JP5585372B2 - 非水電解液空気電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解液空気電池に関する。
従来、負極活物質に金属を用い、正極活物質に空気中の酸素を用いる充放電可能な空気電池が知られている。こうした空気電池では、正極活物質である酸素を電池内に内蔵する必要がないため高容量化が期待される。リチウムを負極活物質とする空気電池では、正極において酸素の電気化学反応が起こり、放電時にリチウム過酸化物やリチウム酸化物が生成し、充電時にこれらの酸化物が分解して酸素ガスが生成する。このような正極での酸素の酸化還元反応を促進するために、正極には触媒を含めることが多い。例えば特許文献1には、触媒としてコバルトフタロシアニンやコバルトポルフィリンなどを正極表面に担持させることが記載されている。また、非特許文献1には電解二酸化マンガンを担持させることが記載されている。
ところで、リチウム空気電池は、一般的に放電電位に対して充電電位が高くクーロン効率が低い。例えば、非特許文献1においては、放電電位が2.7V程度であるのに対して充電電位が4.5V程度である旨が例示されている。そして、充電電位を低下させるために正極に電解二酸化マンガン触媒を含ませることが提案されている。これにより、充電電位が4.2V程度にまで低下している。
特開2006−286414号公報
ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.)、128巻、1390−1393頁、2006年
しかしながら、上記文献に記載されたものでは充電電圧を低減してクーロン効率を高めることができるが、まだ十分ではなかった。このため、非水電解液空気電池において、放電電圧を高めクーロン効率をさらに高めることが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、非水電解液空気電池において、放電電圧をより高めることができるものを提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らは、非水電解液リチウム空気電池において、電解液中のカチオンとしてリチウム以外にフラーレンの球殻構造表面上にアンモニウムカチオンを少なくとも2個以上有するフラーレン誘導体を共存させたものを作製したところ、放電電圧を高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った
即ち、本発明の非水電解液空気電池は、
酸素の酸化還元触媒を有する正極と、
負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在し、非金属多価カチオン塩を含む非水電解液と、を備えたものである。
この非水電解液空気電池では、放電電圧をより高めることができる。このような効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推察される。電解液に非金属多価カチオン塩を含むものでは、放電時に正極上に生成する酸素ラジカルと、リチウムとの反応が、1電子反応だけでなく、2電子反応や4電子反応を含むものとなると推察される。そして、2電子反応や4電子反応は1電子反応より高電位で生じるため、放電電圧を高めることができると考えられる。
本発明の非水電解液空気電池の一例を示す模式図である。 化合物Aの質量分析結果を示すグラフである。 F型電気化学セル20の断面図である。 実施例1の充放電曲線である。 比較例1の充放電曲線である。 実施例2のサイクル毎の放電電圧を示すグラフである。 実施例3のサイクル毎の放電電圧を示すグラフである。 実施例4の充放電曲線である。 実施例5の充放電曲線である。 実施例6の充放電曲線である。 実施例7のサイクル毎の放電電圧を示すグラフである。 比較例2の充放電曲線である。 比較例3の充放電曲線である。
本発明の非水電解液空気電池は、酸素の酸化還元触媒を有する正極と、負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在し、非金属多価カチオン塩を含む非水電解液と、を備えたものである。以下では、本発明の非水電解液空気電池の一例として、負極活物質にリチウムを吸蔵放出可能なものを用いたリチウム空気電池について説明する。
