明細書 貼り合わせ成形品の成形方法およびその装置
技術分野
本発明は、 貼り合わせ成形品の成形方法およびその装置に係り、 特に外観品質 の優れた且つ軽量な成形品を製作する貼り合わせ成形品の成形方法およびその装 置に関する。 背景技術
従来、 貼り合わせ成形品の成形方法としては、 例えば特公昭 6 3 — 6 6 6 5 1 号公報に示されているような方法がある。 この方法では、 金型側に固定枠を設け 、 この固定枠と固定金型 (雌型) の間に表皮材の周縁を一定の挟持力で挟持し、 次いで固定金型と可動金型 (雄型) を接近させて、 表皮材の周縁を固定枠と固定 金型の間でスリ ップさせつつ固定金型の凹部内に表皮材を絞り込んでいる。
しかしながら、 かかる方法では一定の挟持力で表皮材の周縁を挟持した状態で 型締めを行い表皮材を型内に絞り込む時に、 表皮材と固定枠との間、 および表皮 材と雌型との間でそれぞれスリ ップさせながら行うために、 挟持力が大きすぎる と表皮材に破れが生じ、 小さすぎると表皮材にしわが生ずるという問題点がある また、 挟持力が適切な範囲にあっても、 深絞り品や複雑な形状の成形品では、 表皮材に作用する張力およびこれによる変形量が不均一になるため、 プレス工程 中の挟持力を一定にすると、 部分的な破れや損傷あるいはしわが発生し、 外観品 質が低下するという問題点がある。
さらに、 表皮材を金型内に置いて、 加熱溶融した熱可塑性樹脂をノズルからキ ャビティ に射出し、 固化させることにより表皮材と樹脂とを貼着する方法 (特公
昭 6 0 — 3 8 2 5 0号公報参照) や、 従来の発泡射出成形法により予め成形した 発泡体に、 接着剤を用いて表皮材を貼着する方法 (特開昭 6 0 — 1 2 4 2 3 9号 公報参照) がある。
しかしながらこれらの方法も、 樹脂表面のヒケ等を防止するために射出後の冷 却中は高い保圧圧力が必要であり、 金型に強く押し付けられる表皮材は模様変形 などにより表面品質が損なわれたり、 表皮材に溶融樹脂が浸透して商品価値を著 しく低下させることがある。 また、 樹脂基材が発泡体の場合は大型成形品でも軽 量化が可能であるが、 表皮材の貼り付けは手間のかかる難しい作業であり、 接着 強度も不十分になりやすいという問題点がある。 発明の開示
本発明はかかる問題点に着目して、 外観品質の優れた且つ軽量な成形品を製作 する貼り合わせ成形品の成形方法およびその装置を提供することを目的としてい る。
本発明の貼り合わせ成形品の成形方法は、 射出装置と、 型締装置と、 型締装置 に付設された固定金型および可動金型を用いて、 織布、 不織布、 熱可塑性樹脂あ るいは熱可塑性エラストマ一のシート、 およびフィルム等からなる表皮材と芯材 樹脂とを貼り合わせる成形方法において、 型締装置の固定金型と可動金型との間 のキヤビティ内に、 この可動金型により固定金型に挿入して貼り合わせる表皮材 の挿入量に合わせて、 この表皮材の張力を連続的あるいは段階的に可変にしてい る。 また、 表皮材の揷入速度に合わせて所定速度でこの表皮材を固定金型方向に 滑動してもよい。 さらに、 可動金型により固定金型に挿入する箇所の外方で、 表 皮材を少なく とも二箇所以上で保持し、 その各箇所における表皮材の各張力を一 致もしく は不一致にしている。
加えて、 表皮材を固定金型または可動金型内に置いてこれらの金型を閉じ、 発 泡剤を混合した芯材樹脂を射出装置のシリ ンダ内で加熱して未発泡状態の溶融樹 脂とし、 さらにこのシリ ンダとこれら金型との間で加熱して発泡剤を熱分解させ
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一
、 この発泡開始状態の溶融樹脂をこれら金型内のキヤビティ に射出し、 冷却固化 させて表皮材と芯材樹脂を貼り合わせている。 また、 発泡剤を混合した芯材樹脂 を射出装置のシリ ンダ内で加熱して未発泡状態の溶融樹脂とし、 さらにこのシリ ンダとこれら金型との間での加熱を多段階に制御し、 これら多段階のうち少なく とも 1つの段階で発泡剤を熱分解させ、 これら多段階に発泡開始状態あるいは未 発泡状態の溶融樹脂をこれら金型内のキヤビティに射出し、 冷却固化させて表皮 材と芯材樹脂を貼り合わせている。 シリ ンダとこれら金型間での加熱には、 剪断 発熱、 電気抵抗加熱あるいは超音波加熱の手段のうちの、 少なく とも 1手段を用 いている。 剪断発熱による加熱は、 シリ ンダのノズル部に設けられた溶融樹脂の 流路抵抗部を用いている。 流路抵抗部による加熱は、 口一タリ一バルブを用いて ている。
本発明の貼り合わせ成形品の成形装置は, 射出装置と、 型締装置と、 型締装置 に付設された固定金型および可動金型を用いて、 織布、 不織布、 熱可塑性樹脂あ るいは熱可塑性エラストマ一のシート、 およびフィルム等からなる表皮材と芯材 樹脂とを貼り合わせる成形装置において、 型締装置に付設されて表皮材に張力を 与える表皮材把持装置と、 この型締装置の可動ダイプレートあるいは可動金型の 型締め時のストロークまたは時間を検出する検出装置と、 この検出装置からの信 号によりこの表皮材把持装置へ表皮材の張力を変更する指令を出力する表皮材把 持制御部とからなる。 また、 型締装置に付設されて表皮材へ張力を与えると共に 、 この表皮材を揷入速度に合わせて所定速度で前記固定金型方 (½に供給する表皮 材把持 ·供給装置と、 この型締装置の可動ダイプレートあるい.は可動金型の型締 め時のス トロ一クまたは時間を検出する検出装置と、 この検出装置からの信号に よりこの表皮材把持 ·供給装置へ表皮材の張力を変更する指令と送り速度の指令 を出力する表皮材把持制御部とからなる。 表皮材把持装置の把持部は、 表皮材の 全周囲に一体枠で形成されている。 表皮材把持装置または表皮材把持 ·供給装置 の把持部は、 表皮材周囲の複数の対向する辺のうち少なく とも一つの対向する辺 に配設されるようにしてもよい。 表皮材把持制御装置は、 表皮材把持装置の複数
の把持部を各々独立して制御し、 表皮材把持 ·供袷装置の複数の把持部も各々独 立して制御している。 表皮材把持装置または表皮材把持 ·供給装置の把持部は、 表皮材の表面と裏面との間に圧縮力を与えることにより、 この表皮材に張力を与 えている。 表皮材把持装置または表皮材把持 ·供給装置の把持部は、 表皮材を直 接把持することにより、 この表皮材に張力を与えてもよい。 また、 表皮材把持 · 供給装置の把持部は、 表皮材の表面と裏面のうち少なく とも一面へ圧縮力を与え ることにより、 この表皮材を所定速度で供給している。
かかる構成によれば、 表皮材と芯材樹脂との貼り合わせを行うとき、 可動ダイ プレートあるいは可動金型の型締め時のス 卜ロークまたは時間に合わせて、 表皮 材に対し直接の所定の可変の張力あるいは表皮材を押圧する把持力 (圧縮力) に より生ずる可変の張力を与える。 また、 このとき表皮材に対し可動金型の形締め 方向への可変の送り量を与える。 この表皮材の張力あるいは表皮材の送り量の各 々を独立に、 あるいは表皮材の張力と表皮材の送り量を共に可変にしているため 、 型締めを行い表皮材を型内に挿入するさいに表皮材と固定枠との間、 および表 皮材と雌型との間のスリ ップが少なくなる。 このため、 表皮材の破れ、 あるいは しわの生ずることがない。 また、 深絞り品や複雑な形状品等の成形品でも、 表皮 材に作用する張力およびこれによる変形量がほぼ均一化されるため、 部分的な破 れゃ損傷、 しわの発生が防止され、 外観品質が向上する。
