間 焼成し、 酸化物を得た,:
この酸化クロムの表面積は 2 0 O m2 Zgであり、 X RDの結果、 非晶質の化 合物であった.
比較例 1
比較調製例 1で調製した酸化クロムペレツ ト 1 0 O m 1 をインコネル 6 0 0製
反応器に充填し、 フッ化水素と窒素を 2 50 C、 フッ化水素 Z窒素 = 1 Z3のモ ル比、 接触時間 1 0秒 (空塔基準) で 24時間活性化した.: XRDの結果、 活性 化によって酸化クロムの結晶化が進行していないことを確認した, 本触媒を用い て、 実施例 1同様に R— 1 23の気相フッ素化を行った: フッ化水素と R— 1 2 3を 2 90。C、 フッ化水素 Z R - 1 23 = 3/1のモル比、 接触時間 1 0秒で供 給した,, 脱酸後、 ガスクロマ トグラフにより分析した結果を表 2に示す,, 表 2
このように、 亜鉛とクロムの複合酸化物触媒同様、 20日程度で徐々に成績は 安定したが、 1 72日では反応率が 20 %ほど低下すると同時に R— 1 2 5選択 率も低下した 1. 72 日後の表面積は 38 m2 Zgであり、 XRDの結果、 酸化 クロムへの結晶化が確認された,:
調製例 2
硝酸クロムの 2400 gと硝酸亜鉛の 200 g (それぞれ無水物換算) を 1 5 リ ッ トルの純水に溶解させた後、 1 0重量0 /0のアンモニア水 7. 2リ ツ トルを約 80 gZ分ほどでゆつく りと滴下する他は、 調製例 1 と同様に調製して酸化物を 得た
亜鉛とクロムの複合酸化物の表面積は、 203 m2 Zgであった, XRDの結 果、 この複合酸化物は 26. 6 d e g付近に特徴的なピークを有するが、 結晶性 の低い化合物であることが分かり、 酸化クロムに特徴的な結晶性を実質的に示さ なかった。
実施例 2
調製例 2で調製した亜鉛とクロムの複合酸化物べレツ ト 1 0 Om 1 をインコネ ル 600製反応器に充填し、 フッ化水素と窒素を 2 50 C、 フッ化水素 Z窒素 = 1Z3のモル比、 接触時間 1 0秒で 24時間活性化した。 本触媒を用いて、 実施 例 1 と同様に R— 1 2 3の気相フッ素化を行った。 フッ化水素と R— 1 23を 2 9 OcC、 フッ化水素 ZR— 1 23 - 3/ 1のモル比、 接触時間 1 0秒で供給した c 脱酸後、 ガスクロマトグラフにより分析した結果を表 3に示す。
表 3
このように、 調製例 1に比べ亜鉛含量を多く した触媒では、 R— 1 25への単 流収率は若干低めとなるが、 比較的 R— 1 1 5の副生量は抑制される。 20日程 度で徐々に成績は安定、 98 日までほとんど性能に変化がないことが分かった。
98日後の表面積は 63 m2 Zgであり、 XRD測定の結果、 酸化クロムなどへ の結晶化は進行していないことを確認した。
調製例 3
硝酸クロムの 2 650 gと硝酸亜鉛の 40 g (それぞれ無水物換算) を 1 5 リ ットルの純水に溶解させた後、 1 0重量%のアンモニア水 7. 2 リツ トルを約 5 ()〜 1 O Om l Z分ほどでゆつく りと滴下する他は、 調製例 1と同様に調製して 酸化物を得た。
亜鉛とクロムの複合酸化物の表面積は、 2 1 0m2 Zgであり、 XRDの結果、 26. 6 d e g付近に特徴的なビークを有するものの酸化クロムに特徴的な結晶 性を実質的に示さず、 結晶性の低い化合物であることが分かった。
実施例 3
