WO1993000507A1

WO1993000507A1 - Acceleration slip controller for vehicles

Info

Publication number: WO1993000507A1
Application number: PCT/JP1991/000854
Authority: WO
Inventors: Mamoru Sawada
Original assignee: Nippondenso Co., Ltd.
Priority date: 1991-06-26
Filing date: 1991-06-26
Publication date: 1993-01-07
Also published as: DE69122110D1; DE69122110T2; EP0546175B1; EP0546175A1; EP0546175A4; US5366039A

Description

明細書車両用加速スリップ制御装置技術分野

本発明は車両の発進時及び加速時に発生する過大な駆動輪のスリップ（加速スリップ）を抑制することにより、車両の加速性能を向上させる車両用加速スリップ制御装置に関する。

' 背景技術

従来の車両用加速スリップ制御装置は、駆動輪速度が基準速度を越えたとき、或いは駆動輪のスリップ率が基準スリップ率を越えたとき加速スリップ制御を開始する。この加速スリップ制にぉぃては、例えば駆動輪のスリップ率が目標とするスリップ率に一致するようにスロットルバルブの開度がフィ一ドバック制御される。

ここで、従来の車両用加速スリツ'プ制御装置のように、駆動輪速度が基準速度を越えてから加速スリップ制御を開始すると、スロットルバルブの開度が目標開度に一致するまでの遅れ時間に起因して、加速スリップ制御の初期の応答性が低下するという問題がある。

すなわち、加速スリップが検出された時点力、らスロットルバルブの駆動を開始すると、スロットルバルブの開度が目標開度に一致するまでの遅れ時間の間に駆動輪のスリップが過大となり、充分な加速性能を得ることができない c

そこで、本発明は、加速スリップの発生を予測して、予めスロットルの開度を加速スリップの抑制に適した初期開度に設定することにより、良好な加速性能を実現することが可能な車両用加速スリップ制御装置を提供することを目的とする。

発明の開示このため本発明では、駆動輪の加速スリップの発生が検出される以前に、アクセルの操作量が加速スリップの発生が予測される基準値よりも大きくなつたことが検出されたとき、所定の初期開度にスロットルバルブの開度を設定する。ここで、スロットルバルブの開度に対して内'燃機関の発生する駆動トルクには応答遅れが存在する。このため、スロットルバルブの開度を初期開度に設定した後に、駆動輪の加速スリップが発生する場合がある。このとき、本発明では、スロットルバルブの開度が初期開度から駆動輪に発生した加速スリップに応じて決定される目標開度に素早く駆動される。つまり、スロットルバルブの開度は、加速スリップが発生する以前に、予め加速スリップを抑制するのに適した初期開度に設定されており、その初期開度と加速スリップ制御時の目標開度とは近接した位置となる = このため、スロットルバルブの開度を初期開度から目標開度まで駆動するのに要する時間が従来に比べて短縮す-ることが可能になる - なお、上記の基準値は、加速スリップのフィードバック制御が行われて、加速スリップが適正値に制御されているときのスロットルバルブの開度（スロットル開度）に基づいて更新される - つまり、加'速スリップが ¾正値に制^されているときのスロットル開度、現在の車両の走行路面において最適な加速性能を得ることができるものである - このため、このスロットル開度に基づいて、加速スリップの発生を予測するアクセル操作量の基準値を更新することにより、その予測精度を向上させることができる =

また、上記の基準値は、車両の加速状態に基づいても更新することが好ましい。すなわち、例えば車両が低摩擦路面（低 / /路）から高摩擦路面（高 ^路）に乗り移った場合、加速スリップを生じることなく車両はより高い加速度で加速することができる。このため、車両の加速状態に基づいて基準値を更新することにより、その基準値は加速スリップが発生しなくとも車両の最新の走行路面の情報を反块した基準値に更新することができる。

加速スリップの発生が予測される場合に設定されるスロットルバルブの初期開度も、加速スリップのフィードバック制御が行われて、加速スリップが適正値に制御されているときのスロットル開度及び車両の加速状態に基づいて更新することが好ましい。これにより、初期開度は車両の走行路面の摩擦状態が反映された開度となり、過度の加速スリップの発生や加速時の失速等を未然に防止することができる。

また、仮に上記基準値や初期開度が、車両の走行路面の摩擦状態に対して小さな値に更新されていたとしても、初期開度に設定されたスロットルの開度を時間の経過とともに徐々に開方向に駆動することにより、加速時の失速を低減することができる - 図面の簡単な説明

