明 細 書
一本鎖 tPA と二本鎖 tPA とを分離する方法
技 術 分 野
本発明は、 一本鎖組織プラスミ ノ ーゲンァクチべ一 タ一 (以下、 tPA と言う ) 、 ま たは一本鎖 tPA および 二本鎖 tPA を含有する水性媒体から一本鎖 tPA を選択 的に回収する新規方法に関する ものである。
よ り 詳細には、 一本鎖 tPA および二本鎖 tPA を含有 する水性媒体からエリ ス リ ナ 卜 リ ブシンイ ン ヒ ビター を担持し た担体を用い、 一本鎖 tPA と二本鎖 tPA を分 離する方法に関する。
すなわち、 「エ リ ス リ ナ ラテイ シマ (Erythrina .iatissima)お よび他のェ リ ス リ ナ種の種子中に生成 し、 かつ 卜 リ ブシン、 プラスミ ンおよび tPA の阻害剤 であるが、 ゥ ロ キナーゼには作用 しない固定化クニツ ッ型阻害剤」 (F. J. Joubert et al, Hoppe Seyler ' s Z. Physiol. Chem. , 362, 531 〜 538, 1981) であるエ リ ス リ ナ 卜 リ ブシンイ ン ヒ ビタ一 (以下、 ETI と略する) を 使用 して、 一本鎖 tPA および二本鎖 tPA を含有する水 性媒体から一本鎖 tPA を高純度で分離精製し、 それぞ れの tPA 'を分離する方法に関する。
背 景 技 術
ETI を tPA の精製に使用する例と しては、 次のよ う なこ とが知られている。 すなわち、 tPA 生産細胞と し
て、 ヒ 卜メ ラノーマ細胞を用い、 血清を含まない培地 で tPA を生産させ、 これを収穫し、 収穫液を ΕΤΓ カラ ムに通し、 tPA を吸着させ、 ETI に吸着した tPA を約
1一 3 Mの力 リ ゥムチオシァネート水溶液を用いて溶 離する精製方法である (特開昭 59-118717)。 しかし、 この精製方法は、 tPA を精製する方法であって、 一本
lit-PA と二本鎖 tPA を分離精製する方法に関するもの ではない。
本発明者らは、 すでに、 牛胎児血清を含む培養培地 中に生成する抗ヒ 卜 tPA 抗体に反応する分子量 11万士
2万ダルト ンのものを分離、 除去する方法、 ならびに 遺伝子組換え技法を用い.て t P A 遺.伝子を組み込んだ-細 胞を培養し、 その宿主細胞由来の tPA と ヒ 卜細胞由来 ― tPA を分離する方法等について開発した (特開昭 60- 168601) 。
この tPA 活性を有する物質には一本鎖と二本鎖とが あり、 これらはともに約 7万ダルトンの分子量を有す るが、 一本鎖 tPA と二本鎖 tPA とは、 プラスミ ノ一ゲ ン活性化能およびフイブリ ンへの親和性が異なること が明らかにされてきた。 すなわち、 二本鎖 tPA はブラ ス ミ ノ一ゲン活性化能が一本鎖 tPA にく らベて約 10倍 ほど高く (特開昭 59-118717)、 一方、 一本鎖 tPA はフ ィ ブリ ンへの親和性が二本鎖 tPA にく らベて大きく、 フ イ ブリ ンに吸着すると非常に速く二本鎖 tPA に転化
される こ とが明 らかになっ た。 従って、 凝血部分で最 大限の所望の活性を得る には一本鎖 tPA が好ま し い (D. C. Rijken et al, J. Biol. Chem.257, 2920— 2925,
1982) 。
一本鎖 tPA を取得する公知の方法と しては、 細胞培 養す る 際に蛋白質分解酵素阻害剤を添加し、 一本鎖 tPA から二本鎖 tPA への移行を阻止する方法が知られ て レ、 る (D. C. Rijken et al, J, Biol. Chem.250, 7035~ 7041, 1981 ) , しかし、 この方法では、 細胞の種類、 細 胞培養の方法および培養周 などさまざまに異なる条 件下での二本鎖 tPA への移行を完 に抑える こ とが非 常に難しい。 すなわ ½、 ~般に、 細胞培養培地に含ま' れる蛋白分解酵素の種類やその量は異な り 、 これら蛋 白分解酵素の作用を制御しょ う とするのは非常に困難 である。 一方、 蛋白分解酵素の阻止剤はその種類が多 く 、 細胞の増殖に抑制的に影響を与え る もの もあつ て、 細胞培養に使用できる蛋白質分解酵素阻害の種類 は限られて し ま う 。 また、 蛋白質分解酵素阻害は、 そ の種類によっ て高価なものもあ り 、 大量培養する には 実用的ではない。
ま た、 一本鎖 tPA を精製して取得する手段と して は、 これを特異的に吸着する固定化モノ クローナル抗 体を使用する方法が知られている (Biopool社力 タログ (Sweden)。 しか し ながら、 こ の方法は固定化モノ ク
口一ナル抗体に対する吸着能力、 およびこの抗体カラ ムの使用時の安定性に問題がある。
発 明 の 開 示
このよ う な状況のなかで、 本発明者らは、 一本鎖
tPA および二本鎖 tPA を含有する水性媒体から一本鎖
