以下、実施形態について図1乃至図31を参照して説明する。
実施形態に係る電池パックは、電池モジュールを備える。そして、電池モジュールは、複数の電池を備える。電池モジュールに用いられる電池は、例えば、非水電解質二次電池等の二次電池である。
[第1の実施形態]
(電池)
まず、第1の実施形態に係る電池パックに用いられる電池について、説明する。図1は、電池パックに用いられる電池1単体の一例を示す。ここで、電池1は、例えば、密閉型の非水電解質二次電池である。電池1は、電極群2と、内部に電極群2が収納される外装容器3と、を備える。外装容器3は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄又はステンレス等の金属から形成される。外装容器3は、容器本体5と、蓋6と、を備える。
ここで、電池1(外装容器3)では、縦方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、縦方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)横方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)、及び、縦方向及び横方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)高さ方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)が、規定される。電池1(外装容器3)では、縦方向についての寸法が、横方向についての寸法、及び、高さ方向についての寸法のそれぞれに比べて、遥かに小さい。
容器本体5は、底壁(容器底壁)11、及び、側壁(容器側壁)12A,12B,13A,13Bを有する。容器本体5では、底壁11及び側壁12A,12B,13A,13Bによって、電極群2が収納される内部空洞が、形成される。また、容器本体5には、内部空洞が開口する開口部15が形成される。内部空洞は、開口部15において、外装容器3の高さ方向の一方側(上側)へ、開口する。外装容器3では、蓋6によって、内部空洞の開口部15が塞がれる。そして、蓋6は、開口部15において、容器本体5に溶接される。このため、外装容器3では、底壁11が、内部空洞を挟んで、蓋6から高さ方向に離れて配置される。そして、蓋6が、外装容器3の上壁(容器上壁)を形成する。外装容器3において底壁11の外表面(底面)から蓋6の外表面(上面)までの寸法が、外装容器3の高さ方向についての寸法と同一又略同一になる。
外装容器3では、側壁12A,12B,13A,13Bのそれぞれは、底壁11から蓋6まで、高さ方向に沿って延設される。側壁12A,12Bは、内部空洞を挟んで、互いに対して横方向に離れて配置され、側壁13A,13Bは、内部空洞を挟んで、互いに対して縦方向に離れて配置される。また、側壁12A,12Bのそれぞれは、側壁13Aから側壁13Bまで縦方向に沿って延設され、側壁13A,13Bのそれぞれは、側壁12Aから側壁12Bまで横方向に沿って延設される。外装容器3において側壁12Aの外表面から側壁12Bの外表面までの寸法が、外装容器3の横方向についての寸法と同一又略同一になる。そして、外装容器3において側壁13Aの外表面から側壁13Bの外表面までの寸法が、外装容器3の縦方向についての寸法と同一又略同一になる。
図2は、電極群2の一例を示す図である。図2の一例では、電極群2は、正極21と、負極22と、セパレータ23,25と、を備える。正極21は、正極集電体としての正極集電箔21Aと、正極集電箔21Aの表面に担持される正極活物質含有層21Bと、を備える。正極集電箔21Aは、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔等であり、厚さが10μm〜20μm程度である。正極集電箔21Aには、正極活物質、結着剤及び導電剤を含むスラリーが塗布される。正極活物質としては、これらに限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる酸化物、硫化物及びポリマー等が挙げられる。また、高い正極電位を得られる観点から、正極活物質は、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物及びリチウム燐酸鉄等が、用いられることが好ましい。
負極22は、負極集電体としての負極集電箔22Aと、負極集電箔22Aの表面に担持される負極活物質含有層22Bと、を備える。負極集電箔22Aは、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔又は銅箔等であり、厚さが10μm〜20μm程度である。負極集電箔22Aには、負極活物質、結着剤及び導電剤を含むスラリーが塗布される。負極活物質としては、特に限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物及び炭素材料等が挙げられる。負極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵放出電位が金属リチウム電位に対して0.4V以上となる物質、すなわち、リチウムイオンの吸蔵放出電位が0.4V(vs.Li+/Li)以上になる物質であることが好ましい。このようなリチウムイオン吸蔵放出電位を有する負極活物質を用いることにより、アルミニウム又はアルミニウム合金とリチウムとの合金反応が抑えられるため、負極集電箔22A及び負極22に関連する構成部材に、アルミニウム及びアルミニウム合金を使用可能になる。リチウムイオンの吸蔵放出電位が0.4V(vs.Li+/Li)以上になる負極活物質としては、例えば、チタン酸化物、チタン酸リチウム等のリチウムチタン複合酸化物、タングステン酸化物、アモルファススズ酸化物、ニオブ・チタン複合酸化物、スズ珪素酸化物、及び、酸化珪素等が挙げられ、リチウムチタン複合酸化物を負極活物質として用いることが、特に好ましい。なお、リチウムイオンを吸蔵放出する炭素材料を負極活物質として用いる場合は、負極集電箔22Aは銅箔を用いるとよい。負極活物質として用いられる炭素材料は、リチウムイオンの吸蔵放出電位が0V(vs.Li+/Li)程度になる。
正極集電箔21A及び負極集電箔22Aに用いられるアルミニウム合金は、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される1種または2種以上の元素を含むことが望ましい。アルミニウム及びアルミニウム合金の純度は、98重量%以上にすることができ、99.99重量%以上が好ましい。また、純度100%の純アルミニウムを、正極集電体及び/又は負極集電体の材料として用いることが可能である。アルミニウム及びアルミニウム合金における、ニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量は100重量ppm以下(0重量ppmを含む)にすることが好ましい。
正極集電箔21Aでは、一方の長辺縁21C及びその近傍部位によって、正極集電タブ21Dが形成される。本実施形態では、正極集電タブ21Dは、長辺縁21Cの全長に渡って形成される。正極集電タブ21Dでは、正極集電箔21Aの表面に正極活物質含有層21Bが担持されない。また、負極集電箔22Aでは、一方の長辺縁22C及びその近傍部位によって、負極集電タブ22Dが形成される。本実施形態では、負極集電タブ22Dは、長辺縁22Cの全長に渡って形成される。負極集電タブ22Dでは、負極集電箔22Aの表面に負極活物質含有層22Bが担持されない。
セパレータ23,25のそれぞれは、電気的に絶縁性を有する材料から形成され、正極21と負極22との間を電気的に絶縁する。セパレータ23,25のそれぞれは、正極21及び負極22とは別体のシート等であってもよく、正極21及び負極22の一方と一体に形成されてもよい。また、セパレータ23,25は、有機材料から形成されてもよく、無機材料から形成されてもよく、有機材料と無機材料との混合物から形成されてもよい。セパレータ23,25を形成する有機材料としては、エンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチックが挙げられる。そして、エンジニアリングプラスチックとしては、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン及び変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。また、スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリビニリデンフロライド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルニトリル、ポリサルホン、ポリアクリレート、ポリエーテルイミド及び熱可塑性ポリイミド等が挙げられる。また、セパレータ23,25を形成する無機材料としては、酸化物(例えば、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、リン酸化物、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化チタン)、窒化物(例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化バリウム)等が挙げられる。
電極群2では、正極活物質含有層21Bと負極活物質含有層22Bとの間でセパレータ23,25のそれぞれが挟まれた状態で、正極21、負極22及びセパレータ23,25が幾何学上(仮想上)の捲回軸Bを中心として扁平形状に捲回される。この際、例えば、正極21、セパレータ23、負極22及びセパレータ25は、この順に重ねられた状態で、捲回される。また、電極群2では、正極集電箔21Aの正極集電タブ21Dが、負極22及びセパレータ23,25に対して、捲回軸Bに沿う方向の一方側へ突出する。そして、負極集電箔22Aの負極集電タブ22Dが、正極21及びセパレータ23,25に対して、捲回軸Bに沿う方向について正極集電タブ21Dが突出する側とは反対側に、突出する。
なお、電極群2は、捲回軸Bが電池1(外装容器3)の横方向に沿う状態で、外装容器3の内部空洞に配置される。このため、外装容器3の内部空洞に配置される電極群2では、正極集電タブ21Dが、電池1の横方向について一方側へ、負極22に対して突出する。そして、電極群2では、負極集電タブ22Dが、電池1の横方向について、正極集電タブ21Dが突出する側とは反対側へ、正極21に対して突出する。また、外装容器3の内部空洞では、正極集電タブ21Dは、電池1の横方向について一方側の端部に配置される。そして、外装容器3の内部空洞では、負極集電タブ22Dは、電池1の横方向について正極集電タブ21Dが位置する側とは反対側の端部に配置される。
また、電極群は、正極、負極及びセパレータが捲回される捲回構造を有する必要はない。ある実施例では、電極群は、複数の正極及び複数の負極が交互に積層されるスタック構造を有し、正極と負極との間にはセパレータが設けられる。この場合も、電極群では、正極集電タブが、電池1の横方向について一方側へ、負極に対して突出する。そして、電極群では、負極集電タブが、電池1の横方向について、正極集電タブが突出する側とは反対側へ、正極に対して突出する。
また、ある実施例では、外装容器3の内部空洞において、電極群2に、電解液(図示しない)が含浸される。電解液としては、非水電解液が用いられ、例えば、電解質を有機溶媒に溶解することにより調製される非水電解液が用いられる。この場合、有機溶媒に溶解させる電解質として、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)及びビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)2]等のリチウム塩、及び、これらの混合物が挙げられる。また、有機溶媒として、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)及びビニレンカーボネート等の環状カーボネート;ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びメチルエチルカーボネート(MEC)等の鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、及びジオキソラン(DOX)等の環状エーテル;ジメトキシエタン(DME)及びジエトキシエタン(DEE)等の鎖状エーテル;γ−ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)及びスルホラン(SL)等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で、又は、混合溶媒として用いられる。
また、ある実施例では、非水電解質として、非水電解液と高分子材料とを複合化したゲル状非水電解質が、電解液の代わりに用いられる。この場合、前述した電解質及び有機溶媒が用いられる。また、高分子材料として、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)及びポリエチレンオキサイド(PEO)等が挙げられる。
また、ある実施例では、電解液の代わりに、高分子固体電解質及び無機固体電解質等の固体電解質が非水電解質として設けられる。この場合、電極群2に、セパレータが設けられなくてもよい。そして、電極群2では、セパレータの代わりに、固体電解質が正極と負極との間で挟まれる。このため、本実施例では、固体電解質によって、正極と負極との間が電気的に絶縁される。
電池1では、外装容器3の蓋6の外表面(上面)に、一対の電極端子26A,26Bが取付けられる。電極端子26A,26Bは、金属等の導電材料から形成される。電極端子26A,26Bの一方が正極端子であり、電極端子26A,26Bの他方が負極端子である。このため、電極端子26A,26Bは、互いに対して反対の電気的極性を有する。電極端子26A,26Bのそれぞれは、絶縁部材(図示しない)によって、蓋6を含む外装容器3に対して電気的に絶縁される。
