JP3036282B2 - ヒータ付き酸素濃度センサ - Google Patents

ヒータ付き酸素濃度センサ

Info

Publication number
JP3036282B2
JP3036282B2 JP5020169A JP2016993A JP3036282B2 JP 3036282 B2 JP3036282 B2 JP 3036282B2 JP 5020169 A JP5020169 A JP 5020169A JP 2016993 A JP2016993 A JP 2016993A JP 3036282 B2 JP3036282 B2 JP 3036282B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxygen concentration
sensor
internal combustion
combustion engine
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP5020169A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06229975A (ja
Inventor
郷子 池上
茂樹 浜口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP5020169A priority Critical patent/JP3036282B2/ja
Publication of JPH06229975A publication Critical patent/JPH06229975A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3036282B2 publication Critical patent/JP3036282B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Oxygen Concentration In Cells (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はヒータ付き酸素濃度セン
サに係り、特に内燃機関から排出される排気ガス中の酸
素濃度を検出するヒータ付き酸素濃度センサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年では、環境保護等の観点から車載用
内燃機関から大気中に排出される排気ガスは、所定の排
気ガス規制を満足することが要求されている。このため
には、内燃機関から排出された直後の排気ガス中に含ま
れる一酸化炭素COや炭化水素HC等の未燃成分、若し
くは窒素酸化物NOx等に代表される酸化物を有効に除
去する必要がある。
【0003】このような要求を満たすため、一般に車載
用内燃機関の排気系には三元触媒を包含してなる触媒コ
ンバータが配置されている。ここで三元触媒は、排気ガ
ス中の酸素を適宜吸着または放出してCOやHCを酸化
し、またはNOxを還元する作用を有する部材である。
そして、三元触媒の浄化能力は、供給される排気ガスが
理論空燃比付近の狭い範囲に維持されている場合にだけ
発揮される。
【0004】従って、触媒コンバータ通過後において良
好な排気エミッションを確保するためには、内燃機関か
ら触媒コンバータに流入する排気ガスを精度良く理論空
燃比付近に維持することが必要である。
【0005】この要求を満たすための一般的手法として
は、排気系内の内燃機関から触媒コンバータへ至る経路
中に酸素濃度センサを配設し、検出される酸素濃度を基
にフィードバック制御を行う手法が用いられている。つ
まり、触媒コンバータに流入する排気ガスを理論空燃比
とするように、内燃機関に供給する混合気の空燃比を制
御するものである。
【0006】ところが、従来より用いられている酸素濃
度センサは、常温領域では検出能力を発揮できず、内燃
機関の始動後排気ガスの熱により加熱され、所定の活性
化温度領域に達して始めて安定した検出能力を発揮し得
る状態となるものであった。従って、内燃機関の始動直
後において、または内燃機関が継続的に低負荷状態で運
転している場合等においては、酸素濃度センサが安定し
た検出能力を発揮することができない場合が生じてい
た。
【0007】特開昭57−52649号公報は、酸素濃
度センサにヒータを配し、酸素濃度センサの特性に基づ
くかかる弊害が発生する状況下では、強制的にセンサを
活性化温度領域に昇温させる装置を開示している。従っ
てこの装置によれば、内燃機関の始動後直ちに、また継
続的に低負荷運転が行われた際にも、酸素濃度センサか
ら安定した検出信号を得ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したよ