tPA を分離精製する方法を鋭意検討し、 一本鎖 tPA と 二本鎖 tPA は ETI に対して親和性が異なり、 溶離液の
pHを変化させる と効果的に分離できることを見出し、 本発明を完成した。
すなわち、 本発明は、 一本鎖 tPA および二本鎖 tPA
を含有する水性媒体を、 一旦、. ETI を担持している担 体に接.触させてこれら' tPA を吸着させ、 次い.で、 不純 蛋白質を洗浄除去した後'、 特異的に一本鎖 tPA を溶離 · する pH領域の溶出液で一本鎖 tPA を溶離し、 次いで、 —本鎖 tPA および二本鎖 tPA のいずれをも溶離する
領域の溶出液で一本鎖 tPA と二本鎖 tPA または二本鎖 t?k を溶離させる方法であって、 一本鎖 tPA および二 本鎖 tPA を含有する水性媒体から ETI を使用して一本 鎖 tPA と二本鎖 tPA とを分離する方法である。
この本髡明の方法は、 tPA を産生する細胞の種類に に関係なく適用可能である。 すなわち、 本発明の方法 によれば、 メラノ一マ細胞、 ヒ 卜正常細胞および遺伝 子組み換え技法を用いてヒ 卜 .tPA 遺伝子を組み込んだ 細胞等を用いて産生した tPA のいずれからも一本鎖
tPA 、 二本鎖 tPA を分離 し精製する こ と が可能であ る 。 その上、 培養培地の組成にかかわ らず、 つま り血 清添加培地から も血清無添加培地と同様に一本鎖 tPA と二本鎖 tPA の分離精製が可能と なる。
こ の よ う なカ ラ ムを用いて一本鎖 tPA と二本鎖 tPA と を分離し、 かつ各々 を単離できるのは、 全く 新規に 見出された方法である。
発明を実施する ための最良の形態
本発明の方法で使用する一本鎖 tPA および二本鎖 tPA を含む水性媒体と は、 tPA を産生する細胞の種類 に限定される こ と なく 、 すなわち、 例えば、 メ ラノ 一 マ細胞、 ヒ 卜正常細胞、 および遺伝子組み換え技法を 用いて ヒ 卜 tPA 遺伝子を組み込んだ細胞等を各種の細 胞を用いて産生された、 一本鎖 tPA と二本鎖 tPA と を 含有する水性媒体である。
ま た、 これら tPA を含む液と して、 産生された tPA を含む上記細胞の培養液を部分精製した液も、 ま た一 本鎖 tPA および二本鎖 tPA の分離精製が必要と される 各種工程で調製される一本鎖 tPA および二本鎖 tPA を 含む溶液であっ てもよい。
なお、 上記の tPA 遺伝子を組み込んだ細胞、 すなわ ち、 形質転換された宿主細胞内において、 活性型ヒ 卜 tPA をコー ド している DNA 配列を発現する こ とができ る、 複製可能な発現ベク ターで形質転換された細胞と
しては、 例えばチ ャイ ニーズ八ムス夕卵母細胞、 マウ ス線維芽細胞、 マウスミエロマ一細胞、 ヒ 卜胎児羊膜 細 JS、 Hela細胞、 酵母細胞等が挙げられる。
本発明の方法で使用する ETI を担持した担体とは、
ETI 、 すなわち、 エリス リナ · ラテイ シマ (豆科植物
Erythrina lat issima 、 広葉エリスリ ナ) および他の ェ - ス リ ナ種の種子の中に生成し、 かつ ト リプシン、 プラスミ ンおよび tPA の阻害剤であるが、 ゥロキナー ゼには作用しない形の固定化クニッッ型阻害剤を担体 に固体化したものである。
ETI を固定化する担体の種類と しては、 不溶性ァガ ロース-、 デキス ト ラ ン、 セル口ニス、 ポ リ アク リ ルア - ミ 'ド-、 リ エチレングリ コールグリ シジルメ タク リ - レー 卜ポ リ マー、 ガラスビーズまたはこれらを 2種以 上組合せたもの等を使用できる。
ETI を担体に固定化する方法としてはつぎのような 方法が適用される。 例えば、 a)臭化シアン活性化ァガ ロースを用いた固定化、 b)水溶性カルボジィ ミ ドを用 いたカ ップリ ング、 c)前もってアミノ アルキル形に転 ィヒしたァガロース ΝΗ2 基を結合させるグルタルァルデ ヒ ド カ ヅ プ リ ング、 d) Ν-ヒ ド ロキシスク シンイ ミ ドエ ステル活性化ァガローズへのカップリ ング、 e)ェポキ シ活性化ァガローズによるカップリ ング、 T)アルデヒ ド官能基を生成し、 次に ETI のァミンと反応してシツ