電極群2の正極集電タブ21Dは、正極バックアップリード27A及び正極リード28A等を介して、正極端子(電極端子26A,26Bの対応する一方)に、電気的に接続される。また、電極群2の負極集電タブ22Dは、負極バックアップリード27B及び負極リード28B等を介して、負極端子(電極端子26A,26Bの対応する一方)に、電気的に接続される。バックアップリード27A,27B及びリード28A,28Bのそれぞれは、金属等の導電材料から形成される。また、外装容器3の内部空洞では、集電タブ21D,22D、バックアップリード27A,27B、及び、リード28A,28Bのそれぞれは、絶縁部材(図示しない)によって、外装容器3(容器本体5及び蓋6)に対して電気的に絶縁される。
また、電極端子26A,26Bのそれぞれは、接触面29を備える。図1の一例では、電極端子26A,26Bのそれぞれの接触面29は、高さ方向について蓋6の外表面が向く側(上側)を向く。
また、ある実施例では、蓋6に、ガス開放弁及び注液口(いずれも図示しない)が、形成されてもよい。蓋6に注液口が形成される場合、蓋6の外表面に、注液口を塞ぐ封止板(図示しない)が、溶接される。
(電池パック及び電池システム)
図3乃至図6は、電池パック30を示す。図3乃至図6に示すように、電池パック30は、電池モジュール31を備える。電池モジュール31は、前述の電池1を複数備え、図3乃至図6の一例では、電池モジュール31は、電池1を6つ備える。電池モジュール31では、複数の電池1が配列方向(矢印X3及び矢印X4で示す方向)に沿って配列される。
ここで、電池パック30及び電池モジュール31では、電池の配列方向が、縦方向と一致又は略一致する。また、電池パック30及び電池モジュール31では、電池モジュール31での電池1の配列方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)高さ方向(矢印Z3及び矢印Z4で示す方向)が、規定される。そして、電池モジュール31(電池パック30)では、高さ方向及び電池1の配列方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(矢印Y3及び矢印Y4で示す方向)が、規定される。図3は、電池パック30を概略的に示す斜視図であり、図4は、電池パック30を高さ方向の一方側(矢印Z3側)から視た状態で概略的に示す。また、図5は、電池パック30を電池1の配列方向に対して垂直又は略垂直な断面で概略的に示し、図6は、電池パック30を幅方向に垂直又は略垂直な断面で概略的に示す。
図3乃至図6の一例の電池モジュール31では、電池1のそれぞれの縦方向が、電池1の配列方向と一致又は略一致し、電池1のそれぞれの横方向が、電池モジュール31(電池パック30)の幅方向と一致又は略一致する。そして、電池モジュール31では、電池1のそれぞれの高さ方向が、電池モジュール31(電池パック30)の高さ方向と一致又は略一致する。また、電池モジュール31では、複数の電池1は、電池モジュール31の幅方向(電池1のそれぞれの横方向)について、互いに対してずれることなく、又は、ほとんどずれることなく、配列される。
また、電池モジュール31は、高さ方向について一方側(下側)を向くモジュール底面32と、高さ方向についてモジュール底面32が向く側とは反対側(上側)を向くモジュール上面33と、を備える。複数の電池1(全ての電池1)のそれぞれでは、外装容器3の底壁11は、高さ方向について、電極群2に対してモジュール底面32が位置する側に、位置する。そして、複数の電池1のそれぞれの底壁11の外表面(底面)は、モジュール底面32の一部を形成する。また、複数の電池1(全ての電池1)のそれぞれでは、外装容器3の蓋6及び電極端子26A,26Bは、高さ方向について、電極群2に対してモジュール上面33が位置する側に、位置する。そして、複数の電池1のそれぞれの蓋6の外表面(上面)及び電極端子26A,26Bは、モジュール上面33の一部を形成する。
また、電池モジュール31では、モジュール側面34A,34B,35A,35Bが、モジュール底面32からモジュール上面33まで高さ方向に沿って延設される。したがって、モジュール側面34A,34B,35A,35Bは、電池パック30の高さ方向についてモジュール底面32が向く側とは反対側へ、モジュール底面32から延設される。また、モジュール側面34A,34B,35A,35Bのそれぞれは、モジュール底面32との間に角部を形成する。そして、モジュール側面34A,34B,35A,35Bのそれぞれは、モジュール上面33との間に角部を形成する。
モジュール側面34A,34Bは、電池モジュール31の幅方向について外側を向き、電池モジュール31(電池パック30)の幅方向について互いに対して離れて配置される。モジュール側面34A,34Bのそれぞれは、モジュール側面35Aからモジュール側面35Bまで電池1の配列方向(電池モジュール31の縦方向)に沿って延設される。モジュール側面35A,35Bは、電池モジュール31の縦方向について外側を向き、電池モジュール31(電池パック30)の縦方向について互いに対して離れて配置される。モジュール側面35A,35Bのそれぞれは、モジュール側面34Aからモジュール側面34Bまで電池モジュール31の幅方向に沿って延設される。
複数の電池1のそれぞれでは、側壁12A,12Bの中の一方の外表面が、モジュール側面34Aの一部を形成する。そして、複数の電池1のそれぞれでは、側壁12A,12Bの中の他方の外表面が、モジュール側面34Bの一部を形成する。また、電池モジュール31を形成する複数の電池1の中で、電池1の配列方向について最も外側に配列される2つの電池1A,1Bを規定する。電池1Aは、電池1の配列方向について電池モジュール31の一端部に配置され、電池1Bは、電池1の配列方向について電池モジュール31の他端部に配置される。電池モジュール31では、電池1Aの側壁13A,13Bの中の一方の外表面が、モジュール側面35Aを形成し、電池1Bの側壁13A,13Bの中の一方の外表面が、モジュール側面35Bを形成する。
電池モジュール31では、配列方向について互いに対して隣り合う電池1の間に、仕切り板(セパレータ)36が設けられる。仕切り板36は、1つ以上設けられ、図3乃至図6の一例では、5つの仕切り板36が設けられる。仕切り板36のそれぞれは、モジュール底面32の一部を形成するとともに、モジュール上面33の一部を形成する。また、仕切り板36のそれぞれは、モジュール側面34Aの一部を形成するとともに、モジュール側面34Bの一部を形成する。
仕切り板36は、電気的絶縁性を有する材料から形成される。仕切り板36は、例えば、電気的絶縁性を有する樹脂から形成され、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリカーボネート(PC)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)のいずれか1つ以上を含む。また、仕切り板36の熱伝導率は1W/(m・K)未満であり、例えば、仕切り板36の熱伝導率は0.2W/(m・K)程度である。電池モジュール31では、仕切り板36によって、互いに対して隣り合う電池1同士の接触が、防止される。このため、例えば、互いに対して隣り合う電池1同士が外装容器3を通して電気的に接続されること等が、有効に防止される。すなわち、互いに対して隣り合う電池1同士が電極端子26A,26Bを介することなく電気的に接続されることが、有効に防止される。
なお、仕切り板36全体が、前述の電気的絶縁性を有する材料から形成される必要はなく、仕切り板36において少なくとも外表面が前述の電気的絶縁性を有する材料から形成されていればよい。ある実施例では、金属製の板の外表面に、前述の電気的絶縁性を有する材料から絶縁層を形成することにより、仕切り板36が形成される。この場合も、仕切り板36において少なくとも外表面が、前述の電気的絶縁性を有する材料から形成される。仕切り板36の内部に金属製の板を用いることにより、電池1のそれぞれで発生した熱が、仕切り板36を通してモジュール底面32に伝達され易くなる。
また、電池モジュール31は、電池1のそれぞれを仕切り板36に接着する接着剤37を備える。電池1のそれぞれは、接着剤37によって仕切り板36に固定される。接着剤37としては、シリコーン系又はエポキシ系の接着剤が用いられることが好ましい。これらの接着剤は、電池パック30の使用される温度範囲においても、弾性が維持される。このため、シリコーン系又はエポキシ系の接着剤を接着剤37として用いることにより、外部からの衝撃が接着剤37によって吸収されるとともに、電池1の膨張によって生じるひずみ等が接着剤37によって吸収される。また、シリコーン系及びエポキシ系の接着剤は、熱伝導率が1W/(m・K)以上である。このため、これらの接着剤が接着剤37として用いられることにより、電池1のそれぞれで発生した熱が接着剤37を通して仕切り板36に伝わり易くなる。前述のように、仕切り板36は、モジュール底面32の一部を形成する。したがって、接着剤37として熱伝導率が高い前述の接着剤を用いることにより、電池1のそれぞれで発生した熱を、仕切り板36を通してモジュール底面32が位置する側へ放出することができる。
なお、ある実施例では、接着剤37の代わりに、前述の接着剤より熱伝導率が高いグリス等が用いられてもよい。これにより、電池1のそれぞれで発生した熱を、仕切り板36を通してモジュール底面32が位置する側へより適切に放出することができる。また、別のある実施例では、接着剤37等が設けられず、電池1のそれぞれが、対応する仕切り板36に直接的に当接してもよい。
また、電池パック30は、バスバー(接続部材)38を備え、本実施形態では、電池パック30に複数のバスバー38が設けられる。バスバー38は、金属等の導電材料から形成される。電池モジュール31では、複数の電池1のそれぞれは、バスバー38を介して、他の電池1に電気的に接続される。また、電池モジュール31は、バスバーを介して、電池パック30の外部端子に電気的に接続される。電池モジュール31では、複数の電池1がバスバー38によって電気的に接続されることにより、電池1の直列接続構造及び並列接続構造の少なくとも一方が形成される。複数の電池1のそれぞれでは、電極端子26A,26Bのそれぞれにおいて、バスバー38が接触面29に接触し、バスバー38が接触面29に接続される。なお、電極端子26A,26Bのそれぞれでは、溶接、ネジによる螺合、及び、嵌合等のいずれかによって、バスバー38が接触面29に接続(固定)される。
ここで、2つの電池1の直列接続構造では、一方の電池1の正極端子が他方の電池1の負極端子にバスバー38によって接続される。また、複数の電池1の並列接続構造では、電池1の正極端子同士がバスバー38によって接続され、電池1の負極端子同士が別のバスバー38によって接続される。
電池パック30は、フレーム40を備える。フレーム40は、電気的絶縁性を有する樹脂から形成される。フレーム40は、例えば、仕切り板36(仕切り板36の外表面)と同一の材料から形成され得る。フレーム40は、例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート及びポリブチレンテレフタレートのいずれか1つ以上を含む。そして、フレーム40の熱伝導率は1W/(m・K)未満であり、例えば、フレーム40の熱伝導率は0.2W/(m・K)程度である。
図7は、フレーム40の構成を示す図である。図4乃至図7等に示すように、フレーム40は、電池パック30の高さ方向に沿って延設されるフレーム側壁41A,41B,42A,42Bを備える。フレーム側壁41Aは、電池1の配列方向(電池パック30の縦方向)について、一方側(矢印X3側)から電池モジュール31に対向する。したがって、フレーム側壁41Aは、電池モジュール31の縦方向について外側から、モジュール側面35Aに対向する。また、フレーム側壁41Bは、電池1の配列方向について、フレーム側壁41Aとは反対側(矢印X4側)から電池モジュール31に対向する。したがって、フレーム側壁41Bは、電池モジュール31の縦方向について外側から、モジュール側面35Bに対向する。
フレーム側壁42Aは、電池モジュール31(電池パック30)の幅方向について、一方側(矢印Y3側)から電池モジュール31に対向する。したがって、フレーム側壁42Aは、電池モジュール31の幅方向について外側から、モジュール側面34Aに対向する。また、フレーム側壁42Bは、電池モジュール31の幅方向について、フレーム側壁42Aとは反対側(矢印Y4側)から電池モジュール31に対向する。したがって、フレーム側壁42Bは、電池モジュール31の幅方向について外側から、モジュール側面34Bに対向する。電池モジュール31は、電池パック30の縦方向について、フレーム側壁41A,41Bの間に配置され、電池パック30の幅方向について、フレーム側壁42A,42Bの間に配置される。
前述のような構成であるため、フレーム側壁41A,41B,42A,42Bによって、電池モジュール31の外周側を電池モジュール31の全周に渡って囲む囲い枠が、形成される。そして、フレーム側壁41A,41B,42A,42Bは、電池モジュール31が収納される収納空間43を、形成する。すなわち、フレーム側壁41A,41B,42A,42Bが形成する囲い枠によって囲まれる範囲が、収納空間43となる。電池モジュール31は、接着剤(図示しない)等によって、囲い枠の内表面に固定される。