うに空燃比フィードバック制御に用いられる酸素濃度セ
ンサは、その構造上直接排気ガス中にさらされる部位に
配置されることとなる。従って、酸素濃度センサの表面
には、排気ガス中に含有される種々の物質が付着するこ
とになる。
【0009】ここで、排気ガス中には、燃料中に元来含
まれている有機物の他、オイル添加物の成分であるZn
やP、若しくはガソリン添加物であるK等の無機物が含
まれている。このため、酸素濃度センサの表面には、こ
れらZn,P,K等の酸化物が付着することになる。
【0010】ところが、これらZn,P,K等の酸化物
は、高温の状態から急冷されると、非晶質状態として固
体化し、酸素濃度センサの表面がガラス質の物質で覆わ
れた状態、すなわち酸素濃度センサの表面がコーティン
グされた状態となる。また、このように酸素濃度センサ
の表面がコーティングされた状態では、そのガラス質の
層で外気の進入が阻止され、当然に酸素濃度の測定が実
行できなくなる。
【0011】また、このような状態は、内燃機関が高温
の排気ガスを排出しながら運転している状態から停止し
た場合に発生する場合があり、上記従来の酸素濃度セン
サにおいては内燃機関停止時において起こり得る現象で
あった。このため、上記従来のヒータ付き酸素濃度セン
サを採用した場合においても、内燃機関が再始動された
後ガラス質の層が溶融するまでの間は結局安定した酸素
濃度を検出することができないという問題を有してい
た。
【0012】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、内燃機関の停止後において酸素濃度センサを徐
冷し、酸素濃度センサの表面に付着している無機酸化物
を結晶化させることにより、上記の課題を解決し得るヒ
ータ付き酸素濃度センサを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、雰囲気中
の酸素濃度に応じた信号を発する酸素濃度検出部を、内
燃機関から排出される排気ガスにさらされる部位に設置
してなる酸素濃度検出手段と、前記酸素濃度検出部を加
熱する加熱手段とを有するヒータ付き酸素濃度センサで
あって、内燃機関の停止状態を検出する停止状態検出手
段と、該停止状態検出手段により内燃機関が運転状態か
ら停止状態に移行したことが検出された場合、前記酸素
濃度検出部の温度を徐冷するように前記加熱手段を制御
する加熱制御手段とを備えるヒータ付き酸素濃度センサ
により達成される。
【0014】
【作用】本発明に係るヒータ付き酸素濃度センサにおい
て、前記酸素濃度検出部表面には、内燃機関の運転中に
Zn,P,K等の酸化物が付着する。かかる状態から内
燃機関が停止すると、その状態変化が前記停止状態検出
手段で検出され、次いで前記加熱制御手段による前記加
熱手段の徐冷制御が開始される。
【0015】このため、前記酸素濃度検出部の温度は内
燃機関の停止後急激に低下することがなく、その表面に
付着しているZn,P,K等の無機酸化物も徐々に温度
が低下することになる。このため、無機酸化物は前記酸
素濃度検出部の表面において結晶化し、ポーラスな構造
を有する多孔質層を形勢する。
【0016】
【実施例】図1は、本発明に係るヒータ付き酸素濃度セ
ンサの一実施例の構成を表す全体図を示す。以下、図1
を参照して本実施例の酸素濃度センサの構成について説
明するが、それに先立って本実施例のヒータ付き酸素濃
度センサの適用例について説明する。
【0017】図2は、本実施例のヒータ付き酸素濃度セ
ンサ(以下O2 センサと称す)を備える内燃機関、及び
その周辺装置の構成の一例を表す全体図を示す。
【0018】図2中、符号10は内燃機関を示してい
る。内燃機関10のシリンダヘッドには点火プラグ11
が配設され、そのシリンダ外壁には冷却水を流通させる
ウォータジャケット12が設けられている。このウォー
タジャケット12には、冷却水の水温を検出して水温に
応じたアナアログ信号を出力する水温センサ13が挿入
され、またウォータジャケット12の外壁には、内燃機
関10に発生する振動の周波数を基にノッキングを検出
するノックセンサ14が設けられている。
【0019】これら水温センサ13やノックセンサ14
の出力信号は、電子制御装置30に供給される。そし
て、電子制御装置30は、水温センサ13の検出値に基
づいて例えば燃料噴射量を、またノックセンサ14の検
出信号に基づいて点火プラグ11による点火時期等を公
知の手順に沿って演算する。
【0020】符号15は、内燃機関10の排気孔に連通
して設けられた排気マニホールドを示す。この排気マニ
ホールド15には、本実施例の要部であり、内燃機関か
ら排出される排気ガス中の酸素濃度を検出するO2 セン
サ16が設けられている。このO2 センサ16はヒータ
