JP2011249155A - 非水電解液空気電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】放電電圧をより高めることのできる非水電解液空気電池を提供する。
【解決手段】F型電気化学セル20は、ケーシング21に、正極23と負極25とがセパレータ27を介して互いに対向してセットされ、非水電解液28が正極23と負極25との間に注入されている。この非水電解液28には、リチウムイオンと、2価及び3価の金属のうち1以上である金属イオンMとが含まれている。金属イオンMとしては、Mg,Ca,Zn,Al,Gaのうち1以上の金属のイオンが好ましい。また、リチウムイオンに対する金属イオンMのモル比が0.03以上2.5以下であることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】F型電気化学セル20は、ケーシング21に、正極23と負極25とがセパレータ27を介して互いに対向してセットされ、非水電解液28が正極23と負極25との間に注入されている。この非水電解液28には、リチウムイオンと、2価及び3価の金属のうち1以上である金属イオンMとが含まれている。金属イオンMとしては、Mg,Ca,Zn,Al,Gaのうち1以上の金属のイオンが好ましい。また、リチウムイオンに対する金属イオンMのモル比が0.03以上2.5以下であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、非水電解液空気電池に関する。
従来、負極活物質に金属を用い、正極活物質に空気中の酸素を用いる充放電可能な空気電池が知られている。こうした空気電池では、正極活物質である酸素を電池内に内蔵する必要がないため高容量化が期待される。リチウムを負極活物質とする空気電池では、正極において酸素の電気化学反応が起こり、放電時にリチウム過酸化物やリチウム酸化物が生成し、充電時にこれらの酸化物が分解して酸素ガスが生成する。このような正極での酸素の酸化還元反応を促進するために、正極には触媒を含めることが多い。例えば特許文献1には、触媒としてコバルトフタロシアニンやコバルトポルフィリンなどを正極表面に担持させることが記載されている。また、非特許文献1には電解二酸化マンガンを担持させることが記載されている。
ところで、リチウム空気電池は、一般的に放電電位に対して充電電位が高くクーロン効率が低い。例えば、非特許文献1においては、放電電位が2.7V程度であるのに対して充電電位が4.5V程度である旨が例示されている。そして、充電電位を低下させるために正極に電解二酸化マンガン触媒を含ませることが提案されている。これにより、充電電位が4.2V程度にまで低下している。
ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.)、128巻、1390−1393頁、2006年
しかしながら、上記文献に記載されたものでは充電電圧を低減することができるが、クーロン効率を高める観点などから、放電電圧をより高めることが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、放電電圧をより高めることのできる非水電解液空気電池を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らは、リチウムイオンと、2価及び3価の金属イオンのうち1以上とを含む電解液を用いた非水電解液空気電池を作製したところ、放電電圧をより高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った
即ち、本発明の非水電解液空気電池は、
酸素の酸化還元触媒を有する正極と、
負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在し、リチウムイオンと、2価及び3価の金属イオンのうち1以上である金属イオンMとを有する非水電解液と、
を含むものである。
酸素の酸化還元触媒を有する正極と、
負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在し、リチウムイオンと、2価及び3価の金属イオンのうち1以上である金属イオンMとを有する非水電解液と、
を含むものである。
この非水電解液空気電池では、放電電圧をより高めることができる。このような効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推察される。放電時に正極上に生成する酸素ラジカルとリチウムとの反応は1電子反応であると考えられるが、電解液中に2価の金属イオン及び3価の金属イオンのうち1以上が共存するものでは2電子反応や4電子反応が促進されると推察される。このため、1電子反応の場合と比較して放電電圧をより高めることができるものと考えられる。
本発明の非水電解液空気電池は、酸素の酸化還元触媒を有する正極と、負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在し、リチウムイオンと、2価及び3価の金属イオンのうち1以上である金属イオンMとを有する非水電解液と、を含むものである。
本発明の非水電解液空気電池において、正極は、酸素の酸化還元触媒を含んでいる。この正極は、気体からの酸素を正極活物質とするものである。気体としては、空気であってもよいし酸素ガスであってもよい。酸素の酸化還元触媒としては、二酸化マンガン、四酸化三コバルトなどの金属酸化物であってもよいし、Pt、Pd、Coなどの金属であってもよいし、金属ポルフィリン、金属フタロシアニン、イオン化フラーレンなどの有機及び無機化合物であってもよい。このうち、電解二酸化マンガンであれば、容易に入手することができる点で好ましい。また、酸素の酸化還元触媒としては、安定なラジカル骨格を含む構造を有する安定ラジカル化合物であってもよい。ここで、安定なラジカル骨格とは、ラジカルとして存在している時間の長いものをいい、例えば電子スピン共鳴分析で測定されたスピン密度が1019spins/g以上、好ましくは1021spins/g以上のものとしてもよい。