JPH06159217A - 点火プラグ装置 - Google Patents

点火プラグ装置

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JPH06159217A
JPH06159217A JP31538292A JP31538292A JPH06159217A JP H06159217 A JPH06159217 A JP H06159217A JP 31538292 A JP31538292 A JP 31538292A JP 31538292 A JP31538292 A JP 31538292A JP H06159217 A JPH06159217 A JP H06159217A
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JP
Japan
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spark plug
internal combustion
combustion engine
ignition
high frequency
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Application number
JP31538292A
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English (en)
Inventor
Makoto Ueno
真 上野
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は点火プラグを所定の運転状態下で過
熱して点火性を向上させる点火プラグ装置にに関し、良
好な応答性の下に電極を加熱することを目的とする。 【構成】 内燃機関に配設される点火プラグ10の接地
電極12及び中心電極15に、点火プラグ10の軸方向
の磁界を印加し得る部位に、高周波誘導コイル18を設
ける。所定の運転状態下で、高周波誘導コイル18のリ
ード18a,18bに、高周波電流を印加して、接地電
極12及び中心電極15に、うず電流損及びヒステリシ
ス損に起因する熱を発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は点火プラグ装置に係り、
特に内燃機関に配設された点火プラグを所定の運転状態
下で過熱して、点火プラグの点火性を向上させる点火プ
ラグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関の始動性を向上させ
るため、始動時に点火プラグを加熱して点火プラグの放
電性の向上を図る装置が知られている。例えば、実開昭
62−154号公報は図13に示すように、点火プラグ
1の端子2周辺に電熱線3からなるヒータ4を配設し、
内燃機関の始動時において点火プラグ1を加熱する装置
を開示している。
【0003】図13においてトランジスタ5は、コント
ロールユニット6から供給される駆動信号に基づいて、
電熱線3に流れる電流を制御する。また、コントロール
ユニット6は、内燃機関がクランキングを開始すると、
それを検知してトランジスタ5に駆動信号を供給する。
従って、上記公報記載の装置によればクランキングが開
始されると同時に点火プラグ1の加熱が開始されること
になる。
【0004】ところで、内燃機関の始動性は、内燃機関
の温度が低いほど悪化することが知られている。これ
は、内燃機関が低温であるほど燃焼室に供給される燃料
が気化し難くなることに起因している。そして、冷間始
動時のように燃料の気化性が特に悪い場合には、燃焼室
内の混合気の着火性が悪化するばかりでなく、気化でき
ずに液体のまま存在する燃料が点火プラグ1の電極7に
付着して正常な火花の発生が妨げられる場合がある。
【0005】ところが、上記公報記載の装置を備えた内
燃機関では、上記したようにクランキングが開始される
と同時に点火プラグ1が加熱され始める。このため、電
極7付近の温度がクランキング開始後徐々に上昇し、電
極7に付着している燃料を気化させることになる。これ
により冷間始動時においても正常な火花の確保が可能と
なり、内燃機関の始動性が向上する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の装