加えて、 シリ ンダ内での発泡剤を混合した樹脂は、 樹脂の融点以上でかつ発泡 剤の熱分解温度以下に加熱制御されているため、 発泡に起因する体積変化や流動 性変化が無く、 良い流動性を有してノズル部方向に流れる。 なお、 シリンダとこ れら金型との間、 例えばノズル部で加熱された場合、 発泡剤が熱分解温度以上と なり、 発泡剤の種類によっては一部熱分解を開始して微量ながら発泡し始めるこ ともあるが、 ほとんどの溶融樹脂は未発泡に近い状態である。 次に、 溶融樹脂は これら金型内のゲー卜からキヤビティに射出充塡され、 これら金型あるいはこれ ら金型に置かれた薄い表皮材に接触して融点以下まで急冷され、 未発泡あるいは 極く一部発泡した樹脂によりスキン層が形成される。 他方、 急冷されないキヤビ
ティ内部の溶融樹脂は発泡し、 コアが形成される。 この時、 スキン層はコアの発 泡圧によりこれら金型内壁面あるいは表皮材内面に押しつけられるため、 ヒケ等 を生ずることがなく、 表皮材表面の変形や変色等の品質低下も無い。 貼り合わせ 成形品は、 表皮材と、 高表面品質で充分な強度を有するスキン層および軽量のコ ァからなる芯材樹脂とが、 良好に接着されている。
また、 シリ ンダとこれら金型間の加熱制御は、 少なく とも 1つの段階で発泡剤 の熱分解温度以上に加熱し、 他の段階では発泡剤の熱分解温度以下に加熱もしく は未加熱とする多段階制御である。 例えば、 加熱を 3段階に制御し、 第 2段階で のみ発泡剤の熱分解温度以上に加熱し、 加熱手段がノズル部に設けられた溶融樹 脂の流路抵抗部であるロータリ一バルブによる剪断発熱の場合を説明する。 シリ ンダ内で樹脂の融点以上でかつ発泡剤の熱分解温度以下である所定温度に制御さ れた溶融樹脂は、 第 1段階ではロータリ一バルブ通過時の剪断発熱が小さくなる ように制御されているので、 未発泡状態でキヤビティに射出される。 第 2段階で はロータリ一バルブ通過時の剪断発熱が発泡剤の熱分解温度以上となるように加 熱制御し、 発泡開始状態でキヤビティ に射出される。 第 3段階では、 溶融樹脂が 未発泡状態でキヤビティ に射出される。 これら 3段階に加熱制御して射出充塡に より得られる貼り合わせ成形品は、 表皮材と、 所定の厚さで充分な強度を有し、 ヒケなどが無い高表面品質のスキン層および軽量のコアからなる芯材樹脂とが良 好に接着されている。
ところで、 剪断発熱による溶融樹脂の温度上昇 Δ Τは一般に次のようになる。 流路抵抗部における圧力損失を Δ Ρ、 溶融樹脂の粘度を??、 流路抵抗部の形状係 数を r、 射出成形機の射出圧力を P i、 射出成形機の射出速度を V i とすれば △ Τ = f ( , r , P i , V i )
となる。 これより、 剪断発熱による溶融樹脂の温度上昇は流路抵抗部における 圧力損失に比例し、 この圧力損失は溶融樹脂の粘度、' 流路抵抗部の形状係数、 射 出成形機の射出圧力、 射出成形機の射出速度により決まることが判る。 したがつ て、 剪断発熱の発熱量の制御すなわち加熱の制御は、 シリ ンダと金型との間、 例
えばノズル部に設けられた流路抵抗部での流路面積の調整、 溶融樹脂をキヤ ビテ ィ に射出する際の射出圧力、 射出速度の調整により行うと良い。 なお、 射出圧力 の調整に当たっては、 表皮材の表面品質を損なわない圧力選定が必要である。 図面の簡単な説明
図 1 は本発明の第 1実施例に係る射出圧縮成形機と貼り合わせ成形装置の外観 図、 図 2は第 1実施例に係る射出圧縮成形機と貼り合わせ成形装置の説明図、 図 3は第 1実施例に係る可塑物の射出と縮成形時の可動ダイプレー卜のタイムチヤ ート、 図 4は第 1実施例に係る可動ダイプレートと表皮材の張力のタイムチヤ一 ト、 図 5は第 2実施例に係る射出圧縮成形機と貼り合わせ成形装置の説明図、 図 6は第 3実施例に係る射出圧縮成形機と貼り合わせ成形装置の説明図、 図 7は第 3実施例の可動ダイプレートと表皮材の張力のタイムチヤ一ト、 図 8は第 4実施 例に係る射出圧縮成形機と貼り合わせ成形装置の説明図、 、 図 9は第 5実施例に 係る横型射出圧縮成形機と貼り合わせ成形装置の説明図、 図 1 0は第 6実施例に 係る横型射出圧縮成形機と貼り合わせ成形装置の一部可動金型部の断面図、 図 1 1 A—図 1 1 Cは把持部の配置の説明図、 図 1 2は第 7実施例に係る射出成形機 の断面図、 図 1 3は第 7実施例に係る射出工程中のバルブ開度の図表、 図 1 4は 第 7実施例に係る表皮付き発泡成形体の断面図、 図 1 5は第 8実施例に係るバル ブ開度の図表、 図 1 6は第 8実施例に係る表皮付き発泡成形体の断面図、 図 1 7 はバルブ開度とその剪断発熱による温度上昇の図表、 図 1 8は第 9実施例に係る 射出成形機の主要部の断面図、 図 1 9は第 1 0実施例に係る射出成形機の主要部 の断面図である。 発明を実施例するための最良の形態
次に本発明に係る第 1実施例につき図 1 一図 4を参照して詳細に説明する。 図 1、 図 2において、 射出圧縮成形機 1 は射出装置 2と型締装置 3と制御装置 4 とからなる。 貼り合わせ成形装置 8は表皮材把持装置 4 0と表皮材把持制御部
5 0とからなる。
射出装置 2には、 型締装置 3に可塑物を射出する射出シリ ンダ部 1 9 0が配設 され、 射出シリ ンダ部 1 9 0は加熱シリ ンダ 1 9 1に固設した図示しないスライ ドシリ ンダにより固定金型 1 1方向に滑動可能に装着されている。 加熱シリ ンダ 1 9 1内にはスク リュー 1 9 2が密接して挿入されており、 図示しない油圧シリ ンダの駆動によりスク リ ュー 1 9 2が金型方向に滑動し、 可塑物を射出する。 型締め装置 3は、 支柱 5と、 固定ダイプレート部 2 0と可動ダイプレー ト部 1 0とからなり、 支柱 5の途中に固定ダイプレート部 2 0が固設されている。 固定 ダイプレート部 2 0は固定金型 1 1 と、 これを保持する固定ダイプレート 1 2と カヽりなる。
支柱 5には、 可動ダイプレー ト部 1 0が配設され、 可動ダイブレー 卜部 1 0は 可動金型 2 1 と、 可動金型 2 1を保持し支柱 5に摺動自在に取着される可動ダイ プレート 2 2とからなる。 また、 可動ダイプレート部 1 0には、 可動ダイプレー ト 2 2を型締め時に固定ダイプレート 1 2の方向に押圧する型締シリ ンダ 2 3 a , 2 3 bと、 型締シリンダ 2 3 a , 2 3 bへの油圧を供給する制御装置 4からの 指令により作動する電磁切換弁 2 4および樹脂の加圧力を増減する電磁比例圧力 弁 2 5と、 油圧供給源の可変ポンプ 2 6と、 油タンク 2 7とが配設されている。 制御装置 4は、 型締工程および射出工程を制御する型締めコントローラ 3 0と 、 可動ダイプレート 2 2と固定ダイプレート 1 2との間に配設され、 固定金型 1 1に対する可動金型 2 1 の距離を検出する位置センサ 3 1 と、 表皮材 M m の材料 や製品形状に合わせて設定される可動金型 2 1の作動速度の変更位置を入力する ダイス トローク設定手段 3 .2と、 圧力および圧力の変更位置ならびに時間を設定 する圧力設定手段 3 3と、 可動金型 2 1の作動速度、 即ちポンプ 2 6の吐出量を 設定する作動速度設定手段 3 4とからなる。
型締めコントローラ 3 0は、 ダイストロ一ク設定手段 3 2、 圧力設定手段 3 3 あるいは作動速度設定手段 3 4からの入力指令を記憶するとともに、 位置センサ
— o —
3 1からの入力信号を得て、 可変ポンプ 2 6、 電磁切換弁 2 4および電磁比例圧 力弁 2 5に指令を出力する。 また、 型締めコントローラ 3 0は位置センサ 3 1か らの入力信号を得て、 後述する表皮材把持制御部 5 0に信号を出力する。
