明 細 書 数値制御装置 技 術 分 野
本発明はスキップ機能を備えた数値制御装置に関し、 特にェ 具長測定やワーク形状測定を行う数値制御装置に関する。 背 景 技 術
一般に、 数値制御装置には工具長測定ゃヮーク形状測定を行 うために、 スキップ機能を備えている。 このスキップ機能は、 接触型又は非接触型の検出器がワークや工具 (以下、 単に 「ヮ ーク等」 と呼ぶ。 ) の存在を検出して出力するスキップ信号を 外部から入力すると、 現在実行している加工プログラムのプロ ッ クに対応する軸移動を中止して、 次の加工プログラムのブロ ッ ク (以下、 単に 「次ブロッ ク」 と呼ぶ。 ) へ進む機能である, したがって、 上記スキップ機能を有効に活用するこ とにより . 研削盤や旋盤等において定寸送り等の移動量が明確でない場合 に、 移動量の測定を行う ことができた。
しかし、 スキップ機能を備えた従来の数値制御装置では、 外 部からのスキップ信号を入力すると、 ワーク等の移動を一時的 に停止した後、 次ブロッ クの移動を行なっていたので、 次プロ ッ クの移動のための送り速度に達するまで相当の時間を要して いた。 このため、 サイ クルタイムが長くなるという問題点があ つた。 ·
発 明 の 開 示
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、 スキッ プ信号を入力してもヮーク等の移動を一時的に停止するこ とな く次ブロッ クの移動を行い、 サイクルタイムを短縮する数値制 御装置を、 提供することを目的とする。
本発明では上記課題を解決するために、
スキップ機能により工具長測定やワーク形状測定を行う数値 制御装置において、 ワーク等の送り速度を加減速する際の時定 数及び加工プログラムを記憶する記憶手段と、 検出手段から出 力されたスキップ信号を受けて、 前記ワーク等の現在位置を前 記記憶手段の所定の格納領域に格納するとともに、 スキップ完 了信号を出力し、 前記時定数及び前記現在位置に基づき送り速 度を加減速する第 1 の補間パルスを出力し、 前記加工プログラ ムにおける現在のプロッ クで指令された終点位置まで前記工具 等を移動させ分配完了信号を出力する加減速分配手段と、 前記 スキップ完了信号を受けて、 前記ヮーク等の現在位置から次ブ ロッ クの移動量を求め、 前記加工プログラムの次ブロ ッ クの前 処理を行い、 前記分配完了信号を受けて前記前処理に基づき第
2の補間パルスを出力する前処理分配手段と、 を有するこ とを 特徴とする数値制御装置が提供される。
記憶手段にはワーク等の送り速度を加減速する際の時定数及 び加ェプログラムが記憶される。
まず、 検出手段から出力されたスキップ信号を受けたスキッ プ信号検出手段は、 ワーク等の現在位置を記憶手段の所定の格 納領域に格納するとともに、 スキップ完了信号を出力する。
加減速分配手段は加工プログラムにおける現在のプロ ッ クで
指合された終点位置までワーク等を移動させた後に移動完了信 号を出力する。 また、 スキップ完了信号を受けた前処理分配手 段はワーク等の現在位置から次のプロッ クの移動量を求め、 加 ェプログラムの次ブロッ クの前処理を行い、 分配完了信号を受 けて前処理に基づいて第 2の補間パルスを出力する。 図 面 の 簡 単 な 説 明
図 i は本発明の原理説明図、
図 2は 1軸 C N Cの全体構成を示すプロ ッ ク図、
図 3は加工プログラムの一例を示す図、
図 4はブッ シャに把持されたヮ一クが移動する状態を示す図、 図 5は本発明の処理手順を示すフローチャー トである。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図 1 は本発明の原理説明図であるとともに、 実施例を説明す る図である。 図において、 本発明の数値制御装置 1 は、 記憶手 段 1 a、 スキップ信号検出手段 1 b、 加減速分配手段 1 c及び 前処理分配手段 1 dの各要素から構成される。
記憶手段 1 aには後述する R A M 1 3が使用され、 ワーク 4 の送り速度を加減速する際の時定数 1 a b、 ワーク 4 の現在位 置 1 a a及び加工プログラム 1 a cが記憶される。 なお、 上記 時定数 1 a bはパラメ一夕で設定することにより、 加工条件に 応じた送り速度の加減速を指令することができる。