置においては、ヒータ4で発生した熱が点火プラグ1の
絶縁ガイシ等を伝導して電極7に達して始めて電極7が
加熱される構成であり、電極7を加熱するためには点火
プラグ1全体を加熱する必要がある。従って、ヒータ4
の電熱線3に通電を開始してから電極7が昇温するまで
の応答性が悪く、内燃機関の始動時において、点火プラ
グ1の昇温により発火不良が解消されるまでの間はクラ
ンキング状態を維持しなければならないという問題を有
していた。
【0007】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、点火プラグに高周波磁界を印加して高周波誘導
により電極だけを加熱することにより、良好な応答性の
下に電極を加熱し得る点火プラグ装置を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、所定の運
転状態の下で内燃機関に配設された点火プラグを過熱
し、該点火プラグの点火性を向上させる点火プラグ装置
であって、前記点火プラグの中心電極及び接地電極に前
記点火プラグの軸方向の磁界を印加し得るように配設さ
れた高周波誘導コイルと、前記内燃機関が所定の運転状
態となった場合に前記高周波誘導コイルに所定の高周波
電流を通電する高周波電流通電手段とを備える点火プラ
グ装置により解決される。
【0009】
【作用】本発明に係る点火プラグ装置において、前記高
周波コイルは、前記高周波電流通電手段から高周波電流
が供給された場合、前記点火プラグの電極に高周波磁界
を印加する。
【0010】前記点火プラグの電極に高周波磁界が印加
されると、前記電極の表面に高周波磁界に対応した渦電
流が発生すると共に、前記電極の磁性に起因するヒステ
リシス損が生じる。このように、前記高周波コイルから
発せられた高周波磁界のエネルギは、一部が電極におけ
る渦電流損及びヒステリシス損に変換される。
【0011】一方、前記点火プラグの絶縁ガイシは、非
磁性体であるため高周波磁界が印加されてもなんらその
影響を受けず、高周波磁界により加熱されることはな
い。従って、前記高周波コイルから発せられる高周波磁
界は、前記点火プラグのうち電極だけを加熱する。
【0012】
【実施例】図1は、本発明に係る点火プラグ装置の一実
施例の要部を構成する点火プラグ10の構成を表す正面
断面図を示す。以下、図1を参照して本実施例の点火プ
ラグの構成について説明する。
【0013】図1中、符号11は点火プラグ10のケー
スを示し、上部にはナット部11aを備え、下部にはネ
ジ部11b及び接地電極12を備えている。ケース11
及び接地電極12は共に磁性体で構成され、溶接により
又は一体成形により一体不可分に構成されている。
【0014】また、符号13はガスケットを示す。この
ガスケット13は点火プラグ10を内燃機関のシリンダ
ヘッド(図示せず)に配設した際にケース11とシリン
ダヘッドとの間に介在してシリンダの気密を保持する。
ケース11内部には絶縁ガイシ14を介して、ニッケル
合金製の中心電極15,カーボン抵抗16及びターミナ
ル17が固定保持されている。
【0015】尚、これら中心電極15,カーボン抵抗1
6及びターミナル17は互いに電気的に接続されてお
り、ターミナル17に所定の電圧が印加されると、シリ
ンダヘッドを介して接地されている接地電極12と中心
電極15との間に、点火用火花に相当する放電が生じ
る。
【0016】符号18は本実施例の要部である高周波誘
導コイルを示す。この高周波誘導コイル18は絶縁リン
グ19を介してケース11の外周上に配設される。従っ
て、高周波コイル18のリード18a,18bに高周波
電流を通電すると、高周波誘導コイル18の内側に位置
するケース11,接地電極12及び中心電極15等に
は、高周波で軸方向の向きを反転させる磁界が印加され
ることになる。
【0017】このような磁界が印加されると、中心電極
15の先端部及び接地電極12には電磁誘導作用により
うず電流が生じ、うず電流損に起因した熱が発生する。
更に、上記したように中心電極15は強磁性体であるニ
ッケル合金製であり、高周波磁界が印加されるとヒステ
リシス損に起因した熱をも発生する。
【0018】ここで、うず電流損やヒステリシス損は、
磁性体に印加される磁界の変化に伴って即座に発生する
ものである。従って、高周波誘導コイル18により高周
波磁界が印加された場合、接地電極12及び中心電極1
