— ― 明 細 書 新規なボリベプチ ド化合物
(技術分野)
本発明は生物学的半減期が延長し、 熱および酸に対する安定性 が増大しかつ血栓形成部位近傍の炎症に対し抑制効果を期待し得 る改良型ブラ ス ミ ノ ーゲン活性化因子(改良型 t一 P A )に関する。 また、 本発明は上記改良型 t一 P Aをコー ドしているデォキ シ リ ボ核酸(D N A:)、 改良型 t— P Aをコー ドしている D N Aを含 有する組換発現ベクター、 この発現ベクターで形質転換した宿主 細胞、 改良型 t一 P Aの製造法、 改良型 t - P Aを含有する医薬組 成物および血栓性疾病の治療におけるその使用に関する発明を包 含している。
(背景技術)
ヒ ト組織プラ ス ミ ノ ーゲン活性化因子(t一 P A )は、 通常の血 拴溶解剤、 ス ト レブ トキナーゼ(S K)およびゥ ロキナーゼ(U K) とは対照的に、 循環している体液相のブラ ス ミ ノ ーゲンを効率的 に活性化しないが、 フ イ ブリ ンと結合したプラ ス ミ ノ ーゲンを極 めて効率的に活性化する点で有用な線維素溶解活性を有する こ と が知られている。 この t— P Aを構成するア ミ ノ酸配列および!— P Aをコー ドする cD N A のヌク レオチ ド配列は公知である
[Pennica, D.et al . , Nature 301, 214— 221(1983)]。 更に、 t— P Aは静脈および動脈血栓を溶解する こ とがわかってお り 、 大規 模な臨床試験の報告では静脈内投与した t - P Aが、 急性心筋梗 塞の患者における閉塞冠動脈の再灌流をもたらすので有効であ
ることが示されている。 : ;
しかしながら、 血栓性疾病の治療における:この t— P Aの使用 の欠点は、 その血液中における酵素活性の半滅期が極端に短いこ とである [Rijken, D.C. et al., Thromb. Haemost. , 54(1), 61, (1985), Hubert, E.F. et al. , Blood, 65, 539,(1985)]。 従つ て血栓性疾病の治療に用いる際には、 高投与量を必要と し持銃静 注投与を行う必要がある。
天然の t一 P Aは完全予想二次構造に基づき、 分子の N末端か ら、 フ ィ ンガー ドメ イ ン、 E G F (表皮成長因子)ドメ イ ン、 2個 の第 1 および第 2 ク リ ングル ドメ イ ン、 そ してセ リ ンブ口テア一 ゼ部分と ドメ イ ン構造をとるこ とが知られている。 Rijken 等
[Rijken, D.C. et al. , Thromb. Haemost. , 54C1), 61,(1985)] は、 t一 P Aのセ リ ンブ口テアーゼ部分以外の部分が、 t— P Aの 生物学的半減期の短さに関係している ら しいことを報告している。 また Zonneveld 等 [Zoimeveld, A.J.V. et al . , Proc.Natl .Acad. Sci, U.S.A. , 83, 4670, (1986)]は、 フ ィ ンガー ド メ イ ン、 E G F ドメ イ ンおよび第 2ク リ ン グル ドメ イ ン構造が天然 t— P Aの フ ィ ブリ ン結合活性ならびにフ イ ブリ ン依存性 t— P Aの活性化 の維持に重要な役割を果たしている ら しいことを報告している。 然しながら、 天然 t一 P Aが有するフ イ ブリ ン結合活性および: 7ィ ブリ ン依存活性の好ま しい性質を維持しかつ生物学的半減期を延 長するための具体的方策は明らかにされていない。
特開昭 62— 48378には、 天然 t一 P Aの 87番目から 175番目まで のア ミ ノ酸を欠失させて得た第一ク リ ングルを欠いた t一 : P A力 s 記載されている。 この t一 P Aは、 さ らに E G F領域において部
位突然変異を誘発させている と こ ろに特徴を有する。 該公開特許 における修飾 t— P Aは、 フ ィ ブ リ ンへの結合能を有し、 組織プ ラ ス ミ ノ一ゲン活性化因子阻害剤との相互作用が減少する こ とが 開示されている。
また E P 241208には、 天然 t— P Aの 92番目から 179番目までの ァ ミ ノ酸を欠失させて得た第一ク リ ングルを欠いた t一 P Aが記 載されているが、 このものについては線維素溶解活性を有する 旨 記載されているのみである。
更に E P 231624には、 半減期の延長を示す修飾 t— P Aが開示 されている。 その一つの配列 F — E G F — K 2 — Aを有する修飾 t— P Aは、 第一ク リ ングルを欠いたものである力 S、 このものに ついての具体的製造例は示されていない。 なお本願における修飾 t— P Aは、 具体的に記載された製造例からィ'ンター ド メ イ ンの ァ ミ ノ酸配列が天然のものと は異なったものであるこ とが理解さ れる。
本発明者等は、 鋭意研究の結果、 フ ィ ン ガー ド メ イ ン、 E G F ドメ イ ン、 第 2 ク リ ン ク'ル ドメ イ ンおよびセ リ ン プロテア一ゼ部 分を含有する力 最初の第 1 ク リ ン グル ドメ イ ンを特定のァ ミ ノ 酸部位で欠く t— P A改良体、 また更にセ リ ンプロテア一ゼ部分 において部位突然変異させた t— P A改良体を創製したと ころ、 意外にも天然 t一 P Aの好ま しい性質を維持したまま、 熱および 酸に対する安定性に優れ生物学的半減期を飛躍的に延長させ、 更 に抗炎症作用も併有させる こ と に成功した。
(発明の開示)
本発明は、 t一: P Aの改良型に関するものである。 本発明の改
良型 t一 P Aは天然型ヒ 卜 t一 P Aと化学構造を著しく異にしてお り、 よ り優れた機能性を示す。
すなわち、 本発明の改良型 t一 P Aは、 下記式で示されるアミ ィ酸配列を有するポリペプチ ドである。
H 2N - - S er Tyr G In V al I le C ys A rg Asp G lu L ys
Thr G in Met I le Tyr Gin G in H is Gin S er
T rp Leu A rg P ro V al L eu A rg S er A sn A rg
V al G lu Tyr C ys T rp C ys A sn S er G ly A rg
A la G In C ys H is S er V al P ro V al L ys S er C ys S er G lu P ro A rg C ys P he A sn G ly G ly
Thr C ys G In G In A la L eu Tyr P he S er Asp
P he Val C ys G In C ys P ro G lu G ly P he A la
Gly L ys C ys C ys G lu I le Asp Thr A rg A la
Thr Ser G lu G ly Asn S er Asp C ys Tyr P he Gly Asn G ly Ser A la Tyr A rg G ly Thr H is
Ser Leu Thr G lu S er G ly A la "S er C ys L eu
Pro T rp A sn S er Met I le Leu I le G ly L ys
Val Tyr Thr A la G in Asn Pro S e'r A la Gin
A la L eu Gly L eu Gly L ys H is A sn Tyr C ys A rg Asn P ro Asp G ly Asp A la L ys P ro T rp
C ys His Val L eu L ys A sn A rg A rg L eu Thr
T rp G lu Tyr C ys Asp Val P ro S er C ys S er
Thr C ys G ly L eu A rg G in Tyr S er G in P ro
G In P he 一 Y 一 G ly G ly L eu P he A la Asp l ie Ala S er H is P ro T rp G in A la A la
I le P he A la L ys H is A rg A rg S er P ro G ly G lu A rg P he L eu C ys G ly G ly I le L eu I le
S er S er C ys T rp I le L eu S er A la A la H is C ys P he Gin G lu A rg P he P ro P ro H is H is L eu Thr Val I le L eu G ly A rg Thr T yr A rg Val Val P ro G ly G lu G lu G lu G In L ys P he G lu Val G lu L ys T yr I le Val H is L ys G lu P he Asp Asp Asp Thr T yr Asp A sn Asp I le A la L eu L eu G In L eu L ys S er Asp S er S er A rg C ys Ala G in G lu S er S er Val Val A rg Thr Val C ys L eu P ro P ro A la Asp L eu G in L eu P ro Asp T rp Thr G lu C ys G lu L eu S er G ly Tyr G ly L ys H is G lu A la L eu S er P ro P he Tyr S er G lu A rg L eu L ys G lu A la H is Val A rg L eu Tyr P ro S er S er A rg C ys Thr S er G in H is L eu L eu A sn A rg Thr Val Thr Asp A sn Met L eu C ys A la G ly Asp Thr A rg S er G ly G ly P ro G in A la A sn L eu H is Asp A la C ys G in G ly Asp S er G ly G ly P ro L eu Val C ys Leu A sn Asp G ly A rg Met Thr L eu Val G ly I le I le S er T rp G ly L eu G ly C ys G ly G in L ys Asp Val P ro G ly V al Tyr Thr L ys Val Thr A sn T yr L eu Asp T rp I le A rg Asp A sn Met A rg P ro — C O O H