表皮材把持装置 4 0は、 型締装置 3の固定ダイプレート 1 2に付設された各シ リ ンダ 4 1 a、 4 1 bと、 それらのロッ ド 4 2 a、 4 2 bに連結されて表皮材 M m の周囲を保持する各把持部材 4 3 a、 4 3 bと、 各シリ ンダ 4 1 a、 4 1 bへ の圧力を供給する各ポンプ 4 4 a、 4 4 bと、 各ポンプ 4 4 a、 4 4 bからの流 体の圧力を設定し表皮材 M m の把持力を制御する各電磁比例圧力弁 4 5 a 4 5 bと、 油タンク 2 7とからなる。
表皮材把持制御部 5 0は、 把持力プログラム発生器 5 0 aと、 表皮材 M m の可 変 (段階的の変化を含む) の把持力を設定する把持力および把持力の変更位置な らびに変更時間設定器 (以下把持力 ·位置設定器という) 5 0 bと、 指令出力を 増幅する各アンプ 5 3 a、 5 3 bと、 把持力を入力する把持力入力手段 5 1 と、 ダイストロークを入力する位置入力手段 5 2とからなる。 表皮材把持制御部 5 0 では、 型締めコントローラ 3 0からの指令を受けるとともに、 表皮材 Mm の把持 力を設定する把持力 ·位置設定器 5 0 bからの信号を受けて、 把持力プログラム 発生器 5 0 aから各アンプ 5 3 a、 5 3 bを経て各電磁比例圧力弁 4 5 a、 4 5 bに指令を出力する。
次に、 本実施例の作動について説明する。 まず、 表皮材 M mの材料、 大きさ、 厚さ、 あるいは絞り深さ等それぞれの製品形状に合わせたプレス工程の可動金型 2 1の作動速度 Vを作動速度設定手段 3 4から、 また作動速度の変更位置 Yある いは時間 tをダイストローク設定手段 3 2から、 さらに加圧工程の保圧力 P pを 圧力設定手段 3 3から、 それぞれ型締めコントローラ 3 0に入力する。 このとき 、 可動金型 2 1の作動速度および作動速度の変更位置と射出シリ ンダ部 1 9 0か らの射出量との関係も型締めコン トローラ 3 0に入力する。 また、 位置センサ 3 1からの信号もコントローラ 3 0に入力する。
同様に、 製品形状に合わせた表皮材の把持力 Pを把持力設定手段 5 1から、 ま
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た把持力の変更位置 yを把持位置設定手段 5 2から、 それぞれ把持力 ·位置設定 器 5 O bに入力する。 なお、 上記においてプレス工程では、 作動速度の変更位置 Yと把持力の変更位置 yとは一致させている例を示している。
まず、 射出シリ ンダ部 1 9 0からの可塑物 2 0 0の射出と射出圧縮成形時の可 動ダイプレー ト 2 2との作動の関係について、 図 3で説明する。
可動ダイプレー ト 2 2は型全開位置 Y A 1から高速の早送りにより所定の位置 Y Α 2まで送られ、 そこで減速して低速の早送りにより所定の位置 Υ , に送られ停止 する。 この位置は可動金型 2 1 と固定金型 1 1が開いた状態の位置にあり、 しか も可動金型 2 1が表皮材 8の近傍の位置で、 好ましくは当接していない位置にあ る。 この位置 にて、 時刻 S l から時刻 s 2 の間で射出流量を変化させながら 射出シリ ンダ部 1 9 0から可塑物 2 0 0を固定金型 1 1 と表皮材 M m との間のキ ャ ビティ 9に、 スクリュー 1 9 2を制御して所定の初期射出量 (u P = u! - u 2 ) を射出する。 射出シリ ンダ部 1 9 0に配設された図示しない位置センサによ り初期射出量 u P が射出されたことを検出したら、 可動ダイプレート 2 2を作動 させプレス閉じの工程に入る。 順次設定された可動金型 2 1の作動速度 Vで閉じ るとともに、 射出シリ ンダ部 1 9 0より可塑物 2 0 0を順次所定の射出流速で射 出し、 金型が閉じる時刻 s 4 より早い時刻 s 3 で射出を終了する。 時刻 s 4 以降 は保圧工程にはいる。
次に、 射出圧縮成形時の可動ダイプレー ト 2 2と表皮材 Mm の把持力 Pとの作 動の関係について、 図 4で説明する。
可動ダイプレート 2 2は型全開位置 Y A 1から高速と低速の早送りにより所定の 位置 Υ , に送られ時刻 t , にて停止し、 待機にはいる。 この所定の位置 Y , ある いは時刻 t , にて、 把持力プログラム発生器 5 0 aは、 型締めコン トローラ 3 0 からの信号を受けるとともに、 把持力 ·位置設定器 5 0 bからの信号を受けて各 電磁比例圧力弁 4 5 a、 4 5 bにそれぞれ指令を出力し、 各電磁比例圧力弁 4 5 a、 4 5 bを所定の圧力に調圧する。 この圧力が各シリ ンダ 4 1 a、 4 1 bに作 用し、 各ロッ ド 4 2 a、 4 2 bに下方への押し下げ力を発生する。 この押し下げ
力により各把持部材 4 3 a、 4 3 bが表皮材 Mm を固定金型 1 1に押圧し、 表皮 材 Mm は一端が所定の保持力 P で、 他端が所定の保持力 P 2。で保持される。 時刻 t 2 までの間に可塑物 2 0 0が所定の初期量 u P だけ射出される。 時刻 t 2 になると、 型締めコン トローラ 3 0により電磁切換弁 2 4を切り換え、 可変ポ ンプ 2 6の圧油を各型締シリ ンダ 2 3 a , 2 3 bに吐出し、 可動金型 2 1を作動 速度 V , にて下降させる。 このとき、 把持力プログラム発生器 5 0 bは、 型締め コン トローラ 3 0からの信号を受けるとともに、 把持力 ·位置設定器 5 0 aから の信号を受けて各電磁比例圧力弁 4 5 a、 4 5 bにそれぞれ指令を出力し、 各電 磁比例圧力弁 4 5 a , 4 5 bを所定の圧力に調圧する。 表皮材 Mm は、 各把持部 材 4 3 a , 4 3 bによる力を受け、 一端が所定の保持力 P ^で、 他端が所定の保 持力 P21に変更される。 このため、 表皮材 Mm は所定の張力、 即ち各把持部材 4 3 a, 4 3 bと固定金型 1 1 との間の摩擦により、 —端が a P ,,, 他端がな P21 の張力を受けている。
さらに、 可動金型 2 1が下降して型締位置 Y2 に到達すると、 位置センサー 3 1が検出して型締めコントロ一ラ 3 0に信号を送信する。 型締めコントローラ 3 0は、 可変ポンプ 2 6の吐出量を換え、 可動金型 2 1を作動速度 V2 にて下降さ せる。 このとき、 把持力プログラム発生器 5 0 aは、 型締めコントローラ 3 0か らの信号を受けるとともに、 把持力 ·位置設定器 5 0 bからの信号を受けて各電 磁比例圧力弁 4 5 a、 4 5 bにそれぞれ指令を出力し、 前記と同様に表皮材 Mm の把持力 P 12、 P 22を変更し、 一端が α Ρ 12、 他端が α Ρ 22の張力を表皮材 Mm に与える。 以下同様に、 プレス工程の時間 ( t 3 〜 t 5 ) まで制御を続ける。 次に、 加圧工程では可動金型 2 1が下降して型締位置 Y VPに到達すると、 位置 センサ一 3 1が検出して型締めコン トローラ 3 0に信号を送信する。 型締めコン 卜ローラ 3 0は、 可変ポンプ 2 6の吐出量をさらに減少して吐出するとともに、 電磁比例圧力弁 2 5に指令を出力し、 各型締シリ ンダ 2 3 a , 2 3 bに保圧圧力 PP1をかける。 このとき、 可変ポンプ 2 6の吐出量の減少により、 エネルギーの 低減を図るとともに、 温度の上昇を防止する。
