JPWO2021090401A5 - エレベーターの索条体の制振装置 - Google Patents
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Description
本発明は、エレベーターの索条体の制振装置に関する。
本発明は、このような課題を解決するためになされた。本発明の目的は、主ロープなどのエレベーターの索条体の変位の増幅によって変位が不安定になることを抑制し、かつ、索条体の可動域をより広くできる索条体の制振装置を提供することである。
本発明に係るエレベーターの索条体の制振装置は、エレベーターの索条体の振動の平衡位置からの距離が変わる方向への移動が可能な第1ユニットと、前記平衡位置から第1距離より近くへの前記第1ユニットの移動を制限する第1ストッパーと、を備え、前記第1ユニットは、前記索条体の長手方向の第1位置に向けて配置され、前記索条体が近づくほど強くなる引力によって前記索条体の振動の変位を増幅する第1変位増幅器と、前記索条体が予め設定された距離より前記第1変位増幅器に近づくことを抑制する第1制限部材と、を備え、前記第1ユニットは、前記平衡位置から離れる方向に運動する前記索条体が接触するときに、前記索条体とともに前記平衡位置から離れる方向に移動し、前記第1ストッパーは、前記索条体が前記平衡位置に戻る過程において前記平衡位置に近づく方向に移動する前記第1ユニットが接触するときに、前記第1ユニットの前記平衡位置から前記第1距離より近くへの前記第1ユニットの移動を制限する。
本発明に係る制振装置であれば、エレベーターの索条体の変位の増幅によって変位が不安定になることを抑制し、かつ、索条体の可動域をより広くできる。
エレベーター1は、巻上機7と、主ロープ8と、かご9と、釣合い錘10と、釣合いロープ11と、張り車12と、を備える。巻上機7は、例えば機械室4に設けられる。巻上機7は、シーブおよびモーターを有する。巻上機7のシーブは、巻上機7のモーターの回転軸に接続される。巻上機7のモーターは、巻上機7のシーブを回転させる駆動力を発生させる機器である。主ロープ8は、巻上機7のシーブに巻き掛けられる。主ロープ8は、ロープダクト5を通じて機械室4から昇降路3に延びる。かご9および釣合い錘10は、昇降路3において主ロープ8によって吊られている。かご9は、昇降路3の内部を鉛直方向に走行することで乗客などを複数の階床の間で輸送する機器である。釣合い錘10は、主ロープ8を通じて巻上機7のシーブにかかる荷重の釣合いをかご9との間でとる機器である。かご9および釣合い錘10は、巻上機7のシーブの回転によって主ロープ8が移動することで、昇降路3において互いに反対方向に走行する。釣合いロープ11は、主ロープ8の移動によって生じる主ロープ8のかご9の側の自重および主ロープ8の釣合い錘10の側の自重の不均衡を補償する機器である。釣合いロープ11の一端は、かご9に取り付けられる。釣合いロープ11の他端は、釣合い錘10に取り付けられる。釣合いロープ11は、張り車12に巻き掛けられる。張り車12は、釣合いロープ11に張力をかけるシーブである。張り車12は、例えばピット6に設けられる。主ロープ8は、エレベーター1の索条体の例である。釣合いロープ11は、エレベーター1の索条体の例である。エレベーター1の索条体は、例えばワイヤロープ、ベルトロープ、またはチェーンなどを含んでもよい。
エレベーター1は、調速機13と、調速機ロープ14と、調速機ロープ張り車15と、を備える。調速機13は、例えば機械室4に設けられる。調速機13は、かご9の過剰な走行速度を抑える機器である。調速機13は、シーブを有する。調速機ロープ14は、調速機13のシーブに巻き掛けられる。調速機ロープ14の両端は、かご9に取り付けられる。調速機ロープ14は、調速機ロープ張り車15に巻き掛けられる。調速機ロープ張り車15は、調速機ロープ14に張力をかけるシーブである。調速機ロープ張り車15は、例えばピット6に設けられる。調速機ロープ14は、エレベーター1の索条体の例である。
エレベーター1は、制御ケーブル16と、制御盤17と、を備える。制御ケーブル16は、制御信号などを通信するケーブルである。制御ケーブル16の一端は、かご9に接続される。制御ケーブル16の他端は、例えば昇降路3の壁面に取付けられる。制御盤17は、エレベーター1の動作を制御する装置である。制御盤17は、例えば機械室4に設けられる。制御盤17は、例えば制御ケーブル16を通じてかご9との間で制御信号を通信する。制御ケーブル16は、エレベーター1の索条体の例である。
