JPWO2020235314A1 - マグネシウム二次電池用非水電解液及びそれを用いたマグネシウム二次電池 - Google Patents

マグネシウム二次電池用非水電解液及びそれを用いたマグネシウム二次電池 Download PDF

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Abstract

本開示は、マグネシウム二次電池用の新規な非水電解液、及びそれを用いたマグネシウム二次電池を提供する。本開示のマグネシウム二次電池用非水電解液は、非水溶媒と、マグネシウム塩と、下記式(1)で表される有機ホウ素アート錯体塩と、を備えている。式(1)中、R1,R2,R3,及びR4は、それぞれ独立して、フッ化アルキル基を含む。非水溶媒がエーテル溶媒を含んでいてもよい。

Description

本開示は、マグネシウム二次電池用非水電解液及びそれを用いたマグネシウム二次電池に関する。
近年、マグネシウム二次電池の開発が期待されている。
特許文献1には、ボロン酸のマグネシウム塩又はホウ酸のマグネシウム塩と、ルイス酸又は特定構造のマグネシウムスルホニルイミドとを含む電解液が記載されている。
非特許文献1には、マグネシウム二次電池に使用される電解質として、フッ素化アルコキシボレートが記載されている。
国際公開第2017/170976号
J. Mater. Chem. A, 2017, 5, 10815-10820
本開示は、マグネシウム二次電池用の新規な非水電解液、及びそれを用いたマグネシウム二次電池を提供する。
本開示は、
非水溶媒と、
マグネシウム塩と、
下記式(1)で表される有機ホウ素アート錯体塩と、
を備える、マグネシウム二次電池用非水電解液を提供する。
Figure 2020235314
式(1)中、R1,R2,R3,及びR4は、それぞれ独立して、フッ化アルキル基を含む。
本開示によれば、マグネシウム二次電池用の新規な非水電解液、及びそれを用いたマグネシウム二次電池が提供されうる。
図1は、マグネシウム二次電池の構成例を模式的に示す断面図である。 図2は、サンプル1及び2のサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 図3は、サンプル3及び4のサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 図4は、非水電解液におけるマグネシウム塩の濃度に対するクーロン効率をプロットしたグラフである。
(本開示の基礎となった知見)
マグネシウム二次電池は、マグネシウムの二電子反応を利用できるため、高容量な二次電池として期待されている。しかし、2価のマグネシウムイオンと周りの溶媒との相互作用が強いため、溶媒がマグネシウムイオンから脱離しにくい。つまり、マグネシウム二次電池用非水電解液では、マグネシウム金属の析出及び溶解が生じにくい。これは、マグネシウム二次電池用非水電解液に特有の課題である。例えば、現行のマグネシウム二次電池では、マグネシウム塩を1,2−ジメトキシエタンなどのグライムに溶解させることによって得られた非水電解液が用いられる。ただし、この非水電解液を用いたマグネシウム二次電池のクーロン効率は低い。このような課題により、マグネシウム二次電池においては、非水溶媒とマグネシウム塩との組み合わせに、強い制限が課されている。
上記の知見に基づき、本発明者らは、以下の新規な非水電解液を見出した。
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1態様に係るマグネシウム二次電池用非水電解液は、
非水溶媒と、
マグネシウム塩と、
下記式(1)で表される有機ホウ素アート錯体塩と、
を備えている。
Figure 2020235314
式(1)中、R1,R2,R3,及びR4は、それぞれ独立して、フッ化アルキル基を含む。
第1態様によれば、有機ホウ素アート錯体塩は、電極の表面上でマグネシウムイオンを均一に分布させることができる。その結果、マグネシウム塩に由来する金属マグネシウムの析出及び溶解が促進される。
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係るマグネシウム二次電池用非水電解液では、前記非水溶媒がエーテル溶媒を含んでいてもよい。マグネシウム塩はエーテル溶媒に十分に溶解しうる。