また、 把持力プログラム発生器 5 0 aは、 型締めコントローラ 3 0からの信号 を受けるとともに、 把持力 ·位置設定器 5 0 bからの信号を受けて各電磁比例圧 力弁 4 5 a、 4 5 bに指令を出力し、 表皮材 Mm の把持力 P 14、 P 24を変更する 。 保圧圧力 PP1にて所定の時間 T , だけ表皮材 Mm と可塑物 2 0 0を押圧したら 、 次の保圧圧力 PP2に移行するとともに、 表皮材 Mm の把持力を P 15、 P25に変 更して所定の時間 T2 押圧する。 順次所定の加圧工程が終了したら、 型締めコン トローラ 3 0により電磁切換弁 2 4を切り換え、 可動金型 2 1を上昇させて、 貼 り合わせた成形品を取り出す。 このように、 保圧圧力 ΡΡηと表皮材 Mm の把持力 PPnおよび可塑物 2 0 0の射出量を適宜選択することにより、 表皮材 Mm の破損 、 しわの防止を図ることができる。 なお、 図 4の張力は段階状に各実線で示して いるが、 各点線 w, 、 w2 で示すランプ状に可変に制御しても良い。
次に、 本発明の第 2実施例を図 5により説明する。 なお、 第 1実施例と同一構 成には同一符号を付して説明を省略する。
表皮材把持装置 6 0は、 形締装置 3の固定ダイプレート 1 2に付設された各シ リ ンダ 6 1 a、 6 l bのロッ ド 6 2 a、 6 2 bに取着された表皮材 Mm の周囲を 直接保持する各把持部材 6 3 a、 6 3 bと、 シリ ンダ 6 1 a、 6 1 bへの圧力を 供給するポンプ 6 4と、 各シリ ンダ 6 1 a、 6 1 bからの流体の圧力を設定して 表皮材 Mm の保持力を制御する各電磁減圧弁 6 5 a、 6 5 bと、 各シリ ンダ 6 1 a、 6 1 bへの送油を切り換えて各シリ ンダ 6 1 a、 6 l bの作動を切り換える 電磁切換 6 6と、 油タンク 2 7とからなる。
次に、 本実施例の作動については第 1実施例とほぼ同一のため、 図 3, 図 4を 用いて第 1実施例との違いを説明する。
所定の位置 Y, あるいは時刻 にて、 表皮材把持制御部 5 0の把持カブログ ラム発生器 5 0 aは、 型締めコン トローラ 3 0からの信号を受けるとともに、 把 持力設定器 5 0 bからの信号を受けて各電磁減圧弁 6 5 a、 6 5 bにそれぞれ指 令を出力し、 表皮材 Mm は一端が所定の保持力 P!。で、 他端も一端の反力により 所定の保持力 P10と同一の所定の保持力 P 20で保持される。 時刻 ( t , - t 2 )
までの間に可塑物 2 0 0が所定の初期量 u p だけ射出される。 時刻 t 2 になると 、 型締めコントローラ 3 0により電磁切換弁 2 4を切り換え、 可変ポンプ 2 6の 圧油を各型締シリ ンダ 2 3 a , 2 3 bに吐出し、 可動金型 2 1を作動速度 V , に て下降させ、 可動金型 2 1 と表皮材 Mm とを当接させて絞り込みにはいる。 このとき、 把持力プログラム発生器 5 0 aは、 型締めコントローラ 3 0からの 信号を受けるとともに、 把持力 ·位置設定器 5 0 bからの信号を受けて、 電磁切 換 6 6と各電磁減圧弁 6 5 a、 6 5 bにそれぞれ指令を出力し、 電磁切換弁 6 6 をその中立位置から導通位置に切り換えるとともに、 各電磁減圧弁 6 5 a、 6 5 bの調圧を一端が所定の保持力 P nに、 他端が所定の保持力 P 2 1に変更する。 各 電磁減圧弁 6 5 a、 6 5 bは、 可動金型 2 1の下降に伴い作動して表皮材 Mm に 所定の張力を与える。 このときの所定の保持力 P Mと所定の保持力 P 2 1は、 製品 の形状等に合わせた最適の張力になるように設定される。 保持力 P Hと保持力 P
2 1は同一でも良く、 あるいは異なっても良い。 以下の工程においては、 第 1実施 例の各電磁比例圧力弁 4 5 a、 4 5 bと同様に、 各電磁減圧弁 6 5 a、 6 5 bを 制御して張力を変更する。 本実施例では直接表皮材 Mm に張力を与えるため、 精 度がさらに向上する。
次に、 本発明の第 3実施例を図 6 , 図 7により説明する。 なお、 第 1実施例と 同一の構成には同一符号を付して説明を省略する。
貼り合わせ成形装置 8 Bは表皮材把持および供給装置 (以下表皮材把持 ·供給 装置という) 7 0と表皮材把持制御部 8 0とからなる。
表皮材把持 ·供給装置 7 0は、 固定ダイプレー ト 1 2に付設された各ブラケッ ト 7 1 a、 7 1 bに保持され、 かつ、 各モータ 7 2 a、 7 2 bにて駆動される各 供給ローラ 7 3 a、 7 3 bと、 固定ダイプレート 1 2等からの支持壁 7 4に取着 された各把持ローラ部 7 5 a、 7 5 bとからなる。 各把持ローラ部 7 5 a > 7 5 bは、 把持力を可変にする各把持ローラ 7 6 a、 7 6 bと、 各把持ローラ 7 6 a 、 7 6 bを押圧する各パネ 7 7 a , 7 7 bと、 パネ 7 7 a , 7 7 bの取り付け荷 重を可変にする各ボールネジ 7 8 a、 7 8 bと、 各ボールネジ 7 8 a、 7 8 bを
移動させる各サーボモータ 7 9 a、 7 9 bとからなる。
表皮材把持制御部 8 0は、 把持力プログラム発生器 8 0 aと、 表皮材 M m の送 り量プログラム発生器 8 0 bと、 表皮材 M m の把持力 ·送り量 ·位置設定器 8 0 cと、 指令の出力を増幅する各アンプ 8 l a、 8 1 b、 8 1 c、 8 1 dと、 モー タ 7 2 bにモータ 7 2 aと反対方向の送り量指令を出力させる信号反転器 8 2と 、 各モータ 7 2 a、 7 2 bの回転角 (送り量) を検出する各パルスジヱネレー夕 8 3 a、 8 3 bとからなる。 さらに、 保持力を入力する把持力入力手段 8 5と、 ダイストローク (位置) あるいは時間を入力する位置入力手段 8 6と、 送り量を 入力する送り量入力手段 8 7が付設されている。 表皮材把持制御部 8 0では、 型 締めコン トローラ 3 0からの指令を受けるとともに、 把持力 ·送り量 ·位置設定 器 8 0 cからの信号を受けて、 把持力プログラム発生器 8 0 aから各アンプ 8 1 a、 8 1 bを経て各サーボモータ 7 9 a、 7 9 bに指令を出力する。 また、 送り 量プログラム発生器 8 0 bから各アンプ 8 1 c、 8 1 dを経て各モータ 7 2 a、 7 2 bに指令を出力する。
次に、 本実施例の作動について説明する。 まず、 第 1実施例と同様に製品形状 に合わて、 プレス工程の可動金型 2 1の作動速度 Vを流量設定手段 3 4から、 作 動速度の変更位置 Yあるいは時間 tをダイス トローク設定手段 3 2から、 加圧ェ 程の保圧力 P P を圧力設定手段 3 3から、 それぞれ型締めコントローラ 3 0に入 力する。 このとき、 可動金型 2 1の作動速度 Vと作動速度の変更位置 Yと射出量 との関係も型締めコン トローラ 3 0に入力する。
さらに、 製品形状に合わせた表皮材 M m の把持力 Pを把持力入力手段 8 5から 、 把持力の変更位置 yあるいは時間 S nをダイス トローク (位置) を入力する位 置入力手段 8 6から、 表皮材 Mm の送り量を入力する送り量入力手段 8 7から、 それぞれ把持力 ·送り量の変更位置設定器 8 0 cに入力する。 なお、 上記におい てプレス工程では、 作動速度の変更位置 Yと把持力の変更位置 yとは一致させて いない例を示している。
ここで、 射出圧縮成形時の可動ダイプレート 2 2のストローク位置と表皮材 M