第 1 図は本発明の基本的な構成を示すプロック図、第 2·図は本発明の 1 実施例の車両用加速スリップ制御装置を搭載した内燃機関システムの構成を示す構成図、第 3 図は加速スリップ制御回路を示すブロック図、第 4 図は加速スリップ制御の処理手順を示すスローチート、第 5 図は加速スリップ制御の一例を示すタイムチャート、第 6 図は変数 K u p , K c vの学習方法の一例を示す説明図、第 7 図は内燃機関の等トルク曲線を示す特性図、第 8 図は車両加速度に基づく各学習値の学習方法を説明する説明図である。発明を実施するための最良の形態

本発明の基本的な構成が、第 1 図に示されている。この第 1 図に示す各構成要素について、以下詳しく説明する。

第 2 図は、本発明の車両用加速スリップ制御装置の 1 実施例の構成を示す構成図である。第 2 図に示す実施例では、車両用加速スリップ制御装置を内燃機関 2 を動力源とするフロントニンジン · リヤドライブ（ F R ) 方式の車両に搭載している - 第 2 図に示すように、内燃機関 2 の吸気通路 4 には、吸入空気の^ 動を抑えるサージタンク 4 aが形成されている。そのサージタンク 4 a の上流側には、アクセルペダル 6 と連動して開閉される主スロット _ルバルブ 8 と、駆動モータ 1 0 により開閉されるサブスロットルノくんブ 1 2 とが連設されている。主スロットルバルブ 8 及びサブスロットルバルブ 1 2 には、それぞれの開度を検出する主スロットル開度センサ 1 4及びサブスロットル開度センサ 1 6 が設けられている _s これらの各センサ 1 4 , 1 6 からの検出信号は加速スリップ制御回路 2 0 に入力される：

内^機関 2 へ燃料を供給する燃料噴射弁 2 4 は、公知の内^機関 l回路 2 6 からの料噴射指令信号に基づいて作動する。燃料噴射指令信号は、実時間の内燃機関 2 の運転状態、つまりサージタンク 4 a の圧力を検出する吸気圧センサ 2. 8 をはじめとする各種センサからの情報に基づいて、内燃機関制御回路 2 6 の所定のプログラムに従って作成される - 加速スリップ制街回路 2 0 は-、左右駆動輪 2 2 RL , 2 2 RRに発生する加速スリップを検出し、 ϋ動モータ 1 0 を用いてサブス s ットルバルブ 1 2 を開閉することにより内燃機関 2 の駆動トルクを抑制して方 Π 速スリップを制御する _e このような加速スリップ制御を行うために、車両の走行状態を検出する以下の如き各種センサからの検出 if号が加速スリップ制御回路 2 0 に入力される。

回転速度センサ 3 0 は内燃機関 2 のクランク軸 2 a の回転速度を検出するものである。その検出信号は、加速スリップ制御回路 2 0 の他、内燧機関制御回路 2 6 にも入力される。

従動輪速度センサ 3 2 F L , 3 2 F Rは、左右従動輪（左右前輪） 2 2 F L, 2 2 FRの回転速度を検出するものであり、その検出信号は車両の車体速度の演算に利用される駆動輪速度センサ 4 0 は、左右駆動輪（左右後輪） 2 2 R L , 2 2 R R の平均回転速度を検出するものであり、クランク軸 2 a の回転をプロペラシャフト 3 4 , ディファレンシャルギヤ 3 6 を介して左右駆動輪 2 2 R L , 2 2 R Rに伝達する変速機 3 8 の出力軸に設けられる。また、変速機 3 8 の変速比を検出するための変速比センサ 4 2 も変速機 3 8 に設けられる

次に、加速スリップ制御回路 2 0 の構成について図 3 を用いて説明する。

第 3 図に示すように、加速スリップ制御回路 2 0 はマイクロコンビユー夕によって構成される：このマイクロコンピュータは、公知のように算術論理演算を実行する C Ρ じ 2 0 a , 後述する制御プログラムやテーブル等を記憶する R 0 M 2 O b , ランダムに情報の読み書きが可能な R A M 2 0 c ，電源により記憶内容を保持するバックアップ R A M 2 0 d , 外部との情報の授受を可能する入出力ポート 2 0 e 及びこれら各部を相互に接続するバス 2 0 f によって構成されている。

また、入出力ポート 0 e に接続される 'S動回路 2 0 g は、サブスロットルバルブ 1 2 を駆動する駆動モータ 1 0 'へ駆動信号を出力する：この駆動回路 2 0 g は、入出力ポート 2 0 e を介して供給されるサブスロットルバルブ 1 2 の目標開度 S S Pを示すデータを解析して、必要な駆動信号を出力する。

