JPWO2020111093A1 - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

電解コンデンサは、陽極体と、陽極体の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を含むコンデンサ素子を備える。陽極体は細孔を有し、コンデンサ素子は、細孔内において、陽極体の表面を覆う誘電体層に付着したシリカ粒子をさらに備える。固体電解質層が、シリカ粒子を覆っている。

Description

本発明は、電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
電解コンデンサは、等価直列抵抗(ESR)が小さく、周波数特性が優れているため、様々な電子機器に搭載されている。電解コンデンサは、通常、陽極部および陰極部を備えるコンデンサ素子を備える。陽極部は、多孔質であるかまたは粗面化された陽極体を含み、陽極体の表面に誘電体層が形成される。誘電体層は、電解質と接触する。電解質として、導電性高分子などの固体電解質を用いた電解コンデンサがある。
誘電体層は、通常、陽極体に化成処理を施し、陽極体の表面に酸化皮膜を成長させることにより形成される。
陽極体の酸化皮膜には、クラック等の欠損部分が生じることがある。欠損部分が生じると、欠損部分において固体電解質と弁作用金属が接触し、漏れ電流が発生する。特許文献1では、導電性高分子と、水分を保持したゲル化剤からなる酸化皮膜修復層を誘電体層上に設け、漏れ電流を抑制している。
特開2014−045115号公報
しかしながら、より特性の良い電解コンデンサを実現するためには、より効果的に漏れ電流を抑制する必要がある。
誘電体層の欠損部分に漏れ電流が流れると、欠損部分を覆う導電性高分子が炭化し、欠損部分が炭化した導電性高分子で埋められる。よって、弁作用金属へと流れる導電パスを塞ぎ得る。しかしながら、炭化した導電性高分子で埋められた欠損部分は容量に寄与しないため、電解コンデンサの容量が低下してしまう。また、ESRも上昇し易い。
本開示の一局面は、陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を含むコンデンサ素子を備え、前記陽極体は細孔を有し、前記コンデンサ素子は、前記細孔内において、前記陽極体の表面を覆う前記誘電体層に付着したシリカ粒子をさらに備え、前記固体電解質層が、前記シリカ粒子を覆っている、電解コンデンサに関する。
本開示の他の局面は、陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を含むコンデンサ素子を備える固体電解コンデンサを製造する方法であって、細孔を有する前記陽極体を準備する工程と、前記陽極体を化成処理し、前記細孔の内壁に沿って前記誘電体層を形成する工程と、前記細孔内における前記誘電体層の表面にシリカ粒子を付着させる工程と、前記シリカ粒子を付着させる工程後に、前記細孔の少なくとも一部を前記固体電解質層で埋める工程と、を含む、電解コンデンサの製造方法に関する。
電解コンデンサの漏れ電流を低減することができる。
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサにおいて、陽極体の多孔質部分と固体電解質層との接触部の近傍を拡大した模式図である。 本発明の一実施形態に係る電解コンデンサを模式的に示す断面図である。 実施例1の電解コンデンサについて、印加電圧に対する漏れ電流の変化を示すグラフである。 比較例1の電解コンデンサについて、印加電圧に対する漏れ電流の変化を示すグラフである。
[電解コンデンサ]
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサは、陽極体と、陽極体の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を含むコンデンサ素子を備える。陽極体は、多孔質部分を有し、多孔質部分に細孔を有する。コンデンサ素子は、細孔内において、陽極体の表面を覆う誘電体層に付着したシリカ粒子をさらに備え、固体電解質層が、シリカ粒子を覆っている。
シリカ粒子は、細孔を閉塞することなく、細孔の内壁に沿って形成された誘電体層の表面に分散して付着し得る。誘電体層にクラックなどの欠損部分が生じている場合、シリカ粒子は、欠損部分を塞ぐように付着することができる。これにより、欠損部分を介した固体電解質層(導電性高分子)と多孔質部分(多孔体ともいう)を構成する弁作用金属との接触が規制され、漏れ電流が低減され得る。また、これにより、容量が低下することはない。
シリカ粒子は、球状のものが誘電体層の表面に分散していることが好ましい。アスペクト比の大きなシリカ粒子は、細孔の内部にまで入り込み難い。よって、誘電体層の欠損部分をシリカ粒子が塞ぐという作用が小さくなる場合がある。また、球状のシリカ粒子同士が連結して鎖状構造を形成する場合がある。この場合も、鎖状シリカは、多孔体の細孔の内部にまで入り込み難く、誘電体層の欠損部分をシリカ粒子が塞ぐという作用が小さくなる場合がある。