[配列中
4
-6-
Rは、 存在しない力、、
Met Asp A la Met L ys A rg G ly Leu C ys C ys Val L eu Leu Leu C ys G ly A la V al P he Val S er P ro S er Gin G lu I le H is Ala A rg P he A rg A rg G ly A la A rg、
G ly A la A rg、
Met、
または Met G ly Ala Argであり ;
Yは、 A— I ie— Β (但し Αは Argまたは G luであり、 Bは Lysまたは I leである)であり ;
H 2N—は、 ァミ ノ末端であり ;
一 C 00 Hは、 カルボキシ末端である。 ]
な 本明細書において改良型 t— P A [H ]、 [V]、 [71]および DM]なる名称は、 Aおよび Bがそれぞれ下記のァミ ノ酸である場 合の改良型 t— P Aを意味する。
A B
改良型 t一 P A [I ] A rg L ys
" [Y ] Arg I le
[VI] G lu L ys
[11] G Lu I le
本発明者等が創製した上記改良型 t - P Aは、 後述のように、 天然 t一 P Aの好ましい性質を維持したまま、 熱および酸に対す る安定性に優れ、 生物学的半減期が飛躍的に延長し、 かつ抗炎症 作用も有するすぐれた活性を有している。
本発明は、 また、 組換 D N A法を利用して改良型 t一 P Aを発
現させる こ と を 目的と している。 本発明は、 さ らに、 改良型 t一 P Aをコー ドする新規 D N A化合物および組換 D N A発現べク タ
一を提供する ものである。 本発明は、 これら新規ク ローニ ングべ ク タ一で形質転換した宿主細胞をも提供するものである。 本 D N A化合物を用いる こ と に よ り これまで、 天然に存在する こ とが知 られていない t一 P A誘導体を製造する こ とができたものである。 (図面の简単な説明)
第 1 図は、 改良型 t一 Ρ Α [ϋ ]をコー ドする合成遺伝子 断片の構築に用いた 16本のオ リ ゴデォキシヌク レオチ ドの塩基配 列を示す。
第 2図は、 第 1 図に示した 16本のオ リ ゴデォキシヌ ク レ ォチ ドを用いて構築した、 両末端に制限酵素 B g 1 Eおよび E co R I末端を有する本発明改良型 t - P A [U ]憐築用合成逍伝子断片 を示す。
第 3 — 1 図は、 本発明改良型 t一 P A [11 ]遺伝子の搆築法を示 す。 図中、 黒ぬり部分は、 成熟 t— P Aタ ンパク をコー ドする領 域、 斜線部分は、 ブレブ口ペプチ ドをコー ドする領域、 白ぬき部 分は、 非翻訳領域を示す。
第 3 — 2図は、 合成遺伝子断片ブロ ッ ク IVのジデォキシ法およ び 7 - D E A Z A法による D N A塩基配列決定による確認方法を 示す。
第 4図は、 動物細胞での発現べク タ一 PV Y 1 の構築法および 改良型 t一 P A遺伝子の PV Y i への組み込みを示す。
第 5図は、 本発明改良型 t一 P Aをコー ドする D N A塩基配列 を示す。 (第 5 — 1 図は改良型 t一 P A [ Π ]また第 5 — 2図は改良
型 t— P A [V]をコー ドする D N A塩基配列である)
第 6図は、 本癸明改良型 t一 P Aをコー ドする D N A塩基配列 から導かれるァ ミ ノ酸配列を示す。 (第 6 — 1 図は改良型 t— P A [E ]、 第 6 - 2図は改良型 t一 P
第 7図は、天然型 t- P A遺伝子 E co R I - X ho E断片(約 1,000 塩基対)をべクター pB R 322の E coR I および BaraH I切断部位 に組み込んだブラスミ ド pT P A 2の制限酵素および機能地図を 示す。
第 8図は、 改良型 t一 P A [E ]遺伝子 BglH — Xholl断片(約 1,500塩基対)をニ本鎮 M13mP9 D N Aの BamH I切断部位に組み 込んだ πιρ9 (改良型 t- P A [H ])を示す。
第 9図は改良型 t— P A [1/1]と天然型 t一 P Aのフ ィ ブリ ン代替 物質の存在下(+ Fb)および非存在下(一 Fb)における S— 2251法 での t一; P A活性の用量反応曲線を示す。
第 10図は改良型 t一 P A [ L]と天然型 t一 P Aのゥサギ血中にお ける活性値の経時変化を示す。
第 11図は、 改良型 t一 P A [^]め加熱処理後の残存活性の変化 を示す。
第 12図は、 改良型 t一 P Α [Ή]の L A F活性の阻害を示す。 第 13図は、 変性タンパク質による改良型 t一 Ρ Αの活性化状態 を示す。—
第 14図は、 改良型 t一 P Aによる変性タ ンパク質の分解を示す。 (発明を実施するための最良の形態)
以下、 上述した製造法、 D N A、 形質転換細胞について詳細に 説明する。
(改良型 t一 P Aの製造方法)
本発明の改良型 t— P A分子の作製に用いる t— P A分子をコ一 ドする遺伝子は、 Bowes ヒ ト黒色腫細胞から調製した cD N Aバ ンクから得た。 ポリ( A ) + R N Aを B owesヒ ト黒色腫細胞から単 離したショ糖密度勾配遠心法によ り分画した。 次に分画したポ リ (A)+ R N Aの一部をと り t一 P AniR N Aの特異的配列を認識す るオリ ゴヌク レオチ ドプロー ブを用いた ドッ 卜ハイ ブリ ダィ ゼー シヨ ン法によ り、 t— P A遺伝子をコー ドする mR N A画分を同定 した。 この t— P AmR N Aに富む画分を出発材料に cD N Aバン クを調製し、 前記 t— P AmR N Aの同定に用いたプローブでスク リ ーニ ングした。 完全な t— P A遺伝子配列をもつク ロー ンは、 単離されなかったので、 改良型 t— P A遺伝子を構築するのに必 . 要となる残りの塩基配列部分を D N A合成機を用いて合成し、 目 的の遺伝子を構築した。 更に部位特異的突然変異誘発法によ り所 望の遺伝子構築を行った。
' 尚、 この際用いた N末端側が一部欠損した天然型 t一 P A遺伝 子 EcoR I - XhoD断片(約 1,000塩基対)を常法によ りベク タ ー p B R 322の EcoR I および BamH I切断部位に組み込み pT P A 2 を搆築した。このプラ ス ミ ドで大腸菌を形質転換した株( . coli H B 101/pT P A 2 )は微ェ研菌第 P— 9649号(微ェ研条寄第 2107 号)と して寄託されている。 プラ ス ミ ド PT P A 2の制限酵素およ び機能地図を第 7図に示す。
次に、 この改良型 t— P A遺伝子をプラ ス ミ ド PV Y I に挿入し た。
プラ ス ミ ド pV Y 1 はブラ ス ミ ド pK S V lOCPharmacia 社製)の
BamH I - pnl断片約 2, 900塩基対部分と、 ブラ ス ミ ド pAdD 26 S V(A)no.3 (N ) (東京大学、 半田宏博士よ り入手)の E coR I切断断片を、 それぞれ平滑末端と した後結合させたものである。 従って、 このベクターは、 アデノ ウ イルス(Ad2 )主要後期プロ モータ ーの転写制御下にあるマウ スジヒ ドロ葉酸還元酵素 cD N A¾伝子と、 改良型 t一 P A遺伝子挿入部位の上流には S V40初 期プロモータ ー、 下流には介在配列およびポリ アデニレーシ ョ ン 配列を含む。
と ころで、 本発明の遺伝子は、 改良型 t一 P Aを産生ざせるた めの遺伝情報を含んでいるので、 これをさ らに、 適当な形質発現 ベクタ一に組込んで、 適当な宿主細胞に導入して形質転換体を調 製し、 形質発現させることによ り、 改良型 t— P Aを生物工学的 に製造することができる。 宿主細胞と しては、 大腸菌、 枯草菌な どの屎核細胞、 酵母などの真核細胞微生物および高等動物細胞が 使用できる。 大腸菌と しては、 通常 E .coli,Kl2株に属する J M 109株、 W3110Q株などが、 枯草菌(Bacillus subtilis)と しては、 B D I70株、 B R 151株などが用いられる。 酵母と してはパン酵母 CSaccharomyces cerevisiae)の R H218珠、 S H Y 1 珠など力 禾! j 用できる。
宿主細胞による形質発現には、 一般に宿主細胞と適合できる種 から誘導されたレブリ コンおよび制御配列を含むブラ ス ミ ドべク ターやフ ァージベクターが使用される。 大腸菌を宿主とするべク ターと しては、 PB R 322、 p U C 18、 PU C 19等のプラ ス ミ ド、 ス gt、 C haron 4 Aなどの フ ァージ、 M 13フ ァ一ジなどである。 枯草菌のベクターと しては、 118110ゃ 5八2100などが、 酵母
一 一
のベクターと しては、 Y R P7や Y Ep61などが使用できる。