上記のように構成される加速スリップ制御回路 2 0 は、 R 0 M— 2 0 b に格納される制御プログラムに従って演算処理を実行することにより、左右駆動輪 2 2 R L , 2 2 R Rに発生する加速スリップを制御する。以下、加速スリップ制御回路 2 0 にて実行される加速スリップ制御について、第 4 図に示すスローチャートに基づいて説明する。また、その処理内容の理解が容易となるように、加速スリップ制御による各スロットルバルブ 8 , 1 2 の開度 0 mn , 0 s n及び駆動輪速度 V mnの変化の一例を第 5 図に示し、この図を適宜参照しつつ説明する。第 4 図に示すフローチヤ一卜のプログラムは、内燃機関 2 の始動と同時に R O M 2 O b から読み出され、 C P じ 2 0 a においてその処理が開始される - まず、その処理の初期において、記憶素子のチヱックやプログラム中で使用する各種フラグの初期設定等の初期化処理が実行される（ステップ 1 0 0 ) 。そして、従動輪速度センサ 3 2 FL, 3 2 FR及び駆動輪速度センサ 4 0 が出力する検出信号を入力して処理することにより、以下の処理において必要となる車両速度 V cr, 車両； ¾] 速度 a cr，車両速度 V crに対する制御開始速度 V st及び駆動輪速度 V mn等を演算する（ステップ 1 1 0 ) 。

車両速度 V crは、従動輪速度センサ 3 2 FR, 3 2 FLによって検出される左右従動輪速度の平均速度として演算される。そして、この車 K 速度 V crの変化をその変化に要した経過時間で除算することにより、車両加速度 a crが演算される：：さらに、制御開始速度 V stは、車両速度 V crに所定値を加算する、或いは所定の係数を乗算することにより演算される。

また、現在の車両の運 ¾^態を把握するため、回 e速度センサ 3 0 ,

- 各スロットル開度センサ 1 4 , 1 6 及び変速比センサ 4 2 より検出信号を入力する（ステップ 1 2 0 ) c

次に、加速スリップ制御（サブスロットルバルブ 1 2 のフィ一ドノくック制街）が実行中であるか否かを、フラグ F ac t の値により判定する（ステップ 1 3 0 ) 。このフラグ F act は、後述するように加速スリップ制御中にその値力 1 にセッ卜されるものである。フラグ F ac t の値が 0 であるときには、未だ加速スリップ制御が実行されていないため、現時点で加速スリップ制御の開始条件が成立しているか否かを判断する（ステップ 1 4 0 ) = この判断は、例えば現在の駆動輪速度 V が制御開始速度 V s tを上回っているか否かにより判^することができる。そして、加速スリップ制御条件が成立している場合には、フラグ F act の値を 1 にセッ卜する（ステップ 1 5 0 ) 。次に、後述するもう一つの加速スリップ制御のモードであるスタンバイ制御を終了 /禁止して（ステップ 1 6 0 ) 、加速スリップ制御の初期処理を実行した後（ステップ 1 7 0 ) 、ステップ 1 1 0 へ戻る。

この加速スリップ制御の初期処理は、サブスロットルバルブ 1 2 のフィードバック制御の初期に実行されるもので、サブスロットルバルブ 1 2 の初期開度 0 s tの設定、及びその初期開度 Θ s tへの駆動を行う。この初期開度 S s tは、内燃機関 2 の等トルク曲線に従って変速機 3 8 の変速比及び内燃機関 2 の回転速度に基づいて決定される。変速機 3 8 の変速比が 1 速である場合の等トルク曲線の一例をを第 7 図に示す。本実施例では、以前に ¾速スリップ制御を実行した際に加速スリップを適正値に制する燃機関 2 の駆動トルクより、この駆動トルクに対応する等トルク曲線が選択される c そして、この選択された等トルク曲線に従って、変速機 3 8 の変速比及び内燃機関 2 の回転速度より、サブスロットルバルブ 1 2 の初期開'度 S s tが設定される。そして、サブスロットルバルブ 1 2 の開度 Θ s nは、設定された初期開度 0 s tにモータ ί 0 により最高速で駆動され'る _e 従って、加速スリップ制御の ■ 初期処理により、サブスロットルバルブ 1 2 の開度 0 s nを、以前の加速スリップ制御において加速スリップを抑制するために最適とみなされた駆動トルクを発生させる開度に素早く駆動することができる _c

さらに、加速スリップ制御の初期処理では、駆動輪目標速度 V S Pが設定される。なお、駆動輪目標速度 V s pは、公知のように車両速度 V c rに所定のスリップ率を加味して算出され、制御開始速度 V s tよりも低く設定される。これは、駆動輪速度センサ 4 0 によって検出される駆動輪速度 V mwが、車体の振動等によって変動するため、制御開始速度 V s tを低い速度に設定すると誤って加速スリップ制御が開始されるためである。