本開示の第3態様において、例えば、第2態様に係るマグネシウム二次電池用非水電解液では、前記有機ホウ素アート錯体塩に前記エーテル溶媒が配位していてもよい。このような構成によれば、非水溶媒に有機ホウ素アート錯体塩を溶解させたときに、マグネシウムイオンの解離が促進される。
本開示の第4態様において、例えば、第2又は第3態様に係るマグネシウム二次電池用非水電解液では、前記エーテル溶媒がグライムを含んでいてもよい。
本開示の第5態様において、例えば、第4態様に係るマグネシウム二次電池用非水電解液では、前記グライムは、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム及びテトラグライムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。
第4及び第5態様によれば、マグネシウム二次電池用非水電解液に対するマグネシウム塩の溶解性を向上させることができる。
本開示の第6態様において、例えば、第1から第5態様のいずれか1つに係るマグネシウム二次電池用非水電解液では、前記式(1)において、R1,R2,R3,及びR4は、それぞれ独立して、−Cxyzで表されていてもよく、1≦x≦4、0≦y<9、及び1≦z≦9を満たしていてもよい。このような構成によれば、有機ホウ素アート錯体塩の電気化学安定性を向上させることができる。
本開示の第7態様において、例えば、第1から第6態様のいずれか1つに係るマグネシウム二次電池用非水電解液では、前記マグネシウム塩は、アニオンとして、[N(FSO22-、[N(CF3SO22-、[N(C25SO22-及び[N(FSO2)(CF3SO2)]-からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。これらのアニオンは、マグネシウムと塩を形成しうる。
本開示の第8態様において、例えば、第1から第7態様のいずれか1つに係るマグネシウム二次電池用非水電解液では、前記マグネシウム塩のモル濃度及び前記有機ホウ素アート錯体塩のモル濃度の総和に対する前記有機ホウ素アート錯体塩のモル濃度の比率は、0.74以下であってもよい。このような構成によれば、マグネシウム塩に由来する金属マグネシウムの析出及び溶解がより促進されうる。
本開示の第9態様に係るマグネシウム二次電池は、
正極と、
負極と、
第1から第8態様のいずれか1つのマグネシウム二次電池用非水電解液と、
を備えている。
第9態様によれば、例えば、第1から第8態様のいずれか1つのマグネシウム二次電池用非水電解液を用いることによって、非水電解液の電気化学安定性を向上させることができる。その結果、マグネシウム二次電池の充放電効率を向上させることができる。
以下、実施形態に係るマグネシウム二次電池用非水電解液、及び、それを用いたマグネシウム二次電池について、図面を用いて詳細に説明する。
以下の説明は、いずれも包括的又は具体的な例を示す。以下に示される数値、組成、形状、膜厚、電気特性、二次電池の構造などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。加えて、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素は、任意の構成要素である。
[1.非水電解液]
本開示の一態様に係るマグネシウム二次電池用非水電解液は、非水溶媒と、マグネシウム塩と、有機ホウ素アート錯体塩とを含む。有機ホウ素アート錯体塩は、下記式(1)で表される構造を有する。下記式(1)中、R1,R2,R3,及びR4は、それぞれ独立して、フッ化アルキル基を含む。マグネシウム塩及び有機ホウ素アート錯体塩は、非水溶媒に溶解している。
Figure 2020235314
有機ホウ素アート錯体塩は、電極の近傍でマグネシウムイオンを均一に分布させることができる。そのため、有機ホウ素アート錯体塩を含む非水電解液は、金属マグネシウムの析出及び溶解を促進しうる。したがって、所望の条件に応じて金属マグネシウムの析出及び溶解の効率を改善できる。「所望の条件」は、例えば、マグネシウムイオン伝導性が高いこと、電気化学的に安定であること、化学的に安定であること、熱的に安定であること、安全であること、環境負荷が低いこと、及び、安価であることのうちの少なくとも1つであってもよい。例えば、非水溶媒にマグネシウム塩を高濃度で溶解させることによって、非水電解液のマグネシウムイオン伝導性を高めることができる。例えば、耐酸化性の高い非水溶媒を選択することによって、電気化学的に安定である非水電解液を得ることができる。例えば、毒性の低い非水溶媒を選択することによって、安全性の高い非水電解液を得ることができる。