及び熱電対を備えており、電子制御装置30は、ヒータ
に所定の電流を通電することでセンサを昇温させること
ができると共に、その温度を熱電対によって検出するこ
とができる。
【0021】また、排気マニホールド15の下流側に
は、排気ガス中の未燃成分や窒素酸化物を浄化する触媒
コンバータ17が設けられている。従って、内燃機関1
0から排出される排気ガスの空燃比を後述の如く理論空
燃比付近で制御することができれば、大気中に放出され
る排気ガスは良好に浄化されることになる。
【0022】ここで、触媒コンバータ17には、排気温
センサ18が設置されている。この排気温センサ18
は、触媒コンバータ17を流通する時点における排気ガ
ス温度を検出し、検出値に応じた電気信号を電子制御装
置30に供給する。電子制御装置30はこの信号を基
に、触媒コンバータ17が過熱により破損しないよう必
要に応じて噴射する燃料を増量させて排気温を低下させ
る等公知の処理を行う。
【0023】符号19は内燃機関10の吸気孔に連通す
る吸気マニホールドを示す。この吸気マニホールド19
には、内燃機関10に供給される吸入空気の温度を検出
する吸気温センサ20、アクセルペダル(図示せず)と
連動して吸入空気量を調整するスロットルバルブ21、
スロットルバルブ21と連動してその開度を検出するス
ロットルポジションセンサ22、及び吸入空気の脈動を
吸収するサージタンク23が設けられている。ここで、
吸気温センサ20は吸気温に応じた信号を、スロットル
センサ22はスロットルバルブ21の開度に応じた信号
をそれぞれ電子制御装置30に出力している。
【0024】サージタンク23にはサージタンク23内
の圧力を測定するため吸気圧センサ24が連結されてい
る。この吸気圧センサ24は、サージタンク23内の圧
力、すなわち吸気マニホールド19中を流れる空気の圧
力に応じた電圧信号を電子制御装置30に供給する。
【0025】尚、サージタンク23内の圧力は吸入空気
量に対応した値を示す。つまり、スロットルバルブ21
の開度が小さく吸入空気量が少ない場合サージタンク2
3内の圧力は強い負圧となり、スロットルバルブ21が
開いて吸入空気量が増加するにつれてサージタンク23
内の圧力は大気圧に近づく。従って、吸気圧センサ24
から出力される電圧信号は、サージタンク23内の圧力
に応じた値であると共に、吸気マニホールド19内を流
れる空気量に対応した値となる。
【0026】従って電子制御装置30は、上記した水温
センサ13や、これら吸気温センサ20,スロットルポ
ジションセンサ22及び吸気圧センサ24等から供給さ
れる信号を基に吸入空気量を算出することが可能であ
り、算出した吸入空気量を基に、理論空燃比を実現し得
る燃料噴射量を演算している。
【0027】符号25は電子制御装置30により演算さ
れた量の燃料を各気筒の吸気マニホールド19内に供給
するインジェクタを示す。この場合において、インジェ
クタ25には図示されない燃料ポンプから所定の圧力で
燃料が供給されている。従って、インジェクタ25の燃
料噴射孔を開孔させると、その開孔時間に応じた燃料が
噴射されることになる。そして、燃料噴射孔の開閉デュ
ーティ比が変化すれば、それに伴って単位時間における
燃料噴射量も変化することになる。
【0028】そこで、電子制御装置30は、各種のセン
サから供給された信号を基に燃料噴射量を算出したら、
インジェクタ25においてその噴射量を実現し得る開孔
デューティ比を設定し、インジェクタ25の燃料噴射孔
をそのデューティ比で開孔させるべく駆動信号を供給す
る。
【0029】このようにして内燃機関10には、理論上
理論空燃比を実現し得る燃料が噴射される。そして、そ
の燃料により形勢された混合気が燃焼室内で燃焼し、排
気マニホールド15に排出された時点で、O2 センサ1
6によりその実際の空燃比が測定され、その測定値が電
子制御装置30に供給される。
【0030】電子制御装置30は、O2 センサ16から
供給された信号を基に燃料噴射量を補正し、混合気の空
燃比が理論空燃比を中心として所定周期で燃料リッチと
燃料リーンが切り替わるように制御する。この結果、触
媒コンバータ17に流入する排気ガスの空燃比は燃料リ
ッチと燃料リーンを繰り返すこととなり、三元触媒の酸
素吸着能力内で適切に酸素の吸着と放出とを繰り返させ
ることが可能となる。このため、触媒コンバータ17下
流にCOやHCの未燃成分、NOx等の酸化物が排出さ
れることがなく、良好な排気エミッションが確保され
る。
【0031】尚、図2中符号26は、図示されないクラ
ンクシャフトに連動して、電子制御装置30から供給さ
れる点火信号を各気筒の点火プラグ11に分配するディ
ストリビュータを示す。このディストリビュータ26に
は、クランクシャフトの回転と同期して所定のパルス信