まず、 検出手段 2から出力されたスキップ信号 S Sを受けた スキップ信号検出手段 1 bは、 ワーク 4 の現在位置 1 a aを記
億手段 1 aに格納するとともに、 スキップ完了信号 A Sを出力 する。 なお、 検出手段 2には、 レーザ検出器又は音波検出器等 の非接触型検出器が使用される。
このスキップ完了信号 A Sを受けた加減速分配手段 1 cは、 現在のプロッ クで指令された終点位置まで、 ワーク 4を一時停 止することなく移動させ分配完了信号 E Sを出力する。
また、 スキップ完了信号 A Sを受けた前処理分配手段 1 dは. 上記移動と同時に、 ワーク 4の現在位置 1 a a より、 次ブロッ クの移動量を求め、 加工プログラム 1 a cの次ブロ ッ クの前処 理を行う。 そして、 加減速分配手段 1 cから出力された分配完 了信号 E Sを受けて補間パルス I P 2を出力し、 加工プログラ ム 1 a cにおける次ブロッ クで指令された終点位置までヮーク 4を一時停止することなく移動させる。
このため、 スキップ信号 S Sを入力してワーク形状測定を行 なっても、 ワーク 4を一時停止することなく移動させるので、 サイ クルタイムを短縮することができる。
次に、 上記数値制御装置 1 の具体的なハー ドウエア構成につ いて説明する。
図 2は数値制御装置 1 の一"" ^である 1軸 C N C (数値制御装 置) の全体構成を示すブロ ッ ク図である。 図において、 1 軸 C N C 1 0は、 C P U (プロセッサ) 1 1 、 R OM 1 2、 R A 1 3、 PMC (プログラマブル ' マシン ' コン トローラ) 1 4 I /0 ( Input/Output) ユニッ ト 1 5、 軸制御回路 1 6、 サー ボアンプ 1 7、 ノ'ッファ 1 8 a及びコネクタ 1 8 bから構成さ れる。
C P U 1 1 は R〇 M 1 2に格納されたシステムプログラムに
従って、 1軸 CNC 1 0の全体を制御する。 RAM I 3は S R AM等が使用され、 図示されていないバッテリ によってバッ ク アップされる。 このため、 1軸 CNC 1 0の電源が遮断されて も、 RAM I 3に格納されたデ一夕はそのまま保持される。 な お、 RAM I 3にはワーク 4の現在位置 1 a a、 時定数 1 a b、 加工プログラム 1 a c等の各種データが格納される。
なお、 図 1 に示す各要素との関係において、 図 1 に示すスキ ップ信号検出手段 1 b、 加減速分配手段 1 c及び前処理分配手 段 1 dは、 いずれも上記 R OM 1 2に格納されたシステムプロ グラムの一つを C PU 1 1が実行するこ とによって実現される 機 IE ある。
PMC 1 4は、 ラダ一形式で作成されたシ一ケンス · プログ ラムで後述する I 0ユニッ ト 1 5を介して工作機械を制御す る。 すなわち、 加工プログラム 1 a cで指令された M機能、 S 機能及び T機能等の各指令機能に従ってシーケンス · プログラ ムで工作機械を動作させるために必要な信号に変換して出力す る。 この際出力される信号は、 工作機械のマグネッ ト等を駆動 し、 油圧バルブ及び電気ァクチユエ一夕等を作動させる。 また、 工作機械のリ ミ ッ トスイ ツチ及び機械操作盤のスィ ツチ等の信 号を受けて所定の処理を行う。
また、 PMC 1 4は検出手段 2 としてのレーザ検出器又は音 波検出器等の非接触型検出器から出力されたスキップ信号 S S を、 I /Oユニッ ト 1 5を介して受ける。 そして、 受けたスキ ップ信号 S Sは所定のデータ形式に変換した後 C PU 1 1へ送 る。 なお、 スキップ信号は I / 0ュニッ ト 1 5を介して直接 C PU 1 1が読み取る場合もある。
軸制御回路 1 6 は C P U 1 1 からの制御軸 (X軸) の移動指 令を受けて、 サ一ボアンプ 1 7を介してサーボモー夕 1 7 aを 駆動する。 ノくッ フ ァ 1 8 aはコネクタ 1 8 bに接続されており . 指令コマン ド等を含むデータバケツ トはコネクタ 1 8 bからシ リアル信号ライ ンに送出される。
次に、 本発明の動作について、 図 3乃至図 5を用いて説明す る。 なお、 こ こでは説明を簡単にするため、 旋盤におけるヮー ク形状測定の場合について説明する。