本開示における「有機ホウ素アート錯体塩」は、マグネシウムイオンと有機ホウ素アート錯体の錯イオンとを有する塩を意味する。有機ホウ素アート錯体の錯イオンにおいて、ホウ素原子に4つの酸素原子が結合している。酸素原子のそれぞれに置換基が結合している。
有機ホウ素アート錯体塩は、置換基としてR1,R2,R3,及びR4を有する。R1,R2,R3,及びR4のそれぞれは、同じ構造を有する置換基であってもよく、異なる構造を有する置換基であってもよい。R1,R2,R3,及びR4のそれぞれが、フッ化アルキル基を含んでいてもよい。フッ化アルキル基は、アルキル基に含まれている水素の少なくとも1つをフッ素に置換したアルキル基を意味する。アルキル基に含まれているすべての水素がフッ素に置換されていてもよい。フッ素の数が多いほど、誘起効果によって、有機ホウ素アート錯体塩の電気化学安定性を向上させることができる。その結果、非水電解液の耐電圧性を向上させることができる。フッ化アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。極性溶媒に対する溶解性の観点から、フッ化アルキル基の炭素数は、1から4であってもよい。フッ化アルキル基は、例えば、−Cxyzで表される。xは、1≦x≦4を満たす。yは、0≦y<9を満たす。zは、1≦z≦9を満たす。フッ化アルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基に含まれている水素の少なくとも1つをフッ素に置換した置換基が挙げられる。
マグネシウム塩はアニオンを有する。アニオンは、例えば、1価のアニオンである。
マグネシウム塩は、アニオンとして、[N(FSO22-、[N(CF3SO22-、[N(C25SO22-、及び[N(FSO2)(CF3SO2)]-からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。アニオンは、これらの誘導体であってもよい。これらのアニオンは、マグネシウムと塩を形成しうる。マグネシウム塩は、マグネシウムイミド塩であってもよい。
非水溶媒は、マグネシウム塩を溶解させることができる限り特に限定されない。非水溶媒は、エーテル溶媒を含んでいてもよい。マグネシウム塩はエーテル溶媒に十分に溶解しうる。溶解性の観点から、非水溶媒は、グライムを含んでいてもよい。グライムは、マグネシウムイオンに対して二座配位しうる。グライムを使用することによって、非水溶媒へのマグネシウム塩の溶解性を向上させることができる。グライムとして、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジグライム、トリグライム、及びテトラグライムが挙げられる。耐酸化性の観点から、非水溶媒は、フッ素化したエーテル溶媒を含んでいてもよい。フッ素化したエーテル溶媒は、エーテル溶媒に含まれる水素の少なくとも1つをフッ素に置換したエーテル溶媒を意味する。
有機ホウ素アート錯体塩には、非水溶媒に含まれたエーテル溶媒又はそのエーテル溶媒とは異なるエーテル溶媒が配位されていてもよい。具体的には、有機ホウ素アート錯体塩のマグネシウムイオンにエーテル溶媒が配位されていてもよい。有機ホウ素アート錯体塩にエーテル溶媒が配位されていることによって、非水溶媒に有機ホウ素アート錯体塩を溶解させたときに、マグネシウムイオンの解離が促進される。有機ホウ素アート錯体塩に配位されるエーテル溶媒は、グライムを含んでいてもよい。グライムを使用することによって、非水溶媒への有機ホウ素アート錯体塩の溶解性を向上させることができる。有機ホウ素アート錯体塩を非水溶媒に溶解させたときに、有機ホウ素アート錯体塩に配位されているエーテル溶媒と非水溶媒に含まれているエーテル溶媒とが置換されてもよい。
非水電解液におけるマグネシウム塩の濃度は、特に限定されない。マグネシウム塩の濃度を適切に設定することによって、マグネシウムイオンの伝導性を向上させることができる。非水電解液におけるマグネシウム塩の濃度は、非水電解液における有機ホウ素アート錯体塩の濃度より高くてもよい。マグネシウム塩の濃度が有機ホウ素アート錯体塩の濃度より高い場合、非水電解液の熱安定性を向上させることができる。