フレーム40は、フレーム突出部54を備える。フレーム突出部54は、フレーム側壁41A,41B,42A,42Bのそれぞれの一端部(下端部)から収納空間43の内周側へ突出する。フレーム側壁41A,41B,42A,42Bのそれぞれでは、電池パック30の高さ方向についてモジュール底面32が向く側の端部から、フレーム突出部54が突出する。本実施形態では、フレーム突出部54によって、フレーム40の底壁(フレーム底壁)が形成される。フレーム突出部54は、電池パック30の高さ方向について、電池モジュール31に対して、モジュール底面32が向く側に配置される。そして、フレーム突出部54は、電池パック30の高さ方向についてモジュール底面32が向く側から、電池モジュール31を支持する。
また、電池パック30では、フレーム40に貫通孔55が形成される。貫通孔55は、電池パック30の高さ方向について、フレーム40の底壁(フレーム突出部54)を貫通する。したがって、貫通孔55は、フレーム突出部54において、電池モジュール31が位置する側を向く面(内表面)から電池モジュール31が位置する側とは反対側を向く面(外表面)まで、連続して延設される。また、貫通孔55の縁は、フレーム突出部54の突出端(内端)Eによって形成される。図3乃至図7の一例では、貫通孔55の周方向について全周に渡って、フレーム突出部54の突出端Eが、貫通孔55の縁を形成する。
なお、フレーム突出部54は、電池モジュール31(収納空間43)の周方向について全周に渡って設けられる必要はなく、電池モジュール31の周方向について一部の範囲にのみ設けられてもよい。ある実施例では、フレーム突出部54は、電池モジュール31の周方向について、フレーム側壁42A,42Bが延設される範囲にのみ設けられ、フレーム側壁41A,41Bが延設される範囲には設けられない。この場合、貫通孔55の縁の一部が、フレーム突出部54の突出端(内端)Eによって形成される。
電池パック30では、シート部材45が電池モジュール31のモジュール底面32に当接する。シート部材45は、電気的絶縁性を有する樹脂から形成される。シート部材45は、電池パック30の高さ方向についてモジュール底面32が向く側から、モジュール底面32に当接する。シート部材45の外表面は、モジュール底面32に当接するシート上面46を備える。また、シート部材45の外表面は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側とは反対側を向くシート底面47を、備える。シート底面47は、シート上面46が向く側とは反対側を向く。
また、本実施形態の電池パック30では、底板(支持部材)48が、電池パック30の高さ方向についてモジュール底面32が向く側から、フレーム40に取付けられる。底板48は、金属から形成され、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス及び銅等のいずれかから形成される。このため、底板48は、仕切り板36、フレーム40及びシート部材45に比べて、熱伝導性が高く、底板48の熱伝導率は、例えば、10W/(m・K)以上400W/(m・K)以下程度となる。本実施形態では、フレーム側壁41A,41B,42A,42Bのそれぞれは、底板48から電池パック30の高さ方向に沿って、モジュール上面33が向く側(矢印Z3側)へ、延設される。また、フレーム突出部54は、底板48の外表面上に設置される。本実施形態では、底板48は、厚さが0.5mm以上5mm以下程度の平板状又は略平板状に形成される。なお、底板48は、必要に応じて適切な寸法及び形状等に形成される。
本実施形態では、シート部材45は、シート本体65と、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側とは反対側へシート本体65から突出するシート突起66と、を備える。シート突起66は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側とは反対側へ、シート部材45の他の部位に対して突出する。本実施形態では、シート部材45のシート突起66は、フレーム突出部54の突出端Eに対して、収納空間43の内周側へ配置される。そして、シート突起66は、フレーム40の貫通孔55に配置され、貫通孔55に配置される固体部分を形成する。すなわち、シート部材45の一部によって、貫通孔55に配置される固体部分が形成される。貫通孔55に配置される固体部分は、グリス、スペーサー、シート、ゲル及びパテ等のいずれかで呼称されることもある。そして、本実施形態では、貫通孔55において、フレーム突出部54の突出端Eが、収納空間43の外周側から、シート突起66に当接する。
また、本実施形態では、底板48は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側とは反対側から、シート突起66の突出端に当接する。シート突起66では、シート部材45のシート底面47に、底板48が当接する。したがって、シート部材45のシート底面47は、底板48に密着(粘着)し、シート部材45のシート突起66は、突出端で底板48に密着する。また、本実施形態では、フレーム突出部54は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側とは反対側から、シート本体65に当接する。シート本体65では、シート部材45のシート底面47に、フレーム突出部54が当接する。したがって、シート部材45のシート底面47は、フレーム突出部54に密着(粘着)し、シート部材45のシート本体65は、フレーム突出部54に密着する。前述のような構成であるため、シート部材45は、電池モジュール31のモジュール底面32と底板48との間で挟まれるとともに、シート本体65は、フレーム突出部54とモジュール底面32との間で挟まれる。
なお、本実施形態では、フレーム側壁41A,41B,42A,42Bのそれぞれと底板48との間には、シート部材45が設けられず、フレーム側壁41A,41B,42A,42Bのそれぞれの一端(底板48が位置する側の端)は、底板48に当接する。また、フレーム突出部54と底板48との間には、シート部材45が設けられず、底板48は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側とは反対側から、フレーム突出部54に当接する。このため、フレーム突出部54は、電池モジュール31のモジュール底面32と底板48との間に、配置される。
また、本実施形態の電池パック30では、高さ方向について、モジュール底面32とフレーム突出部54との間に、接着層56が形成される。本実施形態では、接着層56は、電池モジュール31の幅方向について、シート部材45に対して外側に配置される。接着層56によって、モジュール底面32が、フレーム突出部54に接着される。なお、接着層56としては、電池モジュール31をフレーム突出部54に接着可能なものであればよい。したがって、接着層56は、接着剤37とは異なり、熱伝導率が高い接着剤を用いる必要はなり。また、接着層56は、電気的絶縁性を有することが好ましい。
前述のようにシート部材45、底板(支持部材)48等が設けられることにより、底板48は、電池パック30の高さ方向についてモジュール底面32が向く側から、電池モジュール31、フレーム40及びシート部材45を支持する。そして、電池モジュール31で発生した熱は、シート部材45及び底板48を通して、電池パック30の外部へ伝達される。本実施形態では、シート部材45及び底板48を通る電池モジュール31からの熱の伝達経路は、フレーム40の貫通孔55に配置される固体部分を通る。そして、熱の伝達経路においてフレーム40の貫通孔55に配置される固体部分は、シート部材45によって形成される。
また、本実施形態では、シート部材45は、層(第1の層)51のみから形成される1層構造である。このため、シート上面46及びシート底面47は、層51によって形成される。層51は、粘着性を有していることが好ましい。層51は、例えば、シリコーンを含む。層51がシリコーンを含む場合、層51の粘着性は、高分子のポリマーの組み合わせ、架橋密度及びシリコーンの純度等に基づく大きさになる。層51が粘着性を有するため、振動及び熱等によってシート部材45の位置が変位した場合でも、シート部材45のモジュール底面32及び底板48への密着性が確保される。
また、層51は、仕切り板36及びフレーム40に比べて、熱伝導性が高い。ただし、層51は、電池1の外装容器3及び底板48に比べて、熱伝導性が低い。層(高伝導層)51の熱伝導率は、1W/(m・K)以上であり、例えば、層51の熱伝導率は1W/(m・K)以上10W/(m・K)以下程度である。また、層51は、電気的絶縁性が高い。例えば、層51は、IEC法の比較トラッキング指数測定による比較トラッキング指数が、175以上である。
また、層51は、フレーム40に比べて圧縮性が高く、フレーム40に比べて、外力の作用によって圧縮され易い。このため、層51は、フレーム40に比べて、弾性が高い。シート部材45では、層(第1の層)51が、電池モジュール31のモジュール底面32に密着(粘着)する。そして、シート部材45では、層(第1の層)51が、電池モジュール31のモジュール底面32が当接する部位において、圧縮される。また、本実施形態のシート部材45では、層(第1の層)51が、底板48に密着(粘着)する。
次に、電池パック30の適用例について説明する。電池パック30は、例えば、定置用電源及び鉄道車両用電源等として用いられる。この場合、電池モジュール31が搭載された電池パック30が多数設けられ、多数の電池パック30によって電池システムが形成される。電池システムでは、多数の電池モジュールが電気的に接続され、電池モジュールの直列接続構造及び並列接続構造の少なくとも一方が形成される。
図8は、電池パック30のある適用例を示す。図8に示すように、前述した電池システム50等では、電池パック30は、冷却プレート(冷却フィン)60の外表面上に、設置される。冷却プレート60の外表面上には、電池パック30が多数設置される。冷却プレート60は、金属等から形成され、フレーム40、仕切り板36及びシート部材45に比べて、熱伝導率が高い。冷却プレート60の熱伝導率は、例えば、10W/(m・K)以上400W/(m・K)以下程度となる。フレーム40又は底板48がボルト等によって冷却プレート60に取付けられることにより、電池パック30は、冷却プレート60上に設置される。
図8の一例では、底板48が冷却プレート60と当接する。したがって、電池モジュール31は、シート部材45及びフレーム突出部54に対して、冷却プレート60が位置する側とは反対側に位置する。すなわち、冷却プレート60は、電池パック30の高さ方向について、シート部材45及びフレーム突出部54に対して、電池モジュール31が位置する側とは反対側に設けられる。冷却プレート60の内部には、流路が形成される。冷却プレート60の流路には、冷却液及び冷却ガス等を含む冷却流体が流れる。
前述のように多数の電池モジュール31が電気的に接続される電池システム50では、大電流での充放電が行われることがある。この場合、大電流での充放電によって、電池パック30の電池モジュール31が高温になることがある。本実施形態では、シート部材45のシート上面46(層51)が、電池モジュール31のモジュール底面32に粘着及び密着する。そして、シート部材45のシート底面47(層51)が、底板48に密着(粘着)及び当接する。このため、電池モジュール31で発生した熱は、シート部材45及び底板48を通る伝達経路を介して、冷却プレート60に伝達される。すなわち、層51及びフレーム40の貫通孔55に配置される固体部分を通して、電池モジュール31から冷却プレート60へ、熱が伝達される。
ここで、シート部材45の層51は、フレーム40及び仕切り板36に比べて熱伝導率が高い。実際に、層51では、熱伝導率が、フレーム40及び仕切り板36に対して、10倍程度になる。そして、本実施形態のシート部材45は、層51のみから形成される。このため、電池モジュール31からの熱は、シート部材45及び底板48を通して冷却プレート60に適切に伝達される。したがって、電池パック30では、電池モジュール31から冷却プレート60へ適切に放熱される。
また、前述のような電池システム50では、高い使用電圧で使用されることがある。例えば、電池システム50によっては、短絡の発生時に、1000V以上の短絡電圧が発生することがある。本実施形態の電池パック30では、電池モジュール31を囲むフレーム側壁41A,41B,42A,42Bは、電気的絶縁性が高い材料から形成される。そして、モジュール底面32に密着するシート部材45も、電気的絶縁性が高い材料から形成される。また、電池モジュール31と底板48との間に配置されるフレーム突出部54も、電気的絶縁性が高い材料から形成される。したがって、電池システム50では、電池パック30によって耐電圧性(絶縁耐力)が高い絶縁構造が、適切に形成される。
そして、本実施形態では、フレーム突出部54とシート部材45によって、電池モジュール31の複数の電池1と底板48との間の絶縁距離を長くすることが、可能になる。電池モジュール31の複数の電池1と底板48との間の絶縁距離を長くなることにより、耐電圧性(絶縁耐力)がさらに高い絶縁構造が、形成される。
[第1の実施形態の変形例]
図9に示す第1の実施形態の第1の変形例では、接着層56が設けられない。本変形例でも、フレーム40は、フレーム突出部54を備え、シート部材45は、シート本体65及びシート突起66を備える。そして、底板48は、電池パック30の高さ方向についてモジュール底面32が向く側から、電池モジュール31、フレーム40及びシート部材45を支持する。そして、電池モジュール31で発生した熱は、シート部材45及び底板48を通して、電池パック30の外部へ伝達される。また、本変形例でも、電池モジュール31からの熱の伝達経路において、フレーム40の貫通孔55に配置される固体部分は、シート部材45のシート突起66によって形成される。本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