第 5 図の時刻 t 3 から t 4 の期間は、加速スリップ制御の初期処理による制御結果を示している - 第 5 図の時刻 t 3 にて、駆動輪速度 V mwが制御開始速度 V s tを上回ると加速スリップ制御の開始条件が成立する - このとき、加速スリップ制御の初期処理が実行され、サブスロットルバルブ 1 2 の開度 0 s nは初期開度 0 s tまで急速に認動される - これにより、内燃機関 2 の駆動トルクが低下し、駆動輪速度 V m\vは目標速度 V s pに向けて下降する。

この第 5 図より明らかなように、本実施例の加速スリップ制御によれば、通常のフィ一ドバック制御による加速スリップ制御が実行される以前に、サブスロットルバルブ 1 2 の開度 0 s nが初期開度 0 s t近傍に駆動されている。このため、加速スリップ制御の初期処理において、サブスロットルバルブ 1 2 の開度 S s nを瞬時に目標とする初期開度 S s tに S勣することができる

次に、サブスロットルバルブ 1 2 の開度 0 s nを予め初期開度 0 s t近傍に駆動する処理（以下、スタンバイ処理及びバックアップ処理）について説明する。 .

フラグ F a c t がリセット状態であり、未だ加速スリップ制街の開始条件が成立していない場合には、ステップ 1 4 0 での判断結果が X 0 となり、ステップ 2 0 0 に進む。ステップ 2 0 0 では、後述するス夕ンバイ ^理が実行中であるか否かをフラグ F s bの値により判定する：このフラグ F s bは、後述するようにスタンバイ処理中にその値力《 1 にセッ卜されるものである。フラグ F s bの値が 0 である場合には、今回スタンバイ処理を実行する条件が成立しているか否かを判断する（ステツプ 2 1 0 ) そして、この条件が成立していないときには、後述するステップ 2 7 0 に進む。ステップ 2 1 0 では、アクセルペダル 6 の操作量を示す主スロットルバルブ 8 の開度 0 mnがスタンバイ開始開度 0 s bを越えたとき、スタンバイ処理を開始する条件が成立したと判断する。このスタンバイ開始開度 S s bは、前述の初期開度 0 s tと同様に、以前に加速スリップ制御を実行した際に加速スリップを適正値に制 ¾する内燧機関 2 の駆動トルクを基準として更新される - 従って、主スロットルバルブ 8 の開度 e mnが、上述の駆動トルクを発生させるスタンバイ開始開度 Θ s bを越えた場合には、その後に加速スリップの発生する可能性が高いと予測される。なお、スタンバイ開始開度 5 s b は、上述の駆動トルクに対応するものであるため、車両の内燃機関 2 の回転数及び変速機 3 8 の変速比によって変化することはいうまでもない。

そして、ステップ 2 1 0 においてスタンバイ処理条件が成立していると判断されたときには、直ちにスタンバイ処理を実行する（ステツプ 2 2 0 ) 。次に、スタンバイ処理を実行中であることを示すフラグ F s bの値を 1 にセットし（ステップ 2 3 0 ) 、ステップ 1 1 0 に戻る：ここで、スタンバイ処理とは、通常は全開状態に設定されているサブスロットルバルブ 1 2 の開度 0 s nをスタンバイ開度 0 s sまで駆動モ — 夕 1 0 の最高速にて駆動するものである - また、このスタンバイ開度 0 s sは、前述の初期開度 Θ s t及びスタンバイ開始開度 Θ s bと同様（こ、以前に加速スリップ制御を実行した際に加速スリップを適正値に制御する内燃機関 2 の駆動トルクを基準として学習され、加速スリップを適正値に抑える開度に更新される。従つ · て、このスタンバイ ^理によって、加速スリップの発生前あっても加速スリッブの発生が予測されるときには、予め加速スリップの抑制に適した開度（スタンバイ開度 0 s s ) にサブスロットルバルブ 1 2 が駆動され、過度の加速スリップの発生を未然に防止することができる。

このスタンバイ処理による各スロットルノ 'ルブ 8 , 1 2 の開度 0 m n， 0 s nの変化は、第 5 図に示す時刻 t 1 - t 2 の期間に示されている。すなわち、主スロットルバルブ 8 の開度 Θ m nがスタンバイ開始開度 Θ s bを上回ったとき（時刻で 1 ) 、直ちにサブスロットルバルブ 1 2 力くスタンバイ開度 0 s sまで駆動される。