マグネシウム塩のモル濃度及び有機ホウ素アート錯体塩のモル濃度の総和に対する有機ホウ素アート錯体塩のモル濃度の比率は、例えば、0.74以下である。非水電解液における有機ホウ素アート錯体塩の濃度を適切に調節することによって、マグネシウム塩に由来する金属マグネシウムの析出及び溶解がより促進されうる。マグネシウム塩のモル濃度及び有機ホウ素アート錯体塩のモル濃度の総和に対する有機ホウ素アート錯体塩のモル濃度の比率は、0.70以下であってもよく、0.65以下であってもよく、0.60以下であってもよい。マグネシウム塩のモル濃度及び有機ホウ素アート錯体塩のモル濃度の総和に対する有機ホウ素アート錯体塩のモル濃度の比率の下限値は、0.20であってもよく、0.15であってもよく、0.125であってもよい。
本実施形態に係るマグネシウム二次電池用非水電解液には、マグネシウム塩及び有機ホウ素アート錯体塩が含まれている。これにより、有機ホウ素アート錯体塩ではなく、マグネシウム塩に由来する金属マグネシウムの溶解に伴う溶解電流が観測されうる。加えて、有機ホウ素アート錯体塩によって、マグネシウム塩に由来する金属マグネシウムの溶解が促進されうる。これは、次の理由による。マグネシウム塩から還元反応により析出した金属マグネシウム上に、マグネシウム塩に含まれるアニオンの分解物等が堆積することがある。マグネシウム塩に含まれるアニオンの分解物が堆積した金属マグネシウムは、酸化反応による溶解を起こしにくい。ここで、本実施形態のように有機ホウ素アート錯体塩を加えると、有機ホウ素アート錯体塩が、電極上に均一に分散しうる。これにより、マグネシウム塩に含まれるアニオンの分解物が堆積しにくくなる。その結果、酸化反応による金属マグネシウムの溶解が促進される。
[2.マグネシウム二次電池]
[2−1.全体構成]
本実施形態に係る非水電解液は、マグネシウム二次電池に利用されうる。マグネシウム二次電池は、正極と、負極と、マグネシウムイオン伝導性を有する非水電解液と、を備える。非水電解液は、上記[1.非水電解液]で説明された非水電解液を適宜利用できる。本開示の非水電解液を用いることによって、マグネシウム二次電池の充放電効率を向上させることができる。
図1は、マグネシウム二次電池10の構成例を模式的に示す断面図である。
マグネシウム二次電池10は、正極21、負極22、セパレータ14、ケース11、封口板15及びガスケット18を備えている。セパレータ14は、正極21と負極22との間に配置されている。正極21、負極22、及びセパレータ14には、非水電解液が含浸されており、これらがケース11の中に収められている。ケース11は、ガスケット18及び封口板15によって閉じられている。
マグネシウム二次電池10の構造は、円筒型、角型、ボタン型、コイン型、又は扁平型であってもよい。
[2−2.正極]
正極21は、正極集電体12と、正極集電体12の上に配置された正極活物質層13と、を含む。正極活物質層13は、正極集電体12とセパレータ14との間に配置されている。
正極活物質層13は、正極活物質を含有する。正極活物質は、フッ化黒鉛、金属酸化物、又は金属ハロゲン化物であってもよい。金属酸化物及び金属ハロゲン化物は、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つと、マグネシウムとを含有してもよい。正極活物質は、Mo68のような硫化物であってもよく、Mo9Se11のようなカルコゲナイド化合物であってもよい。
正極活物質として、MgM24、MgRO2、MgXSiO4、及びMgxyAOzwが挙げられる。ここで、Mは、Mn、Co、Cr、Ni及びFeからなる群より選択される少なくとも1つを含む。Rは、Mn、Co、Cr、Ni及びAlからなる群より選択される少なくとも1つを含む。Xは、Mn、Co、Ni及びFeからなる群より選択される少なくとも1つを含む。Zは、遷移金属、Sn、Sb及びInからなる群より選択される少なくとも1つを含む。AはP、Si及びSからなる群より選択される少なくとも1つを含む。xは、0<x≦2を満たす。yは、0.5≦y≦1.5を満たす。zは、3又は4である。wは、0.5≦w≦1.5を満たす。
正極活物質層13は、必要に応じて、導電剤及び/又は結着剤をさらに含んでいてもよい。