また、前述の実施形態等では、シート部材45の一部がフレーム40の貫通孔55に配置され、電池モジュール31からの熱の伝達経路において貫通孔55に配置される固体部分がシート部材45によって形成されるが、これに限るものではない。図10に示す第1の実施形態の第2の変形例 では、底板48は、底板本体61と、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側へ底板本体61から突出する底板突起62と、を備える。底板突起62は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側へ、底板48の他の部位に対して突出する。本変形例では、底板本体61が、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側とは反対側から、フレーム突出部54に当接する。そして、フレーム突出部54は、電池モジュール31のモジュール底面32と底板本体61との間に、配置される。
本変形例では、底板突起62は、フレーム突出部54の突出端Eに対して、収納空間43の内周側へ配置される。そして、底板突起62は、フレーム40の貫通孔55に配置され、貫通孔55に配置される固体部分を形成する。このため、本変形例では、底板48の一部によって、貫通孔55に配置される固体部分が、形成される。また、貫通孔55では、フレーム突出部54の突出端Eが、収納空間43の外周側から、底板突起62に当接する。
また、本変形例では、フレーム突出部54及び底板突起62は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側とは反対側から、シート部材45に当接する。したがって、シート部材45のシート底面47(層51)は、フレーム突出部54に密着(粘着)し、シート部材45は、電池モジュール31のモジュール底面32とフレーム突出部54との間で挟まれる。そして、シート部材45のシート底面47(層51)は、底板突起62の突出端に密着(粘着)し、シート部材45は、電池モジュール31のモジュール底面32と底板突起62との間で挟まれる。
本変形例でも、底板48は、電池パック30の高さ方向についてモジュール底面32が向く側から、電池モジュール31、フレーム40及びシート部材45を支持する。そして、電池モジュール31で発生した熱は、シート部材45及び底板48を通して、電池パック30の外部へ伝達される。ただし、本変形例では、電池モジュール31からの熱の伝達経路において、フレーム40の貫通孔55に配置される固体部分は、底板48によって形成される。本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
なお、図10の変形例では、接着層56が設けられていないが、第1の実施形態と同様に、接着層56が設けられてもよい。この場合、接着層56は、電池モジュール31のモジュール底面32をフレーム突出部54に接着する。そして、接着層56は、電池モジュール31の幅方向について、シート部材45に対して外側に配置される。
図11Aに示す第1の実施形態の第3の変形例でも、第1の実施形態の第2の変形例と同様に、底板48は、底板本体61及び底板突起62を備える。ただし、本変形例では、シート部材45は、層51〜53を備える3層構造に形成される。層(第1の層)51は、前述の実施形態等と同様に、電池モジュール31のモジュール底面32に粘着する。層(第2の層)52は、電池パック30の高さ方向について、電池モジュール31が位置する側とは反対側に、層51に対して積層される。層(第3の層)53は、電池パック30の高さ方向(シート部材45での積層方向)について、層51が積層される側とは反対側に、層52に対して積層される。そして、層53は、底板48に粘着する。本変形例では、層51によってシート上面46が形成され、層53によってシート底面47が形成される。
層51は、前述の実施形態等と同様の材料等から形成される。本変形例では、層51,53のそれぞれは、粘着性を有する。層51,53のそれぞれは、例えば、シリコーンを含む。そして、層52は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、及び、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のいずれか1つ以上を含む。層51,53がシリコーンを含む場合、層51,53のそれぞれの粘着性は、前述のように、高分子のポリマーの組み合わせ、架橋密度及びシリコーンの純度等に基づく大きさになる。層51,53のそれぞれが粘着性を有するため、振動及び熱等によってシート部材45の位置が変位した場合でも、シート部材45のモジュール底面32及び底板48への密着性が確保される。
また、層51,53のそれぞれは、仕切り板36、フレーム40及び層52に比べて、熱伝導性が高い。ただし、層51,53のそれぞれは、電池1の外装容器3及び底板48に比べて、熱伝導性が低い。層51,53の熱伝導率は、1W/(m・K)以上であり、例えば、層51,53のそれぞれの熱伝導率は1W/(m・K)以上10W/(m・K)以下程度である。なお、層52は、仕切り板36及びフレーム40と熱伝導性が同程度になる。したがって、層52の熱伝導率は、1W/(m・K)未満であり、例えば、0.2W/(m・K)程度である。また、層52は、層51,53のそれぞれに比べて薄い。なお、ある一例では、層(第2の層)52の層厚は、200μm以下であり、例えば100μm程度である。
また、層52は、層51,53に比べて機械的強度が高く、層51,53に比べて、外力の作用によって破壊され難い。このため、層52は、層51,53に比べて、圧力耐性が高い。そして、層51,53のそれぞれは、層52に比べて圧縮性が高く、層52に比べて、外力の作用によって圧縮され易い。このため、層51,53のそれぞれは、層52に比べて、弾性が高い。なお、層53は、圧縮性が層51と同程度になる、又は、層51に比べて圧縮性が低い。
ここで、シート部材45の層51,53は、フレーム40及び仕切り板36に比べて熱伝導率が高い。実際に、層51,53では、熱伝導率が、フレーム40及び仕切り板36に対して、10倍程度になる。そして、シート部材45では、層51,53のそれぞれは、層52に比べて、層厚が厚い。このため、本変形例でも、電池モジュール31からの熱は、シート部材45及び底板48を通して冷却プレート60に適切に伝達される。したがって、本変形例の電池パック30でも、電池モジュール31から冷却プレート60へ適切に放熱される。
また、本変形例のシート部材45では、層52は、電気的絶縁性が高い材料から形成されるとともに、機械的強度が高い。このため、外力によって層51,53が破損した場合でも、電池モジュール(電池セット)31は、層52によって、底板48及び冷却プレート60に対して適切に電気的に絶縁される。したがって、外力によって層51,53が破損した場合でも、電池パック30の層52によって、耐電圧性(絶縁耐力)が高い絶縁構造が、適切に形成される。
なお、ある変形例では、第1の実施形態のようにシート部材45がシート本体65及びシート突起66を備える構成において、第1の実施形態の第3の変形例のように、シート部材45が層51〜53を備える3層構造に形成される。また、シート部材45は、2層構造であってもよく、4層以上の層を備える多層構造であってもよい。また、第1の実施形態の第3の変形例のように、シート部材45が複数の層(例えば51〜53)を備える場合、少なくとも1つの層が電気的絶縁性を有していればよく、他の層は、電気的絶縁性を有さなくてもよい。
例えば、図11Bに示す第1の実施形態の第4の変形例では、シート部材45の一部がフレーム40の貫通孔55に配置されるとともに、シート部45が層51〜53を備える3層構造に配置される。本変形例では、層(第3の層)53が、貫通孔55に配置され、電池モジュール31からの熱の伝達経路において貫通孔55に配置される固体部分が、シート部材45の層53によって形成される。そして、本実施形態では、貫通孔55において、フレーム突出部54の突出端Eが、収納空間43の外周側から、層53に当接する。 また、本変形例では、底板48は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側とは反対側から、層53に当接する。したがって、シート部材45の層53は、底板48に密着(粘着)する。
また、本変形例では、層51,52は、電池パック30の高さ方向について、フレーム突出部54と電池モジュール31のモジュール底面32との間で挟まれる。そして、層(第1の層)51は、電池モジュール31のモジュール底面32に密着(粘着)し、層(第2の層)52は、フレーム突出部54に当接する。また、層53は、層52と底板48との間で挟まれる。また、本変形例では、層51,52のそれぞれは、電池パック30の幅方向について、層53に対して外側に突出する。そして、層51,52のそれぞれは、電池パック30の幅方向について、フレーム突出部54の突出端Eに対して外側の部位まで、延設される。
また、本変形例では、第1の実施形態等と同様に、電池パック30では、高さ方向についてモジュール底面32とフレーム突出部54との間に、接着層56が形成される。本変形例では、接着層56は、電池モジュール31の幅方向について、シート部材45の層51,52に対して外側に配置される。接着層56によって、モジュール底面32が、フレーム突出部54に接着される。本変形例でも、シート部材45が層51〜53を備えるため、第3の変形例と同様の作用及び効果を奏する。
また、図11Cに示す第1の実施形態の第5の変形例でも、第4の変形例と同様に、シート部材45が層51〜53を備え、層(第3の層)53が、貫通孔55に配置される。そして、層51,52は、電池パック30の高さ方向について、フレーム突出部54と電池モジュール31のモジュール底面32との間で挟まれる。ただし、本変形例では、接着層56が設けられない。本変形例でも、第4の変形例と同様の作用及び効果を奏する。
また、図11Dに示す第1の実施形態の第6の変形例でも、第5の変形例等と同様に、シート部材45が層51〜53を備え、層(第3の層)53が、貫通孔55に配置される。そして、第5の変形例等と同様に、接着層56が設けられない。ただし、本変形例では、層51のみが、電池パック30の幅方向について、層53に対して外側に突出し、層52は、電池パック30の幅方向について、層53に対して外側へ突出しない。すなわち、層51〜53の中で層52のみが、電池パック30の幅方向について、フレーム突出部54の突出端Eに対して外側の部位まで、延設される。
本変形例では、層52は、フレーム突出部54に当接し、フレーム突出部54とモジュール底面32との間に配置される。また、本変形例でも、第5の変形例等と同様に、層51は、モジュール底面32に密着(粘着)する。前述のような構成であるため、本変形例でも、第5の変形例等と同様の作用及び効果を奏する。
また、図11Eに示す第1の実施形態の第7の変形例でも、第6の変形例等と同様に、シート部材45が層51〜53を備え、層(第3の層)53が、貫通孔55に配置される。そして、層51〜53の中で層52のみが、電池パック30の幅方向について、フレーム突出部54の突出端Eに対して外側の部位まで、延設される。そして、層52は、フレーム突出部54に当接し、層51は、モジュール底面32に密着(粘着)する。
本変形例では、層52は、層突出部59A,59Bを備える。層突出部59A,59Bのそれぞれは、電池パック30の高さ方向について、電池モジュール31が位置する側へ突出する。また、層突出部59A,59Bは、電池パック30の幅方向について層52の外端(外周端)において、突出する。層突出部59Aは、収納空間43においてフレーム側壁42Aとモジュール側面34Aとの間に配置され、モジュール側面34Aに外周側から対向する。また、層突出部59Bは、収納空間43においてフレーム側壁42Bとモジュール側面34Bとの間に配置され、モジュール側面34Bに外周側から対向する。層突出部59Aは、モジュール側面34A及びモジュール底面32とモジュール側面34Aとの間の角部を覆う。層突出部59Bは、モジュール側面34B及びモジュール底面32とモジュール側面34Bとの間の角部を覆う。本変形例でも、第6の変形例等と同様の作用及び効果を奏する。
また、図12に示す第1の実施形態の第8の変形例では、電池パック30は、シート部材45に加えて、中継シート67を備える。中継シート67は、電気的絶縁性を有する樹脂から形成される。本変形例では、中継シート67は、層68のみから形成される1層構造である。層68は、シート部材45の層51と同一の材料を含み、例えば、シリコーンを含む。このため、中継シート67の層68は、粘着性を有する。そして、層68は、フレーム40及び仕切り板36に比べて、熱伝導性が高い。ただし、層68は、電池1の外装容器3及び底板48に比べて、熱伝導性が低い。層(高伝導層)68の熱伝導率は、1W/(m・K)以上であり、例えば、層68の熱伝導率は1W/(m・K)以上10W/(m・K)以下程度である。層68が粘着性を有するため、振動及び熱等によって中継シート67の位置が変位した場合でも、中継シート67のシート部材45及び底板48への密着性が確保される。
本変形例でも、底板48が、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側とは反対側から、フレーム突出部54に当接する。そして、フレーム突出部54は、電池モジュール31のモジュール底面32と底板48との間に、配置される。本変形例では、中継シート67は、フレーム突出部54の突出端Eに対して、収納空間43の内周側へ配置される。そして、中継シート67は、フレーム40の貫通孔55に配置され、貫通孔55に配置される固体部分を形成する。このため、本変形例では、層(高伝導層)68を含む中継シート67によって、貫通孔55に配置される固体部分が、形成される。また、貫通孔55では、フレーム突出部54の突出端Eが、収納空間43の外周側から、中継シート67に当接する。