安定なラジカル化合物としては、例えば、ニトロキシルラジカルを有する骨格、オキシラジカルを有する骨格、窒素ラジカルを有する骨格、硫黄ラジカルを有する骨格、炭素ラジカルを有する骨格及びホウ素ラジカルを有する骨格からなる群より選ばれたラジカル骨格を有するものが好ましい。具体的には、式(1)〜(9)に示すようなニトロキシルラジカルを有する骨格、式(10)に示すようなフェノキシラジカル(オキシラジカル)を有する骨格、式(11)〜(13)に示すようなヒドラジルラジカル(窒素ラジカル)を有する骨格、式(14),(15)に示すような炭素ラジカルを有する骨格を含むものなどが挙げられる。このうち、特にニトロキシルラジカルを有する骨格を含むものが好ましく、式(1),(2),(4)に示すような骨格を有するものがより好ましい。安定ラジカル化合物は、上述した骨格単独のものであってもよいが、多環式芳香環が安定なラジカル骨格に連結した構造を有する化合物であってもよいし、ポリマーが安定なラジカル骨格に連結した構造を有する化合物であってもよい。前者の場合には、正極中で個々に分散して存在しやすいため還元触媒機能を十分発揮することができ、後者の場合には、正極から流出しにくいため長期にわたって還元触媒機能を発揮することができる。多環式芳香環としては、例えばナフタレンやフェナレン、トリフェニレン、アントラセン、ペリレン、フェナントレン、ピレンなどが挙げられる。ポリマーとしては、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどが挙げられる。ポリマーや多環式芳香環は、ラジカル骨格に直接連結していてもよいし、エステル結合、アミド結合、ウレア結合、ウレタン結合、カルバミド結合、エーテル結合及びスルフィド結合からなる群より選ばれたものをスペーサとし該スペーサを介してラジカル骨格に連結していてもよい。化合物Aは多環式芳香環(ピレン)がスペーサ(アミド結合)を介して安定なラジカル骨格に連結した構造を有する化合物の一例であり、化合物Xはポリマー(ポリプロピレン)がスペーサ(エステル結合)を介して安定なラジカル骨格に連結した構造を有する化合物の一例である。なお、ポリマーは数平均分子量が5千以上50万以下であることが好ましく、重量平均分子量が1万以上100万以下であることが好ましい。酸化還元触媒は正極合材あたり2重量%以上60重量%以下であることが好ましく、50重量%以上60重量%以下であることがより好ましい。2重量%以上であれば酸素の酸化還元を行うのに少なすぎず、60重量%以下であれば、後述する導電材や結着剤が少なくなりすぎず電気伝導性や強度を確保できるからである。
本発明のリチウム二次電池の正極は、例えばリチウムを吸蔵放出可能な正極活物質と導電材と結着剤とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着剤は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。バインダ量としては、触媒を担持した導電材100重量部に対し3重量部以上15重量部以下であることが好ましい。3重量部以上であれば、正極の強度を保つために十分であり、15重量部以下であれば、酸化還元触媒や導電材の量が少なくなりすぎず、電池反応の進行を阻害しないと考えられるからである。正極活物質、導電材、結着剤を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、酸素の拡散を速やかに行わせるため、網状やメッシュ状など多孔体であることが好ましく、ステンレス鋼やニッケル、アルミニウムなどの多孔体の金属板であってもよい。なお、この集電体は、酸化を抑制するためにその表面に耐酸化性の金属または合金の被膜を被覆したものでもよい。また、InSnO2、SnO2、ZnO、In2O3等の透明導電材又はフッ素ドープ酸化錫(SnO2:F)、アンチモンドープ酸化錫(SnO2:Sb)、錫ドープ酸化インジウム(In2O3:Sn)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(ZnO:Al)、ガリウムドープ酸化亜鉛(ZnO:Ga)等の不純物がドープされた材料の単層又は積層を、ガラスや高分子上に形成させたものでもよい。その膜厚は、特に限定されるものではないが、3nm以上10μm以下であることが好ましい。なお、ガラスや高分子の表面はフラットなものでもよいし、表面に凹凸を有しているものでもよい。
本発明の非水電解液空気電池において、負極は、負極活物質を有するものである。この負極活物質は、少なくともリチウムを吸蔵放出可能なものであればよく、空気電池に使用されるものであれば特に限定されない。リチウムを吸蔵放出可能な負極としては、例えば金属リチウムやリチウム合金のほか、金属酸化物、金属硫化物、リチウムを吸蔵放出する炭素質物質などが挙げられる。リチウム合金としては、例えばアルミニウムやスズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、シリコンなどとリチウムとの合金が挙げられる。金属酸化物としては、例えばスズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物などが挙げられる。金属硫化物としては、例えばスズ硫化物やチタン硫化物などが挙げられる。リチウムを吸蔵放出する炭素質物質としては、例えば黒鉛、コークス、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素などが挙げられる。この他、リン化鉄などとしてもよい。このような負極活物質を有するものとすれば、リチウム空気電池とすることができる。なお、負極活物質は、後述する金属イオンMを吸蔵放出可能なものとしてもよい。負極に用いられる導電材、結着剤、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、正極と同様のものを用いることができる。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。
本発明の非水電解液空気電池において、電解液は、正極と負極との間に介在し、リチウムイオンと、2価及び3価の金属イオンのうち1以上である金属イオンMとを有する非水電解液である。