号を出力するクランク角センサが設けられている。
【0032】そして、電子制御装置30は、このクラン
ク角センサから供給される信号に基づいて、燃焼圧が大
きく得られ、かつノッキングの発生しない点火時期を算
出して点火時期信号を発生している。
【0033】また、符号27は内燃機関10の動作状態
を表すイグニッションスイッチ(IGスイッチ)を示
す。電子制御装置30は、このIGスイッチの出力信号
を監視することにより内燃機関10の運転状態を判断す
る。すなわち、本実施例におけるIGスイッチ27は、
前記した停止状態検出手段の一要素を構成する。
【0034】以下、図1を参照してO2 センサ16の構
成について詳細に説明する。図1において符号31は、
前記した酸素濃度検出部に相当するセンサ素子を示す。
このセンサ素子31は、一方の面が接する雰囲気中の酸
素濃度と、他方の面が接する雰囲気中の酸素濃度との差
に応じた起電力を生じる材質、例えばジルコニア等を試
験管状に成形することにより構成している。
【0035】従って、このセンサ素子31においては、
その試験管形状の内部空間における酸素濃度と、試験管
形状の外部空間における酸素濃度との差に応じた起電力
が、センサ素子31の任意の2点間に生じることにな
る。ところで、本実施例におけるセンサ素子31は、ハ
ウジング32の開口部に試験管形状の先端側を挿入する
形で組付けられる。そして、ハウジング32の内壁とセ
ンサ素子31の外壁との間は、リングタルク33を用い
て密封する。
【0036】一方、ハウジング32は、O2 センサ16
を排気マニホールド15に固定するためのフランジ34
に設けられた開口部に密着している。従って、フランジ
34を排気マニホールド15に固定すると、センサ素子
31の先端部は排気マニホールド内に位置し、センサ素
子の開口部側は排気マニホールド15の外に位置するこ
ととなる。
【0037】尚、センサ素子31の先端部は、それぞれ
外気導入孔35a,36aを有する素子カバー35,3
6により覆う構成としている。これにより、センサ素子
31が排気マニホールド15中の雰囲気に晒される構成
が保たれたまま、組み付け・搬送時におけるセンサ素子
31の破損が有効に防止される構成となっている。
【0038】素子カバー36内部において、センサ素子
31には、その温度を測定するための熱電対37を貼付
している。そして、この熱電対37の他端を電子制御装
置30に結線し、センサ素子31の温度に応じた信号が
電子制御装置30に供給される構成としている。
【0039】センサ素子31及びハウジング32からな
るサブアッセンブリには、緩衝材としてインシュレータ
38を介し、筒状のハウジングカバー39及びダストカ
バー40を連結している。この場合において、ダストカ
バー40の内部にはO2 センサ16の駆動に必要な信号
線を安定保持するためのインシュレータ41を配設して
いる。
【0040】図1において信号線42,43は、センサ
素子31の開口部付近の2か所に結線される信号線であ
り、センサ素子31の内部空間における酸素濃度と外部
空間における酸素濃度との差に応じた電位差を電子制御
装置に供給するものである。ここで、本実施例のO2
ンサ16は、上記したようにセンサ素子31の外部空間
には排気マニホールド15内の雰囲気が導かれ、またセ
ンサ素子31の内部空間には大気が導かれる構成であ
る。
【0041】従って、内燃機関10が始動して排気マニ
ホールド15内に内燃機関10から排気ガスが排出され
る状況となると、信号線42,43の間には、排気ガス
中の酸素濃度と大気中の酸素濃度との差に応じた電圧が
発生することになる。また、大気中の酸素濃度はほぼ一
定である。このため、電子制御装置30では、信号線4
2,43の間に発生した電圧を基に排気ガス中の酸素濃
度を算出することが可能となる。
【0042】ところで、本実施例のセンサ素子31の内
部空間には、セラミックヒータ42を挿入している。こ
のセラミックヒータ44は前記した加熱手段に相当し、
センサ素子31の開口部側に設けられた2つの電極(図
1中、奥行き方向に並設)間に電流を通電されることに
より発熱し、センサ素子31を加熱する機能を有してい
る。
【0043】このため、電子制御装置30とO2 センサ
16との間には、上記した信号線42,43の他、セラ
ミックヒータ44を駆動するためのヒータ線45,46
が必要とされ、インシュレータ41には計4本の信号線
等42,43,45,46が保持されることとなる。
【0044】ところで、かかる構成のO2 センサ16に
おいては、センサ素子31が直接排気ガスに晒されるこ
ととなる。このため、センサ素子31の表面には排気ガ
ス中に含まれる種々の物質が付着することとなる。ここ
で、一般に排気ガス中には燃料の燃焼により当然に発生