調製例 3で調製した亜鉛とクロムの複合酸化物べレツ ト 1 0 Om 1 をインコネ ル 600製反応器に充填し、 実施例 1 と同様に活性化、 R— 1 23の気相フッ素 化を行った: フッ化水素と R— 1 2 3を 290°C、 フッ化水素 ZR— 1 2 3 = 3 / 1のモル比、 接触時間 1 0秒で供給した。 脱酸後、 ガスクロマトグラフにより 分析した結果を表 4に示す,:
表 4
このように、 調製例 1に比べ亜鉛含量を少なく した触媒では、 20日程度で徐 々に成績は安定する,, 比較的 R— 1 1 5の副生量は多く、 1 20日まで若干の性 能低下が見られるが比較例 1に比べてその劣化の度合いは低い.: 反応後の表面積 は 6 1 m2 Zgであり、 XRD測定の結果、 フッ化クロムに帰属されるビークが 同定されたものの、 酸化クロムに特徴的な結晶性を実質的に示さず、 結晶性の低 い化合物であることが分かった。
実施例 4〜 5
調製例 1で調製した亜鉛とクロムの複合酸化物べレッ ト 1 00m l をインコネ ル 600製反応器に充填し、 実施例 1 と同様に活性化し、 R— 1 2 3の異性体混 合物の気相フッ素化を行った: R- 1 2 3/R~ 1 2 3 a/R- 1 2 3 b =9 1. 5/8. 3/0. 2の重量比率の混合物 (R— 1 2 3mと略する) を混合原料① として (実施例 4 ) 、 R- l 2 3/R- l 23 a/R- l 23 b = 80. 5/1 8. 6/0. 9の重量比率の混合物 (R— 1 23mと略する) を混合原料②とし て (実施例 5) 、 290°C、 フッ化水素 ZR— 1 2 3 m= 3/ 1のモル比、 接触 時間 1 0秒で供給した。 脱酸後、 ガスクロマトグラフにより分析した 20日後の
結果を、 高純度品の結果 (実施例 1 ) と比較して表 5に示す ;
表 5
このように、 R— 1 23の高純度品を使用した実施例 1 と同一反応条件で比較 すると、 K一 1 2 5の収率は高くなるものの、 R— 1 1 5の副生量が多いこと、 また R— 1 1 4も混合原料①で 1 %程度、 混合原料②で 2%程度副生しているこ とが分かった, 反応後の複合酸化物は、 XRD測定の結果、 酸化クロムに特徴的 な結晶性を実質的に示さず、 結晶性の低い化合物であることが分かった。
実施例 6
調製例 1で調製した亜鉛とクロムの複合酸化物べレツ ト 1 O O m l をインコネ ル 600製反応器に充填し、 実施例 1 と同様に活性化した後、 R— 1 24の気相 フッ素化を行った。 原料 R— 1 24中の異性体 R— 1 24 aは 0. 1重量%以下 であり、 R— 1 1 4と R— 1 1 4 aは合わせて 0. 1重量0 /0以下であった。 フッ 化水素と R— 1 24を 3 1 0 、 フッ化水素 ZR— 1 24 = 2/1のモル比、 接 触時間 1 0秒で供給した. 脱酸後、 ガスクロマトグラフにより分析した結果を表 6に示す
表 6
このように、 同一反応条件で維続して反応させた場合、 当初 R— 1 2 3同様、 R— 1 2 4転化率は低く、 比較的 R— 1 1 5の副生量は多いが、 2 0日程度で徐 々に安定し、 2 0 0日までほとんど性能に変化がないことが分かった,. 2 0 0日 後の表面積は 4 8 Zgであり、 X RDの結果から酸化クロムへの結晶化はほ とんど進んでいないことが分かった。
実施例 7〜 9