ベクターは、 所望の蛋白質を発現しうる プロモータ ーを保持し ていなければならない。 大腸菌の遺伝子またはフ ァ一ジの遺伝子 のプロモーターと しては、 例えば、 lac, trp, tac, trc, P 等 が利用される。 L 高等動物の培養細胞を宿主とする場合は、 赤毛ザル腎臓細胞、 蚊の幼虫の細胞、 アフ リ カ ミ ド リ ザル腎臓細胞、 マウス胎児線維 芽細胞、 チ ャ イ ニーズハム ス タ ー卵巣細胞、 ヒ ト胎児腎臓細胞、 蛾卵巣耝織細胞、 ヒ 卜頸上皮様細胞、 ヒ ト骨髄腫細胞、 マウ ス線 維芽細胞、 等が用いられる。 また、 そのベク ターと しては、 S V 40初期プロモータ ー、 S V40後期ブロモータ 一、 真核生物遣伝子 からのプロモーター(例えば、 エス ト ロゲン誘導ニヮ 卜 リ卵アル ブミ ン遺伝子、 イ ンタ ーフ ヱ ロ ン遺伝子、 グルココルチ ィ ド誘 導チロ シンア ミ ノ ト ラ ン ス フ ユ ラーゼ遺伝子、 チ ミ ジンキナーゼ 遺伝子、 主初期および後期アデノ ウ イ ルス遺伝子、 ホスホグ リ セ レー トキナーゼ遺伝子、 な因子遺伝子等)を保持する S V40、 ゥ シパピローマウ ィ ルスまたはそれらの誘導体ベク ター等を用いる ことができる。
更に細胞中で分泌生産された t- P Aは、 N末端の切断される 位置の違いによ り、 種々の N末端配列から始まる こ とが知られて いる。
一般に知られている N末端配列は、 本発明のア ミ ノ酸配列にお いて Rが存在しないもの、 あるいは Rが存在しない上に更に N未 端側の 3つのア ミ ノ酸(S er Tyr G in)が切断されて、 N末端が
Valから始まるもの、 あるいは Rが Gly A la A rgであるもの等 がある。
このように、 培養細胞を宿主と して、 t一 P Aを分泌生産する 場合、 シグナルぺプチダーゼあるいはプロテアーゼによる切断の 受け方が、 細胞の種類によ り異なるために、 N末端の異なる t一 P Aが生産されること もあ り うる。
この現象は培養細胞による分泌生産の場合にだけ該当すること ではな く、 大腸菌、 枯草菌、 酵母等その他の細胞によ り生産され た t一 P Aの N末端側の修飾され方に関しても、 同様のことが考 えられる。
また、 改良型 t— P A遺伝子を組み込んだ形質発現ベク ターを 用いて宿主を形質転換する方法と しては、 大腸菌の場合は、 H anahan ¾ [Hanahan, D. , J. Mol. Biol. , 166, 557, (1983)] が、 動物細胞の場合は、 リ ン酸カルシウム法 [Van der Eb, A.J. and Graham, F.L. , Method in Enzymology , 65, 826, C1980), Academic Press]等力 S採用しうる。 - 本癸明で説明した D N A配列およびプラ ス ミ ドについて多く の 修飾および変異を行なう ことが可能で.ある。 例えば、 遺伝子の同 義性によ り、 ポリべプチ ドをコ一ドする領域全てに渡ってヌク レ
T G A
ォチ ドの置換が可能であると と もに、 具体的に例示した I 1 I 翻
T A A T A G A C T
訳停止信号にかえて I I I 或いは I 1 I 翻訳停止信号を置く こ と
A T T A T C
も可能である。 このような配列は現在既知となったヒ ト t— P A のァ ミ ノ酸或いは D N A配列から推定する ことができ、 通常の D N A合成法によつて搆築することができる。 従って本発明の遺伝 子の塩基配列は、 いかなる意味においても一つの D N A配列に限
定されるものでない。
既述のよ うに、 改良型 t - P Aは、 深部静脈血拴、 肺動脈塞栓、 末梢動脈血栓、 心臓あるいは末梢動脈由来の塞栓、 急性心筋梗塞 および血栓性発作を含む、 脈管内凝固を包含する多種多様の後天 性疾病の治療に有用である。
天然型 t— P Aと同様、 改良型 t一 P Aは、 急性心筋梗塞の治療 に特に有用である。 最近証明されたよ うに、 天然型 t— P Aは、 1〜 3時間にわたって 30〜70mg量を静脈内投与した時、 閉塞冠動 脈血栓の溶解、 心筋灌流の再生、 および虚血心筋層の大部分の回 復に有効である。 改良型 t— P Aは、 血液中における半減期が頭 著に延長されているので、 天然型 t一 P Aと同様に有効であ り、 天然型 t一 P Aについて推奨される投与量の約 10 %の量で、 しか も単回投与で、 天然 t一 P Aと ¾じ臨床効果がある と予想される。 更に本発明の改良型 t一 P Aは、 天然型 t— P Aはも と よ り修飾 t一 P Aについても従来知られていない次のよ うな有用な性質を 有するものである。
a) 抗炎症作用
血栓部位においては、 血栓の生成だけでな く フ イ ブリ ン分解産 物或は微量のキニ ン等の生成をみとめるが、 これらの物質は起炎 作用を有しているため、 血栓部位に炎症反応を生じさせる こ と も 知られている。 このよ うな理由で、 血栓症の治療に使われる血栓 溶解剤は血栓溶解作用だけでな く抗炎症作用をも有している事が 望ま しい。
我々は鋭意研究の結果、 本改良型 t一 P Aに二種類の作用に基 づく抗炎症作用を付与する こ とに成功した。
その 1 ) は改良型 t— P Aが炎症反応のメディ エーターの一つ であるイ ンタ ーロイ キ ン 1 ( 1 L一 1 )の生物活性を抑制する と言 う実験的事実である。 マク ロ フ ァージで産生される I L一 1 は癸 熱作用、 線維芽細胞の増殖促進、 滑膜細胞等でのコラゲネース産 生、 血管内皮細胞でのプロ スタサイ ク リ ン合成促進等を介して炎 症反応に関与すると考えられている。 また、 肝細胞に働き、 炎症 の際に増加する急性期タ ンパク質(血清ア ミ ロイ ドタ ンパク質、 フ ィ プリ ノ一ゲン等)の産生を促すことが知られている。 今回、 我々 は I L— 1 の生物活性の一つであるマゥ ス胸腺細胞のマィ ト ージェン反応性を増強する活性(L A F活性)を改良型 t— P Aが 抑制することを見い-だした。
その 2 ) は、 改良型 t— P Aが、 血栓部位の炎症によって生じ る変性タ ンパク質(変性 I g G、 変性アルブミ ン等)に対する親和 性を有すること及び改良型 t一 P Aが同変性タ ンパク質によって 活性化される性質の付加である。
本作用によって改良型 t一 P Aは、 未変性のタ ンパク質には作 用せずに、 炎症部位の変性タンパク質のみを分解し、 これによつ て炎症を除去する。 我々は、 S D Sゲル電気泳動を用いた分析に よつて本改良型 t— P Aが変性タ ンパク質のみを分解するこ とを 確認した。
第 13図に示したように改良型 t— P Aの変性タ ンパク質による 活性化作用と選択性は顕著であ り、 H C 1処理 I g Gにおいては B r C N処理フ ィ ブリ ノ一ゲンの数十分の一の濃度で同等の作用を 示した。 一方、 正常 I g Gは 500 g/m lの濃度でも改良型 t— P A に対する活性化作用を発現しなかった。
b) 閉塞血管再開通後の再閉塞予防
従来の t - P Aによって血栓症の治療を行った場合、 閉塞血管 の再開通後に再 塞が高頻度に見られる事が知られている。 この ため現状では血小板凝集阻害剤或は抗凝固剤との併用療法が行わ れている。 しかしながら併用療法は薬剤間の相互作用、 投与量コ ン ト ロール、 副作用等の問題点を抱えており、 t - P A自身に再 閉塞予防作用を付加させた方が望ま しい。
本改良型 t一 P Aは 2種類の作用メ カニズムによ り改良型 t— P A自身が再閉塞予防作用を有する。
その 1 ) 持続性延長によって改良型 t一 P A投与終了後の急速 な t一 P A濃度の低下を防ぐこ とで、 リ バウ ン ド現象をな く しこ れによつて再閉塞を予防する。
その 2 ) I L 1 による血管内皮細胞の傷害を防止する作用によ り間接的に血小板凝集反応が抑制され再閉塞を防止する。
c) 安定性の増強
一般に蛋白製剤はその不安定性のために凍結保存も し く は凍結 乾燥または溶液状態で低温保存するこ とが要求される。 プラ ス ミ ノ ーゲンァクチベータ一は急性心筋梗塞の患者に投与するこ とが 予想されるが、 この場合発作開始後数時間以内に投与する こ とが 死亡率を下げるのに肝要と されている。 それ故、 本剤はさまざま な場所に保存しておく こ とが必要となるが、 場所によ っては低温 保存設備が利用できないこ と もあ り う る。 このよ うな場合には室 温で保存できる よ うな安定なものが望まれる。
また安定性が増強されれば、 製剤の過程で熱処理、 酸処理等を 施すことが可能にな り、 特に本剤のよ うに細胞培養によ り生産さ
れるものでは、 細胞由来の熱に弱いと される レ ト 口 ゥ ィ ルスの失 活も可能となる。
以下に実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、 これ らは本発明の範囲を制限するものではない。 本発明の実施にあた り、 組換 D NAの作製は、 特に断わらない限り下記の実験書に従つ て実施した。
Maniatis , T. et al . , Molecular Cloning :
A Laboratory Mannual , Cold Spring Harbor Laboratory,
Cold Spring Harbor, NY C1982)
実施例 1 . t一 P A cD N Aのク ローニング
Bowesヒ ト黒色腫細胞(米国国立癌研究所 Roblin, R. 博士よ り 入手)を Opdenakker 等の方法 [Opdenakker, G. et al . , Eur. J. . Biochem., 131,481- 487, (1983)]に準じて培養した。 t— P A mR N Aを誘導するため、 T P A (12- 0- Tetradecanoyl phorbol 13— Acetate)を、 最終濃度 lOOng/miを加え、 16時間培養した。
次 ίこ、 Freeman らの変法 [Okayama/Berg cD N Aマ二ユア レゝ 3 頁(1985)、 Pharmacia 社製]に従って培養細胞から全細胞 R N A の抽出を行なった。 オリ ゴ dTセルロースカ ラ ム(Pharmacia社製) を用いて、 ポリ(A)+ R N Aを全細胞 R N Aよ り分離した。 その 結果、およそ 103個の細胞よ り約 400/" gのポリ(A4) R N Aを得た。