図 3は加工プログラムの一例を示す図である。 加工プログラ 厶 1 0 0は図 1 に示す加工プログラム 1 a cの一つであって、 4行の動作指合を行うブロック 1 0 1 乃至ブロッ ク 1 0 4等か ら構成されている。
ブロッ ク I 0 1 では M機能 「M 1 0」 によって、 後述するよ うに新しいワーク 4をローデイ ングしてクランプで把持し、 そ の後プッ シャ 3がワーク 4を把持してクランプを解除するまで の一連の動作を指令する。
ブロ ッ ク 1 0 2では G機能 「G 0 0」 によつて X座標が 「 1 5 0」 まで早送り位置決めがなされる。 ブロッ ク 1 0 3ではヮ ーク形状測定を行う動作指令、 すなわちスキップ機能指令が G 機能 「 G 3 1 」 でなされており、 X座標が 「 5 0」 まで F機能 「F 1 0 0」 によって送り速度 「 1 0 0」 (mmZm i n ) で 移動がなされる。 そして、 ブロッ ク 1 0 4において、 「# 5 0 0」 は 5 0 0番目のマク口変数であることを意味する。 この ため、 G機能 「G 0 1 J によって X座標がマクロ変数 「 5 0 0 j に格納された数値の位置まで位置決めがなされる。 なお、 その後は図示しないが、 通常の旋削動作指令等がなされる。
上記加工プログラム 1 0 0の一連の動作指合によって変化す るプッ シャ 3及びワーク 4の位置関係について、 図 1 及び図 3 を参照して説明する。
図 4はプッ シャ 3 に把持されたワーク 4が移動する状態を示 す図である。 図 4 ( A ) は新たにローデイ ングしたワーク 4を プッ シャ 3が把持している状態を示し、 図 4 ( B ) はワーク 4 が検出手段 2によって検出した状態を示し、 図 4 ( C ) は図 3 のブロッ ク 1 0 3で動作指令された X座標まで移動した状態を 示し、 図 4 ( D ) は最終的に図 3のブロッ ク 1 0 4で動作指令 された X座標まで移動した状態を示す。 なお、 ワーク 4は、 例 えば円柱形状の金属素材である。
図 4 ( A ) では、 まず図 3のブロッ ク 1 0 1 の動作指令によ り、 新たにローデイ ングしたワーク 4をプッ シャ 3が把持する, そして、 ブロッ ク 1 0 2の動作指令により、 ワーク 4が X座標 「 1 5 0」 まで早送り位置決めがなされる。 具体的には、 ヮー ク 4の図面右側先端位置が X座標 「 1 5 0」 となるように位置 決めされる。 こう して、 ワーク 4の形状測定のための測定開始 点が設定される。
そして、 図 3のブロッ ク 1 0 3における動作指令により、 ま ず検出手段 2からは被検出物としてのワーク 4を検出するため の検出波 Wが出力され、 プッシャ 3及びワーク 4が移動方向 D I Rへ向かって、 送り速度 「 1 0 0 」 (m m Z m i n ) で移動 する。
図 4 ( B ) では、 検出波 Wがワーク 4 に当たり、 検出手段 2 は検出波 Wの反射により、 ワーク 4の左端を検出し、 図 1 に示 すスキップ信号 S Sを出力する。 このスキップ信号 S Sにより
スキップ信号検出手段 1 bはワーク 4の左端位置の X座標を、 ワーク 4の現在位置 1 a a として記憶手段 1 aのマクロ変数 「 5 0 0」 へ格納し、 スキップ完了信号 A Sを出力する。 なお. 検出手段 2の X座標 「 1 0 0」 と、 このワーク 4の図 4 ( B ) の右端位置の X座標とからワーク 4の長さが求められる。 例え ば、 図 4 ( B) でのワーク 4の右先端位置の X座標が 「 7 0」 であるならば、 1 0 0 — 7 0 = 3 0がワーク 4の長さとなる。 なお、 検出手段 2の X座標 「 1 0 0」 はあらかじめ測定してお く ものとする。 また、 図 4 ( B) のワーク 4の右端位置は数値 制御装置の内部で現在位置として認識されている。
また、 スキップ完了信号 A Sを受けても加減速分配手段 1 c が終点位置まで補間パルス I P 1 を分配するので、 プッ シャ 3 及びワーク 4 は一時的に停止することなく移動方向 D I Rへ向 かって移動する。 この移動の際に、 前処理分配手段 1 dは加工 プログラム 1 0 0の次ブロッ ク、 すなわちブロ ッ ク 1 0 4の前 処理を行う。