調製例 2で調製した亜鉛とクロムの複合酸化物べレツ ト 1 0 0 m 1 をインコネ ル 6 0 0製反応器に充填し、 実施例 5と同様に活性化し、 R— 1 2 4の異性体混 合物の気相フッ素化を行った 異性体 R— 1 2 4 aは 0. 1重量%以下である高 純度原料 (実施例 7) と R— 1 2 4ZR— 1 2 4 a = 9 1 . 5/ 8. 5の重量比 率の混合物 (R— 1 2 4 mと略する) を混合原料① (実施例 8) 、 R— 1 2 4Z R— 1 2 4 a = 8 8. 5/ 1 1. 5の重量比率の混合物 ( R— 1 2 4 mと略す る) を混合原料② (実施例 9 ) 、 を使用した場合で 2 0日後の結果を比較した。 いずれの原料も R— 1 1 4と R— 1 1 4 a合わせて 0. 1重量。/。以下であった。 3 1 0。C、 フッ化水素 ZR— 1 2 4 (または 1 2 4 m) = 2/ 1 のモル比、 接触 時間 1 0秒で供給した。 脱酸後、 ガスクロマトグラフにより分析した原料の相違 を比較して表 7に示す。
反応後の複合酸化物は、 X RD測定の結果、 酸化クロムに特徴的な結晶性を実 質的に示さず、 結晶性の低い化合物であることが分かった。
表 7
このように、 高純度品に比べ R— 1 2 5収率は高くなるものの、 R— l 1 5の 副生量が多いこと、 また R— 1 1 4、 1 3 3 aなどの副生が多いことが分かった。 調製例 4
硝酸クロムの 2 5 7 0 gと塩化酸化ジルコニウムの 2 5 0 g (それぞれ無水物 換算) を 1 5 リ ッ トルの純水に溶解させた後、 1 0重量%のアンモニア水 7. 2 リッ トルを 5 0〜 1 0 O m 1 Z分ほどでゆつく りと滴下する。 P H 4付近から水 酸化物の沈殿が得られる。 アンモニア滴下終了は、 p H 7. 5付近であり、 生成 した水酸化物はゆっく り撹拌したまま、 8 0 1時間加熱して沈殿を得る.: この 水酸化物を濾過後、 8 (TCの熱水にて 3回洗浄、 窒素雰囲気下 l O O :、 1 0時 間乾燥させる,: こうして得られた水酸化物を Φ 3 mm X 3 mmのべレツ 卜に成形 した: このべレッ トを窒素気流中 3 8 0 °Cにて 8時間焼成し、 酸化物を得た。 ジルコニウムとクロムの複合酸化物の表面積は、 2 0 6 m2 Zgあり、 X R D 測定の結果、 結晶性は低く、 2 0 = 2 6 . 6度のピークを確認した。
実施例 1 0
調製例 4で調製したジルコニウムとクロムの複合酸化物べレツ ト 1 0 0 m 1 を ィンコネル 6 0 0製反応器に充填し、 実施例 1 と同様に活性化し R— 1 2 3の気 相フッ素化を行った。 原料 R— 1 2 3中の異性体 R— 1 2 3 aと R— 1 2 3 bは 合わせても 0. 1重量%以下である。 フッ化水素と R— 1 2 3を 2 9 0 、 フッ 化水素 ZR— 1 2 3 = 3 / 1のモル比、 接触時間 1 0秒で供給した。 脱酸後、 ガ スクロマトグラフにより分析した結果を表 8に示す。
反応後の複合酸化物は、 XRD測定の結果、 酸化クロムに特徴的な結晶性を実 質的に示さず、 結晶性の低い化合物であることが分かった。
表 8
調製例 5