このポリ(A) + R N Aを常法に従い、 ショ糖密度勾配遠心法に よ り分画した。 分画した各ボリ(A)+ R N Aの一部をと り、 t— P A mR N Aに特異的なオリ ゴヌク レオチ ドプローブを用いた ドッ ト · ブロ ッ ト · ノ、イ ブリ ダィ ゼーシ ヨ ン [Perbai,B. , A Practical guide to molecular cloning , 410 , (1984) , John Wiley & Sons
一
Inc. ]を行ない t— P A niR N A画分を推定した。 この際用いた ブローブ(プローブ Y)は、 5 '— G C T T G G C A A A G A T G G C A - 3,の塩基配列を有し、 前記 Pennica等の報告した t— P Aの + 291〜 + 297のァ ミ ノ酸配列をコー ドする mR N A領域に相 補的な配列であ り、 380A型 D N A合成機(Applied Biosystems 社製)によ り β一シァ ノ ホスホア ミ ダイ ド法によ り合成したもの である。 D N Aオ リ ゴマーの合成、 脱保護、 樹脂からの切断およ び精製は 380Α型 D Ν Α合成機マニュ アルに従った。 プローブ Y の 5 '末端の放射線標識は、 実験書 122頁に従い、 T 4 ポ リ ヌ ク レ ォチ ドキナーゼ(宝酒造社製)およびァ ー [32P ] A T P を用いて行 なつた。
プローブ Yは、 主に 20〜 30 Sのポ リ ( A ) + R N Aと強く ハイ ブ リ ダイ ズした(この画分を M画分と呼ぶ)。
M画分から得たボ リ(A)+ R N A 10/" gを鏡型と して GuMer- Hoff議法 [Gubler,U. and Hof fman.B- J- , Gene, 25, 263,
G983)]に従い逆転写酵素(生化学工業社製)を用いて、 3 μも : 本鎖 cD N Aを合成し、 この 3 '末端に Deng— Wuの方法 [Deng,G 一 R and Wu, R., Nucleic Acids Res. ,9, 4173, (1981)]を用い てデォキシ C鎖を付加した。 次にこのデォキシ C鎮付加ニ本鎮 cD N Aを C L 4 B Sepharose(Pharniacia 社製) ίこてゲノレ據過を 行ない、 約 500塩基対以下の低分子量核酸を除去した後、 P stl部 位にデォキシ G鎮を付加した pB R 322[Bethesda Research 社製] と常法によ り ァニー リ ングした。 ァニール後の混合物を用い、 E.coli HB 101コ ン ピテン トセル(宝酒造社製)を形質転換した。 その結果、 約 40, 000株の独立した形質転換体からなる cD N Aバ
ンクを得た。
この cD N Aバンクを前述のプローブ Yを用いて、 Woodsの方法 [Woods, D. , Focus, 6(3), 1, (1984) ; Bethesda Research Lab'. 社製】に従い、 コ ロニーハイ ブリ ダィゼーシ ヨ ンを行ない、 ブロ ーブ Yと反応するク ローンを得、 そのう ち、 最も長い t一 P A cD N Aを含むク ローンのブラ ス ミ ド pT P A 1 について cD N A 部分の塩基配列決定を行った。 方法は M13フ ァ一ジべク ターを用 いる、ノアォキシ法 [Car lson, J. et al . f J. Biotechnology. 1 , 253,(1984)]および 7— D E A Z A法 [Mizusawa, S. et al., Nucleic Acids Res. , ]4, 1319, (1986)]を用いて行った。 その 結果ブラ ス ミ ド pT P A 1 は、 前記 Pennica等の報告の t一 P A遺 伝子塩基配列の内 + 441の丁から + 2544の Aまでの塩基配列を含 むことが判明した。
実施例 2 . 改良 t— P A [H ]遺伝子の構築
実施例 1 に示したプラ ス ミ ド PT P A 1 は、 第 1 ク リ ングル ド メ ィ ンの欠失した t— P A (改良型) [I ]退伝子を構築するのに N 末端侧配列が不足している。 そこで不足の塩基配列部分を 380 A - 型 D N A合成装置(Applied Biosysteiii 社製)を用いて既述のよ う に合成した。 合成したオリ ゴマーの塩基配列を第 1 図およ びそれらを合わせた全合^:配列を第 2図に示す。 また、 これらの オリゴマーを用いた改良型 t一 P Λ [I ]退伝子の具体的搆築法を 第 3 — 1 図および篛 3 — 2図に示す。
2— 1 ) ブロ ッ ク IV(B gl II — E coR I断片、約 480塩基対)の構築 第 3— 1 図におけるブロ ッ ク IV断片は以下のように調製した。 先ず、 前記実験書 122頁の方法に従って、 T 4ボ リ ヌク レオチ
一 一 ドキナーゼ(宝酒造社製) 10単位で、 第 1 図 に示し た合成オ リ ゴヌ ク レオチ ド 2、 3、 4、 5、 6、 7、(7' )、 8、 9、10、11. (11' )、12、 13、 14、 15のそれぞれ 40ピコモル(p mole)を各々反応溶 液 50 " 1中で 37。C、 1時間リ ン酸化した。 反応溶液をフ エ ノ ール 処理し、 エ タ ノ ール沈殿を行った後、 減圧乾燥し、 滅菌蒸留水に 溶解した。 ブロ ッ ク I (オ リ ゴマー、 1 、 2、 3、 4 )、ブロ ッ ク II (ォ リ ゴマー 5、 6、 7、 (7' )、 8、 9、10)、 ブロ ッ ク 1H (オリ ゴマー 11、 (11' )、 12、13、14、15、16)のそれぞれのブロ ッ ク ごと、 オ リ ゴマー 各々 40 p moieを、 7 ιιιΜ ' T r is · H C i、 pH7.5、 20mM NaC l、 7 mM MgC l2、 O.lmM E D T Aを含む溶液丄5ひ 1中で、 80°C、 5分; 60°C、 5分; 室温で i時間放置した後、 エタ ノ ール沈殿、 減圧乾燥を行い、 滅菌蒸留水 40/ 1に溶解した。 更に、 D N Aラ ィ ゲー シ ヨ ンキ ッ 卜(宝酒造社製)を用いて、 反応溶液 400 中、 - 4 °C、 15時間反応させた。 エタ ノ ール沈殿、 減圧乾燥後、 滅菌蒸 留水に溶解し、 ①ブロ ッ ク I の場合は、 .5 %ボ リ ア ク リ ルア ミ ド 濃度でゲル電気泳動(前記実験書 173頁)を行い、 約 100塩 ¾対の断 片を分離後、 常法(前記実験書 178頁)によ り単離し、 また②ブロ ッ ク ]!および③ブロ ッ ク HIの場合は、 3 %ァガロー スゲル( L M P Agarose, B R L社製)濃度でゲル電気泳動(前記実験書 150買)を 行い、 それぞれ約 190塩基対の断片を分離し、 電気溶出法(前記実 験書 164頁)によ り単離した。
次に、 ブロ ッ ク I、 プロ ッ ク IIおよびブロ ッ ク ΙΠの断片、 それ ぞれ単離した内の Ο.Ι Λ g、 0.2Λ gおよび 0.2 gを、 前述の D N A ライゲー シ ヨ ンキ ッ ト を用いて結合させた後、 1.5%ァガロー ス 濃度でゲル電気泳動を行ない、 約 480塩基対の B gi Π - E coR I
断片(ブロ ッ ク i\r)を分離後、 電気溶出法によ り ァガロースゲルよ り D N Aを単離した。 この D N Aを更に、 前述の T 4ポリ ヌ ク レ ォチ ドキナーゼ 10単位を用い、 反応溶液 100 1中で 37°G、 1時間 リ ン酸化し、 フ エ ノ ール処理、 エタ ノ ール沈殿、 減圧乾燥した。 この合成遺伝子断片、 ブロ ッ ク 17の塩基配列の確認を、 前記 M 13フ ァージを用いるジデォキシ法および 7 D E A Z A法によ り、 塩基配列を決定するこ とによ り行った。 具体的方法を第 3— 2図 に示す。 上記ブロ ッ ク IV B gl Π — E coR I断片を、 制限酵素
BamH I (ベー リ ンガー · マンハイ 厶山之内社製)および E coR I (ベー リ ンガー · マンハイ ム山之内社製)で切断した Mi3 mpl8D N A (ベー リ ンガー · マンハイ ム山之内社製)と D N Aラ イ ゲーシ ョ ンキ ッ トを用いて結合させた後、 M13シーク ェンスキッ ト(宝酒 . 造社製)および 7— D E A Z Aシークェンスキッ ト(宝酒造社製) を用いて塩基配列決定を行った。
尚、制限酵素 Bgl l切靳部位と BamH I切断部位と は、ィ ソ シゾ
X ol
i
G ;G A T C T マー(Isoshi'zomer)配列によ り、 [BamH I切断末端
C C T A G!A
Bal l切断末端〗を介して結合し、 結合した部分は、 制限酵素 Xho Iで切り離すことができ、 それぞれも との B gl H切断末端および BamH I切断末端があらわれる。
よ り正確に塩基配列を決定するため、 更に、 Messingの方法
[Messing, J. , Methods in Enzymology, 101, 20 - 78 1983)]を用 いて、 Μ13Π 18(ブロッ ク IV断片を含む)フ ァージを大腸菌 J M109 に感染させた後、 ニ本鎮 D N A (複製型)を調製した。 この D N A
(調製した内の 50 g)を、 制限酵素 X ho H (ベ一 リ ンガー · マ ンハ ィ ム山之内社製)および E co R I で切断後、 1.5%ァガロー ス濃度 でゲル電気泳動を行い、約 480塩基対の断片(ブロ ッ ク IV)を分離後、 この D N Aを電気溶出法によ り 回収した。 回収した D N Aを制限 酵素 E coR I および BamH I で切断した M13mpl9D N A (ベー リ ンガー · マンハイ ム山之内社製)と D N Aラ イ ゲ一 シ ョ ンキ ッ 卜 を用いて結合させた後、 前述と同様な方法によ り、 塩基配列決定 を行った。 以上述べたように Μ 13Π 18および Μ13ΠΦ19と を用いて、 両 D Ν Α鎮配列を決定する こ とによ り、 正確な塩基配列をもつこ とが確認できた。 更に既述した方法によ り、 M13mpl9(ブロ ッ ク