本発明の非水電解液空気電池において、非水電解液は、非金属多価カチオン塩を含むものである。このような本発明の非水電解液空気電池では、放電電圧をより高めることができる。この理由は明らかではないが、以下のように推察される。空気電池において、放電時には、正極上に酸素ラジカルが生成する。例えば、カチオンとしてリチウムイオンだけが含まれている場合には、生成した酸素ラジカルとリチウムイオンとの反応は1電子反応であると考えられる。これに対して、カチオンとして多価カチオンが含まれている場合には、酸素ラジカルとリチウムイオンとの反応が、1電子反応だけでなく2電子反応や4電子反応を含むものとなると考えられる。そして、2電子反応や4電子反応は、1電子反応と比べて高電位で進行するため、多価カチオンが含まれている本発明の非水電解液空気電池では、放電電圧を高めることができると考えられる。これに加えて、非水電解液に非金属多価カチオン塩を含む本発明の非水電解液空気電池では、Mg2+やAl3+などの金属多価カチオンの塩を含む場合と比較して十分に充放電を行う(充放電を繰り返す)ことができる。この理由は、以下のように推察される。多価カチオンが金属多価カチオンである場合には、放電反応によって分解されにくいMgOなどの金属酸化物やLi2MgO2などの金属複合酸化物などが生成し、これらが電極上に堆積して充放電反応(酸化還元反応)を阻害することがある。これに対して、多価カチオンが非金属多価カチオンである場合には、酸化物や複合酸化物の生成や電極上への堆積が起こりにくいため、充放電を行うことができる、すなわち、充放電可能であると考えられる。
非金属多価カチオン塩は、特に限定されるものではなく、有機系のものでもよいし、フラーレンにアニオンやカチオンを導入したフラーレン誘導体などでもよい。有機系のものとしては、例えば、構造内に第4級アンモニウム(アンモニウムカチオン)を2個以上有するものなどが挙げられる。フラーレン誘導体としては、フラーレンにアニオンを導入したものやフラーレンにカチオンを導入したものなどが挙げられる。このうち、カチオンを導入したものであることが好ましい。すなわち、フラーレン誘導体は、フラーレンに2個以上のカチオンを導入したカチオン部分と、アニオン部分と、を有するものであることが好ましい。この場合、フラーレン誘導体のカチオン部分において、導入したカチオンは2個以上であればよいが、2個以上8個以下であることがより好ましく、2個以上7個以下であることがより好ましい。2個以上であれば導入したカチオンが1価カチオンである場合であっても、フラーレン誘導体のカチオン部分は多価カチオンとなり、酸素ラジカルとリチウムイオンの2電子反応や4電子反応を促進することができると考えられるからである。また、8個以下であれば、比較的容易に製造できるからである。導入したカチオンの個数は、各フラーレン誘導体ごとに異なるものとしてもよいし、同一としてもよい。異なるものとすれば、単離などを要さず、より容易に合成できる点で好ましい。また、同一のものとすれば、電池間での性能差を小さくすることが可能であり好ましい。なお、この導入したカチオンの個数は、質量分析などで求めることができる。また、導入したカチオンは、特に限定されるものではないが、非金属カチオンであることが好ましく、例えば、アンモニウムカチオンなどとすることが好ましい。アンモニウムカチオンとしては、例えば、窒素の結合手4個のうち1個以上が直接的又は間接的にフラーレンと結合し、フラーレンと結合していない結合手がそれぞれ水素原子や炭化水素基と結合しているものとすることができる。このうち、2個がフラーレンと結合し、残りの2個がそれぞれ水素原子や炭化水素基と結合しているものであることが好ましい。ここで、炭化水素基としては、鎖状(直鎖でもよいし分岐鎖を有していてもよい)の炭化水素基や環状の炭化水素基が好ましく、炭素数は1〜20が好ましい。鎖状の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデカニル基、ドデカニル基などの飽和炭化水素基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基などの不飽和炭化水素基などが挙げられる。また、環状の炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基などが挙げられる。なお、この炭化水素基は、分岐鎖を有していてもよいし、置換基を有していてもよい。窒素と結合する水素原子や炭化水素基としては、上述したもののうち、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が特に好ましい。なお、これらの水素原子や炭化水素基は、1種類であってもよいし2種類以上であってもよい。このようなアンモニウムカチオンの具体例としては、例えば、フラーレンの一部と一体となって、N,N−ジメチルアジリジニウムのようなアジリジニウムを形成するものや、N,N−ジメチルピロリジニウムのようなピロリジニウムを形成するものや、N,N−ジメチルピペリジニウムのようなピペリジニウムを形成するものなどが挙げられる。導入したカチオンは1種類であってもよいし2種類以上であってもよい。なお、上述の説明では、非金属多価カチオンのカチオン部分全体を表すものと区別するために便宜的に「導入したカチオン」の語を用いたが、必ずしもフラーレンに導入したものでなくてもよく、例えば、フラーレンを合成する際に同時に形成されるものなどであってもよい。フラーレンは特に限定されるものではないが、例えばC60,C70,C74,C76,C78,C80,C82,C84,C90,C96 などとすることができる。このうち、C60,C70,C74など、炭素数が小さいものであれば、重量を抑えることができ好ましい。