導電材として、炭素材料、金属、無機化合物、及び導電性高分子が挙げられる。炭素材料として、黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、及び炭素繊維が挙げられる。黒鉛として、天然黒鉛及び人造黒鉛が挙げられる。天然黒鉛として、塊状黒鉛及び鱗片状黒鉛が挙げられる。金属として、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、及び金が挙げられる。無機化合物として、タングステンカーバイド、炭化チタン、炭化タンタル、炭化モリブデン、ホウ化チタン、及びチッ化チタンが挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。
結着剤として、含フッ素樹脂、熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、及び天然ブチルゴム(NBR)が挙げられる。含フッ素樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、及びフッ素ゴムが挙げられる。熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン及びポリエチレンが挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。
正極活物質、導電材、及び、結着剤を分散させる溶剤として、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、及びテトラヒドロフランが挙げられる。分散剤に増粘剤を加えてもよい。増粘剤として、カルボキシメチルセルロース及びメチルセルロースが挙げられる。
正極活物質層13は、例えば、次の方法によって形成される。まず、正極活物質と導電材と結着剤との混合物が得られるように、これらの材料が混合される。次に、この混合物に適切な溶剤が加えられ、ペースト状の正極合剤が得られる。次に、この正極合剤が正極集電体12の表面に塗布され、乾燥される。これによって、正極集電体12の上に正極活物質層13が形成される。なお、正極活物質層13は、電極密度を高めるために、圧縮されてもよい。
正極活物質層13の膜厚は、特に限定されず、例えば、1μm以上、100μm以下である。
正極集電体12の材料は、例えば、単体の金属又は合金である。より具体的には、正極集電体12の材料は、銅、クロム、ニッケル、チタン、白金、金、アルミニウム、タングステン、鉄、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む単体の金属又は合金であってもよい。正極集電体12の材料は、ステンレス鋼であってもよい。
正極集電体12は、板状又は箔状であってもよい。正極集電体12は、積層膜であってもよい。
ケース11が正極集電体を兼ねている場合、正極集電体12は省略されてもよい。
[2−3.負極]
負極22は、例えば、負極活物質を含有する負極活物質層17と、負極集電体16とを含む。負極活物質層17は、負極集電体16とセパレータ14との間に配置されている。
負極活物質層17は、マグネシウムイオンを挿入及び脱離し得る負極活物質を含有する。負極活物質として、炭素材料が挙げられる。炭素材料として、黒鉛、非黒鉛系炭素、及び黒鉛層間化合物が挙げられる。非黒鉛系炭素として、ハードカーボン及びコークスが挙げられる。
負極活物質層17は、必要に応じて、導電剤及び/又は結着剤をさらに含んでいてもよい。導電材、結着剤、溶剤及び増粘剤は、例えば、[2−2.正極]で説明された導電材、結着剤、溶剤及び増粘剤を適宜利用できる。
負極活物質層17の膜厚は、特に限定されず、例えば、1μm以上、50μm以下である。
あるいは、負極活物質層17は、マグネシウムを析出及び溶解させ得る負極活物質を含有する。この場合、負極活物質として、Mg金属、及びMg合金が挙げられる。Mg合金は、例えば、アルミニウム、シリコン、ガリウム、亜鉛、錫、マンガン、ビスマス、及びアンチモンからなる群より選択される少なくとも1つと、マグネシウムとの合金である。
負極集電体16の材料は、例えば、[2−2.正極]で説明された正極集電体12と同様の材料を適宜利用できる。負極集電体16は、板状又は箔状であってもよい。
封口板15が負極集電体を兼ねている場合、負極集電体16は省略されてもよい。
負極集電体16が、その表面上にマグネシウムを析出及び溶解させ得る材料で構成される場合、負極活物質層17は省略されてもよい。すなわち、負極22は、マグネシウムを析出及び溶解させ得る負極集電体16のみから構成されていてもよい。この場合、負極集電体16は、ステンレス鋼、ニッケル、銅、又は鉄であってもよい。