スタンバイ処理が実行中となって、かつ未だ加速スリップ制御の開始条件が成立しないとき（第 5 図における時刻 t 2 〜 t 3 ) には、ステツプ 2 0 0 からステップ 2 δ 0 に進む。ステップ 2 5 0 では、サブスロットルバルブ 1 2 の開度 0 s ηがスタンバィ開度 0 s sに到達したか否か、つまりスタンバイ処理が完了したか否かを判定する - そして、スタンバイ処理が完了していないと判定されるとステップ 1 1 0 に戻る。

一方、スタンバイ処理が完了していると判定されると、フラグ F s b をリセッ卜するとともに、バックアップ処理の完了時にセッ卜されるフラグ F beをリセッ卜する（ステップ 2 6 0 ) 。次に、このフラグ F beの値に基づき、バックアップ処理が完了したか否かを判断する（ステツプ 2 7 0 ) = スタンバイ処理が完了した時点では、バックアップ処理が完了しておらず、ステップ 2 6 0 にてフラグ F b cがリセットされているため、ステップ 2 7 0 では、その判断が X 0 となる = この場合、ステップ 2 8 0 に進んで、パ、ックアップ処理により徐々に開制されるサブスロットルバルブ 1 2'の開度 Θ snが全開状態であるか否かを判断する - ステップ 2 8 0 において、全開伏態と判断されると、ックアップ処理が完了したとして、フラグ F b cを 1 にセットして（ステツプ 2 9 0 ) 、ステップ 1 1 0 に戻る - また、ステップ 2 8 0 にて全関伏態ではないと判断されると、 V クアップ処理を実行する（ステップ 3 0 0 ) 。ここで、バックアップ処理とは、スタンバイ処理によりスタンバイ開度 0 s sまで閉じられたサブスロットルバルブ 1 2 の開度 0 snを徐々に開制御し、車両の失速を回避するための処理である。このバックアップ処理では、次式によつてサブスロットルバルブ 1 2 の目標開度 0 spを算出し、その目標開度 0 spにサブスロットルバルブ 1 2 を駆動する。なお、算出された巨標開度 0 s pが主スロットルバルブ 8 の開度 0 mn以上であるときには、即座に全開状態となるようにサブスロットル 1 2 をモータ 1 0 の最高速で駆動する _c

S si^ m e d ( Θ mn, 6* ss— K up · t , Θ s s— K d · t ここで、 m e d は（）内の複数の変数の中間値を選択する演算子、 K up, K dwは、後述する加速スリップ制御実行時に学習され、 K up > K c vの関係にある変数である。

これらの変数 K up, k はバックアップ処理を実行する際に、過度の加速スリップの発生の防止、及び車両の失速の防止を目的に設定される _c

また、特に車両の失速を防止することを重視する場合には、バックアップ処理において、加速スリップが発生するまで車両の加速度を一定の割合で増加するようにサブスロットルバルブ 1 2 の開度 Θ snを直接フィードバック制 ^ してもよい - この場合には、加速スリップ制御を実行した際に加速スリップを適正値に制御する内燃機関 2 の駆動トルクにより生じる車両加速度 a c r m を初期値として、以下のように目標加速度 a ci-， Tを演算する：

a cr, T= a crm 一 Κ · t ( Κ : 疋数）

そして、目標加速度ひ c r , Τと車両の実加速度 a c rとの偏差に応じて、サブスロッ.トノレバルブ 1 2 を駆動する：

ここで、加速スリップ制御を実行した際に力速スリップを適正値に制 ^する内燃機関 2 の S動トルクと、その ¾動トルクにより生じる車両加速度 c r m とは対応関係にある ₌ さらに、駆動トルクと車両加速度 a c rとは、加速スリップの発生しない領域では比例関係にあるため、駆動トルク力く 2 倍になると車両加速度 a c rも 2 倍となる。

このため、車両加速度 a c rを一定の割合で増加させれば、駆動トルクも同様に一定の割合で増加し、この結果、サブスロットルバルブ 1 2 の開度 0 s nは 2 次関数的に増加する _c 従って、車両の加速時における失速を防止することが可能になる。

このバックアップ処理（ステップ 3 0 0 ) による各スロットルバルブ 8 ， 1 2 の開度 S mn, 0 s nの変化は、第 5 図に示す時刻 t 2 ~ t 3 の期間に示されている：この第 5 図では、主スロットルバルブ 8 の開度 0 mnが、 S ss— Kup . t を上回っているため、目標開度 e spは ^ ss + K up · t となる。従って、この場合には、サブスロットルバルブ 1 2 の開度 0 snが 0 s s K up · t に沿って暫時増加する - また、第 5 図においては、前述のごとく時刻 t 3 において加速スリップ制 ¾の開始条件が成立するため、このバックアップ処理によってサブスロットルバルブ 1 2 の開度 0 snが全開にまで至ることはない。従ってこの場合には、ステップ 2 9 0 の処理が実行されることはなく、フラグ F b cはリセット状態を維持する。