5は即座に発熱を開始し、良好な応答性の下に昇温し始
めることになる。
【0019】一方、ケース11や中心電極18と同様に
高周波誘導コイル18の内側に位置する絶縁ガイシ14
についても、同様に高周波磁界が印加される。しかし、
絶縁ガイシ14は優れた絶縁性を備えた非磁性体である
ため、表面にうず電流が生じることも、また磁化される
こともない。従って、絶縁ガイシ18がうず電流損やヒ
ステリシス損により発熱することはなく、高周波磁界が
印加されることにより昇温することはない。
【0020】このように、本実施例の点火プラグ10に
よれば、高周波誘導コイル18に高周波電流を通電した
際に出力される高周波磁界のエネルギは、熱容量の小さ
な中心電極15及び接地電極12等の誘導加熱(IH:
インダクションヒーティング)にだけ使用され、熱容量
の大きな絶縁ガイシ14に消費されることはない。
【0021】更に、絶縁ガイシ14は高周波磁界のエネ
ルギを消費しないばかりか断熱材として中心電極15を
保温する作用を発揮する。このため、本実施例の点火プ
ラグ10の接地電極12及び中心電極15は、高周波電
流の通電開始に対して良好な加熱応答性を示す。
【0022】図2は、本実施例の点火プラグ装置を備え
た内燃機関の一例及びその周辺装置の構成図を示す。以
下同図を参照して本実施例の点火プラグ装置を組み込ん
だシステム例の構成について説明する。
【0023】図2中、符号20は本実施例の点火プラグ
装置を備える内燃機関を、符号21は内燃機関のシリン
ダヘッドを示している。シリンダヘッド21には上記し
た点火プラグ10が配設され、シリンダ22には内燃機
関冷却水の水温を検出する水温センサ23が設けられて
いる。この水温センサ23は内燃機関冷却水に応じたア
ナログ信号を出力し、その信号を後述の電子制御回路4
0に供給している。
【0024】符号24は内燃機関の排気孔に連通して設
けられ、排気系に相当する排気マニホールドを示す。こ
の排気マニホールド24には、排気ガス中の酸素濃度か
ら内燃機関に供給された混合気の空燃比を検出する空燃
比センサ25が設けられている。
【0025】符号26は内燃機関の吸気孔に連通する吸
気ダクトを示す。この吸気ダクト26には、吸入空気量
に応じた電圧信号を出力するエアフロメータ27、アク
セルペダル(図示せず)と連動して吸入空気量を調整す
るスロットルバルブ28、スロットルバルブ28に連動
し、その開度を検出するスロットルセンサ29、及び吸
入空気の脈動を吸収するサージタンク30が設けられて
いる。ここで、エアフロメータ27及びスロットルセン
サ29はスロットルバルブ28の開度に応じた信号をそ
れぞれ電子制御回路40に出力している。
【0026】符号31は燃料を吸気ダクト26中に供給
するインジェクタを示す。このインジェクタ31には周
知の燃料系統(図示せず)から所定の圧力で燃料が供給
されている。そして、電子制御回路40から供給される
電気信号に応じて燃料噴射孔を開閉する。この際、イン
ジェクタ31の燃料噴射孔からは、開孔時間に応じた燃
料が間欠的に噴射され、燃料噴射孔の開閉デューティ比
を変えることにより所定時間毎に噴射される燃料の量を
変更することができる。
【0027】図2中符号32は、内燃機関の点火に必要
な高電圧を出力するイグナイタを示す。このイグナイタ
32は、電子制御回路40から点火信号が供給される
と、そのタイミングでディストリビュータ33に高電圧
を供給する。ディストリビュータ33は図示されないク
ランクシャフトに連動して、イグナイタ32から供給さ
れた高電圧を各気筒の点火プラグ10に分配する。
【0028】尚、ディストリビュータ33には、クラン
クシャフトが2回転(内燃機関1サイクル)する間に所
定回数(例えば24回)のパルス信号を出力し、電子制
御回路40に対してクランクシャフトの回転角データを
供給するクランク角センサ34と、クランクシャフトが
2回転する間に1回のパルス信号を出力し、点火すべき
気筒データを供給するクランク角センサ35とが設けら
れている。
【0029】そして、電子制御回路40はこれらクラン
ク角センサ34,35から供給される信号に基づいて点
火時期を算出して、算出された時期に合わせてイグナイ
タ32に上記した点火信号を供給している。
【0030】符号36は、内燃機関のイグニッションス
イッチ(IGスイッチ)を示し、内燃機関が運転中であ