硝酸クロムの 2 600 gと硝酸マンガンの 1 00 g (無水物換算) を 1 5 リツ トルの純水に溶解させた後、 〗 0重量%のアンモニア水 7. 2 リ ッ トルを 50〜 1 00m l Z分ほどでゆつく りと滴下する。 p H 4付近から水酸化物の沈殿が得 られる。 アンモニア滴下終了は、 pH 7. 5付近であり、 生成した水酸化物はゆ つく り撹拌したまま、 80°C 1時間加熱して沈殿を得る ·. この水酸化物を濾過後、 80 の熱水にて 3回洗浄、 窒素雰囲気下 1 () 0¾:、 1 0時間乾燥させる。 こう して得られた水酸化物を Φ 3 mm X 3 mmのへレツ 卜に成形した このべレツト を窒素気流中 380 Cにて 8時間焼成し、 酸化物を得た
マンガンとクロムの複合酸化物の表面積は、 1 8 7m2 Zgであり、 XRD測 定の結果、 非晶質であることが分かった。
実施例 11
調製例 5で調製したマンガンとクロムの複合酸化物べレツ ト 1 00 m 1 をイン コネル 600製反応器に充填し、 実施例 1 と同様に活性化し R— 1 2 3の気相フ ッ素化を行った 原料 R— 1 23中の異性体 R— 1 2 3 aと R— 1 2 3 bは合わ せても 0. 1重量%以下である。 フッ化水素と R— 1 2 3を 290°C、 フッ化水 素 ZR— 1 23 = 3Z 1のモル比、 接触時間 10秒で供給した。 脱酸後、 ガスク 口マトグラフにより分析した結果を表 9に示す
反応後の複合酸化物は、 XRD測定の結果、 酸化クロムに特徴的な結晶性を実
質的に示さず、 結晶性の低い化合物であることが分かった
表 9
実施例 1 2
調製例 2で調製した亜鉛とクロムの複合酸化物べレツ ト 600m l を内径 2 7. 2 mmのィンコネル 600製耐圧型反応器に充填し、 フッ化水素と窒素を 250 C、 フッ化水素 Z窒素 = 1 / 5のモル比、 接触時間 30秒で 24時間活性化した c 本触媒を用いて、 R— 1 23の気相フッ素化を行った,::, 原料 R— 1 2 3中の異性 体 R— 1 23 a と R— 1 2 3 bは合わせても 0. 1重量%以下である 供給量は 一定で、 圧力を 1〜5 a t m、 フッ化水素と R— 1 2 3を 29 O :、 フッ化水素 / R - 1 2 3 = 3 / 1のモル比、 接触時間 1 5秒 ( 1 a t m) 〜 75秒 ( 5 a t m) で供給した 脱酸後、 ガスクロマトグラフにより分析した反応開始後 20日 での結果を表 1 0に示す
反応後の複合酸化物は、 X RD測定の結果、 酸化クロムに特徴的な結晶性を実 質的に示さず、 結晶性の低い化合物であることが分かった。
表 1 o
実施例 1 3〜 ] 5 /比較例 2
調製例 1で調製した亜鉛とクロムの複合酸化物べレッ ト、 調製例 4で調製した ジルコニウムとクロムの複合酸化物ペレツ ト、 調製例 5で調製したマンガンとク ロムの複合酸化物へレツ 卜および比較調製例 1で調製した酸化クロムへレツ トを それぞれ 1 0 O m 1ィンコネル 6 0 0製反応器に充填し、 フッ化水素と窒素を 2 5 0 °C、 フッ化水素 Z窒素 = 1 Z 3のモル比、 接触時間 1 0秒で 2 4時間活性化 した。 フッ化水素とハークロロエチレンを 2 8 0。C、 フッ化水素/ハークロロェ チレン = 8 / 1のモル比、 接触時間 1 0秒で供給した. ·_. 脱酸後、 ガスクロマトグ ラフにより分析した反応開始後 7日後の結果を表 1 1に示す:
率も低下した,.
実施例 1 3〜 1 5における反応後の複合酸化物は、 X R D測定の結果、 酸化ク ロムに特徴的な結晶性を実質的に示さず、 結晶性の低い化合物であることが分か つた。 比較例 2における反応後の酸化クロムは、 X R Dの結果、 酸化クロムへの 結晶化が確認された,..