するCO2 やH2 Oの他、オイルや燃料中に添加剤とし
て添加されているZn,P,K等の無機物質の酸化物が
存在している。
【0045】これらZn,P,Kの化合物は、有機物質
と異なり高温で燃焼消失することがなく、センサ素子3
1の表面に付着すると、高温(約400℃以上)下では
液化状態となって表面上に残留する。このように化合物
が液状である場合は、排気ガス中の酸素分子が化合物を
構成する各分子間を通過することができるため、センサ
素子31の酸素濃度検出精度には影響は生じない。
【0046】しかし、この化合物は液化状態から急冷さ
れると、図4に示すように構成分子が非晶質化すなわち
ガラス化する特性を有している。このため、例えば内燃
機関10が高温の排気ガスを排出していた状況から急に
停止されたような場合は、図3(C)に示すようにセン
サ素子31の表面に酸素分子が到達できない状況が生じ
る。
【0047】かかる状況が生じた場合、次回以降内燃機
関10が再始動された際には、センサ素子31の温度が
400℃を越える程度に昇温され、化合物が液化しない
限りO2 センサ16は正常に排気ガス中の酸素濃度を検
出することができないこととなる。従って、内燃機関1
0の始動直後における排気エミッションが悪化していま
うことになる。
【0048】ところが、センサ素子31の表面に残留す
るZn,P,Kの化合物は、液化状態から徐冷すると、
結晶質の物質として固体化する特性を有している。そし
て、この化合物が結晶化した場合は、図3(B)に示す
ように化合物がポーラスな状態となり、その構成分子間
を酸素分子が透過し得る状態が維持され、化合物の被覆
による弊害が解消されることになる。
【0049】そこで、本実施例においては、センサ素子
31に挿入したセラミックヒータ44を適宜制御して、
センサ素子31が急冷されることがないようにO2 セン
サ16の加熱制御を行うこととした。以下、図5,図6
を参照して本実施例における加熱制御動作について説明
する。
【0050】図5は、電子制御装置30が実行する加熱
制御処理ルーチンの一例のフローチャートを示す。
【0051】図5に示す処理が起動すると、先ずステッ
プ100を実行し、IGスイッチ27の出力信号を基
に、具体的には、今回の処理時においてIGスイッチが
オンからオフに切り替わったか否かにより、内燃機関1
0が停止状態に移行したか否かを判別する。内燃機関1
0が継続的に停止状態または運転状態であれば、O2
ンサ16の環境温度が大きく変化することはなく、セン
サ素子31が急冷することはないからである。
【0052】従って、内燃機関10が停止状態に移行し
たと判別された場合にのみステップ110へ進み、それ
以外に場合はそのまま今回の処理を終了する。ステップ
110では、その瞬間に熱電対37により検出されたセ
ンサ素子31の温度Tを、開始温度T0 として読み込
む。尚、内燃機関10が停止すると、それに伴ってセラ
ミックヒータ44への通電も停止されることになる。
【0053】この場合、この開始温度T0 は、図6
(A)において時刻t0 、すなわち図6(B)に示すよ
うにIGスイッチがオンからオフに切り替わった時刻に
おけるセンサ素子31の温度Tを表すことになる。
【0054】このようにして開始温度T0 を読み込んだ
ら、次にステップ120において開始温度T0 が所定の
判定温度X1 以上であるか否かを判別する。内燃機関1
0が停止した直後において、すでにセンサ素子31の温
度がある程度低温である場合は、その後の急冷を防止す
る必要がないからである。尚、本実施例においては、X
1 を350℃に設定している。
【0055】従って、T0 <X1 である場合はそのまま
今回の処理を終了し、T0 ≧X1 が成立している場合に
のみステップ130へと進む。ステップ130では、内
燃機関10が停止状態に移行した後の時間をカウント
し、所定時間tが経過するのを待つ。所定時間tの間セ
ンサ素子31を自然冷却させるためである。尚、本実施
例においてはtを5sec に設定している。
【0056】そして、所定時間tが経過したらステップ
140へ進み、その時点におけるセンサ温度Tを終了温
度T1 として記憶し、続くステップ150において開始
温度T0 と終了温度T1 との差が所定温度幅x1 以上で
あるか否かを判別する。ここで、T0 −T1 <x1 であ
る場合は、センサ素子31が自然冷却によって急冷しな
いことを意味する。
【0057】従って、T0 −T1 <x1 の場合には、何
らかの処置を講じるまでもなく、センサ素子31表面に
付着したZn,P,K等の化合物のガラス化は防止され
るこになる。このため、ステップ150においてT0
1 <x1 と判別された場合はそのまま処理を終了する
こととした。尚、上記のステップ150において自然冷
却により急冷が生じるか否かの判定値として用いるx1