また、C60,C70,C82などであれば、入手が容易であり好ましい。また、アニオンは、特に限定されるものではないが、例えば、イミドアニオン、スルホン酸アニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン(PF6 -)、パークロレートアニオン(ClO4 -)、テトラフルオロボレートアニオン(BF4 -)、ペンタフルオロアルシンアニオン(AsF5 -)などとすることができる。このうち、イミドアニオン、パークロレートアニオン(ClO4 -)又はテトラフルオロボレートアニオン(BF4 -)であることが好ましい。また、ペンタフルオロアルシンアニオン(AsF5 -)も好ましい。イミドアニオンとしては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン(((CF3SO22N)-)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン(((C25SO22N)-)などが挙げられる。また、スルホン酸塩としては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン((CF3SO3-),ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン((C49SO3-)などが挙げられる。
非金属多価カチオン塩は、例えば、式(1)で表されるフラーレン誘導体である化合物Zとしてもよい。ここで、式(1)におけるnは、Fuに結合したピロリジニウム基の数を表すが、2〜8のいずれかの整数である。このうち、nは2〜7のいずれかであることが好ましい。このnは1つの値でもよいし、2つ以上の値であってもよい。Fuは、フラーレンC60,C70,C74,C76,C78,C80,C82,C84,C90及びC96のいずれか1種であってもよいし、2種以上の混合物であってもよいが、フラーレンC60であることが製造コストが最も安いという理由から好ましい。R1,R2は、それぞれ独立して水素原子又は分岐を有していてもよいアルキル基であるが、炭素数が1〜4のアルキル基であることが炭素数が5以上のアルキル基のフラーレン誘導体の合成時の収率が極めて低いという理由から好ましく、分岐を有していない直鎖状であることが分岐を有しているものよりも合成時の収率が高いという理由から好ましい。このようなアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が挙げられる。X-は、イミドアニオン、パークロレートアニオン(ClO4 -)又はテトラフルオロボレートアニオン(BF4 -)であることが好ましい。
Figure 0005585372
フラーレン誘導体は、例えば、式(2)で表される化合物のようにハロゲンアニオンを有するものについて、I-などのハロゲンアニオンを所望のアニオンと置換して得ることができる。式(2)で表される化合物は、例えば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティの115巻、9798頁に記載された既存の方法により合成することができる。なお、式(2)で表される化合物は式(3)で表される化合物にヨウ化メチルなどのハロゲン化アルキルを反応させるなどして得られるものである。
Figure 0005585372
非金属多価カチオン塩は、電解液1mlに対して0.02g/mL以上0.2g/mL以下の範囲で含まれることが好ましい。0.02g/mL以上であれば、放電電圧を十分に高めることができると考えられるからである。また、0.2g/mL以下であれば、電解液に十分に溶解することができるからである。なお、この範囲は、2価〜8価の非金属多価カチオン塩が混在するものである場合に適用するものとしてもよい。また、非金属多価カチオンがフラーレン誘導体であり、フラーレンがC60である場合に適用するものとしてもよい。さらに、式(1)においてフラーレンがC60であり、n=2〜8のものが混在する場合に適用するものとしてもよい。
本発明の非水電解液空気電池において、電解液は、非金属多価カチオン塩のほかに、例えばリチウムを有する支持塩を非水系の溶媒に溶解させたものであってもよい。リチウムを有する支持塩は、特に限定されるものではないが、例えば、ヘキサフルオロホスフェート塩(LiPF6),パークロレート塩(LiClO4),テトラフルオロボレート塩(LiBF4),ペンタフルオロアルシン塩(LiAsF5),ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(Li(CF3SO22N),ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド塩(LiN(C25SO22),トリフルオロメタンスルホン酸塩(Li(CF3SO3)),ノナフルオロブタンスルホン酸塩(Li(C49SO3))、などの公知の支持塩を用いることができる。このうち、パークロレート塩、テトラフルオロボレート塩、イミド塩であることが好ましく、Li(CF3SO22Nがより好ましい。また、ペンタフルオロアルシン塩(LiAsF5)も好ましい。この支持塩の濃度としては、0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることが好ましい。リチウムを有する支持塩は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