フ塩基を形成し、 次いでナ 卜 リ ウムボロ Λィ ド ライ ド によ っ て還元する過ヨ ウ素酸活性化ァガローズ、 g)ブ 口 モ アセチルアルキルア ミ ン ァガローズを用いた力 ッ プ リ ン グ、 h)ジ ァゾニゥ ム誘導体を用いたカ ッ プ リ ン グ、 等の方法があげられ、 ま た、 担体について は、 i )セルロースはヒ ド ラ ジ ド誘導体に転化させて、 Par ikh等の方法 (Methods in enzymlogy 34, 77 ~ 102, editors, W. B. Jakobi and M. Wi 1 check Academie Press, N. Y. ) に従って使用 してもよ く 、 j)ポ リ アク リ ルア ミ ド は、 直接グルタルアルデヒ ド法ま たは P-ア ミ ノ ベンズア ミ ド誘導体も し く はヒ ド ラ ジ ド誘導体のジ ,ァゾ化によ っ て結合させて使用 してもよ く 、 さらに、 k)ガラス ビーズは、 H. H.Weetall & A.M. Filbert 等の 方法 (Metheds in enzymlogy 34, 59·~ 72 , editors, W. Β . Jakobi and M. Wi lcheck Academie Press, N. Y. ) に 従っ て使用 して も よい。
本発明の方法では、 以上のよ う な ETI を担持した担 体に、 前記の一本鎖 tPA と二本鎖 tPA と を含有する水 性媒体を接触させる。
この水性媒体と担体と を接触させる操作は、 と く に 限定されず、 通常の方法、 例えば、 バッ チ法やカ ラム: 法で接触させる操作が適用でき る。
カ ラ ム法の場合、 液の流れは上昇流でも下'降流でも よい。 カ ラ ム と しては、 通常は円筒形のものが多用さ
れるが、 カラムの径と高さの比はと く に限定されるこ となく決定できる。
操作温度は、 tPA が安定である温度範囲であり、 好 ま し く は水性媒体が凍結しない温度から室温の範囲で ある。
以.上の水性媒体と担体との接触操作によって、 水性 媒; #τ中に含有される一本鎖 tPA と二本鎖 tPA は ETI
を担持した担体に吸着される。
この吸着操作の後、 必要に応じて、 tPA を溶離しな い条件、 例えば、 中性ないし弱塩基性の pH範囲で高濃 度の塩溶液を用い、 カラムを洗浄し、 担体上に非特異 的に作用した各種 φ不純蛋白質を除去する。 、 ' ' ' ついで、 本発明の方法では、 一本鎖 tPA と二本鎖 - tPA を吸着した ETI 担体を、 先ず、 特異的に一本鎖
tPA を溶離する ρίί領域の溶離液で処理し、 一本鎖 tPA
を ETI 担体から溶離して一本鎖 tPA を取得し、 次い で、 残余の一本鎖 tPA を含むこともある二本鎖 tPA を 吸着した ETI 担体を、 一本鎖 tPA および二本鎖 tPA を 溶離する pH領域の溶離液で処理して、 一本鎖 tPA と二 本鎖 tPA を含有する tPA または二本鎖 tPA を溶離させ る。 ^
特異的に一本鎖 tPA を溶離する pH領域、 ならびに次 いで実施する一本鎖 tPA および二本鎖 tPA を溶離する
P H領域は以下に示す溶離液に使用する各種の要因によ
つ て変動する。 しかし、 各種要因の組合せにおいて、 適切な条件を選択 して適用する こ と に よ っ て一本鎖 tPA と 二本鎖 t PA をそれぞれ溶離 し、 目的の一本鎖 tPA を取得する こ とができ る。
溶離液に使用される、 上記 PH領域に影響を与える要 因と して、 つぎのよ う なものが挙げられる。
(1) 緩衝液の種類 : グ リ シン 一塩酸緩衝液、 クェン酸 緩衝液、 酒石酸緩衝液、 リ ン酸緩衝液、 酢酸緩衝液、 乳酸緩衝液、 コ八ク酸锾衝液、 フ タル酸緩衝液、 ベロ ナール緩衝液等、 (2) 塩の種類 : チ'オシアン酸塩、 過 塩素酸塩等のカ オ 卜 口 ピッ クイ オンを含む塩や、 食 塩、 塩化カ リ ウ ム 、 塩化カ ルシ ウ ム、 塩化マグネ シ ゥ ム、 硫安等、' (3) 緩衝液および塩の濃度、 (4) 添加 剤 : A)アルギニン、 リ ジン等の塩基性アミ ノ 酸および オルチニン、 ε — アミ ノ カプロ ン酸等の塩基性ァ ミ ノ 酸類似物質、 Β)ベンズアミ ジン等の 卜 リ ブシン様酵素 に対する拮抗阻害剤、 C)アミ ン類、 アルコール類等の 求核試薬、 D)尿素、 塩酸グァニジン等の蛋白変性剤、 E) Tween80, Triton X-100 等の界面活性剤、 等であ る。
これらは単独でも、 2種以上の混合物と しても使用 でき る。 '
—本鎖 tPA と二本鎖 tPA と を吸着した ETI 担体から 一本鎖 tPA を特異的に溶離する pH領域は、 と く に限定
される ものではない。 溶離液に使用する緩衝液、 塩の 種類やそれらの濃度、 必要に応じて添加する添加剤の 種類や濃度によ り溶離効果が変動し、 その上、 ETI を 担持させる担体の種類、 担持方法によっても溶離効果 は変動するので、 最適の PH領域も変動する。 通常、 一
本鎖 tPA を特異的に溶離する pH領域の下限は、 約 4か ら約 5付近にあり 、 一本鎖 tPA を特異的に溶離するに は、 これ以上の領域の pHの溶離液が使用すればよい。
また、 一本鎖 tPA を溶離後、 さらに ETI 担体から一本 鎖 tPA および二本鎖 tPA を溶離する pH領域も、 同様に 限定されない。 一般には、 一本鎖. tPA を特異的に溶雛 させた'後、 未だ ΕΤΊ 担体に吸'着したままの一本鎖 tPA ' ' と二本鎖 tPA を溶離させるので、 一本鎖 tPA も溶離 ― し、 更に二本鎖 tPA を溶離させるに充分な pH領域であ ればよく 、 通常、 約 4から約 5付近から、 それ以下の pH領域であれば一本鎖 tPA と二本鎖 tPA とを溶離させ る こ とができ る。