球状のシリカ粒子の球形度は、例えば、0.7以上1以下である。誘電体層に付着したシリカ粒子の球形度は、複数のシリカ粒子(例えば、10個以上)を含む断面画像を取得し、画像に含まれるシリカ粒子の輪郭線を解析することにより推定できる。輪郭線により形成される閉曲線内の面積に等しい円(以下において、「相当円」という)の直径の、輪郭線に外接する最小の円の直径に対する比を求める。この比の複数のシリカ粒子に対する平均値をシリカ粒子の球形度とする。
また、シリカ粒子の粒径は、細孔径の2.5%以上15%以下であることが好ましい。シリカ粒子の粒径が、細孔径に対して15%以下であると、シリカ粒子が細孔内に侵入し易く、誘電体層で覆われた細孔の内壁面を均一に分散し易い。一方で、シリカ粒子の粒径が小さ過ぎると、漏れ電流が小さくなる効果が減殺されやすい。
シリカ粒子の粒径が小さいと、誘電体層の欠損部分を塞ぐのに多数のシリカ粒子が必要であり、少数のシリカ粒子で誘電体層の欠損部分を完全に塞ぐことは困難である。このため、欠損部分の一部領域で、露出する弁作用金属が固体電解質層と接触し、漏れ電流の低減効果が小さくなる場合がある。これに対し、粒径が適度に大きなシリカ粒子を用いることで、少数のシリカ粒子で欠損部分を完全に塞ぐことができ、漏れ電流は抑制され得る。また、シリカ粒子が誘電体層の欠損部分の一部を塞いでいる場合であっても、漏れ電流はシリカ粒子の表面を伝って、露出する弁作用金属へと流れ得る。このため、シリカ粒子の粒径が大きい方が、漏れ電流の流れる電流経路が長くなり、抵抗成分が大きくなり得る。結果、漏れ電流は小さくなり得る。
漏れ電流を低減する観点から、シリカ粒子の粒径は、細孔径の2.5%以上であることが好ましく、3%以上がより好ましい。シリカ粒子を細孔内の誘電体層の表面に分散させる観点から、シリカ粒子の粒径は、細孔径の15%以下であることが好ましく、12%以下がより好ましい。上記の上限値および下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態の電解コンデンサによれば、適度な粒径を有するシリカ粒子が分散して誘電体層に付着していることにより、誘電体層の欠損部分に起因した漏れ電流が低減される。
シリカ粒子の粒径は、平均粒子径を意味し、複数のシリカ粒子(例えば、10個以上)を含む断面画像において、相当円の直径の平均値で求められる。多孔質部分の細孔径は、誘電体層形成後の多孔質部分に対し水銀圧入法にて測定される。水銀圧入法にて測定した対数微分細孔容積分布が略正規分布で表されるピークを示す場合、細孔径はそのピーク位置として求められる。複数の正規分布で表されるピークが認められる場合は、少なくとも1つのピークから求められる細孔径が、シリカ粒子の粒径に対して上記の条件を満たしていればよい。正規分布で表されるピークを確認できないか、ピークが存在しない場合には、細孔径は、積算細孔容積が全容積の1/2となる細孔径とする。例えば、細孔径が400nm程度の多孔質部分を有する陽極体を用いる場合、シリカ粒子の粒径は、10nm以上60nm以下が好ましく、15nm以上50nm以下がより好ましい。
シリカ粒子としては、粒子径が均一なものが容易に得られることから、コロイド状シリカ(コロイダルシリカ)を好ましく用いることができる。この場合、化成後の誘電体層が形成された多孔質部分を有する陽極体を、コロイダルシリカを含む分散液に浸漬後、乾燥させることにより、シリカ粒子を細孔内の誘電体層に付着させることができる。その後、細孔内の空隙の少なくとも一部を固体電解質層で埋め、固体電解質層の少なくとも一部を覆うように陰極層を形成して、コンデンサ素子を得る。
上記の通り、シリカ粒子の細孔内における誘電体層の表面への付着は、固体電解質層の形成より前に行われる。
製造工程を短縮する観点からは、コロイダルシリカおよび導電性高分子を含む分散液を調製し、当該分散液に多孔質部分を浸漬して、シリカ粒子を誘電体層に付着させる方法も考えられる。しかしながら、この場合、シリカ粒子は固体電解質層(導電性高分子)内に分散した状態で存在し、細孔内に入り込み難い。
特に、陽極体として金属粒子の焼結体を用いる場合、表面に凹凸が形成された粗面化アルミニウム箔を用いる場合と異なり、焼結体は、深い細孔が三次元的に形成された構造を有している。コロイダルシリカおよび導電性高分子を含む分散液を用いて、固体電解質層の形成とシリカ粒子の誘電体層への付着を同一工程で行う方法では、細孔の奥深くにまでシリカ粒子を拡散させ、細孔の内奥に形成された誘電体層にまでシリカ粒子を付着させることは極めて困難である。
また、コロイダルシリカは、コロイダルシリカおよび導電性高分子を含む分散液中において、導電性高分子に覆われた状態で分散していると考えられる。この分散液に多孔体を浸漬することで、細孔内にシリカ粒子が入り込んだとしても、シリカ粒子と誘電体層との間には導電性高分子が介在し、シリカ粒子と誘電体層とが接触し難い。結果、漏れ電流を低減する効果が得られ難い。
これに対し、固体電解質層の形成より前に、シリカ粒子を細孔内の誘電体層の表面に予め付着させておくことにより、電解コンデンサの漏れ電流を低減できる。