[2−4.セパレータ]
セパレータ14の材料として、微多孔性薄膜、織布、及び不織布が挙げられる。セパレータ14の材料は、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンであってもよい。セパレータ14の厚さは、例えば、10μm以上300μm以下である。セパレータ14は、1種の材料で構成された単層膜であってもよく、2種以上の材料で構成された複合膜、又は、多層膜であってもよい。セパレータ14の空孔率は、例えば、30%以上70%以下である。
[3.実験結果]
[3−1.非水電解液の調製]
[サンプル1]
非水溶媒として、1,2−ジメトキシエタン(以下、DMEという。キシダ化学株式会社より購入)を使用した。1,2−ジメトキシエタンに、マグネシウムイミド塩であるMg[N(CF3SO222(以下、Mg(TFSI)2という。キシダ化学株式会社より購入)を0.35mol/Lの濃度で溶解させた。さらに、1,2−ジメトキシエタンが配位されている有機ホウ素アート錯体塩であるMg[B(OCH(CF3242・3DMEを0.05mol/Lの濃度で溶解させることによって、サンプル1の非水電解液を調製した。なお、Mg[B(OCH(CF3242・3DMEは、非特許文献1に記載の方法により作製した。
[サンプル2]
非水溶媒として、1,2−ジメトキシエタン(キシダ化学株式会社より購入)を使用した。1,2−ジメトキシエタンに、Mg(TFSI)2(キシダ化学株式会社より購入)を0.40mol/Lの濃度で溶解させることによって、サンプル2の非水電解液を調製した。
サンプル1及びサンプル2のそれぞれに含まれているマグネシウムイオンの濃度は、いずれも0.40mol/Lであった。
[サンプル3]
非水溶媒として、1,2−ジメトキシエタン(キシダ化学株式会社より購入)を使用した。1,2−ジメトキシエタンに、Mg(TFSI)2(キシダ化学株式会社より購入)を0.85mol/Lの濃度で溶解させた。さらに、Mg[B(OCH(CF3242・3DMEを0.15mol/Lの濃度で溶解させることによって、サンプル3の非水電解液を調製した。なお、Mg[B(OCH(CF3242・3DMEは、非特許文献1に記載の方法により作製した。
[サンプル4]
非水溶媒として、1,2−ジメトキシエタン(キシダ化学株式会社より購入)を使用した。1,2−ジメトキシエタンに、Mg(TFSI)2(キシダ化学株式会社より購入)を1.0mol/Lの濃度で溶解させることによって、サンプル4の非水電解液を調製した。
サンプル3及びサンプル4のそれぞれに含まれているマグネシウムイオンの濃度は、いずれも1.0mol/Lであった。
[サンプル5]
非水溶媒として、1,2−ジメトキシエタン(キシダ化学株式会社より購入)を使用した。1,2−ジメトキシエタンに、Mg(TFSI)2(キシダ化学株式会社より購入)を0.20mol/Lの濃度で溶解させた。さらに、Mg[B(OCH(CF3242・3DMEを0.80mol/Lの濃度で溶解させることによって、サンプル5の非水電解液を調製した。なお、Mg[B(OCH(CF3242・3DMEは、非特許文献1に記載の方法により作製した。
[サンプル6]
非水溶媒として、1,2−ジメトキシエタン(キシダ化学株式会社より購入)を使用した。1,2−ジメトキシエタンに、Mg(TFSI)2(キシダ化学株式会社より購入)を0.40mol/Lの濃度で溶解させた。さらに、Mg[B(OCH(CF3242・3DMEを0.60mol/Lの濃度で溶解させることによって、サンプル6の非水電解液を調製した。なお、Mg[B(OCH(CF3242・3DMEは、非特許文献1に記載の方法により作製した。
[サンプル7]
非水溶媒として、1,2−ジメトキシエタン(キシダ化学株式会社より購入)を使用した。1,2−ジメトキシエタンに、Mg(TFSI)2(キシダ化学株式会社より購入)を0.60mol/Lの濃度で溶解させた。さらに、Mg[B(OCH(CF3242・3DMEを0.40mol/Lの濃度で溶解させることによって、サンプル7の非水電解液を調製した。なお、Mg[B(OCH(CF3242・3DMEは、非特許文献1に記載の方法により作製した。
[サンプル8]