— — m の張力 Pおよび送り量との関係について説明する。 図 7ではス トローク位置と 表皮材 Mm の張力 Pを示す。 可動ダイプレート 2 2金型全開位置 YA1から高速と 低速の早送りにより所定の位置 Υ , に送られ時刻 t , にて停止し、 待機にはいる 。 この所定の位置 あるいは時刻 t , にて、 把持力プログラム発生器 8 0 aは 、 型締めコン 卜ローラ 3 0からの信号を受けるとともに、 把持力,送り量 ·位置 設定器 8 0 cからの信号を受けて、 各アンプ 8 1 a、 8 1 bを経て各サーボモ一 タ 7 9 a、 7 9 bにそれぞれ指令を出力する。 各サーボモータ 7 9 a、 7 9 bは 、 各ボールネジ 7 8 a、 7 8 bを回転させて各パネ 7 7 a , 7 7 bを押圧する。 これにより、 各パネ 7 7 a , 7 7 bの取り付け荷重が可変となり、 表皮材 Mm は 各ローラ 7 6 a、 7 6 bにより、 一端が所定の保持力 P 3。で、 他端が所定の保持 力 P 4 oで保持される。
時刻 ( t , ~ t 2 ) の間に可塑物 2 0 0が所定の初期量 u P だけ射出される。 時刻 t 2 になると、 型締めコントローラ 3 0により電磁切換弁 2 4を切り換え、 可変ポンプ 2 6の圧油を型締シリ ンダ 2 3 a , 2 3 bに吐出し、 可動金型 2 1を 作動速度 V , にて下降させるとともに、 表皮材 Mm を送るために送り量プログラ ム発生器 8 0 bから各アンプ 8 1 c、 8 1 dを経て各モータ 7 2 a、 7 2 bに所 定の送り量と送り速度 (例えば所定のモータの回転速度 ^3 V, ) で指令を出力す る。 そして、 各パルスジェネレータ 8 3 a , 8 3 bが所定の送り量 x , に達し時 、 各モータ 7 2 a、 7 2 bを止める。 これにより、 表皮材 Mm は可動金型 2 1 に より作動速度 V , にて固定金型 1 1内に送られるとともに、 各把持ローラ 7 6 a 、 7 6 bにより把持されながら各モータ 7 2 a、 7 2 bにて駆動される各供給口 ーラ 7 3 a、 7 3 bにより所定の送り速度 /3 V , (但し 3は 1以下とする) で所 定の送り量 X , だけ可動金型 2 1 と固定金型 1 1の方向に供給される。
このとき、 可動金型 2 1 により作動速度 V , にて固定金型 1 1内に送られる途 中の所定の位置 y 2 あるいは時刻 S 2 にて、 把持力プログラム発生器 8 0 aは型 締めコン トローラ 3 0からの信号を受けるとともに、 把持力 ·送り量 ·位置設定 器 8 0 cからの信号を受けて把持力プログラム発生器 8 0 aから各サーボモータ
7 9 a、 7 9 bにそれぞれ指令を出力してパネ各 7 7 a , 7 7 bを押圧し、 各口 ーラ 7 6 a、 7 6 bにて表皮材 Mm は一端が所定の保持力 P 31で、 他端が所定の 保持力 P 41で保持されるように変更される。 これにより、 表皮材 Mm はさらに強 い把持力を受けるので、 例えば、 深い金型内に送りこまれても緩むことなく固定 金型 1 1内に送られる。
さらに、 可動金型 2 1が下降して型締位置 Y2 に到達すると、 位置センサー 3 1が検出して型締めコン トローラ 3 0に信号を送信する。 型締めコン トローラ 3 0は、 可変ポンプ 2 6の吐出量を換え、 可動金型 2 1を作動速度 V 2 の低速の速 度にて下降させる。 これにより、 表皮材 Mm は可動金型 2 1 により急激に押し込 まれることがなくなり、 例えば更に深い金型内に送りこまれても伸びることなく 固定金型 1 1内に送られる。 このとき、 表皮材 Mm を送るために送り量プログラ ム発生器 8 0 bから各アンプ 8 1 c、 8 1 dを経て各モータ 7 2 a、 7 2 bに所 定の送り量 x2 を所定の送り速度 (例えば所定のモータの回転速度 S V2 ) で指 令を出力する。
さらに、 可動金型 2 1により作動速度 V 2 にて固定金型 1 1内に送られる途中 の所定の位置 y 3 あるいは時刻 S 3 にて、 各ローラ 7 6 a、 7 6 bの押しつけ力 を換えて表皮材 Mm の把持力を一端が所定の把持力 P32に、 他端が所定の把持力 P 42に変更する。
以下同様にして、 プレス工程の型締位置 YVPまで制御する。 次いで加圧工程に 入り、 可動金型 2 1が下降して型締位置 ΥνΡに到達すると、 位置センサー 3 1 が検出して型締めコントローラ 3 0に信号を送信する。 型締めコン トローラ 3 0 は、 可変ポンプ 2 6の吐出量をさらに減少して吐出するとともに、 電磁比例圧力 弁 2 4に指令を出力し、 型締シリ ンダ 2 3 a, 2 3 bに保圧圧力 P Plをかける。 保圧圧力 PPlの加圧工程中、 可動金型 2 1 は樹脂の冷却により時間 t e で停止す るまでさらに移動する。 この移動中の可動金型 2 1の位置 y stを位置センサー 3 1が検出し (あるいは時間 S5 を検出し) 、 各ローラ 7 6 a、 7 6 bの押しつけ 力を換えて表皮材 Mm の把持力を一端が所定の保持力 P 34に、 他端が所定の保持
力 P 44に変更する。 同時に把持力プログラム発生器 8 0 aはタイマーセッ ト時間 T t lをスタートさせる。 なお、 表皮材 Mm は樹脂の冷却による可動金型 2 1の移 動量が大きいときは、 各供給ローラ 7 3 a、 7 3 bにより送り、 移動量が小さい ときは送らないようにしても良い。
さらに、 樹脂が冷却され、 可動金型 2 1が時間 t 6 で停止する近傍で、 各ロー ラ 7 6 a、 7 6 bを作動させ、 一端が所定の保持力 P 35に、 他端が所定の保持力 P 45にと、 低い把持力に変更する。
保圧圧力 P P1にて所定の時間 だけ表皮材 Mm と可塑物 2 0 0を押圧したら 、 次の保圧圧力 PP2に移行する。 この途中で、 タイマ—セッ ト時間 T t lがタイム アップしたら、 次のタイマーセッ ト時間 T t2でスター卜させると共に表皮材 Mm 8の把持力 P35、 P 45から把持力 Ρ 3β、 Ρ 46に変更し、 所定の時間 Τ2 だけ表皮 材 Mm と可塑物 2 0 0を押圧する。 順次所定の保圧圧力を低減していき、 加圧ェ 程が所定の時間 T3 を経過して終了したら、 型締めコントローラ 3 0により電磁 切換弁 2 4を切り換え、 可動金型 2 1を上昇させて、 貼り合わせた成形品を取り 出す。 このように、 保圧圧力 ΡΡηと表皮材 Mm の把持力 P Pnおよび表皮材 Mm の 送り量 (X , 〜χ η ) を適宜選択することにより、 表皮材 Mm と各ローラとの間 の摩擦が少なくなり、 表皮材 Mm の破損やしわの防止、 あるいは接着性の向上を 図ることができる。
次に、 本発明の第 4実施例を図 8により説明する。 なお、 第 3実施例と同一構 成には同一符号を付して説明は省略する。
貼り合わせ成形装置 8 Dは表皮材把持装置 9 0と表皮材把持制御部 1 0 0とか らなる。 表皮材把持装置 9 0は、 固定ダイプレート 1 2に付設された図示しな いブラケッ トに保持され、 かつ、 各モータ 9 1 a、 9 1 bにて駆動される各把持 ローラ 9 2 a、 9 2 bと、 固定ダイプレート 1 2に取着された各把持受けローラ 9 3 a、 9 3 bとからなる。 各把持ローラ 9 2 a、 9 2 bと各把持受けローラ 9 3 a s 9 3 bは表皮材 Mm に当接し、 各把持ローラ 9 2 a、 9 2 bの回転トルク により可変の把持力にて表皮材 Mm を把持している。