電解液の溶媒には、エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,ブチレンカーボネート,ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジエチルカーボネート,ジメチルカーボネート,エチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート、ガンマブチロラクトン,ガンマバレロラクトンなどの環状エステルカーボネート、テトラヒドロフラン,2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル、ジメトキシエタン,エチレングリコールジメチルエーテルなどの鎖状エーテルなどのほか、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、3−メトキシプロピオニトリル、リン酸トリメチル、リン酸トリフェニル、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどの公知の有機溶媒を用いることができる。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいが、2以上を混合して用いてもよい。また、これらの有機溶媒の水素の全部又は一部が重水素である重水素化溶媒を用いてもよく、3−メトキシプロピオニトリルやジメチルスルホキシドの重水素化溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド―d6などを用いることができる。また、非水系電解液は、イオン性液体でもよい。イオン性液体としては、N,N−ジエチル−N−エチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、N−メチル−N−プロピルピペリジウムビス(トリフルオロスルホニル)イミドなどが挙げられる。また、イオン性液体と上述した有機溶媒及び重水素化溶媒のうち1以上とが含まれる混合溶媒であってもよい。また、非水電解液は、ゲル電解質などでもよい。ゲル電解質としては、公知のゲル電解質を用いることができ、例えば、ポリフッ化ビニリデンやポリエチレングリコール、ポリアクリロニトリルなどの高分子、 アミノ酸誘導体、ソルビトール誘導体などの糖類に、上述した支持塩を含む電解液を含ませてなるゲル電解質が挙げられる。
本発明の非水電解液空気電池において、正極は、酸素の酸化還元触媒を含んでいる。この正極は、気体からの酸素を正極活物質とするものである。気体としては、空気であってもよいし酸素ガスであってもよい。酸素の酸化還元触媒としては、二酸化マンガン、四酸化三コバルトなどの金属酸化物であってもよいし、Pt、Pd、Coなどの金属であってもよいし、金属ポルフィリン、金属フタロシアニン、イオン化フラーレンなどの有機及び無機化合物であってもよい。このうち、電解二酸化マンガンであれば、容易に入手することができる点で好ましい。また、酸素の酸化還元触媒としては、安定なラジカル骨格を含む構造を有する安定ラジカル化合物であってもよい。ここで、安定なラジカル骨格とは、ラジカルとして存在している時間の長いものをいい、例えば電子スピン共鳴分析で測定されたスピン密度が1019spins/g以上、好ましくは1021spins/g以上のものとしてもよい。安定なラジカル化合物としては、例えば、ニトロキシルラジカルを有する骨格、オキシラジカルを有する骨格、窒素ラジカルを有する骨格、硫黄ラジカルを有する骨格、炭素ラジカルを有する骨格及びホウ素ラジカルを有する骨格からなる群より選ばれたラジカル骨格を有するものが好ましい。具体的には、式(4)〜(12)に示すようなニトロキシルラジカルを有する骨格、式(13)に示すようなフェノキシラジカル(オキシラジカル)を有する骨格、式(13)〜(16)に示すようなヒドラジルラジカル(窒素ラジカル)を有する骨格、式(17),(18)に示すような炭素ラジカルを有する骨格を含むものなどが挙げられる。このうち、特にニトロキシルラジカルを有する骨格を含むものが好ましく、式(4),(5),(7)に示すような骨格を有するものがより好ましい。安定ラジカル化合物は、上述した骨格単独のものであってもよいが、多環式芳香環が安定なラジカル骨格に連結した構造を有する化合物であってもよいし、ポリマーが安定なラジカル骨格に連結した構造を有する化合物であってもよい。前者の場合には、正極中で個々に分散して存在しやすいため還元触媒機能を十分発揮することができ、後者の場合には、正極から流出しにくいため長期にわたって還元触媒機能を発揮することができる。