れば、電子制御回路40に対して常にオン信号を供給す
る。従って、IGスイッチ36の出力信号がオフからオ
ンに切り替わった場合、その後内燃機関始動のためのク
ランキングが開始されることが予想される。
【0031】また、高周波電流発生回路37は、電子制
御回路40から通電指令信号が供給された場合、所定の
高周波電流を点火プラグ10の高周波誘導コイル18に
通電する回路で、本実施例においては例えば500Hz
程度の周波数の電流を出力する。電子制御回路40は、
上記した各種センサ等から供給される信号に基づいて内
燃機関の運転状態を検出し、点火プラグ10の発火性を
向上させる必要があると判断したときに、高周波電流発
生回路に対して通電指令信号を送信する。
【0032】次に、電子制御回路40の構成を図3に示
す構成図に基づいて説明する。
【0033】図3において、符号41は固定データ及び
各種プログラムが格納されるリードオンリメモリ(RO
M)、42は各種データの読みだし及び書き込みを行う
ランダムアクセスメモリ(RAM)、そして43はRO
M41に格納されているプログラムに基づいて各種の演
算処理を行う中央処理装置(CPU)を示す。
【0034】また符号44,45は入出力ポート、46
〜48は出力ポート、49はマルチプレクサ50により
取り込まれたアナログ信号をディジタル化するA/D変
換器を、また51はクランク角センサ34,35からの
パルス状の信号を整形する整形回路、52〜54は出力
ポート46〜48から出力される信号を所定のレベルま
で増幅する駆動回路を示す。
【0035】符号55〜58はそれぞれ、水温センサ2
3,エアフロメータ27,スロットルセンサ29,空燃
比センサ25の検出信号を増幅するバッファアンプを示
す。また59はバッファアンプ58の出力を波形整形す
るコンパレータを示す。
【0036】上記の入出力ポート44,45及び出力ポ
ート46〜48は、共通バス60を介してROM41,
RAM42,CPU43と接続されており、この共通バ
ス60を介してデータ及び命令の転送が行われる。
【0037】水温センサ23,エアフロメータ27,ス
ロットルセンサ29から電子制御回路40に供給される
アナログ信号は、バファアンプ55〜57で増幅された
後マルチプレクサ50を介してそれぞれA/D変換器4
9に送り込まれる。そして、これらのデータはA/D変
換器49においてディジタル信号化された後、CPU4
3の指令に応じてRAM42に格納される。
【0038】空燃比センサ25からは、排気ガス中の酸
素濃度に応じて高レベルまたは低レベルの電圧信号が出
力される。コンパレータ59はこの電圧信号を基準電圧
と比較することにより2値化し、ディジタル信号として
入出力ポート45に供給する。尚、この信号は内燃機関
に供給されている混合気の空燃比が燃料リッチである
か、燃料リーンであるかを表している。
【0039】クランク角センサ34,35からの信号は
整形回路51で矩形波に整形される。従って、クランク
角センサ34,35から発せられる信号は、図示されな
いクランクシャフトの回転速度に応じた周期の矩形信号
として入出力ポート45に送り込まれる。また、入出力
ポート45には更にIGスイッチ36のオンオフ信号が
供給されている。
【0040】出力ポート46は、上記した各種センサ等
の出力信号に基づいて検出された内燃機関の運転状態
が、所定の運転状態である場合にCPU43から出力さ
れる通電信号を駆動回路52を介して高周波電流発生回
路37に供給する。
【0041】また、出力ポート47はインジェクタ制御
回路を内蔵しており、CPU43から送り込まれる噴射
パルスのデューティ比に関する2値化データからそのデ
ューティ比を実現するパルス信号を形成して駆動回路5
3に出力する。駆動回路53は出力ポート47から供給
されたパルス信号を増幅して各気筒に配設されているイ
ンジェクタ31に送り込みこれらを駆動する。これによ
り各インジェクタから各吸気ダクト26内に燃料噴射信
号のパルス幅に応じた燃料が供給され、所望の空燃比が
実現される。
【0042】更に、出力ポート48は、クランク角セン
サ34,35の出力信号に基づいて内燃機関を構成する
何れかの気筒が点火時期であると判断された場合に、C
PU43から供給される点火信号を、駆動回路54を介
してイグナイタ32に向けて出力する。
【0043】そして、ROM41内には、メインルーチ
ンのプログラム、燃料噴射量算出用サブルーチンとして