角 Φ媒 一 P— 1 ? Q — 1 4 <J R— 1 1
転化率 選択率 選択率 選択率 副生量 調製例 1 80 % 55 % 23 % 19 % 0. 1 % 調製例 4 79 % 50 % 29 % 16 % 0. 2% 調製例 5 78 % 48 % 33% 1 5 % 0. 2 % 比較調製例 1 83 % 59 % 16 % 1 8 % 4. 2%
このように、 同一反応条件でパークロロエチレンを反応させた場合、 純酸化ク ロム触媒に比べて、 酸化クロム系複合酸化物触媒は、 R— 1 25の単流収率はほ ぼ同程度であるが、 R— 1 1 5の副生量は際だって抑制されることを確認した。 またいずれの場合も、 記载された以外の副生物として R— 1 22の他、 R— 1 1 4 a R— 1 1 4 R— 1 1 3 a R— 1 1 3 R— 1 1 2 a R— 1 1 2等を 確認した。 また R— 1 23や R— 1 24の異性体の副生量も 2重量%以下と低い ことを確認した。
原料をジクロロ トリフノレオ口エタンゃクロロテトラフノレォロェタンからパーク ロロエチレンにすることで、 R— 1 25に対する R— 1 1 5の副生量は多くなる が、 R— 1 2 3や R— 1 24などの中間生成物は、 R— 1 1 5を抑制した条件で R— 1 25までフッ素化することで、 全体としてパーク口口エチレンから R_ 1 25を製造する際の R— 1 25中の R— 1 1 5含有量を目標である 1 000 p p m以下にすることができる。 次に同一触媒を用いて酸素を 1体積%共存させて、 さらに反応を 7日間続けた場合の結果を表 1 2に示す。
表 1 2 触媒 ノ ―ゥ π 丄、 1 4 1丄 上 1 ο ς 転化率 選択率 選択率 選択率 副生量
調製例 1 82 % 53 % 2 1 % 2 1 % 0. 5%
調製例 4 80 % 49 % 21% 18 % 0. 6 %
調製例 5 83 % 45 % 36 % 16 % 0. 4%
比較調製例 1 85 % 55 % 18 % 20 % 8. 8%
酸素を添加すると R— 1 1 5だけでなく R— 1 1 0番台全体の生成量が増加す るが、 純酸化クロム系に比べ、 調製例 1、 4、 5記載の触媒は同一酸素添加量で も R— 1 1 5をはじめとする R— 1 1 0番台の生成が抑制できることを確認した。 比較調製例 2
硝酸クロムの 2 5 70 gと硝酸亜鉛の 1 00 g (それぞれ無水物換算) を 1 5 リ ッ トルの純水に溶解させた後、 1 0重量0 /oのアンモニア水 7. 2 リ ッ トルを 5 0 1 00 m 1ノ分ほどでゆつく りと滴下する。 p H 4付近から水酸化物の沈殿 が得られる。 アンモニア滴下終了は、 p H 7. 5付近であり、 生成した水酸化物 はゆっく り撹拌したまま、 80 C 1時間加熱して沈殿を得る。 この水酸化物を濾 過後、 80 Cの熱水にて 3回洗浄、 窒素雰囲気下 1 00°C、 1 0時間乾燥させる。 こうして得られた水酸化物を φ 3 mmX 3 mmのべレツ 卜に成形した。 このペレ ッ トを窒素気流中 550°Cにて 24時間焼成し、 複合酸化物を得た。
亜鉛とクロムの複合酸化物の表面積は、 30 m2 Zgであり、 XRDは、 酸化 クロムの結晶系を示した。
比較調製例 3
硝酸クロムの 25 70 gと硝酸亜鉛の 1 00 g (それぞれ無水物換算) を 1 5 リ ッ トルの純水に溶解させた後、 1 0重量%のアンモニア水 7. 2 リ ッ トルを 2 50 m 1 /分ほどで滴下する。 アンモニア滴下終了は、 pH 7. 5付近であり、 生成した水酸化物はゆっく り撹拌したまま、 80 :、 1時間加熱して沈殿を得る (