IVを含む)ニ本鎮複製型 D N Aを調製した。 この D N A (調製した 内の 50y" g)を、 制限酵素 E coR I および XhoIIで切断後、 1.5% , ァガロース濃度でゲル電気泳動を行い、 約 480塩基対の断片(プロ ッ ク IV)を分離し、 電気溶出法によ り D N Aを単離した。
2 — 2 ) ブロ ッ ク V (E coR I - B al I断片、約 1250塩基対)の単離 実施例 1 で得られたク ローン PT P A 1 から、 第 3 — 1 図に示 すよ うに、 前記実験書 86頁の方法に従い多量のブラ ス ミ ド D N A を調製した。 この D N A70 gを制限酵素 B al I (宝酒造社製)お よび Nar I (二ッポンジーン社製)で切断した後、 0.8%ァガロース ゲル濃度でゲル電気泳動を行い、 Nar I - B al I断片(約 540塩 基対)を分離し、 電気溶出法によ り D N Aを単離した。 更に、 こ の D N Aを、 制限酵素 E co I で部分消化を行つた後、 0.8%ァ ガロ一スゲル濃度でゲル電気泳動を行い、 E coR I 一 B al I 断片 (約 1250塩基対)を分離し、 電気溶出法によ り D N Aを単離した。 2 — 3 ) ブロ ッ ク V と ブロ ッ ク Wからの改良型 t-P A f H ]遺伝子
の構築
第 3— 1図に示したごと く、 改良型 t一 P A遺伝子は、 以下の ように調製した。
実施例 2— 1 )項で調製したブロ ッ ク IV(B gl I— E coR I断片、 約 480塩基対)と、 実施例 2 — 2 )項で調製したブロ ック V (EcoR I 一 B al I断片、 約 1,250塩基対)を、 D N Aラ イゲ一シヨ ンキッ トを用いて結合させた後、 エタ ノ ール沈殺、 減圧乾燥後、 常法に よ り制限酵素 XhoEで切断した。 次に、 0.8%ァガロースゲル濃 度でゲル電気泳動を行い、 B gl I [ - XhoH断片(約 1,500塩基対、 改良型 t一 P A遺伝子を含む)を分離後、 電気溶出法によ り D N A を回収した。 以上のように構築した改良型 t一 P A [H ]遺伝子の 全塩基配列を第 5図に示す。 また、 推定されるア ミ ノ酸配列を第 6図に示す。 . ' _
実施例 3 . 改良型 t一 P A [V]、 [VI]、 [ ]遺伝子の構築
改良型 t一 P A [V ]、[¾]および ΓΙΙ]遺伝子の構築は、 改良型 t 一 P A [H ]遺伝子をもとに、 以下の文献を参考に した。
部位特異的突然変異誘発法によ り、 所望の遺伝子変換を行った < 文献: Zol ler , M.J. and Snath, M. , Method in Enzymology ,
100, 468-500(1983); Zol ler, M丄 and Smith, M. , D N A , 3, 479— 488(1984); Morinaga, Y. et al. ,
Bio/technology, 636 - 639(July 1984); Adelman, J. P. et al. , D N A , 2, 183— 193(1983); M13/PUCシーク エン ス マニ ュアル [(株)二 ッ ポンジー ン学術室発行] 3 - 1 ) 改良型 t一 P A [V]遺伝子の構築
A ) 突然変異誘発のための Μ13Π 9(改良型 t一 P A [ H ])の組立
実施例 2、 2 - 3 )に詳述した改良型 t一 P A [E〗遺伝子断片を 制限酵素 B amH I で切断した後、 アルカ リ フ ォ ス フ ァ ターゼ(宝 酒造社製)処理した二本鎖 Ml3mp9 D Ν Αを、 前述の D N Aラ イ ゲ一ショ ンキッ トを用いて結合させた。 上記結合反応物を大腸菌 J M109コ ン ビテン ト セル(宝酒造社製)に ト ラ ン ス フ ヱ ク シ ヨ ン した。 得られた無着色のフ ァ ージプラークの各ク ロー ンを大腸菌 J M109に感染させ、 培養上清から一本鎮 D N Aを、 又、 菌体か ら Mess ingの方法 [Mess ing , J · , Methods in Enzyinology , 101. 20 — 78(1983)]によ りニ本鎮(複製)型 D N Aを単離した。 これら二 本鎮 D N Aの制限酵素(Pst I )切断後のァガロ一スゲル電気泳動 によるパター ン分析によ り、 第 8図に示すよ うに改良型 t— P A [ H ]力 ½p9 D Ν Αに所望の向きに入ったク ロー ン、 πιρ9 (改良型 t — P A [ Π ] )を得た。
すなわち、 これらの D N Aの一部を制限酵素 P st I で切断した 後、 0.8%ァガロースゲル濃度で電気泳動を行い、 約 7,300塩基対、 約 840塩基対、 約 430塩基対および約 80塩基対にそれぞれ一本のバ ン ドを示すク ロー ン mp 9 (改良型 t一 P A [ E ] )を得た。 このク ロ ーンの一本鎮 D N Aを以後の部位特異的突然変異誘発の実験に用 いた。
B) 部位特異的突然変異誘発のためのブラ イ マーの合成
改良型 t一 P A [Π ]遺伝子を部位特異的突然変異するのに用い た合成オ リ ゴヌ ク レオチ ドは、 380A型 D N A合成装置(Applied Biosystems社製)を用いて /? -シァノ エチルホスホア ミ ダイ ド法に よ り合成した。 D N Aオリ ゴマーの合成、 脱保護、 樹脂からの切 断および精製は、 380A型 D N A合成機マニュアルに従った。
特定部位における突然変異誘発のために、 以下の部位特異的突 然変異誘発の為のブライマー①、 および M 13ファージベクタ一を 用いるジデォキシ法 [Carlson, J. et al - , J . Biotechnology, 丄, 253(1984)]によるシークェン ス用プライ マ一②を調製した。
改良型 t— P A [H ] Gin Phe Arg He Lys Gly Gly Leu のァミ ノ酸配列 Phe
改良型 t一 P A [Π ] T CAG TTT CGC ATC AAA GGA GGG の D N A配列 CTC TTC GC
lie
突然変異誘発用 5'T CAG TTT CGC ATC ATA GGA GGG
ブラィ マー①の CTC TTC GC 3'
D N A配列
シーク ェン ス用 5' GCA GGC TGA CGT GGG AG 3' ブラ ィ マー②の
D N A配列
改良型 t— P A [H ]のアミ ノ酸配列および遺伝子配列を、 上方 の 2列に記載した。 突然変異誘発用プライマー①は、 ア ンダーラ ィ ンを引いた塩基が改良型 t一 Ρ·Α [H ]遺伝子配列と異なる。
C) 部位特異的突然変異誘発
以下に、 突然変異誘発用ブライマー①の塩基配列を含有するク ロ ー ン、 すなわち改良型 t一; P A [ V ]遺伝子の組立て方法を示す。 実施例 3 . 3 — 1 ). A)項記載の Π 9 (改良型 t— P A [H ])—本 鎮 D N Aと突然変異誘発用プライマー①をァニール後、 ニ本鎮 D N Aと し大腸菌 J M 109に形質転換した。 次にシーク ェン ス用ブ ラ イ マ一を用いて D N Aシークェンシ ングによるスク リ ーニンク'
— — を行い、 突然変異のおこ った改良型 t一 P A [II ]、 すなわち、 改 良型 t一 P A [7]遺伝子を含むフ ァ ージク ローンを単離した。 こ のク ローンから、 ニ本鎮(複製型)フ ァ ージ D N Aを調製し、 この 改良型 t— P A [V ]遺伝子を単離した。
合成オリ ゴマーの 5 '末端リ ン酸化
部位特異的突然変異誘発のためのブラ イ マ一① D N Aを実施例 2 , 2 — 1 )項に記載した方法でリ ン酸化した。
へーテ口ニ本鎮 D N Aの調製
—本鎮 M 13mp 9 (改良型 t一 P A [ H ] ) D N A 0.5 gおよび制限 酵素 BamH I で切断したニ本鎮 Μ 13Π 9 D N Α 1.5 " gを、 2 P molesの リ ン酸化した突然変異誘発用プラ イ マ一①、 10mM Tris 一 H C l(pH7.5)、 O.lmM E D T A、 および 50mM NaC lの溶液 中で、 90°C(2分間)、 50°C(5分間)、 37°C(5分間)および 室温(10分間)加熱する'。 4単位の K ienow酵素と 7単位の T 4 D N A リ ガーゼを含有する 50mM T r is— H C 1 (pH 8.0)、 O.lmM E D T A、 12mM MgC l2、 lOmM ジチオス レィ ト ール、 0.7mM Α Τ Ρ、 0.07ιηΜ dA T P、 および 0.2mMずつの dG T P、 dT T P、 dC T Pの溶液 36 1を上記溶液に加え、 プラ イ マー伸長を開 始させた。 20°Cで 2時間、 4 °Cで^時間反応させた。
上記溶液と大腸菌 J M109コ ン ビテン ト セル(宝酒造社製)を用 い、 形質転換を行い、 プラーク形成を行った。 無着色のプラーク を拾い上げた後、 フ ァ ージを大腸菌 J M109に感染させ増殖させ た後、 その培養上清からそれぞれのク ロー ンについて、 铸型一本 鎮 D N Aを調製した。 これらの一本鎮 D N Aについて、 シークェ ン ス用プラ イマー②を用いた D ideoxy法の "T"の反応 [実施例 3
- 2 )では" A"および" T"の反応]のみを行いポリ アク リルァ ミ ド ゲル電気泳動を し、 ゲルを乾燥後のォー ト ラ ジオグラ フ ィ ーの解 析結果から所望の変異の配列をもつク D—ンの同定を行った。 こ のクローンについて先に述べた培養上清を大腸菌 J M 109に感染