非水溶媒として、1,2−ジメトキシエタン(キシダ化学株式会社より購入)を使用した。1,2−ジメトキシエタンに、Mg(TFSI)2(キシダ化学株式会社より購入)を0.80mol/Lの濃度で溶解させた。さらに、Mg[B(OCH(CF3242・3DMEを0.20mol/Lの濃度で溶解させることによって、サンプル8の非水電解液を調製した。なお、Mg[B(OCH(CF3242・3DMEは、非特許文献1に記載の方法により作製した。
また、サンプル1、3、及び5から8が実施例であり、サンプル2及び4が比較例である。
[3−2.CV特性の評価]
得られた非水電解液に対してサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行った。測定セルとしてビーカーセルを用い、測定装置としてポテンシオガルバノスタット(バイオロジック社製、VSP−300)を用いた。作用極として、白金ディスク電極を用いた。参照極及び対極として、5mm×40mmのマグネシウムリボンを用いた。サイクリックボルタンメトリー測定は、室温(25℃)で実施した。結果を図2及び3に示す。
サイクリックボルタモグラムから、金属マグネシウムの析出に必要な電気量及び金属マグネシウムの溶解に必要な電気量を算出した。金属マグネシウムの溶解に必要な電気量を、金属マグネシウムの析出に必要な電気量で除することによって、クーロン効率を算出した。
図2は、サンプル1及びサンプル2のサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。縦軸は作用極に流れた電流を示し、横軸は参照極に対する作用極の電位を示している。図2は、−1Vから3Vの掃引範囲で電位の掃引を10サイクル繰り返し行った際の10サイクル目の結果を示している。電位の掃引速度は25mV/sであった。図2に示すように、サンプル1では、金属マグネシウムの析出及び溶解と考えられる電流が観測された。サンプル1のクーロン効率は、16%であった。サンプル2のクーロン効率は、8%であった。サンプル2のクーロン効率と比較して、サンプル1のクーロン効率は大幅に改善した。サンプル1の非水電解液に有機ホウ素アート錯体塩が含まれており、有機ホウ素アート錯体塩が金属マグネシウムの析出及び溶解を促進したと考えられる。
以上の結果から、サンプル1の非水電解液は、マグネシウム二次電池に適していると考えられる。
図3は、サンプル3とサンプル4のサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。縦軸は作用極に流れた電流を示し、横軸は参照極に対する作用極の電位を示している。図3は、−1Vから3Vの掃引範囲で電位の掃引を10サイクル繰り返し行った際の10サイクル目の結果を示している。電位の掃引速度は25mV/sであった。
サンプル3のクーロン効率は、46%であった。サンプル4のクーロン効率は、8%であった。サンプル4のクーロン効率と比較して、サンプル3のクーロン効率は大幅に改善した。サンプル3の非水電解液に有機ホウ素アート錯体塩が含まれており、有機ホウ素アート錯体塩が金属マグネシウムの析出及び溶解を促進したと考えられる。
非特許文献1に記載の技術のように、非水電解液に有機ホウ素アート錯体塩が含まれている場合、0Vから1Vの電位の範囲において、有機ホウ素アート錯体塩に由来した金属マグネシウムの溶解に伴うと考えられる電流が観測されうる。これに対し、サンプル1及びサンプル3の結果によれば、非水電解液に有機ホウ素アート錯体塩が含まれているものの、0Vから1Vの電位の範囲において、金属マグネシウムの溶解に伴うと考えられる電流を観測することは困難であった。しかし、1Vから2Vの電位の範囲において、サンプル1及びサンプル3の電流密度は、それぞれ、サンプル2及びサンプル4の電流密度と比較して増加した。サンプル1及びサンプル3の非水電解液に有機ホウ素アート錯体塩が含まれているため、マグネシウムイミド塩に由来した金属マグネシウムの溶解に伴うと考えられる電流が増加したと理解される。
図4は、サンプル4から8の非水電解液におけるマグネシウム塩の濃度に対するクーロン効率をプロットしたグラフである。なお、図4は、サンプル4から8について、それぞれ図2及び3と同様の方法でCV測定を行ったときの1サイクル目の電位の掃引の結果から求められたクーロン効率をプロットしている。サンプル4から8について、1サイクル目の電位の掃引の結果から求められたクーロン効率は、それぞれ、12.5%、11%、17%、27%、及び15%であった。図4には、サンプル5から7のプロットから求められる近似直線及びサンプル4を通るx軸に平行な直線も示す。サンプル5から7のプロットより、非水電解液におけるマグネシウムイミド塩の濃度が増加するとクーロン効率は向上した。サンプル7のクーロン効率と比較して、サンプル8のクーロン効率は低かった。しかしサンプル8のクーロン効率は、サンプル4のクーロン効率よりも高かった。