また、本変形例では、底板48は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側とは反対側から、中継シート67に当接する。したがって、中継シート67は、底板48に密着(粘着)する。そして、フレーム突出部54は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側とは反対側から、シート部材45に当接する。したがって、シート部材45のシート底面47(層51)は、フレーム突出部54に密着(粘着)する。前述のような構成であるため、シート部材45は、電池モジュール31のモジュール底面32とフレーム突出部54との間で挟まれるとともに、中継シート67とモジュール底面32との間で挟まれる。
本変形例では、底板48は、電池パック30の高さ方向についてモジュール底面32が向く側から、電池モジュール31、フレーム40、シート部材45及び中継シート67を支持する。そして、電池モジュール31で発生した熱は、シート部材45、中継シート67及び底板48を通して、電池パック30の外部へ伝達される。ただし、本変形例では、電池モジュール31からの熱の伝達経路において、フレーム40の貫通孔55に配置される固体部分は、層(高伝導層)68を含む中継シート67によって形成される。本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
なお、図12の変形例では、接着層56が設けられていないが、第1の実施形態と同様に、接着層56が設けられてもよい。この場合、接着層56は、電池モジュール31のモジュール底面32をフレーム突出部54に接着する。そして、接着層56は、電池モジュール31の幅方向について、シート部材45に対して外側に配置される。
また、ある変形例では、第1の実施形態のシート突起66、第1の実施形態の第2の変形例の底板突起62、及び、第1の実施形態の第8の変形例の中継シート67のいずれか2つ以上が、電池パック30に設けられる。そして、電池モジュール31からの熱の伝達経路において、フレーム40の貫通孔55に配置される固体部分は、底板突起62、シート突起66及び中継シート67のいずれか2つ以上によって、形成される。本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
また、ある変形例では、底板突起62、シート突起66及び中継シート67のいずれか1つ以上が電池パック30に設けられる構成において、シート部材45が、第1の実施形態の第3の変形例等のように層51〜53を備える3層構造に形成される等、複数層構造に形成される。また、別のある変形例では、中継シート67が設けられる構成において、中継シート67が、層51〜53と同様の3つの層を備える3層構造に形成される等、複数層構造に形成される。
また、図13に示す第1の実施形態の第9の変形例では、電池パック30は、底板48の外表面に積層される積層部として、絶縁層71を備える。絶縁層71は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側に、底板48に対して積層される。絶縁層71は、電気的絶縁性を有する材料から形成される。絶縁層71は、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、エポキシ系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及び、ポリエチレンテレフタレート(PET)のいずれか1つ以上を含む。 絶縁層71は、シリコーン等から形成される層51に比べて、熱伝導性及び圧縮性が低い。ただし、絶縁層71は、層51に比べて薄く、ある一例では、絶縁層71の層厚は、500μm以下である。また、絶縁層71は、層51に比べて、機械的強度及び圧縮耐性が高い。
本変形例では、絶縁層71は、電池パック30の高さ方向について、電池モジュール31が位置する側とは反対側から、フレーム突出部54及びシート部材45のシート底面47に当接する。したがって、絶縁層71は、底板48とフレーム突出部54との間で挟まれるとともに、底板48とシート部材45との間で挟まれる。そして、フレーム突出部54及びシート部材45は、絶縁層71(積層部)の表面上に配置される。
本変形例では、絶縁層71が設けられるが、絶縁層71の層厚は薄い。このため、本変形例でも、電池モジュール31からの熱は、シート部材45、絶縁層71及び底板48を通して冷却プレート60に適切に伝達される。したがって、本変形例の電池パック30でも、電池モジュール31から冷却プレート60へ適切に放熱される。
また、 絶縁層71は、電気的絶縁性が高い材料から形成されるとともに、機械的強度が高い。このため、外力によってシート部材45が破損した場合でも、電池モジュール(電池セット)31は、絶縁層71によって、底板48及び冷却プレート60に対して適切に電気的に絶縁される。したがって、外力によってシート部材45が破損した場合でも、電池パック30の絶縁層71によって、耐電圧性(絶縁耐力)が高い絶縁構造が、適切に形成される。
なお、本変形例等の電池モジュール31は、高電圧で用いられる。また、本変形例等の電池モジュール31は、例えば、鉄道等においてインバータとともに用いられ、インバータから繰返し発生するインパルス電圧の影響を受けることがある。このため、絶縁層71等が劣化して、コロナ放電が発生する可能性がある。したがって、本変形例等の電池パック30では、コロナ放電を防止する構成が必要となる。一方、絶縁層71は、放熱性の観点から薄い方が望ましい。ただし、絶縁層71の厚みが薄い場合、コロナ放電(部分放電)が生じる可能性がある。本変形例では、ある程度の厚みを有するシート部材45を用いることにより、シート部材45が厚くなることに対応して、コロナ放電開始電圧を高くすることができる。また、コロナ放電開始電圧は、シート部材45の誘電率によっても調整することができる。その結果、高電圧用途で用いる電池モジュールに適した構成となる。
なお、図13の変形例のように絶縁層71が設けられる場合、フレーム突出部54と電池モジュール31のモジュール底面32との間にシート部材45が配置される必要はない。ただし、シート部材45は、モジュール底面32と絶縁層71との間には、配置される。また、ある変形例では、絶縁層71が設けられる構成において、第1の実施形態と同様に、フレーム突出部54と電池モジュール31のモジュール底面32との間にシート部材45が配置されてもよい。
また、図14に示す第1の実施形態の第10の変形例では、電池パック30は、底板48と一体に形成される突出片73A,73Bを備える。突出片73A,73Bは、例えば、底板48と同一の金属から形成される。突出片73A,73Bのそれぞれは、電池パック30の高さ方向について、電池モジュール31が位置する側へ底板48から突出する。また、突出片73Aは、電池パック30の幅方向について底板48の一端部から突出し、突出片73Bは、電池パック30の幅方向について底板48の他端部から突出する。
突出片73Aは、収納空間43が位置する側とは反対側、すなわち外周側(外側)から、フレーム側壁42Aに対して対向する。突出片73Bは、収納空間43が位置する側とは反対側、すなわち外周側(外側)から、フレーム側壁42Bに対して対向する。本変形例では、絶縁層71(積層部)は、底板48の外表面に積層されるとともに、突出片73A,73Bのそれぞれの外表面にも積層される。そして、底板48及び突出片73A,73Bが延設される範囲の全体に渡って、絶縁層71が形成される。
前述のように絶縁層71が形成されるため、本変形例では、絶縁層71は、フレーム側壁42Aと突出片73Aとの間で挟まれるとともに、フレーム側壁42Bと突出片73Bとの間で挟まれる。本変形例でも、電池パック30の絶縁層71によって、耐電圧性(絶縁耐力)が高い絶縁構造が、適切に形成される。
なお、ある変形例では、フレーム側壁41Aに外周側(外側)から対向する突出片、及び、フレーム側壁41Bに外周側(外側)から対向する突出片が、底板48と一体に形成される。そして、絶縁層71は、底板48の外表面に積層されるとともに、これらの突出片のそれぞれの外表面にも積層される。そして、絶縁層71は、フレーム側壁41Aと突出片の一方との間で挟まれるとともに、フレーム側壁41Bと突出片の他方との間で挟まれる。本変形例でも、第10の変形例と同様に、電池パック30の絶縁層71によって、耐電圧性(絶縁耐力)が高い絶縁構造が、適切に形成される。
また、前述の変形例等では、底板48等の外表面に形成される積層部は、絶縁層71のみから形成されるが、ある変形例では、積層部は、絶縁層71に加えて、銅等から形成される金属層を備えてもよい。この場合、積層部の金属層と底板48との間に、絶縁層71が配置される。また、突出片73A,73B等が設けられる構成では、積層部の金属層と突出片73A,73Bのそれぞれとの間に、絶縁層71が配置される。ただし、積層部に金属層が設けられる場合、第1の実施形態と同様に、フレーム突出部54と電池モジュール31のモジュール底面32との間にシート部材45が配置されることが、好ましい。これにより、電池モジュール31において電池1同士が金属層を介して電気的に接続されることが、有効に防止される。
また、第9の変形例及び第10の変形例等のように絶縁層71(積層部)が設けられる構成においても、第1の変形例乃至第8の変形例等において前述したように電池パック30の構成を変形することが可能であり、第1の変形例乃至第8の変形例等で前述した構成を適宜組み合わせることが可能である。すなわち、絶縁層71(積層部)が設けられる構成においても、前述したように、底板48及びシート部材45の形状及び構成等を適宜変更可能であり、中継シート67及び接着層56等の有無も適宜変更可能である。
また、図15に示す第1の実施形態の第11の変形例では、電池パック30に底板48が設けられない。本変形例の電池パック30も、前述した冷却プレート60を備える電池システム50に使用可能である。本変形例の電池パック30が用いられる電池システム50では、フレーム40のフレーム側壁41A,41B,42A,42Bの下端(一端)が、冷却プレート60に当接する。そして、フレーム40がボルト等によって冷却プレート60に取付けられることにより、電池パック30は、冷却プレート60の外表面に設置される。
本変形例の電池パック30が用いられる電池システム50では、シート部材45のシート底面47が、冷却プレート60に密着(粘着)する。図15の一例では、シート部材45の層(第1の層)51が、冷却プレート60に、密着する。また、本変形例では、冷却プレート60が、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側とは反対側から、フレーム突出部54に当接する。そして、フレーム突出部54は、電池モジュール31のモジュール底面32と冷却プレート60との間に配置される。
本変形例でも、電池モジュール31からの熱は、シート部材45を通して冷却プレート60に適切に伝達される。また、本変形例の電池パック30でも、シート部材45及びフレーム突出部54が設けられるため、電池パック30によって、耐電圧性(絶縁耐力)が高い絶縁構造が、適切に形成される。
また、図16に示す第1の実施形態の第12の変形例でも、第11の変形例と同様に、電池パック30に底板48が設けられない。ただし、本変形例の電池システム50では、冷却プレート60の外表面に積層される積層部として、絶縁層75が形成される。絶縁層75は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側に、冷却プレート60に対して積層される。絶縁層75は、電気的絶縁性を有する材料から形成され、例えば前述した絶縁層71と同一の材料から形成される。このため、絶縁層75は、層51に比べて熱伝導性及び圧縮性が低い。また、絶縁層75は、層51に比べて、機械的強度及び圧縮耐性が高い。なお、絶縁層75は、層51に比べて薄く、ある一例では、絶縁層75の層厚は、500μm以下である。
本変形例では、絶縁層75は、電池パック30の高さ方向について、電池モジュール31が位置する側とは反対側から、フレーム突出部54及びシート部材45のシート底面47に当接する。したがって、絶縁層75は、冷却プレート60とフレーム突出部54との間で挟まれるとともに、冷却プレート60とシート部材45との間で挟まれる。そして、フレーム突出部54及びシート部材45は、絶縁層75(積層部)の表面上に配置される。
本変形例では、絶縁層75が設けられるが、絶縁層75の層厚は薄い。このため、本変形例でも、電池モジュール31からの熱は、シート部材45及び絶縁層75を通して冷却プレート60に適切に伝達される。したがって、本変形例の電池パック30でも、電池モジュール31から冷却プレート60へ適切に放熱される。
また、 絶縁層75は、電気的絶縁性が高い材料から形成されるとともに、機械的強度が高い。このため、外力によってシート部材45が破損した場合でも、電池モジュール(電池セット)31は、絶縁層75によって、冷却プレート60に対して適切に電気的に絶縁される。したがって、外力によってシート部材45が破損した場合でも、絶縁層75によって、耐電圧性(絶縁耐力)が高い絶縁構造が、適切に形成される。
ここで、絶縁層75も、絶縁層71と同様に、放熱性の観点から薄い方が望ましい。ただし、絶縁層75の厚みが薄い場合、コロナ放電(部分放電)が生じる可能性がある。本変形例では、ある程度の厚みを有するシート部材45を用いることにより、シート部材45が厚くなることに対応して、コロナ放電開始電圧を高くすることができる。また、コロナ放電開始電圧は、シート部材45の誘電率によっても調整することができる。
なお、図16の変形例のように絶縁層75が設けられる場合、フレーム突出部54と電池モジュール31のモジュール底面32との間にシート部材45が配置される必要はない。ただし、シート部材45は、モジュール底面32と絶縁層75との間には、配置される。また、ある変形例では、絶縁層75が設けられる構成において、第1の実施形態と同様に、フレーム突出部54と電池モジュール31のモジュール底面32との間にシート部材45が配置されてもよい。