させ、 プレー トにまき、 再度単一プラークの単離を行い、 得られ た単一プラークのク ローンについて、 上述と同様に、 一本鎖 D N
Aを調製した。 これらの D N Aを用い、 先ず、 シークェン ス用プ ライマー②を用いた D ideoxy法による D N A塩基配列決定を行い, 所望の塩基配列に変異しているク ローンを得た。 実施例 2に記載 したように、 M ess ingの方法を用いて、 このフ ァ ージク ロー ンを 大腸菌 J M109に感染させた後、 二本鎖 D N Aを調製した。 この
二本鎖 D N Aを制限酵素 Χΐιοϋで切断後、 0.8%ァガロースゲル
濃度でゲル電気泳動を行い、改良型 t - P A遺伝子を含む約 1,500 塩基対の断片(改良型 t - P A [V]遺伝子)を分離後、 電気溶出法
によ り D N Aを回収した。
更に、 この調製した D N Aについて、 D ideoxy法によ り全塩基 配列決定を行い、 改良型 t— P A [ V ]遺伝子であることを確認し
た。 以上のように構築した改良型 t一 P A [V ]遺伝子の全塩基配
列を第 5 - 2図に示す(但しシグナルペプチ ド- 35~ - 1 を含む), また、 推定されるア ミ ノ酸配列を第 6 — 2図に示す。
3 — 2) 改良型 t— P A [71]および [ ]の構築
改良型 t一 P A [I ] Gin Pro Gin P e Arg I le Lys Gly • のァミ ノ酸配列 G
改良型 t一 P A [H ] GC CAG CCT CAG TTT CGC ATC AAA
の D N A配列 GGA GGG C
Glu
突然変異誘発用 5'GC CAG CCT CAG TTT GAA ATC AAA
プラ イ マー③ GGA GGG C 3'
D N A配列
Glu l ie
突然変異誘発用 5'GC CAG CCT CAG TTT GAA ATC ATA
プライ マー⑤ GGA GGG C 3'
D N A配列
実施例 3 , 3 — 1 )項に記載した方法と同様な手順に従つた。 先ず、 突然変異誘発のための M13mp9 (改良型 t— P A [ H ])の組 立てを行い、 次に、 部位特異的突然変異誘発のプラ イ マーの合成 を行った。 これらのプライ マーの塩基配列を上記したが改良型 t - P A [71]遺伝子の構築には、 5 '末端リ ン酸化した突然変異誘 発用プライマー③を、 改良型 t— P A [ΥΠΙ]遺伝子の構築には、 5 ' 末端リ ン酸化した突然変異誘発用プラ イ マ ー⑤を用いた。 さ らに, 部位特異的突然変異誘発を行った後、 Dideoxy法による全塩基配 列決定を行い、 所望の塩基配列である'こ と を確認し、 改良型 t一 P A [71]および [ ]を調製した。
次に、 これらの遺伝子を、 実施例 4および 5 において詳述した 手順に従って、 ベク ター P V Y I に組み込み発現させた。
実施例 4 . 改良型 t— P A [ Π ] 遺伝子ベク ター pV Y 1 への組み 込み
4一 1 ) ベクター PV Y I の構築
ベク ター pV Y I は、 第 4図に示すごと く調製した。
A) pAd D26S V(A)no.3 (N)の構築および E coR I切断部
位の平滑末端化
先ず、 ベクター pAdD26S V(A)no.3 [東京大学半田宏博士よ り入手、 Mol. Cell. B iol., 1 ),(1982)の論文で公知であ る] D N Aを、 常法によ り制限酵素 B gl E (ベー リ ンガー . マンハ ィ ム山之内社製)で切断した。 次に、 K lenovv酵素(ベーリ ンガー . マンハイ ム山之内社製)を用いて常法によ り、 平滑末端と し、 フ エ ノ ール処理、 エタ ノ ール沈澱、 減圧乾燥後、 滅菌蒸留水に溶解し た。 更に前述の D N Aライゲーシヨ ンキッ トを用いて結合させた 後、 E . coli H B 101 コ ン ビテン トセル(Competent cell) (宝酒 造社製)に形質転換した。 テ トラサイ ク リ ン耐性を示す形質転換 体の中から常法によ り プラ ス ミ ド D N Aを取得した。
これらの D N Aの一部を制限酵素 B gl Eで切断後、 0.7%ァガ ロースゲル濃度で電気泳動を行い、 その結果 B gl Iで切断されな い D NAをもつク ローンを得た。 このク ローンの [p Ad D 26S V (Α)ηο· 3 (N)プラ スア ミ ド] D Ν Αを、 制限酵素 EcoR Iで常法 によ り消化後、 前述のごと く lenow酵素で平滑末端と し、 フ エ- ノ ール処理、 ェタ ノ ール沈澱、減圧乾燥後、滅菌蒸留水に溶解した, B ) pK S V 10からの Κρη I - B amH I (約 2 , 900塩基対)断片の 単離と平滑末端化
pK S V10(P harmacia社製) D N Aを常法によ り制限酵素 Kpnl および B amH Iで切断した後、 T 4 D N Aポリ メ ラーゼ(宝酒造 社製)および K lenow酵素によ り平滑末端と した (実験書 114頁〜 121頁)。 次に 0.7%ァガロースゲル濃度で電気泳動を行い、 約 2,900塩基対の断片を分離後、 電気溶出法によ り、 D N Aを回収 した。
C ) P V Y 1 の構築
A)項で得た D N A断片と B )項で得た D N A断片を、 D N Aラ ィゲーシヨ ンキッ トを用いて、 結合させた後、 且. coli H B 101 コン ビテン 卜セル(前述)に形質転換した。
テ ト ラサイ ク リ ン耐性を示す形質転換体の中から常法によ り ブ ラ ス ミ ド D N Aを調製した。 これらのブラ ス ミ ド D N Aの一部を 制限酵素 P st I (ベー リ ンガー · マ ン ハ イ ム山之内社製)で、 常法 によ り切断した後、 1.0%ァガロースゲル濃度で電気泳動を行い、 その結果約 3, 400塩基対、 約 3, 200塩基対、 約 1,400塩基対の断片 のバン ドを示すク ローン(プラ ス ミ ド PV Y I )を得た。 このク ロ ーン(且. coH H B 101ノ pV Y 1 )は、 微ェ研菌寄第 P— 9625号( 微ェ研条寄第 2106)と して寄託されている。
4— 2 ) ベク ター P V Y I への改良型 t 一 P A [ U ] 遺伝子の組 み込み
実施例 4一 1 :)項で調製したブラ ス ミ ド pV Y 1 D N Aを、 常法 によ り制限酵素 B gl IIで切断後アル力 リ ホス フ ァ ターゼ(宝酒造 社製)を用いて、 脱リ ン酸化を行った後、 フ ヱ ノ ール処理を 3回、 エタ ノ ール沈澱、 滅圧乾燥後、 滅菌蒸留水に溶解した。
この D N Aと、実施例 2 - 3 )項で調製した B gl H — X ho II断片 (約し 500塩基対)を、 D N Aラ イゲーシヨ ンキッ ト を用いて結合 させた後、 前述の旦. coH H B 101 コン ピテン トセルに形質転 換した。 テ ト ラサイ ク リ ン耐性を示す形質転換体の中から常法に よ り ブラ ス ミ ド D N Aを取得し、これらの D N Aの制限酵素(B gl H、 Pstl)切断後のァガロー スゲル電気泳動によるパター ン分析 によ り、 改良型 t— Ρ Α [ Π ]遺伝子がベク ター PV Y 1 に所望の向
きに入ったク ローンを選択した。
すなわち、 これらの D N Aの一部を制限酵素 BglEで切断した 後、 0.8%ァガロースゲル濃度で電気泳動を行い、 約 1,500塩基対 の断片のバン ドを示すク ロー ンを得た。 尚、 B gl E— Xhol断片 力 SpV Y 1の B II断片に結合する と、 前述のイ ソ シゾマー配列 によ り、 制限酵素 B gl Eによ り、 Xhol と B gi IIの結合部分を切 り離すことができる。
これらのク ローンのブラ ス ミ ド D N Aの一部を更に、 制限酵素
P st 1 で切断し、 0.8%ァガロー スゲル濃度で電気泳動を行い、 約 3, 400塩基対付近に 1本、 約 2, 300塩基対付近に 2本、 約 1,400 塩基対付近に 1本、 (約 80塩基対付近に 1·本)の断片のパン ドを示 すクローンを得た。 そのク ロー ン(プラ ス ミ ド pV Y l — t- P A
[II ])を用いて、 前述の実験書 865Πこ基づき、 プラ ス ミ ド D N A の多量調製を行った。
実施例 5. ベク タ一 pV Y 1 への改良型 t- P A [ V ]、 [71]および
[ ]遺伝子の組み込み
実施例 4一 1 )項で調製したプラ ス ミ ド PV Y 1 D N Aを、 常法 によ り制限酵素 B gl Iで切断後、 アルカ リ ホ ス フ ァ ターゼ(宝酒 造社製)を用いて、 脱リ ン酸化を行った後、 フ エ ノ ール処理を 3 回、 エタ ノ ール沈澱、 減圧乾燥後、 滅菌蒸留水に溶解した。
この D N Aと、 実施例 2 , 2— 3 )項で調製した B gl H— Xho I断片(約 1, 500塩基対)を、 D N Aライゲー シ ヨ ンキッ トを用い て結合させた後、 前述の E .coli H B 101コンピテン トセルに形 質転換した。 テ トラサイ ク リ ン耐性を示す形質転換体の中から常 法によ り ブラ ス ミ ド D N Aを取得し、 これらの D N Aの制限酵素
一 —