は、実験的に求めた値であり、冷却速度が10℃/sec
を越えると化合物のガラス化が生じることに鑑みて20
℃に設定している。
【0058】これに対して、T0 −T1 ≧x1 が成立す
ると判別された場合は、センサ素子31を自然冷却させ
るとガラス状化合物が生成される危険があることを意味
している。このため、上記ステップ150においてT0
−T1 ≧x1 が成立した場合はステップ160へ進んで
セラミックヒータ44への通電をオンとして、ヒータ通
電後の温度T2 とヒータ通電直後のセンサ温度T1 との
温度差が所定の温度差x2 に達するまでヒータをオンに
維持することにより(ステップ170,180)一時的
にセンサ素子31の冷却を阻害する。
【0059】従って、図6(A)中の時刻t1 直後に見
られるように、センサ素子31の温度はその後上昇し、
自然冷却による冷却曲線(図6(A)中、一点鎖線で示
す曲線)から外れた温度変化を示すことになる。そし
て、T2 −T1 ≧x2 となった時点でセラミックヒータ
44への通電をオフとする(ステップ190)。
【0060】上記ステップ160〜190の処理を実行
することにより、センサ素子31の冷却速度は自然冷却
の場合に比べて緩慢となる。従って、本実施例において
は、センサ素子31の急冷によるガラス状物質の生成を
防止して、センサ素子31の表面に付着する化合物をポ
ーラスな状態に固体化させることができる。尚、本実施
例においては、x2 =5℃として急冷防止効果を確保し
ている。
【0061】ところで、このようにセンサ素子31を徐
冷させる処理は、センサ素子31表面に付着しているZ
n,P,K等からなる化合物が結晶化するまでの間実行
すれば十分である。
【0062】そこで、本実施例においては、上記ステッ
プ190においてヒータをオフとしたら、次いでステッ
プ200へ進み、その時点におけるセンサ素子31の温
度T 2 が所定の判定温度X2 以上であるか否かを判別す
る。そして、T2 がX2 より低温である場合は、もはや
センサ素子31の急冷による化合物のガラス化は起こり
得ないと判断して本ルーチン処理を終了する。
【0063】一方、T2 ≧X2 が成立する場合、すなわ
ち未だセンサ素子31が高温である場合は、センサ素子
31の徐冷処理を続行する必要がある。このため、かか
る場合には、ヒータ通電をオフとする直前のセンサ素子
31温度T2 を自然冷却の開始温度T0 として(ステッ
プ210)、以後上記ステップ130以下の処理を繰り
返し実行する。
【0064】そして、ステップ200においてT2 <X
2 が成立すると判別されるまでこの処理を繰り返し実行
する。このため、センサ素子31の温度がT2 未満とな
るまでは、自然冷却による急冷が防止されることとな
り、センサ素子31の表面がガラス状化合物で覆われて
しまうことがない。尚、本実施例における判定温度X2
は、Zn,P,Kの化合物が確実に結晶化する温度であ
る250℃に設定している。
【0065】従って、本実施例によれば、センサ素子3
1の表面を常時外気と流通した状態に維持することが可
能となり、従来の酸素濃度センサを用いた内燃機関と比
べて、再始動してから空燃比フィードバック制御が開始
できる状態となるまでに要する時間が著しく短縮される
こととなる。
【0066】ところで、図7は、内燃機関10が停止し
た後、比較的早期に再始動が行われた場合における内燃
機関10の温度変化(図7中、二点鎖線で示す曲線)、
本実施例のセンサ素子31の温度変化(図7中、実線で
示す曲線)、及び自然冷却した場合のセンサ素子31の
温度変化(図7中、一点鎖線で示す曲線)を示してい
る。
【0067】同図に示すように、内燃機関10を停止さ
せると内燃機関10の温度、及びセンサ素子31の温度
は共に降下を始める。そして、その熱容量の差に起因し
て、時間の経過と共に内燃機関10に比べてセンサ素子
31の温度が大幅に低下する。従って、内燃機関の停止
後自然冷却がなされる従来の酸素濃度センサを備える内
燃機関では、その停止後しばらくの間は、内燃機関の温
度とセンサ素子の温度との間に大きな隔たりが生じるこ
とになる。
【0068】このため、空燃比フィードバック制御の実
行領域を内燃機関の温度で設定する構成が採用されてい
ると、内燃機関の再始動直後において、センサ素子の温
度が活性温度領域未満で内燃機関がフィードバック開始
温度を越えているという事態において、O2 センサが発
する誤った空燃比信号に基づいてフィードバック制御が
実行されることになる。
【0069】これに対して、本実施例のO2 センサ16
においてはセンサ素子31が自然冷却されないため、内
燃機関10の停止後においても内燃機関10とセンサ素
子との間に大きな温度差が生じない。従って、内燃機関
10の停止後比較的早期に再始動が行われたとしても、