表皮材把持制御部 1 0 0は、 表皮材 Mm の把持力 ·位置プログラム発生器 1 0 0 aと、 表皮材 Mm の可変の把持力および変更位置を設定する把持力 ·位置設定 器 1 0 0 bと、 位置決め用の指令の出力を増幅する各位置決めアンプ 1 0 1 a、 1 0 1 bと、 切替え信号 Aにより位置指令 Bと張力指令 Cとを切り換える各スィ ツチ 1 0 2、 1 0 3と、 各モータ 9 1 a、 9 1 bの電流検出用の各抵抗 1 0 4 a 、 1 0 4 bと、 各電流フィ一ドバック増幅器 1 0 5 a、 1 0 5 bと、 各モータ電 流増幅器 1 0 6 a、 1 0 6 bと、 各モータ 9 1 a、 9 1 bの回転角 (送り量) を 検出する各パルスジヱネレー夕 1 0 7 a、 1 0 7 bとからなる。 さらに、 保持力 を入力する把持力入力手段 8 5と、 ダイス 卜ローク (位置) あるいは時間を入力 する位置入力手段 8 6が付設されている。
表皮材把持制御部 1 0 0では、 型締めコントローラ 3 0からの指令を受けると ともに、 把持力 ·位置設定器 1 0 0 bからの信号を受けて把持力 ·位置プログラ ム発生器 1 0 0 aから各スィ ッチ 1 0 2, 1 0 3と、 各モータ電流増幅器 1 0 6 a、 1 0 6 bを経て各モータ 9 1 a、 9 1 bに把持力の制御の指令を出力する。 次に、 本実施例の作動について説明する。 この作動ほぼ第 3実施例と同一のた め、 図 7を用いて第 3実施例との違いを説明する。
表皮材 Mm に張力を与えるために、 2つのモータ 9 1 a, 9 1 bを相対する方 向に回転させてトルクを発生させる。 このとき、 各モータ 9 1 a, 9 1 bの発生 トルク M tは、
M t = (モータ トルク定数 K t ) X (モータ電流 M i )
であるため、 以下説明を容易にするために表皮材 Mm の張力はモータ電流 M i と して説明する。
可動ダイプレー ト 2 2の金型全開位置 YA1から高速と低速の早送りにより所定 の位置 Υ, に送られ時刻 t , にて停止し、 待機にはいる。 この所定の位置 Y, あ るいは時刻 t , にて、 把持力 ·位置プログラム発生器 1 0 0 aは、 位置センサ 3 1からの信号を受けるとともに、 把持力 ·位置設定器 1 0 0 bからの信号を受け
— _ て、 切替え信号 Aにより各スィッチ 1 0 2、 1 0 3を切り換える。 そして、 把持 力 ·位置プログラム発生器 1 0 0 aは各モータ電流増幅器 1 0 6 a、 1 0 6 bを 経て各モータ 9 1 a、 9 1 bにそれぞれの張力の指令を出力する。 各モータ 9 1 a、 9 1 bは各把持ローラ 9 2 a、 9 2 bを相対する方向に回転し、 各把持受け ローラ 9 3 a、 9 3 bとの間で表皮材 Mm を把持して、 一端に所定の保持力 P30 の、 他端に所定の保持力 P 4。の張力を与える。
時刻 ( t , - t 2 ) の間に可塑物 2 0 0が所定の初期量 uだけ射出される。 時 刻 t 2 になると、 型締めコン 卜ローラ 3 0により電磁切換弁 2 4を切り換え、 可 変ポンプ 2 6の圧油を型締シリ ンダ 2 3 a, 2 3 bに吐出し、 可動金型 2 1を作 動速度 V, にて下降させる。 このとき、 可動金型 2 1により作動速度 V, にて固 定金型 1 1内に送られる途中の所定の位置 y 2 あるいは時刻 S2 にて、 把持力 - 位置プログラム発生器 1 0 0 aは各モータ電流増幅器 1 0 6 a、 1 0 6 bを経て 各モータ 9 1 a、 9 1 bにそれぞれの張力の指令を出力し、 一端に所定の保持力 P31の、 他端に所定の保持力 P41の張力を与える。
表皮材 Mm は、 可動金型 2 1 と各把持ローラ 9 2 a、 9 2 bにより、 さらに強 い張力を受けながら緩むことなく所定の作動速度 V, にて固定金型 1 1内に送ら れる。
さらに、 可動金型 2 1が下降して型締位置 Y2 に到達すると、 位置センサー 3 1が検出して型締めコン 卜ローラ 3 0に信号を送信する。 型締めコントローラ 3 0は、 可変ポンプ 2 6の吐出量を換え、 可動金型を作動速度 V2 の低速の速度に て下降させる。 これにより、 表皮材 Mm は可動金型 2 1により急激に押し込まれ ることがなくなり、 例えば、 更に深い金型内に送りこまれても伸びることなく固 定金型 1 1内に送られる。
このとき、 可動金型 2 1により作動速度 V 2 にて固定金型 1 1内に送られる途 中の所定の位置 y 3 あるいは時刻 S 3 にて、 把持力 ·位置プログラム発生器 1 0 0 aは各モータ電流増幅器 1 0 6 a、 1 0 6 bを経て各モータ 9 1 a、 9 1 bに それぞれの張力の指令を出力し、 一端に所定の保持力 P32の、 他端に所定の保持
力 P42の張力に変更する。
以下同様に、 プレス工程の型締位置 Ystまでを制御する。 加圧工程に入ると、 型締めコン トローラ 3 0は第 3実施例と同様に制御するとともに、 把持力 ·位置 プログラム発生器 1 0 0 aは各モータ電流増幅器 1 0 6 a、 1 0 6 bを経て各モ —夕 9 1 a、 9 1 bにそれぞれの張力の指令を出力し、 各把持ローラ 9 2 a、 9 2 bにより加圧工程中にも張力を適宜変更する。
加圧工程が終了し、 成形品を取り出す時は、 把持力 ·位置プログラム発生器 1 0 0 aからの切替え信号 Aにより各スィツチ 1 0 2、 1 0 3を位置指令 Bに切り 換える。 把持力 ·位置プログラム発生器 1 0 0 aから各位置決めアンプ 1 0 1 a 、 1 0 1 b、 スィ ッチ 1 0 2、 1 0 3、 モータ電流増幅器 1 0 6 a、 1 0 6 b、 および抵抗 1 0 4 a、 1 0 4 bを経て各モータ 9 1 a、 9 1 bに指令を送り、 表 皮材 Mm の張力を緩める。 このとき、 各パルスジェネレータ 1 0 7 a、 1 0 7 b が表皮材 Mm の張力が緩んだ位置を検出するまでモータ 9 1 a、 9 1 bを回転さ せ、 その位置を検出したら停止し、 成形品を取り出す。
次に、 本発明の第 5実施例を図 9により説明する。 なお、 第 1実施例と同一部 品には同一符号を付して説明は省略する。
図 9において、 図示しない横型射出成形機等のべッ ドの一端上には固定金型 1 1 1を保持する固定ダイプレー ト 1 1 2が固着され、 固定ダイプレー ト 1 1 2に は可動ダイプレー 卜 1 2 2を摺動自在に枢密に保持する複数のタイバ 1 2 3 a, 1 2 3 bが固設されている。 タイバ 1 2 3 a, 1 2 3 bの他端は図示しないべッ ドの一端上に固設されているブラケッ トに摺動自在に支持されている。
固定ダイプレート 1 1 2には一端側に固定金型 1 1 1が取着され、 他端側には 射出シリ ンダ部 1 9 0が配設されており、 固定ダイプレート 1 1 2に設けられた 孔 1 1 3から射出シリ ンダ 1 9 1のノズルが固定金型 1 1 1に当接し、 スクリュ 一部 1 9 2により樹脂がキヤビティ 1 1 4に射出される。
可動ダイプレー ト 1 2 2には、 タイバ 1 '2 3 a , 1 2 3 bに摺動自在にガイ ド される可動ダイプレート 1 2 2を型締時に固定ダイプレー ト 1 1 2の方向に押圧
する型締シリ ンダ 2 3と、 型締シリ ンダ 2 3への油圧を供給する型締めコン ト口 ーラ 3 0からの指令により作動する電磁切換弁 2 4および樹脂の加圧力を増減す る電磁比例圧力弁 2 5と、 油圧供給源の可変ポンプ 2 6と、 油タンク 2 7 とが配 設されている。 また、 可動ダイプレート 1 2 2と固定ダイプレー ト 1 1 2には、 可動ダイプレート 1 2 2を迅速に開閉する図示しない開閉油圧シリ ンダにより連 結され、 さらに位置センサ 3 1が配設されている。