本発明の非水電解液空気電池において、電解液は、例えば支持塩を非水系の溶媒に溶解させたものであってもよい。支持塩としては、リチウムを有する支持塩と、2価及び3価の金属イオンのうち1以上である金属イオンMになる金属Mを有する支持塩と、を用いることができる。リチウムを有する支持塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヘキサフルオロホスフェート塩(LiPF6),パークロレート塩(LiClO4),テトラフルオロボロン塩(LiBF4),ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(Li(CF3SO2)2N),ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド塩(LiN(C2F5SO2)2),トリフルオロメタンスルホン酸塩(Li(CF3SO3)),ノナフルオロブタンスルホン酸塩(Li(C4F9SO3))、などの公知の支持塩を用いることができる。このうち、Li(CF3SO2)2Nが好ましい。リチウムを有する支持塩は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。リチウムを有する支持塩を用いることで、電解液は、リチウムイオンを有するものとなる。金属Mは、2価及び3価の金属のうち1以上の金属イオンMになるものである。このようなものであれば、例えば、アルカリ土類金属であってもよいし、遷移金属であってもよいし、12族金属であってもよいし、13族金属であってもよい。アルカリ土類金属としてはMg,Ca,Sr,Ba、遷移金属としてはMn,Fe,Ni,Ce,Sm、12族金属としてはZn、13族金属としてはAl,Gaなどが好ましい。なかでも、Mg,Ca,Zn,Al,Gaのうち1以上であることがより好ましい。なお、上述したMg,Ca,Sr,Ba,Fe,Ni,Mn,Znは2価の金属イオンとなり、Fe,Ce,Sm,Al,Gaは3価の金属イオンとなる。金属Mを有する支持塩としては、金属Mが2価の金属イオンとなるもの(以下M1とする)である場合には、パークロレート塩(M1(ClO4)2),ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(M1[N(CF3SO2)2]2),ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド塩(M1[N(C2F5SO2)2]2),トリフルオロメタンスルホン酸塩(M1(CF3SO3)2),ノナフルオロブタンスルホン酸塩(M1(C4F9SO3)2)、などとすることができる。また、金属Mが3価の金属イオンとなるもの(以下M2とする)である場合には、パークロレート塩(M2(ClO4)3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(M2[N(CF3SO2)2]3)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド塩(M2[N(C2F5SO2)2]3),トリフルオロメタンスルホン酸塩(M2(CF3SO3)3)、ノナフルオロブタンスルホン酸塩(M2(C4F9SO3)2)などとすることができる。これらの金属Mを有する支持塩は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。金属Mを有する支持塩を用いることで、電解液は、2価及び3価の金属イオンのうち1以上である金属イオンMを有するものとなる。この非水電解液は、リチウムイオンに対する金属イオンMのモル比が、0.03以上2.5以下であることが好ましく、0.04以上2.0以下であることがより好ましく、0.2以上1.5以下であることがさらに好ましい。0.03以上、2.5以下であれば、放電電圧をより高めることができるからである。
電解液の溶媒には、エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,ブチレンカーボネート,ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジエチルカーボネート,ジメチルカーボネート,エチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート、ガンマブチロラクトン,ガンマバレロラクトンなどの環状エステルカーボネート、テトラヒドロフラン,2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル、ジメトキシエタン,エチレングリコールジメチルエーテルなどの鎖状エーテルなどのほか、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、3−メトキシプロピオニトリル、リン酸トリメチル、リン酸トリフェニル、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどの公知の有機溶媒を用いることができる。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいが、2以上を混合して用いてもよい。支持塩の濃度としては、上述したリチウムイオンと金属イオンMとの総量で0.1〜2.0Mとなるものであることが好ましく、0.5〜1.2Mとなるものであることがより好ましい。また、これらの有機溶媒の水素の全部又は一部が重水素である重水素化溶媒を用いてもよく、例えば、ジメチルスルホキシド―d6などを用いることができる。また、非水系電解液としては、そのほかにイオン性液体やゲル電解質などを用いてもよい。イオン性液体としては、N,N−ジエチル−N−エチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、N−メチル−N−プロピルピペリジウムビス(トリフルオロスルホニル)イミドなどを用いることができる。また、イオン性液体と上述した有機溶媒及び重水素化溶媒のうち1以上が含まれる混合溶媒であってもよい。ゲル電解質としては、公知のゲル電解質を用いることができ、例えば、ポリフッ化ビニリデンやポリエチレングリコール、ポリアクリロニトリルなどの高分子、 アミノ酸誘導体、ソルビトール誘導体などの糖類に、上述した支持塩を含む電解液を含ませてなるゲル電解質が挙げられる。