次に、くックアップ処理によりサブスロットルバルブ 1 2 の開度 5 snが全開となった場合について説明する - - この場合には、ステップ 2 8 0 力、ステップ 2 9 0 に進み、フラグ F b cの値；^ 1 にセッ卜される：従って、次回のステップ 2 7 0 の処理においては、その判断锆果が Y E S となり、ステップ 3 1 0 へ進む。ステップ 3 1 0 では、次回以降スタンバイ処理及びバックァップ処理の実行を禁止する

すなわち、この場合は、サブスロットルバルプ 1 2 が閉側に 12動された後、主スロットルバルブ 8 が全開伏態で、加速スリップが発生することなくサブスロットルバルブ 1 2 が全開状態まで駆動されたと考えられる - 従って、現在の学習値に徒ってスタンバイ処理及びパックアップ処理を継すると、車両の加速性能を損ねる可能性がある - このため、現在の路面や走行状態に適したスタンバイ開始開度 s b, ス夕ンバイ開度 0 ss及び変数 K up, K dwが新たに学習されるまで、スタンバイ処理及びバックアップ処理の実行を禁止する。ここで、ステツプ 3 1 0 における禁止処理は、例えばフラグ F s bの値を 1 にセットし、見かけ上スタンバイ処理が実行中であるとすることで達成される - 次に、これら各種の学習値の学習処理について説明する - 上記各学習値は、フィ一ドバック制御による加速スリップ制 —の実行中に学習され、新たな学習値に更新される。ここで、加速スリップ制御の開始条件が成立して、フラグ F act の値が 1 にセットされると (ステップ 1 5 0 ) 、スタンバイ処理，バックアップ処理に優先して加速スリップ制御が実行される（ステップ 4 0 0 ) 。この加速スリツプ制御では、駆動輪速度 V m\vを駆動輪目標速度 V s pに一致させるようにサブスロットルバルブ 1 2 の開度 S s nをフィードバック制御する。加速スリップ制御の実行時に、車両の状態が、上記各学習値の学習に適した学習許可状態であるか否かを判断する（ステップ 4 1 0 ) 。このステップ 4 1 ■ 0 では、ステップ 4 0 0 における加速スリップ制御によって加速スリップが適正値に制御されており、かつブレーキ操作等の外乱要因がなく、車両の運転状態が路面と内燃機関の出力との関係のみによって決定され »場台に学習許可状態であると判断する：そして、学習許可状態であるときには、上記各学習値を学習し、更新する（ステップ 4 2 0 ) とともに、スタンバイ処理及びバックアップ処理が禁止状態にあるときには、その禁止状態を解除する（ステップ 4 3 0 ) o

上記の学習においては、加速スリップ制御によって加速スリップが適正値に制御されている場合のサブスロットルバルブ 1 2 の開度 0 s η , 内燃機関 2 の回転速度及び変速機 3 8 の変速比から、第了図に示すマップを用いて現在の車両の走行路面に対する遼切な E動トルクを求める - そして、変速機 3 8 の変速比及び内燃機関 2 の回転速度より、この駆動トルクに対応する初期開度 0 s t , スタンバイ開始開度 0 s b及びスタンバイ開度 S s sを算出する。

また、変数 K u p , K d wについても上記の駆動トルクに基づいて算出する。例えば、学習許可状態であるとき、変速機 3 8 の変速比が 1 速であり、かつ内燃機関の回転数 N e に対するサブスロットルバルブ 1 2 の開度 Θ s nが、第 6 図に実線で示すように推移したとする。この情報により、現在の車両の走行路に対しては、第 6 図の実線に示すサブスロットルバルブ 1 2 の開度推移に近似してバックアップ処理を実行することが好ましいことが判明する。そこで、バックアップ処理においてサブスロットルバルブ 1 2 の開度 S s nを算出する際に利用される変数 K u p , K d wの値を、第 6 図の点線及び一点鎖線の傾きに一致するように学習する。