多環式芳香環としては、例えばナフタレンやフェナレン、トリフェニレン、アントラセン、ペリレン、フェナントレン、ピレンなどが挙げられる。ポリマーとしては、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどが挙げられる。ポリマーや多環式芳香環は、ラジカル骨格に直接連結していてもよいし、エステル結合、アミド結合、ウレア結合、ウレタン結合、カルバミド結合、エーテル結合及びスルフィド結合からなる群より選ばれたものをスペーサとし該スペーサを介してラジカル骨格に連結していてもよい。式(19)は多環式芳香環(ピレン)がスペーサ(アミド結合)を介して安定なラジカル骨格に連結した構造を有する化合物の一例であり、式(20)はポリマー(ポリプロピレン)がスペーサ(エステル結合)を介して安定なラジカル骨格に連結した構造を有する化合物の一例である。なお、ポリマーは数平均分子量が5千以上50万以下であることが好ましく、重量平均分子量が1万以上100万以下であることが好ましい。酸化還元触媒は正極合材あたり2重量%以上60重量%以下であることが好ましく、50重量%以上60重量%以下であることがより好ましい。2重量%以上であれば酸素の酸化還元を行うのに少なすぎず、60重量%以下であれば、後述する導電材や結着剤が少なくなりすぎず電気伝導性や強度を確保できるからである。
Figure 0005585372
Figure 0005585372
本発明のリチウム二次電池の正極は、例えばリチウムを吸蔵放出可能な正極活物質と導電材と結着剤とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着剤は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。バインダ量としては、触媒を担持した導電材100重量部に対し3重量部以上15重量部以下であることが好ましい。3重量部以上であれば、正極の強度を保つために十分であり、15重量部以下であれば、酸化還元触媒や導電材の量が少なくなりすぎず、電池反応の進行を阻害しないと考えられるからである。正極活物質、導電材、結着剤を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、酸素の拡散を速やかに行わせるため、網状やメッシュ状など多孔体であることが好ましく、ステンレス鋼やニッケル、アルミニウムなどの多孔体の金属板であってもよい。なお、この集電体は、酸化を抑制するためにその表面に耐酸化性の金属または合金の被膜を被覆したものでもよい。また、InSnO2、SnO2、ZnO、In23等の透明導電材又はフッ素ドープ酸化錫(SnO2:F)、アンチモンドープ酸化錫(SnO2:Sb)、錫ドープ酸化インジウム(In23:Sn)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(ZnO:Al)、ガリウムドープ酸化亜鉛(ZnO:Ga)等の不純物がドープされた材料の単層又は積層を、ガラスや高分子上に形成させたものでもよい。その膜厚は、特に限定されるものではないが、3nm以上10μm以下であることが好ましい。なお、ガラスや高分子の表面はフラットなものでもよいし、表面に凹凸を有しているものでもよい。
本発明の非水電解液空気電池において、負極は、負極活物質を有するものである。この負極活物質は、少なくともリチウムを吸蔵放出可能なものであればよく、空気電池に使用されるものであれば特に限定されない。リチウムを吸蔵放出可能な負極としては、例えば金属リチウムやリチウム合金のほか、金属酸化物、金属硫化物、リチウムを吸蔵放出する炭素質物質などが挙げられる。リチウム合金としては、例えばアルミニウムやスズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、シリコンなどとリチウムとの合金が挙げられる。金属酸化物としては、例えばスズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物などが挙げられる。金属硫化物としては、例えばスズ硫化物やチタン硫化物などが挙げられる。リチウムを吸蔵放出する炭素質物質としては、例えば黒鉛、コークス、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素などが挙げられる。この他、リン化鉄などとしてもよい。このような負極活物質を有するものとすれば、リチウム空気電池とすることができる。負極に用いられる導電材、結着剤、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、正極と同様のものを用いることができる。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。