公知のプログラム、始動直後における触媒暖機制御用サ
ブルーチンとして公知の遅角制御プログラム及び燃料噴
射量補正プログラム、そして点火プラグ10の誘導加熱
を行う際の条件である所定の運転状態を検出するサブル
ーチンのプログラム、及びこれらの演算に必要な種々の
データやマップが格納されている。
【0044】以下、図4〜図9を参照して上記図2及び
図3に示すシステムの動作について説明する。
【0045】本実施例においては内燃機関の始動時に点
火プラグの誘導加熱が実行されるように設定されてい
る。すなわち、電子制御回路40においてIGスイッチ
36がオフからオンに切り替わったと判別された場合
に、点火コイル10の誘導加熱が行われる。
【0046】図4は、上記システムを構成する内燃機関
の始動直後において、点火プラグ10の誘導加熱に併せ
て公知の触媒暖機制御が実行された場合の動作を説明す
るためのタイムチャートを示す。
【0047】ところで、通常の場合内燃機関の始動時に
おいては、排気通路中に設けられた三元触媒は低温であ
る。この三元触媒は排気ガス中に存在するHC,CO等
の未燃成分、またはNOX 等の酸化物を浄化して良好な
排気エミッションを確保するために設けられている。
【0048】しかし、三元触媒が良好な浄化作用を発揮
するのは、触媒温度が一定の活性温度領域に達している
ことが前提となり、内燃機関の始動直後のように三元触
媒がその温度に達していない場合には、良好な浄化作用
が望めず未燃成分等が大気中に放出されてしまう。この
ようにして放出される未燃成分等を低減するためには内
燃機関の始動後、速やかに三元触媒の温度を活性温度領
域にまで昇温させる必要がある。
【0049】そこで、内燃機関の始動直後においては、
いわゆる触媒暖機制御が広く行われている。この触媒暖
機制御は、爆発工程における点火時期が遅くなるに従っ
て排気ガスの温度が高くなることに着目したもので、点
火時期を遅角制御することにより内燃機関が始動直後に
おいてできるだけ高温の排気ガスは排出させようとする
ものである。
【0050】このため、図4中に実線で示すように、ス
タータスイッチがオンとなっている間(時刻t1
2 )すなわちクランキング期間は、着火し易い上死点
前(BTDC)に点火時期を設定し、始動が確認された
らその後徐々に上死点後(ATDC)の所定の時期に向
けて点火時期の遅角制御が行われる。そして、所定の時
間遅角状態で保持することにより、三元触媒をいち早く
活性化温度領域に到達させ、その後遅角制御を終了す
る。
【0051】しかし、このような触媒暖機制御を行って
も、クランキング中においては混合気がそのまま排気さ
れることになる。このため、クランキング中における混
合気の燃費はできるだけ燃料リーンに設定することが望
ましい。しかし、図5中に実線で示すように、混合気の
空燃比を燃料リーンとするとこれと共にクランキング期
間も長期化し、結局のところ多量の未燃成分等が大気中
に放出されることになる。
【0052】ところが、本実施例においては図4中に破
線で示すように、時刻t0 においてIGスイッチがオン
となると、それと共に高周波誘導コイルの通電が開始さ
れ、点火プラグ10の誘導加熱が開始される。これによ
り、上記したように点火プラグ10の接地電極12及び
中心電極15は即座に昇温し、クランキング中であるに
もかかわらず接地電極12と中心電極15とのギャップ
には十分なエネルギを有する火花が発生する。
【0053】このため図5中に破線で示すように、誘導
加熱がなされない場合に比べて燃料の希薄化、クランキ
ング期間の短縮化が可能となる。従って、従来の装置に
比べてクランキング中に大気中に排出される未燃成分等
の量を大幅に削減することが可能となる。
【0054】また、上記の触媒暖機制御においては点火
時期を遅角するほど排気ガスが高温となり、三元触媒を
早期に活性温度領域に到達させることができる。一方、
排気ガスの温度は混合気の空燃比によっても変化し、空
燃比が燃料リーンとなるに従って高温となることが知ら
れている。
【0055】しかしながら、図6に示すように暖機運転
を持続することのできる領域は、点火時期及び混合気の
空燃比により制約され、点火時期を遅く、かつ空燃比を
燃料リーンに設定することができない。また、触媒暖機
制御中における未燃成分等の排出量を所定レベルに抑制
するためには、空燃比を無制限にリッチ化することもで