本発明の非水系空気二次電池は、正極と負極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、非水系空気二次電池の使用に耐え得る組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の微多孔フィルムが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複合して用いてもよい。
本発明の非水系空気二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態においては、負極活物質としてリチウムを吸蔵放出可能なものを用いたリチウム空気二次電池について説明したが、負極活物質は非水系空気二次電池に使用されるものであれば特に限定されない。
[実施例1]
正極は次のようにして作製した。触媒として電解二酸化マンガン(三井金属鉱業製)を10重量部、導電材としてケッチェンブラック(三菱化学製ECP−600JD)を85重量部、結着剤としてテフロンパウダー(ダイキン工業製,テフロンは登録商標)を5重量部の比率で、乳鉢を用いて混合かつ練り合わせた後、薄膜状に成形した合材を5mg、ステンレス製のメッシュ(ニラコ製SUS304)に圧着して、真空乾燥を行い、非水電解液空気二次電池の正極とした。負極には直径10mm、厚さ0.4mmの金属リチウム(本城金属製)を用いた。電解液は次のようにして調製した。まず、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(関東化学製)のジメチルスルホキシド(和光純薬製)溶液と0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレート(アルドリッチ製)のジメチルスルホキシド溶液をそれぞれ調製した。その後、MgイオンとLiイオンのモル比が[Mg]/[Li]=0.16/1となるように混合し、電解液とした。
正極は次のようにして作製した。触媒として電解二酸化マンガン(三井金属鉱業製)を10重量部、導電材としてケッチェンブラック(三菱化学製ECP−600JD)を85重量部、結着剤としてテフロンパウダー(ダイキン工業製,テフロンは登録商標)を5重量部の比率で、乳鉢を用いて混合かつ練り合わせた後、薄膜状に成形した合材を5mg、ステンレス製のメッシュ(ニラコ製SUS304)に圧着して、真空乾燥を行い、非水電解液空気二次電池の正極とした。負極には直径10mm、厚さ0.4mmの金属リチウム(本城金属製)を用いた。電解液は次のようにして調製した。まず、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(関東化学製)のジメチルスルホキシド(和光純薬製)溶液と0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレート(アルドリッチ製)のジメチルスルホキシド溶液をそれぞれ調製した。その後、MgイオンとLiイオンのモル比が[Mg]/[Li]=0.16/1となるように混合し、電解液とした。
図1は充放電試験に使用したF型電気化学セル20(北斗電工製)の断面図である。F型電気化学セル20はアルゴン雰囲気下のグローブボックス内で次のようにして組み立てた。まず、SUS製のケーシング21に負極25を設置し、セパレータ27(東燃タピルス製E25MMS)を介して正極23と負極25とを対向するようにセットし、電解液を5mL注入した。その後、正極23に発泡ニッケル板22を載せ、その上から空気が正極23側へ流通可能な押さえ部材29で押しつけることにより、セルを固定して実施例1の電気化学セルを得た。なお、F型電気化学セル20のガス溜め24にはドライ酸素を充填した。
このようにして得られたF型電気化学セル20を、北斗電工製の充放電装置(HJ1001SM8A)に接続し、正極23と負極25との間で正極合材あたり7.5mA/gの電流を流して、最大で正極合材あたり800mAh/gまで放電した。図2には、実施例1の放電曲線を示した。正極合材あたり200mAh/gでの放電電圧(以下では単に放電電圧とする)は2.95Vであった。
[比較例1]
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのジメチルスルホキシド溶液を用いた以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例1の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図2には、比較例1の放電曲線も示した。放電電圧は2.80Vであった。
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのジメチルスルホキシド溶液を用いた以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例1の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図2には、比較例1の放電曲線も示した。放電電圧は2.80Vであった。
[実施例2]
電解液として、[Mg]/[Li]=0.5/1となるようにしたものを用いた以外は実施例1と同様の工程を経て実施例2の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図3には、実施例2の放電曲線を示した。放電電圧は2.98Vであった。
電解液として、[Mg]/[Li]=0.5/1となるようにしたものを用いた以外は実施例1と同様の工程を経て実施例2の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図3には、実施例2の放電曲線を示した。放電電圧は2.98Vであった。
[実施例3]