上記した各種添加剤のう ち、 アルギニン、 ベンズァ ミ ジン、 尿素または塩酸グァニジン等を添加する と、 —本鎖 tPA と二本鎖 tPA との分離効果は一段と向上す る。 これらの添加剤を添加した場"^、 さらに添加剤の 添加によって一本鎖 tPA を特異的に溶離する pH領域は 変動し、 最適の PH領域は限定的ではないが、 通常、 約
Η 4.5から pfi 6の範囲であって、 pH 4.5より低い pHの
液によ っ て一本鎖 tPA と二本鎖 tPA と を溶離させる こ と がで き る 。
一本鎖 tPA を溶離させる ためのアルギニン、 ベンズ ア ミ ジ ン、 尿素ま たは塩酸グァニジン等の使用濃度は 1 mMか らそれらの溶解限界濃度までが使用できる。 例 えば、 pH 4. 5から pH 6.0の範囲において、 アルギニン ま た:はベンズア ミ ジンの濃度は PH 4.5に近づく 程低い 濃度が使用でき、 PH 6に近づく 程高い濃度が必要と な る 。
こ こ で使用する アルギニン、 ベンズア ミ ジン、 尿素 ま たは塩酸グァニジンが、 セ リ ンプロテア一ゼの活性 中心に拮抗的に結合し.複合体を解離させる こ とは知ら れているが、 一本鎖 tPA と二本鎖 tPA の分離に効果を 示すこ と は全く 知られていない新規な効果である。
使用する溶離液は、 上記の緩衝液、 塩等から目的に 合わせて選択 し た種類および濃度と し、 必要に応じ て添加剤を加え、 選択された PH領域の ものを調製す る 。
本発明の方法において、 ETI 担体に吸着した一本鎖 tPA と二本鎖 tPA と をそれぞれ溶離させる操作はバヅ チ法ま たはカ ラ ム法等が適用でき る。
バ ッ チ法の場合、 一本鎖 tPA を特異的に溶離する よ う に設定 し た pH領域に調製された溶離液と 、 一本鎖 tPA と二本鎖 tPA とを吸着した ETI 担体と を攪拌混合
し静置する。 この操作によ り一本鎖 tPA は ETI 担体か ら溶離され、 上澄液中に移行する。 この上澄液を回収 して一本鎖 tPA を高純度で得ることができる。 一方、 も し溶離されないで残つた一本鎖 tPA が存在するなら こ の一本鎖 tPA と二本鎖 tPA と を吸着した ETI 担体 は、 一本鎖 tPA と二本鎖 tPA とを溶離するよう な pH領 域に調整して調製された溶離液と攪拌混合し静置す る。 この操作によ り一本鎖 tPA を含むこ ともある二本 鎖 tPA が ETI 担体から溶離され、 上澄液中に移行す る。 この上澄液を回収して一本鎖 tPA を含むこ と もあ る二本鎖 tPA を得るこ とができる。 一本鎖 tPA を含む 主と して二本鎖 tPA 'らなる' tPA は、 必要に応じて適 当な方法で一本鎖 t と二本鎖 tPA とを、 さらに分離' すればよい。
カ ラム法の場合、 同じく一本鎖 tPA を特異的に溶離 するよう に設定した pH領域に調製された溶離液を、 一 本鎖 tPA と二本鎖 tPA とを吸着した ETI 担体を充塡し たカ ラ ム に流し、 一本鎖 tPA を ETI 担体から溶離さ せ、 溶離液中に溶解させて一本鎖 tPA を高純度で得る こ とができ る。 つづいて、 一本鎖 tPA と二本鎖 tPA と 溶離する pH領域の溶離液を流す。 これによ り ETI 担体 に吸着されたまま残っていること もある一本鎖 tPA と 二本鎖 tPA とを溶離させ、 溶離液中に溶解させて一本 鎖 tPA を含むこ ともある二本鎖 tPA を得るこ とができ
る 。 一本鎖 tPA を含む主と して二本鎖 tPA か ら なる セ PA は、 必要に応じて適当な方法で一本鎖 tPA と二本 鎖 tPA と を、 さ らに分離すればよい。
こ れ らの方法において、 カ ラ ムへの溶離液の流れ は、 上昇流でも下降流のいずれでもよ く 、 ま た、 流速 に左右されずに t PA を溶離でき る。 しかし、 流速が速 く なる と tPA 溶出がブロー ド になる傾向と なるので好 ま し く ない。
tPA の溶離は、 tPA が安定である温度範囲、 好ま し く は溶離液が凍結しない温度から室温の範囲で実施す る 。
発明を実施する た ·めの最良の形態
以下、 本発明の^法を実施例によって具体的に説明 する 。
実施例 1
親和試薬 ( ETI 試剤) の調製 :
本発明で用いる ETI 試剤は、 以下のよ う に してセフ ァ ローズカ ラ ムに調製して用いた。 エ リ ス リ ナラティ シマ種子を ジ ョ 一ベール (Joubert) らの方法 (F. J. Joubert et a 1 , Hoppe-Sey 1 er* s Z. Physiol. Chem., 362, 531〜 538, 1981 )に したがって採集し加工した。 種子を擦 り 潰し、 脱脂し、 0.5 M/ ^食塩水溶液によ り 10°Cで一夜抽出 し た。