きない。このため、遅角可能範囲がおのずと限定され、
より早期に触媒を暖機したいとする要求に応えることが
できなかった。
【0056】ところが、本実施例においては図4に示す
ように触媒暖機制御実行中においても高周波コイルの誘
導加熱が実行されている。このため図6に破線で示すよ
うに暖機運転持続領域が拡大され、誘導加熱機構を備え
ていない従来のシステムに比べて遅角幅を大きく確保す
ることができる。従って、三元触媒が活性化温度領域に
達するまでに要する時間が短縮され、より早期に良好な
排気エミッションを確保することが可能となる。
【0057】また、始動直後の内燃機関においては、点
火プラグ10の温度が十分に上がっていないばかりでな
く、吸気ポート付近等の温度も十分に上昇していない。
このため、燃料の気化量にバラツキが生じ易く運転状態
が不安定となり、点火時期が急激に変化したような場合
には失火が発生する場合がある。
【0058】このような失火を防止するため、通常触媒
暖機制御においては図7中に実線で示すように、点火時
期の変化量及び混合気の空燃比から暖機運転持続領域を
定め、点火時期を過渡的に変化させる場合にはこの領域
から外れないような変化量で点火時期を変化させてい
る。
【0059】一方、本実施例においては、上記したよう
に点火コイル10を誘導加熱することにより暖機運転中
においても高エネルギが火花が確保されているため、点
火時期の変化量に対する暖機運転持続領域も拡大してい
る。このため、従来の装置に比べて過渡的に点火時期を
変化させる際の変化量を大きくとることができ、結果的
に触媒暖機制御を短期化することが可能となる。
【0060】このように、内燃機関の始動時において点
火コイルを誘導加熱すると、瞬時に接地電極12及び中
心電極15が加熱され、燃料による濡れ等が即座に解消
されるため、内燃機関の始動直後にもかかわらず十分は
エネルギを有する火花を確保することが可能となり、始
動性が向上するのみならず、触媒暖機制御の効果がより
高まり排気エミッションもが向上する。
【0061】図8は本実施例において点火プラグ10が
誘導加熱される第2のモードである加速時における効果
を説明するための図を示す。
【0062】一般に内燃機関においては、図8に示すよ
うに空燃比を燃料リッチとするほど加速立ち上がり時間
が早くなる。このため、良好な加速性を得ようとする場
合、加速の際に混合気を燃料リッチとする構成が採られ
ている。ところが、このように加速時において混合気を
燃料リッチとする構成では、燃費が悪化すると共に加速
時において良好な排気エミッションを確保することが困
難である。
【0063】一方、本実施例の点火プラグ装置において
は、従来の点火プラグ装置と異なり高周波誘導コイルに
通電を開始してから中心電極15等が加熱されるまでに
ほとんど時間を要せず、内燃機関の運転状況の変化に対
しても十分に対応することのできる応答性を有してい
る。
【0064】また、図8に破線で示すように誘導加熱に
より点火コイル10を加熱すると、加熱しない場合(図
8中、実線)に比べてより燃料リーンな空燃比で同等な
加速立ち上がり時間を確保することが可能となる。中心
電極15等が加熱されることにより、火花を発生させる
のに必要な要求電圧が低下し、結果的に高いエネルギを
有する火花が発生するからである。
【0065】そこで、本実施例においては、内燃機関の
始動時のみならず、スロットルセンサ29から出力され
る信号から加速状態であることを検出した場合にも点火
プラグ10を誘導加熱することとしている。この結果、
本実施例の点火プラグ装置を備える内燃機関において
は、加速時においても良好な排気エミッションを確保す
ること可能となる。
【0066】図9は、本実施例の点火プラグ装置を、低
負荷運転時における内燃機関の安定化のために適用した
際の高周波電流の通電方法の例を示す図を示す。
【0067】一般に内燃機関が高負荷状態で運転してい
る場合は、燃料噴射量も多く、また内燃機関が十分に高
温に保持されることからその運転状態は安定する。しか
し、内燃機関が低負荷状態で運転している場合は、燃料
噴射量が少なく、また点火プラグ10が十分に加熱され
るほど内燃機関が高温とならないためその運転状態が不
安定化する。
【0068】そこで、本実施例においてはエアフロメー
タ27及びクランク角センサ34または35から出力さ
れる信号を監視し、それらの信号から内燃機関の負荷状