実施例1と同様の工程を経て実施例3の電気化学セルを作製し、電流の大きさを15mA/gとして充放電試験を行った。図4には、実施例3の放電曲線を示した。放電電圧は2.90Vであった。
実施例1と同様の工程を経て実施例3の電気化学セルを作製し、電流の大きさを15mA/gとして充放電試験を行った。図4には、実施例3の放電曲線を示した。放電電圧は2.90Vであった。
[比較例2]
比較例1と同様の工程を経て比較例2の電気化学セルを作製し、電流の大きさを15mA/gとして充放電試験を行った。図4には、比較例2の放電曲線も示した。放電電圧は2.73Vであった。
比較例1と同様の工程を経て比較例2の電気化学セルを作製し、電流の大きさを15mA/gとして充放電試験を行った。図4には、比較例2の放電曲線も示した。放電電圧は2.73Vであった。
[実施例4〜6]
電解液として、[Mg]/[Li]=0.083/1となるようにしたものを用いた以外は実施例1と同様の工程を経て実施例4の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図5には、実施例4の放電曲線を示した。放電電圧は、2.90Vであった。また、電解液として、[Mg]/[Li]=1/1となるようにしたものを用いた以外は実施例1と同様の工程を経て実施例5の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。放電電圧は、2.94Vであった。また、電解液として、[Mg]/[Li]=2/1となるようにしたものを用いた以外は実施例1と同様の工程を経て実施例6の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。放電電圧は2.85Vであった。
電解液として、[Mg]/[Li]=0.083/1となるようにしたものを用いた以外は実施例1と同様の工程を経て実施例4の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図5には、実施例4の放電曲線を示した。放電電圧は、2.90Vであった。また、電解液として、[Mg]/[Li]=1/1となるようにしたものを用いた以外は実施例1と同様の工程を経て実施例5の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。放電電圧は、2.94Vであった。また、電解液として、[Mg]/[Li]=2/1となるようにしたものを用いた以外は実施例1と同様の工程を経て実施例6の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。放電電圧は2.85Vであった。
[比較例3]
電解液として、0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレートのジメチルスルホキシド溶液を用いた以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例3の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図6には、比較例3の放電曲線を示した。放電電圧は2.81Vであった。
電解液として、0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレートのジメチルスルホキシド溶液を用いた以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例3の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図6には、比較例3の放電曲線を示した。放電電圧は2.81Vであった。
[実施例7]
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート(富山薬品製)溶液と、0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレートのプロピレンカーボネート溶液とを、[Mg]/[Li]=0.2/1となるようにしたものを用いた以外は実施例1と同様の工程を経て実施例7の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図7には、実施例7の放電曲線を示した。放電電圧は2.86Vであった。
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート(富山薬品製)溶液と、0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレートのプロピレンカーボネート溶液とを、[Mg]/[Li]=0.2/1となるようにしたものを用いた以外は実施例1と同様の工程を経て実施例7の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図7には、実施例7の放電曲線を示した。放電電圧は2.86Vであった。
[比較例4]
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート溶液を用いた以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例4の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図7には、比較例4の放電曲線も示した。比較例4の放電電圧は2.68Vであった。
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート溶液を用いた以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例4の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図7には、比較例4の放電曲線も示した。比較例4の放電電圧は2.68Vであった。
[実施例8]