なお、学習によって更新される初期開度 0 s スタンバイ開始開度 0 s b及びスタンバイ開度 0 s sはそれぞれ同一の開度であっても良いし、個々の値の特性に応じて捕正しても良い。例えば、スタンバイ開始度 0 s bについては、主スロットルバルブ 8 と内燃機関 2 の出力との過渡特性を考慮して措正することが望ましい。つまり、内熾機関制^回路 2 0 は、一般に主スロットルバルブ 8 の開度 0 nrnの変化率が大きくなると、内撚機関 2 に供給される燃料量を増加する（加速増量制従って、この場合には、主スロットルバルブ 8 の開度 S mnがスタンノくィ開始開度 0 s bに達する以前に、内燃機関 2 による駆動トルクが加速スリップ制御に適した区動トルクを越えてしまう可能性がある - このため、例えば加速增量制御が主スロットルバルブ 8 の開度 0 mnの変化率に基づ'いて実行される場合には、スタンバイ開始開度 0 s bと比較する主スロットルバルブ 8 の開度^ mnを以下のように棕正する =

^ mn = ^ mn - K - d Θ nX d t K ：定数

これにより、加速増量制 :による内燃機関 2 の環区動トルクの変化に対応したスタンバイ開始開度 S s bとすることができる - なお、上述の例では、スタンバイ開始開度 0 s bと比較する主スロットルバルブ 8 の開度 0 mnを捕正したが、スタンバイ開始開度 0 s bを直接禧正してもよいことは言うまでもない

ステップ 4 3 0 の処理の後、或いはステップ 4 1 0 において学習許可状態ではないと判定されると、ステップ 4 4 0 にて加速スリップ制御の終了条件が成立しているか否かを判断する。そして、終了条件が成立しているならば、サブスロットルバルブ 1 2 の開度 s nを全開にする（ステップ 4 δ 0 ) c 一方、終了条件が成立していない場合には、ステップ 1 1 0 へ戻る - この加速スリップ制御による制御結果の一例が、第 5 図の時刻 t 4 以降に示されている。

上述の実施例では、各学習値の更新を加速スリップ制御中に行っていた。しかし、各学習値の更新は、加速スリップ制御中以外にも行うことができる。以下、この場合の各学習値の更新方法について第 8 図のタイミングチヤ一ト及び第 9 図の特性図を用いて説明する。

前述したように、加速スリップ制御を実行した際に加速スリップを適正値に制御する内燃機関 2 の駆動トルクと、その駆動トルクにより生じる適正車両加速度 a c r m とは対応関係にある。従って、現在の車両加速度 a c rと適正車両加速度 a c r m とに基づいて、加速スリップを適正値に制御する新たな駆動トルクを求めることができ、この駆動卜ルクに応じて各学習値を更新することができる。

より具体的に説明するために、加速スリップ制御が行われていないときに、第 8 図に示す如く、現在の車両加速度 a c rが適正.車両加速度 a c r m よりも大きくなつたと反定する。この塲合には、各学習値の学習が行われた路面よりも、現在車両が走行している路面の方が滑りにくいと判断することができる - この路面状態の変化により、加速スリップを適正値に制御する内燃機関 2 の駆動トルクは増加することになる。この増加した駆動トルク T i は、次式に示すように、現在の車両加速度 a c rと適正車両加速度 a c r m との比に以前の駆動トルク T 1 を乗じることによって算出することができる。

Τ ί = ( a c r / a c r m ) · Γ 1

なぜならば、前述したように、加速スリップが生じていない範囲では、駆動トルクと車両加速度 a c rとは比例関係にあり、車両加速度 a c rが増加したならば、駆動トルクも同様に増加したと考えられるためでのる。

そして、この増加した駆動トルク T i に従って、各学習値は新たな学習値に更新される - なお、本発明の車両用加速スリップ制御装置は、上述の実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。

例えば、上記実施例ではサブスロットル 1 2 の開度 0 s nのみを ¾整することにより、内撚機関 2 の駆動トルクを制御し、加速スリップ制御を行っていた。しかし、車両の制動系によるスリップ制御を併用しても良い。この場合には、上記において説明したサブスロットルバルブ 1 2 による適切な加速スリップ制御により、制動系の加速スリップ制御に対する負担を大幅に軽減することができる。また、制動系の作動時には、各種学習値の学習は実行されず、誤学習により加速スリップ制街が不適切なものとなることもない _c

また、上述の実施例では、主スロットルバルブ 8 に対してサブスロットルバルブ 1 2 を設け、このサブスロットルバルブ 1 2 を開閉制していた c しかし、内燧機関 2 の'吸気系にただ 1 つのリンクレス · スロットルバルブを設けても良い。この場合には、スタンバイ処理，バックアップ処理及び加速スリップ制御時に、アクセルぺダルの操作に優先してリンクレス · スロットルバ ·ルブを開閉制街する - 産業上の利用可能性

以上のように、本発明に係わる車両用加速スリップ制御装置は、内燃機関の吸入系にスロットルバルブを備え、このスロットルバルブの開度によって吸入空気量を制御する車両に用いられ、加速スリップ弒御の初期の応答性を大幅に向上することができる。