抽出液を遠心分離し、 残渣を除去し、 得られた上澄
液を硫酸アンモニゥム沈殿し沈殿物を回収し、 続いて セフ ァデヅ クス G-50, DEAE-セルロースおよび DEAE- セ フ ァ ロースのク ロマ トグラフ ィ ーにかけた。
こ う して得られた精製物は、 0.1%ドデシル硫酸ナ 卜 リ ウム (SDS) を含有する 15% ポリ アク リルアミ ドゲル の電気泳動に付した場合、 見掛けの分子量 22, 000ダル 卜 ンの単一バン ド と して移動した。
上記の精製物を臭化シアン活性化ァガロースに通常 方法で結合させた。 これを使用し、 次のよう にして一
本鎖 tP および二本鎖 tPA を精製した。
ボウズ (Bowes) メ ラノ 一マ細胞(ATCC CRL 1424 G
36 )培養液 熱不活性化 56'°C, 30 分閘) 胎児牛 ' 血清およびァプロチニン (2-0ΚΙϋ/πΐ·β ) を含む] 2 を - Tween 80 (0.02%) および食塩(1-M / ) で安定化後、
ETI-セフ ァ ローズ (25mgETI/5 m£樹脂) カ ラムに適用 した。
流出液を集め、 プラスミノーゲン依存フイ ブリ ン溶 解活性を測定した。 カラムに適用された活性の約 10%
が認められた。
この画分は SDS ポリ アク リルアミ ドゲル電気泳動後 のザィモグラフ ィー調べる と、 プラスミノ一ゲンァク チベータ一と して 11万 ± 2万ダルトンおよび約 7万ダ ルト ンの二種類のバン ドが認められた。
この後、 ETI-セルローズカラムを、 20倍カ ラム容量
の 0.2%Tween 80を含む 2M食塩水でカ ラ ムを洗っ た。 こ の方法によ り 、 カ ラ ムに適用された活性の約 5%が検出 され、 ザィ モグラ フ上で 11万 ± 2万および約 7万ダル 卜 ンのバン ド がプラ ス ミ ノ ーゲン ァクチべ一ターと し て認め られた。
吸着し た蛋白質は、 0.2Mベンズア ミ ジン と 0.15M 食 塩を含む 0.2f ベロ ナール緩衝液を用い、 pH6.5 か ら pH3.0 までの リ ニアグラ ジェン 卜法で溶出した。
この方法によ り pH 6.0から pH 4.5の範囲で一つの ピ ークが得られ、 ま た pH 4.5から 11 3.5の範囲でも う一 つの ピークが得られた。 この二つの画分をあわせる と . カ ラ ム に適用 した活性の.80〜85¾ を示した。
メ ルカ プ ト エタ ノ ールで還元し た試料をポ リ アク リ ルア ミ ド ゲル電気泳動後の銀染色で調べた結果、 pH 6.0から pH 4.5の範囲で溶出される ものは還元して も分子量に変化はな く 約 7 万ダル ト ン を示し たが、 pH 4.5から卩[^ 3.5の範囲で溶出される ものは還元する と大部分の約 7万ダル ト ンのバン ド は消失し、 3万か ら 4万ダル ト ン付近にバン ドが出現した。
こ の結果か ら pH6 か ら pH 4.5の範囲で溶出される tPA は一本鎖 tPA であ り 、 pH 4.5から卩^^ 3.5の範囲で 溶出される tPA はほとんど二本鎖 tPA と認め られた。 なお、 カ ラ ム操作は室温で行っ た。
実施例 2
ボウズ (Bowes) メラノ一マ細胞(ATCC CRL 1424 G - 361)を 10% 熱不活性化(56 °C, 30 分間) 胎児牛血清を - 補充した RPMI-1640 組織培養媒体中で培養後、 培養物 を一度洗い血清を含まない媒体中で 24時間培養後、 媒 体を集め、 収穫液と した。 収穫液 50 に最終濃度 1Mに なるよう に食塩を加えた。
この液を 1.0M食塩を含む 0.05M リ ン酸緩衝液 PH7.5 でカ ラ ムを洗っ た。 カラムの通過液及び洗浄液を合わ
10 せ、 プラスミノーゲン依存フイブリ ン溶解活性を測定
したと ころ、 カラムにかけた全活性の約 10% が検出さ
- ' れた。 SDS ボリ ァク リルァミ ドゲル電気泳動後のザィ
モグラフ ィ ニ上で分子量 11方 ± 2万ダルトンのバン ド - が確認された。 カラムに吸着した蛋白は 0.5 チオシァ
15 ン酸アンモニゥムを含む 0.05M NaH2P04-NaOH溶液(pH
5.0)で溶出した。 この方法によ りカラムにかけた活性 の約 50% が溶出液中に回収され、 SDS ポリ アク リルァ ミ ドゲル電気泳動後の銀染色で分子量 7万ダルト ンの 単一バン ドが確認され、 メルカプトエタノールによる
20 還元でも低分子量のバン ドは検出されなかった。
このことによ り 、 この画分に二本鎖 tPA が含まれて いないこ とが確認された。 一方、 残り の吸着蛋白は