図 4 ( C ) では、 上記移動によって、 図 3のブロ ッ ク 1 0 3 で動作指令された X座標 「 5 0」 まで移動した状態を示し、 こ のとき加減速分配手段 1 cは分配完了信号 E Sを出力する。 こ の分配完了信号 E Sを受けた前処理分配手段 1 dは補間パルス I P 2を出力し、 図 3のブロッ ク 1 0 4で指令された終点位置 までワーク 4を一時停止するこ となく移動させる。 具体的には. マクロ変数 「 5 0 0」 に格納された数値の位置までヮーク 4を 一時停止するこ となく移動させる。 こう して移動を完了した状 態を図 4 (D) に示す。
次に、 本発明の処理手順について説明する。
図 5 は本発明の処理手順を示すフローチャー トである。 図に おいて、 Sの後に続く数字はステップ番号を示す。 なお、 ステ ップ S 1 , S 2はスキップ信号検出手段 1 bが行い、 ステップ S 3 , S 4 は加減速分配手段 1 cが行い、 ステップ S 5 は前処 理分配手段 1 dが行う。
C S 1 ) 検出手段 2から出力されるスキップ信号 S Sを検出し たか否かを判別する。 もし、 スキップ信号 S Sを検出した (Y E S ) ならばステップ S 2へ進み、 スキップ信号 S Sを検出し ない (N〇) ならば本ステップ S 1 を繰り返す。
〔 S 2〕 ステップ S 1 のスキップ信号 S Sを検出した時点にお けるワーク 4の現在位置 1 a a、 例えば X座標を記憶手段 1 a へ格納する。
〔 S 3〕 現在のプロッ クの移動中に記憶手段 1 aに格納された ワーク 4の現在位置及び検出手段 2の X座標によって、 次プロ ッ クの移動量 (図 3のブロッ ク 1 0 4のマクロ変数 # 5 0 0へ 格納する移動量) を求める。
〔 S 4〕 加工プログラム 1 a cにおける現在のブロ ッ クで指令 された終点位置までの移動が完了したか否かを判別する。 もし- 移動が完了した (Y E S ) ならば分配完了信号 E Sを出力した 後ステップ S 5へ進み、 まだ移動が完了しない (N〇) ならば 本ステップ S 4を繰り返す。
〔 S 5〕 ステップ S 4の分配完了信号 E Sを受けて補間パルス
I P 2を出力し、 加工プログラム 1 a c における次ブロッ クで 指令された終点位置までワーク 4 を一時停止することなく移動 させる。
したがって、 スキップ信号 S Sによりワーク形状測定を行な
つても、 ワーク 4を一時停止するこ となく移動させるので、 サ ィ クルタイムを短縮することができる。 また記憶手段 1 aは、 不揮発性の R A M I 3で構成したので、 停電等によって数値制 御装置 1 の電源が遮断されても、 ワーク 4の現在位置 l a a、 時定数 1 a b及び加工プログラム 1 a cは失われなるこ となく 保持できる。
以上の説明では、 本発明を旋盤におけるヮーク形状測定の場 合について適用したが、 二軸以上を同時に動作制御する研削盤 についてもワーク 4の現在位置 1 a a として対応する軸数の位 置情報を格納するように構成すれば同様に適用することができ る o
また、 ワーク形状測定のみならず、 工具長測定についても同 様に適用することができる。
さらに、 検出手段 2にはレーザ検出器又は音波検出器等の非 接触型検出器で構成したが、 棒状のスィ ッチノブを備えたマイ クロスイ ツチ等の接触型検出器で構成してもよい。
そして、 時定数 1 a bはパラメ一夕によって設定するように 構成したが、 加工プログラム 1 a cにおいて所定のア ドレスや コメ ン ト文等で設定するように構成してもよい。 これにより、 加工プログラム 1 a c内の加工工程ごとに厳密な加減速を指令 することができる。
以上説明したように本発明では、 記憶手段に時定数及び加工 プログラムを記憶し、 検出手段から出力されたスキップ信号を 受けたスキップ信号検出手段がヮーク等の現在位置を記憶手段 の所定の格納領域に格納するとともに、 ワーク等の現在位置を もとに次のブロッ クの移動量を求め、 前処理分配手段が加工プ
Πグラ厶の次プロッ クの前処理を行うように構成したので、 ェ 具長測定ゃヮーク形状測定を行なっても、 ワーク等を一時停止 するこ となく移動させることができる。 このため、 サイ クル夕 ィ厶を短縮できる。