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート溶液と0.5モル/リットルのマグネシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート溶液(セントラル硝子製)を混合し、[Mg]/[Li]=0.2/1となるようにしたものを用いた以外は、実施例1と同様の工程を経て実施例8の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。放電電圧は2.87Vであった。
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート溶液と0.5モル/リットルのマグネシウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート溶液(セントラル硝子製)を混合し、[Mg]/[Li]=0.2/1となるようにしたものを用いた以外は、実施例1と同様の工程を経て実施例8の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。放電電圧は2.87Vであった。
[実施例9]
正極は次のようにして作製した。触媒として、上述した化合物X(ラジカルポリマー)を166mg(正極材料あたり54重量%)、導電材としてケッチェンブラック(三菱化学ECP−600JD)を116mg、結着剤としてテフロンパウダー(ダイキン工業製)を24.8mgを乾式で乳鉢を用いて混合かつ練り合わせた後、薄膜上に成形し、非水電解液空気二次電池の正極とした。また、電解液は次のようにして調製した。まず、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのジメチルスルホキシド溶液と0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレートのジメチルスルホキシド溶液をそれぞれ調製した。その後、マグネシウムイオンとリチウムイオンのモル比が[Mg]/[Li]=0.2/1となるように混合し、電解液とした。このような正極と電解液を用いた以外は、実施例1と同様の工程を経て実施例9の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図8には、実施例9の放電曲線を示した。放電電圧は2.95Vであった。化合物Xとしては、Chem.Phys.Lett.Vol.359,p351(2002)に従い、2、2'−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンメタクリレートモノマーの重合を行い、続いて、3−クロロパーベンゾイックアシッドで酸化することにより得られたものを用いた(数平均分子量9.2万,重量平均分子量22.9万)。
正極は次のようにして作製した。触媒として、上述した化合物X(ラジカルポリマー)を166mg(正極材料あたり54重量%)、導電材としてケッチェンブラック(三菱化学ECP−600JD)を116mg、結着剤としてテフロンパウダー(ダイキン工業製)を24.8mgを乾式で乳鉢を用いて混合かつ練り合わせた後、薄膜上に成形し、非水電解液空気二次電池の正極とした。また、電解液は次のようにして調製した。まず、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのジメチルスルホキシド溶液と0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレートのジメチルスルホキシド溶液をそれぞれ調製した。その後、マグネシウムイオンとリチウムイオンのモル比が[Mg]/[Li]=0.2/1となるように混合し、電解液とした。このような正極と電解液を用いた以外は、実施例1と同様の工程を経て実施例9の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図8には、実施例9の放電曲線を示した。放電電圧は2.95Vであった。化合物Xとしては、Chem.Phys.Lett.Vol.359,p351(2002)に従い、2、2'−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンメタクリレートモノマーの重合を行い、続いて、3−クロロパーベンゾイックアシッドで酸化することにより得られたものを用いた(数平均分子量9.2万,重量平均分子量22.9万)。
[比較例5]
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのジメチルスルホキシド溶液を用いた以外は、実施例9と同様の工程を経て比較例5の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図8には、比較例5の放電曲線も示した。放電電圧は2.75Vであった。
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのジメチルスルホキシド溶液を用いた以外は、実施例9と同様の工程を経て比較例5の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図8には、比較例5の放電曲線も示した。放電電圧は2.75Vであった。
[実施例10]
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの3−メトキシプロピオニトリル(和光純薬製)溶液と0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレートの3−メトキシプロピオニトリル溶液を、[Mg]/[Li]=0.2/1となるように混合したものを用いた以外は、実施例7と同様の工程を経て実施例10の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図9には、実施例10の放電曲線を示した。放電電圧は2.88Vであった。
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの3−メトキシプロピオニトリル(和光純薬製)溶液と0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレートの3−メトキシプロピオニトリル溶液を、[Mg]/[Li]=0.2/1となるように混合したものを用いた以外は、実施例7と同様の工程を経て実施例10の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図9には、実施例10の放電曲線を示した。放電電圧は2.88Vであった。