( B g 1 Π、 P st I )切断後のァガロースゲル電気泳動によるパター ン分析によ り、 改良型 t一 P A [V ]遺伝子がベク ター pV Y 1 に所 望の向きに入ったク ローンを選択した。 まず、 これらの D N Aの —部を制限酵素 B gl Πで切断した後、 0.8%ァズロースゲル濃度 で電気泳動を行い、 約 1,500塩基対の断片のバン ドを示すク ロー ンを得た。 尚、 B gl H — XhoII断片が pV Y 1 の B gl Π断片に結 合する と、 前述のィ ソ シゾマー配列によ り、 制限酵素 B gl Π によ り、 XhoII と B gl Πの結合部分を切り離すこ とができ る。 これらのク ロ ーンのプラ ス ミ ド D N Aの一部を更に、 制限酵素 P st l で切断し、 0.8%ァガロースゲル濃度で電気泳動を行い、 約 3.400塩基対付近に 1本、 約 2,300塩基対付近に 1本、 約 1,400 塩基対付近に 2本、 約 800塩基対付近に 1 本、 約 80塩基対付近に 1本の断片のバン ドを示すク ロー ンを得た。 そのク ロー ン(ブラ ス ミ ド pV Y l - t - P A [V ])を用いて、 前述の実験書 86頁に基 づき、 プラ ス ミ ド D N Aの多量調製を行った。
同様に して改良型 t— P A [VI]および 遺伝子をベクター pV Y 1 へ組み込んだ。
実施例 6 . 改良型 t一 P Aの C H 0細胞中での発現
プラ ス ミ ド pV Y l —改良型 t- P A遺伝子(t一 : P A [1I ]、 t一 P A [V ]、 t一 P A [VI]または t一 P A [ ])を D H F R欠損 C H 0細胞(Urlaub, et ai . , Proc . Nat 1. Acad, Sci . USA, 77 7), 4216~ 4220(1980))に リ ン酸カルシウ ム法に よ り ト ラ ン ス フ エ ク ト した [Graham, et al ..Virology, 52, 456(1973)]。 メ ソ ト レキ セー ト(M T X )存在下で、 選択培地 [M E M A L P H A (—)、 体ク ローンは 50〜: 100
u/ral (フ ィ リ ン Zァガロース平板法による測定値、 後述)の t— P A活性'を産生することが見出された。 このクローンを以後の研 究に充てた 生産培地は G I T培地(和光純薬工業)を用い、 アブ ロチニ ンを 20 K I U/mi [シグマ(S I GM A)]添加した。
実施例 7 . C H 0細胞培養上清よ りの改良型 t一 P Aの精製
実施例 6で得られた培養上清は抗 t一 P Aモノ ク ロ ーナル抗体 ァフ ィ 二テ ィ ーカラ ムによ り部分精製した。 モノ ク ロ ーナル抗体 産生ハイ ブリ ドーマは天然型ヒ 卜黒色腫細胞由来の t- P Aに対 して常法によ り作成された。 マウ スに抗体産生ハィ ブリ ドーマを 接種し、 腹水中に出現したモノ ク ローナル抗体(サブクラ ス: I g G 1 )を回収し、 これをプロテイ ン Aセルロ フ ア イ ン(生化学工業 社製)およびバイ オラ ッ ド社の MA P Sモノ ク ローナル抗体精製 用緩衝液を用いて精製した。 抗体は C N B r活性化セフ ァ ロース( P harmacia社製)に、 常法によ りゲル i mi当り 4 mgの割合で結合 させた。
培養上清 4 1に本抗体ゲル 24mlを混合し、 一夜 4 °Cにて、 ゆる やかに振と う した後、 ゲルを力ラム(1.5cra径 X 20cm)に充填した。 次に① 25K I U/ralのァプロチニ ン(シグマ社製)、 0.01%(w/v)の ッ ィ一ン 80を含む 50mM ト リ ス一塩酸緩衝液、 PH7.4(緩衝液 A)、 ② 0.5Mの食塩を含む緩衝液 A、 ③ 4 Mの尿素を含む緩衝液 A、 ④緩衝液 Aの順で、 それぞれ 125mlずつでゲルを洗浄した。 ゲル に結合した改良型 t一 P Aはひ.2Mグリ シン —塩酸緩衝液、 PH 2.5 C25K I U/nilのァ プロ チニンおよび 0.01% (w/v)のツ イ一ン 80を
0.01%(w/v)のッ ィ ーン 80を含む)に対して一夜透析した後、 真空 遠心型濃縮装置(S A V A N T社製 SpeedV A C )によ り 20〜30倍 に濃縮した。 これを再度 10mMの 卜 リ ス—塩酸緩衝液 PH7.4(0.15 M食塩、 · 25K I U/mlアブロチニン、 0.01% (w/v)ッ ィ 一 ン 80を含 む)に対して一夜透析し、 これを以後の in vitroおよび in vivoの 評価に供した。 最終的に 3, 700〜 5, 000倍の比活性の上昇と 36~42 %の t一 P A活性(フ ィ ブリ ン ァガロース平板法による)の回収 が得られた。
この活性画分を S D S—電気泳動と銀染色で分析したと ころ還 元状態では他の数本のバン ドと共に 54キロダル ト ン付近に非常に 強いバン ドが認められた。 また電気泳動後のゲルを 2.5%(w/v)の ト リ ト ン X— 100で処理した後、 フ イ ブリ ン Zァガロース平板上 , に置き、 37 にてフ ィ プリ ンォー ト グラ フ ィ一を実施したと ころ 50キロダル ト ン付近に溶解窓が認められた。 この時天然型 t一 P Aは 60キロダル ト ン付近に出現した。 この結果は本法で抗体ァフ ィ 二ティ ーカ ラ ムに吸着され、 溶出された t— P Aが、 分子量が計 算上天然型よ り 10,000低い改良型 t一 P Aである こと を強く示唆 している。
実施例 8 . 改良型 t - P Aの比活性の測定
部分精製改良型 t— P Aの蛋白量の決定は総蛋白量を B radford の方法 [Anal, Biochem. ,72, 248(1976)]によ り牛血清アルブ ミ ン を標準蛋白と して測定し、 t一 P A抗原量の測定は E L I S A法 を用いた。 E L I S Aは前出の抗体カラ ムに用いたモノ ク ローナ ル抗体と ピオチン化したゥサギ抗 t一 : P A抗体(ァメ リ カ ンダイ ァ グノ スティ カ社製)とによるサン ドウ イ ツ チ方式であ り、 ビォチ
ン化ホースラディ ヅ シュパーォキシダーゼース ト レプタビジン複 合体(アマシャム社製)とその基質(3 , 3 ' .5 , 5 '—テ トラメ チル ベンチジン)により発色させた。 標準 t— P Aとしてはアメ リカン ダイァグノ スティカ社のヒ ト黒色 II細胞由来の 1本鎖 t— P Aを 用いた。
線溶活性の測定はフィ プリ ンノアガロ一ス平板法および125 I 標識フイ ブリ ンフィ ルム溶解法を用いた。 フィ プリ ン Zァガロー ス平板法は 95%凝固フィ プリ ノ一ゲンを原料として作製した寒天 加フィ プリ ン平扳を用いた。 125 I —フィ プリ ンフィルム溶解法 は Hoyraerts等の方法 [J. Biol. Chem. , 251, 2912(1982)]に従つ た。 すなわち、 1.8 Μのフイ ブリ ノ一ゲンに 125 I標識フィ プリ ノ ーゲン(I C Nパイオメディカル社製)を適当量加えて 96穴ミ ク ロタイタ一プレー ト(L imbro社製)に 50 1/穴ずつ入れ、 40°Cで 一晚乾燦させた。 これに 1.6u/mlの ト口ンビン(持田製薬社製)を 100 lずつ入れ、 3TCで 4時間放置してフイ ブリ ン化させた。 こ のプレー トを 2·回、 0.2%ゥシ血清アルブミ ンと 0.9%食塩を含む lOmMリ ン酸緩衝液で洗浄した後、 活性測定に供した。 各穴に 50 1の 200nMのブラ'スミ ノ一ゲンを入れ、 さ らに 50 i 1の t一 P A 標準品もしく は改良型 t— P Aを添加し、 混合した後 37°Cで 2時 間反応させた。 各穴より 50 1を取り、 ァロカ社製ォ一 トウエル ガンマ一カウンタ一にて溶解した 125 I —フイ ブリ ンを測定し、 標準 t一 P Aで作成した標準曲線より、 改良型 t一 P Aの線溶活性 を算出した。 用いた t— P A標準品はイ ンターナシ ョ ナル L一 P A スタ ンダー ド [Ga uey and Curtis, T romb. Haemostas. , 5_3, 134 (1985)]で標準化したバイオスコ ッ ト社製のヒ ト黒色腫細胞由来
— — の t一 P A.である。
125 I -フ ィ プリ ン フ ィ ルム法で測定した活性値と E L I S Aに よる抗原量とによ り算出した比活性値はいずれも 300, 000〜
420,000u/mg抗原であつた。
実施例 9 . 改良型 t一 P Aのフ ィ プリ ン親和性およびフ ィ ブリ ン による活性化
Verheijen等 [E M B 0 J., 5, 3525(1986)]の方法に従い、 改 良型 t- P Aのフ ィ ブ リ ンに対する親和性を検討した。 各種濃度 のフ イ ブリ ノ ーゲンに改良型あるいは天然 t— P A (1,000u/ml)を 加えさ らに 1 uの ト ロ ン ビンを加えて室温で 3分間反応させた。 形成したフ イ ブリ ンク ロ ッ トは 16, 000回転 Z分で 8分間遠心して 沈降させ、 上清中のフ ィ ブリ ンに結合しなかった t一 P A量をフ ィ ブリ ン アガ口ース平板法での活性測定で求めた結果、 例えば改 良型 t一 P A [VI]の場合、 フ イ ブリ ンに対する親和性は天然型と 同等であった。 フ イ ブリ ンの存在下または非存在下における改良 型 t— P Aのプラ ス ミ ノ ーゲン活性化速度を見るため以下の実験 を行った。 96穴マイ ク ロタ イ タ一プレー トを使用 して、 0.3mMの' 合成パラニ ト ロァニ リ ド · ト リペプチ ド合成基質 S—
2251(H - D - Val- Leu- Lys-pN A ♦ H C 1、 カ ビ社製)、 0.13〃 Mブラ ス ミ ン不含ブラ ス ミ ノ ーゲン、 フ イ ブリ ンの可溶性 代替物質である D E S A F I B TM (ァメ リ カ ンダイ ァグノ スティ 力社製) 120 g/ml、 0.1%ツ イ ーン 80を含む 0.1M ト リ ス ー塩酸緩 衝液 PH7.5に天然型または改良型の t一 P Aを加えて総容量 200 1と し、 37°Cで保温した。 一定時間後タ イ ターテッ クマルチ ス キ ヤ ン 310型によ り、波長 405ηιιιにおける吸光度(Α 405ηιη)を測定た。