0.5M食塩を含む 0.1Mグリ シン一塩酸緩衝液 pH 3.5で溶 離した。 この方法によ りカラムにかけた活性の約 40%
が溶出液中に確認され、 SDS ポ リ アク リ ルア ミ ドゲル 電気泳動後の銀染色で分子量 7万ダル 卜 ンおよび約 3 万ダル ト ンのバン ドが確認され、 メルカプ 卜ェタノ 一 ルによる還元後の試料で約 7万ダル ト ンのバン ドはほ と んど消失し、 新たに分子量約 3〜 4万ダル ト ンの範 囲でバン ド が確認された。 このこ と よ り 、 この画分は ほ と んど二本鎖 t P A である こ とが確認された。 なお、 カ ラ ム操作は室温で行っ た。
実施例 3
人胎児包皮細胞 (Flaw 7000: 大日本製薬社品) 培養 液 [ 1Q% 、 熱不活性化 (56 °C , 30 分間)' 胎児牛血清お よびァプロチニン (20KIU/m ) を含む ] 2 £ を Tween 80 ( 0. 02%) および 1 M食塩で安定化後、 ETI を臭化シ ア ン活性化ァガローズに固定化した ET I セフ ァ ローズ カ ラ ム (25mg ETI/5m 樹脂) に適用 した。
流出液を集め、 プラス ミ ノ 一ゲン依存フ イ ブ ン溶 解活性を測定し た と こ ろ カ ラ ムに適用された活性の約 45% が認め られた。
こ の画分を SDS ポ リ アク リ ルア ミ ドゲル電気泳動後 のザィ モグラ フ ィ 一で調べたと ころ、 プラス ミ ノ 一ゲ ン ァ ク チべ一ター と して 10万ダル ト ン付近に 2〜 3 本、 5〜 7万ダル ト ン付近に 2〜 3本、 3万 5千ダル ト ン付近に 1 本のバン ドが認められた。
tPA を吸着 し た ETトセフ ァ ローズカ ラ ムの洗浄に
2.0M食塩を含む 20倍力ラム容量の 0.1M Na2HP04-NaOH 緩衝液(pH 9.5)でカラムを洗った。
この方法によ り カラムに適用された活性の約 5%が検 出され、 ザィモグラフで上記と同じ ン ドが認められ た。
溶離緩衝液は、 0.3Mリジン と 0.15M 食塩を含む 0. 1M リ ン酸緩衝液(pH5.5) と 0.15M 食塩を含む 0.2Mクェン 酸緩衝液(PH3. 0) を使用した。
分離された pHの異なる 2種の画分をあわせる とカラ ムに適用された活性の 40〜 50% を示した。
メルカプ トエタノールで還元した試料をポリアク リ ルアミ ド'ゲル電気永動後の..銀染色で調べる と、 Η5.5 で溶出される ものは還元しても分子量に変化はなく約 - 7万ダル ト ンを示したが、 ρΗ3.0 で溶出されるものは 還元する と約 7万ダルトンのバン ドはほとんど消失し
3万から 4万付近にバン ドが出現した。
この結果から ΡΗ5.5 で溶出される tPA は一本鎖 tPA であり 、 pH3. G で溶出される tP A は二本鎖の tPA であ る と認めた。 なお、 カラム操作は室温で行った。
実施例 4
ヒ 卜 tPA 遺伝子 (特閧昭 60-264918)を組み込んだマ ウス繊維芽細胞(Mouse C1271 ATCC CRL 1616) の培養 液 [ 2%、 熱不活性化(56 °C , 30 分間) 胎児牛血清およ びァプロチニン (20ΚΙΙ]/πι£ ) を含む] 2 ·gを l M食塩
で安定化後、 ETI を臭化シアン活性化ァガロースに固 定化し た ETI-セフ ァ ローズ (25mgETI/5 m 樹脂) に適 用 し た。
流出液を集め、 プラス ミ ノ ーゲン依存フ イ ブリ ン溶 解活性を測定し た と こ ろカ ラムに適用された活性の約 10% が認め られた。
この画分を SDS ポ リ アク リ ルア ミ ドゲル電気泳動後 のザィ モグラ フ ィ 一で調べる と、 プラス ミ ノ ーゲンァ クチべ一ターと して 11万土 2万ダル 卜 ンおよび約 7万 ダル ト ンの二種類が認められた。
全溶液を ETI-セフ ァ ローズカ ラムに通過させた後、20倍カ ラ ム容'皇の 2· 0M食塩水でカ ラムを洗っ た。 この 方法によ り 、 カ ラ ムに適用された活性の約 5¾が検出さ れ、 ザィ モグラ フ上で 11万 ± 2万および約 7万ダル ト ンのバン ドがプラス ミ ノーゲンァクチべ一ターと して 認め られた。
ETI-セ フ ァ ロ ーズ力 ラ ム に吸着されてい る蛋白質 は、 0.15M 食塩を含む 0.1Mクェン酸緩衝液 (pH4.7) と 0.15M 食塩を含む 0.1Mクェン酸緩衝液 (pH3.0) を用い て溶出された。 この 2 つの画分をあわせる とカ ラムに 適用された活性の約 80% を示した。
メ ルカプ 卜 エタノ ールで還元した試料をポ リ ァク リ ルア ミ ドゲル電気泳動後の銀染色で調べる と、 pH 4.7 で溶出される ものは還元しても分子量に変化はなく 、
約 7万ダル ト ンのものは約 7万ダルト ンを示したが、 pH 3.0で溶出されるものは還元する と大部分の約 7万 ダル ト ンのバン ドは消失し 3万から 4万ダル卜ン付近 にバン ドが認められるよう になった。