本発明の非水系空気二次電池は、正極と負極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、非水系空気二次電池の使用に耐え得る組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の微多孔フィルムが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複合して用いてもよい。
本発明の非水系空気二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。本発明の非水電解液空気電池の一例を図1に模式的に示す。この非水電解液空気電池10は、リチウム負極14と正極16との間に電解液18を備えたものである。このうち、電解液18は、非金属多価カチオン塩を含む非水電解液である。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態においては、負極活物質としてリチウムを吸蔵放出可能なものを用いたリチウム空気電池について説明したが、これに限定されず、リチウム以外を吸蔵放出可能な負極活物質を用いたものであってもよい。
以下には、本発明の非水電解液空気電池を具体的に作成した例を示す。
(実施例1)
[フラーレン誘導体の合成]
まず、フラーレンC60(東京化成工業製)0.1gをトルエン100mLに50℃にて溶解させ、これにパラホルムアルデヒド(アルドリッチ製)125mgと、N−メチルグリシン(アルドリッチ製)110mgとを加え、直ちに120℃まで加熱してトルエンを還流させた。2時間還流後冷却して、濃褐色の透明液体を得た。次にこの溶液をシリカゲルのクロマトグラフにかけ、式(21)で表される化合物Aを得た。この化合物Aは、C60にN−メチルピロリジンが付いた化合物である。この化合物Aについて、質量分析を行った。ここでの質量分析は、MALDI−MS分析であり、ブルーカー・ダルトニクス(Bruker Daltonics)製のオートフレックス(Autoflex)を使用して行った。図2は、化合物Aの質量分析結果を示すグラフである。このグラフより、化合物Aは、n=2〜8であるものの混合物であることが分かった。次に、得られた化合物Aの100mgを、トルエン25mLにサンプル瓶の中で室温にて溶解させ、続いて、ヨウ化メチル(東京化成製)を15mL加えて、サンプル瓶をアルミ箔で覆った後、室温下で96時間攪拌し続けた。96時間後、溶液中に沈殿した生成物をろ過して、式(22)で表される化合物Bを得た。この化合物Bは、フラーレンC60にN,N−ジメチルピロリジニウムアイオダイドが付いた化合物である。続いて、化合物Bの150mgを、リチウム(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を1mol/L 溶解した水溶液30mLに懸濁させて、ヨウ素アニオンをイミドアニオンに置換して、式(23)で表される化合物Cを得た。この化合物Cは、フラーレンC60にN,N−ジメチルピロリジニウムのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩が付いた化合物である。このようにして得られた化合物Cを実施例1のフラーレン誘導体とした。なお、ここでは、質量分析は、カチオンが導入されていない化合物Aについて行ったが、カチオンが導入された化合物Bや化合物Cについて行ってもよい。
Figure 0005585372
[評価セルの作製]
正極は次のようにして作製した。触媒として電解二酸化マンガンを10重量部、導電助剤としてケッチェンブラック(三菱化学製ECP−600JD)を85重量部、バインダーとしてテフロンパウダー(ダイキン工業製、テフロンは登録商標)を5重量部の比率で、乳鉢を用いて混合かつ練り合わせた後、薄膜状に成形した合材を5mg、ステンレス製のメッシュ(ニラコ製SUS304)に圧着して、真空乾燥を行い、非水電解液空気二次電池の正極とした。 負極には直径10mm、厚さ0.4mmの金属リチウム(本城金属製)を用いた。図3に示す北斗電工製のF型電気化学セルにアルゴン雰囲気下のグローブボックス内で正極と負極をセットし、電解液を1mL注入した。電解液は以下のようにして得た。まず、1mol/Lのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(関東化学製)のジメチルスルホキシド(和光純薬製)溶液を2mL調製し、さらに化合物Cを0.2g溶解して電解液とした。電解液は、ジメチルスルホキシド1gに対して0.1gの化合物Cを含んでいる。なお、F型セル(評価セル)のガス溜め34にはドライ酸素を充填した。
[充放電試験]
北斗電工製の充放電装置(HJ1001SM8A)にF型セルを接続し、正極と負極の間で正極材料あたり5mA/gの電流を流して、最大で正極合材あたり500mAh/gまで放電し、正極合材あたり500mAh/gまで充電した。なお、正極合材あたり500mAh/gとなる前に充電電圧が4Vに達した場合には、その時点まで充電を行うものとした。そして、このような充放電を繰り返し、正極合材あたり300mAh/g時点での放電電圧を測定した。図4は、実施例1の充放電曲線である。図4には、1サイクル目及び2サイクル目の充放電曲線を示した。実施例1では、放電電圧は1サイクル目で2.91V、 2サイクル目で2.94Vであった。