態を検出すると共に、内燃機関の負荷状態に応じて点火
プラグ10を適切な温度に保つため、デューティ制御に
よる誘導加熱を行っている。
【0069】図9は、このデューティ制御による誘導加
熱を行う際のマップを示しており、内燃機関の負荷状態
及び回転数が低いほど、すなわち、点火プラグ10の温
度が低下する領域ほど高周波電流の通電時間が長くなる
ことを表している。従って、本実施例においては内燃機
関が低負荷で運転している場合であっても十分なエネル
ギをもった火花が確保でき、良好な操安性の確保が可能
となる。
【0070】従って、内燃機関が低負荷状態で運転して
いる場合、すなわち、高出力が要求されていない場合に
おいては、従来に比べて混合気の空燃比をリーン化する
ことも可能となる。従って、上記のデューティ制御によ
る点火プラグ10の誘導加熱を行うと共に低負荷時にお
ける空燃比のリーン化を図ることにより燃費向上が可能
となる。
【0071】尚、この際、空燃比のリーン化により発生
するNOX 等の酸化物は、公知の排気還流装置により排
気ガスを吸気ダクト26内に還流させることにより排出
を抑制することができる。
【0072】図10は、本発明に係る点火プラグ装置に
使用する点火プラグの他の実施例の構成を示す正面断面
図を示す。尚、図10において図1と同一の構成部分に
ついては同一の符号を付している。
【0073】上記の点火プラグ10においては、高周波
誘導コイル18は、ケース11の外部に配設している
が、これに限るものではなく、中心電極15及び接地電
極12に点火プラグ10の軸方向の磁界が印加される構
成であればよい。例えば図10に示すように、高周波誘
導コイル78を中心電極15の周囲であってケース71
の内部に収納する構成としてもよい。尚、この場合には
ケース71に切り欠き72,73を設けて、リード18
a,18bをこれらの切り欠き72,73から引き出す
ことを要する。
【0074】図11は、上記図10に示す点火プラグ7
0をシリンダヘッド21に組み付けて実際に使用する際
の配線例を表す正面断面図である。尚、図11において
図10と同一の構成部分については同一の符号を付して
その説明を省略する。
【0075】図11(A)において81はプラグキャッ
プを示し、ディストリビュータ33から通じるレジステ
ィブコード82及びその被服83を固定保持している。
レジスティブコード81に先端には、点火プラグ70の
ターミナル17と係合し、ターミナルとレジスティブコ
ード82とを電気的に接続するクランプ84が設けられ
ている。従って、プラグキャップ81を点火プラグ70
に差し込むことにより、レジスティブコード81とター
ミナル17とは導通することになる。
【0076】また、図11(A)の拡大図である図11
(B)に示すように、高周波誘導コイル78の一方のリ
ード18bはスプリングワッシャ85を介してケース7
1に接続されている。ケース71は電源アースと等圧の
シリンダヘッド21に組付けられるため、リード18b
は電源アースと電気的に接続されることになる。
【0077】また、高周波誘導コイル78の他方のリー
ド18aは、絶縁外資14の周囲に巻き付けられたリン
グ86に接続する。このリング86は、リード18aと
接続する一方で、プラグキャップ81が組付けられた状
態ではスリップリード87と接触する。また、このスリ
ップリード87は高周波電流発生回路37から通じるリ
ード線88と接続された状態でプラグキャップ81に固
定保持されている。
【0078】このため、プラグキャップ81が、点火プ
ラグ70に差し込まれた状態ではリード線88を介し
て、高周波電流発生回路と高周波誘導コイル78のリー
ド18aとが電気的に接続した状態となる。従って、高
周波電流発生回路が高周波電流を発生した場合、その電
流は高周波誘導コイル78を通って電源アースへと流れ
ることになる。
【0079】ここで、図11においては、高周波誘導コ
イル78の一方のリード18bとケース71との接続
を、スプリングワッシャ85を介して行う構成とした
が、これに限るものではなく、例えば図12に示すよう
に、リード18bとケース71とを溶接で接合する構成
としてもよい。この場合、スプリングワッシャ85によ
る構成と比べて組み付け性は劣るが、温度変化や振動等
により接続部が劣化することがなく高い信頼性を確保す
ることが可能となる。
【0080】尚、上記の実施例においては、高周波誘導