この水酸化物を濾過後、 80°Cの熱水にて 3回洗浄、 窒素雰囲気下 1 00 、 1 0時間乾燥させる。 こう して得られた水酸化物を 3 mmX 3 mmのペレツ 卜に 成形した。 このペレッ トを窒素気流中 450°Cにて 24時間焼成し、 複合酸化物 を得た。
亜鉛とクロムの複合酸化物の表面積は、 55m2 Zgであり、 XRDの結果、 酸化クロムの e s k o 1 i t e型の結晶性化合物であった。
比較例 3〜 4
比較調製例 2〜 3で調製した亜鉛とクロムの複合酸化物ペレツ ト 1 00m 1を インコネル 600製反応器に充填し、 フッ化水素と窒素を 250 、 フッ化水素 Z窒素 = 1 Z 3のモル比、 接触時間 1 0秒で 24時間活性化した。
本触媒を用いて、 実施例 1 と同様にして R— 1 2 3の気相フッ素化を行った。 原料 R— 1 23中の異性体 R— 1 2 3 aと R— 1 2 3 bは合わせても 0. 1重量 %以下である。 フッ化水素と R— 1 23を 290 、 フッ化水素 ZR— 1 23 = 3 1のモル比、 接触時間 1 0秒で供給した。 脱酸後、 ガスクロマトグラフによ り分析した結果について、 比較調製例 2については表 1 3に、 比較調製例 3につ いては表 1 4に示す。
表 1 3 反応日数 R- 1 23 R- 124 R- 125 R- 1 15 転化率 選択率 選択率 副生量
2曰 45 % 67 % 3 1 % 1250 p pm
20曰 57 % 48 % 49 % 980 p pm
310曰 46 % 52 % 45 % 850 p pm
表 1 4
比較例 3のように表面積が低くかつ酸化ク口ム結晶性を有する触媒を調製した 場合、 同一反応条件で継続して反応させると、 当初より R— 1 2 3転化率は低く、 R— 1 2 5の選択率も低い一方、 比較的 R— 1 1 5の副生量は多い。 2 0日程度 で徐々に成績は安定し、 3 1 0日までほとんど性能に変化がないが、 R— 1 2 5 の生成量が低下することが分かった。 3 1 0日後の表面積は 1 5 m
2 /gまで低 下していることを確認した。
また比較例 4のように酸化クロム結晶性を有する触媒を調製した場合、 R_ 1 2 3転化率は低く、 R— 1 2 5の選択率も低い一方、 比較的 R— 1 1 5の副生量 は多いことがわかった。
実施例 1 6〜: 1 7
調製例 1で調製した亜鉛とクロムの複合酸化物ペレツ ト 1 0 0 m 1をインコネ ル 6 0 0製反応器に充填し、 実施例 1 と同様に活性化し、 R— 1 2 2の異性体混 合物の気相フッ素化を行った。 R— 1 2 2/R- 1 2 2 a /R- 1 2 2 b = 9 6. 5 / 3. 3 /0. 2の重量比率の混合物を原料①として (実施例 1 6 ) 、 R— 1 2 2/R- l 2 2 a /R- l 2 2 b = 7 5. 3 /2 4. 5 /0. 2の重量比率の 混合物 (R— 1 2 2 mと略する) を原料②として (実施例 1 7) 、 3 0 0°C、 フ ッ化水素 — 1 2 2 m= 5 1のモル比、 接触時間 1 0秒で供給した。 脱酸後、 ガスクロマトグラフにより分析した 2 0日後の.結果を表 1 5に示す。
反応後の複合酸化物は、 X RD測定の結果、 酸化クロムに特徴的な結晶性を実 質的に示さず、 結晶性の低い化合物であることが分かった。
表 1 5
R— 122 R- 124 R- 124 R- 125 R - 1 1 5 転化率 選択率 選択率 選択率 副生量 原料① 86 % 41 % 35 % 22 % 900 p pm 原料② 93 % 35 % 36 % 25 % 1330 p p m