その後即座にセンサ素子31が活性化温度領域に達し、
排気エミッションの悪化は抑制されることになる。
【0070】このように、本実施例によれば、内燃機関
10が十分に冷却された後再始動される場合において良
好な空燃比フィードバック制御を実行できると共に、内
燃機関の停止後比較的早期に再始動される場合において
も、従来に比べて良好な空燃比フィードバック制御を実
行することができる。
【0071】尚、上記した実施例においては、O2 セン
サ16に熱電対を内蔵し、センサ素子31の温度を測定
しながらセラミックヒータ44への通電制御を行う構成
としたが、これに限るものではなく、センサ素子31の
急冷を確実に防止し得る通電制御が実行されればよい。
【0072】従って、例えば、寒冷地における冬季の環
境下において化合物のガラス化が生じない通電パターン
を予め設定し、常にその設定パターンに沿って通電制御
を行う構成としてもよい。この構成によれば、O2 セン
サ16の環境温度が比較的高温である場合には過剰な通
電が行われることとなるが、熱電対等によりセンサ素子
31の温度を測定する構成が不要となり、上記した実施
例に比べて簡易に実現することができる。
【0073】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、酸素濃度検
出部の急冷が防止され、内燃機関の動作時において酸素
濃度検出部表面に付着するZn,P,K等の化合物のガ
ラス化を防止することができる。従って、酸素濃度検出
部を取り巻く雰囲気中の酸素分子は常に、酸素濃度検出
部表面に到達することができる。
【0074】このため、本発明のヒータ付き酸素濃度セ
ンサによれば、内燃機関が再始動して、酸素濃度検出部
の温度が活性化温度領域に達すれば、その後良好な空燃
比フィードバック制御を実行し得る状態となる。従っ
て、内燃機関の再始動後、酸素濃度検出部表面のガラス
化した化合物が液化するまで適正な酸素濃度の測定がで
きなかった従来の酸素濃度センサに比べて空燃比フィー
ドバック制御を早期に開始することが可能となる。
【0075】更に、本発明のヒータ付き酸素濃度センサ
によれば、従来の酸素濃度センサを用いた場合と異な
り、内燃機関の停止後において内燃機関の温度と酸素濃
度センサの温度との差が大きく離れることはない。従っ
て、内燃機関が停止後比較的早期に再始動された場合に
おいて、酸素濃度センサだけが大幅に冷却されているこ
とがなく、速やかに空燃比フィードバック制御を実行す
ることができる。
【0076】このように、本発明のヒータ付き酸素濃度
センサは、広い条件下で適切な空燃比フィードバック制
御の実行を可能とすることにより、従来の酸素濃度セン
サに比べて内燃機関の排気エミッションを向上させるこ
とができるという特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るヒータ付き酸素濃度センサの一実
施例の構成を表す正面断面図である。
【図2】本発明に係るヒータ付き酸素濃度センサの一実
施例を備える内燃機関及びその周辺装置の構成を表す全
体図である。
【図3】本実施例の酸素濃度センサのセンサ素子表面に
付着する化合物の状態変化の様子を表す概念図である。
【図4】本実施例の酸素濃度センサのセンサ素子の表面
に付着する化合物の非晶質状態の分子構造モデル図であ
る。
【図5】本実施例の電子制御装置が実行するセラミック
ヒータの通電制御処理の一例のフローチャートである。
【図6】本実施例のヒータ付き酸素濃度センサの温度変
化の様子を表すタイムチャートである。
【図7】内燃機関停止後における内燃機関及び酸素濃度
センサの温度変化の様子を表す図である。
【符号の説明】
10 内燃機関 16 ヒータ付き酸素濃度センサ(O2 センサ) 17 触媒コンバータ 27 イグニッションスイッチ(IGスイッチ) 30 電子制御装置 31 センサ素子 37 熱電対 42,43 信号線 44 セラミックヒータ 45,46 ヒータ線

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雰囲気中の酸素濃度に応じた信号を発す
    る酸素濃度検出部を、内燃機関から排出される排気ガス
    にさらされる部位に設置してなる酸素濃度検出手段と、
    前記酸素濃度検出部を加熱する加熱手段とを有するヒー
    タ付き酸素濃度センサであって、 内燃機関の停止状態を検出する停止状態検出手段と、 該停止状態検出手段により内燃機関が運転状態から停止
    状態に移行したことが検出された場合、前記酸素濃度検
    出部の温度を徐冷するように前記加熱手段を制御する加
    熱制御手段とを備えることを特徴とするヒータ付き酸素
    濃度センサ。