コロイダルシリカを含む分散液に多孔体を浸漬させる場合、分散媒は、限定されるものではないが、疎水性溶媒を用いることが好ましい。溶媒の疎水性は、水およびn−オクタノールを混合した液体に当該溶媒を溶解させたとき、平衡状態において、水相に含まれる溶媒のモル濃度CWに対する、n−オクタノール相に含まれるモル濃度COの比(分配係数)により評価され得る。ここでは、分配係数logCO/CWが正の値をとる溶媒を疎水性溶媒とする。
例えば分散媒が水であると、乾燥処理に伴って、互いのコロイダルシリカの表面に存在するシラノール基同士が脱水結合し、鎖状のシリカ粒子が形成され易い。上述の通り、鎖状シリカ粒子は、細孔内の奥深くまで入り込み難く、漏れ電流を抑制する効果が低減される場合がある。これに対し、疎水性の分散媒を用いることで、乾燥後においてシリカ粒子が細孔内の誘電体層の表面に分散した状態で付着し易い。分散液に占めるコロイダルシリカの含有量は、例えば、5質量%以上10質量%以下である。
分散液には、コロイダルシリカのほか、シラン系表面処理剤等の他の成分を含んでいてもよい。シラン系表面処理剤は、シリカ粒子および/または誘電体層と反応して、シリカ粒子と誘電体層の間にシリコン原子を介した結合を形成し得る。この結合により、シリカ粒子の誘電体層への付着が強固になり、細孔内を固体電解質層で埋める工程においても、シリカ粒子は誘電体層から剥がれることなく、誘電体層に付着した状態を維持することができる。よって、シリカ粒子が固体電解質層内に取り込まれ、誘電体層の欠陥を塞ぐ作用が減殺されるのを抑制できる。
シラン系表面処理剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのアルコキシシラン類、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシランなどのハロゲン化シラン類、などが挙げられる。
図1に、本実施形態における電解コンデンサの陽極体の多孔質部分と固体電解質層との接触部の近傍を拡大した模式図を示す。なお、図1では、説明の都合上、誘電体層3の膜厚およびシリカ粒子15の粒径が実際よりも大きく描かれている。
陽極体1は、細孔1Aを有する。細孔1Aにおいて露出する陽極体1の表面は、誘電体層3で覆われている。固体電解質層4が、細孔1Aの少なくとも一部を埋めている。細孔1A内において、シリカ粒子15が、誘電体層3の表面に分散して付着している。固体電解質層4は、誘電体層3を覆うほか、誘電体層3に付着したシリカ粒子15を覆っている。
陽極体1の表面には、誘電体層3が形成されていない欠損部分が生じる場合がある。図1において、この欠損部分を符号3Xで示している。シリカ粒子15は、欠損部分3Xを塞ぐように誘電体層3の表面に付着している。これにより、欠損部分3Xは固体電解質層4と接触せず、欠損部分3Xにおける陽極体1と固体電解質層4との接触が規制されている。結果、欠損部分を介した漏れ電流は低減される。
以下、本実施形態に係る電解コンデンサの構成について、適宜図面を参照しながら説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。図2は、本実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。
電解コンデンサ20は、陽極部6および陰極部7を有するコンデンサ素子10と、コンデンサ素子10を封止する外装体11と、陽極部6と電気的に接続し、かつ、外装体11から一部が露出する陽極リード端子13と、陰極部7と電気的に接続し、かつ、外装体11から一部が露出する陰極リード端子14と、を備えている。陽極部6は、陽極体1と陽極ワイヤ2とを有する。陽極体の表面に誘電体層3が形成されている。陰極部7は、誘電体層3の少なくとも一部を覆う固体電解質層4と、固体電解質層4の表面を覆う陰極層5とを有する。
<コンデンサ素子>
以下、コンデンサ素子10について、電解質として固体電解質層を備える場合を例に挙げて、詳細に説明する。
陽極部6は、陽極体1と、陽極体1の一面から延出して陽極リード端子13と電気的に接続する陽極ワイヤ2と、を有する。
陽極体1は、例えば、金属粒子を焼結して得られる直方体の多孔質焼結体である。上記金属粒子として、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)などの弁作用金属の粒子が用いられる。陽極体1には、1種または2種以上の金属粒子が用いられる。金属粒子は、2種以上の金属からなる合金であってもよい。例えば、弁作用金属と、ケイ素、バナジウム、ホウ素等とを含む合金を用いることができる。また、弁作用金属と窒素等の典型元素とを含む化合物を用いてもよい。弁作用金属の合金は、弁作用金属を主成分とし、例えば、弁作用金属を50原子%以上含む。
陽極ワイヤ2は、導電性材料から構成されている。陽極ワイヤ2の材料は特に限定されず、例えば、上記弁作用金属の他、銅、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。陽極体1および陽極ワイヤ2を構成する材料は、同種であってもよいし、異種であってもよい。陽極ワイヤ2は、陽極体1の一面から陽極体1の内部へ埋設された第一部分2aと、陽極体1の上記一面から延出した第二部分2bと、を有する。陽極ワイヤ2の断面形状は特に限定されず、円形、トラック形(互いに平行な直線とこれら直線の端部同士を繋ぐ2本の曲線とからなる形状)、楕円形、矩形、多角形等が挙げられる。