コイルを点火プラグと一体に設ける構成に限定している
が、これに限るものではなく、例えばシリンダヘッドを
アルミで構成したような場合には、シリンダヘッド側に
高周波誘導コイルを配設する構成としてもよい。
【0081】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、点火プラ
グの中心電極及び接地電極だけを直接加熱するため、点
火性を向上させるのに必要な昇温に要する熱量が少なく
て足りる。従って、電極の昇温についての応答性が、従
来の点火プラグ全体を加熱する構成に比べて極めて優れ
ている。このため、内燃機関の始動時において速やかに
点火時要求電圧が低下され、良好な始動性が確保され
る。また、応答性が優れていることから、従来は適用す
ることができなかった加速時等にも適用が可能となり、
良好な操安性確保に寄与する。
【0082】また、従来の構成のように点火プラグ全体
を加熱することがないため、点火プラグの構成部品間に
おける膨張係数の違いによるサーマルストレスが生じな
いことに加え、電熱線のような自己発熱線を必要としな
いため、従来の構成に比べて画期的に耐久性が向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る点火プラグ装置の一実施例の要部
を構成する点火プラグの構成を表す正面断面図である。
【図2】本発明に係る点火プラグ装置の一実施例の構成
を表す全体図である。
【図3】本実施例における電子制御回路の構成を表すブ
ロック図である。
【図4】本実施例における触媒暖機制御の動作を説明す
るための図である。
【図5】本実施例における誘導加熱の効果を説明するた
めの図(その1)である。
【図6】本実施例における誘導加熱の効果を説明するた
めの図(その2)である。
【図7】本実施例における誘導加熱の効果を説明するた
めの図(その3)である。
【図8】本実施例における誘導加熱の効果を説明するた
めの図(その4)である。
【図9】本実施例において高周波電流を通電する際の1
例を表すマップである。
【図10】本発明の要部である点火プラグの他の実施例
の構成を表す正面断面図である。
【図11】本実施例に使用する点火プラグの組み付け例
を示す正面断面図である。
【図12】本実施例に使用する点火プラグの他の組み付
け例を示す正面断面図である。
【図13】従来の点火プラグ加熱装置の構成図である。
【符号の説明】
10,70 点火プラグ 11,71 ケース 12 接地電極 14 絶縁ガイシ 15 中心電極 18,78 高周波誘導コイル 37 高周波電流発生回路

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の運転状態の下で内燃機関に配設さ
    れた点火プラグを過熱し、該点火プラグの点火性を向上
    させる点火プラグ装置であって、 前記点火プラグの中心電極及び接地電極に前記点火プラ
    グの軸方向の磁界を印加し得るように配設された高周波
    誘導コイルと、 前記内燃機関が所定の運転状態となった場合に前記高周
    波誘導コイルに所定の高周波電流を通電する高周波電流
    通電手段とを備えることを特徴とする点火プラグ装置。
JP31538292A 1992-11-25 1992-11-25 点火プラグ装置 Pending JPH06159217A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010512483A (ja) * 2006-12-07 2010-04-22 コンツアー・ハードニング・インコーポレーテッド 誘導駆動点火システム
US7915795B2 (en) * 2005-11-14 2011-03-29 Renault S.A.S. Sparkplug for an internal combustion engine
US8424501B2 (en) 2006-12-07 2013-04-23 Contour Hardening, Inc. Induction driven ignition system
CN111997808A (zh) * 2020-08-20 2020-11-27 北京理工大学 一种柴油发动机及其火焰预热塞

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