また、第11の変形例及び第12の変形例等のように底板48が設けられない構成においても、第1の変形例、第3の変形例乃至第8の変形例等において前述したように電池パック30の構成を変形することが可能であり、第1の変形例、第3の変形例乃至第8の変形例等で前述した構成を適宜組み合わせることが可能である。すなわち、底板48が設けられない構成においても、前述したように、シート部材45の形状及び構成等を適宜変更可能であり、中継シート67及び接着層56等の有無も適宜変更可能である。
また、ある変形例では、第11の変形例及び第12の変形例等のように底板48が設けられない構成において、冷却プレート60に突起が形成されてもよい。この場合、突起は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側へ、冷却プレート60の他の部位に対して突出する。そして、冷却プレート60の突起の突出端が、シート部材45等に、電池モジュール31が位置する側とは反対側から当接する。また、冷却プレート60の突起は、フレーム突出部54の突出端Eに対して、収納空間43の内周側へ配置される。そして、冷却プレート60の突起は、フレーム40の貫通孔55に配置され、貫通孔55に配置される固体部分を形成する。このため、冷却プレート60の一部によって、貫通孔55に配置される固体部分が、形成される。本変形例でも、電池モジュール31で発生した熱は、シート部材45等を通して冷却プレート60に、適切に伝達される。したがって、本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
また、電池モジュール31を形成する電池1の数は、6つに限るものではなく、複数であればよい。また、電池パック30には、電池モジュールが複数設けられてもよい。例えば、図17乃至図19に示す第1の実施形態の第13の変形例では、電池パック30に3つの電池モジュール31A〜31Cが設けられる。本変形例では、電池モジュール31A〜31Cのそれぞれは、電池1を8つ備える。そして、電池モジュール31A〜31Cのそれぞれでは、前述の電池モジュール31と同様に、複数の電池1が配列されるとともに、仕切り板36及び接着剤37が設けられる。
また、本変形例の電池パック30でも、前述の実施形態等と同様に、縦方向(矢印X3及び矢印X4で示す方向)、縦方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)高さ方向(矢印Z3及び矢印Z4で示す方向)、及び、縦方向及び高さ方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向が、規定される。電池モジュール31A〜31Cのそれぞれでは、電池1の配列方向は、電池パック30の縦方向と一致又は略一致する。ここで、図17は、電池パック30を高さ方向の一方側(矢印Z3側)から視た状態で概略的に示す。また、図18は、電池パック30を、縦方向(電池モジュール31A〜31Cのそれぞれでの電池1の配列方向)に対して垂直又は略垂直な断面で概略的に示す。また、図19は、フレーム40の構成を概略的に示す。
本変形例でも、電池パック30は、フレーム40を備える。そして、フレーム40は、フレーム側壁41A,41B,42A〜42Dを備える。フレーム側壁41Aは、電池パック30の縦方向について、一方側(矢印X3側)から電池モジュール31A〜31Cのそれぞれのモジュール側面35Aに対向する。また、フレーム側壁41Bは、電池パック30の縦方向について、フレーム側壁41Aとは反対側(矢印X4側)から電池モジュール31A〜31Cのそれぞれのモジュール側面35Bに対向する。電池モジュール31Aは、電池パック30の幅方向について、フレーム側壁42A,42Bの間に配置される。また、電池モジュール31Bは、電池パック30の幅方向について、フレーム側壁42B,42Cの間に配置され、電池モジュール31Cは、電池パック30の幅方向について、フレーム側壁42C,42Dの間に配置される。
前述のような構成であるため、フレーム側壁41A,41B,42A,42Bによって、電池モジュール31Aの外周側を囲む囲い枠が、形成される。そして、フレーム側壁41A,41B,42A,42Bは、電池モジュール31Aが収納される収納空間43Aを、形成する。同様に、フレーム側壁41A,41B,42B,42Cは、電池モジュール31Bの外周側を囲む囲い枠を形成するとともに、電池モジュール31Bが収納される収納空間43Bを形成する。そして、フレーム側壁41A,41B,42C,42Dは、電池モジュール31Cの外周側を囲む囲い枠を形成するとともに、電池モジュール31Cが収納される収納空間43Cを形成する。電池パック30では、収納空間43A〜43Cは、フレーム40(フレーム側壁42B,42C)によって、互いに対して隔壁される。
本変形例でも、電池パック30に、複数のバスバー38が設けられる。電池モジュール31A〜31Cのそれぞれでは、複数の電池1のそれぞれは、バスバー38を介して、他の電池に電気的に接続される。また、電池モジュール31A〜31Cのそれぞれは、バスバー38を介して、他の電池モジュール(31A〜31Cの対応する2つ)、及び、電池パック30の外部端子に、電気的に接続される。
また、電池パック30は、フレーム突出部54A〜54Cを備える。フレーム突出部54Aは、フレーム側壁41A,41B,42A,42Bのそれぞれの一端部(下端部)から収納空間43Aの内周側へ突出する。そして、フレーム突出部54Aは、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31Aのモジュール底面32が向く側から、電池モジュール31Aを支持する。
同様に、フレーム突出部54Bは、フレーム側壁41A,41B,42B,42Cのそれぞれの一端部(下端部)から収納空間43Bの内周側へ突出する。そして、フレーム突出部54Bは、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31Bのモジュール底面32が向く側から、電池モジュール31Bを支持する。また、フレーム突出部54Cは、フレーム側壁41A,41B,42C,42Dのそれぞれの一端部(下端部)から収納空間43Cの内周側へ突出する。そして、フレーム突出部54Cは、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31Cのモジュール底面32が向く側から、電池モジュール31Cを支持する。本変形例では、フレーム突出部54A〜54Cによって、フレーム40の底壁(フレーム底壁)が形成される。
また、本変形例の電池パック30では、フレーム40に貫通孔55A〜55Cが形成される。貫通孔55Aの縁の少なくとも一部は、フレーム突出部54Aの突出端(内端)Eaによって形成される。貫通孔55Bの縁の少なくとも一部は、フレーム突出部54Bの突出端(内端)Ebによって形成される。そして、貫通孔55Cの縁の少なくとも一部は、フレーム突出部54Cの突出端(内端)Ecによって形成される。
また、本変形例の電池パック30には、接着層56A〜56Cが設けられる。接着層56A〜56Cのそれぞれは、前述の接着層56と同様の材料から形成される。電池モジュール31Aのモジュール底面32は、接着層56Aによって、フレーム突出部54Aに接着される。同様に、電池モジュール31Bのモジュール底面32は、接着層56Bによって、フレーム突出部54Bに接着される。そして、電池モジュール31Cのモジュール底面32は、接着層56Cによって、フレーム突出部54Cに接着される。
また、本変形例の電池パック30は、シート部材45A〜45Cを備える。シート部材45A〜45Cのそれぞれは、前述の実施形態等のシート部材45のいずれかと同様の構成である。図17乃至図19の一例では、シート部材45A〜45Cのそれぞれは、層51のみを備える1層構造であり、シート本体65及びシート突起66を備える。本変形例では、シート部材45Aのシート上面46は、電池モジュール31Aのモジュール底面32に密着(粘着)する。同様に、シート部材45Bのシート上面46は、電池モジュール31Bのモジュール底面32に密着する。そして、シート部材45Cのシート上面46は、電池モジュール31Cのモジュール底面32に密着する。また、本変形例では、シート部材45Aは、貫通孔55Aに配置され、貫通孔55Aに配置される固体部分を形成する。同様に、シート部材45Bは、貫通孔55Bに配置され、貫通孔55Bに配置される固体部分を形成する。そして、シート部材45Cは、貫通孔55Cに配置され、貫通孔55Cに配置される固体部分を形成する。
また、本変形例の電池パック30では、底板(支持部材)48が、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31A〜31Cのそれぞれのモジュール底面32が向く側から、フレーム40に取付けられる。そして、シート部材45A〜45Cのそれぞれでは、シート底面47が、底板48に密着する。また、底板48は、電池パック30の高さ方向について、電池モジュール31A〜31Cが位置する側とは反対側から、フレーム突出部54A〜54Cのそれぞれに当接する。したがって、フレーム突出部54Aは、底板48と電池モジュール31Aのモジュール底面32との間に配置される。同様に、フレーム突出部54Bは、底板48と電池モジュール31Bのモジュール底面32との間に配置され、フレーム突出部54Cは、底板48と電池モジュール31Cのモジュール底面32との間に配置される。
本変形例の電池パック30も、前述した冷却プレート60を備える電池システム50に使用可能である。本変形例の電池パック30が用いられる電池システム50では、底板48が、冷却プレート60に当接する。
本変形例では、電池モジュール31Aで発生した熱は、シート部材45Aを通して底板48及び冷却プレート60に適切に伝達される。そして、シート部材45A及び底板48を通る電池モジュール31Aからの熱の伝達経路は、フレーム40の貫通孔55Aに配置される固体部分を通る。同様に、電池モジュール31Bで発生した熱は、シート部材45Bを通して底板48及び冷却プレート60に適切に伝達される。そして、シート部材45B及び底板48を通る電池モジュール31Bからの熱の伝達経路は、フレーム40の貫通孔55Bに配置される固体部分を通る。また、電池モジュール31Cで発生した熱は、シート部材45Cを通して底板48及び冷却プレート60に適切に伝達される。そして、シート部材45C及び底板48を通る電池モジュール31Cからの熱の伝達経路は、フレーム40の貫通孔55Cに配置される固体部分を通る。したがって、本変形例の電池パック30では、電池モジュール31A〜31Cのそれぞれから冷却プレート60へ適切に放熱される。
また、本変形例では、電池モジュール31Aは、シート部材45A及びフレーム突出部54Aによって、底板48及び冷却プレート60に対して、適切に電気的に絶縁される。同様に、電池モジュール31Bは、シート部材45B及びフレーム突出部54Bによって、底板48及び冷却プレート60に対して、適切に電気的に絶縁される。そして、電池モジュール31Cは、シート部材45C及びフレーム突出部54Cによって、底板48及び冷却プレート60に対して、適切に電気的に絶縁される。したがって、本変形例でも、電池パック30によって、耐電圧性(絶縁耐力)が高い絶縁構造が、適切に形成される。
また、ある変形例では、第13の変形例のように電池パック30に複数の電池モジュール(例えば31A〜31C)が設けられる構成において、第1の変形例乃至第7の変形例のいずれかのシート部材45のように、シート部材(例えば45A〜45C)のそれぞれを変形してもよい。また、電池パック30に複数の電池モジュール(例えば31A〜31C)が設けられる構成において、第2の変形例のように底板48を変形してもよく、第8の変形例のように電池モジュールのそれぞれに対応させて絶縁シートを設けてもよい。
また、ある変形例では、第13の変形例のように電池パック30に複数の電池モジュール(例えば31A〜31C)が設けられる構成において、第9の変形例及び第10の変形例のように底板48に対して絶縁層71(積層部)が積層されてもよい。また、電池パック30に複数の電池モジュール(例えば31A〜31C)が設けられる構成において、第11の変形例及び第12の変形例のように底板48が設けられなくてもよい。この場合、第12の変形例のように冷却プレート60に対して絶縁層75(積層部)が積層されてもよい。
また、図20に示す第1の実施形態の第14の変形例では、電池モジュール31(31A〜31C)に設けられる仕切り板36の構成が、前述の実施形態等とは異なる。本変形例では、仕切り板36のそれぞれは、仕切り板本体76と、仕切り板本体76の外表面に形成される表面絶縁層77と、を備える。仕切り板本体76は、金属から形成される。このため、仕切り板本体76は、フレーム40に比べて、熱伝導性が高い。また、表面絶縁層77は、電気的絶縁性を有する状態に仕切り板本体76を形成する金属を表面改質することにより、形成される。例えば、表面絶縁層77は、仕切り板本体76を形成する金属が酸化した酸化膜である。ある一例では、仕切り板本体76は、アルミニウムを含み、表面絶縁層77は、アルマイト処理によって形成されるアルマイト層である。なお、本変形例のように仕切り板36が形成される構成では、電池モジュール31において、電池1のそれぞれの蓋6の外表面及び底壁(容器底壁)11の外表面に、仕切り板36の対応する1つが当接してもよい。