図2は、エレベーター1において、建物揺れ18が発生している状態を示す図である。建物揺れ18は、例えば地震、または風などの外乱によって発生する建物2の揺れである。建物揺れ18の発生によって、建物2に固定されている巻上機7および調速機13などは、建物2とともに揺れる。これにより、エレベーター1の索条体の例である主ロープ8、釣合いロープ11、調速機ロープ14、および制御ケーブル16は、振動を加えられる。ここで、建物揺れ18の周波数および索条体の固有振動数が一致するときに、索条体の揺れは、共振現象によって大きくなる。エレベーター1において共振現象が発生する場合に、索条体は、基本振動によって共振することが多い。基本振動は、最も低い固有振動数に対応する振動である。図2に示す例において、主ロープ8のかご9の側の部分の基本振動による共振現象が発生している。
この例において、主ロープ8のかご9の側の部分は、巻上機7のシーブから昇降路3に引き出されてかご9に取り付けられる。このため、主ロープ8のかご9の側の部分の基本振動の節は、巻上機7のシーブから引き出される点N1、およびかご9に取り付けられる点N2である。主ロープ8のかご9の側の部分の基本振動の腹は、2つの節の中間の点Mである。主ロープ8のかご9の側の部分は、平衡位置19を中心として正の復元力によって横方向に振動する。平衡位置19は、振動していない状態の索条体の位置である。正の復元力は、平衡位置19から変位した索条体に働く、索条体を平衡位置19に戻す方向の力である。正の復元力は、例えば索条体の張力による力である。横方向は、例えば索条体の長手方向に垂直な方向である。以下において、主ロープ8のかご9の側の部分を、索条体の振動する部分の例とする。ここで、主ロープ8などの索条体は、例えば強磁性体を含むことなどによって強磁性を有している。
主ロープ8などの索条体が大きく振動すると、エレベーター1の運転に支障をきたすことがある。このため、制振装置が、エレベーター1に設けられる。制振装置は、索条体の振動部分の振動を抑制する装置である。制振装置は、例えば索条体の振動部分の腹より節に近い部分に設けられる。この例において、制振装置は、かご9の上部に設けられる。
図3において、z軸に平行な方向から見た制振装置20が示される。この例において、制振装置20は、主ロープ8のy軸方向の振動を抑制する。なお、制振装置20は、主ロープ8などの索条体の、z軸方向を含むyz平面内の他の方向の振動を抑制するように配置されてもよい。制振装置20は、例えばかご9の上部のかご枠に設けられる。かご9の上部において、支持台21が設けられる。支持台21は、かご9に固定して設けられる。この例において、支持台21の上面は、平坦な面である。制振装置20は、一対の可動ユニット22と、一対のストッパー23と、を備える。
一対の可動ユニット22は、主ロープ8に関して互いに対称に配置される。一方の可動ユニット22は、主ロープ8よりy軸方向の正の側に配置される。他方の可動ユニット22は、主ロープ8よりy軸方向の負の側に配置される。一対の可動ユニット22の各々は、索条体の長手方向の第1位置P1に向けて配置される。第1位置P1は、例えば主ロープ8などの索条体の基本振動の腹より節に近い位置である。一対の可動ユニット22の各々は、第1ユニットの例である。一対の可動ユニット22の各々は、可動台車24と、磁石ユニット25と、を備える。
変位増幅磁石27は、例えば永久磁石である。変位増幅磁石27の端部の磁極は、主ロープ8の第1位置P1に向けられる。変位増幅磁石27は、磁界によって磁力を引力として索条体に作用させる。磁力による引力は、主ロープ8が変位増幅磁石27に近づくほど強くなる。主ロープ8が振動によって変位するときに、変位増幅磁石27は、主ロープ8の変位と同じ方向に主ロープ8に引力を作用させる。この引力は、主ロープ8の振動の変位を増幅する負の復元力として働く。負の復元力は、例えば負の剛性力である。変位増幅磁石27は、主ロープ8の振動の変位を増幅する第1変位増幅器の例である。
制限部材28の厚さは、主ロープ8の正の復元力および変位増幅磁石27が作用させる磁力に基づいて設定される。制限部材28の厚さは、平衡位置19から第1距離d1の位置にある可動ユニット22の制限部材28に主ロープ8が接触するときの磁力が主ロープ8の正の復元力を超えない厚さに設定される。すなわち、制限部材28の厚さは、変位増幅器による負の復元力が主ロープ8などの索条体の正の復元力を超えない厚さに設定される。