陽極部6は、例えば、第一部分2aを上記金属粒子の粉体中に埋め込んだ状態で直方体状に加圧成形し、焼結することにより作製される。これにより、陽極体1の一面から、陽極ワイヤ2の第二部分2bが植立するように引き出される。第二部分2bは、溶接等により、陽極リード端子13と接合されて、陽極ワイヤ2と陽極リード端子13とが電気的に接続する。溶接の方法は特に限定されず、抵抗溶接、レーザ溶接等が挙げられる。
陽極体1の表面には、誘電体層3が形成されている。誘電体層3は、例えば、金属酸化物から構成されている。陽極体1の表面に金属酸化物を含む層を形成する方法として、例えば、化成液中に陽極体1を浸漬して陽極体1の表面を陽極酸化する方法や、陽極体1を、酸素を含む雰囲気下で加熱する方法が挙げられる。誘電体層3は、上記金属酸化物を含む層に限定されず、絶縁性を有していればよい。
(陰極部)
陰極部7は、固体電解質層4と、固体電解質層4を覆う陰極層5とを有している。固体電解質層4は、誘電体層3上のシリカ粒子15を介して、あるいは、誘電体層3上に直接、誘電体層3の少なくとも一部を覆うように形成されている。
固体電解質層4には、例えば、マンガン化合物や導電性高分子が用いられる。導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリチオフェンビニレン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルフェノール、ポリピリジン、あるいは、これらの高分子の誘導体などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、導電性高分子は、2種以上のモノマーの共重合体でもよい。導電性に優れる点で、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールであってもよい。特に、撥水性に優れる点で、ポリピロールであってもよい。
上記導電性高分子を含む固体電解質層4は、例えば、原料モノマーを誘電体層3上で重合することにより、形成される。あるいは、上記導電性高分子を含んだ液を誘電体層3に塗布することにより形成される。固体電解質層4は、1層または2層以上の固体電解質層から構成されている。固体電解質層4が2層以上から構成されている場合、各層に用いられる導電性高分子の組成や形成方法(重合方法)等は異なっていてもよい。
なお、本明細書では、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどは、それぞれ、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどを基本骨格とする高分子を意味する。したがって、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどには、それぞれの誘導体も含まれ得る。例えば、ポリチオフェンには、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが含まれる。
導電性高分子を形成するための重合液、導電性高分子の溶液または分散液には、導電性高分子の導電性を向上させるために、様々なドーパントを添加してもよい。ドーパントは、特に限定されないが、1,5−ナフタレンジスルホン酸、1,6−ナフタレンジスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、2−メチル−5−イソプロピルベンゼンスルホン酸、4−オクチルベンゼンスルホン酸、4−ニトロトルエン−2−スルホン酸、m−ニトロベンゼンスルホン酸、n−オクチルスルホン酸、n−ブタンスルホン酸、n−ヘキサンスルホン酸、o−ニトロベンゼンスルホン酸、p−エチルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ハイドロオキシベンゼンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、および、これらの誘導体などが挙げられる。誘導体としては、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩などの金属塩、メチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩などのアンモニウム塩、ピペリジウム塩、ピロリジウム塩、ピロリニウム塩などが挙げられる。
導電性高分子が、粒子の状態で分散媒に分散している場合、その粒子の平均粒径D50は、例えば0.01μm以上、0.5μm以下である。粒子の平均粒径D50がこの範囲であれば、陽極体1の内部にまで粒子が侵入し易くなる。
陰極層5は、例えば、固体電解質層4を覆うように形成されたカーボン層5aと、カーボン層5aの表面に形成された金属ペースト層5bと、を有している。カーボン層5aは、黒鉛等の導電性炭素材料と樹脂を含む。金属ペースト層5bは、例えば、金属粒子(例えば、銀)と樹脂とを含む。なお、陰極層5の構成は、この構成に限定されない。陰極層5の構成は、集電機能を有する構成であればよい。