貼り合わせ成形装置 8 Eは表皮材把持装置 1 4 0と表皮材把持制御部 1 5 0と からなる。 表皮材把持装置 1 4 0は、 可動ダイプレート 1 2 2に付設された各コ ィル 1 4 l a , 1 4 1 bと、 各コイル 1 4 1 a , 1 4 1 b内に摺動自在に配設さ れ、 かつ可動ダイプレー ト 2 2で摺動自在に保持され表皮材 Mm を押圧する各プ ランジャ 1 4 2 a、 1 4 2 bとからなる。
表皮材把持制御部 1 5 0は、 把持力,位置プログラム発生器 1 5 0 aと、 表皮 材 Mm の可変の把持力を設定する把持力 ·位置設定器 1 5 0 bと、 その指令の出 力を増幅する各アンプ 1 5 1 a、 1 5 1 と、 把持力を入力する把持力入力手段 1 5 1 と、 ダイス トローク (位置) を入力する設定手段 1 5 2とからなる。 表皮 材把持制御部 1 5 0では、 ダイストローク設定手段 3 2あるいは圧力設定手段 3 3からの信号および位置センサ 3 1からの信号を受けて可変ポンプ 2 6および電 磁比例圧力弁 2 5に指令を出力する型締めコントローラ 3 0からの指令を受ける とともに、 把持力 ·位置設定器 1 5 0 bからの信号を受けて、 把持力 ·位置プロ グラム発生器 1 5 0 aから各アンプ 1 5 1 a、 1 5 1 bを経て各コイル 1 4 1 a 、 1 4 1 bに指令を出力する。
なお、 本実施例における射出シリ ンダ部 1 9 0からの可塑物 2 0 0の射出と射 出圧縮成形時の可動ダイプレート 1 2 2との作動関係は、 第 1実施例の作動と同 じでなので、 説明を省略する。 また、 射出圧縮成形時の可動ダイプレート 1 2 2 と表皮材 Mm の把持力 Pとの作動関係も、 把持力 ·位 Sプログラム発生器 1 5 0 aからの信号を受ける各コイル 1 4 1 a、 1 4 1 bが第 1実施例の各電磁比例圧 力弁 4 5 a、 4 5 bに置き換えたものなので、 説明を省略する。
次に、 本発明の第 6実施例を図 1 0に示す。 ここで、 本実施例は第 5実施例の 図 9に示した各コイル 1 4 1 a、 1 4 1 bを可動金型 1 6 1 に付設したものであ る。 本実施例のその他の構成は第 5実施例と同一のため、 説明を省略する。 次に、 把持部の配置を図 1 1 A , 1 1 B, 1 1 Cにより説明する。
図 1 1 Aは一体枠の把持部 1 6 5にて構成された例、 図 1 I Bは対向する辺に 2個の把持部 1 6 6 a、 1 6 6 bを配置した例、 図 1 1 Cは各辺の対向する辺に 4個の把持部 4個 1 6 7 a、 1 6 7 bおよび 1 6 8 a、 1 6 8 bを配置した例を 示す。 なお、 把持部の配置はこれらの例に囚われることなく、 形状に合わせて複 数個の配置が可能であり、 各把持部の制御は独立して制御可能である。
第 1 -第 6実施例によれば、 成形機側、 または金型側に一体枠上の把持部、 ま たは 2個以上の把持部からなる把持装置を設けて、 その把持部の把持力、 または 表皮材 Mm に作用させる張力を製品形状、 材質、 絞り深さ、 もしく は厚さ等に合 わせて多段に、 あるいは連続可変に各々を独立して制御することにより、 複雑な 成形品でも部分的な破れや、 しわの発生しない貼り合わせができ、 外観品質が向 上する。
次に、 本発明に係る第 7実施例を図 1 2 —図 1 4を参照して説明する。
図 1 に示す射出成形機 2 0 0は、 型締カ 5 5 tのイ ンライ ンスク リ ユー式で あり、 射出成形機本体 2 0 1 と、 そのノズル部 2 0 2に接続される金型 2 0 3を 備えている。
射出成形機本体 2 0 1に備えられたシリ ンダ 2 0 4の上部には樹脂および発泡 剤などからなる材料をシリ ンダ 2 0 4に供給するためのホッパ 2 1 1が配設され 、 内部には材料を混練し射出するスクリュー 2 0 5、 先端部にはノズル部 2 0 2 、 後端部には図示しない駆動制御装置によりスク リ ュー 2 0 5を回転しつつ左右 方向に駆動するスクリュ一回転モータ 2 1 2、 外周部でノズル部 2 0 2とホッパ 2 1 1 との間にはホツバ 2 1 1より供給されるシリ ンダ 2 0 4内部の固体状態の 材料を溶融させるための個々に温度制御されるシリ ンダ部ヒータ 2 1 3 a、 2 1 3 b、 2 1 3 cをそれぞれ備えている。 また、 ノズル部 2 0 2の内部には、 シリ
ンダ 2 0 4から金型 2 0 3に向かって溶融樹脂を供給するための流路 2 0 6が設 けられており、 その中間部分に流路抵抗で剪断発熱を生ずるるロータリ一バルブ 2 0 7が配設されている。 ロータリ一バルブ 2 0 7のバルブ開度調整部 2 0 8を 所定のバルブ開度に制御することで、 流路 2 0 6の流路断面積が制御される。 バ ルブ開度調整部 1 8は、 電動サ一ボモータ 2 1 4で制御される。
ノズル部 2 0 2 と接続し、 流路 2 0 6 6を流れるシリ ンダ内部で溶融した材料 である溶融樹脂 2 0 9がロータリ一バルブ 2 0 7を経て、 ゲー ト 2 1 8より射出 充塡される金型 2 0 3は、 固定金型 2 1 5と可動金型 2 1 6とからなり、 キヤビ ティ 2 1 7を形成している。
次に、 本実施例の作動に関し説明する。 本実施例は、 表皮材 M m を金型 2 0 3 に設置後、 シリ ンダ 2 0 4と金型 2 0 3との間での溶融樹脂 2 1 0の加熱を、 ノ ズル部 2 0 2に設けたロータリ一バルブ 2 0 7による剪断発熱で行うように、 射 出工程中は発泡剤が熱分解温度以上となるバルブ開度に制御する例である。 この 射出工程中のバルブ開度の制御を図 1 3に、 また、 射出成形機 2 0 0におけるバ ルブ開度とロータリ一バルブ 2 0 7での剪断発熱による温度上昇との関係を図 1 7に示す。
まず、 A D C A (ァゾジカルボンアミ ド) 系の発泡剤を 5 p h r混合した P P (ポリプロピレン) 樹脂をホッパ 2 1 1より投入する。 この A D C A系の熱分解 開始温度は 2 0 0 °Cである。 投入された混合樹脂は、 シリ ンダ部ヒ一タ 2 1 3 a 、 2 1 3 b、 2 1 3 cで加熱されるとともに、 スクリュー 2 0 5の回転により剪 断発熱で昇温する。 この時、 溶融樹脂 2 1 0はスク リ ュー 2 0 5の前方で 1 7 0 °Cに制御されているため、 溶融しているが未発泡状態である。
次に、 スク リュー 2 0 5により溶融樹脂 2 1 0は射出されるが、 バルブ開度調 整部 2 0 8はバルブ開度 3 0 %、 すなわち流路 2 0 6の断面積が 3 0 %に絞られ ており、 溶融樹脂 2 0 9は通過時の剪断発熱により約 6 0 °C昇温し、 熱分解開始 温度以上である約 2 3 0 °Cとなり、 発泡を開始しつつゲー ト 2 1 8より射出され る。
発泡を開始した溶融樹脂 2 1 0は、 予め内面に表皮材 M m が置かれている可動 金型 2 1 6と固定金型 2 1 5で形成されるキヤビティ 2 1 7に射出充塡される。 ここで、 表皮材 M m は、 成型後の表面となる P V C (ポリ塩化ビニル) 系樹脂シ 一卜とポリオレフイ ン系発泡シー トとからなる積層シー トである。 溶融樹脂 2 1 0はキヤビティ 2 1 7に射出され発泡を開始しつつあるが、 混合樹脂の融点より 充分に低い温度に調整されている金型 2 0 3の内壁面で急冷され、 未発泡に近い 状態で固化し、 スキン層を形成する。 また、 表皮材 M m に接触する溶融樹脂 2 1 0 も急冷に近い速度で冷却され、 発泡量が少ない状態でスキン層を形成しつつ表 皮材 Mm と強固に接着する。 他方、 キヤビティ 2 1 9内部の溶融樹脂 2 1 0は冷 却速度が小さいため充分に発泡して固化し、 コアを形成する。 この内部の発泡で 生ずる発泡圧により、 冷却時に樹脂の熱収縮に起因するスキン層のヒケが防止さ れると共に、 内部は発泡度が大きい軽量なコアとなる。