以上に説明したように、実施の形態1に係る制振装置20は、第1ユニットと、第1ストッパーと、を備える。第1ユニットは、エレベーター1の索条体の振動の平衡位置19からの距離が変わる方向の移動が可能な部分である。第1ストッパーは、平衡位置19から第1距離d1より近くへの第1ユニットの移動を制限する。第1ユニットは、第1変位増幅器と、第1制限部材と、を備える。第1変位増幅器は、索条体の長手方向の第1位置P1に向けて配置される。第1変位増幅器は、索条体が近づくほど強くなる引力によって索条体の振動の変位を増幅する。第1制限部材は、索条体が予め設定された距離より第1変位増幅器に近づくことを抑制する。
第1制限部材によって、索条体は変位が不安定になる距離まで第1変位増幅器に接近しない。このため、変位の増幅によって索条体の変位が不安定になることが抑制される。また、第1ユニットは、平衡位置19から離れる方向に移動が可能な部分である。このため、索条体が第1制限部材に接触するときに、第1ユニットは、索条体とともに移動できる。これにより、索条体の第1位置P1の可動域がより広くなる。したがって、制振装置20は、索条体をより効果的に制振できるようになる。
また、第1変位増幅器は、磁性を有する索条体の変位を磁力によって増幅する。第1制限部材は、第1変位増幅器の索条体に向けられる側の端部に設けられる。第1制限部材は、非磁性体である。
また、エレベーター1の索条体は、例えば可撓性を有し特に長手方向の引張り荷重に耐えうる長尺な構造物であってもよい。索条体は、例えば複数の主ロープ8の束であってもよい。
また、制振装置20は、機械室4に設けられていてもよい。索条体が例えばピット6に設けられるシーブに巻きかけられている場合に、制振装置20は、ピット6において、腹よりもシーブに近い位置に設けられていてもよい。また、エレベーター1が機械室4を有していない場合に、巻上機7は、例えば昇降路3の上部または下部に設けられる。このとき、制振装置20は、昇降路3において、腹よりも巻上機7に近い位置に設けられていてもよい。
一対の固定ユニット29は、主ロープ8に関して互いに対称に配置される。一方の固定ユニット29は、主ロープ8よりy軸方向の正の側に配置される。他方の固定ユニット29は、主ロープ8よりy軸方向の負の側に配置される。y軸方向の正の側の固定ユニット29は、y軸方向の正の側の可動ユニット22と鉛直面内において平行に並ぶように配置される。y軸方向の負の側の固定ユニット29は、y軸方向の負の側の可動ユニット22と鉛直面内において平行に並ぶように配置される。一対の固定ユニット29の各々は、索条体の長手方向の第2位置P2に向けて配置される。第2位置P2は、例えば主ロープ8などの索条体の基本振動の腹より節に近い位置である。第2位置P2は、第1位置P1と主ロープ8の長手方向において異なる位置である。この例において、第2位置P2は、第1位置P1より基本振動の腹に近い位置である。一対の固定ユニット29の各々は、主ロープ8の平衡位置19から第2距離d2の位置に配置される。第2距離d2は、制振装置20に必要な制振性能に基づいて予め設定される距離である。この例において、第2距離d2は、第1距離d1より長い距離である。一対の固定ユニット29の各々は、第2ユニットの例である。一対の固定ユニット29の各々は、磁石ユニット25を備える。
固定ユニット29の制限部材28の厚さは、主ロープ8の正の復元力および変位増幅磁石27が作用させる磁力に基づいて設定される。固定ユニット29の制限部材28の厚さは、平衡位置19から第2距離d2の位置にある固定ユニット29の制限部材28に主ロープ8が接触するときの磁力が主ロープ8の正の復元力を超えない厚さに設定される。すなわち、固定ユニット29の制限部材28の厚さは、変位増幅器による負の復元力が主ロープ8などの索条体の正の復元力を超えない厚さに設定される。固定ユニット29の制限部材28の厚さは、可動ユニット22の制限部材28の厚さと異なっていてもよい。
以上に説明したように、実施の形態2に係る制振装置20は、第2ユニットを備える。第2ユニットは、平衡位置19から第2距離d2の位置に設けられる。第2ユニットは、第2変位増幅器と、第2制限部材と、を備える。第2変位増幅器は、索条体の長手方向の第2位置P2に向けて配置される。第2位置P2は、第1位置P1と長手方向に異なる位置である。第2変位増幅器は、索条体が近づくほど強くなる引力によって索条体の振動の変位を増幅する。第2制限部材は、索条体が予め設定された距離より第2変位増幅器に近づくことを抑制する。