本変形例では、仕切り板本体76が、熱伝導性が高い金属から形成される。このため、電池モジュール31(31A〜31C)では、電池1のそれぞれから仕切り板36を通しても、シート部材45に熱が伝達される。したがって、電池モジュール31(31A〜31C)からの放熱性が、さらに向上する。また、本変形例では、金属の表面改質によって表面絶縁層77が形成されるため、金属の板の外表面に樹脂等から絶縁層を形成する場合に比べて、仕切り板36の厚さを薄くすることが可能になる。仕切り板36のそれぞれが薄くなることにより、電池モジュール31(31A〜31C)の小型化を実現可能になる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る電池パック30について、図21乃至図23を参照して説明する。図21及び図22に示すように、本実施形態でも、前述の実施形態等と同様にして、電池モジュール31が形成される。そして、フレーム40のフレーム側壁41A,41B,42A,42Bによって、電池モジュール31の収納空間43が形成される。電池モジュール31は、前述の実施形態等と同様に、モジュール底面32、モジュール上面33及びモジュール側面34A,34B,35A,35Bを有し、前述の実施形態等と同様にして収納空間43に配置される。なお、図21は、電池パック30を電池1の配列方向(矢印X3及び矢印X4で示す方向)に対して垂直又は略垂直な断面で概略的に示し、図22は、電池パック30を幅方向(矢印Y3及び矢印Y4で示す方向)に垂直又は略垂直な断面で概略的に示す。
本実施形態でも前述の実施形態等と同様に、シート部材45が設けられる。そして、第1の実施形態等と同様に、シート部材45は、層(高伝導層)51のみの一層構造に形成される。ただし、本実施形態では、前述の実施形態等とは異なり、フレーム40にフレーム突出部54(54A〜54C)は、形成されない。また、本実施形態では、シート部材45は、シート本体81と、シート突出部82A,82B,83A,83Bと、を備える。シート突出部82A,82B,83A,83Bは、シート本体81と一体に形成される。
本実施形態では、層(高伝導層)51は、シート本体81及びシート突出部82A,82B,83A,83Bに渡って、形成される。したがって、層51は、シート部材45において、シート本体81及びシート突出部82A,82B,83A,83Bが延設される範囲の全体に渡って、形成される。そして、シート本体81が、電池モジュール31のモジュール底面32に密着する。シート本体81では、層51が、モジュール底面32に粘着する。また、シート本体81は、シート上面46で、モジュール底面32に密着する。
シート突出部82A,82B,83A,83Bのそれぞれは、電池パック30の高さ方向について、電池モジュール31が位置する側へシート本体81から突出する。シート突出部82Aは、電池パック30の幅方向についてシート本体81の一端部から突出し、シート突出部82Bは、電池パック30の幅方向についてシート本体81の他端部から突出する。シート突出部82Aは、収納空間43においてフレーム側壁42Aとモジュール側面34Aとの間に配置され、モジュール側面34Aに外周側から対向する。また、シート突出部82Bは、収納空間43においてフレーム側壁42Bとモジュール側面34Bとの間に配置され、モジュール側面34Bに外周側から対向する。
シート突出部83Aは、電池パック30の縦方向(電池1の配列方向)についてシート本体81の一端部から突出し、シート突出部83Bは、電池パック30の縦方向についてシート本体81の他端部から突出する。シート突出部83Aは、収納空間43においてフレーム側壁41Aとモジュール側面35Aとの間に配置され、モジュール側面35Aに外周側から対向する。また、シート突出部83Bは、収納空間43においてフレーム側壁41Bとモジュール側面35Bとの間に配置され、モジュール側面35Bに外周側から対向する。
シート突出部82Aは、モジュール側面34A及びモジュール底面32とモジュール側面34Aとの間の角部に密着する密着部を、形成する。シート突出部82Aによって形成される密着部では、層51が、モジュール側面34A及び角部に密着(粘着)する。また、シート突出部82Aは、シート上面46で、モジュール側面34A及び角部に密着する。また、シート突出部82Bは、モジュール側面34B及びモジュール底面32とモジュール側面34Bとの間の角部に密着する密着部を、形成する。シート突出部82Bによって形成される密着部では、層51が、モジュール側面34B及び角部に密着(粘着)する。また、シート突出部82Bは、シート上面46で、モジュール側面34B及び角部に密着する。
シート突出部83Aは、モジュール側面35A及びモジュール底面32とモジュール側面35Aとの間の角部に密着する密着部を、形成する。シート突出部83Aによって形成される密着部では、層51が、モジュール側面35A及び角部に密着(粘着)する。また、シート突出部83Aは、シート上面46で、モジュール側面35A及び角部に密着する。また、シート突出部83Bは、モジュール側面35B及びモジュール底面32とモジュール側面35Bとの間の角部に密着する密着部を、形成する。シート突出部83Bによって形成される密着部では、層51が、モジュール側面35B及び角部に密着(粘着)する。また、シート突出部83Bは、シート上面46で、モジュール側面35B及び角部に密着する。
また、本実施形態の電池パック30では、底板(支持部材)48が、電池パック30の高さ方向についてモジュール底面32が向く側から、フレーム40に取付けられる。底板48は、電池パック30の高さ方向についてモジュール底面32が向く側から、電池モジュール31及びシート部材45を支持する。本実施形態では、底板48は、電池パック30の高さ方向について、電池モジュール31が位置する側とは反対側から、シート部材45のシート本体81に当接する。シート本体81では、層51が、底板48に粘着する。また、シート本体81は、シート底面47で、底板48に密着する。本実施形態では、電池モジュール31で発生した熱は、シート部材45を通して、底板48に伝達される。
図23に示すように、本実施形態の電池パック30も、前述した冷却プレート60を備える電池システム50に使用可能である。すなわち、本実施形態の電池パック30は、冷却プレート60の外表面に設置される。本実施形態では、底板48が冷却プレート60と当接する。したがって、冷却プレート60は、電池パック30の高さ方向について、シート部材45に対して、電池モジュール31が位置する側とは反対側に設けられる。
本実施形態では、電池モジュール31で発生した熱は、シート部材45及び底板48を通る伝達経路を介して、冷却プレート60に伝達される。シート部材45の層51は、フレーム40及び仕切り板36に比べて熱伝導率が高い。そして、本実施形態のシート部材45は、層51のみから形成される。このため、電池モジュール31からの熱は、シート部材45及び底板48を通して冷却プレート60に適切に伝達される。したがって、電池パック30では、電池モジュール31から冷却プレート60へ適切に放熱される。
また、本実施形態では、シート部材45にシート突出部82A,82B,83A,83Bが設けられるため、シート部材45は、モジュール底面32に加えて、モジュール側面34A,34B,35A,35B及びモジュール側面34A,34B,35A,35Bのそれぞれとモジュール底面32との間の角部にも密着する。このため、電池モジュール31で発生した熱は、モジュール底面32のみからではなく、モジュール側面34A,34B,35A,35B及びモジュール側面34A,34B,35A,35Bのそれぞれとモジュール底面32との間の角部からも、シート部材45に伝達される。したがって、電池パック30では、電池モジュール31から冷却プレート60への放熱性が向上する。
また、本実施形態の電池パック30では、電池モジュール31を囲むフレーム側壁41A,41B,42A,42Bは、電気的絶縁性が高い材料から形成される。そして、モジュール底面32及びモジュール側面34A,34B,35A,35B等に密着するシート部材45も、電気的絶縁性が高い材料から形成される。したがって、電池システム50では、電池パック30によって耐電圧性(絶縁耐力)が高い絶縁構造が、適切に形成される。
そして、本実施形態では、シート突出部82A,82B,83A,83Bによって、電池モジュール31の複数の電池1と底板48との間の絶縁距離を長くすることが、可能になる。電池モジュール31の複数の電池1と底板48との間の絶縁距離を長くなることにより、耐電圧性(絶縁耐力)がさらに高い絶縁構造が、形成される。
[第2の実施形態の変形例]
なお、ある変形例では、第1の実施形態の変形例において前述したように、シート部材45が層51〜53を備える3層構造に形成される等、複数層構造に形成される。この場合、層(例えば51〜53)のそれぞれは、シート本体81及びシート突出部82A,82B,83A,83Bに渡って、形成される。したがって、層(例えば51〜53)のそれぞれは、シート部材45において、シート本体81及びシート突出部82A,82B,83A,83Bが延設される範囲の全体に渡って、形成される。
また、前述の実施形態等では、シート部材45に、シート突出部82A,82B,83A,83Bの全てが設けられるが、シート部材45には、シート突出部82A,82B,83A,83Bのいずれか1つ以上が設けられていればよい。
また、図24に示す第2の実施形態の第1の変形例では、第1の実施形態の変形例において前述したように、電池パック30は、絶縁層71(積層部)を備える。積層部となる絶縁層71は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側に、底板48に対して積層される。
本変形例では、絶縁層71は、電池パック30の高さ方向について、電池モジュール31が位置する側とは反対側から、シート部材45のシート本体81に当接する。シート本体81は、シート底面47で、絶縁層71に密着する。したがって、絶縁層71は、底板48とシート部材45のシート本体81との間で挟まれる。そして、シート部材45のシート本体81は、絶縁層71(積層部)の表面上に配置される。なお、積層部71は、底板48と一体に形成されてもよい。
また、図25に示す第2の実施形態の第2の変形例 では、第1の実施形態の変形例で前述したように、電池パック30に底板48が設けられない。本変形例の電池パック30も、前述した冷却プレート60を備える電池システム50に使用可能である。本変形例の電池パック30が用いられる電池システム50では、フレーム40のフレーム側壁41A,41B,42A,42Bの下端(一端)が、冷却プレート60に当接する。そして、電池パック30は、冷却プレート60の外表面に設置される。
本変形例の電池パック30が用いられる電池システム50では、シート部材45のシート本体81が、冷却プレート60に密着(粘着)する。シート本体81は、シート底面47で、冷却プレート60に密着する。本変形例でも、電池モジュール31からの熱は、シート部材45を通して冷却プレート60に適切に伝達される。また、本変形例の電池パック30でも、シート部材45が設けられるため、電池パック30によって、耐電圧性(絶縁耐力)が高い絶縁構造が、適切に形成される。
また、図26に示す第2の実施形態の第3の変形例でも、第2の変形例と同様に、電池パック30に底板48が設けられない。ただし、本変形例の電池システム50では、第1の変形例において前述したように、絶縁層75が形成される。積層部となる絶縁層75は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側に、冷却プレート60に対して積層される。
本変形例では、絶縁層75は、電池パック30の高さ方向について、電池モジュール31が位置する側とは反対側から、シート部材45のシート本体81に当接する。シート本体81は、シート底面47で、絶縁層75に密着する。したがって、絶縁層75は、冷却プレート60とシート部材45のシート本体81との間で挟まれる。そして、シート部材45のシート本体81は、絶縁層71(積層部)の表面上に配置される。
なお、ある変形例では、第1の実施形態の変形例において前述したように、電池パック30に複数の電池モジュール(例えば31A〜31C)が設けられ、電池モジュール(31A〜31C)と同一の数だけシート部材(例えば45A〜45C)が設けられる。また、本変形例では、シート部材(45A〜45C)のそれぞれは、第2の実施形態等のシート部材45と同様に、シート本体81を備えるとともに、シート突出部82A,82B,83A,83Bのいずれかを備える。本変形例では、シート部材(45A〜45C)のそれぞれは、第2の実施形態等のシート部材45の電池モジュール31への密着と同様にして、電池モジュール(31A〜31C)の対応する1つに対して密着する。
また、図27に示す第2の実施形態の第4の変形例では、シート部材45にシート突出部82A,82B,83A,83Bが設けられず、シート部材45は、シート本体81のみから形成される。本変形例でも、シート本体81は、電池モジュール31のモジュール底面32に密着する。本変形例では、第2の実施形態の第1の変形例等と同様に、積層部となる絶縁層71が、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側に、底板48に対して積層される。そして、絶縁層71は、電池パック30の高さ方向について、電池モジュール31が位置する側とは反対側から、シート部材45のシート本体81に当接する。したがって、絶縁層71は、底板48とシート部材45のシート本体81との間で挟まれる。
本変形例では、電池パック30に、電気的絶縁性を有する材料から形成される絶縁シート85A,85Bが設けられる。絶縁シート85A,85Bのそれぞれは、フレーム40及びシート部材45とは別体である。絶縁シート85A,85Bは、電池モジュール31の収納空間43において、シート部材45に対して外周側に配置される。絶縁シート85Aは、電池パック30の幅方向について、シート部材45に対して一方側に隣接する。そして、絶縁シート85Bは、電池パック30の幅方向について、シート部材45に対して他方側に隣接する。したがって、絶縁シート85A,85Bのそれぞれは、電池パック30の幅方向について、シート部材45に対して外側に隣接する。