[比較例6]
電解液として、0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレートの3−メトキシプロピオニトリル溶液のみを用いた以外は、実施例10と同様の工程を経て比較例6の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図10には、比較例6の放電曲線を示した。放電電圧は2.77Vであった。
電解液として、0.5モル/リットルのマグネシウムパークロレートの3−メトキシプロピオニトリル溶液のみを用いた以外は、実施例10と同様の工程を経て比較例6の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図10には、比較例6の放電曲線を示した。放電電圧は2.77Vであった。
[実施例11]
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート溶液と0.5モル/リットルのカルシウムパークロレートのプロピレンカーボネート溶液(キシダ化学製)を、カルシウムイオンとリチウムイオンのモル比が[Ca]/[Li]=0.2/1となるように混合したものを用いた以外は、実施例7と同様の工程を経て実施例11の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図11には、実施例11の放電曲線を示した。放電電圧は2.90Vであった。
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート溶液と0.5モル/リットルのカルシウムパークロレートのプロピレンカーボネート溶液(キシダ化学製)を、カルシウムイオンとリチウムイオンのモル比が[Ca]/[Li]=0.2/1となるように混合したものを用いた以外は、実施例7と同様の工程を経て実施例11の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図11には、実施例11の放電曲線を示した。放電電圧は2.90Vであった。
[比較例7]
電解液として、0.5モル/リットルのカルシウムパークロレートのプロピレンカーボネート溶液を用いた以外は、実施例11と同様の工程を経て比較例7の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図12には、比較例7の放電曲線を示した。放電電圧は2.71Vであった。
電解液として、0.5モル/リットルのカルシウムパークロレートのプロピレンカーボネート溶液を用いた以外は、実施例11と同様の工程を経て比較例7の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図12には、比較例7の放電曲線を示した。放電電圧は2.71Vであった。
[実施例12]
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート溶液と0.1モル/リットルのアルミニウムパークロレートのプロピレンカーボネート溶液を、アルミニウムイオンとリチウムイオンのモル比が[Al]/[Li]=0.04/1となるように混合したものを用いた以外は、実施例7と同様の工程を経て実施例12の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図13には、実施例12の放電曲線を示した。放電電圧は2.83Vであった。
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート溶液と0.1モル/リットルのアルミニウムパークロレートのプロピレンカーボネート溶液を、アルミニウムイオンとリチウムイオンのモル比が[Al]/[Li]=0.04/1となるように混合したものを用いた以外は、実施例7と同様の工程を経て実施例12の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図13には、実施例12の放電曲線を示した。放電電圧は2.83Vであった。
[比較例8]
電解液として、0.1モル/リットルのアルミニウムパークロレートのプロピレンカーボネート溶液を用いた以外は、実施例12と同様の工程を経て比較例8の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図14には、比較例8の放電曲線を示した。放電電圧は2.64Vであった。
電解液として、0.1モル/リットルのアルミニウムパークロレートのプロピレンカーボネート溶液を用いた以外は、実施例12と同様の工程を経て比較例8の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図14には、比較例8の放電曲線を示した。放電電圧は2.64Vであった。
[実施例13]
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート溶液と0.5モル/リットルの亜鉛パークロレート(アルドリッチ製)のプロピレンカーボネート溶液を、亜鉛イオンとリチウムイオンのモル比が[Zn]/[Li]=0.15/1となるように混合したものを用いた以外は、実施例11と同様の工程を経て実施例13の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図15には、実施例13の放電曲線を示した。放電電圧は2.84Vであった。
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート溶液と0.5モル/リットルの亜鉛パークロレート(アルドリッチ製)のプロピレンカーボネート溶液を、亜鉛イオンとリチウムイオンのモル比が[Zn]/[Li]=0.15/1となるように混合したものを用いた以外は、実施例11と同様の工程を経て実施例13の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図15には、実施例13の放電曲線を示した。放電電圧は2.84Vであった。