この結果から pH4.7 で溶出される tPA は一本鎖 tPA であ り 、 pH 3.0で溶出される tPA は大部分二本鎖 tPA である と認められた。 なお、 カラム操作上、 吸着した tPA は吸着させたときには、 逆方向の流れで溶離し、 また温度は 4 °Cで行った。
実施例 5
ヒ 卜 tPA 遺伝子 (特開昭 60-264918)を組み込んだマ ウス繊維芽細胞(Mouse C1271 ATCC C L 1616) 'の培養 液 '[ 2¾、 熱不活性化(56 °C, 30 分間) 胎児牛血清およ - びァプロチニン (20Κΐυ/ηι£ ) を含む] 10 を 1 M食塩 で安定化後、 ΕΤΙ を ΑΗ- ァガローズ(Pharmacia) に固 定化し た ETI-セフ ァローズカラム (25mgETI/5 樹 脂) を加え、 4 °Cで 30分間攪拌後、 ガラスフィルタ一 で濾過し、 樹脂を集め、 その後、 20倍カ ラム容量の
20M 食塩水でこ の樹脂を洗浄する 。 tPA 吸着した樹 脂に、 初めに 尿素を含む 0.1Mリ ン酸ソーダ緩衝液
(pH 6.0)、 その後、 0.15M 食塩を含む 0.1Mクェン酸緩 衝液(PH3.0) を用いて tPA を溶離した。 この 2つの分 画をあわせる とカラムに適用された活性の約 80% を示 した。
メ ルカプ ト エタノ ールで還元した試料をポ リ ァク リ ルア ミ ドゲル電気泳動後の銀染色で調べる と、 ΡΗ6· 0 で溶出される ものは還元しても分子量に変化はな く 、 約 7万ダル ト ンを示したが、 ΡΗ3.0 で溶出される もの は還元する と約 7万ダル ト ンのバン ド は大半は消失し 3 万か ら 4 万付近にノ、 'ン ド が認め られる よ う になつ た。
この結果から ΡΗ6.0 で溶出される tPA は一本鎖 tPA と であ り 、 pH3.0 で溶出される tPA はほとんど二本鎖 の tPA である と認めた。
実施例 6 ' , ヒ 卜 t P A 遺伝子を組み込んだチ ヤ 'ィ ニーズ八ム ス 夕一卵母細胞 (CH0)' 細胞 (ATCC CRL61 cel ls)培養液 [10°ん熱不活性化 (56 °C , 30 分間) 胎児牛血清および 40KIU/ m£ ァプロ チニン を含む ] 2 £ に終濃度で 1M の食塩を加え、 こ の液を 1.0M食塩を含む 0.05M リ ン 酸緩衝液 (pH 7. 5) で平衡化 し た ETI-セ フ ァ ロ ーズ (25mgETI/5 m 樹脂) に通し た後、 2.0M食塩および 1 OmMアルギニン を含む 0.05M Na 2 H P 04 -NaO H溶液 (p H 9.5)で洗浄し た。
この方法でカ ラムに通した活性の約 10% が流出 し、 ザィ モグラ フ上で分子量 11万 ± 2万および約 7万ダイ ト ンのバン ドが確認された。
吸着さ れて い る蛋白は、 0.01M アルギニンおよび
0. 1M食塩を含む 0.05M iiaH2P04-NaOH溶液(pH 4.4)で溶 離した。
溶出液の活性は力ラムにかけた活性の約 65¾ を示し た。
残り の吸着蛋白は 0. 1M食塩を含む 0. 1Mクェン酸緩衝
(pH3. 0) で溶解したところ、 カラムにかけた活性の 糸 ¾"25% を示した。
メルカプ トエタノールで還元した試料をポリ アク リ ルァミ ドゲル電気泳動後の銀染色で調べる と、 PH 4.4 で溶出される ものは還元しても分子量に変化はなく約
7万ダル ト ンを示したが、 PH 3. 0で溶出されるものは 還.元する と約 7万ダルトン.のバン ドの大半は消失し、
3万から 4万ダルトン付近にバン ドが出現した。 - この結果から pH4.4 で溶出される tPA は一本鎖 tPA であ り 、 pH 3. 0で溶出された tP^ はほとんど二本鎖 tPA である と認めた。
実施例 7
ヒ 卜 t P A 遺伝子を組み込んだチ ャ イ ニーズノ\ムス ター卵母細胞(CH0) 細胞(ATCC CCし 61)培養液 [ 10% 、 熱不活性化 (56 °C , 30 分間) 胎児牛血清および 40
KIU/ ァプロチニンを含む: I 50 ·βに終濃度で 1Mの食 - 塩を加え、 こ の液を 1. 0Μ食塩を含む 0. 05Μ リ ン酸緩 衝液(ΡΗ7. 5) で平衡化した ΕΤΙ-セフ ァ ローズカ ラム
(25 mg ETI/5 m_G樹脂) を加え、 4 °Cで 30分間攪拌後
5
- 23 - ガラ ス フ ィ ルターで濾過し、 樹脂を集め、 その後、
2.0Mを含む 0.05M Na2HP04 溶液 (pH9..5) で洗浄した。
tPA 吸着し た樹脂をカ ラムに詰めた後、 吸着されてい る蛋白は、 2%エタノ ールおよび 0.1M食塩を含む 0.05M 乳酸緩衝液 (PH4.8) で溶離した。