<陽極リード端子>
陽極リード端子13は、陽極ワイヤ2の第二部分2bを介して、陽極体1と電気的に接続している。陽極リード端子13の材質は、電気化学的および化学的に安定であり、導電性を有するものであれば特に限定されない。陽極リード端子13は、例えば銅等の金属であってもよいし、非金属であってもよい。その形状は平板状であれば、特に限定されない。陽極リード端子13の厚み(陽極リード端子13の主面間の距離)は、低背化の観点から、25μm以上、200μm以下であってよく、25μm以上、100μm以下であってよい。
陽極リード端子13の一端は、導電性接着材やはんだにより、陽極ワイヤ2に接合されてもよいし、抵抗溶接やレーザ溶接により、陽極ワイヤ2に接合されてもよい。陽極リード端子13の他方の端部は、外装体11の外部へと導出されて、外装体11から露出している。導電性接着材は、例えば後述する熱硬化性樹脂と炭素粒子や金属粒子との混合物である。
<陰極リード端子>
陰極リード端子14は、接合部14aにおいて陰極部7と電気的に接続している。接合部14aは、陰極層5と陰極層5に接合された陰極リード端子14とを、陰極層5の法線方向からみたとき、陰極リード端子14の陰極層5に重複する部分である。
陰極リード端子14は、例えば、導電性接着材8を介して、陰極層5に接合される。陰極リード端子14の一方の端部は、例えば接合部14aの一部を構成しており、外装体11の内部に配置される。陰極リード端子14の他方の端部は、外装体11の導出面11Xから外部へと導出されている。そのため、陰極リード端子14の他方の端部を含む一部は、外装体11から露出している。
陰極リード端子14の材質も、電気化学的および化学的に安定であり、導電性を有するものであれば、特に限定されない。陰極リード端子14は、例えば銅等の金属であってもよいし、非金属であってもよい。その形状も特に限定されず、例えば、長尺かつ平板状である。陰極リード端子14の厚みは、低背化の観点から、25μm以上200μm以下であってもよく、25μm以上100μm以下であってもよい。
<外装体>
外装体11は、陽極リード端子13と陰極リード端子14とを電気的に絶縁するために設けられており、絶縁性の材料(外装体材料)から構成されている。外装体材料は、例えば、熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、不飽和ポリエステル等が挙げられる。
≪電解コンデンサの製造方法≫
以下に、本実施形態に係る電解コンデンサの製造方法の一例を説明する。
電解コンデンサの製造方法は、陽極体と、陽極体の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を含むコンデンサ素子を備える固体電解コンデンサを製造する方法であって、多孔質部分を有する陽極体を準備する工程と、陽極体を化成処理して、多孔質部分の細孔の内壁に沿って誘電体層を形成する工程と、細孔内における誘電体層の表面にシリカ粒子を付着させる工程と、シリカ粒子を付着させる工程後に、細孔の少なくとも一部を固体電解質層で埋める工程と、を含む。シリカ粒子を付着させる工程は、例えば、誘電体層形成後の陽極体を球状のコロイド状シリカ粒子が分散した分散液に浸漬後、乾燥させる工程を含む。
(1)陽極体の準備工程
陽極体1としては、多孔質焼結体を用いることができる。弁作用金属粒子と陽極ワイヤ2とを、第一部分2aが弁作用金属粒子に埋め込まれるように型に入れ、加圧成形した後、焼結することにより、弁作用金属の多孔体である陽極体1を含む陽極部6を得る。陽極ワイヤの第一部分2aは、多孔質焼結体の一面からその内部に埋設されている。加圧成形の際の圧力は特に限定されない。焼結は、減圧下で行なうことが好ましい。弁作用金属粒子には、必要に応じて、ポリアクリルカーボネート等のバインダを混合してもよい。
(2)誘電体層の形成工程
次に、陽極体1を化成処理し、陽極体1の多孔質部分の細孔の内壁に沿って誘電体層3を形成する。具体的には、電解水溶液(例えば、リン酸水溶液)が満たされた化成槽に、陽極体1を浸漬し、陽極ワイヤ2の第二部分2bを化成槽の陽極体に接続して、陽極酸化を行うことにより、多孔質部分の表面に弁作用金属の酸化被膜からなる誘電体層3を形成することができる。電解水溶液としては、リン酸水溶液に限らず、硝酸、酢酸、硫酸などを用いることができる。
(3)シリカ粒子の付着工程
次に、誘電体層の表面にシリカ粒子15を付着させる。具体的には、例えば、球状のコロイド状シリカ粒子(コロイダルシリカ)が分散した分散液に、陽極体1を浸漬することにより、シリカ粒子15を陽極体1の細孔の内奥まで行き渡らせ、その後、乾燥させることにより、シリカ粒子15を細孔内の誘電体層に付着させる。分散液に陽極体1を浸漬する時間は、例えば、1分以上30分以下である。乾燥に要する時間は、例えば、10分以上〜30分以下である。乾燥は、例えば、110℃以上150℃以下の条件で行われる。