[実施例14]
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート溶液と0.1モル/リットルのガリウムパークロレート(アルドリッチ製)のプロピレンカーボネート溶液を、ガリウムイオンとリチウムイオンのモル比が[Ga]/[Li]=0.04/1となるように混合したものを用いた以外は、実施例11と同様の工程を経て実施例14の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図16には、実施例14の放電曲線を示した。放電電圧は2.84Vであった。
電解液として、1モル/リットルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのプロピレンカーボネート溶液と0.1モル/リットルのガリウムパークロレート(アルドリッチ製)のプロピレンカーボネート溶液を、ガリウムイオンとリチウムイオンのモル比が[Ga]/[Li]=0.04/1となるように混合したものを用いた以外は、実施例11と同様の工程を経て実施例14の電気化学セルを作製し、充放電試験を行った。図16には、実施例14の放電曲線を示した。放電電圧は2.84Vであった。
[実験結果]
図17は、実施例1〜14及び比較例1〜8についての、[M]/[Li]に対する放電電圧を示すグラフである。これによれば、リチウムイオンと金属イオンMとの両方を電解液に含む実施例1〜14では、いずれか一方のみを含む比較例1〜8より放電電圧を高めることができることが分かった。グラフより、[M]/[Li]が0.03以上2.5以下であれば、放電電圧が2.81Vより大きいと推察され、好ましいことが分かった。なかでも、0.04以上2.0以下であれば、放電電圧が2.83以上となりより好ましく、0.2以上1.5以下であれば、放電電圧が2.85以上となりさらに好ましいことが分かった。金属イオンXとしては、CaやMgであれば放電電圧をより高めることができ好ましく、Caがより好ましいことが分かった。支持塩は、パークロレート塩でも、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩でも放電電圧を高めることができ、特に限定されるものではないことが分かった。電解液の溶媒としてはジメチルスルホキシドが放電電圧をより高める観点から好ましいが、支持塩の溶解性の観点などから3−メトキシプロピオニトリルやプロピレンカーボネートを用いてもよく、これらを用いても放電電圧を高めることができることが分かった。
図17は、実施例1〜14及び比較例1〜8についての、[M]/[Li]に対する放電電圧を示すグラフである。これによれば、リチウムイオンと金属イオンMとの両方を電解液に含む実施例1〜14では、いずれか一方のみを含む比較例1〜8より放電電圧を高めることができることが分かった。グラフより、[M]/[Li]が0.03以上2.5以下であれば、放電電圧が2.81Vより大きいと推察され、好ましいことが分かった。なかでも、0.04以上2.0以下であれば、放電電圧が2.83以上となりより好ましく、0.2以上1.5以下であれば、放電電圧が2.85以上となりさらに好ましいことが分かった。金属イオンXとしては、CaやMgであれば放電電圧をより高めることができ好ましく、Caがより好ましいことが分かった。支持塩は、パークロレート塩でも、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩でも放電電圧を高めることができ、特に限定されるものではないことが分かった。電解液の溶媒としてはジメチルスルホキシドが放電電圧をより高める観点から好ましいが、支持塩の溶解性の観点などから3−メトキシプロピオニトリルやプロピレンカーボネートを用いてもよく、これらを用いても放電電圧を高めることができることが分かった。
20 F型電気化学セル、21 ケーシング、22 発泡ニッケル板、23 正極、24 ガス溜め、25 負極、27 セパレータ、28 電解液、29 押さえ部材。
Claims (3)
- 酸素の酸化還元触媒を有する正極と、
負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在し、リチウムイオンと、2価及び3価の金属イオンのうち1以上である金属イオンMとを有する非水電解液と、
を含む非水電解液空気電池。 - 前記金属イオンMは、Mg,Ca,Zn,Al,Gaのうち1以上の金属のイオンである、請求項1に記載の非水電解液空気電池。
- 前記リチウムイオンに対する前記金属イオンMのモル比が、0.03以上2.5以下である、請求項1又は2に記載の非水電解液空気電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010121529A JP2011249155A (ja) | 2010-05-27 | 2010-05-27 | 非水電解液空気電池 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010121529A JP2011249155A (ja) | 2010-05-27 | 2010-05-27 | 非水電解液空気電池 |
Publications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013218786A (ja) * | 2012-04-04 | 2013-10-24 | Toyota Central R&D Labs Inc | 非水系空気電池 |
JP2014035868A (ja) * | 2012-08-08 | 2014-02-24 | Denso Corp | マグネシウム二次電池 |
-
2010
- 2010-05-27 JP JP2010121529A patent/JP2011249155A/ja active Pending
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