Claims

請求の範囲

1 . 内燃機関の吸入系に備えられるスロットルバルブの開度を調整して吸入空気量を制御し、前記内燃機関により駆動される車両の駆動輪に発生する加速時のスリップを抑制する車両用加速スリップ制御装置において、

前記スロットルバルブの開度を指令するアクセルの操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、

前記アクセルの操作量が加速スリップの発生が予測される基準値よりも大きくなったことを検出する検出手段と、

前記駆動輪の加速時に加速スリップが発生したことを検出する加速スリップ検出手段と、

前記検出手段によって前記アクセルの操作量が前記基準値よりも大きくなつたことが検出されたとき、前記加速スリップ検出手段によつて加速スリップの発生が検出されるまで、.加速スリップを抑制すべく決定された初期開度に前記スロッ卜ルバルブの開度を設定する設定手段と、 .

前記加速スリップ検出手段によって加速スリップの発生が検出されたときに、その検出される加速スリップに応じて前記スロットルバルブを駆動し、前記駆動輪に発生した加速スリップを抑制する加速スリップ抑制手段とを備えることを特徵とする車両用加速スリップ制御装置。

2 . 前記加速スリップ抑制手段によって駆動される前記スロットルバルブの開度に基づいて、前記検出手段における基準値を車両の走行路面に適した値に更新することを特徵とする請求項 1 記載の車両用加速スリップ制御装置。 '

3 . 前記アクセルの操作速度を検出する操作速度検出手段を備え、前記アクセルの操作速度が速いときには、それよりも操作速度が遅いときと比較して、前記基準値を越える前記アクセルの操作量を小さい値に椅正する捕正手段を備えることを特徵とする請求項 1 あるいは 2 に記載の車両用加速スリップ制御装置。

4 . 前記加速スリップ抑制手段によって駆動される前記スロットルバルブの開度に基づいて、前記設定手段における前記初期開度を車両の走行路面に適した開度に更新することを特徵とする請求項 1 記載の車両用加速スリップ制御装置。

5 . 前記設定手段によって前記初期開度に設定された前記スロットルバルブの開度を、前記加速スリップ検出手段によって加速スリップの発生が検出されるまで、時間の経過とともに徐々に開方向に駆動する駆動手段を備えることを特徵とする請求項 1 記載の車両用加速スリップ制御装置-

6 . 車両の加速状態を検出する加速状態検出手段を備え、

前記加速状態検出手段によって検出される加速状態に基づいて、前記検出手段における基準値を車両の走行路面に適した値に更新することを特徵とする請求項 1 記載の車両用加速スリップ制御装置-

7 . 前記アクセルの操作速 ¾を検出する操作速度検出手段を傭え、前記アクセルの操作速度が速いときには、それよりも操作速度が逞いときと比拿交して、前記基準値を越える前記アクセルの操作量を小さい値に襦正する捕正手段を備えることを特徵とする請求項 6 に記載の車両用加速スリップ制御装置。

8 . 車両の加速伏態を検出する加速状態検出手段を傭え、

前記加速伏態検出手段によって検出される加速状態に基づいて、前記設定手段における前記初期開度を車両の走行路面に適した開度に更新することを特徵とする請求項 1 記載の車両用加速スリップ制御装置- 9 . 車両の加速状態を検出する加速状態検出手段を備え、

前記設定手段によって前記スロットルバルブの開度が前記初期開度まで駆動される時に、前記加速状態検出手段によって車両の負の加速伏態変化が検出された場合に、その負の加速状態変化が検出された時点で、前記スロットルの開度を時間の経過とともに徐々に開方向に駆動する駆動手段を備えることを特徵とする請求項 1 記載の車両用加速スリップ制御装置。

1 0 . 内燃機関の吸入系に備えられるスロットルバルブの開度を調整して吸入空気量を制御し、前記内燃機関により駆動される車両の駆動輪に発生する加速時のスリップを抑制する車両用加速スリップ制御装置において、

車両の走行路面の摩擦状態に適した駆動トルクを推定する推定手段と、

前記スロットルの開度を指令するアクセルの操作量を検出するァクセル操作量検出手段二、

前記ァクセルの操作量に対応した前記スロットルバルブの開度が、前記推定手段により推定される駆動トルクを発生させる基準開度を越えたとき、前記スロットルバルブの開度を前記基準開度 _に制限する制限手段とを備えたことを特徴とする車両用加速スリップ制御装置。

1 1 . 前記制限手段によって前記基準開度に制限された前記スロットルバルブの開度を時間の経過とともに徐々に開方向に駆動する駆動手段を備えることを特 i とする請求項 1 0 記載の車両用加速スリップ制御装置。