非水電解液に含まれているマグネシウムイミド塩の濃度をxと定義し、クーロン効率をyと定義したとき、サンプル5から7のプロットから求められる近似直線(1)は、y=41.6x+2.0により表される。一方、サンプル4を通るx軸に平行な直線(2)は、y=12.5により表される。そのため、近似直線(1)及び直線(2)の交点のマグネシウムイミド塩の濃度は、0.252mol/Lであった。つまり、本実施形態において、非水電解液におけるマグネシウムイミド塩の濃度が0.26mol/L以上であると、非水電解液のクーロン効率は、サンプル4のクーロン効率より高いことがわかった。これにより、非水電解液における有機ホウ素アート錯体塩の濃度の上限値は、0.74mol/Lであることがわかった。
一方、図4より、非水電解液に含まれる有機ホウ素アート錯体塩の濃度の下限値は、特定の値に限定されない。これは、図4から、少量であっても非水電解液に有機ホウ素アート錯体塩が含まれていることによって、サンプル4よりもクーロン効率が向上すると推測されるからである。
サンプル1及びサンプル3の結果より、非水電解液に含まれているマグネシウムイオンの濃度を増加させることによって、有機ホウ素アート錯体塩は、金属マグネシウムの析出及び溶解をより十分に促進すると考えられる。
以上の結果から、サンプル3の非水電解液は、マグネシウム二次電池に適していると考えられる。
本開示の非水電解液は、マグネシウム二次電池に利用されうる。
10 マグネシウム二次電池
11 ケース
12 正極集電体
13 正極活物質層
14 セパレータ
15 封口板
16 負極集電体
17 負極活物質層
18 ガスケット
21 正極
22 負極

Claims (9)

  1. 非水溶媒と、
    マグネシウム塩と、
    下記式(1)で表される有機ホウ素アート錯体塩と、
    を備える、マグネシウム二次電池用非水電解液。
    Figure 2020235314

    [式(1)中、R1,R2,R3,及びR4は、それぞれ独立して、フッ化アルキル基を含む。]
  2. 前記非水溶媒がエーテル溶媒を含む、
    請求項1に記載のマグネシウム二次電池用非水電解液。
  3. 前記有機ホウ素アート錯体塩に前記エーテル溶媒が配位している、
    請求項2に記載のマグネシウム二次電池用非水電解液。
  4. 前記エーテル溶媒がグライムを含む、
    請求項2又は3に記載のマグネシウム二次電池用非水電解液。
  5. 前記グライムは、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム及びテトラグライムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、
    請求項4に記載のマグネシウム二次電池用非水電解液。
  6. 前記式(1)において、R1,R2,R3,及びR4は、それぞれ独立して、−Cxyzで表され、
    1≦x≦4、0≦y<9、及び1≦z≦9を満たす、
    請求項1から5のいずれか1項に記載のマグネシウム二次電池用非水電解液。
  7. 前記マグネシウム塩は、アニオンとして、[N(FSO22-、[N(CF3SO22-、[N(C25SO22-、及び[N(FSO2)(CF3SO2)]-からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、
    請求項1から6のいずれか1項に記載のマグネシウム二次電池用非水電解液。
  8. 前記マグネシウム塩のモル濃度及び前記有機ホウ素アート錯体塩のモル濃度の総和に対する前記有機ホウ素アート錯体塩のモル濃度の比率は、0.74以下である、
    請求項1から7のいずれか1項に記載のマグネシウム二次電池用非水電解液。
  9. 正極と、
    負極と、
    請求項1から8のいずれか1項に記載のマグネシウム二次電池用非水電解液と、
    を備える、マグネシウム二次電池。
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