本実施例で得られる表皮付き発泡成形体の断面を図 1 4に示す。 表皮付き発泡 成形体 2 2 0の表皮材 M m は、 表面側シー トである P V C系樹脂シー卜の高級感 のある表面品質を損なわれておらず、 かつ綺麗な状態で樹脂基材 2 2 1に強固に 接着している。 また、 樹脂基材 2 2 1は、 外周部に緻密で充分な強度を有するス キン層 2 2 2と、 内部に発泡度の大きいコア 2 2 3とからなる。 スキン層 2 2 2 には微細なポア 2 2 4がわずかに存在しており、 コア 2 2 3には大きなポア 2 2 5が多数存在している。 このコア 2 2 3により、 樹脂基材 2 2 1は極めて軽量で あり、 表皮付き発泡成形体 2 2 0としても軽量である。
次に、 第 8実施例を図 1 2 , 図 1 5および図 1 7を参照して説明する。
本実施例は、 第 7実施例における射出工程での加熱を 3段階に制御し、 その中 第 2段階でのみ発泡剤の熱分解温度以上に加熱する場合である。
まず、 表皮材 M m を金型 2 0 3に置いて閉じる。 シリ ンダ 2 0 4内部で、 シリ ンダ部ヒータ 2 0 3 a、 2 0 3 b、 2 0 3 cによる加熱とスク リ ュー 2 0 5の回 転による発泡材混合樹脂材料の剪断発熱とで昇温するが、 1 7 0 に制御された 溶融樹脂 2 1 0は、 溶融しているが未発泡状態である。
次に、 溶融樹脂 2 1 0はスク リ ユー 2 0 5により射出されるが、 第 1段階では 、 射出開始時に開度調整部 2 0 8は、 瞬時にバルブ開度 0 %から 1 0 0 %に制御 される。 したがって、 溶融樹脂 2 1 0はバルブ開度 1 0 0 %のロータリーバルブ 2 0 7を通過する時、 剪断発熱により約 2 0 °C昇温 (図 1 7参照) するが、 発泡 剤の熱分解温度以下の 1 9 0 °Cであり、 未発泡状態でゲー ト 2 1 8よりキヤビテ ィ 2 1 7に射出される。 第 2段階では、 バルブ開度は瞬時に 1 0 0 %から 3 0 % に制御され、 溶融樹脂 2 1 0は通過時の剪断発熱により約 6 0 °C昇温し、 熱分解 開始温度以上である約 2 3 0 °Cとなり、 発泡を開始しつつキヤビティ 2 1 7に射 出される。 さらに第 3段階では、 バルブ開度は瞬時に 3 0 %から 1 0 0 %に制御 され、 溶融樹脂 2 1 0は未発泡状態でゲー 卜 2 1 8よりキヤビティ 2 1 7に射出 される。
この射出成形方法で得られる表皮付き発泡成形体の断面を図 1 6に示す。 表皮 付き発泡成形体 2 3 0の樹脂基材 2 3 1は、 第 1段階で未発泡状態で射出後固化 したスキン層 2 3 2、 第 2段階で発泡状態で射出後固化したコア 2 3 3、 第 3段 階で未発泡状態で射出後固化したスキン層 2 3 4から構成されている。 樹脂基材 2 3 1 は境界線のない一体成形品であるが、 分かりやすくするために、 スキン層 2 3 4とコア 2 3 3 との想像境界を二点鎖線 2 3 5により、 コア 2 3 3とスキン 層 2 3 4 との想像境界を二点鎖線 2 3 6によりそれぞれ示す。 また、 ゲー ト 2 1 8からの射出を矢印で示す。
本実施例においても、 表皮材 Mm は表面側シー トである P V C系樹脂シー卜の 高級感のある表面品質を損なわれておらず、 かつ綺麗な状態で樹脂基材 2 3 1に 強固に接着している。 また、 樹脂基材 2 2 1のスキン層 2 2 2は、 未発泡である のでポアなどが全く無く、 かつコア 2 3 3の発泡圧によりヒケ等も無く、 さらに 制御された所定の厚さを有しているので高強度である。 他方、 コア 2 3 3は良く 発泡しており、 大きなポア 2 3 7が多数存在している。 さらに、 第 3段階で射出 され固化したスキン層 2 3 4 もポアなどが全く無く、 綺麗な外観品質である。 こ のようにして得られた成形体は、 優れた表面品質を有するとともに、 高強度でし
かも軽量である。
次に、 第 9実施例を図 1 8により説明する。
本実施例の射出成形機本体 3 0 0と第 7実施例の射出成形機本体 2 0 0 との違 いは、 剪断発熱手段としての固定型流路抵抗部 3 0 7を設けた点である。
シリ ンダ 3 0 4の先端にねじ込み取りつけられたノズル部 3 0 2は、 内部に固 定型流路抵抗部 3 0 7を有している。 その流路抵抗部 3 0 7の断面積は小さく さ れており、 所定の温度上昇、 例えば本射出成形機では昇温 6 0 °Cに設定されてい る。 この場合での作動については、 発泡剤の熱分解温度以下の 1 7 0 °Cに制御さ れている溶融榭脂 3 0 9はスク リ ュー 3 0 5により射出されるが、 固定型流路抵 抗部 3 0 7を通過する際、 剪断発熱により 2 3 0 °Cに昇温し、 発泡を開始つつ流 路 3 0 6を経て、 図示しないキヤビティに射出される。 これにより得られる成形 体は、 第 7実施例と同様に外観品質に優れ、 表皮材と樹脂基材が高強度に接着し 、 軽量である。 本実施例は、 ロータリーバルブ等のない、 一般的な射出成形装置 でも実施できる。 なお、 多段階に制御する方法としては、 射出圧力、 スク リ ュー 速度等の制御と組み合わせて、 固定型流路抵抗部 3 0 7通過時の温度上昇を制御 すれば良い。
次に、 第 1 0実施例を図 1 9により説明する。
本実施例と第 9実施例との違いは加熱手段にある。 すなわち、 本実施例の射出 成形機本体 4 0 0のシリ ンダ 4 0 4の先端にねじ込まれたノズル部 4 0 2は、 そ の外周部に電気抵抗加熱部 4 0 7を有している。 スクリュー 4 0 5により射出す る際、 発泡剤の熱分解温度以下、 例えば 1 9 0 °Cに制御されている溶融樹脂 4 0 9は、 流路 4 0 6を通過する際、 電気抵抗加熱部 4 0 7により加熱され、 発泡を 開始つつ、 図示しないキヤビティに射出される。 これにより得られる成形体は、 第 7実施例と同様に高品質成形体である。 なお、 多段階に制御する場合は、 第 9 実施例と同様に、 射出圧力、 スク リ ュー速度等の制御と組み合わせて温度上昇を 制御しても良い。 この加熱手段を、 超音波加熱装置に置き換えてもよい。
なお、 表皮材、 樹脂、 発泡材は本実施例に限定されないことは言うまでもなく
、 射出成形あるいは発泡射出成形に通常使用される材料であれば、 適宜使用でき る。 また、 装置については射出成形機について説明したが、 同様な成形機能を有 する射出圧縮成形機、 圧縮成形機などにも適用できる。
さらに、 射出する工程で、 シリ ンダと金型との間での加熱制御において、 3段 階に制御加熱し、 そのうち一つの段階で発泡剤の熱分解温度以上に加熱する場合 を説明したが、 例えば部品形状が複雑な場合は多段階に加熱し、 そのうち 2以上 の段階あるいは全部の段階で発泡剤の熱分解温度以上に加熱しても良い。 また、 2以上の段階での加熱を異なる加熱温度として、 発泡度の異なるコアで構成され る樹脂基材としてもよい。 産業上の利用可能性
本発明は、 外観品質に優れ、 且つ軽量な自動車等の内装部品をはじめとする成 形品を製作する貼り合わせ成形品の成形方法およびその装置として有用である。