(比較例1)
電解液に化合物Cを加えなかった、すなわち、電解液として1mol/Lのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのジメチルスルホキシド溶液を用いたこと以外は実施例1と同様に比較例1の評価セルを作製し充放電試験を行った。図5は、比較例1の充放電曲線である。図5には、1サイクル目の充放電曲線を示した。比較例1では、放電電圧は1サイクル目で2.80Vであった。
(実施例2)
実施例1と同様の工程を経て実施例2の評価セルを作製した。この評価セルについて、充放電サイクルを6回行なった以外は、実施例1と同様に充放電試験を行った。図6は、実施例2のサイクル毎の放電電圧を示すグラフである。実施例2では、放電電圧は1サイクル目で2.91V、6サイクル目で2.98Vであった。
(実施例3)
化合物Cを0.15g溶解して電解液とした以外は実施例1と同様の工程を経て実施例3の評価セルを作製した。電解液は、ジメチルスルホキシド1gに対して0.075gの化合物Cを含んでいる。この評価セルについて、実施例2と同様に充放電試験を行った。図7は、実施例3のサイクル毎の放電電圧を示すグラフである。実施例3では、放電電圧は、1サイクル目で2.84V、6サイクル目で2.90Vであった。
(実施例4)
化合物Cを0.08g溶解して電解液とした以外は実施例1と同様の工程を経て実施例4の評価セルを作製した。電解液は、ジメチルスルホキシド1gに対して0.04gの化合物Cを含んでいる。この評価セルについて、実施例1と同様に充放電試験を行った。図8は、実施例4の充放電曲線である。実施例4では、放電電圧は1サイクル目で2.82V、 2サイクル目で2.84Vであった。
(実施例5)
化合物Dを以下のように合成した。まず、化合物Bを実施例1と同様に合成した。続いて、化合物Bの150mgを、過塩素酸リチウムを1mol/L 溶解した水溶液30mLに懸濁させて、ヨウ素アニオンを過塩素酸アニオンに置換して、化合物Dを得た。この化合物Dは、フラーレンC60にN,N−ジメチルピロリジニウムパークロレートが付いたものである。このようにして得られた化合物Dを実施例5のフラーレン誘導体とした。
Figure 0005585372
化合物Cに代えて式(24)で表される化合物Dを溶解して電解液とした以外は実施例1と同様の工程を経て実施例5の評価セルを作製した。電解液は、ジメチルスルホキシド1gに対して0.1gの化合物Dを含んでいる。この評価セルについて、実施例1と同様に充放電試験を行った。図9は、実施例5の充放電曲線である。実施例5では、放電電圧は1サイクル目で2.88Vであった。
(実施例6)
式(25)で表される化合物Eを以下のように合成した。まず、化合物Bを実施例1と同様に合成した。続いて、化合物Bの150mgを、テトラフルオロホウ酸リチウムを1mol/L 溶解した水溶液30mLに懸濁させて、ヨウ素アニオンをテトラフルオロホウ酸アニオンに置換して、化合物Eを得た。この化合物Eは、フラーレンC60にN,N−ジメチルピロリジニウムテトラフルオロボレートが付いたものである。このようにして得られた化合物Eを実施例6のフラーレン誘導体とした。
Figure 0005585372
化合物Cに代えて化合物Eを溶解して電解液とした以外は実施例1と同様の工程を経て実施例6の評価セルを作製した。電解液は、ジメチルスルホキシド1gに対して0.1gの化合物Eを含んでいる。この評価セルについて、実施例1と同様に充放電試験を行った。図10は実施例6の充放電曲線である。実施例6では、放電電圧は1サイクル目で2.86Vであった。なお、この実施例6では、正極合材あたり300mAh/gを超えた辺りで充電電圧が急激に上昇したが、これは、装置の不具合によるものと推察された。また、少なくとも、300mAh/g程度までの範囲で充電可能であることが分かった。
(実施例7)
0.2gの化合物Cに代えて、0.1gの化合物Cと0.1gの化合物Dとを溶解して電解液とした以外は実施例1と同様の工程を経て実施例7の評価セルを作製した。電解液は、ジメチルスルホキシド1gに対して0.05gの化合物Dと0.05gの化合物Eとを含んでいる。この評価セルについて、実施例2と同様に充放電試験を行った。図11は、実施例7のサイクル毎の放電電圧を示すグラフである。この放電電圧は、正極合材あたり300mAh/gの時点の値である。 実施例7では、放電電圧は1サイクル目で2.82V、6サイクル目で2.92Vであった。
(比較例2)