コロイダルシリカを分散させるための分散媒は、上述の通り、疎水性溶媒が好ましい。疎水性溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエンなどを用いることができる。分散媒は、水を含んでいてもよいが、疎水性溶媒を含む分散媒の全体に占める水の割合は、0.1質量%以下であることが好ましい。
コロイダルシリカは、ナトリウム安定型であってもよく、アンモニア安定型であってもよく、酸性のコロイダルシリカであってもよい。酸性の固体電解質を用いる場合、酸性のコロイダルシリカを用いることが好ましい。
シリカ粒子は、球状が好ましい。粒子径は、例えば8nm以上80nm以下であり、10nm以上60nm以下が好ましく、15nm以上50nm以下がより好ましい。
分散媒は、シラン系表面処理剤を含んでいてもよい。これにより、シリカ粒子の誘電体層への付着が強固になり、細孔内を固体電解質層で埋める工程においても、シリカ粒子は誘電体層から剥がれることなく、誘電体層に付着した状態を維持することができる。シラン系表面処理剤は、後述の固体電解質層の形成において、プレコート層を形成するための溶液に加えてもよい。しかしながら、シリカ粒子を誘電体層に強固に付着させる観点からは、シラン系表面処理剤をコロイダルシリカを含む分散媒に予め加えておく方が、シリカ粒子は化成被膜である誘電体層により定着し易く、好ましい。
(4)固体電解質層の形成工程
続いて、固体電解質層4を形成し、陽極体1の細孔の少なくとも一部を固体電解質層で埋める。これにより、陽極体1、誘電体層3、および固体電解質層4を含むコンデンサ素子10を得る。本実施形態では、導電性高分子を含む固体電解質層4の形成工程を説明する。
導電性高分子を含む固体電解質層4は、例えば、誘電体層3が形成された陽極体1に、モノマーやオリゴマーを含浸させ、その後、化学重合や電解重合によりモノマーやオリゴマーを重合させる方法、あるいは、誘電体層3が形成された陽極体1に、導電性高分子の溶液または分散液を含浸し、乾燥させることにより、誘電体層3の少なくとも一部に形成される。
細孔内を固体電解質層4で埋めるのに先立って、導電性高分子の前駆体を含む被膜(以下において、「プレコート層」という)を誘電体層3上に形成してもよい。さらに、プレコート層を形成する際に用いる溶液等は、上述のシラン系表面処理剤を含んでいてもよい。細孔内の誘電体層に固体電解質層を形成し易くするとともに、シリカ粒子の誘電体層への付着を一層強固にし、細孔内を固体電解質層で埋める工程においても、シリカ粒子は誘電体層から剥がれることなく、誘電体層に付着した状態を維持することができる。
固体電解質層4は、例えば、誘電体層3が形成され、誘電体層3にシリカ粒子15が付着した陽極体1を、導電性高分子とバインダと有機分散媒とを含む分散液に含浸し、取り出して、乾燥させることにより形成され得る。有機分散媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどスルホキシド類、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類などが挙げられる。分散媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。分散液には、バインダ、および/または導電性の無機粒子(例えば、カーボンブラックなどの導電性炭素材料)が含まれていてもよい。また、導電性高分子には、ドーパントが含まれていてもよい。導電性高分子およびドーパントとしては、それぞれ、固体電解質層4について例示したものから選択すればよい。バインダは、公知のものを利用できる。分散液は、固体電解質層を形成する際に使用される公知の添加剤を含んでもよい。
(5)陰極層の形成工程
続いて、固体電解質層4の表面に、カーボンペーストおよび金属ペーストを順次、塗布することにより、カーボン層5aと金属ペースト層5bとで構成される陰極層5を形成する。陰極層5の構成は、これに限られず、集電機能を有する構成であればよい。
次に、陽極リード端子13と陰極リード端子14とを準備する。陽極体1から植立する陽極ワイヤ2の第二部分2bを、レーザ溶接や抵抗溶接などにより、陽極リード端子13と接合する。また、陰極層5に導電性接着材8を塗布した後、陰極リード端子14を、導電性接着材8を介して陰極部7に接合する。
(6)コンデンサを封止する工程
続いて、コンデンサ素子10および外装体11の材料(例えば、未硬化の熱硬化性樹脂およびフィラー)を金型に収容し、トランスファー成型法、圧縮成型法等により、コンデンサ素子10を封止する。このとき、陽極リード端子13および陰極リード端子14の一部を金型から露出させる。成型の条件は特に限定されず、使用される熱硬化性樹脂の硬化温度等を考慮して、適宜、時間および温度条件を設定すればよい。
最後に、陽極リード端子13および陰極リード端子14の露出部分を、外装体11に沿って折り曲げ、屈曲部を形成する。これにより、陽極リード端子13および陰極リード端子14の一部が外装体11の搭載面に配置される。
以上の方法により、電解コンデンサ20が製造される。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
下記の要領で電解コンデンサを作製した。
(陽極体の形成)