これにより、索条体が第1ユニットの第1制限部材に接触した後においても、制振装置20は、第2ユニットによって索条体の変位を増幅できる。また、索条体の変位の可動域は、単一の固定ユニットによって制振を行う場合より広くなる。
このように、制振装置20は、第3ユニットと、第3ストッパーと、を備える。第3ユニットは、平衡位置19からの距離が変わる方向の移動が可能な部分である。第3ストッパーは、索条体の振動の平衡位置19から第3距離d3より近くへの第3ユニットの移動を制限する。第3ユニットは、第3変位増幅器と、第3制限部材と、を備える。第3変位増幅器は、索条体の長手方向の第2位置P2に向けて配置される。第2位置P2は、第1位置P1と長手方向に異なる位置である。第3変位増幅器は、索条体が近づくほど強くなる引力によって索条体の振動の変位を増幅する。第3制限部材は、索条体が予め設定された距離より第3変位増幅器に近づくことを抑制する。
これにより、索条体が第1ユニットの第1制限部材に接触した後においても、制振装置20は、第3ユニットによって索条体の変位を増幅できる。また、索条体が第3制限部材に接触するときに、第3ユニットは、索条体とともに移動できる。これにより、索条体の可動域がより広くなる。したがって、制振装置20は、索条体をより効果的に制振できるようになる。
図12において、制振装置20の斜視図が示される。この例において、制振装置20は、主ロープ8のz軸方向の振動を抑制する。なお、制振装置20は、主ロープ8などの索条体の、y軸方向を含むyz平面内の他の方向の振動を抑制するように配置されてもよい。制振装置20は、機械室4に設けられる。制振装置20は、ロープダクト5の周りに設けられる。制振装置20は、一対の可動ユニット22と、一対のストッパー23と、一対の固定ユニット29と、を備える。
このように、制振装置20は、減衰器を備える。減衰器は、索条体の第1位置P1の振動を減衰させる。索条体の第1位置P1の変位は、第1ユニットなどによって増幅されている。減衰器は、変位が増幅された部分の振動を減衰させるので、制振装置20による索条体の制振がより効果的に行われる。
図13において、制振装置20の斜視図が示される。この例において、エレベーター1のかご9は、複数の主ロープ8によって吊られている。複数の主ロープ8は、拘束部材34によって束ねられる。拘束部材34は、複数の主ロープ8の間の水平方向の位置を一定に保つ部材である。拘束部材34は、例えば複数の主ロープ8の各々に固定されるブロック状の部材である。拘束部材34は、主ロープ8を第1位置P1において束ねる。束ねられた複数の主ロープ8および拘束部材34は、エレベーター1の索条体の例である。拘束部材34は、例えば強磁性体で形成される。このとき、主ロープ8は、強磁性を有していなくてもよい。
この例において、制振装置20は、索条体のz軸方向の振動を抑制する。なお、制振装置20は、索条体の、y軸方向を含むyz平面内の他の方向の振動を抑制するように配置されてもよい。制振装置20は、かご9の上部に設けられる。制振装置20は、一対の可動ユニット22と、一対のストッパー23と、4つの固定ユニット29と、を備える。
一対の可動ユニット22は、索条体に関して互いに対称に配置される。一方の可動ユニット22は、索条体よりz軸方向の正の側に配置される。他方の可動ユニット22は、索条体よりz軸方向の負の側に配置される。一対の可動ユニット22の各々は、索条体の拘束部材34に向けて配置される。
一対のストッパー23の各々は、例えば支持台21に固定される。一対のストッパー23は、索条体に関して互いに対称に配置される。一方のストッパー23は、索条体よりz軸方向の正の側に配置される。他方のストッパー23は、索条体よりz軸方向の負の側に配置される。y軸方向の正の側のストッパー23は、z軸方向の正の側の可動ユニット22に対応する。z軸方向の負の側のストッパー23は、z軸方向の負の側の可動ユニット22に対応する。
図14において、上方から見た制振装置20が示される。4つの固定ユニット29は、索条体の振動面であるxz平面に関して対称に配置される。4つの固定ユニット29は、索条体の振動の対称面であるxy平面に関して対称に配置される。z軸方向の正の側に配置される2つの固定ユニット29は、z軸方向の正の側の可動ユニット22をy軸方向の両側から挟むように配置される。z軸方向の負の側に配置される2つの固定ユニット29は、z軸方向の負の側の可動ユニット22をy軸方向の両側から挟むように配置される。4つの固定ユニット29の各々は、索条体の拘束部材34に向けて配置される。4つの固定ユニット29の各々は、索条体の平衡位置19から第4距離d4の位置に配置される。第4距離d4は、制振装置20に必要な制振性能に基づいて予め設定される距離である。第4距離d4は、第1距離d1より長い距離である。4つの固定ユニット29の各々は、第4ユニットの例である。第4ユニットの磁石ユニット25の変位増幅磁石27は、第4変位増幅器の例である。当該磁石ユニット25の制限部材28は、第4制限部材の例である。