溶出液の活性はカ ラムにかけた活性の約 60¾ を示し た。
残 り の吸着蛋白 は 0. 1M食塩を含む 0. 1M乳酸緩衝液
(pH3.0) で溶離し たと ころ、 カ ラムにかけた活性の約
25% を示し た。
メ ルカプ ト エタノ ールで還元した試料をポ リ アク リ ルア ミ ドゲル電気泳動後の銀染色で調べる と、 pH 4.8 で溶出される ものは還元しても分子量に変化はなく 約 - 7万ダル ト ンを示したが、 pH 3.0で溶出されたものは 還元する と約 7万ダル ト ンのバン ドの大部分消失し、
3万から 4万ダル ト ン付近にバン ドが出現した。
この結果から PH4.5 で溶出される tPA は一本鎖 tPA であ り 、 pH 3.0で溶出された tPA は大部分二本鎖 tPA である と認めた。
実施例 8
ヒ 卜 tPA 発現プロモータ と して ヒ 卜 サイ 卜 メガロ ウ ィ ルス (HCMV)を用 い、 ヒ 卜 遺伝子を組み込んだ胎旧
ノし 羊膜細胞 (FL. ATCC CCL-62)培養液 [ 2%、 熱不活性化
(56 °C , 30 分間) 胎児牛血清および 20KIU/ m ·β ァプロ
チニンを含む ] 2 に終濃度で 1Mの食塩を加えた後、 ETI を臭化シァン活性化ァガロースに固定化した ETI セフ ァロ一ズ(25mgETI/5 mJZ樹脂 ) に適用した。
流出液を集め、 プラスミノ一ゲン依存フ イ ブリ ン溶 解活性を測定したところカラムに適用された活性の約 10¾ が認められた。
この画分は SDS ポリ アク リルアミ ドゲル電気泳動後 のザィモグラフ ィ一で調べる と、 プラスミノーゲンァ クチベータ一と して 11万 ± 2万ダルト ンおよび-約 Ί万 ダルト ンの二種類が認められた。
全溶液を ETI-セフ ァローズカラムに通過させた後、 20倍力ラム容量の 2.0M食塩水でカラムを洗つた。 この 方法により、 カラムに適用された活性の約 ·5%が検出さ' れ、 ザィモグラフ上で 11万 ± 2万および約 7万ダルト ンのバン ドがプラスミノ一ゲンァクチべ一夕一とレて 認められた。
ΕΤΙ-セフ ァ ローズ力 ラムに吸着されている蛋白質 は、 0.3Μアルギン と 0.15食塩を含む 0.1Mクェン酸緩衝 液 (ρΗ4.7) と 、 0. 15M 食塩を含む 0. 1 Μ酢酸緩衝液 (ρΗ3.0) を用いて溶出された。 この 2つの画分をあわ せる とカラムに適用された活性の約 80% を示した。
メルカプトエタノールで還元した試料をポリ アク リ ルアミ ドゲル電気泳動後の銀染色で調べる と、 5.5 で溶出される ものは還元しても分子量に変化はなく 、
約 7万ダル ト ンを示したが、 PH 3. 0で溶出される もの は還元する と大部分の約 7万ダル ト ンのバン ド は大部 分消失し 3万から 4万付近にバン ドが認め られる よ う になっ た。
この結果から pH5.5 で溶出される tPA は一本鎖 tPA であ り 、 pH 3. Qで溶出される tPA は大部分二本鎖 tPA である と認めた。
実施例 9
ヒ 卜 遺伝子を組み込んで形質転換された宿主酵母 (Saccharorayces cerevis iae)を、 公知の方?; S (Pr i nc i - ies and Practice o f Recombinant D A Reserch with Yeast" in The Molecular Biology o f Yeast Saccharomyces: Metabol ism and Gene Expression, p 603- 636, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N. Y. (1982) )に記載の方法で増殖させ た。
細胞はガラ ス ビーズを後いて破砕し、 tPA を 1M食 塩お よ び 0. 02% Tween 80を含む 0. 05M リ ン酸緩衝液 (pH 7.5)で抽出 し、 抽出液を濾過して濾液を得た。
この液 1 を ETI-セフ ァ ローズカ ラム (25mETI/5m£ セフ ァ ローズ) に通した。 その後、 20倍カ ラム容量の 0. 02%Tween8Qを含む 2.0M食塩水で洗浄する。 吸着した tPA は、 初め に 0. 02%Tween80および 0. 5M硫安を含む 0. 1Mクェン酸緩衝液(pH3.0) を用いて溶出 した。
メ ルカプ 卜エタノ ールで還元した試料をポ リ ァク リ ルア ミ ドゲル電気泳動後の銀染色で調べた結果、 pH5.0 から溶出されるものは還元しても分子量に変化 はなく約 7万ダルトンを示したが、 pH 3.0で溶出され る ものは還元する と大部分の約 7万ダルトンのバン ド は大部分消失し 3万から 4万付近にバン ドが出現し た。 この結果から PH5.0 で溶出される tPA は一本鎖 tPA であ り 、 pH 3.0で溶出される tPA はほとんど二本 鎖 tPA である と認められた。