絶縁シート85A,85Bのそれぞれは、シート部材45に対して収納空間43の外周側の部位で、電池モジュール31のモジュール底面32に密着する。絶縁シート85Aは、モジュール側面34A及びモジュール底面32とモジュール側面34Aとの間の角部に密着する密着部を、形成する。また、絶縁シート85Bは、モジュール側面34B及びモジュール底面32とモジュール側面34Bとの間の角部に密着する密着部を、形成する。
絶縁シート85A,85Bのそれぞれは、フレーム40に比べて、IEC法の耐トラッキング性試験によるトラッキング指数が高い。ある一例では 絶縁シート85A,85Bのそれぞれにおいて、IEC法の耐トラッキング性試験によるトラッキング指数が、400V以上になる。IEC法の耐トラッキング性試験によるトラッキング指数が400V以上になる場合、絶縁シート85A,85Bのそれぞれを形成する材料には、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)が含まれる。なお、本変形例では、絶縁層71も、IEC法の耐トラッキング性試験によるトラッキング指数が、400V以上になる。
本変形例では、前述のように、絶縁層71が設けられるとともに、IEC法の耐トラッキング性試験によるトラッキング指数が高い絶縁シート85A,85Bが、設けられる。このため、フレーム側壁42A,42Bの厚さを薄くする等、電池モジュール31の複数の電池1と底板48との間の絶縁距離を短くしても、耐電圧性(絶縁耐力)が高い絶縁構造が、電池パック30によって形成される。また、IEC法の耐トラッキング性試験によるトラッキング指数が高い絶縁シート85A,85Bが設けられるため、フレーム40を形成する樹脂として、IEC法の耐トラッキング性試験によるトラッキング指数が低い(例えば175V以下の)材料を用いることが可能になる。これにより、フレーム40を形成する材料の選択肢が広がる。
なお、ある変形例では、絶縁シート85A,85Bの少なくとも一方は、モジュール側面35A及びモジュール底面32とモジュール側面35Aとの間の角部に密着し、密着部を形成する。そして、絶縁シート85A,85Bの少なくとも一方は、モジュール側面35B及びモジュール底面32とモジュール側面35Bとの間の角部に密着し、密着部を形成する。
また、別のある変形例では、電池パック30に、IEC法の耐トラッキング性試験によるトラッキング指数が絶縁シート85A,85Bと同程度になる絶縁シートが、絶縁シート85A,85Bに加えて設けられる。そして、追加で設けられる絶縁シートは、電池モジュール31の収納空間43において、シート部材45に対して外周側に配置され、電池パック30の縦方向について、シート部材45に対して外側に隣接する。追加で設けられる絶縁シートは、モジュール側面35A及びモジュール底面32とモジュール側面35Aとの間の角部に密着し、密着部を形成する。そして、追加で設けられる絶縁シートは、モジュール側面35B及びモジュール底面32とモジュール側面35Bとの間の角部に密着し、密着部を形成する。
また、ある変形例では、第2の実施形態の第4の変形例のように絶縁シート85A,85B等が設けられる構成において、底板48が設けられない。この場合、前述した絶縁層75(積層部)が冷却プレート60の外表面に形成される。
また、図28に示す第2の実施形態の第5の変形例でも、第2の実施形態の第4の変形例と同様に、絶縁シート85A,85Bが設けられる。ただし、本変形例では、電池モジュール31の幅方向について、シート部材45と絶縁シート85A,85Bのそれぞれとの間に、接着層56が形成される。電池モジュール31のモジュール底面32は、接着層56によって、絶縁層71に接着される。また、本変形例では、モジュール側面34Aが接着層56によってフレーム40のフレーム側壁42Aに接着され、モジュール側壁34Bが接着層56によってフレーム40のフレーム側壁42Bに接着される。モジュール側面34Aでは、接着層56は、絶縁シート85Aに対して、モジュール上面33が位置する側に配置される。そして、ジュール側面34Bでは、接着層56は、絶縁シート85Bに対して、モジュール上面33が位置する側に配置される。なお、ある変形例では、図28の変形例に示す4つの位置のいずれか1箇所、2箇所、又は、3箇所にのみ、接着層56が形成されてもよい。
また、ある変形例では、第1の実施形態の変形例において前述したように、電池パック30に複数の電池モジュール(例えば31A〜31C)が設けられ、電池モジュール(31A〜31C)と同一の数だけシート部材(例えば45A〜45C)が設けられる。また、本変形例では、シート部材(45A〜45C)の対応する1つが配置される収納空間(例えば43A〜43C)のそれぞれにおいて、シート部材(45A〜45C)の対応する1つに対して外周側に、第2の実施形態の第4の変形例等で前述した絶縁シート85A,85B等が設けられる。そして、絶縁シート85A,85B等のそれぞれは、第2の実施形態の第4の変形例等の絶縁シート85A,85Bの電池モジュール31への密着と同様にして、電池モジュール(31A〜31C)の対応する1つに対して密着する。
また、ある変形例では、第2の実施形態等のようにシート突出部82A,82B,83A,83Bのいずれかが設けられる構成において、第1の実施形態の変形例で前述したように、仕切り板36は、金属製の仕切り板本体76と、仕切り板本体76を形成する金属が表面処理された表面絶縁層77と、を備える。また、別のある変形例では、第2の実施形態の第4の変形例等のように絶縁シート85A,85B等が設けられる構成において、第1の実施形態の変形例で前述したように、仕切り板36は仕切り板本体76及び表面絶縁層77を備える。
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係る電池パック30について、図29及び図30を参照して説明する。図29に示すように、本実施形態でも、前述の実施形態等と同様にして、電池モジュール31が形成される。そして、フレーム40のフレーム側壁41A,41B,42A,42Bによって、電池モジュール31の収納空間43が形成される。電池モジュール31は、前述の実施形態等と同様に、モジュール底面32、モジュール上面33及びモジュール側面34A,34B,35A,35Bを有し、前述の実施形態等と同様にして収納空間43に配置される。なお、図29は、電池パック30を電池1の配列方向(矢印X3及び矢印X4で示す方向)に対して垂直又は略垂直な断面で概略的に示す。
本実施形態では、前述の実施形態等とは異なり、シート部材45が設けられない。そして、フレーム40に、フレーム突出部54は設けられない。本実施形態では、フレーム40は、フレーム突出部86を備える。フレーム突出部86は、フレーム側壁41A,41B,42A,42Bのそれぞれの一端部(下端部)から外周側へ突出する。したがって、フレーム突出部86は、収納空間43が位置する側とは反対側へ、フレーム側壁41A,41B,42A,42Bから突出する。フレーム側壁41A,41B,42A,42Bのそれぞれでは、電池パック30の高さ方向についてモジュール底面32が向く側の端部から、フレーム突出部86が突出する。また、本実施形態では、フレーム突出部86の突出端Tが、フレーム40の外周端(外端)を形成する。
本実施形態では、第1の実施形態等と同様に、電池パック30に底板48が設けられる。そして、第1の実施形態の変形例等において前述したように、絶縁層71(積層部)が、電池パック30の高さ方向について、底板48に対して電池モジュール31が位置する側に積層される。したがって、電池モジュール31のモジュール底面32は、高さ方向について絶縁層71が位置する側を向く。本実施形態では、電池モジュール31のモジュール底面32は、接着層87によって絶縁層71に接着される。これにより、電池モジュール31は、絶縁層71の表面(外表面)に設置される。また、電池モジュール31で発生した熱は、接着層87及び絶縁層71を通して、底板48に伝達される。
なお、ある実施例では、接着層87は、前述した接着層56と同様の材料から形成される。また、絶縁層71及び接着層87のそれぞれは、フレーム側壁41A,41B,42A,42Bのそれぞれに比べて、遥かに薄く形成される。ある一例では、絶縁層71及び接着層87のそれぞれの層厚は、1m以下である。
また、フレーム40のフレーム突出部86には、絶縁層71が当接する。そして、絶縁層71は、底板48とフレーム突出部86との間で挟まれる。このため、フレーム突出部86は、絶縁層71の表面(外表面)に配置される。また、本実施形態では、フレーム突出部86の突出端T、及び、底板48及び絶縁層71のそれぞれの外縁によって、電池パック30の外周端(外端)が形成される。
図30に示すように、本実施形態の電池パック30も、前述した冷却プレート60を備える電池システム50に使用可能である。すなわち、本実施形態の電池パック30は、冷却プレート60の外表面に設置される。本実施形態では、底板48が冷却プレート60と当接する。したがって、冷却プレート60は、電池パック30の高さ方向について、絶縁層71に対して、電池モジュール31が位置する側とは反対側に設けられる。すなわち、冷却プレート60は、電池モジュール31に対して、モジュール底面32が向く側に設けられる。
本実施形態では、電池モジュール31で発生した熱は、接着層87、絶縁層71及び底板48を通る伝達経路を介して、冷却プレート60に伝達される。絶縁層71及び接着層87のそれぞれの層厚は、前述のように、薄い。このため、電池モジュール31からの熱は、底板48等を通して冷却プレート60に適切に伝達される。したがって、電池パック30では、電池モジュール31から冷却プレート60へ適切に放熱される。
また、本実施形態の電池パック30では、電池モジュール31を囲むフレーム側壁41A,41B,42A,42Bは、電気的絶縁性が高い材料から形成される。そして、モジュール底面32と底板48との間に配置される絶縁層71も、電気的絶縁性が高い材料から形成される。したがって、電池システム50では、電池パック30によって耐電圧性(絶縁耐力)が高い絶縁構造が、適切に形成される。
そして、本実施形態では、フレーム突出部86によって、電池モジュール31の複数の電池1と底板48との間の絶縁距離が長くなる。実際に、フレーム側壁41A,41B,42A,42Bのそれぞれからフレーム突出部86の突出端Tまでの寸法だけ、絶縁距離が長くなる。電池モジュール31の複数の電池1と底板48との間の絶縁距離を長くなることにより、耐電圧性(絶縁耐力)がさらに高い絶縁構造が、形成される。
[第3の実施形態の変形例]
また、図31に示す第3の実施形態の第1の変形例 では、第1の実施形態の変形例及び第2の実施形態の変形例等で前述したように、電池パック30に底板48が設けられない。本変形例の電池パック30も、前述した冷却プレート60を備える電池システム50に使用可能である。また、本変形例の電池システム50では、前述した絶縁層75(積層部)が形成される。積層部となる絶縁層75は、電池パック30の高さ方向について電池モジュール31が位置する側に、冷却プレート60に対して積層される。
本変形例では、電池モジュール31のモジュール底面32は、接着層87によって絶縁層75に接着される。これにより、電池モジュール31は、絶縁層75の表面(外表面)に設置される。また、電池モジュール31で発生した熱は、接着層87及び絶縁層75を通して、底板48に伝達される。
また、フレーム40のフレーム突出部86には、絶縁層75が当接する。そして、絶縁層75は、底板48とフレーム突出部86との間で挟まれる。このため、フレーム突出部86は、絶縁層75の表面(外表面)に配置される。また、本実施形態では、フレーム突出部86の突出端Tによって、電池パック30の外周端(外端)が形成される。
また、ある変形例では、第3の実施形態等のようにフレーム突出部86が設けられる構成において、第1の実施形態の変形例で前述したように、仕切り板36は、金属製の仕切り板本体76と、仕切り板本体76を形成する金属が表面処理された表面絶縁層77と、を備える。
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、フレーム及びシート部材は、電気的絶縁性を有する。そして、フレームのフレーム突出部は、フレーム側壁から収納空間の内周側へ向かって突出し、高さ方向についてモジュール底面が向く側から電池モジュールを支持する。そして、フレームは、フレーム突出部の突出端を縁の少なくとも一部とする貫通孔を形成する。また、シート部材は、電池モジュールのモジュール底面に密着するとともに、電池モジュールから外部への熱の伝達経路の少なくとも一部を形成する。そして、熱の伝達経路は、フレームの貫通孔に配置される固体部分を通る。これにより、電池システムにおいて耐電圧性が高い絶縁構造を形成する電池パックを提供することができる。
また、これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、フレーム、シート部材及び密着部は、電気的絶縁性を有する。そして、シート部材は、電池モジュールのモジュール底面に密着する。密着部は、フレームとは別体で形成され、電池モジュールにおいてモジュール側面とモジュール底面との間の角部及びモジュール側面に密着する。これにより、電池システムにおいて耐電圧性が高い絶縁構造を形成する電池パックを提供することができる。
また、これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、フレームは、電気的絶縁性を有する。そして、電池モジュールは、電気的絶縁性を有する絶縁層の表面に、設置される。フレームのフレーム突出部は、収納空間が位置する側とは反対側へフレーム側壁から突出し、前述の絶縁層の表面に配置される。これにより、電池システムにおいて耐電圧性が高い絶縁構造を形成する電池パックを提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。