弁作用金属としてタンタル金属粒子を用いた。銅からなる陽極ワイヤの一端がタンタル金属粒子に埋め込まれるように、タンタル金属粒子を直方体に成形し、その後、成形体を真空中で焼結した。これにより、タンタルの多孔質焼結体からなる陽極体と、陽極体に一端が埋設され、残りの部分が陽極体の一面から植立した陽極ワイヤと、を含む陽極部を得た。
(誘電体層の形成)
電解水溶液であるリン酸水溶液が満たされた化成槽に、陽極体および陽極体から植立した陽極ワイヤの一部を浸漬し、陽極ワイヤの他端を化成槽の陽極体に接続した。そして、陽極酸化を行うことにより、陽極体の表面(孔の内壁面を含む多孔質焼結体の表面)および陽極ワイヤの一部の表面に、酸化タンタル(Ta2O5)の均一な誘電体層を形成した。陽極酸化は、陽極体を0.02質量%リン酸水溶液中で、化成電圧10V、温度60℃の条件で2時間行った。
陽極体の細孔径分布を水銀圧入法にて測定し、上述の方法で細孔径を求めたところ、390nmに細孔径のピークを確認した。
(シリカ粒子の付着)
球状のコロイダルシリカとして、日産化学株式会社製MEK−ST−L(粒子径40nm〜50nm)に、メチルエチルケトンをコロイダルシリカの含有量が5質量%となるように加え、分散液を調製した。得られた分散液に、陽極体を3分間浸漬した後、130℃で10分間乾燥させた。
(固体電解質層の形成)
3,4−エチレンジオキシチオフェンと、p−トルエンスルホン酸鉄(III)と、1−ブタノ−ルとを混合し、混合液を調製した。混合液に陽極体を浸漬した後、陽極体を混合液から引き上げ、大気中で熱処理を行った。この場合、p−トルエンスルホン酸鉄(III)は、酸化剤として機能する。陽極体の混合液への浸漬と熱処理を複数回行い、誘電体層上にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含む固体電解質層を形成した。
(陰極層の形成)
固体電解質層の表面に、カーボンペーストを塗布することにより、カーボン層を形成した。次に、カーボン層の表面に、銀ペーストを塗布することにより、銀ペースト層を形成した。こうして、カーボン層と銀ペースト層とで構成される陰極層を形成した。
(電解コンデンサの作製)
陰極層に導電性接着材を塗布した後、陰極リード端子を、導電性接着材を介して陰極層に接合した。陽極ワイヤと陽極リード端子とを、抵抗溶接により接合した。
次いで、各リード端子が接合されたコンデンサ素子および外装体の材料(未硬化の熱硬化性樹脂およびフィラー)を金型に収容し、トランスファー成型法により、コンデンサ素子を封止した。
このようにして、電解コンデンサを35個製造した。
(評価)
得られた電解コンデンサについて、下記の手順で、漏れ電流値を評価した。
25℃の環境下で2Vの電圧を印加し、電解コンデンサを充電した。充電状態の電解コンデンサに流れる電流を測定し、漏れ電流として評価した。その後、25℃で、印加電圧を4Vから34Vまで、2Vずつ上昇させながら電解コンデンサを充電し、同様に漏れ電流を評価した。
このとき、電流値は、印加電圧の増加に伴って上昇するが、ある電圧を境に電流値は減少し始める。これは、誘電体層の欠損部分が修復されたためと考えられる。
印加電圧が小さい場合、誘電体層の欠損部分を介して固体電解質層と陽極体との間に漏れ電流が流れる。このときの漏れ電流は、印加電圧の上昇に応じて増加する。しかしながら、印加電圧がある閾値を超えると、欠損部分の近傍の導電性高分子が炭化し、高抵抗化する。これにより、漏れ電流は印加電圧の上昇に拘わらず減少に転じる。電解コンデンサに印加する電圧を上記の通り2Vから34Vまで上昇させたとき、漏れ電流の最大値を修復前漏れ電流とし、印加電圧が最大の34Vの場合における漏れ電流を修復後漏れ電流とする。
[実施例2〜7]
球状のコロイダルシリカとして、日産化学株式会社製MEK−ST−40(粒子径10〜15nm)、または日産化学株式会社製MEK−ST−ZL(粒子径70〜100nm)を用いた分散液を調製した。また、鎖状コロイダルシリカとして、日産化学株式会社製MEK−ST−UPを用いた分散液を調製した。上記鎖状コロイダルシリカは、粒子径10〜15nmのシリカ粒子が連結した鎖状構造を有する。
また、分散液中のコロイダルシリカの含有量を5質量%から10質量%に変更した分散液を調製した。
コロイダルシリカの形状および粒子径、および、分散液中のコロイダルシリカの含有量の組み合わせが異なる分散液を複数種類、表1に示すように調製し、それぞれの分散液を用いて、実施例1と同様の方法で電解コンデンサを35個製造し、実施例1と同様に評価した。
[比較例1]
誘電体層にシリカ粒子を付着させる工程を行わなかった。
これ以外については、実施例1と同様にして電解コンデンサを35個製造し、同様に評価した。
[比較例2]
コロイダルシリカを含む分散液の調製において、分散媒として、メチルエチルケトンの代わりに水を用いた。これ以外については、実施例1と同様にして電解コンデンサを製造した。
図3Aに、実施例1の電解コンデンサについて、印加電圧に対する漏れ電流の変化をプロットしたグラフを示す。35個の電解コンデンサのうち、修復前漏れ電流がメジアン値であった電解コンデンサについてのプロットを実線で、修復前漏れ電流が最大であった電解コンデンサについてのプロットを破線で、修復前漏れ電流が最小であった電解コンデンサについてのプロットを点線で示している。