JP5020169A 1993-02-08 1993-02-08 ヒータ付き酸素濃度センサ Expired - Lifetime JP3036282B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5020169A JP3036282B2 (ja) 1993-02-08 1993-02-08 ヒータ付き酸素濃度センサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5020169A JP3036282B2 (ja) 1993-02-08 1993-02-08 ヒータ付き酸素濃度センサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06229975A JPH06229975A (ja) 1994-08-19
JP3036282B2 true JP3036282B2 (ja) 2000-04-24

Family

ID=12019672

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5020169A Expired - Lifetime JP3036282B2 (ja) 1993-02-08 1993-02-08 ヒータ付き酸素濃度センサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3036282B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6463378A (en) * 1986-08-11 1989-03-09 Mitsui Toatsu Chemicals Separation of single stranded tpa and double standard tpa

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06229975A (ja) 1994-08-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8060294B2 (en) Control device of oxygen sensor for automotive vehicle, and air-fuel ratio controller and automotive vehicle incorporating the same
JPH09189679A (ja) ガス成分センサと該ガス成分検出方法、触媒診断装置、エンジン制御装置、及び、燃料ガス漏洩検知装置
JPH05202785A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JPS6388244A (ja) 空燃比制御装置
JPH08296429A (ja) 内燃エンジンの排気ガス浄化装置
EP1288457B1 (en) Temperature control system for humidity sensor
US5036820A (en) Method of determining activation of an exhaust gas concentration sensor equipped with a heater
JP3036282B2 (ja) ヒータ付き酸素濃度センサ
JPH07259614A (ja) 内燃エンジンの空燃比制御装置
JP2010209799A (ja) ヒータ付センサのヒータ制御装置
JP2775676B2 (ja) 内燃機関の燃料供給制御装置
JP3743577B2 (ja) 内燃エンジンの空燃比制御装置
JP3990902B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP4170167B2 (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JPH10111269A (ja) 酸素濃度検出装置
JP2005002974A (ja) 排気ガスセンサのヒータ制御装置
JP3593912B2 (ja) 空燃比センサのヒータ制御装置
JP2004316553A (ja) 空燃比センサの制御装置
KR101308762B1 (ko) 내연기관용 산소센서
JP2600740B2 (ja) 空燃比制御装置
JPH06159217A (ja) 点火プラグ装置
JP2000205010A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JPH0682416A (ja) 酸素センサの制御装置
JP2004353494A (ja) 空燃比検出装置及び空燃比制御装置
JPH0988689A (ja) 内燃エンジンの空燃比制御装置