図15において、上方から見た制振装置20が示される。複数の主ロープ8が振動するときに、拘束部材34は、複数の主ロープ8の間の水平方向の位置を一定に保つ。このため、複数の主ロープ8および拘束部材34は、索条体として一体に振動する。制振装置20の可動ユニット22および固定ユニット29は、拘束部材34を介して索条体に負の復元力を作用させる。拘束部材34が可動ユニット22の制限部材28に接触するときに、可動ユニット22は、索条体とともに移動する。このとき、可動ユニット22は、負の復元力を索条体に作用させない。
このように、制振装置20は、第4ユニットを備える。第4ユニットは、平衡位置19から第4距離d4の位置に設けられる。第4距離d4は、第1距離d1より長い距離である。第4ユニットは、第4変位増幅器と、第4制限部材と、を備える。第4変位増幅器は、索条体の長手方向の第1位置P1に向けて配置される。第4変位増幅器は、索条体が近づくほど強くなる引力によって索条体の振動の変位を増幅する。第4制限部材は、索条体が予め設定された距離より第4変位増幅器に近づくことを抑制する。
これにより、索条体が第1ユニットの第1制限部材に接触した後においても、制振装置20は、第4ユニットによって索条体の変位を増幅できる。また、索条体の変位の可動域は、単一の固定ユニット29によって制振を行う場合より広くなる。また、第4ユニットは、第1ユニットと同じ高さに配置されるため、制振装置20の他の機器と干渉しにくい。
図16において、上方から見た制振装置20が示される。制振装置20は、一対の可動ユニット22に加え、索条体の平衡位置19から遠い位置に配置される追加の可動ユニット22aをさらに備えてもよい。例えば、制振装置20は、索条体の中心線を含む面内に配置される一対の主の可動ユニット22と、一対の主の可動ユニット22の各々をy軸方向の両側から挟むように配置される4つの副の可動ユニット22aと、を備える。また、制振装置20は、主の可動ユニット22に対応するストッパー23と、副の可動ユニット22に対応するストッパー23aと、を備える。制振装置20は、主の可動ユニット22および副の可動ユニット22aをy軸方向の両側から挟むように配置される4つの固定ユニット29を備えてもよい。
このように、制振装置20は、第5ユニットと、第5ストッパーと、を備える。第5ユニットは、平衡位置19からの距離が変わる方向の移動が可能な部分である。第5ストッパーは、索条体の振動の平衡位置19から第5距離d5より近くへの第5ユニットの移動を制限する。第5距離d5は、第1距離d1より長い距離である。第5ユニットは、第5変位増幅器と、第5制限部材と、を備える。第5変位増幅器は、索条体の長手方向の第1位置P1に向けて配置される。第5変位増幅器は、索条体が近づくほど強くなる引力によって索条体の振動の変位を増幅する。第5制限部材は、索条体が予め設定された距離より第5変位増幅器に近づくことを抑制する。
これにより、索条体が第1ユニットの第1制限部材に接触した後においても、制振装置20は、第5ユニットによって索条体の変位を増幅できる。また、索条体が第5制限部材に接触するときに、第5ユニットは、索条体とともに移動できる。これにより、索条体の可動域がより広くなる。したがって、制振装置20は、索条体をより効果的に制振できるようになる。また、第5ユニットは、第1ユニットと同じ高さに配置されるため、制振装置20の他の機器と干渉しにくい。
なお、制振装置20は、第2ユニットから第5ユニットまでの各々のユニットの一部または全部を第1ユニットに組み合わせてもよい。第1ユニットから第5ユニットまでの各々のユニットの磁石ユニット25は、互いに異なる構成であってもよい。第1ユニットから第5ユニットまでの各々のユニットの磁石ユニット25は、互いに同様の構成であってもよい。第1変位増幅器から第5変位増幅器までの各々の変位増幅器の全部または一部は、例えば不安定性を有する機械的な機構、または静電気力などの磁力以外の力によって索条体の変位を増幅してもよい。