同様に、図3Bに、比較例1の電解コンデンサについて、印加電圧に対する漏れ電流の変化をプロットしたグラフを示す。35個の電解コンデンサのうち、修復前漏れ電流がメジアン値であった電解コンデンサについてのプロットを実線で、修復前漏れ電流が最大であった電解コンデンサについてのプロットを破線で、修復前漏れ電流が最小であった電解コンデンサについてのプロットを点線で示している。
図3Aおよび図3Bともに、印加電圧が6Vで漏れ電流が最大となっている。しかしながら、図3Aに示す実施例1の電解コンデンサは、図3Bに示す比較例1の電解コンデン
サと比べて、修復前漏れ電流および修復後漏れ電流が大幅に改善している。また、漏れ電流の電解コンデンサ毎のばらつきも低減されている。
表1に、各実施例における修復前漏れ電流の評価結果を、使用したコロイダルシリカの形状、粒子径、および、分散液中のコロイダルシリカ含有量と併せて示す。表1において、修復前漏れ電流は、35個の電解コンデンサの平均値を示している。球状で、粒径が10nm〜60nmの範囲の実施例1、2、4および5において、修復前漏れ電流の改善度合が顕著である。
実施例1〜3の群と実施例4〜6の群とを比較すると、コロイダルシリカの含有量を10質量%とし、実施例1〜3よりも高濃度とした実施例4〜6では、コロイダルシリカの粒径が大きい場合に、修復前漏れ電流の改善効果が弱まる傾向がある。この理由は、分散液中のコロイダルシリカの含有量を高めるほど、分散液中でコロイダルシリカ同士が結合し、鎖状のコロイダルシリカが形成され易くなるためと考えられる。
また、コロイダルシリカの分散媒として水を用いた比較例2の電解コンデンサでは、ESRおよび誘電損失(tanδ)が増大し、コンデンサとしての特性が悪化した。これは、水溶媒においてはコロイダルシリカが凝集して粒子径の大きな塊となり、細孔内に入り込むことができず、誘電体層と固体電解質層の間にシリカの層が介在した状態となってしまうためと考えられる。
Figure 2020111093
本発明は、電解コンデンサに利用可能であり、好適には、細孔を有する多孔体を陽極体に用いる電解コンデンサに利用することができる。
20:電解コンデンサ
10:コンデンサ素子
1:陽極体
1A:細孔
2:陽極ワイヤ
2a:第一部分
2b:第二部分
3:誘電体層
3X:欠損部分
4:固体電解質層
5:陰極層
5a:カーボン層
5b:金属ペースト層
6:陽極部
7:陰極部
8:導電性接着材
11:外装体
11X:導出面
13:陽極リード端子
14:陰極リード端子
14a:接合部
15:シリカ粒子

Claims (9)

  1. 陽極体と、
    前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、
    前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、
    を含むコンデンサ素子を備え、
    前記陽極体は細孔を有し、
    前記コンデンサ素子は、前記細孔内において、前記陽極体の表面を覆う前記誘電体層に付着したシリカ粒子をさらに備え、
    前記固体電解質層が、前記シリカ粒子を覆っている、電解コンデンサ。
  2. 前記シリカ粒子は、球状である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記シリカ粒子の粒径は、前記細孔の細孔径の2.5%以上15%以下である、請求項2に記載の電解コンデンサ。
  4. 固体電解質層は、導電性高分子を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  5. 前記陽極体は、弁作用を有する金属粒子の焼結体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  6. 陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を含むコンデンサ素子を備える固体電解コンデンサを製造する方法であって、
    細孔を有する前記陽極体を準備する工程と、
    前記陽極体を化成処理し、前記細孔の内壁に沿って前記誘電体層を形成する工程と、
    前記細孔内における前記誘電体層の表面にシリカ粒子を付着させる工程と、
    前記シリカ粒子を付着させる工程後に、前記細孔の少なくとも一部を前記固体電解質層で埋める工程と、を含む、電解コンデンサの製造方法。
  7. 前記シリカ粒子を付着させる工程は、前記誘電体層形成後の前記陽極体を球状のコロイド状シリカ粒子が分散した分散液に浸漬後、乾燥させる工程を含む、請求項6に記載の電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記分散液は、疎水性溶媒を含む、請求項7に記載の電解コンデンサの製造方法。
  9. 前記分散液は、シラン系表面処理剤を含む、請求項7または8に記載の電解コンデンサの製造方法。
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