式(26)で表される化合物Fを以下のように合成した。まず、フラーレンC60(東京化成工業製)0.1gをトルエン100mLに50℃にて溶解させ、これにパラホルムアルデヒド(アルドリッチ製)23mgと、N−メチルグリシン(アルドリッチ製)26mgとを加え、直ちに120℃まで加熱してトルエンを還流させた。2時間還流後冷却して、濃褐色の透明液体を得た。次にこの溶液をシリカゲルのクロマトグラフにかけ、化合物Aにおけるnがn=1の化合物Gを得た。このnの値は、上述の質量分析にて求めた値であり、質量分析では、n=1のピークが突出していた。得られた化合物Gの100mgをトルエン25mLにサンプル瓶の中で室温にて溶解させ、続いて、ヨウ化メチル(東京化成製)を15mL加えて、サンプル瓶をアルミ箔で覆った後、塩ノン化で96時間撹拌し続けた。96時間ご、溶液中に沈殿した生成物をろ化して、化合物Bにおけるnがn=1の化合物Hを得た。続いて、化合物Hの150mgを、1mol/L 溶解した水溶液30mLに懸濁させて、ヨウ素アニオンをイミドアニオンに置換して、式(26)で表される化合物Fを得た。
Figure 0005585372
化合物Cに代えて、化合物Cにおけるnがn=1 である、化合物Fを溶解して電解液とした以外は実施例1と同様の工程を経て比較例2の評価セルを作製した。この評価セルについて、実施例1と同様に充放電試験を行った。図12は、比較例2の充放電曲線である。比較例2では、放電電圧は1サイクル目で2.81Vであった。
(比較例3)
1mol/Lのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(関東化学製)のジメチルスルホキシド(和光純薬製)溶液と0.5mol/Lのマグネシウムパークロレート(アルドリッチ製)のジメチルスルホキシド溶液をそれぞれ調製した。その後、MgイオンとLiイオンのモル比が[Mg]/[Li]=0.16/1となるように混合し、これを電解液とした以外は実施例1と同様に比較例3の評価セルを作製した。この評価セルについて、正極合材あたり600mAh/gまで放電し、4Vまで充電したこと以外は実施例1と同様に充放電試験を行った。図13は、比較例3の充放電曲線である。比較例3では、放電電圧は1サイクル目で2.84あったが、図13に示すように充電電圧が急激に立ち上がり、ほとんど充電できなかった。
(実験結果)
表1は、実施例1〜7及び比較例1〜3の充放電試験の結果をまとめた表である。これによれば、電解液に化合物Zや化合物Fを含有したもの(実施例1〜7,比較例2)では、500mAh/g程度まで充電が可能であり、これを含有しないもの(比較例1)と比して放電電圧を高めることができることが分かった。なかでも、化合物Zにおけるnがn=2〜8のものを含むもの(実施例1〜7)であれば、放電電圧をより高めることができることが分かった。これは、酸素ラジカルが2電子反応や4電子反応をしたためと推察された。また、充放電回数が増えるほど放電電圧を高めることができるため、予備充放電などにより、放電電圧をより高めることができることが分かった。このことから、実施例7では、比較例3よりも1サイクル目の放電電圧が低いが、予備充放電などによって、ほとんど充電をすることができない比較例3よりも放電電圧を高めることができるものと推察された。また、カウンターアニオンは、いずれのものを用いても、放電電圧を高めることができ、充放電サイクル可能とすることができたことから、アニオンは、特に限定されないものと考えられた。また、実施例1〜7を比較すると、カウンターアニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有するものでは、充電電圧が低めの値で安定していたことから、アニオンはイミドアニオンであることが好ましいことがわかった。また、実施例1〜7では、電解液中のフラーレン誘導体を0.04g/mL以上0.1g/mLの範囲で含むものとしたが、0.02g/mL以上0.2g/mL以下の範囲付近までは、同様の効果が得られるものと推察された。
Figure 0005585372
本発明の非水電解液空気電池は、主に電気化学産業に利用可能であり、例えばハイブリッド車や電気自動車の動力源、携帯電話やパソコンなど民生用家電機器の電源、ロードレベリング(負荷平準化)などへの電気化学的デバイスに利用することができる。
10 非水電解液空気電池、14 負極、16 正極、18 電解液、20 F型電気化学セル、22 ケーシング、24 負極、26 正極、28 電解液、32 発泡ニッケル板、34 ガス溜め。

Claims (1)

  1. 酸素の酸化還元触媒を有する正極と、
    負極活物質を有する負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在し、下記式(1)で表される非金属多価カチオン塩を含む非水電解液と、
    を備えた、非水電解液空気電池。
    Figure 0005585372
    (式(1)中、nは2〜8のいずれかの整数であり、FuはフラーレンC60,C70,C74,C76,C78,C80,C82,C84,C90又はC96であり、R1,R2はそれぞれ独立して水素原子又は分岐を有していてもよいアルキル基であり、X-はイミドアニオン、パークロレートアニオン又はテトラフルオロボレートアニオンである)
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