第 9図に天然型 t— P Aあるいは改良型 t一 P A の用量反応 曲線を示す。 D E S AF I BTM添加による用量反応曲線の左方へ のシフ 卜により活性化率を比较すると、 天然型 t— F Aが 158倍で あつたのに対し、 改良型 t一 P A [¾]では 1000倥に達した。 これ は特に D E S A F I BTM非存在下での改良型 t— P A [Ή]の活性 が天然型の約 1/20と低かつたことに起因する。
実施例 10. 改良型 t一 Ρ Aのゥサギの血流における線維素溶解活 性の分忻
第 10図はゥサギにおける天然型 t— P A (n- t- P A)と本発明 改良型 t一 P Aの活性より見た薬効動態を示す。 第 10図から明ら かなように改良型 t— P Aは活性値において半減期の顕奢な延長 を示した。 具体的に述べると、 n— t— P Aは半減期 1 ~ 2分に対 して改良型 t— P Aのそれは 8〜: L5分であった。 さらに、 改良型 t 一 P Aは投与終了後 60分においても活性値に 5 %の残存(投与終 了後 30秒後の値を 100%とする)を認めた。 一方、 n- 1— PAは 60 分後には活性値は 0.1%以下であつた。
本実験の方法は以下の通りである。
実験には、 日本白色ゥサギの体重 2.4kgのものを用いた。 ベン トバルビタール麻酔下、 耳の迈緣静脈より t一 P Aを投与した。 投与量はそれぞれ改良型 t一 P A = 15.400u/0.8ml/羽、 n— t— F A = 5,400u/0.8ml/羽(フィプリ ン平扳法による測定値)であつた。 続いて種々の時間間隔(0.5分から 60分)でカテーテルを用いて大 腿動脈より 2.5mlずつ 1/9容量のクェン酸 Na(3.8%)中に採血した c 採血後 30分以内に低速遠心を行い、 血漿を分離した。 分離した血 漿を用いて血中の t一 P A活性を測定した。
① t一 P A活性測定
血漿 0.2mlを 3 mMの氷酢酸で 16倍に希釈後、 低速遠心して沈澱 物を得る。 沈澱物を血漿に等しい容量の 20mM Tris · H C 1, PH7.4- 140mM NaCl緩衝液に溶解してユーグロ ブリ ン分画を得 る。 t一 P A活性はこのユーグロ ブリ ン分画を フ イ ブリ ン/ァガロ ース平板中に添加して求めた。 t- P A活性は、 平板を 37°C16時 間イ ンキュベーシ ョ ン した後、 溶解斑と して観察された。 フ イ ブ リ ン Zァガロ ー ス平板は次のように して作製した。
市販のフ ィ プリ ノ ーゲン(コー ンの分画 I )を ブラ ス ミ ノ ーゲン リ ツ チフ ィ プリ ノ ーゲンと してフ ィ ブリ ン /ァガロ ース平板作製 に用いた。 ブラ ス ミ ノ ーゲン リ ツ フ ィ プリ ノ ーゲンの最終濃度 は 130mM NaClと 10一4 M C aCl2を含む 20mM Tris - H C 1 ρΗ7·4 緩衝液中で 1.5mg/mlであつた。 最終ァガロ ー ス濃度は同緩衝液中 で 0.75%だつた。 10mlフ ィ プリ ノ ーゲン ♦ ァガロー ス溶液に ト ロ ン ビン(40N I H単位/ ml)の 100 1を加えて平板を作製した。 フ ィ ブリ ン/ァガロース平板法の標準曲線は動物への投与に用いた t - P Aを 0.1〜 10,000u/mlに希釈して得た。 こ う して求めた血中 t 一 P A活性は投与終了後 30秒に採血して得られた t— P A活性を 100%と してパーセン ト表示した。
実施例 11. 改良型 t一 P A [VI]の熱および酸に対する安定性
改良型 t - P A [VI]の安定性を検討した。 熱に対する安定性に 関しては改良型 t— P A [ I]および天然型 t一 P Aを pH7.4の 50 mM ト リ ス緩衝液(lOOmM NaC 1, 0.01%ッ ィ ー ン 80を含む)中に て i00 g/mlの濃度と し、 沸騰水中(98°C)に 2 — 60分間放置した。 冷却後、 フ イ ブリ ンプレー ト法にて残存する活性を測定した。 第
U図に示すように改良型 t— P A の活性の低下は天然型 t- P Aに比較して非常に緩やかであつた。 例えば 2分間の熱処理後、 天然型 L一 P Aが 25%まで活性を低下させたのに対し、 改良型 t一 P A [VI]では 71%の活性が残存していた。
改良型 t— P A [VI]および天然型 t一 P Aを 0.5N塩酸中に 100 g/mlの濃度で溶解 L、 室温で 30分間放置した。 中和した後フィ ブリ ンプレート法で活性の測定を行つたところ、 改良型 t一 P A では全く活性の変化が認められなかったのに対し、 天然型 t— P Aでは 50%の活性低下を見た。
実施例 12. 改良型 t一 P A[7I]による L AF活性の阻害
種々の濃度の改良型 t— P および天然型 t_ P Aを 7 %牛 胎児血清および 58ίζ M 2—メルカプトエタノールを含む組織培 養用培地' R Ρ Μ I 1640にて適当に希釈した。 この希釈液の 100 1 を、 96穴平底型マルチプレートに入れ、 それぞれに 4一 6週令、 雄の C 3 H/HeJマウスより採取した胸線細胞(2x 107cells/ml) とコンカナパリ ン A lJ ig/ml)を含む、細胞浮遊液を 50 1と、 I L - 1 (4 units/mU G enzyme社) 50 1を加え、 5 %二酸化炭素 を含む 3?°Cの培養器内で、 48時間培養した。 次いで、 3H -チミ ジンを 0.5 C i/20 1/穴加え、 更に 18時間培養後、 セルハーべ スターを用いて、 細胞をグラスファイバーフィルタ一上に集め、 液体シンチ レ一シ ヨ ンカウ ンターでその細胞内に取り込まれた 3 H—チミ ジン ffiを計測することにより、 し A F活性を測定した。 第 12図に示すように、 天然型 t一 P Aは全く L A F活性を阻害 しなかつたが、 改良型 t— P Aは、有意に I L— 1 による L AF活 性を阻害した。 なお、溶媒のみでは全く影響は認められなかった。
一 - 実施例 13. 変性タ ンパク質に対する作用に基づく抗炎症作用
1 ) 変性タ ンパク質の作製方法
タ ンパク質溶液(5 mg/ml)を 0.1N H C丄または0.1N NaO H 中で 37°C 2 ― 3時間ィ ンキュベーショ ン後、 同量の NaO Hまた は H C 1で中和して作製する。
2) 変性タ ンパク質に対する改良型 t— P Aの親和性
実験方法: 下記に示した方法に従って、 ニ ト ロ セル ロ ー ス膜片 上に変性タ ンパク質を付着させる。 そ して次に二 ト ロ セルロー ス 膜片に対する改良型 t一 P Aの結合量を測定する こ とによって改 良型 t一 P Aの変性タ ンパク質に対する親和性を求めた。
140mM NaC 1を含む 20mM ト リ ス塩酸緩衝液 pH7.5(T B S緩 衝液)中に二 ト ロ セルロ ー ス膜片を投入
i
乾 燥
i
ニ ト ロ セルロ ー ス膜上に変性タ ンパク質(50;" g/ΙΟ " 1)を滴下
1
乾 燥
1
3 %ゼラチン溶液による ブロ ッ キング
i
洗 净
I
ly" g改良型 t— P A /mlの溶液中にニ ト ロ セルロ ー ス膜片を投入
I
洗 浄
I '
プラ スミ ノ ーゲン と合成基質 S— 2251を加えて 37。0でィ ンキュ ベーショ ン(吸着した改良型 t一 P Aの定量)
1
0 D 405測定
結果: 下表に示すように改良型 t一 P Aは H C i処理 lgG、H C l 処理アルブミ 、ィ、 NaO H処理アルブミ ンに親和性を癸現した。 —方、.変性処理を しない igG、 アルブミ ンには親和性を示さなかつ た。 セルロース膜に付着された 結合した改良型 t一 P Aの量 タ ンパク質の種類 (ng/セル口一ス膜片)
緩衝液 0
lgG 0.2
H C 1処理 1 g G 1.35
ァノレプミ ン 0
NaO H処理アルブミ ン 0.9 3 ) 変性タ ンパク質による改良型 t— P Aの活性化
実験方法: 種々の濃度の改良型 t一 P A活性化剤(変性タ ンパク 質或は B rC N処理フ イ ブリ ノ一ゲン等)の入つた反応液に、 ブラ ス ミ ノ ーゲン(力 ビ社)の 0.0078 C U/IO 1と、 3 mMの合成基質 S — 2251 100 1、及び種々の液量の T B S緩衝液を加えて反応液 量を 0.275παとする。 これに 2.5ng/25>" 1の改良型 t— Ρ Αを加え
- - て反応を開始する。 一定時間反応後、 反応液と等量の 2 % S D S 溶液を加えて反応を停止し、 0 D 405を測定する こ と によ って改 良型 t一 P Aの活性を測定した。
結果: 第 13図に示したよ うに、 Na〇 H処理アルブミ ン及び H C 1処理 lgGは改良型 t— P Aに対して強力な活性化作用を有し、 と く に H C 1処理 lgGについては活性化作用が強力で B rC N処理 フ ィ ブリ ノ一ゲンの数十分の一の濃度で BrC N処理フ ィ ブリ ノ 一ゲン と同等の作用を有していた。 しかしながら変性処理を しな いアルブミ ンおよび lgGは活性化作用を認めなかった。
4 ) 改良型 t- P Aによる変性タ ンパク質の分解
実験方法: 合成基質 S— 2251を反応系に加えない と以外は 「3 ) 変性タ ンパク質による改良型 t一 P Aの活性化」のと ころで 述べた実験方法と同じ条件下にて、 かつ変性タ ンパク質量を 133 μ g/mlに固定して改良型 t— P Aと反応後、' 3— メ ルカブ トエタ ノ ールの存在下で S D Sゲル電気泳動を行った。
結果: 第 14図に示すように、 NaO H処理、 あるいは H C 1処理 等によ り変性させたタ ンパク質の場合はバン ドの消失、 分解物の 出現を示し、 変性タ ンパク質の分解を認めた。 一方変性処理を し ないアルブミ ンは改良型 t一 P Aと反応後でもバン ドに変化を認 めず、 従って変性タ ンパク質の分解を認めなかった。