図17において、z軸に平行な方向から見た制振装置20が示される。この例において、制振装置20は、主ロープ8のy軸方向の振動を抑制する。なお、制振装置20は、主ロープ8などの索条体の、z軸方向を含むyz平面内の他の方向の振動を抑制するように配置されてもよい。制振装置20は、かご9の上部に設けられる。制振装置20は、一対の可動ユニット22と、一対のストッパー23と、一対の復帰バネ35と、を備える。
以上に説明したように、実施の形態3に係る制振装置20は、復帰機構を備える。復帰機構は、第1ユニットが平衡位置19から第1距離d1より離れたときに第1ユニットを平衡位置19に近づける。復帰機構は、復帰バネ35である。復帰バネ35は、弾性力により第1ユニットを平衡位置19に近づける。これにより、摩擦などによって第1ユニットが平衡位置19から第1距離d1より離れた位置に静止することが抑えられる。このため、制振装置20による索条体の制振がより安定に行われる。
図18において、z軸に平行な方向から見た制振装置20が示される。この例において、制振装置20は、主ロープ8のy軸方向の振動を抑制する。なお、制振装置20は、主ロープ8などの索条体の、z軸方向を含むyz平面内の他の方向の振動を抑制するように配置されてもよい。制振装置20は、かご9の上部に設けられる。制振装置20は、一対の可動ユニット22と、一対のストッパー23と、一対の復帰スロープ36と、を備える。
このように、制振装置20の復帰機構は、復帰スロープ36である。復帰スロープ36は、第1ユニットにかかる重力により第1ユニットを平衡位置19に近づける。これにより、摩擦などによって第1ユニットが平衡位置19から第1距離d1より離れた位置に静止することが抑えられる。このため、制振装置20による索条体の制振がより安定に行われる。
Claims (7)
- エレベーターの索条体の振動の平衡位置からの距離が変わる方向への移動が可能な第1ユニットと、
前記平衡位置から第1距離より近くへの前記第1ユニットの移動を制限する第1ストッパーと、
を備え、
前記第1ユニットは、
前記索条体の長手方向の第1位置に向けて配置され、前記索条体が近づくほど強くなる引力によって前記索条体の振動の変位を増幅する第1変位増幅器と、
前記索条体が予め設定された距離より前記第1変位増幅器に近づくことを抑制する第1制限部材と、
を備え、
前記第1ユニットは、前記平衡位置から離れる方向に運動する前記索条体が接触するときに、前記索条体とともに前記平衡位置から離れる方向に移動し、
前記第1ストッパーは、前記索条体が前記平衡位置に戻る過程において前記平衡位置に近づく方向に移動する前記第1ユニットが接触するときに、前記第1ユニットの前記平衡位置から前記第1距離より近くへの前記第1ユニットの移動を制限する
エレベーターの索条体の制振装置。 - 前記第1変位増幅器は、磁性を有する前記索条体の変位を磁力によって増幅し、
前記第1制限部材は、前記第1変位増幅器の前記索条体に向けられる側の端部に設けられる非磁性体である
請求項1に記載のエレベーターの索条体の制振装置。 - 前記索条体の前記第1位置の振動を減衰させる減衰器
を備える
請求項1または請求項2に記載のエレベーターの索条体の制振装置。 - 前記第1ユニットが前記平衡位置から前記第1距離より離れたときに前記第1ユニットを前記平衡位置に近づける復帰機構
を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエレベーターの索条体の制振装置。 - 前記復帰機構は、弾性力により前記第1ユニットを前記平衡位置に近づける復帰バネである
請求項4に記載のエレベーターの索条体の制振装置。 - 前記復帰機構は、前記第1ユニットにかかる重力により前記第1ユニットを前記平衡位置に近づける復帰スロープである
請求項4に記載のエレベーターの索条体の制振装置。 - 前記平衡位置から第2距離の位置に設けられる第2ユニット
を備え、
前記第2ユニットは、
前記索条体の長手方向の前記第1位置とは異なる第2位置に向けて配置され、前記索条体が近づくほど強くなる引力によって前記索条体の振動の変位を増幅する第2変位増幅器と、
前記索条体が予め設定された距離より前記第2変位増幅器に近づくことを抑制する第2制限部材と、
を備える
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエレベーターの索条体の制振装置。
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